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味見と言うより毒見 in あやかし荘
■オープニング〜長閑なひととき急転直下、諸悪の根源捕獲なるか!?■
あやかし荘の昼下がり。
「管理人さん、いるかい?」
玄関から何処か蓮っ葉な声が届き、呼ばれ恵美ははーい、と管理人室から出て行く。
ちなみに管理人室の中には、管理人である恵美の他に三名。にこにこと笑みを絶やさぬ、銀縁眼鏡に白衣の似合う若者――久遠樹(くおん・いつき)、そして黒髪青瞳に赤いスーツが映えるシュライン・エマに、あやかし荘憑き座敷わらしの嬉璃が居る。
更に言うと、樹と嬉璃の間には王手寸前な将棋板が置いてあったりした。板の向きから考えて、優勢は樹。
シュラインはそれらを見るともなしに見ながら、のんびりお茶を頂いている。
が。
玄関から聞こえる声に、シュラインは、はた、と湯呑みを傾ける手を止めた。
…何処かで聞いた事のある声のような気が。
思い、さりげなく立ち上がると、管理人室から廊下に顔を出し、玄関を見る。
と。
案の定。
最近、名前だけはよく聞くが…逆に顔は不自然なまでに見ない…どころか何故か連絡も取れない…相手が居た。
「………………あらシュラインじゃないの。お久しぶりじゃない☆」
やや引きつりながらも、管理人室からひょっこり出されたその中性的な容貌を見て、にこっ、と微笑んだのは――チャイナドレスに身を包んだ、ちょいときつめな美貌のお姉さん。
そしてその正面、框の上に居る恵美の手には――。
――ちょっと待て。
たった今管理人さんに手渡されたと思しきその菓子折りは何。
はたと気付いたシュラインはそのお姉さん――碧摩蓮を、じと、と睨む。
「…最近各所に『それ』をバラ撒いてるのはどう言う事なのかしら? 蓮さん?」
「『それ』、って何の話かな、シュライン?」
「シラを切ろうったってそうは問屋が下ろさないわよ」
「…なんか怖いよ、おネエさん♪」
冷汗を掻きつつ、空くまでシラを切り続ける蓮。
と。
がらっ
「ただいま戻りましたー!」
蓮の背後、玄関の引き戸をがらっと開けるなり、元気に挨拶をしたのは時司椿(ときつかさ・つばき)その人。
そこまでは、まぁ…いつもの事なのだが…。
痛そうにさすられているその頭には…これまた何処かで見たような花が一輪、咲いていた。
にょきっと頭から確りと生えている。
…その事実に、見ていた一同の時間が瞬間的に停止した。
それを救いと見たか、蓮はさっ、と後退し踵を返す。
「…ま、とにかく絶対皆で食べて始末してやってね、宜しく☆」
言い置き、これ幸いと蓮は元気印の青年と入れ替わるようにして駆け去って行く。
「ちょ、ちょっと待って蓮さんっ!」
呼ぶ声に、更にスピードを上げて、たったったっ、と遠ざかる背中。
少し遅れ、慌てて追おうと玄関に飛び降りるシュライン。
「どいてくれる時司くん!?」
「え?」
要領を得ない椿は当然の如く動かない。
そしてそんな事をしている間に蓮の姿は何処へやら。
シュラインは玄関から出て暫く行き、きょろきょろと辺りを見回してはみたが…どうやら完全に見失った。
「…不覚」
ち、と舌打ちしそうな勢いで、シュラインは悔しがりつつ戻ってくる。
きょとんとした顔で、恵美は相変わらず菓子折りを持ったまま佇んでいた。
同様に、頭から唐突に花を生やした椿も目を瞬かせながら佇んでいる。
一方、樹と嬉璃はと言えば、いったい何事か、と管理人室の窓から揃って廊下に顔を出している。
…結局――捕獲、ならず。
■暴走と言うコトバの似合う者たち■
「どうしたんですか? シュラインくん? アンティークショップ・レンの主が…何か?」
「つーかな、その頭は何なんぢゃ、椿…」
「頭? ってどうかしましたか嬉璃さん??」
玄関先でがっくりと肩を落とし嘆息するシュラインを余所に、椿はそそくさと框を上がり掛ける。…嬉璃の疑問――自分の頭に咲いている花にも気付いていない。そして恵美の持つ、たった今貰ったと思しき菓子折りを目に入れると――ラッキー、とばかりにきらきら目を輝かせた。
「これ…御相伴に預らせて頂いても宜しいですか…?」
じ、と恵美に詰め寄るように懇願する、椿。
「え? …は、はぁ…それは、構いませんけど…」
「本当ですね!?」
「…取り敢えず、ここじゃ何ですからもう少し落ち着ける場所に…」
言いながら、恵美は管理人室を指差した。
そして、管理人室の中で早々に。
「…珍しいな、ひよこならず赤子饅頭なんて?」
ぱかりと蓋を開けた椿は、中を見て反射的に絶句し目を逸らす恵美と嬉璃にも気付かない。椿が箱から取り出した物体を見た樹はと言うとぱちぱちと目を瞬かせている。その物体は――何だか浅黒いミニチュアの赤ん坊。
恵美ちゃん、お茶お願い出来ますかー? などと平和に言いつつ、椿はその異様さも気にしない。…そもそもこれはバリバリにデフォルメされてるひよこ饅頭どころでないリアルな形のような気がするんですが…。
…にも関らず、衒い無く平然ともくもく頬張った椿は、恵美に煎れてもらったお茶をぐいっと。
そしておもむろに口を開こうとしたのだが――。
「?」
声が出ない。
ちなみに今椿は、
――そ言えばシュラインさん、入ってきませんね?
