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<東京怪談ウェブゲーム ゴーストネットOFF>


水の中から

 (オープニング)

 ウェブ上の掲示板に書き込まれる内容が、全て正確な情報である保障など、どこにも無い。
 有益な情報、正確な情報を探す方が難しい事だって、決して珍しい事ではない。
 真か偽か?
 その見極めは、情報を求めてウェブに掲示板を立ち上げる『管理人』達の共通の悩みだった。
 瀬名・雫も、そんな管理人の一人である。
 今日も、雫は書き込まれた一本の投稿文を眺める。


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 投稿者:廃棄PCさん  投稿日: 8月26日(火)23時14分32秒

 PCの世界って十年一昔どころか、一年一昔だよね。
 俺も二年前は最新のデスクトップPCって言われてたけど、もう、廃棄処分さ。
 ていうか、家電リサイタルだか何だかって言う、新しい法律?
 俺らみたいなPCを捨てる代わりに金払って業者に回収してもらって再利用するとか、そういう事らしいんだけどさ、わざわざ捨てるのに金払うのが嫌だって奴も居るらしいね。
 俺、捨てられたのかな?
 なんか、気づいたら水の底に居るよ。
 ま、別に何処に居たって、こうやってネットに繋いで遊べるからいーんだけどさ、さすがにちょっと飽きてきたね。
 誰か暇な奴、俺の事を拾いに来てくんない?

 (T_T)ノ””水の底で待ってるゼ!”

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 長く使われた道具が何らかの理由で意識を持って異形化した、九十九神という妖怪の事は、一応、聞いた事がある。
 もしも、九十九神になったPCが本当に存在するなら、手元に一台欲しいと雫は思うのだが…

 (依頼内容)
 ・何処かで何者かが助けを求めています(?)
 ・誰か助けてあげて下さい。

 (本編)

 1.掲示板

 以下の内容は、ゴーストネットの掲示板の書き込みから、『廃棄PCさん』に関する投稿を抜粋したものである。

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 投稿者:ノイエ

 初めまして、廃棄PCさん。魔女・兼・メンタルセラピストのノイエ・シュバルザークですわ。
 私、九十九神っていうのは、あまり存じ上げませんのですけど、物に宿る心と言うと…例えばドリアード、木に宿る精霊みたいなものかしら??
 まあ、とりあえず、最近のパソコンは喋れるんですのね。素晴らしいですわ。是非、私の家にも一台…
 こ、こほん。冗談はさておき、どちらにいらっしゃるのか、私に教えて下さいませんこと?
 接続しているアクセスポイントみたいなものでも教えて頂けたら、お探しして、すぐに迎えに行きますわ。
 
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 投稿者:賈・花霞

 花霞だよ。九十九神って事は花霞の仲間だね!花霞、付喪神なんだよ。
 でも、水の中に居たら錆びちゃうよね??
 錆びちゃったら困るよ。ピンチだね。
 花霞、哥々と一緒に助けに行くよ!だから、廃棄PCさん、どんな所に居るか教えてくれる?
 あとね、ノイエさん、九十九神(付喪神)っていうのはね、花霞みたいに道具から生まれた人の事を言うんだよ。
 花霞は手欄ていう武器から生まれたの。それじゃ、再見〜。

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 投稿者:蒼月・支倉

 蒼月だ!
 えと、花…花霞は僕の事を哥々って呼ぶんだ。中国の言葉で、『お兄さん』の意味らしいよ。
 あ、それはともかく、僕も探すの手伝うよ。花に泣きながら頼まれちゃったからね。
 ノイエさんも花も言ってたけど、何処に居るか教えて欲しいな。
 でも、場所は具体的にわかんないかもしれないから、近くに目立つ物があったら教えてよ!

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 投稿者:賈・花霞

 花霞、泣いて無いよ!
 可愛そうだから放っとけないって言っただけだもん。

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 投稿者:シュライン・エマ

 ちょっと、2人とも、掲示板で兄妹げんかは止めなさいって…
 て、それは置いといて、草間興信所のシュライン・エマよ。私も手伝うわね。
 さて、聞きたい事は色々あるんだけど、他の人も色々聞いてるし、一度に色々聞いても混乱しちゃうわね。
 とりあえず、廃棄PCさんの型番や、元使用者のデータとかメールアドレスとか、わかったら教えてもらえるかしら?
 返事、待ってるわね。

