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<PCシチュエーションノベル(ツイン)>


project A

 最近東京各地にて、少年少女を誘拐する謎の集団が暗躍している。
 ―――なのにヨハネ・ミケーレは、月もない夜の外に今
 本来なら忌むべ犯行だが、彼等はさらった子供を朝になれば返していた。身代金どころか飴玉一つも求めない、それが『謎』の集団たる所以。
 ―――福音にすら匹敵する、黄金のシンフォニーを刻んだレコード
 そして謎で有り続ける理由は、子供達が何も覚えていない事である。さらったのは大勢であったとだけで、それからの事、つまり、何をされたかはすっぽり抜けていた。
 ―――東京中を駆けずり回り、それは僕の手の中で
 被害者は記憶の操作をされたと見て、催眠術によって頭の奥に眠ってる真相を掘り出そうとも試みたのだが、失敗に終わる。余程強固に封じられたのか、あるいは本当に何も見ていないのか。謎は現在進行形、
 ―――月もない夜の外だけど、とてもヨハネ・ミケーレは
 だが闇に光が差す時が、
 ―――心身共に高らかに、家路に
 月が雲の影から顔を出した時、
 ―――急ぐ途中
 暗い路地の彼方に、
 まさにその光景が表れる―――
「何をしてるんですかっ!?」
 ヨハネは叫ぶ、子供が黒い集団に拉致されている事実に。まさか、あれが昼間聞いた、
 助けを求める声がした、女の子だ、それがこちらに手を伸ばしている、選択議は一つ。すぐに駆け寄りその子供の手を掴み、奴らの腕から引き寄せて、
「大丈夫ですか、逃げ」
 途端、ヨハネの身体が崩れた。「……へ………え」
 今し方まで出ていた、金の鱗粉を頭上に降らせるシンバルが如き声色は、調子っぱずれのフルートのように抜けていた。その例えは、彼の意識にも当てはまる。朦朧として霞んでいく景色、女の子は、笑っている。
 女の子の右手にはヨハネの口を塞いだハンカチ、そして彼女をさらおうとしていた男と、握り拳を合わせた。
(はめられ……た?)
 気付いた瞬間、自分が危機に陥ってる事も解り、ヨハネ、
 最後の意識を振り絞り、悟られないようポケットに手を伸ばした。


◇◆◇


 少年は幸運だった、まず第一にその動作が、彼等が極上の獲物を得た歓喜に酔いしれていた事で悟られなかった事、第二にポケットの中味、携帯電話がマナーモードで音を発さずに済んだ事、
 そしてなによりの幸運が、着信履歴呼び出しボタンと、発信ボタンの二動作で助けを求められる相手、つまり、昼間話した相手、彼に敵の情報を教えた人物、
 ―――お前なら狙われかねんと思ってな
「案の定、という訳か」
 すぐに途切れた着信音でヨハネの事態を察せられる男、
 鳴神時雨であった事だ。
 行動は早い、牛丼屋のカウンターで食していた特盛りを急ぎ片づけて、何も言わず店を出て、とめてあるバイクに腰を乗せる。
 敵の根城はすでに解っている、
「行くぞ」
 その言葉で、バイクが呻りをあげた。
 人気のない道を疾走してヨハネが待つ場所へたどり着いたのは―――

 ―――鳴神時雨非公認ソング

【野良改造人間ヴォイド】

 キャスト
 改造人間ヴォイド/鳴神時雨
 囚われの少年/ヨハネ・ミケーレ
 敵/少年少女誘拐団
 エキストラ/都民

♪ 野良改造人間ヴォイド!悲しみの大地を
その手で その目で その心で 駆けろ ♪

 原作/草間探偵事務所(時雨に仕事持ってきた

♪ 野良改造人間ヴォイド!鮮血の海から
    力で 技で その心で ―――掴め ♪

 という歌が出だしの部分で終わってしまうくらい早かった。東京ドーム何個分って単位よりは解りやすいと思う。多分。


◇◆◇


 時刻は夜十一時、湖がある方のS県では外に誰もいなくなる頃合いであるが、日本の首都東京はまだ眠らず、寧ろ、今から目覚め始める地域もある。鳴神時雨が訪れたのはまさにそこであった。ギラギラネオンを肌にうつして闊歩する者達の波をかき分け、時雨はビルの一つに足を止め、地下へと通じる階段を下りていった。そしてそこには扉があり、黒服が立ちふさがる。
「すいませ」ドスッ!「んがっ!」
 続くセリフごと彼の意識を首筋への手刀で断ち切った。そして心構えを必要にせず流れる水が如く扉を開け放つ、出迎えたのは、、
 数人の黒服と、
 ドゥッ!
 その人数分の銃弾、襲い来る凶弾の雨に改造人間、片手を突き出し、
 目の前で止めてみせた。≪重力制御≫
 その防御方法は、え、これって黒いコートを着た主人公がゲージ消費必殺技を乱発する例の映画ッ!?とか思わせるには十分だった。その暇に床を一つ蹴って、通りすがると同時に相手をのして、そして変身も完了する。
 敵の情報を知っていたから。手練れが居る、ここからは生身で渡る川では無い。アルミ製の大業なドア。二つの取っ手を掴む事無く、時雨、蹴り破って中にころがりこむ――
 仮面の顔にすら、戸惑いが浮かぶ光景。
 そこはディスコ、ノリのいい音楽に合わせて原色のスポットライトが縦横無尽に辺りを巡り、ファンキーでモンキーな世界を作る。そしてこの場所の住人は、予想しないゲストに視線を集中した。
 だが鳴神時雨が戸惑ったのは、それらでは無い。視線はただ一点を注ぐ。
 きらびやかなステージの頂点で、ヨハネ・ミケーレが踊っていた。