と、言おうとしたのだが…。
ぱくぱくと口を開閉するも、椿の声帯は震えない様子。
「…どうした椿?」
「――、――」
俄かに焦り、喋ろうとするが――やはり声が出ない。
「…声が、出ないんですか?」
確認するような樹の科白に、こくこく、と頻りに頷く椿。
と。
「ったく蓮さんたら…いったい何なんだか…」
はぁ、と嘆息しつつ、やっとシュラインが管理人室に戻ってきた。
そして、一個分空いた…中身は件のお騒がせの…菓子折り箱を前に、ぱくぱくと口を開閉させ何事か訴えようとしている椿――即ち、既にして一名出ている犠牲者の姿――しかも前回の初犠牲者と同じ人物…――にまたも嘆息した。
「早速…な訳。しかもまた時司くん…」
「どう言う事ぢゃ? シュライン」
「前にもネットカフェ――ゴーストネットの面子とアトラス編集部で、あったのよ…蓮さんからの『同じような物体』の持ち込みが…。で、いったい何なのかと連絡取って訊こうとしても、毎度連絡取れないの。…うう。今逃がしたのは悔やまれるわ」
…ニアミスするなんて好機を逃がすとは。
くっ、と心底悔しそうにシュライン。
「それはそれは」
ほんわかと微笑みつつ、平和そうにそれを聞いていたのは樹。
「『これ』は…一応『人参果』なのでしょうか? 声が出なくなるとは何やら効能が変ですが…ふむ。こんなところに面白…じゃない、ひょっとすると良い薬の材料になりそうですね? 宜しければ少し分けて頂けませんか? いえ、何なら全部でも」
にこにこ。
…科白から考えて…樹のその笑顔、むしろ、怖い。
■■■
そして樹は『仮称・人参果』を数個ひょいひょい、と取ると、「鶴の恩返し」の如く決してこちらを見ないで下さいね、と言い置き、嬉々としてあやかし荘、台所方面へ。
…曰く、台所の方が調合するのに良い道具があるから、だそうである。
決して、人様を実験台にこれらを食わせるつもりでは無い…筈だ。
ある意味恐怖を感じさせるそんな白衣の背中を見送ると、次にシュラインは突然電話を掛け始めた。
「…あの?」
「丁香紫(てぃんしぁんつー)さんに連絡入れろって言われてるの。新しいのが持ち込まれたら知らせてくれ、ってね。良くわからないけど、色々裏で動いてくれてるみたいなのよ」
「…改めて電話せんでも丁香紫ならここの『躑躅の間』に居るが。朝に…見掛けたぞ?」
…そして、今に至るまで…出て行った記憶が無いが。少なくとも玄関からは。
何?
嬉璃の科白を聞き、はた、と携帯電話の番号をプッシュする手を止めるシュライン。
そんな彼女の姿を、嬉璃はちら、と見上げた。
「…仙人の鬼(くい)丁香紫の事ぢゃろ? そんなけったいな名前、他にこの辺りでは聞かんが」
嬉璃の科白を聞くなり、シュラインは無言のままに携帯電話をぱたりと折って仕舞い込む。
そして開口一番。
「…『躑躅の間』って、何処?」
■■■
そしてシュラインが恵美の案内で丁香紫が居ると言う『躑躅の間』まで行こうとしたその時。
たっ
軽い音を立て、唐突に何処ぞから縁側の外に下り立った影がひとつ。
その影――ぼんっ、と突如爆発した煙の中から現れたのは…銀髪銀瞳の可愛らしい娘。
…どんな現れ方だ。
「よしっ! ビンゴ!」
言って、得意そうに、むんっ、と小さな胸を張る姿。
管理人室に居た面子は何事やらよくわからない。
だが…みあおの視線はばっちり件の菓子折り箱。
…曰く、空の散歩中に見知った感じがあったから降りてきた…らしい。
「また人参果だね! うん。人参果あるところ、みあおありっ!」
ばん、と大見得切ったみあおは縁側から、靴を脱ぐのももどかしく、た、と管理人室内に駆け込んで来る。
そして嬉璃の隣にちょこんと座り、件の菓子折り箱を興味津々で覗き込んだ。
「ねえねえ今度は何処の人種? アジアンはおいしくないからヤだな。北欧はおいしかったな。アフリカンかな? アメリカンかな? ま、いいや、食べてみようよ。ねえねえ」
「…嬢は何者ぢゃ」
「あ、自己紹介忘れてた。ここ来るの初めてだもんね? …海原(うなばら)みあおです。よく三下の御世話をしてま〜す。宜しくっ! 御友達になろーね?」
「ん? …そうか…三下の、か…それは世話になっているのであろうな…あの莫迦は…」
ん。と重々しく頷き、嬉璃は再び湯呑みを傾ける。
「おお、こちらの紹介が遅れたな。儂は嬉璃と言う。ここあやかし荘に憑いておる座敷わらしぢゃ。…ところでみあおとやら、初めてと言ったが…主はかなり前に一度だけ…丁香紫とここに来た事は無かったか?」
「…あったっけ?」
きょろんと首を傾げ、みあお。
「主のような白尽くめの元気な童も珍しいからの。気のせいか? …まぁどちらでも構わんが」
言って、ずず、と再び茶を啜る。
と。
「ねえねえ人参果って今言ったよね!? それって西遊記に出てくるアレだよね!?」
いつの間にそこに居たのか、みあおの隣にまたもちょこん、と座り込んでいたあまり見掛けぬ女子高生。
