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<東京怪談ウェブゲーム ゴーストネットOFF>


廃屋封印物語

 不意に後ろから脅かされ、若者がびくり、と、肩を震わせた。
「せ、先生ぃっ……び、吃驚したじゃないですかっ!」
「いやだから、君に先生って呼ばれると、どーも気持ち悪……もとい、体裁悪くてね」
 街の夜にしては静かな通りだった。二人が――お洒落な眼鏡の若者、浅野 龍平(あさの りゅうへい)とスーツ姿の高校教諭、大竹 誠司(おおたけ せいじ)とがこうして出会ったのも、まるで奇跡なのだと言わんばかりに。
 月が、静かに翳る。
 そよぐ風に、久々の再会を果たした二人は、暫くの会話の後にゆるり、と歩き始めた。
「ところで先生、」
「いやだから、」
「……あーっと、誠司さん。何でこんな所に?」
 誠司はこう見えても、住所不定であった。強いて言うなれば、住居は教諭籍を置いている学校の化学室――だからこそ、この時間に出歩いているという事は余計に珍しい。
 しかも、こんな通りを、ですよ?
 眼鏡越しに闇を見やって、龍平は頬に手を当てた。
 誠司には何か、目的があるというのだろうか――
 ――僕と、同じように。
「……いやぁ、何となく、かな」
「誤魔化さないでください。雰囲気が笑ってます」
「いや、雰囲気が笑ってるって……何て言うかこう、さすが宇宙人っぽい発言」
「誠司さん」
 龍平が自称宇宙人なのは、知り合いの間ではかなり有名な話であった。しかも、それを裏付ける証拠もいくつかあったりするのだから、
 侮れないんだよねぇ、コイツ。
 溜息混じりに、誠司は周囲を見回した。街灯の明かりに、群がる小さな虫達。
 見つめながらに、龍平の横顔を伺った。
 誤魔化すのも面倒、か。
 別に言ってしまって、何があるような内容でもないのだ。考えてみれば。
「……ユリウスとチェスをやってね。その時に負けたんだけど、その罰ゲームで」
「罰ゲーム?」
「ああ、それで、この御札――みたいなのを、一番奥に貼って来いって……ほら、あるだろ? この通りに、ビルの廃墟が」
 良くわからない文様の描かれた紙をポケットから取り出し、ひらひらさせながら誠司は遠くを見やった。
 そこにあるのは、一軒の廃墟ビルだ。ただし、火事で廃墟になった、という、曰く付きの。
「で、今から行くところ」
「奇遇ですね。僕も今からあそこに行こうと思ってたんですよ――雫さんのホムペに、あのビルの書き込みが載っていましたから」
 あそこは出る、という、単純な書き込みが。
 龍平にとって、廃墟巡りはちょっとした楽しみでもあった。決して火事によって起こった不幸を歓迎しているわけではないが、あまりにもその場所が所在地に近く、ふと気になったのだ。
 目的が同じだ、という事を知り、龍平と誠司が微笑みあう。
 ――油断と隙とを露にしたまま、霊の住まう廃墟へと向いながら。


