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救出program
◆届けられた試練
昼食後の休憩時間。次々とやってくる依頼から逃れて、ひとときの安らぎが得られる貴重な一時だ。
草間武彦はたばこに火をつけて、深く煙を肺に吸い込ませる。後片付けをしていた草間零が、渋い顔をしていて壁に貼られた「禁煙週間」の注意書きを指さしているような気がするが、たぶん気のせいだろう。
さすがに今月からはタバコ代もばかにならないので、本数を減らそうとつとめてはいるのだが、コーヒーだけではどうも口足りない。
2本目に手をつけようとした時だ。高らかなチャイムの音が鳴り響いた。
「……客か?」
「違いますよ。メールの新着が届いたんです」
「また勝手に余計なことをして……遊び道具じゃないんだぞ」
「分かってますよ♪」
そう言いながらも、零は楽しげな様子で丸いボディのパソコンに向かいはじめる。なんとなくパソコンを覗き込むと、いつの間にかかわいいキャラクター一色でデザインが統一されており、武彦はひどい脱力感を覚えた。
「草間さん。何でしょうね、これ?」
零は1通のメールを開いて武彦に見せた。
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突然のメール失礼します。実はあなたにご協力していただきたくご連絡しました。
ゲームに閉じ込められた子供達というのを御存じでしょうか? 実はようやくゲーム内で行方不明になったを集めることに成功いたしました。つきましてはあなたに現実世界に戻る手立ての協力をしていただきたく思います。
手段においては当方でもいくつか検討しておりますが、妙なプログラムに規制されて思うように子供達を救い出す事が出来ません。ご聡明なあなたの知恵をお借り出来ませんでしょうか?
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「……俺にパソコンを触れというのか?」
「さすが草間さん♪ なんでもござれということですね」
「あー……とりあえずあいつらに連絡いれてくれないか? さすがにプログラムとか言われてもさっぱりだからな……」
もしかしたら間違いメールじゃないかとちょっぴり期待しながらも、武彦は3本目のタバコに火をつけるのだった。
■強力な仲間達
「こら。はり紙がみえなかったんですか? これでもう2箱目でしょ」
シェライン・エマはぽこりとファイルで武彦の頭を叩く。じろりと睨み付けるも武彦はそのまま新しい煙草に火をつける。
その隣では峰崎・蘇芳(みねさき・すおう)が楽しげにキーボードを叩いていた。黒いキーボード上で軽快に動く蘇芳の指を眺め、シュラインは感心そうに一息吐いた。
「さすがは専門家ね。まるで指が踊ってるみたいだわ」
「なんのなんの。俺はまだ遅いほうだよ。凄いやつなんて1秒に20文字叩くのも楽勝なんだぜ」
そう言いながらも蘇芳は次々とプログラムをうちつけている。時折、手を止めてはCDを差し込みインストール。今まさに草間興信所の「初心者向け機能さっぱりな可愛いパソコン」は「メモリ大増強スーパーコンピューター」に生まれ変わろうとしていた。
「これで、よし……と。さてと、ようやく作業にはいれるぜ」
肩をもみほぐし、蘇芳は再び打ち込みにとりかかる。2時間前からずっとこの調子だ。
「がんばりますわね」
「ええ、本当」
海原・みそのが用意した紅茶を一口含み、シェラインはふとみそのに視線を移した。
「あら。結構似合ってるじゃない、それ」
「……えっ?」
「そのドレス。黒は女を美しく魅せるっていうのはやっぱり嘘じゃないわね、武彦さんもそう思うでしょ?」
「なんでそんなことを俺に聞くんだ……」
「だって暇そうなんだもの」
ずばりと武彦の胸を直撃するシェラインの言葉に、武彦は深くため息をついた。事実、いまのところ自分がやれることはない。強いて言えばプリントアウトしたメールの文章に目を通すことぐらいだ。