「『人参果』ってゆーと、確か『草還丹』ともあったよね? 地仙の祖・鎮元大仙が住まう万寿山福地・五荘観洞天にある霊木になる宝物でー、三千年に一度花が咲き、また三千年に一度実を結ぶ。更にまた三千年たってやっと熟して食べられるもので、それもたった三十しか実がならない。縁あってその匂いを嗅ぐ事が出来れば三百六十歳まで生きられ、一個でも食べる事が出来れば四万五千年長生きすると言う。で、思いっきり抵抗感抱いてしまう程赤ん坊そっくりの見た目で、すぐに硬くなって食べられなくなっちゃうらしい、と。それから、何故か五行を忌むんだよねー?」
…そして御丁寧にも解説を。
終えるなり、じろりと嬉璃の視線が刺さる。
「…主も、何者ぢゃ」
「あ、紹介が遅れたね。あたしは寡戒樹希(かかい・たつき)。十六歳で公立高校通ってるんだ。合気道部に所属してる。ちなみに西遊記大好きなんだよね♪」
「…はぁ」
それは良いが何故今ここに居る。
しかもいつの間に来客用湯呑みに急須からお茶を注いでのほほんと飲んでいる。場に馴染んでいる。
「面白そうだから来てみちゃった☆」
にこりと笑い、樹希はあっさり。
…面白そうだから、って…アナタは何処からいつの間に嗅ぎ付けた。
「うーん…取り敢えず、丁香紫さん、呼んできてもらって、良いかしら?」
少し考え、シュラインは結局、恵美に頼む。
…どうも、このまま目を離したら…何を仕出かすかわからないような面子が集まっている気がした、から。
■■■
そして、待っている時間を使い、シュラインは菓子折りの中身を観察し出す。
「今回は…色黒ね」
「…何してるの?」
きょとん、とした顔をして樹希がシュラインに問う。
「…前にも色々あったのよ。情報整理して次に備えようと思って」
樹希の科白にシュラインはこれまでの成り行きを話し出す。
ゴーストネットの面子と共にこの人参果の持ち込みに居合わせ、本物かどうか色々試していたのだが…その内何故か料理する羽目になり、適当な家庭料理を作っては見たものの、どう言う訳か無味無臭、調味料の味すらも見事に無いと言うオチになった時の話。ちなみにその時たまたま居合わせた仙人が実の樹の持ち主、鎮元大仙に確認にまで行ったが帰って来なかった、と言うおまけも付いている。
そして次、月刊アトラス編集部に同様の物体が持ち込まれ――但し、赤ん坊と一口に言っても見た目がやや違い別人種の赤ん坊のような形をしていた――その時、これまた具体的にこの代物が何だか知ってるような別の仙人が現れ――って、曰く、アトラスでライターやってる術師の師匠に当たる人物らしかったのだが――その伝手から先日確認に行って帰って来なかった方の仙人の消息が掴めたりした。更に、その仙人から「これは人参樹から挿し木で殖やした人参果の亜種で、五行も忌まないし効能は滅茶苦茶、しかもやたらめったら実が付き捲ると言う騒動の種必須の代物で、その上効能を調べる為に手当たり次第あちこちバラ撒かれている」と衝撃の事実を暴露されたりしていた。しかも「生は腐り易く、そうでなくとも生のまま食うと食べた人物を苗床に花が咲く」などと、面倒なお話までくっついて来た。…曰く、火を通せば食用も基本的には(あくまで基本的には)大丈夫らしい、と言う話でもあるが…それは既に人参果じゃないとも言えるような気がする…。
そして、今あやかし荘。
蓮とニアミスと言う好機を逃がしてしまうが…この『人参果』自体は件の仙人が言っていた亜種の方と考えて間違いなかろうと言う話。
見た目からすると…みあおの科白を借りれば――アフリカンであろうか。
「それに…今回、前と比べると少し小さ目かしら? …サイズも計らなきゃならないか…でも咄嗟に定規もメジャーも出て来ないし…そうね、比較対象として携帯電話でも一緒に写真に撮っておこうかしら? あ、そろそろ前に頼んだ成分調査の結果も出る頃よね」
言いながらシュラインは手帳をパラパラと開き、特定のページにさらさらさらと何やら書き出す。
「なーにそれ?」
小首を傾げ、みあお。
「ん、前に持ち込まれた『これ』の情報。形とか色とか、味とか調理時の感触とか、書き付けてるの。今回も付けておいた方が良いでしょ? また持ち込まれないとも限らないし」
シュラインはみあおに答えつつも、ぱっと見た時点でわかる過去のデータとの相違点を細かくチェック。
そして再び携帯電話を開き、何処ぞへ掛ける。
「――…ええ。で、どうだった? うん。…炭水化物に繊維質にアミノ酸にたんぱく質にナト…ってその辺普通ね? え? うん。…ひとつ良くわからないものが含まれてる? 分子構造からして変? …新発見?」
声を発するたび何やら語尾の上がるシュラインの科白。
やがて暫しの無言の後、何やら切羽詰まった問答が為され――通話が切られた。
「どうしたの?」