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 投稿者:廃棄PCさん

 うぉ、なんかレスがいっぱいあるなー…
 おっしゃ、順番に答えるから待ってくれ。

 ヽ(`⌒´)ノ ガンバルゾー
 
 >ノイエさん
 アクセスポイントかー。
 うーん、アクセスポイントっていうか、俺、近所のルータに内緒で接続して、インターネットに入ってるんだよな。
 現実世界でのルータの住所はわからないけど、電脳世界のルータの住所、グローバルIPアドレスならわかるぜ。ノイエさんとこに送るから、メールアドレスplz。

 >花霞さん
 おぉぉ、あんたも九十九神か。
 ヽ( ゜Д゜;)ノヽ( ゜Д゜;)ノ ナカマナカマ
 だな!
 うむー、それはともかく、とりあえず俺が居るのは水の中だなー…
 魚とか水とかの他には、捨てられ仲間みたいな連中が結構居るなぁ。
 生きてるのは俺だけみたいだけどな。

 >支倉さん
 そっか、中国語って色々あるんだな。
 えとー、近くにある目立つ物って言っても、花霞へのレスと同じ感じかな。
 水の底で、駄目っぽいテレビとか使えなそうな冷蔵庫とかが、錆びついてる位だなー。
 あー、俺は平気だぞ。九十九神だからな。
 
 >シュラインさん
 うぅ、何かHDDのデータは物理フォーマットかけられて、完全に初期状態の空っぽ状態になってるんだよなぁ…
 だから、昔の事は何にもわかんねぇや。
  ( ̄_ ̄)ノ”過去の事は忘れたゼ…”
 けど、型番とかならわかるよ。やっぱり送るからメールアドレスplz。

  ( ̄_ ̄)ノ”以上、廃棄PCがお伝えしました”

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 投稿者:ノイエ

 了解、メールアドレス教えますわね。
 どこにあるルータなのか、すぐにIPアドレスから割り出しますわよ。

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 投稿者:シュライン

 なるほど、足が付かないようにわざわざハードディスクの中身を消去して捨ててるわけかぁ…
 確かに賢いけど、何なのかしらね。
 とりあえず、メールアドレス教えるわね。

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 投稿者:支倉

 えーと、話を聞いた感じだと、廃棄PCさんの他にも色々捨てられてるみたいだね。
 そういうので有名な場所からも知れないから、ちょっとネットで調べてみるよ!

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 投稿者:花霞

 そうだね。花霞も調べてみるよ。

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 投稿者:廃棄PCさん

 あ、そっち方面から調べるのも良いかもな。
 俺も自分で調べてみるよ。

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 投稿者:シュライン

 私も廃材投棄とかの有名スポットを調べてみるわ。
 それと、廃棄PCさん、周囲の画像を何らかの形で取り込んだり出来る?
 出来たら、周囲の画像なんかを掲示板に直接貼ってくれると、わかりやすいって思ったんだけど、どう?

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 投稿者:廃棄PCさん

 へー、ちょっとやってみるよ。
 …というわけで試してみたら出来たぜ。
 周囲の様子はこんな感じだなぁ。

 (汚れた湖の底に色々なゴミが捨てられ、それでも淡水魚がたくましく泳いでいる画像などが表示される)

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 投稿者:支倉

 お、直接画像が見れると調べやすいかもね。
 …うん、水が流れてる様子はあんまりないから、川じゃなくてどこかの湖みたいだ。
 よし、がんばって調べるよ!

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 投稿者:花霞

 うわ、汚い湖だね。
 廃棄PCさん、湖から出たら体を洗わないとね。

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 投稿者:シュライン

 さてと、そろそろ夜も遅くなって来たわね。
 続きは明日にしましょうか?

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 投稿者:花霞

 うん、花霞、眠くなってきたもん…
 廃棄PCさん、また明日ね〜

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 投稿者:支倉

 そうだね。花霞はそろそろ寝た方が良いね。
 それじゃあ、シュラインさんもノイエさんも、また明日!

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 投稿者:ノイエ

 うふふふふ、魔術とその他技術の粋を尽くしまして、廃棄PCさんが接続してる、近所のルータの所在を調べ上げましたわよ!
 …て、みんな、寝てしまいましたのね。
 せっかく、人が美容に悪いのも我慢して、こんなに遅くまで頑張ったのに…
 まあ、確かに良い子は寝る時間ですわね。それじゃあ、また明日…