パタリと扉が開き、少し慌てた様子で宮小路・皇騎(みやこうじ・こうき)が駆け込んできた。何やら頑丈そうなショルダーバックを大事そうに抱えており、武彦達に軽く挨拶するとすぐさま蘇芳の隣に腰かける。
「遅れてすみません、データ集めに少し戸惑ってしまいました」
「……で、ツールの方は?」
皇騎はバッグから1枚のCDを取り出した。蘇芳が中身の確認をしている間に持ってきたノートパソコンを立ち上げ起動させる。
「ただいま戻りましたー……って、あら? もうみなさんお集りでしたか」
両手で大きな紙袋を抱え、零はのんきに部屋にはいってきた。武彦に煙草を手渡しつつ、明るい笑顔で言葉を紡ぐ。
「シュラインさん、猫ちゃんのご飯きれていたので買ってきましたよ」
「あら、ありがとう……そういえば皆の差し入れが冷蔵庫にたくさんあったわよね、専門家さん達が一息つくまで休憩しておきましょうか」
「わたくしもお手伝いいたしますわ」
そう言い、シュラインとみそのは奥の給湯室へと姿を消していった。ぽつんと残された武彦に零は何気なく声をかける。
「お暇ならお掃除でもしたらどうですか? ……例えば机の上とか」
「……」
武彦は視線を移すも言葉を返すことはしない。彼にとって今の机は全ての場所を把握できる理想の状態なのだろう。多分。
「……いたっ! みつけたぞ!」
ひときわ高く蘇芳の声があがる。打ち込む手を休めずに皇騎は蘇芳に話しかけた。
「発信元のポイント座標をこっちに流してくれ。そちらと連動してダミーを送るよ」
「OK。さて、こっからが本番だぞ……」
ふたりともどこか楽しそうなのは気のせいだろうか? 軽快にたたき出されるキーボードの音を聞きながら、ぼんやりと武彦は2人の背を眺めていた。
■行動開始
「よし、これで完了。向こうと交信するにも誰か中に入った方が楽かな……立候補するひといないか?」
キィと音のなる椅子を回し、蘇芳は女性群をみやる。
「わたくしでよろしければお手伝いいたしますわ」
すかさず、待ってましたかのようにみそのが立上がる。その時だ。興信所の電話が無機質に鳴り響いた。
「私がでるわ、そっちは作業を続けてちょうだい」
慣れた手つきでシュラインは受話器を取る。
「はい、草間興信所です。はい……あ、資料揃ったんですね、わざわざ有難うございます……え? 伝言の方もあるんですか? ええ、できれば一つにまとめて……いえ、取りに行きます。それじゃ、宜しくお願いします」「麗香か?」
「ええ、この前特集で集めた資料と、子供達の親の伝言をまとめて下さったみたいよ」
「さすが有能編集長ですね。煙草をふかせてるだけの誰かさんとは大違い」
ちらりと零は武彦を横目でみやる。小さく舌打ちをして武彦は作業中の男2人に声をかけた。
「いま、どんな状況だ?」
「みそのさんの能力をデータ化させてネット内にコピーさせてるんです。こうすればオフラインと同等の能力を使えます」
「ふむ……」
黒い画面に無機質に流れる白い文字。2人は瞬時に読み取り、的確な指示を打ち込んでいく。その作業はまるで一つの流れのようで、部外者は立ち入る隙すら与えてくれない。
「じゃ、アトラスに行ってきます。武彦さん後片付けよろしくね♪」
そう言い残して、シュラインは零を連れて外へと出ていった武彦が何か言葉を返そうとする前に、扉は音を立てて閉ざされる。
「これでOK、っと……みそのさん準備良いかい?」
「はい、いつでもどうぞ」
みそのは瞳を閉じて電子の「流れ」を感じ、波長を合わせていく。一瞬、びくんと全身を揺らし、みそのはその場に崩れ落ちた。傍らにいた蘇芳がすかさず彼女を抱きとめる。
「……っと。おい、上手くいったか?」
「ああ、いま相手先の所に案内させてるよ……ん、敵がどうやら気付いたみたい
だ」
「くそっ。計算より早いなっ」
みそのをソファに寝かせ、蘇芳はすぐさまパソコンに向かう。今までの作業と違い、今攻撃を受けてはみそのの命が危うくなる。なんとしてもそれをふせぐために、2人は必死に見えない相手との攻防戦にとりかかった。
何やら専門的な会話を交わし、必死に作業する2人を眺めながら。
「……散歩にでも言ってくるかな……」
武彦はぽつりとそう呟いた。
■編集長からのプレゼント