「…物が何か逆にしつこく聞かれちゃったわ。どうやら…地球上に有り得ない分子構造の『何か』が含まれてたらしいんだけど。まさか人参果なんて言えないしねえ。…相手、一般の人だし」
樹希の問いに、苦笑しつつシュライン。
「じゃーその『よくわからない成分』が、美味しくなるかならないかの決め手なのかなあ? …霊力に反応するとか?? うーん?」
無邪気に考え込むみあお。
「先程、料理した云々と言っておったが…?」
訝しそうに嬉璃が問う。
「そー! アトラスの時は美味しかったんだよ☆ その前は美味しく無かったけど」
「…食ったのか、嬢」
「うん☆」
「…本っ当に問題無いのか?」
口をぱくぱくさせながらひとりで慌て、暴れている椿を見つつ、疑わしげに呟く嬉璃。
「前回も前々回もみあおは大丈夫だったよ? …あ、折角だからみあおと皆と人参果で記念写真撮ろうよ☆ 使い捨てカメラと懐中電灯はいつでも持って歩いてるから写真は撮れるよ☆」
ねえねえねえ、と身を乗り出し皆に訴えるみあお。
と、シュラインがぽつりと。
「…じゃ、ちょうど良いからその前に、カメラ借りても良いかしら? 今後の資料用にこの人参果『だけ』を一枚撮らせて欲しいんだけど」
「ん? いーよ?」
みあおは快くシュラインにカメラを手渡す。そしてシュラインは比較対象用に横に携帯電話を置いて、レンズを向けるとシャッターをかしゃり。
「…ついでだからみあおちゃんの言う記念写真の方も私が撮るわ。並んで?」
■■■
そしてみあおに樹希、彼女に無理矢理連れ込まれた椿、嬉璃の四人&人参果に向け、シュラインが使い捨てカメラのシャッターをかしゃりと切ったその時。
性別不明の幼い姿を持つ仙人・丁香紫を連れ、恵美が管理人室に戻って来る。何故か歌姫もくっついて来ていた。曰く、途中で恵美と丁香紫に会い、何事か気になったので野次馬に来たらしい。
「…で、また人参果の持ち込みがあったんだって?」
「…ホントに居たのね丁香紫さん」
「あやかし荘にも一応部屋借りてるからね。この件に関してのこっち(人界)の本拠はここにしようと思って」
言いながら丁香紫は、はい、とシュラインに何の変哲も無い携帯電話らしい物体を当然のように渡す。
「?」
「この前言ってた仙界〜人界直通OKな電話。出来たから渡しとく。今後の為に」
こっち(人界)に居ない事も多いと思うから、連絡用にね。
「…って、私な訳?」
「エマ姐さんが一番頼りになりそうだから☆」
「………………そう」
何やら更に因縁が深くなったような気がするのは気のせいか。
「ところで早速被害者がひとり居るとか…ってあれ?」
ちゃぶ台に突っ伏して無言のまま号泣(?)している青年が一匹。
丁香紫にしてみると、その身から薄らと感じる『龍の気配』がかなり最近の記憶にある。
「………………アトラスの時と、同じコ?」
ちら、とシュラインを見、ぽつりと。
「………………そう」
シュラインの科白に、丁香紫は盛大に溜息を吐いた。
■■■
結局。
椿に対し、効果はそんな半永久的なものじゃないと思うからその内治るでしょ? と具体的な根拠も無いのにあっさり言いつつ、丁香紫も菓子折りの中身を覗き込む。
…ちなみにその時には椿の頭に咲いていた花は引っ込んでいたりする。何故だ。
「あー、これはまた見た事無い奴だな。てと、また…」
丁香紫はそこで科白を止め、ちら、と一同を見上げる。
きらきらきらと期待する眼差しが二対に、丁香紫に言われた事を下を向いて考え込んでいる顔、そして諦めたような眼差しが一対。
「…調理せよと?」
諦めたような眼差し――溜め息混じりに、語尾に重ねるシュライン。
と。
「よぉっし、みあおは食べるよっ! …こんな事もあろうかとちゃんと用意はしてきてるしっ!」
言って期待の眼差しその一――みあおが取り出したるはマイ箸とマイ涎掛け。
…つまりいつでも何処でも御食事できますと。
「うーん、あたしは食べるのはちょーっと勘弁だなー。見てるだけなら良いけど☆」
みあおの態度に苦笑しつつ、期待の眼差しその二――樹希。
と。
「…何か騒がしいですね? どうかなさいましたか?」
そんなこんなの騒ぎをしている時に、樹が台所から漸く戻ってきた。…出来上がった薬を持って――なのだろうが、取り敢えず普通に持っている様子は見えない。…怪しい。
「人参果でお料理するのっ!」
元気に言ってのけたのは、みあお。
樹は目を瞬かせた。
「…料理、ですか」
「…まぁ…何故かそう言う話になっとる訳ぢゃ。で、試食――そうだな、取り敢えず三下にでも試食させようと言う事らしい。何やら乗り気な嬢も居るが…大丈夫かの」
ふむ、と考えつつ、みあおを見ながら嬉璃が言う。
それを受け、シュラインが部屋の時計を見た。
「…あ、もうこんな時間。となると急いだ方が良いわね? アトラスで前に遭遇してる以上、三下くんには原型見せない方が良いと思うから。作ったものだけ見せて、食べさせましょ」
何?