 アフロで。

 ヨハネ君の髪型は、それは見事なアフロだった、アフロ大臣より人間国宝亜風呂進(四十二才独身)の手による世界に一つだけのアフロを褒美に授かるくらい素敵に無敵にアフロであった。そんなアフロのヨハネ君は、人差し指を高らかにあげて、クイックイッと踊っている。滅多に冷や汗をかかない男が、余りの異常に固まったが、
「き、貴様誰だぁっ!?」
 そう叫んで襲いかかってこられ、避けた勢いをその侭攻撃に転化し、鳩尾に前蹴りを叩き込む。苦しみを腹に抱え崩れる者は、やはりアフロであった。寧ろ見渡せばこのフロアに立つ者は、時雨以外皆アフロ、そしてギンギラスーツを身につけて、ただでさえアフロによって増している身長を、更に引き延ばすロングブーツ。そして彼等の手、一様に携帯が、ステージ上のアフロだよヨハネ君に構えられて。
「………携帯のカメラか?」
 時雨が呟いた途端、うずくまっていた者も含めアフロ達はその場から飛んだ、時雨が入ってきた扉の逆へと、つまりは逃避。本来ならすぐさま追いかける所だが、円形の舞台をムーンウォークで回る少年をほっていってはいけない。時雨、軽く跳ねてヨハネの側へ。
 目が虚ろである。なるほど、
「これが、」アフロを、「原因か」
 外す。
 その瞬間ヨハネのソウルフルな動きが静止した。
 手の中のもじゃもじゃをつぶさにみる。パプアジャングル(縮れ毛の密林)をかき分けると、手塚漫画で登場しそうな機械が内蔵されていた。洗脳、返された子供に記憶が無かったのも納得いける。
「あ、あの、時雨さん」
 時雨が思考してる内に、彼は意識を取り戻すが、
 助けにきてくれた恩人への感謝よりも、事態がどうなったかという疑問よりも、
 ヨハネが先に言葉にしたのは、
「なんで僕こんな格好」
「記憶が無い事は、あながち不幸では無いかもしれんな」
 答えになってなようで実はなってる答えにヨハネが首をかしげた刹那、
 ステージを逃走者を追跡するバイクが飛び越える、時雨はヨハネを抱えて愛機にまたがった。「ってちょっと待って僕こんな格好の侭ですかっ!?てか服は、服、ああそれよりもレコードっ!?時雨さん待ってあれまだ日本に五百枚しか」
 時雨を助けに出せた事で運を使い果たしたのか、現在ヨハネ君の草間探偵と愉快な仲間達中不幸ランキング七位くらい。(一位はあの人


◇◆◇


「どうするのよっ!私達のトレビアンプロジェクトが頓挫しちゃうじゃないっ」
「仏語と英語を混ぜて使うなっ!フランスの方は自国の言語に誇りを持ってるんだぜッ!」「馬鹿野郎トレビアンは外来語だっ!ンが無かったら無駄知識の」「そりゃトリビ」「おいおい話それてる軌道修正ッ!」
 よっこいしょ。(『その話はおいといて』を巻き戻しにしたような動作×5
「そうだ問題は俺たちの日本アフロ化計画が仮面ライダーの所為で危機一髪な事」
「真珠の如く美しい少年少女達をさらい、アフロをかぶせプロマイドを作成し」
「来る日それを電子の海に解き放ち!人々にアフロの素晴らしさを伝えッ!アmuラーならぬアフラーを増殖させる計画がぁぁっ!!」
 ―――うまくいく訳ないだろ
「誰今のセリフ」「頭の上から聞こえたから天の声」
 な訳無い声の主の正体は、彼等の輪の中心へと、

 トラックの天井を破り降り立つ改造人間

 コンテナの強度を≪ブレイカー≫高周波振動を利用した破砕拳により突き破り、まさに神が如く降臨する、だがアフロ達は屈しない。アフロの女が運転手へ目配せした、途端、
 彼等が居るコンテナが揺れる、そして夜空が覗く部屋は次の瞬間には、ドゴォウッ!
「ッ!」
 音により、内にいながらも外が解る、今したのは噴出音、まさか、
 かくして時雨の予想通り、
 コンテナはジェットで飛んでいた。頭上に広がる星の輝きよりも、足下に落ちる金の煌めきを求める者達で溢れる東京砂漠では、見られる事無く何処かへと。というか、この少年の場合見たくても見れなかったりする、なにせ目前の景色さえ、瞳閉じて見えません、が、
「いやぁぁぁぁっぁっぁ!」
 ヨハネ・ミケーレは、叫んでた。
 主が降りた事により、自動操縦となったバイクに必死でしがみついて。高速道路現在時速300キロ。ギンギラスーツが風で歪んだ。ヨハネ君、不幸ランキング四位に浮上。(一位はあの人