I

 秋風の踊る、涼しい宵の刻。やわらかな月の光に、薄いレースのカーテンが、輝き歌い、宙(そら)に舞う。
 ――世界は、蒼に包まれていた。
 深い、蒼。
 ベッドメイキングすら申し分ない程の、整えられた調和の空間。部屋主の几帳面さをそのまま反映したかのような室内に、更に響き渡るのは、パソコンのメンテナンスの機械音であった。
 くるり、くるりと表示の巡るディスプレイ。さながら誰か≠フそんな瞬間を見つめているような気分になってしまって、青年はベッドの上で、そっとその瞳を閉ざした。
 あの人と同じ、金の瞳。
 時折刹那の瞬間に、自分の知らなかった表情を見せる、あの人と、同じ――。
 しかし、
「……おや、」
 月の色が毎日同じでないように、全てが全て、全く同じである事など、ありうるはずがないのだ。何かしら、必ず違う点がある。たった一欠けらだとしても、違うことには変わりはない。
 膝を抱え、横付けされた壁に背を預けて瞳を閉ざす青年が、再びその瞳を見開いた。やわらかな視線のその先に、細い指先を差し、小首を傾げる。
 光が尾を曳いていた。
「……何か面白いものが見つかりましたか?」
 蒼に輝く、黄金の蝶。窓の外から世界の様子を話すべくやって来た使い≠ノ、青年は甘い小声で囁き問うた。
 蝶が、その羽を振るわせる。狭く閉じられた一対の羽は、さながら愛する主に、朗報を報告するが如く――優しくて、
「それは……お疲れ様です」
 微笑んだ。
 ゆるりと膝を伸ばすと、冷たい床に足をつける。一呼吸置いてから、青年は蝶を宙へと舞わせ、すっくと立ち上がった。
 蝶の描く光の軌跡に、幽かに微笑みかける。しばし手の届く星屑にうっとりと心を落ち着かせると、やおら、鏡台へと座り、愛用の櫛を取り出した。
 夜よりも深い漆黒の髪。ゆるりと梳かしながら、カーテンの影に、ふと視線が奪われる。
 雲を輝かせるほどの、強い光。夜空の女王は、今日は星々を従え、ご機嫌麗しゅう、世界中を少しずつ、眠りの時へと誘っていた。
 月は、美しい。そのそこはかとなさが、太陽とは違い、まさしく美しいのだ。
 青年は立ち上がり、窓の方へと歩み寄る。窓へと手をかけ、もう一度、惹かれるがままに空を見上げた。
 ――今宵は、良い月夜ですね、と。
 話しかければ、果して彼女は、この誘いに応じてくれるのだろうか。
 それは、考える必要のない問いであった。しかしだからこそ、改めてその時の結果を自分自身に問いたくなる事がある。
「かかる月夜に心の迷路を、通り行く思いを楽しむ者は幸いなるかな――か、」
 微苦笑する耳元を、そっと風が撫ですぎた。刹那静まりかえった空間に、時計の秒針の音色だけが、鮮明に響き渡っている。
 青年は窓を閉ざすと、カーテンを引く。隠れた月に、残る光源は、メンテナンスの終了を告げるディスプレイの蒼のみであった。
 一息つき、パソコンの電源を落とす。いよいよ闇に沈んだ空間に上着を探し当てると、するりと袖を通した。
 ――その部屋に、
 隣の部屋の光が差し込んだのは、もう間もなくの事であった。
「戒那さん、俺は少し出かけてきますが、今晩の予定に変更はありますか――?」