「良くわかりませんが、何だか面白そうですね。私も喜んで御手伝いしましょう」
シュラインの科白を聞いた樹は意気揚揚と頷いた。
■■■
そして台所。
「今回は…切った時の触感は何だか前回とあんまり変わらないわね?」
「そうなんですか?」
「色は肌と同じか…やっぱり特に見た目は変わらない、と」
「で、火を通すんでしたよね?」
「ええ。最低条件らしいから」
「変な話ですねえ。文献だと、火に遇ったら焦げるんですよねえ」
「既に人参果と思わない方が無難かも」
■■■
暫し後。
何やら食欲を誘う匂いがあやかし荘内部に漂っていた。
「…何やっとんの樹にシュライン」
「何何ー? イイ匂いがしてるけど?」
そしていつの間にやらあやかし荘の住人・天王寺綾に柚葉が台所に現れ、野次馬。
「ちょっと実験を」
「…なに?」
樹の科白に俄かに引く綾。…この薬師の噂は聞いている。
「いえ、食材が変なだけで、御菓子自体はマトモですよ?」
「食材が変ー?」
無邪気に小首を傾げ問う柚葉。
それを見てシュラインは苦笑した。
「人参果の亜種なんだって。詳しい事は管理人室に行って丁香紫さんにでも聞いてくれる?」
一番詳しい筈だから。
言って、再び調理する手を動かし始める。
■不審の種はそこかしこ■
暫し後、夕暮れ時。
「管理人さーん、ただいま帰りました〜」
へろへろへろと情けない声を上げながら、三下が玄関に倒れ込むように入ってくる。
と。
「「おっかえりー、三下♪」」
管理人室から駆け出て来、玄関先でハモるみあおと柚葉の声。
「あ、この人が三下って人? おかえりなさぁ〜い☆」
その後を追う形で、誰にともなく確認しながら、樹希。
「おかえりなさい。三下くん?」
にっこり笑って、顔だけ出す樹。
「お疲れ様です。三下さん」
そのまた後ろから廊下に出てきた恵美は、いつも通りに三下を出迎える。
「待ちくたびれたで〜三下」
湯呑みを無造作に傾けながら、彼女もまた顔だけ出す、綾。
「――、――(訳・おかえりなさいっ! 三下さん☆)」
樹に綾同様に顔だけ出し、無言のまま何やら口パクで話し掛けて来る、椿。
そして彼女もまた同様(?)、無言で微笑んで迎えてくれた、歌姫。
やけに優しい皆の歓迎振りに、三下は俄かに嫌な予感に襲われた。
「あ、あの…どうか、したんですか…?」
「いや? どーも?」
ふるふると頭を振り、知らん顔をする一同。
と。
「あ、おかえりなさい、三下くん」
最後に管理人室から出てきたのは、シュライン。
「…シュラインさんまで」
「どうしたの? 上がったら?」
「…は、はあ…」
「あ、管理人室に寄ってね」
「…管理人室、ですか?」
「さっき御菓子作ったの。良かったら食べてって」
「御菓子、ですか?」
「うん。美味しーよ?」
にこっ、と微笑み三下に言う柚葉。
「ほら、前のお詫びも兼ねて、ってのは駄目かしら? 助けてあげられなかったでしょ?」
「ああ、あの…人参果の件ですか…」
「御腹の具合とか頭とか…大丈夫だった?」
「…ええまあ、花もいつの間にか消えましたし…御腹も、なんとか…」
言いながら一同に続き、管理人室へ。
すると。
ちゃぶ台の上にところ狭しと広げられていたのは、『ケーキ』やら『パイ』、『クッキー』の類。
そしてみあおがひとつクッキー?を取り、無造作に齧り付いた。
「シュラインと樹の御手製だから本当に美味しーよ?」
とは言え。
みあおと柚葉以外は何故か手を出していない――様子。
しかも何処かで見たよな空の菓子折り箱が――ゴミ箱に放り込んである気が。
更に、食べ掛けらしい無難な、出来合いの茶菓子が脇に寄せて別にある。
…幾度となく磨かれてきた(が、最終的には役に立たない)三下の勘が、何か変だぞと警告を始める。
「なーにぼーっと立ってんだよ! 食べなって。ね☆」
三下の手を取りつつ、樹希。
ひとことも発さぬまま、三下の背をぽん、と叩き、にこっ、と笑う椿。
具体的な理由は無いが何となく立ち竦む三下を、ふたりでちゃぶ台前に座らせる。
と。
正にその時。
――椿の頭にまた花が咲いた。
沈黙。
…反射的に三下は無言で携帯電話を引っ張り出し、ぴぽぱぽぴ。
数回コールの後、相手方が出た。
「あ、あの…綾和泉(あやいずみ)さんですか。三下です。すみません…えと、あの、今日ですね、帰ってきたら…また時司くんの頭に花が咲いてて、ついでに何処かで見たような箱があって、何だか皆、何か隠してるんですよおおおおおお!!!! 助けて下さい来て下さいいいい!!!!」
泣きながら携帯電話の送話口に叫ぶ。
…案外聡い三下。
電話で綾和泉と呼んだ相手――綾和泉汐耶(せきや)に泣き付く姿を見、その場に居た皆は内心舌打ちする。
(…わかった。わかりましたから少し音量下げて喋って下さい。耳が痛いです)
通話相手から返る言葉は酷く嫌そう。
それも当然か。汐耶は無事にお仕事――曰く付きの本の封印――が終わったから、さぁこれからぱーっと飲みにでも行こう、と思ったところだったのだから。…やはり切れぬ因縁。人参果――そして因縁を力技で繋げて下さった三下、恐るべし。
