＜東京怪談ウェブゲーム　界鏡線・冬美原＞ ミス鈴浦海岸コンテスト・２００３！ ●オープニング【０】 　今年もまた、冬美原に８月１日がやってきた。 　梅雨も過ぎ、雲１つない青空が広がる鈴浦海岸。その砂浜に作られた特設ステージに、去年と同じ２人が立っていた。 「皆さん、１年間お待たせいたしました」 「夏恒例！　ミスッ、鈴浦海岸コンテストォォォォォッ！！」 　司会の鏡巴の言葉に続き、アロハシャツに半ズボン姿という格好のアサギテレビアナウンサー・唐沢敦がマイクを両手で握り絶叫した。入社４年目、そろそろ落ち着いてきてもよさそうなのに、相変わらず無駄に元気な男である。 「色々と暗いニュースの多い昨今ではありますがっ、このミスコンで一時でも楽しんでいただければとっ、わたくしっ、燃える局アナ・唐沢敦は思う訳でございますーっ！！」 　楽しむうんぬん以前に、唐沢の絶叫がこの場をより暑苦しくしていることに本人は気付いているのだろうか？　閑話休題。 「ただ今、２時間後に開始されるコンテストの参加者を受け付けております。まだ間に合いますので、奮ってご参加ください」 　巴がそう説明すると、唐沢がすかさず口を挟んだ。 「参加条件は２つ！　まず水着姿になれることっ！　そして一芸・パフォーマンスを披露出来ること！　優勝すれば、豪華賞品があなたの物です！」 　テレビカメラに向かってびしっと指を差す唐沢。ふむ、去年と条件は変わってないようだ。ところが、巴がこう付け加えた。 「なお、今年は西瓜の大食いも審査対象に入っています。３分間にどれだけ食べられるか、これがそのままポイントとなりますから一芸に自信がない方にも優勝のチャンスがありますよ☆」 　お……大食いですと？　これはまた奇妙な展開になったもので。 　さて、今年の優勝者はいったい誰？ ●興味ある物【１Ｊ】 「うーっ、気持ちいいーっ☆　やっぱ夏はこうでなくっちゃっ！」 　海から上がり、焼けた砂浜を一目散に駆けてくる茶色系セパレートの水着に身を包んだ黒髪の少女。その表情は一泳ぎして、とても楽しそうであった。 「お帰りー。はい、バスタオル……えいっ！」 「サンキュッ☆」 　ひょいと投げられたバスタオルを少女――寡戒樹希は大きく動くこともなく片手でキャッチしてみせた。 　今日の樹希は友人たち数人と一緒に、この鈴浦海岸に海水浴へ来ていたのだった。友人たちから拍手が起こった。 「さっすが合気道部！　上手いものね」 「関係あんの？」 「……あるんじゃない？」 　友人たちがぼそぼそとそんな会話を交わしているが、それはさておき。ビニールシートの上に座って濡れた身体を拭いていた樹希は、ふと特設ステージの存在に気が付いた。 「ね、あれ何？」 　ステージを指差し、友人たちに尋ねる樹希。 「あれ？　何かミスコンやるみたい」 「さっきから参加者募集してたっけ、そういえば。一芸必須らしいけど」 「記念に誰か出ちゃえば〜？」 「えー、やだやだ！」 　友人たちがはしゃぎながら喋っている間、樹希は少し思案しているようだった。そして樹希はおもむろに立ち上がった。 「樹希？」 「ごめん、ちょっと！」 　と言い、荷物とバスタオルを手に樹希はステージの方へ向かって駆け出していった。 「えっ、ひょっとして参加するのっ！？」 　友人の１人が驚きの声を上げた。けれども、それは違っていた。参加ではない、見物に行ったのだ。 （可愛い女の子も居るかな……？　一芸も楽しみだし） 　空いている観客席を見付け座った樹希は、コンテストの開会をそこで待つのだった。 ●コンテスト開幕！【２】 「いよいよ始まりました、ミス鈴浦海岸コンテストォォォォッ！！」 　唐沢の絶叫がその場に響き渡った。無駄に元気で、周囲の不快指数が５上がったような気までしてくる。観客席からまばらな拍手が起こったが、スタッフの１人がぐるぐると手を回したことにより次第に拍手は大きくなっていった。 「さあさあ、今年もこの季節がやってきましたね、鏡さん！」 「はい、この季節になりました。元々は江戸時代、浴衣美人を決める催しがあったことに由来するこのコンテスト。浴衣は水着に変わりましたが、今年はどなたがこの栄冠に輝くのでしょうか。とても楽しみですね」 　ごく自然に、コンテストの由来を説明する巴。この時点ですでに、観客席から何度かカメラのフラッシュが光っていた。 　観客席、前方にはカメラを携えた者たちの姿が多く見られた。