II

 月の光に、光源は十分とも言える宵の空間。フラッシュの輝きに、炎の勢いが浮かび上がる。反響するシャッターの降りる音に、龍平が身を震わせたのは、これで何度目になるというのだろうか。
「あー……吃驚したじゃないですか! みあおさん! またそうやって……幽霊さん達だって、プライベートを撮られるのはきっと嫌に決まってますよ!」
「やっぱりその視点おかしいよ、龍平。まぁ良いけどさ〜。ねぇ? 壱華?」
 言って構えていたカメラを下ろしたのは、海原(うなばら) みあおであった。さらさらの銀髪を肩の辺りで切りそろえ、同じ色の瞳を、周囲に対する好奇心に輝かせている少女。みあおは姉からのお下がりのキュロットスカートを靡かせると、くるりと後ろを――今日出会ったばかりの友人の方を振り返った。
 その先でねぇ〜! と元気良く返事を返してくるのは、葉山 壱華(はやま いちか)であった。少々ゆったりめの茶のフード付きパーカーに、少しだけ裾の広がった青いショートパンツ。長い銀髪に良く映える赤い瞳は、小柄なみあおよりももっと下の位置から、友人の方へと満面に微笑みかけていた。
「絶対ヘンだよね、龍平ちゃんは! 樹ちゃんもちょっと変わった所あるけど、あ、でもキライじゃないよ! あたし樹ちゃんのコトは大好きだもん」
 親のように慕っている青年の事を思い出し、壱華はさらに笑顔を深めた。本当の所、今日はその彼に内緒で外出してきているのだが、そこの所は今だけは忘れる事にする。
 だって絶対、駄目だって言われそうだったんだもん。
 心配してくれるのは嬉しいが、あれでいて意外と℃は少し過保護な所がある。そこが壱華が樹を慕う理由の一つにもなってはいるのだが。
「……それにしても、浅野君は随分と子ども達に人気があるんだな」
「ええ、さっきからずっと遊ばれっぱなしですからね」
 数歩距離を置いた所から、そんな三人の姿を見守るのは、羽柴 戒那(はしば かいな)と斎 悠也(いつき ゆうや)であった。漆黒のメンズを着こなす赤毛の女性は、今日は秋色のストールをふわりと身に纏っていた。
 いつの間にか夏も終わりへと近づき、冬へと向い始めた、月の輝く秋の空。仕事≠フ時よりも幾分かラフな、けれどもセンスの良い服を身にした青年は、ふわり、やって来た光の蝶を指先に留めてやわらかく微笑んだ。
 今日は、年上の同居人を――否、想い人を、廃屋までエスコートしてきていた。その先で、ふ、と鉢合わせたのが誠司達であったのだ。
 ……本当は、二人きりでも良かったのですけれど。
 陰陽道で言う所の式神のようにして、和紙に命を吹き込み、蝶と成す。その蝶が、外から拾ってきた情報が、この廃屋についてだったのだ。戒那を連れ出し、外へ出た。予想通りの、良い月夜。
 思う一方、人と出会う事は悪い事でもないと、素直にそう思う。これはこれで、楽しんでしまえば良い――
「……へぇ、見た事無い、ですね……」
「いや、ユリウスだし。アイツの考える事なんか良くわかりませんからねぇ」
 一方、誠司に護符を見せてもらっていたのは、綾和泉 匡乃(あやいずみ きょうの)であった。大学予備校の教師でもある匡乃は、今日は仕事帰りなのか、スーツを着たままでこの場所へと来ていた。誠司の聞いた所によれば、曰く、『学生が肝試しでこないとも限りませんから、ある程度までは何とかしておこうかと思いまして――』
 ただし匡乃は、誠司に一言もアトラスの記事を読んだ事は告げてはいなかった。その上本当の所は、妹に言わせれば、気まぐれの虫が動いただけ、になるのだろうが。
「それにしても――やはり見ないとわからない事も多いものですね。色々と話には聞いていましたが……」
 ふ、と、杖をつく音が空間に響き渡る。周囲を見回していた長い銀髪の青年が、銀杖を地に、くるりと振り返った。
 ――セレスティ・カーニンガム。
 漆黒のスーツに、海色の瞳。人々を魅了して止まない微笑と声音の持ち主は、しかし弱い足を銀細工の杖で支え、瞳の失った光を鋭い感覚で補わなくてはならないという生活を送っていた。
「セレス、あんまり歩かない方が良いよ! 今日は車椅子だってないんだからさ、ね」
 慌てて駆け寄るみあおが、その青年の手を取り、彼の方をじっと見上げる。そんな少女の鼻腔を、ふんわりとした水の香りが擽った。どこか姉達の香りにも似たそれが、みあおには人以上に、心地良く感じられるのかも知れない。
「あまり心配して頂かなくても、」
「無理は駄目! みなもお姉さんだって、いっつも人には優しくしなさい、って言ってるもん」
 セレスにしてみれば、みあおの行為は単なる過保護でしかなかったのだが、セレスはその気持ちを決して無駄にはしたくなかった。
 おとなしく、その手を取られたままにする。
「で、みあおちゃん! さっきのかめらの使い方教えてほしいのー! あたしもシャシンとりたいなぁー!」
 不意に、みなもの目の前にひょっこりと壱華が姿を現した。友人にじっと微笑みかけられ、みあおは良いよ、とポケットからカメラを取り出した。
「ここをまず回すでしょ、それからここを上げないとフラッシュつかないから写真が暗くなるんだ。で、上げたら光がつくでしょ? そうしたらここを押すとね――」
 みあおの説明に、壱華の指がボタンを押し込む。刹那輝く光に、壱華がぱっと目を見開いた。
「うわ、本当だ! すっごいよねー、やっぱり! もう一枚撮るのー!」
 壱華とて、写真を撮るのが初めてというわけでもなかった。しかし、普段その機会を頻繁に与えられているわけでもない。日常生活、写真を取る必要性など、あまり転がっているはずもないのだから。
