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<東京怪談ウェブゲーム アトラス編集部>


ウサギがいっぱい【アトラス篇】

------<オープニング>--------------------------------------
いきなり現れた、ウサギの群れ…。
この謎のウサギの群れは実は草間興信所からだと聞いていた。
元は月見ウサギ一口饅頭という話らしいが…定かではない。
「何かの嫌がらせ?」
「違う、どこかの誰かが持っていったんだろ?俺は知らん」
「責任取って貰うわよ!」
「犯人は目星がついている。…が、そいつがお前の所に隠れ潜んでいるからそうなっただけだ。俺には一切責任はない。大体、全く分からないそのナマモノを飼う気にもならないしな」
と、碇と草間の喧嘩が延々続く。
怒りにまかせて受話器を切る碇は…
ウサギに和んでいる三下に怒鳴った。
「いい!どんな方法でも良いから、この饅頭ウサギがどういう理由でウサギになったか確かめるのよ!いいわね」
その怒号で三下とウサギは怯えてしまった。


1.ウサギを愛でる者達
編集部には沢山のウサギたちが絨毯のように沢山いた。
黒いアレより問題はないのだが…。複雑な気分である。
編集長の碇も、疲れ果てており、ウサギを眺めていた。
そんなときに数人、依頼とは関係有るかどうかは定かではないが、人が集まった。
「わ〜い、可愛い♪」
鈴代ゆゆは、可愛いウサギにメロメロで抱きしめて和んでいる。正式和み被害者第3号。
「かわいいなぁ。お客さんにあげたら喜びそうだなぁ」
佐和トオルがウサギを抱いて笑っているが、何かの請求書の束を持ってやってきている。
「あらら〜沢山ウサギさんがいますね〜」
日本人形に見紛うような可愛い美少女、榊船亜真知はウサギの数のすごさに唖然としている。
そう言うことよ、とため息混じりで碇は頷く。
「出来れば原因を突き止めて欲しいのだけどね」
「それより、取材費と称してツケにしているウチの店の料金を払って欲しいのですけど?」
とトオルはピラピラと請求書を見せた。
「だれよ!不正利用しているのは!」
碇は請求書の金額を見て怒り出す。
ホストがいると言うことは女性社員だろうか?
「まって…そう請求書見せられたなら払いたいのは山々だけど…ウサギが…金庫ジャックしているのよ…」
と…金庫の周りを牛耳っているウサギたちを指さした。如何にも「此処はなわばりです」と目で訴えている。しかしそれでも可愛い。
「ボスみたいな少し大きいウサギさんいないかな?」
「イベントで使うの?…え?ちがう?」
と、ゆゆと亜真知が何となく調査開始。といってもウサギを可愛がっているだけ。
「被害はどれほど?でもちゃんと払ってくださいね」
トオルは仕方ないので手を貸すことに。
「分かってるわよ…。紙や観賞植物が囓られたわ…」
「では…お札も?」
「たぶん、サンシタ君が被害を被ってるはずよ。そう言うことは…」
確かに2人で「彼」を見る…餌の代わりなのかウサギに1万円札を5枚ほど分捕られ…滝の涙を流している三下がいた。
「毒じゃないですかね?お札のインク…其れよりウサギと言うより…山羊?」
「分からないのよ…ウサギなのかどうかは…シュレッダーで処理した紙の後始末には困らないけど」
ウサギなのに山羊のように紙を食べる…、おかしなものだ。
草間がこのウサギを「ナマモノ」と言うことがよく分かる。得体の入れない生物はナマモノと一括りされる場合があるのだ。亜真知達や編集部が幾ら調べても、あんこの糞をする以外(他少々異様な行為をするが)普通のウサギだった。コードを囓られたところは、亜真知が理力変換で修理する。
「疑似生命反応も、霊力も異常なしです…おかしいですね〜」
「可愛いなぁ〜このままだったらいいのに」
「其れは勘弁して欲しいわ…ゆゆちゃん…」
それぞれ口に出す。
「原因は色々考えられますが…たぶんお饅頭さんの意志ではないかと思います…」
と亜真知がいった。
「食べられるよりウサギになりたい、と?」
トオルが訊ねると彼女はコクリと頷く。
「それなら…これだけ沢山いるし、そんなに実害(?)がないなら…里親募集でもしたらどうですかね?」
トオルは原因究明より、この白い絨毯をどうするかを提案。原因究明はこのウサギが生きているまで可能だからだ。
「わたくしが数羽持って帰りますわ♪」
と亜真知が言った。
「あたしはむりだな〜どうしよう」
ゆゆは困った顔。
そう話し合っているときに、一仕事終えてきたのか黒マントの男がため息混じりでやってきた。
「あら、エルハンドご苦労様」
「エルハンドさんこんにちは〜」
碇とゆゆが男の名前を呼んで挨拶する。
「一人始末した。この騒動に便乗して混迷化させる馬鹿共をな」
「だれ?」
とゆゆ達が訊く。
「此処に巣くっている『萌え者』という【人生終わり】の変態だ」
碇とエルハンドはため息をついた。
亜真知とゆゆはその言葉を聞いて納得するが、トオルは首を傾げる。
「まぁ…ごくろうさま、エルハンドさん…今はウサギについて考えてます」
「そうです、可愛いので食べることは出来ませんし…里親募集などを考えているのですよ」
トオルと亜真知が来たばかりのエルハンドに言った。
「ふむ…里親募集を此処以外も他の部署に持ちかけることも可能だよな。新聞とか」
とエルハンドが答える。
碇も其れには賛同した。こんなところで世話なんか出来ない。
「草間に送り返しても良いのだけどね…それだと押し付け合いになるわ…」
「「「そうですね〜」」」
ゆゆたち激しく同意。
「同感だ」
エルハンドも頷く。
「三下君と、ツケにした誰かさん、里親募集の草稿仕上げなさい。5分以内にね」
「は、はい〜!」
碇の号令で三下率いる編集部員がウサギを避けながら作業に取りかかった。