 ―――そしてその頃コンテナ内では

 狭いスペースを舞台にして、時雨VS五人のアフロ。だが戦闘は拮抗している。このアフロの集団、手練れ。
(それにここでは)
 カップ焼きそばが出来る時間が経過した時、
(力を出しにくい)
 時雨の願いは叶えられる。衝突音が噴火ように呻り、長方形の壁が凍ったバラのように砕け飛ぶ、重力制御で肉体を浮かし、身を守った時雨の前に広がる、
 人の居ない採掘場―――正義の味方にゃお馴染みでしょ
 その声に、振り向けば、
「唸れ魂ッ!ファンキーにGO!」
 横一列に並ぶ五人のアフロッ!
「アフロレッドッ!」「アフロブルゥ!」「アフロレモン味!」「アフロDEオフロ!」「アフロコットン100%!」
 ―――五人揃って
「「「「「ダンス戦隊アフロン」」」」」どげしっ!「レ、レッドォぉぉォッ!?」
 鳴神時雨、セリフ言い切る前にものごっつ痛いげんこつ。「あ、あんた何すんのよっ!ライダーだったらヒーローの登場シーンを待つのはあぁん」
 お約束を華麗に破り、仕事を忠実にこなす時雨、パンチだキックだキャメルクラッチだ。んでもって最後の相手も、
「ぎゃーギブギブッ!落ちちゃう落ちちゃう!げふっ」
 コットンを軽く締め落として、時雨は、溜息をついた。
「………ばかばかしい奴らだ」
 心底からの感想を言う、やってる事も少年にアフロ被せて写真撮影って、まぁ、
「親が眠れぬ夜を過ごしたのは事実、だしな。……それに」
 こんな七十五日経っても消えない人生の汚点を作り出されては、と、アフロ達から携帯を奪い、アフロを被った少年少女が、虚ろな目でダンシングしてる画像の消去に取りかかる。三台目の携帯を手にした時に、やっと気付く、
 そういえばこの画像パソコン等で保存してたら駄目じゃんという事でなく、(後日彼等は資金の全てをアフロに使っていた為、そんな未来の国の道具は無かった事が判明)自分に助けを求めてくれた事で、依頼の解決に一役かった少年が、


◇◆◇


 未だ爆走中である事。「ひゃああぁぁぁぁああっっぁっ!」
 ヨハネ・ミケーレは絶叫していた。涙混じりの瞳が映すのは、余りの速さに溶ける景色、
「も、もう、止め、助けてぇぇぇっぇぇっ!!」
 心の底から願うヨハネ君だが、彼が背後を見れたなら、その考えも改まっているかもしれない。自動操縦にて疾走するバイクを、
 荷物を運ばないトラックが追跡している―――
 といっても確認するなど無理な話、結果ギンギラスーツヨハネオンザバイクは、風と一つになっていた。本人の心は除く。
 それでも必死にしがみつく、が、ついに腕力が悲鳴をあげて、「ぬ、主よ……」救いの言葉を呟いた瞬間、
 バイクが停止する。それは彼が望んだ事、だが、
「え?」笑えるはず等ない、急ブレーキをかけた単車から、
 ヨハネ君、空に。「ええぇぇぇぇぇっ!?」
 月が近くなった身体、だがニュートンの法則はしっかりと働き、彼を死という名の地面へ引きずり込むっ!最早叫ぶ暇もなく、為す術のない運命と重なろうとする刹那ッ、
 トラックがヨハネの下を過ぎ、「え」バイクが急ブレーキをかけた原因へ、
 壁へと―――
 ドカァァァッァァァッァオォォウッ!
 そして見事にトラックは、大・爆・発!巻き上がる炎により生まれた風に、ヨハネは新たに飛ばされて、そして、
 ガサガサァっと、葉をたっぷりと抱える樹木に受け止められた。
 目を回す、ヨハネ、ひたすら、疲れた。
「し、」本当、「死ぬかと………」
 その時、
 自分が乗っている木の上から、湖が、
 水面で揺れる月に酔いしれずに、少年は釘付けになる、
 神に仕えるヨハネ君―――

 爆発で、アフロ。

 そんな姿を時雨や愉快な仲間達どころか師匠にまでも見られちまって不幸ランキング暫定二位である。(一位の方に挑戦したが『取材で幽霊の出る民家に言ったらタンスの角に足をぶつけその衝撃で上にかざってあったこけしが落下し頭にヒット痛みで片足で跳ね上がってたらそのまま台所にいきキッチンにぶつかり今度は包丁がそれを間一髪かわすも刃がガス線のホースを切りそのタイミングで取材対象のラッコの幽霊が貝の代わりに火打ち石をたたき合わせドッカンで爆発でアフロ』な為例の方が防衛