「それじゃあ皆並んで並んでー! ほら、遠慮しないで! 幽霊さん達と記念撮影だよー!」
 フィルムを回しながら、壱華は全員に向って手を振った。乗り気でない人も、乗り気な人も全てひっくるめ、その良く通る声音で指示を飛ばしてゆく。
 が、しかし、龍平のみは壱華の指示に逆らい、全員の並んだ列から抜け出した。
「……ほら、龍平ちゃんも並ぶの!」
「僕は良いです。こういったお友達とは、結構写真のやり取りをした事がありましてね。家にも結構あるんですよ――いわゆる、心霊写真ってヤツですか? あ、そういえばこの前はプリクラも一緒に――っと、まぁ、それはどうでも良いんですけどね、壱華さん、どーせなら、あなたが写真に入るべきです」
「ん、あたし?」
「まぁ、本来ならあまりこーいう事は好きじゃないんですけどね、折角皆さん並んでいるんですし、僕が写真を撮らせてもらいますよ」
 龍平の突拍子のない言葉にもさして驚きを示さず、壱華は自分を指差し、龍平に問い返した。頷かれて、しばし考え込む。
 んー……
 まぁ、それも良いかも?
 写真を撮るのではなく、一緒に撮られる側になる。それもそれで、面白い事に代わりはない。
 ……よっし、
「それじゃあ龍平ちゃん、ヨロシクねー!」
 言葉と共に、駆け出した。丁度後ろに立つ形となる匡乃によって、前列の中心に並ばされる。
 そうして龍平が、カウントを開始した。
「それじゃあ行きますよー! 三、二、一、ハイ、ビックバン……!」
「チーズでしょ、龍平! ビッグバンって何さ!」
 たまらずつっこみを入れるみあおに、
「だって、何でチーズなんですか! ビッグバンの方が壮大なんですよ! ソレに比べればチーズなんて……いえ、美味しいですけどね」
 カメラを下ろして、龍平が答える。そんな情けない答えに、
「本当この人ワケわかんないよねー。ヘンな人のてんけー、って感じ!」
 無邪気に壱華が手を上げた。
 そうして暫く、まぁ良いや、と全てを割り切った龍平の手によって、フラッシュが朝色の光を廃屋の中に呼び込んだ。
 ぱしゃり、という軽い音と共に、各々は颯爽と、その場を離れて解散する。
 後ろに皆の雑談の声を聞きながら、のんびりと周囲を見回したのは匡乃であった。
「幽霊と記念撮影、か……汐耶が見たら、どう思うだろうな」
 ま、写ってなきゃ、意味がないんだけど。
 ポケットに手を入れ、ふ、と考える。これで本当に心霊写真が撮れていた場合、それはそれで、妹への良い手土産となるのかも知れない。何をやってきたのよ! と怒鳴られる可能性は、無きにしも非ずではあったが。
 でもま、あいつも好奇心には弱いだろうからなぁ――。
 と。
「セレスティさん、どうかなさいました?」
 頭を押さえるセレスの姿に、匡乃は視線を止めた。
 話しかけられ、セレスは軽く首を振る。
「いえ、何でもありません――、」
 正直フラッシュの強い光が堪えるのだが、それをあえて口にしようとはしない。
 多少でしたら、耐えられますしね――……。
 いつも自分に気を使ってくれているみあおの楽しみを、それによって奪うのもどうかと思ったのだ。
「……でも本当、この階には、霊は――、あまりいないようですね」
「ああ、どうやら元々、ここは人の集まるような場所でなかったみたいだからな」
 呟いた悠也の言葉に、閉ざしていた瞳をゆるりと開いた戒那が答えを返す。一番最初のサイコメトリーにより流れ込んできた廃屋の造りと、過去の幻影とを受け、戒那は階段の方へと視線を巡らせた。
「むしろこの上の方が……危ないな」
「ええ、そんな気がします」
 頷く悠也の元に、それから間もなく、光の蝶々が舞い戻って来た。差し出されたゆるく折れた人差し指に、その羽と軌跡とを休ませる。
 その蝶に、お疲れ様でした、と言わんばかりに微笑みかけると、悠也はするりと踵を返した。
「そろそろ、行きましょうか――誠司さん。早く護符を貼って帰るに越した事はありませんよ。それにしても全く、」
「ユリウス君も、何の能力も持たない大竹君にこんな事をさせるとはね。いやぁ、大竹君、酷い友人を持ったものだな」
 悠也の言葉を引き継いだ戒那の言葉に、
「あ、明るく言う事じゃありませんよ羽柴先生! しかもそんな朗らかにっ?! 俺だって苦労してるんですよ! 全く、あー、もっと早くイカサマされた事に気がついていればこんな事には……!」
「……チェス、の話しですよね? イカサマされたんですか? 大竹先生」
 軽く笑った戒那に、誠司が涙で訴える。途端誠司は、後ろから匡乃に問いを投げられ、
「ええ! 俺が見てない隙にアイツ、色々とやってたらしいんですよ……! 後でシスター・星月(ほしづく)から聞いた話なんですけどね。俺とした事が不覚だっ――……ッ?!」
 しかし。
 誠司の言葉は、気がつけば轟音の中に飲み込まれてしまっていた。同時に、地面から伝わり来る揺れに、四人は同時に視線をめぐらせる。
 闇のその向こう、
「……ち、ちょっと何ですかこれはああああああああああああああああああっ?!」
 瞬間、文字通り、龍平が悲鳴共々、闇へと吸い込まれて行くのが見えた。慌てて誠司が、そちらの方へと駆け寄って行く。
「り、龍平君っ?!」
「誠司さん止まってください! 落ちますよ!」
 その背を追いかけたのは、逸早く状況の全てを悟った悠也であった。夜目の利く目で床に細心の注意を払いながら、誠司の歩みをどうにか止めさせる。
 ――誠司の目の前には、大きな穴がぽっかりと口を開けていた。
 見回せば、みあおと壱華、そうしてセレスの姿も、その場所から消え去っている。
 どうやら四人は、この穴へと飲み込まれてしまったらしかった。