2.萌え者黒乃
秘密基地廃墟。
加持の姿がいない。
そこにたたずむのは、生き残った平諜報部員と黒乃楓だった。
「ウサタンが暴走したのかね〜」
「私達も分かりません…なにがなんだか…」
ウサギはいない。
加持もいない。
「ウサギになっちまったのか旦那?」
腕を組み考える黒乃。
「まぁ、饅頭がウサギに変身したって考えた方が良いとおもうね〜」
と彼は閃く。
「まずは、ウサタンは寂しがり屋な萌え萌え属性だ!しかし!超絶不可思議進化論でひょっとすると『バニー姿のお姉さん』になって凄いお得ではないかと漏れは思うゼ〜?」
「それは良い考えです!黒乃さん!」
「おーっし。「善は急げ」だ。アトラス編集部に其れをつげに行くぜ!」
「「おーっ!」」
と気合いが入る馬鹿一行
「その前に、1人様1羽はお持ち帰り強制ダゼ!」
「イエッサー!」
馬鹿は滅びない。
―いい加減にしてくれ…。


3.それから
里親募集をまずはネットで、そして各部署に通達した。
「これで、ウサギ地獄から救われるわ…皆ありがとう」
碇がお礼を言う。
「佐和君にはこれね…遅くなったわ」
「払っていただければ問題はないです。どうも」
さわやかな笑みでトオルは答えた。
「A子さんとそのチーム、あなた達減給」
「はい…」
取材費と称してツケにしていた女性陣はしょんぼりしている。
「自業自得だな」
「そうそう♪」
エルハンドとゆゆはアイスティーを飲みながら言った。
ウサギたちは、心の澄んだ存在に懐いて離れない。
亜真知とゆゆにそして何故か三下にも。
「こまったなぁ」
ゆゆは植物の精なので、飼うことが出来ない。
亜真知が彼女をみて、
「わたくしが代わりに持って帰ります。エルハンドさんも手伝ってください」
と言った。
亜真知を妹のようなに思う剣客は、断る理由もないので無言で頷いて承諾。
「では、俺はこれで失礼します」
とトオルが帰ろうとしていた。
「君は持って帰らないのか?」
とエルハンドが言う。
「元がお饅頭でしょ?途中でお饅頭になったら何となくイヤじゃないですか。食べられるわけでもないし」
確かにそうだろう。
「食べ物や無生物が生命を持って変化すると言うことは、過去にありますし。希望者だけでもってかえって世話をすればいいですよね♪」
亜真知は膝の上にウサギを乗せてゆったりとしている。
トオルは念のためエンパシーでナマモノの気分を確認するが…ピンクの色…たぶんかまって欲しいのだろう。
和やかな雰囲気のもと、亜真知とエルハンドは三下のデスクに何かいると気づく。
「この気配はウサギさんではないですね…」
「何がいます?」
トオルが近寄る。
「別の意味で危ないから近寄らない方が良い」
と、剣客が言った。
「残っているの?萌え者?」
ゆゆが、ウサギを抱いて訊いている。
「すぴすぴ?」
当のウサギも気にしているようだ。
机がガタガタ動き出す。
亜真知は理力変換によってあらゆる引き出しを接合し、エルハンドは…魔法で呼び出した数多の剣を其れに突き刺した。
金属製の机が剣によって貫かれる。