望遠レンズをつけたカメラなんかを見ると、つい苦笑してしまうことだろう。 　観客の中には志神みかね、真名神慶悟、寡戒樹希らの姿が点在してあった。３人とも、思い思いのスタイルでステージを見ている。 「ところで今年は何名の方が、このコンテストにご参加くださったんでしょうか。鏡さん、どうですか？」 「今年は２５名の方が、ご参加くださいました。これは一昨年並みの参加者数ですね」 　２５名、１人当たり１０分で単純に見積もっても４時間オーバー。これは……ちょっと洒落ならないような。見る方も大変だが、運営するスタッフも大変だろう。 　それから司会の２人は、ステージ脇のテントの中で座っている審査員たちの紹介を始めた。去年同様タレントや文化人、冬美原商工会の幹部が並ぶ中に、一般審査員枠で宮小路皇騎の姿も見られた。一般審査員枠を除くと、審査員の顔触れはそれほど変わってはいなかった。 　直後、ステージには箱を乗せた台が運ばれてきていた。箱の中には参加者の名前が書かれたボールが入っており、巴が引いた順番に参加者たちに出てきてもらう訳だ。 「いやー、公正を期したシステムですよね！」 　そう唐沢は言うが、どの辺が公正を期しているのか相変わらずよく分からない。 　最後に今回新しく加わった西瓜の大食いの説明があった。程々の大きさの西瓜を８等分し、３分間に食べた分がそのままポイントになるということだった。すなわち西瓜１個食べ切れば、８切れで８ポイントという訳だ。 　とにもかくにも、今年のミス鈴浦海岸コンテストは開幕したのだった。 ●あなたのお名前は？【４Ａ】 「エントリーナンバー４番は……えっと……これは……」 　箱からボールを引いた巴は、何故か言い淀んだ。 「どうしました？　はずれでも出ましたか？」 　唐沢の言葉に観客席から小さな笑いが起こった。巴は意を決したようにボールに書かれていた名前を読んだ。 「……匿名希望さんです」 　テレビカメラにボールを示す巴。確かにそこには『匿名希望』と書かれていた。が、巴の言葉にその場に居た全員の頭の上に大きな『？』が浮かんだようだった。 「ほほう、珍名さんいらっしゃいですか。例えば『とくめいき・のぞみ』さんだとかで」 　そう唐沢が言うと、スタッフから何やらカンペが出されたらしく、小さく頷いていた。 「ははあ、そうですか。皆さん、ご説明申し上げます！　この方はどうしてもという理由で、名前を伏せていらっしゃるそうです。実行委員会は、特例でその申し出を受け入れました。それでは匿名希望さん、どうぞーっ！」 　唐沢に呼ばれ登場したのは、鮮やかなビキニ姿の美少女であった。年の頃なら、１０代後半といった所だろうか。 　たちまちカメラのフラッシュが集中する。謎の美少女はカメラの方を向いて、にっこりと微笑んでみせた。 「匿名希望……というのはちょっと珍しいと思うんですけれど、深い理由がお有りなんでしょうか」 「ええ……」 　巴の質問に、謎の美少女はちらっと審査員席の皇騎をちらっと見てから頷いた。 「それで今回はどのような一芸を」 「歌を」 　謎の美少女はにこっと笑みを浮かべて、巴にそう答えた。ただちにステージ上にスタンドマイクがセッティングされ、謎の美少女は一呼吸置いてから歌を歌い始めた。 「…………♪」 　それはこの場に居る誰もがどこかで聞いたことがあるような、また聞いたことのないような歌だった。 　というか、その歌の歌詞が日本語なのか英語なのか、はたまたどこの国の言葉なのかもよく分からない。けれども何だか聞いた覚えのある気もする……誰もが不可思議な感覚に襲われていた。 （……いい歌だなあ……） 　みかねはカメラで写真を撮ることも忘れ、謎の美少女の歌声にうっとりと耳を傾けていた。 　やがて謎の美少女の歌が終わると、至る所から大きな拍手が送られた。かなりの好感触だ。 「いやあ……本当にいい歌でしたね」 　巴がしみじみとつぶやくと、謎の美少女は観客席に向かってぺこんと頭を下げた。 　その後西瓜の大食いにチャレンジした謎の美少女は３／８個、３切れを食べたのだった。 ●タネは？【５Ａ】 「エントリーナンバー７番は、戸隠ソネ子さんです」 　テレビカメラに名前が見えるようにボールを差し出す巴。これでこの動きも７回目である。 「戸隠さん、どうぞー！」 　唐沢の紹介でソネ子がステージ上に現れたのだが……。 「……あのー、戸隠さん？」 　