III

 ここまで来るまでに、見送った霊は数知れず。なかなか乱暴に階を駆け上る戒那を守る悠也の手によって、かなりの数の霊が天へと帰っていった。あるものはその蝶により、ある者はその微笑によって――。
 二階、三階、四階――と、適当に霊をどうにかしながら上に上り。
 そうして、
「うわ……」
 一番最初に呟いたのは、誰であったか。
 屋上の扉を開けるなり、誠司はげんなりとその場にへたり込みそうになっていた。もしこの場にいる自分が霊感を持っていたら――……。
 考えるだに恐ろしい事実に、知らず身を震わせてしまう。
 あぁ、駄目だ、俺……。
「大丈夫か? 大竹君」
 悠也から貰った護符の効力のおかげか、その光景にも全く動じる事のない戒那が声をかけてくる。何とか片手で手を振り返しながら、誠司は打つ向き気味にも立ち上がった。
 ――何となく、直視したくない光景であった。
 業火の傷跡が、未だにくっきりと残っている。床には焦げた痕、周囲の手すりには無数の錆び、そうして周囲には、
「……様々な未練が、あったのでしょうね」
「ああ」
 無数に漂う、霊達の気配≠ェあった。
 悠也の言葉を受け、その横で戒那が首を縦に振る。初めてこのビルの前に立った時から、確かにそれは感じていたのだ。様々な想いの、交錯する場所。
 ……哀れな。
 この上この世に留まり、一体何があるというのだろう。
 ――いや、
「数も多い……」
 もしくはその気持ちは、死んだ者しかわからない、とでも言うのだろうか。何ゆえ、この世にこうしてまで執着するのだろうか。そうしてどの想いが故に、この地に縛り付けられているというのだろう。
 理由は、問うまでもない。それは、心の奥底では、わかっていたものの――
 ……考えるだけ、不毛か。
 戒那は小さく息を吐くと、ふ、と後ろを振り返る。刹那、荒れ荒む風に流れ、屋上の扉の開く音が聞えて来た。
 そこにあったのは、あの時別れた四人の――みあお、壱華、セレス、そうして龍平の姿であった。
「無事でしたか。良かった」
 四人に一番近い位置に立っていた匡乃が、振り返りざま声をかける。みあおはじっとその顔を覗きこむと、
「匡乃、みあお達があれくらいじゃあどーこーならないって、匡乃もわかってたんでしょ? だからみあお達の事、置いていったんだよね?」
「……心配はしていましたが、大竹先生の方も少々心配でしたので」
 みあお達と別れた後の誠司の様子は、確かに心配に値するものであった。霊に対しての耐性が常人並な為、このような場所にいれば、当然何らかの霊的傷害を被る事となる。無意識のうちの霊傷は、無意識の内に受けているからこそ、考えられている以上に恐ろしいものなのだ。
「誠司もユリウスと関わると、ロクなめにあわないよね」
 地に手を付く誠司の後姿に、みあおは思わず苦笑する。とは言えみあお自身も、ここに来てからあまり良い気を覚えてはいなかった。
 壱華の方はどうやらこの状況をどうとも思っていないらしいが、セレスの方もそれはしっかりと感じ取っているらしい。今まで片手を支えてくれていたみあおに小さく礼を言うなり、やおら杖をつきながら、誠司の方へと歩み寄る。
 ふと、あまりにも酷い誠司の様子に、もう一度その治癒に掛ろうとしていた悠也を制して、
「大丈夫ですか?」
「あ……いえ、何とか――」
 そっと、誠司の肩に手を触れさせる。
 そうして暫く、ゆるり、と誠司が顔を上げた。
「……少しは楽になりましたか?」
「あ、本当だ……」
 問われてすっくと立ち上がる。まだ軽いだるさは残っているものの、先ほどまで感じていた、へたり込みそうなまでの圧力はもう感じられていない。
「それは良かったです」
「はぁ、ありがとうございます」
 礼の言葉は素直に出てきたが、正直、何をどうされたかわからないだけに、ぎこちなくなってしまう。
 大きく一つ深呼吸をしてから、誠司は、スーツのポケットから一枚の紙片を取り出した。ユリウス手書きの、屋上の地図。このバツ印の位置に護符を貼って来いとの、常人にはあまりにも過酷な、友人枢機卿の罰ゲーム。
「大竹君、さっさと護符を貼ってしまったほうが良い」
 ここは、長くいるべき場所じゃない――。
 小さく付け加え、戒那はざっと周囲を見回した。
 刹那、
 悠也が素早く、懐から取り出した和紙に命を吹き込む。主の意思に従い、一匹の蝶々が宙(そら)に向って羽ばたいた――その姿に、
 一つの力が、収束した。
「戒那さん! 離れて!」
 その言葉に振り返ったのは、戒那のみならず、その場にいる全員であった。