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 投稿者:廃棄PCさん

 |_T)ノ”ミンナ、アリガトネー”

 |)ノ

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 2.某湖にて

 ノイエが調べた、廃棄PCが利用しているルータの位置。そこから近く、尚且つ、粗大ゴミの不法投棄で有名になっているという条件を満たす湖は、すぐに見つかった。
 数日後の朝、一行は湖で集合する。
 「ノイエさん初めまして、花霞だよ!」
 どう見ても中学生以上には見えない少女が、中世風の衣装を纏った女性に挨拶をしている。付喪神の賈・花霞だ。
 「あら…随分可愛らしい書き込みをなさると思ったら、実際、可愛らしいですのね」
 一般的に考えれば、中世の魔女といった扮装をした女性はノイエ・シュバルザークである。実際、中世の頃から生きている魔女だ。今日は正装をして、何やらやる気の様子である。
 ノイエは掲示板の書き込みの雰囲気通りの花霞を見て、へぇーと思った。
 「まず、不可視の精霊すら見通す事が出来るヘンルーダの水薬を飲みまして…」
 何やらぶつぶつ言いながら、ノイエは手にした薬瓶を飲んでいる。
 「それじゃ、がんばって引き上げましょうか…」
 外見上、ノイエよりもやや若く見える女性はシュライン・エマである。予想以上に汚れている湖の様子を見て、彼女は憂鬱そうに言った。湖は汚れた水を好む藻が多量に生えているせいなどで濁っていて、投げ網等でPCを引き上げるのは難しそうだった。
 かと言って直接潜るのも、水が汚くて抵抗がある。
 「出来れば、潜りたくないね…」
 一応、いざという時は潜れるようにと、スキューバの準備をしてきたのは妖狐の憑依体である蒼月・支倉だ。普段はプロバスケットボール兼高校生として学生生活を送っている彼は、花霞とは兄妹のようにしている。
 支倉はシュライン同様、湖の汚さに呆れていた。
 「がんばれ、哥々!」 
 と、花霞が支倉を励ましている。花霞の頼みは滅多な事では断れない支倉なのだが…
 また、そんな三人とは別に、ノイエは黙々と魔術の作業を続けていた。彼女は何やら召還したボア(大水蛇)を三匹、体に巻きつかせ、地面に六芒星を描いている。
 「大丈夫、私が魔術で引き上げますわ。
  魔女だけに、水は苦手なんですけどね…」
 と、言いつつも、久しぶりに魔女らしい術を存分に使えるので、ノイエは楽しそうだった。
 「上手く行くかな?」
 「駄目だったら、仕方無いから潜ろう…」
 花霞と支倉が、濁った水面を眺めている。
 シュラインはというと、ノートPCで『廃棄PCさん』に連絡を取り、目立つようにディスプレイを明るくするようにメッセージを送りながら、ノイエの魔女式の魔術を見物している。
 「私は水…私は手を差し伸べ、私の手は湖底に達する…」
 地面に描いた六芒星の上で、水を意味する逆三角の形を幾度もなぞりながら、ノイエは魔女式の詠唱を続けている。
 「湖が汚れすぎてますわね。
  水の精霊の機嫌が悪くて、力も弱いですわ。
  湖底にそれらしき塊が幾つか落ちてるのは感じられるけど…どれが『廃棄PCさん』だか特定出来ませんわ。
  …仕方無いから、全部まとめて引き上げますわね」
 彼女は、少し苦悶の表情を浮かべた。
 「私は水…水は私。
  我、水に求め、水、我に求める」
 やがて、水面に大きな渦が起こったかと思うと、テレビや冷蔵庫、各種ゴミなどが大量に飛び出してきた。
 水垢で錆び付いた、元は家電製品として働いていたであろう機器達を、一行は眺める。
 「結構、無料で回収とかしてくれるのにね…」
 わざわざ湖に捨てなくても良いのに…と、シュラインは言う
 問題の『廃棄PCさん』はすぐに見つかった。多少黄ばんでいるものの錆び一つ無く、不自然にきれいなそれは、粗大ゴミの中で異彩を放っていた。
 長時間湖底に居たにも関わらず、錆びた様子は全く無い。
 
 (⌒∇⌒)ノ””陸って気持ちイイネ”

 と、ディスプレイに顔文字が表示されたデスクトップのPCは、『廃棄PCさん』だった。

 3.居場所

 こうして『廃棄PCさん』を湖の外に出す事は出来たが、今後の事が問題だった。
 『廃棄PCさん』は、これからどうしたら良いのだろう?
 ただ、幸いだったのは、路頭に迷うという感じではなかった事だ。
 「良かったら、花霞のうちに来ようよ!付喪神仲間だもん!」
 「現代は一家に一台、しゃべるPCですわね」
 「事務所に居てくれると、ありがたいんだけど…」
 むしろ、引っ張りだこで行く先に困る感じだった。

 (⌒∇⌒)ノ””オレ、人気者?”