呆気にとられる唐沢の声。それもそのはず、ソネ子は濡れた制服姿でステージ上に現れたのだから。 「すみません、水着で……」 　困ったような笑みを浮かべ、やんわりとソネ子に言う巴。 「水着……？　着るノ……？」 　ソネ子に尋ねられ、こくこく頷く巴。するとソネ子は一旦ステージ袖に引っ込み、すぐに再登場してきた。 　今度は確かに水着姿だった。もっともある種特殊な水着――スクール水着姿なのであるが。ご丁寧に胸元には『３−Ｂ・そねこ』と無造作に書かれたゼッケンがつけられていた。 　しかしこの手の水着を好む観客も一部には居るようで、カメラのフラッシュが何度も炊かれていた。 「これはこれで！」 　などと叫ぶ観客も居たが、いったい何が『これはこれで！』なのだろう。まあ深く追求するのは止めておくことにするが。 「これはまた……方向性の変わった水着ですねえ」 　マイク片手にソネ子にインタビューする巴。上手い言い方である。 「一芸は何をされるんですか？」 「……人形劇。人形たちガ踊っテ、トテも楽シイ……」 　ソネ子はぼそっと答えると、すたすたとステージの端へと歩いていった。これから何が始まるのかと観客たちが見守っていると、ステージの天井からするすると５体の人形が降りてきた。 　出演する人形はぬいぐるみの熊、日本人形、ロボット、何故か藁人形、そしてキューピー。共通項があるのかないのか、よく分からない面々である。 　が、一度人形劇が始まると、その動きは何とも自然で絶妙であった。 「え？　どう動かしてるの？」 　目を凝らし、じっとステージを見つめる樹希。恐らくピアノ線か何かで吊るしてあるのだとは思うけれど、１人で５体をあんなに上手に動かせるものなのだろうか。 　ソネ子はステージの端に突っ立って、微動だにせず淡々とナレーションするだけだった。特に動いている様子は見られなかった。 　さて、人形劇の内容はといえば、これまた不思議で……『日焼けによるシミそばかすに注意』だとか『海難事故に注意』、はたまた『食中毒に注意』に『宿題のやり忘れに注意』といったことを警告する劇であった。 　人形劇として成立してはいるのだが、少々理解に苦しむような内容であったことは否定出来ないだろう。 「……ドリフか？」 　慶悟が眉をひそめ、ぽつりつぶやいた。言い得て妙である。 　それからソネ子は西瓜の大食いに挑戦し、マイペースに黙々と片付けて１／２個、４切れを食べたのだった。 ●うにゃん♪【７】 「エントリーナンバー１３番は、海堂有紀さんです」 　テレビカメラに名前が見えるよう、巴は両手でボールを差し出した。 「ようやく半分、折り返し地点ですね。すでに１時間半以上経過していますが、皆さん頑張ってゆきましょう！　それではっ、海堂さんどうぞぉーっ！」 　唐沢の紹介の後、パタパタと有紀がステージ上に登場してきた。その姿は青のビキニ、豊かに盛り上がる胸元には何かマークがあった。全体的な雰囲気は可愛い系統に属するのではないだろうか。 　マイク片手に巴がインタビューに向かおうとするのだが、それより早く有紀の口が動いた。 「１３番、海堂有紀。えっとぉ……猫のモノマネしまぁ〜す♪」 　どうやらいきなり一芸に入るつもりのようだ。巴が慌てて引き返してゆく。 「インタビューなしで一芸というのは初めてのパターンですかね、鏡さん？」 「ちょっと記憶にありませんね」 　司会の２人がこんな会話を交わしている間に、有紀の猫の物真似は開始されていた。 　ぴょこんとステージ上に膝をついて座り、軽くこぶしを握った両手を前に出すとちょうど四つん這いの格好となる。登場時より多くのカメラのフラッシュが、有紀に向かって一斉に炊かれた。 「にゃう☆」 　右手を少し上げ、招くようなポーズを取ってウィンクする有紀。男性陣には総じて好評のようだ。 「猫……ですね」 「猫……でしょう」 　隣の審査員から話しかけられた皇騎は、そう切り返した。ちなみに審査員席、観客席とは位置が異なるのでまた違った形で有紀の姿を見ている訳で……。 　それから有紀は伸びの格好をしたり、ごろんと転がって丸まってみたりなどと、猫っぽいポーズを取り続けていった。 　中には胸を強調したり際どいポーズも結構あり、そういうポーズになるとフラッシュの量が多くなっていたように思える。ふとステージ脇に目をやると、何故か携帯を手にした天音の姿もあった。 