 悠也が急ぎ結界を張ったのに続き、匡乃がその能力を展開する。匡乃の布いた力にも、対立する力が強くぶつかって来た。
「一体、どういう――!」
 普段はこのような能力の使い方をしないその上、慌てた所為か、イメージコントロールにムラが出る。両手で必死になってその力を跳ね返しながら、匡乃は少しでも心を落ち着けようと、大きく息を吸い込んだ。
「匡乃!」
「みあおちゃん、あれ! あれ見てよ!」
 匡乃の後ろで、壱華が遠くを指差した。
「……戒那さん」
「ああ、俺が下で視た≠フは、多分あれですよ――」
 一方悠也の後ろでも、セレスと戒那とが、壱華の指先と同じ方向をじっと見つめていた。
 その先に佇むのは、大きく、白い靄――否、空に映る影、と言った方が正しいか。
「……マズイなぁ、あの場所だ、俺が札を貼って来いって言われてるの」
 悠也と匡乃とが結界を解いたのは、誠司の呟きとほぼ時を同じくして、の話であった。
 どうやらもう、あの影には意思というものがないらしい。だからこそ揺蕩うそれからは視線を外す事もなく、悠也が後ろに向って声を飛ばす。
「本当ですか? 誠司さん」
「ああ、本当も何も、ほら、きっちりここに描いてある……!」
 先ほどの地図を、ちらりと振り返った悠也に突きつけながら、誠司が答える。
 刹那、駆け寄ってきたみあおが、その地図を乱暴に誠司の手からひったくった。
「うわぁ、本当だよ……誠司、大変だねぇ〜」
「みあおちゃん、他人事みたいだねー!」
 欠片ほどの危機感すら持ち合わせず、壱華が満面の笑みでみあおに同意する。
 その後ろから龍平がやって来たのは、もう間もなくの話であった。
「またいつ仕掛けてくるかもわかりませんよ。油断は、禁物です」
「まずは周囲の霊の排除もしなくてはなりませんね。もう既に、私達の周りに集まり始めていますよ」
 答えたセレスの言葉に、
「あ、でもこの子が話のわかる霊は一緒に上に上げてくれるって言ってるよー。だから残りをどうにかすれば良いんじゃないかなぁ?」
 いつの間にか、屋上の幽霊と仲良くなっていた壱華が、一体の霊体を指差してブイサインで返した。
 一瞬驚きに、全員が軽く沈黙してしまう。しかし、
 ――これで、
 話は決まったも同然であった。
「私は悠也さんのサポートをさせていただきます」
 ポケットから小さな水の入った小瓶を取り出し、セレスは悠也の隣へと並ぶ。
「それじゃあ僕は、出来る限りの事をやってみましょう」
 どうなるか正直、自信は、ありませんが。
 言葉の後半を飲み込み、早速退魔能力を行使すべく瞳を閉ざしたのは匡乃であった。元々、あまりにも強すぎる能力は、妹の手によってその一部を封じてもらっているものだ。制御できる保障など、どこにもあるものでもない。
 しかし、
 いつまでもそうばかり言っていられないだろ――。
 どの道いつまでも、妹に頼っているわけにもいかないのだ。
「それじゃああたしは、誠司ちゃんの手伝いをするのー! きっとあの白いモヤモヤなヘンなオバケも、これはイヤだと思うもん!」
 笑いながら、壱華が指先に燈したのは、赤く燃え盛る小さな炎であった。ただし、特筆すべき事があるとするなれば、この炎が、浄化の力をも持ち合わせているという点か。
「それじゃあ僕は、その辺で感傷に浸る事にします」
「何の感傷さ。どーでも良いけどね……それじゃあみあおも、その辺から傍観してるかな。あんまし役にたてなさそうだしね」
 龍平の言葉に答えるみあおは、しかしながらひっそりと、下ろしていた右の手に力を収束させた。
 青い、鳥の羽が生まれる。
 みあおはあくまでも全員に気がつかれないようにと、その羽を風の軌跡にふわりと乗せた。流れる羽は、荒れた屋上に世界中から少しずつ、幸福というものを呼び寄せる。
 ――少しだけだよ、ユリウス?
 さり気なく全員に幸福を呼び寄せながら、みあおは小さく微笑んでいた。
 まぁ、少しでも手を出してあげたんだし、後でお茶くらいは、奢ってもらうけどね?
「悠也、」
「ええ。戒那さん、俺から離れないでくださいね」
 そうして暫く、影からの第二波を直感したのか呟く戒那に、悠也は懐から、もう一匹の蝶々を取り出した。
 和紙に、命を吹き込む。
 さぁ、
「早く終わらせて、行きましょうか――バーテンダーもきっと、俺達を待っていらっしゃりますからね」
 珍しいお酒が入りましたよ、と、ついこの前、そっと悠也に耳打ちしてきた彼の楽しそうな声音を思い出す。
 微笑を浮かべ、するりと手を掲げた悠也の横顔を、反発しあう二つの力の光が照らし出したのは、それからもう間もなくの話であった。