…汐耶を呼ぶ事で後でどう恨まれるやら、その辺りは当方、一切関知致しません。
■■■
三下がそんな電話を掛けていた頃。
「…ちわっす。誰か居ませんかー?」
玄関から声がした。来客。
はーい、とまた恵美が玄関に掛けて行く。
その姿を認め、来客――陵彬(みささぎ・あきら)は、ほっ、と安心したような顔を見せる。
「あ、あんた…ここの管理人さんだよね」
「はい。えーと、何でしょう?」
「三下、居る? アトラスの編集長命令で来たんだけど。何かちょっと忘れてた事があるから、ってな。…俺の名前は陵彬。取り次いでもらえるかな?」
「三下さんですか?」
「そう」
「…」
「…どうした?」
「今…ちょっと」
「居ない訳?」
「いえ、居ますけど…」
「何か問題が?」
「え、ええ…まあ…」
…あやかし荘管理人因幡恵美、俄かに挙動不審。
「んじゃ勝手に上がらせてもらうから。勝手に捜すけど構わないね?」
「いえ、あの…捜すまでも無く三下さんは…」
と、恵美が言い掛けるなり。
管理人室から三下の物と思しき「いーやーでーすー!!!」と叫ぶ悲痛な声が響き渡った…。
■■■
そして管理人室に来た彬は。
やはり何処かで見たよな菓子折り箱に、何やら少なくとも見た目だけは美味しそうな、どなたか御手製の菓子類が並べられているのに釘付けになっていた。
…みあおと柚葉以外の面子が見事に手を付けていないのがまた、変である。…しかも…食べ掛けらしい無難な、出来合いの茶菓子が脇に寄せて別にある。
何やら…過去に出会った『何か』――例えば…人参果とか人参果とか人参果とか――を彷彿とさせるのは気のせいだろうか。
更に『またも』椿の頭に花が咲いている。
嫌な予感に捕らわれた彬はくるりと踵を返そうとするが、その時――背後から三下に縋られた。
「お願いですぅっ待って下さい陵くぅぅうんっ!!!」
…逃亡不可ですか。そうですか。
■…どさくさに紛れ実験場と化すあやかし荘管理人室■
と、彬が観念してその場に座り込み、で? と、ちょっぴり喧嘩腰に三下に話を訊く。
曰く、広げられている料理は恐らくまたも人参果料理では、との話。
…そして、皆の態度がどう見ても何か隠しているように見えるらしい。
これだけ人が居るのに、味方、ゼロ。
…だからこれ幸いとばかりに彬を引き摺り込みたかったらしい。
「嫌だ。今回は嫌だ。絶対嫌だ」
不幸のお裾分けなんぞするな、三下…。
思いながら彬は考える。
…最低でも…前回以上の貧乏籤は引きたくない。
畜生。今回は…今回だけは意地だ!
と、思ったところで。
管理人室のドアが開かれた。
そこに居たのはパンツルックの似合う、ショートカットの黒髪に銀縁眼鏡を掛けた理知的な印象を与える女性。
「…助けて下さい、ってどうして私を選んだのか訊いても良いかしら? 三下さん?」
にこっ、と微笑んだ彼女――綾和泉汐耶は、三下だけをじっと見る。
…その瞳、笑っていない。
「だ、だって、この件、知ってて、頼れそうなのって…綾和泉さんくらいしか…!」
「それはそれはどうも有難う御座います」
素っ気無く言うと、三下の横に、そ、と座り込む。
「じゃあ、どうぞお食べ下さい」
「…え?」
「そこの手製の御菓子類、どうせ人参果なんでしょう。…ああ、陵くんもまた遭ったのね、時司くんもまた暴走した、と。みあおちゃんはやっぱり食べてるし…。シュラインさん…が、これ、作ったんでしょうか?」
前回にも遭遇した面子を認めつつ、汐耶は淡々と三下用と思しき受け皿を取り、ケーキやらパイやらをごっそりと取り分け、その上に積む。
そして。
「どうぞ、御存分に」
にっこり。
「え? えええええええっ!?」
「てゆーか汐耶っ、三下にあげるの勿体無いっ。みあおが食べるー!!!」
「なんだよー。何でそんなに嫌がるんだよ三下? 美味しいよー?」
「…ほら、折角ですから。みあおちゃんにこちらのお嬢さんもこう言っている事ですし。美味しいんだそうですよ?」
重ね、汐耶は三下に強引に皿を勧める。
「あ、あの、でもですね。綾和泉さん…ちょっと待って下さぁああああぃぃ!!!!」
…怒らせたら怖い相手をわざわざ怒らせてしまったと、何故気付かない三下忠雄。
■■■
そして三下が汐耶の手によって山のように乗せられた皿の上を渋々ながらも片付けた頃。
今度は柚葉が、がしっ、と三下の頭に取り付いていた。
「もっと食べよーよー☆ ほら、そんな顔しないでさ? あ、恵美も歌姫も食べよ? 美味しいって。ホントに」
と、そんな柚葉の押しに負け、結局――恐る恐るながらも恵美と歌姫も人参果料理に手を出している。
ちなみに、その他の面子は――脇に退けられていた出来合いの茶菓子の方に手を出しつつ、人参果料理を食べている面子をのほほんと見物している。
もひとつちなみに、樹はそちらの茶菓子にすらも手を付けていない。シュラインはと言うと、何やら疲れた様子で、茶にすら口を付けていない。
そして、さて頂こうか――と出来合いの茶菓子の方に手を伸ばし掛けた汐耶は、何かに気付いたように、はたと停止した。