「わあ……うわあ……猫ぉ……」 　樹希は目を輝かせて、有紀のポーズに見入っていた。何とも嬉しそうである。 　これが狙ったような様子ならあれだったろうが、有紀にはそれが感じられなかった。ごく自然にそういうポーズを取っているのである。 「終わりですにゃ〜ん♪」 　最後にちょこんと座り直すと、軽く握った両手のこぶしをふるふると振ってみせた。 　その後、西瓜の大食いに挑戦した有紀だったが、食べたのは２切れ目の半分を過ぎた辺りまで。記録としては２切れとなった。 ●これも猫【８】 「エントリーナンバー１６番は、二谷音子さんです」 　テレビカメラに名前が見えるよう、巴はゆっくりとボールを差し出した。 「二谷さん、どうぞー！」 　唐沢の紹介の声に登場した音子は、純白のビキニ水着に身を包んでいた。といってもサイズはその豊満な胸を包むには小さく、そしてＴバック。上も下も、紐がはらりと解けたら危ないのではないかと思われる。 　一通り巴からインタビューを受けてから、一芸を披露する音子。音子の一芸も有紀と同じく猫の物真似であった。 　しかしこちらはちと毛色が違う。猫が持つ独特の色気をはっきりと前に押し出してきていたのだ。 　有紀のそれを『気紛れで自由な動きをする猫』とすると、音子のそれは『どうすれば人間が自分に興味を持つか知っている猫』といった所か。事実、カメラのフラッシュの量は有紀の時と遜色ない、もしくは以上であった。 　やがてそれは起こった。不意に水着の紐が解け、音子の形のよい胸が片方ぷりんと出てしまったのである。別の言い方をすれば『ポロリ』だ。 「うおおおおおおおーっ！！」 　男性陣の多くはやんややんやと大喝采。ビールを飲んでいた慶悟の手は止まり、見ている方が恥ずかしくなってしまったみかねは頬を紅くして目元を覆っている。樹希は驚き身をやや前に乗り出し、審査員席の皇騎は苦笑して別の方向に目をやっていた。 　その後音子が慌てて胸を隠した様子からすると、これは純粋にアクシデントだったようである。なお、西瓜の大食いは３切れという記録だった。 ●結果発表【１１】 　２０分後――無事審査員の得点集計も終わり、ステージ上に全ての参加者が揃っていた。 「お待たせしました！　いよいよ、今年のミス鈴浦海岸が決定する瞬間がやってまいりました！！」 　唐沢がステージの端で叫ぶと、観客席から拍手が起こった。 「聞く所によると、今年は去年以上に混戦模様だったらしいですね」 　白い封筒片手に巴が言った。混戦だろうが何だろうが、もう結果は出てこの封筒の中に入っている訳である。 「それでは鏡さん！　優勝者の発表の方、よろしくお願いいたします！」 　唐沢がそう言うと同時に、盛大なドラムロールが流れ出した。巴が封筒を開き、中から紙を取り出す。静まり発表を待つ観客。参加者の中には、祈るような素振りを見せる者まで居た。 　そして――ドラムロールが止まった。 「優勝は……」 　１拍置いて、優勝者が巴の口から発表された。 「エントリーナンバー１１番、南宮寺天音さん！　エントリーナンバー１６番、二谷音子さん！　そしてエントリーナンバー２０番、天薙撫子さん！　何と何と、３人同時優勝です！！」 　ファンファーレが鳴り響き、観客席から拍手と驚きの声が沸き起こっていた。よもやの３人同時優勝だとは、ほとんどの者は想像していなかったはずだ。 「さすがにディフェンディングチャンピオンは強かった！　しかし、そこに新たに女王が１人加わりました！！」 　叫ぶ唐沢。そして優勝者の３人がステージ中央に進む……はずだったが、何故か天音の姿がステージ上に見当たらない。巴のそばにスタッフがやってきて、何やら耳打ちをした。 「あ、今入った情報によりますと、南宮寺さん体調不良とのことです。どうかご了承ください」 　観客に対して説明する巴。それを聞いた海堂有紀が心配そうな表情を浮かべた。ともあれ、表彰式は天音不在のまま進んでゆく。 「それでは優勝者への、ティアラとマントの授与です」 　冬美原商工会の幹部がステージ上に立ち、撫子にティアラを、音子にマントを授与した。後日不足分は追って贈られるということである。 「なお参加者の皆様には、冬美原商工会より特製の浴衣と、冬美原東口駅前のデパート『ＲＯＳＹ−８』より商品券１万円分が各々贈られます。さらに観客の皆様には、冬美原商工会より特製のうちわと、ファミリーレストラン『れもんくらぶ』より割引券５００円分がお土産として用意されております。