IV

 護符は、予想していたよりもあっさりと貼る事が出来た。
 セレスの提案により、護符は壱華が援護する誠司自身が貼る事となった。セレス曰く、『何やら得体の知れない感じがしますので――』
 戦闘に入ってからは、事は予想されていたのよりも簡単に進んで行った。匡乃の退魔能力により激減した幽霊達。その上あの白い影も、その影響から免れることはできなかったらしい。弱りきった所を、壱華の炎にとどめをさされた。
 それからはもう、屋上はしんと静まり返っている。まるで先ほどまでの出来事が、嘘であったかのように。
 幸い匡乃の能力の反動もなく、全員が雑談会へと突入していた。それが少なからずみあおの能力のおかげだとは、誰も気がついてはいなかったが――。
 全員が笑いあう中、
「あたしも樹ちゃん達にお土産と犬にエサでも買って帰るね。あの犬、樹ちゃんにあーんな酷い事言うんだもん、ご飯はどっぐふーどで良いんだ」
 家族の話に何を思いだしたのか、少しだけ不機嫌そうに頬を膨らませながら、壱華が言う。それでも、その辺にケーキ屋さんあったよね? と続けた壱華に、
「うん、あー、でももう閉まってるかも。まぁ良いや、みあおもそっちから帰る事にするよ。ケーキならみあおも食べたいしね。きっとお姉さんもお母さんも食べたいだろうし」
「それじゃあ僕も、海原さんと葉山さんと一緒に帰ることにしましょうか。さすがにこんな夜に、お二人だけでは心配ですからね」
 丁度小腹もすいてるし。
 その本心は口にはせずに、匡乃がみあおと壱華の肩を叩いた。
 元より匡乃は、この後、妹の家にご飯を食べに行くつもりであった。が、その時手土産の一つでも持っていけば、色々な意味で面白い妹の反応を見る事ができるのかも知れない。兄の珍しい気遣いに、ありがとうの言葉もなく、明日は槍が降るだの何の前触れだと騒ぐ妹の姿。その慌てように、匡乃は小さく笑い声を洩らさざるを得なかった。
 さて、今日はどうからかってみたものか――。
「でしたら僕と、誠司さんとでセレスティさんを送って行きます」
「いえ、別に私は一人でも――」
「何かあったら大変です。最近では、火星もこんなに近いんですしね」
 戦の星なのだ、火星は。火星の近づいた頃には、必ずといって良いほど戦争が起こる。
 半ばを冗談、半ばを本気で言う龍平の言葉に、セレスは膝の上の杖を握りなおして微苦笑した。人の折角の好意を無駄にするのも勿体無いものだ、と、それじゃあお願いしますと二人に向かって微笑みかける。
 ……と、そこで初めて、
「おや……? 羽柴さんと斎さんは――?」
 足りない気配に、眉を顰める。そうえば二人は、いつの間にいなくなっていたというのだろうか。先ほどまでは、確かにそこに感じられていたはずだと言うのに。
「ああ、あのお二人でしたら」
 答えたのは誠司と、
「出かけていったよ、さっき。少し急いでるって、誠司に皆さんにヨロシク、って言っといて〜、って、ね?」
 事情を知るみあおであった。そのままみあおは、頭の後ろで手を組むと、
「それにしてもあの二人、良い雰囲気だよね〜」
 しみじみとした声音を伴い、二人が消えていった闇夜の方を振り返った。

 ふわり、と、通りかかった蝶々に、霊がその身を一歩引いた。少し通らせてくださいね、と微笑みかける悠也の姿に、霊はその場を一歩も動こうとはしない。
 ふ、と。
 秋の風が、道を駆け抜けた。
 東京の、裏路地。遠くに見えるネオンを目を細めて眺めながら、
「……寒く、ありませんか?」
 隣の女性に、悠也はそっと問いかけた。
「別に、寒いという程でもないな。しかしもう――こんな、季節か」
 からり、とどこからともなく飛んできた落ち葉の音色に、戒那がそっと、ストールを羽織りなおす。
 そうしてもうすぐ、冬がやってくるのだろう。凍えるような、眠りの季節が。
 ……冬、か。
 今年もまた、雪は降るのだろうか。純白の雪の精は、降臨してくるというのだろか――そう、この、東京にも。
 立ち止まり、ふと空を見上げた。
 つられて悠也も立ち止まる。
 無言のまま、静かに時が過ぎていった。しかし素直に、このような時間を悪くはないと思う。
 悠也はふと、気がつけば戒那の横顔を眺めてしまっていた。月の光を受ける、薔薇色の髪。すらりと長い指を顎にあてがい、空を見上げるその姿。助教授としての彼女には、決して垣間見ることすら許されない――
 呑みかけた息を、けれども言葉にする。
「では、暑くはありませんか?」
「暑いわけないだろ?」
 悠也の問いに振り返り、戒那は小さく微笑んだ。
 その微笑に、では、と悠也は、脱いだ上着をその肩に掛け置いた。長いウェーブヘアを整え、一度だけ戒那の肩を叩いてから、一歩歩みを進めておどけて見せる。
「さ、行きましょう、戒那さん。早くしないと、また色々と言われるとたまったものじゃあ、ありませんからね」
 冗談めいた悠也の言葉に、戒那はそうだな、と頷き返した。
 そうして月の見守る中、二人は闇をかき消す光の方へと向かって歩き出す。
 ――ふと光の蝶が、悠也の上着にそっと羽を下ろした。