シュラインと零が戻るとそこは異空間だった。空間に表示されるゲーム画面。
次々と空中に現れては消えていく画面は興信所をうめ尽くすような勢いだ。
「なに、これ?」
「すまん、ちょっと油断した……一部乗っ取られちまったよ」
蘇芳は両手を合わせて、ごめんと短く告げる。
「それより草間さんは……? 見かけないんだけど」
言ったはずなのに片付けられていない応接テーブルを見つめながらシュラインはひとつ息を吐く。諦めていたことではあったが、心のどこかでちょっぴり期待していたのかもしれない。
「あ、煙草買いに行くって言ってたよ。ついでにどこかでのんびりしてくるんじゃないか?」
「……やはり逃げたか……」
「暇そうにしてたし仕方ないんじゃないか? ところでその手にもってる袋は……?」
ああ、といってシュラインは袋から一枚のCDとMDを取り出した。蘇芳はCDを受け取ると早速CDドライブの中に放り込む。
「あれ、これってゲームのデータ……?」
「アトラス編集部の方でも独自に調査してたそうで、少し借りてきたの。どう? つかいものになりそうかしら」
「もちろん! 皇騎、あなたのPCにも入れておくかい?」
「いや、今はいいよ。必要なときになったらよろしく頼む」
「了解」
シュラインと零が見守る中、2人は再び作業に没頭した。
「そうだ……シュラインさんみそのちゃんと話してみる?」
「え? 出来るの?」
もちろん、と皇騎はノートパソコンになにやらスピーカーらしきものを取り付け、マイクをシュラインに差し出した。
「これを使えば出来るはずだ。何か話しかけてごらん」
「何かといわれてもね……えーっと、みそのちゃーん?」
一呼吸おいて、みそののやわらかい声が返ってくる。
「いま、どこにいるの?」
『ええと、メールを送っていただいた方のお傍にいます。もう少しでそちらへ向かえるかと思うのですが……きゃあ! 駄目ですよ、きちんと大人しくしていてくださいー』
みそのの近くに大勢の人物がいるらしく、彼女以外の人物の声がノイズのように聞こえた。
「みそのちゃん! いまから転送を開始するけど準備のほうは大丈夫かい?」
『ちょっと待ってください。お子様達が帰りたくないって駄々こねられまして……帰りたいと思ってる子だけでも先にお送りできませんか?』
「……転送作業をしてるときは完全に無防備になる。今はダミーでごまかしてるがこれもいつ突破されるか分からない……できれば皆一緒に救出したいんだ、何とか説得できないか?」
『そうおっしゃられましても……』
言われるまでもなく、みそのは話しかけられる前から彼らの説得を試みていたようだ。だが、子供達が何故帰りたがっていないのかまでは知るはずもなく、失敗に終わっていたらしい。
はっと思い出したシュラインは持っていたMDをプログラマー達に差し出した。
「ねえ、このMDを聞かせられないかしら」
「これを……? ちょっと待ってな」
パソコンの背後をいじり、蘇芳は手持ちのMDプレイヤーと連結させる。それを一旦データ化させて、みそののもとへ送った。
「みそのちゃん、今来た箱を開いてごらん」
蘇芳達から送られてきたデータはゲーム内に入った瞬間視覚化され、プレゼントBOXの形へと変貌をみせる。箱を開けるとプログラムが発動するしくみのようだ。言われたとおりにみそのはそっとリボンを解き、箱のふたを開けた。
その瞬間、ポログラム化された男女の姿が飛び出してきた。彼らはよく似た風貌の子供達のもとへそれぞれ赴き、言葉を話しかける。
箱(MD)に納められていたもの。それは子供達の親が告げた子供達へのメッセージだった。帰っておいで、心配してる、といった言葉を聴き、子供達は途端大人しくなりみそのの元へ集まってくる。
「……お父さんとお母さんのもとへかえりましょうか……」
みそのは優しいほほえみで子供達に語りかける。子供達が集まったのを確認し、外にいる仲間へ合図を告げた。
「準備OKです! お願いします!」
■最大のトラブル
予想通り、転送プログラムを展開した途端に敵の攻撃が激しくなった。侵入してくる相手に巧みにだまし、子供達を本来いるべき場所へと誘導させていく。文章にすると簡単そうに思えるが、本来正式な参加者として参加していない状態でゲームに侵入し、かつ大量のデータ移動をさせているのだ。そうやすやすと行えるものではない。