 照れている『廃棄PCさん』の事はともかく、じゃあ、こうしましょう。と言ったのはシュラインだった。
 「八国山っていう妖怪の里みたいな所があるんだけども、間を取って、そこに寄付と言うか、行ってもらうのはどうかしら?」
 東京都の西部にある、やる気が無い妖怪が多く住んでいる山の事をシュラインは言った。
 「そっか、あそこだったら寂しくなさそうだもんね…」
 ちょっと残念だけど、その方が良いかもね。と花霞は言った。
 「うん、そうだね」
 支倉が頷く。彼と花霞は八国山に行った事がある。
 「へー、面白い山もあるんですわね」
 と、八国山を知らないノイエは首を傾げていた。
 
 ( ゜Д゜;)ノ””怖い妖怪、居ない?”

 『廃棄PCさん』は怖がっていたが、とりあえず一行は八国山まで行ってみる事にした。
 数時間後、一行は山に着く。
 「なるほど…妖怪の里らしい、不思議な気配を感じる山ですわね」
 ノイエが頷く。
 「新しく長老になった陸奥君が居てくれると、話が早いんだけど…」
 と、シュライン達が山を少し探すと、猫の姿をしてゴロゴロ寝ている化け猫が一匹、すぐに見つかった。
 「陸奥はどっかに出かけてるにゃ。
  長老猫なのに、山を離れすぎにゃ」
 にどーでも良さそうに、化け猫は目をこすりながら答える。
 若い化け猫の陸奥は、人間の学校に通っていて、その都合で出かけているらしい。
 「そっか…
  それじゃあ、仕方ないけど、この『廃棄PCさん』を山に置いてあげてくれないかな?」
 支倉が化け猫に尋ねた。
 「僕達を誰だと思ってるにゃ?
  パソコンなんて、全然わからないから要らないにゃ」
 が、化け猫は胸を張って答える。

 ( ゜Д゜;)ノ ナ、ナンダコノヤロー

 ふいに、『廃棄PCさん』のディスプレイに顔文字が浮かぶ。
 「か、勝手に動いたにゃ!
  パソコンのお化けにゃ!!
  お化けは怖いにゃ!」
 化け猫は、パニックになり、ガタガタと震えだした。
 「なんか、怖がってるわよ?」
 と、ノイエが呆れている。
 …だめだ、陸奥君が居ないと話が進まないわね。と、シュラインは頭を抱える。
 そんな化け猫を説得したのは、花霞だった。
 「大丈夫だよ!
  この子は花霞の仲間の九十九神だから、怖くないもん!」
 花霞の言葉を聞いた化け猫は、少し首を傾げ、
 「九十九神…という事は、妖怪にゃ?
  妖怪なら、みんな友達にゃ。一緒に遊ぶにゃ」
 震えるのを止めた。
 こうして、話はまとまった。
 さっそく化け猫は人の姿に化けると『廃棄PCさん』を抱え、仲間に紹介すべく、森の奥へと消えて行った。
 後には4人が残る。
 「お化けは怖いけど、妖怪は友達…
  よくわかりませんわね?」
 「あんた、それを言っちゃだめよ…」
 ノイエの言葉に、シュラインが首を振った。
 一応、物理的にも精神的にも人里から大して離れていない、東京西部のこの山なら、誰でも訪れて『廃棄PCさん』に会う事も出来る。
 結局、これが今回の事件の結末になった。
 あの山なら、まあ、『廃棄PCさん』も上手くやっていけるわよね。
 …本当は、事務所に誘いたかったけど。と、シュラインは思いながら山を離れる。
 数日後、シュラインの所に『廃棄PCさん』からメールが届く。何やらネット上で、湖の環境保全を訴えるホームページを立ち上げたそうだ。彼(彼女?)が、ひとまず元気にやっている事は確かだった。

 (完)

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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【0086 / シュライン・エマ / 女 / 26歳 / 翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員】
【1653 / 蒼月・支倉 / 男 / 15歳 / 高校生兼プロバスケットボール選手】
【1651 / 賈・花霞 / 女 /600歳 / 小学生】
【1848 / ノイエ・シュバルザーク / 女 / 750歳 / 魔女・兼・メンタルセラピスト】

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■         ライター通信          ■
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 毎度ありがとうございます、MTSです。
 今回は全てのPCさんが、ほぼ共通のノベルになっています。
 PCさん毎に、どういった方法で『廃棄PCさん』の場所を特定していくのか微妙に個性が出ていて、書く方としては楽しかったですが、いかがでしたでしょうか?
 ともかく、おつかれさまでした。
 また、気が向いたら遊びに来てくださいです。