Finis


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            I caratteri. 〜登場人物
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<PC>

★ 葉山 壱華  〈Ichika Hayama〉
整理番号:1619 性別:女 年齢:12歳 クラス:子鬼

★ 綾和泉 匡乃 〈Kyohno Ayaizumi〉
整理番号:1537 性別:男 年齢:27歳 クラス:予備校講師

★ 海原 みあお 〈Miamo Unabara〉
整理番号:1415 性別:女 年齢:13歳 クラス:小学生

★ 斎 悠也 〈Yuuya Itsuki〉
整理番号:0164 性別:男 年齢:21歳
クラス:大学生・バイトでホスト

★ 羽柴 戒那 〈Kaina Hashiba〉
整理番号:0121 性別:女 年齢:35歳 クラス:大学助教授

★ セレスティ・カーニンガム
整理番号:1883 性別:男 年齢:725歳
クラス:財閥総帥・占い師・水霊使い


<NPC>

☆ 大竹 誠司 〈Seiji Ohtake〉
性別:男 年齢:26歳 クラス:高校化学教師

☆ 浅野 龍平 〈Ryuhei Asano〉
性別:男 年齢:23歳 クラス:自称宇宙人

☆ ユリウス・アレッサンドロ
性別:男 年齢:27歳 クラス:枢機卿兼教皇庁公認エクソシスト



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          Dalla scrivente. 〜ライター通信
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 まず初めに、お疲れ様でございました。
 今晩は、今宵はいかがお過ごしになっていますでしょうか。海月でございます。今回はお話の方にお付き合い頂きまして、本当にありがとうございました。又、いつもの事ながらに、締め切りぎりぎりの、しかも今回は微遅刻的な納品となってしまいまして、本当に申し訳ございません。
 今回のお話、実は人数が集まらないであろうと踏んでおりましたので、埋まったことに対して非常に吃驚しております。一方、OPに荒が目立った事も有り、皆様のプレイング同士にかなり相違点がありまして、かなえられなかった点、描写できなかった点等本当に沢山ありまして、非常に申し訳のない限りでございます。この場を借りてお詫び申し上げます。
 一応二階から屋上までには、いくつか霊との戦闘や、浄化・帰天のエピソード等かなりあったと思われます。しかし、字数等の都合上割愛する結果となってしまいました。更に戦闘シーンの方が省略されているという、いかにも本題を書き切れていない、という状況になっているような気もしますが、とりあえず御札を貼る事には成功しましたので……。
 ちなみに御札の方はユリウスのお手製、どうやら廃屋の霊の封印の為に書いたようです。

>壱華ちゃん
 樹さんに無断の外出との事、後がちょっぴり怖いですね(汗)今回はあまりつっこむ相手もいなかったので、辛口マシンガントークに欠けてしまって少し残念に思います。今度機会がありました時には、是非もっと辛口トークな壱華ちゃんを書いてみたいと思っております。

>匡乃さん
 御札の方は、多分本当にユリウスのお手製なので……(苦笑)妹さんの方が躍起になって調べてくださりそうですが、きっとそのうち直接教会に来て見て聞いて驚かれるのかと(汗)退魔の方、お疲れ様でした。あのような能力の使い方で宜しかったでしょうか……?

>みあおちゃん
 ユリウスにはばっちり奢らせてやって下さい(笑)浅野君の方はともあれ、今回はあまり大竹と一緒になる機会がありませんでしたので、あまり化けの皮をはぐ事が(笑)できませんでした。相変わらずの厳しいつっこみ、とても楽しく書かせていただきました。

>悠也さん・戒那さん
 今度こそ! とリベンジのつもりで書かせていただきましたが……納品、非常にドキドキしております。まだまだ違う点も沢山あるかと思いますが、見つけただけバシバシと指摘してやってくださりますと非常に助かります。機会をいただけるだけ頑張って行きたいと思っておりますので(笑)できれば見捨てないでやって下さりますと、非常に嬉しく思います。

>セレスティさん
 突然ですが、あたし、水辺の男は大好きです(笑)そこはかとないたおやかさに、とてもドキドキしながら書かせて頂きました。仲間に対する思い入れが強いとの事で、必要以上に優しく描きすぎてしまったかな、とも思っておりますが、いかがでしたでしょうか……?

 では、乱文となってしまいましたがこの辺で失礼致します。
 PCさんの描写に対する相違点等ありましたら、ご遠慮なくテラコンなどからご連絡下さいまし。是非とも参考にさせていただきたく思います。
 次回も又どこかでお会いできます事を祈りつつ――。


15 septiembre 2003
Lina Umizuki