「くそっ、第2障壁も突破されたか。気をつけろ、奴が来るぞ!」
次の瞬間、バチンと音がなり響き、部屋の電気が一斉に消された。ノートパソコンだった皇騎は電源が乾電池にきりかわっただけだが、蘇芳は机に拳を叩きつけて真っ暗になった画面をにらみつけた。
「物理的攻撃をしてくるとはな……なあ、非常電源とかないのか?」
「普通の事務所に無茶言わないでよ。ちょっと待ってて、いまブレーカー調べて
くるから」
そう言ってシュラインは置くの給湯室へと向っていった。一応今までのログを常時保存はしていたものの、電源が入らないことには目の前にあるものはただの箱以上の何物でもない。
「そっちはあと何時間ぐらいもつんだ?」
「そうだな、大体2時間ってところだ。それまでには終わらせるよ」
強力な仲間が欠けたいま、子供達とみそのの命は皇騎の頭脳にすべて託されていた。皇騎もいまの状況を充分把握しているのか、あせりと緊張を隠せないでいた。
『どうかしましたか? 何か急に流れが遅くなったような気がしますが……』
「大丈夫。あともう少しだからそちらも頑張ってくれ。もし、変わったものとか見えたらすぐに報せてほしいのだが、今まで通りかい?」
『はい、今のところは順調です……あら……』
「どうかしたか?」
『依頼主様がいつの間にか消えてらしてます。どこかに行かれたのでしょうか?』
「……」
ふと作業の手を止めて考え込む皇騎。
「なあ、いまふと思ったんだが……」
「ああ、それは俺も考えていた。確かに結構簡単にことが運びすぎだったし、準備作業の時にもう少し激しい攻撃をしかけてくるはずだもんな」
「おまけにダミープログラムには興味も持たず、こちらの本体を的確にせめて来た。普通じゃありえない」
カチカチっと小さく瞬き、天井の蛍光灯が再び明かりを灯し始めた。一呼吸おいてシュラインが2人のもとへ戻ってくる。
「やれやれ、ようやく元に戻ったわ。ブレーカーを立ち上げても電気がつかないんでびっくりしちゃたわ」
「ご苦労さん、さてと……俺も自分の仕事をしますか」
袖を巻くりあげ、蘇芳は再びパソコンの電源をつけようとした。が、それを傍らにいた皇騎が制す。
「今動かしたら、今度は直接攻撃をしかけてくるはずだ。推測だが……さっきの停電の直後にウィルスを放り込んできたようだ」
見ると皇騎のノートパソコンは一面真っ黒な画面になっており、画面中央にケタケタと笑う骸骨が浮かび上がっている。防止する隙もなく敵に侵されしまったらしい。
「ああ、このタイプか……この手のはこいつなら動かないから大丈夫だよ」
そういって蘇芳はふたたび電源に手を伸ばした。起動画面とともに表示される
「ログインキーワード」の文字に蘇芳は頭を掻いた。
「零ちゃん、パスワードしってるか?」
「ええと、確か草間さんが設定してて……メモが……机の上に」
「……」
書類が山積みになっている机を見つめる一同。仕方がないといったようにシュラインは携帯を取り出し、いつも使う短縮番号にかける。やや間をおいて、トルコ行進曲が書類の山の中からむなしく響いてきた。
「……あのおやじ、一度調教し直す必要があるわね……」
「えっ。シュラインさん、そんな趣味が……」
「違うっ!」
シュラインは苦笑を浮かべながら素早く突っ込みを返す。
「しかしまいったわね、武彦さんが戻ってこないことにはただの箱から電気を食べるだけの箱に進化しただけということになっただけじゃない……」
「仕方ない、ちょっと荒っぽいがパスワードを突破してみるか」
言うが早いか蘇芳はコマンドキーを押さえながら再起動にとりかかる。その様子を眺めていた皇騎はふと画面がいつの間にか復帰していることに気がついた。
「ん……」
それと同時に。安らかな眠りについていたみそのがゆっくりと起き上がった。
「ただいま帰りました」
にっこりと笑顔を浮かべるみそのに、驚く一同。無理もない、なにせまだ彼女を戻すためのプログラムは発動させていないのだから。
「突然そちらとのお話が出来なくなりましたので、心配で帰ってまいりました」