「ねえ、まさかとは思うんだけど…こっちにも何か…入ってたりは、しないわよね?」
実際手に取るより前に、ぽつりと。
だがその発言に、またも時間が停止した。
そちらは警戒せずに食べていた人物が…彬に樹希、嬉璃に…綾。
人参果デザートを嬉々として食べまくっているみあおと柚葉、相変わらずにこにこにこと微笑む樹だけは普段通り。
予め貧乏籤を引いていた――即ち、嫌々ながらも人参果料理を律儀に食べている――恵美と三下、歌姫に至っては、あまり人の事まで気に留めては居られないよう。…とは言え、この調理された人参果は…ひとまず毒ではなさそうだ。一応無難な味はするよう。延いては…一番の貧乏籤ではなかったようである。
何故なら――。
何の問題も無い筈の、脇に寄せていた、出来合いの茶菓子を食べていた皆様の方が――様子が何かおかしい。
「?」
「ん? ちょっと待って!?」
「…え? 嘘」
「何慌て取るんや? …ってっ!?」
「む…何ぢゃこれはあぁあっ!?」
…声を聞く限り特に問題は無い。
ただ、慌てているだけ。
だが。
姿を見たら――変だった。…否、良く考えれば声だけ聞いている時点で、口調も充分変だった。
――語尾に『ぢゃ』も付かず、妙にクールに話す嬉璃の声。
――本来関西弁を巧みに操る筈の綾の声が、標準語バリバリの元気な口調で響いている。
――元気者な女子高生――樹希の声なのに、何故か語尾に『ぢゃ』が付いて…。
――普段クールな彬の声が、堂に入った関西弁で響いていた…。
…つまり。
――彬の口から、嬉璃の声がしている。
――樹希の口から、綾の声がしている。
――嬉璃の口から、樹希の声がしている。
――そして綾の口から――彬の声が発されていた。
慌てる四人を面白そうに観察し、よし、と内心でガッツポーズをする樹。
そこに、ぎ、と睨みつつ、樹の胸倉を掴み上げた――否、掴み上げる前に当然のように、するっとその身を躱され樹希は前につんのめる。
何とか立ち直った樹希は恨みがましげに、上目遣いに樹を睨んだ。…あまり声を発したく無いらしい。
その視線は――何かしやがっただろこの野郎、と樹を責めている。
…聡い。
樹希のその視線に気付き、彬、嬉璃、綾がこれまた無言のまま白衣の薬師に詰め寄る。
…怖い。
と、周囲は思ったが、詰め寄られた当人は涼しい顔。
くすくす、とひとり楽しそうに微笑みながら、樹はまあまあ、と皆を宥める。
…これは確実に心当たりがありやがる。
「ま、大丈夫ですよ。さっきそちらのお茶菓子に入れさせてもらいました薬、効果はそれ程長く続かない筈ですから。実験台にした人にはそれなりの御礼をしますし。そうですね、おやつだか…夕食を作って差し上げますよ。今度は普通の、ね」
ずず、と警戒の為に自分で流しで濯いで来た湯呑みに自分の手で煎れて注いだ煎茶を啜りつつ、汐耶とシュライン、丁香紫の三人はそんな彼らの様子を傍から眺めている。
そしてぽつりと。
「結局…今回の効能は」
「取り敢えず…生だと声が出なくなって…って、前回と違ってお腹の具合は大丈夫そうだけど」
「でもひょっとすると…一度食べたから耐性が付いてるって事は…ほら、頭の花も時々咲いてる事ですし」
前の効果が残ってる可能性も否定出来ない。
「…丁香紫さん、治したって前…言ってなかったっけ?」
「人参果の亜種が原因の腹痛に、昏倒してた時司くん――これは単に気付けしてやっただけだけど――の方は取り敢えず治したけど…不調の直接の原因じゃない方は放っといたんだよね…。つまりあの花自体は特に毒じゃない訳なのね…。ひょっとするとそのうち三下くんの頭の方のもまた咲くかも」
「…」
「ま、火を通すと…問題無く普通に食べられるってのは、前回言ってたその通りみたいだけど。やっぱり五行が何にも関係無いのね…既に人参果じゃないわ…」
「そして…どう調合したのか知らないけど…久遠さんの薬の場合だと…声が他人と入れ替わる、訳ですか」
「ボクとしてはそっちが気になるね。いったい何をしたのやら」
ふぅ、と溜息を吐きつつ、丁香紫は湯呑みを置く。
一方。
料理試食組は。
…通夜の如き沈鬱な雰囲気のまま――それでも黙々と律儀に食べていた。
みあお&柚葉&椿以外。
みあおと柚葉は初めっから、心底楽しそうに食べている。料理人の腕か、一応、味が良い事は良い。椿の方は…何やらこっちの手製の菓子類は大丈夫だ、と見るなりもぐもぐもぐと大騒ぎ。声が出ない代わりに三下にしなだれ掛かり「はい、あ〜んして♪」と言わんばかりに人参果のジャム掛けクッキーを三下の口許に差し出して新妻っぽく迫ったりと好き放題だ。
…試食組の他の面子としては、ある意味、そう思い切れる性格が羨ましい。
「ねえねえねえ。タッパーとか何か入れ物ある? あるんだったらお持ち帰りする! みあおのお姉さんたちにもあげたい!」
こんな事まで言い出すみあお。
「…それは…タッパーは、ありますけど…」
恵美は俄かに口篭もる。
…いやそんな、海原さんのお宅にまで…進んで被害を広げなくてもと思うのは…おかしいのだろうか?