「ぐはぁ!」
何者かの断末魔が聞こえた。
「この声は…黒乃だな…萌え者の始末2匹目だ」
「そうのようですわね」
「良いのかなぁ…」
ゆゆとトオルは苦笑していた。
「関わって良いものと悪い者があるからな。トオルとやら、アレに絡まれると…人生終わるぞ」
と、魔法の剣で串刺しになった机を指さした。
「人生終わるというのなら遠慮します…」
トオルはエンパシーでエルハンドの気持ちを読みとる。結果は紅。怒り心頭最高潮のようだ。得体の知れない存在(神)の言うことは素直に聞いていた方が良い。
全てを解呪してから、引き出しを開けると…。重傷の黒乃が転がり落ちる。とどめを刺せば殺せるだろう。
「萌え者に人権はないし…草間の方に送って、彼の憂さ晴らしにすればいいかもね」
と碇の非道な発言が聞こえた。


4.ウサギたちは?
饅頭ウサギの里親はかなりの数になり、1羽も残らずアトラス編集部からいなくなった。
黒乃は、今まで人に迷惑をかけている罰とし、ウサギの飼育講座をボランティアで行うことになる。
ウサギ自身はしっかり世話をしてあげると、悪さはしないようだ。
あやかし荘では、数羽ウサギが庭で放し飼いにされている。
亜真知の住む神社でもかなりたくさん飼われている。従姉は少し困った顔しているとか何とか。
トオルは渋ったが、やはりお客に受けが良いらしいので、ホスト仲間を連れてお持ち帰り。
因みに、三下が亜真知の手助けで調査したところ。ほとんどウサギとしての生物と認定されたそうだ。
ただ、寿命…饅頭の賞味期限ではなく…になると饅頭にもどって、風化するらしい。

結局、どうして饅頭がウサギになったのかは謎のままだが…。
しかし、それでも立派な命。
ウサギたちは満月の日になると、空を見上げ続けていた。

End

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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【0428 / 鈴代・ゆゆ / 女 / 10 / 鈴蘭の精】
【1593 / 榊船・亜真知 / 女 / 999 / 超高位次元生命体:アマチ…神さま!?】
【1678 / 黒乃・楓 / 男 / 17 / 賞金稼ぎ】
【1781 / 佐和・トオル / 男 / 28 / ホスト】

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■         ライター通信          ■
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滝照直樹です。
『ウサギがいっぱい【アトラス篇】』に参加してくださりありがとうございます。
色々と奇妙な生き物騒動でしたが…一応騒動は落ち着いたようです。
ウサギたちはまだまだ和ましてくれるでしょう。

佐和・トオル様初参加ありがとうございます。

また機会が有れば宜しくお願いします。

滝照直樹拝