「帰ってって……どうやって? それに子供達は?」
「たどった流れを逆にしてまいりました。お子様達はちゃんとお家に戻られたようです。みなさま感謝しておられましたよ」
途中がどうあれ無事に結果がはたせ、一同は安堵の息を吐いた。
「よ、進行具合はどんな感じだ?」
なにやらビニル袋をさげた姿の武彦が一同の瞳に映る。全員じろりと武彦をにらみつけた。
「くーさーまーさーん……!」
哀れ草間武彦。この後シュラインと零から教育的指導がはいったのは言うまでもないことだった。
◇経営者の心得
数日後、各メディアを通して長い間意識不明だった子供達が起き上がったことが人々に知らされた。原因は明白にされていないが、自分達に被害が及ばない限り、一般人が興味をしめすことすらないだろう。
もっとも月刊アトラスをはじめとしたオカルト系雑誌では、特集を組んで大々的に深く追求しているようだったが、楽しい読み物として終わるのがせいぜいかもしれない。
「草間さん、例の人からまたメール来てますよ」
「またか……で、なんだって」
「ええと『ご協力ありがとうございました。無事に子供達を元の世界に戻すことができて、さすがは有能な探偵と名高いだけあるな、と改めて尊敬いたしました。今後このようなことは起こらないと思いますが、もし何か起こった際はご協力いただけると大変嬉しいです』……ですって。あら、ちゃんと銀行振り込みまでしてくれてるみたいですよ。あら……?麗香さんからも来てる……」
「……あの女にメールアドレス教えてるのか?」
「そりゃ勿論♪」
零はカチカチと軽快にマウスを叩いて未読メールを開く。興味津々といった様子で、傍らにいたシュラインも画面を覗き込み、あっと小さく声をあげた。
「資料提供代の請求メールとはやるわね」
「さすがは麗香さん。どこかのうっかり探偵とは大違いですね」
「おいこら、どういう意味だそれ」
「さぁて、ねえ。零ちゃん、お金は武彦さんのポケットマネーから出すよう伝えておいてちょうだい」
「りょうかいっ♪」
「こらこらこらっ!」
「あら、当然でしょ? もちろん交通費も経費で落とさせてもらいますからね。何にもしなかったんだから」
シュラインの言葉はぐさりと武彦の胸を貫いた。上手く言葉を返せない探偵をよそに女2人は楽しげに到着したメールへの返信作業を続けるのだった。
おわり
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■ 登場人物(この物語に登場した人物の一覧) ■
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【整理番号 / PC名 /性別/年齢/ 職業】
0086 /シュライン・エマ /女性/26/翻訳家&幽霊作家
+時々草間興信所でバイト
0461 /宮小路 ・皇騎 /男性/20/大学生(財閥御曹子・陰陽師)
1388 /海原 ・みその/女性/13/深淵の巫女
1631 /峰崎 ・蘇芳 /男性/26/プログラマー兼エンジニア
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■ ライター通信 ■
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大変お待たせしました。「救出program」をお届け致します。
今回は現実世界を中心にほんのりバーチャルネットな世界。楽しんで頂けたら幸いです。
エマ様:ご参加ありがとうございました。今回の草間さんはなんだか忠雄風味がただよってしまいました。やはり苦手な物は苦手なままのようです。プライドをすてて聞いてみるとかすればいいのに、ねえ。
無事子供達は救出されたようで任務完了、おつかれさまでした。
でもネットの世界は底がないほどに広いのでまたどこかで不思議な現象が起こっているかもしれません。
それではまた次の物語でおあいしましょう。
執筆担当:谷口舞
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