【続】
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■ 登場人物(この物語に登場した人物の一覧) ■
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■整理番号■PC名(よみがな)■
性別/年齢/職業
■1415■海原・みあお(うなばら・みあお)■
女/13歳/小学生
■1576■久遠・樹(くおん・いつき)■
男/22歳/薬師
■1449■綾和泉・汐耶(あやいずみ・せきや)■
女/23歳/司書
■1712■陵・彬(みささぎ・あきら)■
男/19歳/大学生
■1692■寡戒・樹希(かかい・たつき)■
女/16歳/高校生
■0086■シュライン・エマ(しゅらいん・えま)■
女/26歳/翻訳家&幽霊作家+時々草間興信所でバイト
■0314■時司・椿(ときつかさ・つばき)■
男/21歳/大学生
※表記は発注の順番になってます
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※オフィシャルメイン以外のNPC紹介
■実はあやかし荘にも部屋を借りていたりした仙人■鬼・丁香紫(くい・てぃんしぁんつー)■
無/664歳/ネットカフェ(ゴーストネット)に良く居る変な仙人
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■ ライター通信 ■
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さてさて。
深海残月です。
久遠樹様、寡戒樹希様、初めまして。このたびは御参加有難う御座いました。
陵彬様、時司椿様、「アトラス編」から引き続いての御参加、有難う御座いました。
海原みあお様、綾和泉汐耶様、シュライン・エマ様には「ゴーストネット編」からの継続御参加有難う御座いました。そして、本当にいつもお世話になっております(礼)
そろそろこのネタを引っ張るのは飽きられるかとも思いつつ…。
それでも様々な方が巻き込まれて下さるので有難い限りです(笑)
今回はいつも通り遅いどころか何やら危ない橋を渡る事にもなり(おい?)
…お待たせしまくりました(土下座)
更に無闇に長引いてます。ああPCゲームノベルまでついに…私と言う奴わ…(嘆)
…と言う訳で個別のライター通信はこのところの調査依頼同様、省略の方向でお願いします(汗)
えー、何はともあれ各調査機関&あやかし荘+解決編の「味見と言うより毒見」シリーズ、第三段「あやかし荘編」をお届けします。
第三段と言っても第一段、第二段の方と時系列が直接続いている訳では無いので、今回初めて御参加下さった方も問題は無い仕様になっております(その筈…です)
今回は(も)全面的に皆様共通の文章になってます。個別部分がありません。
終わり方が『続』なのがその理由(?)です。
…内容としては見事に何の解決もしていません。
基本的には相変わらず騒いだだけです(え)
『他の調査機関でも解決はしません』。…今回に続いて他の調査機関――ってもう「草間興信所」しか残ってないですが――に参加なさって下さった場合、むしろ謎が増える可能性があります(笑)
『解決する』のはあくまで『解決編』でです。
ちなみに最短を考えるなら、今回+解決編だけで問題ありません。
解決編以外は今回のひとつだけでも、引き続いての方は第一段や第二段+今回のふたつorみっつだけでも、更に残りひとつでも、お好きなだけの数、ご参加下さいませ。
…参加者様のプレイングにより増える謎の質はころころ変わります(だからライターの主体性は何処に)
ちなみに次回、第四段は…テラさんのお盆休み前にシナリオ申請しそびれまして(汗)
なのでその前にアトラス調査依頼(標的は三下)を開けてしまいました。
…と言う訳で少し遅れますが、これの後にPCゲームノベル(続編)は募りたいと思います。
タイトルは「味見と言うより毒見 in 草間興信所」で。
つまり舞台は真打(何?)草間興信所に移ります――って続けて御参加下さっている方には窓口にあるオープニングがどんな内容だかやっぱり読まれてしまうと思われます(笑)
ちなみに人参果は人参果でもやっぱり『今回の物と同じ人参果』とは限りませんので御了承下さい。
ライターが遅筆なのでノロノロ運転ですが、気に入って頂けましたなら、どうぞ宜しくお願い致します。
また、『前振り編』としては、草間興信所が取り敢えずラストになります。
それが終われば、後は解決させるだけ…と言う事で…解決するのかな…(遠)
ではまた、御縁がありましたら。
深海残月 拝
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