どうぞ受け取ってお帰りください」 　淡々と賞品や土産の説明を行う巴。観客に土産が出る辺り、去年よりパワーアップしているようだ。 「観客の皆様も、約４時間もの長丁場、お付き合いありがとうございました！　また来年も、この場所でお会いいたしましょう！　それではさようならー！」 「さようなら〜」 　大きく手を振ってコンテストを締める司会者２人。今年のコンテストも、こうして無事に終了したのである――。 ●合流【１２Ｄ】 　コンテスト終了後――すぐに樹希は友人たちの所へ戻っていた。もちろん土産を受け取ってから。 　可愛い女の子や面白い一芸は見れるし、土産まである。樹希としてはまずまず満足出来る内容だったのだが、待っていたのは呆れ顔の友人たちであった。 「樹希ったら、最後まで見てるしー」 「そろそろ帰ろうかって言ってたとこだよ？」 「お腹空いたよ〜」 　抗議の声を上げる友人たち。 「ごめんごめん！　でもいい物もらってきたから！」 　樹希は少し申し訳なさそうに謝ると、『れもんくらぶ』の割引券を友人たちに見せた。ちなみに『れもんくらぶ』は、鈴浦海岸からはそう遠くない。 　という訳で、樹希たち一行は帰りに『れもんくらぶ』に寄ることを決めたのだった。 「そうと決まれば！　最後に一泳ぎ、行ってきまーす！」 「えーっ！？」 　友人たちの驚きの声を背に、樹希は海に向かって駆け出していた。 【ミス鈴浦海岸コンテスト・２００３！　了】 □■■■■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■□ ■　　　登場人物（この物語に登場した人物の一覧）　　■ □■■■■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■□ 【　整理番号　／　ＰＣ名（読み）　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　性別　／　年齢　／　職業　】 【　０２４９　／　志神・みかね（しがみ・みかね） 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　女　／　１５　／　学生　】 【　０３２８　／　天薙・撫子（あまなぎ・なでしこ） 　　　　　　　　　　　　　　　／　女　／　１８　／　大学生（巫女）　】 【　０３７６　／　巳主神・冴那（みすがみ・さえな） 　　　　　　　　　　／　女　／　妙齢？　／　ペットショップオーナー　】 【　０３８９　／　真名神・慶悟（まながみ・けいご） 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　男　／　２０　／　陰陽師　】 【　０４６１　／　宮小路・皇騎（みやこうじ・こうき） 　　　　　　　　／　男　／　２０　／　大学生（財閥御曹司・陰陽師）　】 【　０５７６　／　南宮寺・天音（なんぐうじ・あまね） 　　　　　　　　　　　／　女　／　１６　／　ギャンブラー（高校生）　】 【　０５９７　／　海堂・有紀（かいどう・ゆき） 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　女　／　１６　／　高校生　】 【　０６４５　／　戸隠・ソネ子（とがくし・そねこ） 　　　　　　　　　　　／　女　／　１５　／　見た目は都内の女子高生　】 【　１５９３　／　榊船・亜真知（さかきぶね・あまち） ／　女　／　中学生？　／　超高位次元生命体：アマチ・・・神さま！？　】 【　１６９２　／　寡戒・樹希（かかい・たつき） 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　女　／　１６　／　高校生　】 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・外見説明：表は冬美原の航空写真、裏には『冬美原商工会』のロゴが入ったうちわ ・詳細説明：特に変哲のないうちわだが、風を送る量が普通のうちわに比べて３％多い。また火を熾す際に使用すると、火が５％熾りやすくなる。『ミス鈴浦海岸コンテスト』観客へのお土産。 ・感想等ありましたら、お気軽にテラコン等よりお送りください。 ・それでは、また別の依頼でお会いできることを願って。