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<東京怪談ウェブゲーム ゴーストネットOFF>


光と闇と言葉の戦士

★オープニング

●投稿者 アテナ タイトル:前世の仲間を探しています。

私は前世、アテナの加護を受ける神の戦士だったんです。
今の世界はハーデスの使者である闇の戦士のせいで暗黒の世界になっています。
このままでは世界が滅んでしまいます。
どうか、力を貸してください。
あなたの力が必要なんです。あなたのことが私には見えます。
あなたを待っています。

「まあ、こういう所やっていると、こういう人はたまに来るんだけどね。」
雫は小さく息をついた。
「自称、前世の戦士だの、霊能力者だの、超能力者だのははバーゲンセールするくらいいるよ。」
本当の「本物」はこういうところには来ない。
どこにいるかと言えば闇の中ではない、ごく普通の人の中にごく普通の顔をして住んでいるのだ。そう、自分の隣にも…。
「でも、この子は『本物』に近いみたいなんだ。結構カリスマちゃんになっているの。」
彼女はネットの書き込みを通じて、その人物のことを見通すのだという。
失せ物探しや、占い、予言などをかなり当てるので彼女の信者は増えている。全てを見通すほどではないらしいが。
でも、肝心の『仲間』は増えていないのだという。
それは、当然だろう。ホントの仲間などいないのだから。
「余計なおせっかいだと思うけど、こういうのが新興宗教とかになっちゃうと困ると思うんだ。なんとかならないかなあ。」
書き込み禁止にしても効果は薄い他所に書き込みすればいいだけだから。
彼女は言葉に自信を持っている。自分の言葉に命があると思っているのだ。
だから、ネットの上で、言葉と力で、本当の「本物」から説得して欲しい。

彼女と彼女の信者達に…

★それぞれとの出会い

●投稿者 アテナ タイトル:選ばれし者たちへ…

特別な力を持つ選ばれし戦士を私は待っています。
どうか、早く現れてください。
私は待っています…。

●投稿者 フェアリー タイトル:私も力になりたいのですが…

アテナ様に私には力が無い、と言われてしまいましたが、私もアテナ様のお力になりたいんです。
どうか、お手伝いさせてください。

●投稿者 イブ タイトル:私もです!

私にも…力が無いそうです。この方と出会った時、運命を感じたのですが、平凡に生きたほうがいいと。
でも、私も力が無いのなら、そのためのお手伝いをしたい。どうか…お仕えさせてください。

「ふっ、ふっ〜〜ん♪」
楽しそうに瀬川・蓮はモニターに映し出される会話を見つめた。
まるで子供が新しいおもちゃを見つけたような、それを、どう使って遊ぼうか、考えているようなキラキラした眼で。
だが、口元に浮かぶ笑みは、無邪気な子供のそれで、ありながら、そうではない。
「本当の闇の怖さを知らない、お子様だね♪」
「蓮、ここに飲み物を置いておくわね。」
『ママ』が部屋の扉を開き、そして出て行く。彼女にとっては
(あら、いつものパソコンをやっているのね。)
くらいの認識でしかない。干渉もしない。しかし、これから、彼がやろうとしていることはいつものネットサーフィンでは、ちょっと無かった。
「ワンダーランドに足を踏み入れるにはそれなりの覚悟がいるんだよ。君に…それがあるのかな?試してあげよう。小さなアリス♪」
おいで…。彼の差し伸べる手に招かれるものたちがいる。
黒い瞳。それは、闇の世界を映す瞳。彼の周りで踊るは…小さな夜の住人たち。
「さあ、ショータイムの始まりだ!」

彼はEnterキーを押した。

★HP ゴーストネット 掲示板 (現在ほぼレスチャット状態)

●投稿者 フェンリル タイトル:アテナさんへ

始めまして。あたしはフェンリルと申します。
あなたに、お伺いしたい事があって書き込みをしました。
前世の記憶に、とても興味があります。
神話の時代のお話を聞かせていただけませんか?

●投稿者 アテナ タイトル:フェンリルさんへ

フェンリルさん!書き込みありがとうございます。
あなたに、不思議な何かを感じます。
ひょっとしたら、私の仲間ではないでしょうか?

私は、前世でギリシャの神にお仕えする戦士だったのだと思います。
智恵の女神アテナの加護を頂いていた記憶があるのです。
あなたも、前世の記憶はありませんか?

●投稿者 フェアリー タイトル:ホントですか?

アテナ様。ちゃんと確かめた方がいいと思います。
仲間のふりをした、闇の手先かもしれませんよ。

●投稿者 ミラ タイトル:そうですよ!

フェンリルは北欧神話の魔狼ですよ。そんな名前を名乗る人がアテナ様の仲間のはずはないです!

●投稿者 アテナ タイトル:黙っていてください。

私はフェンリルさんと話をしているんです。
少し黙っていてください。>フェアリー、ミラ、他の人たちも…。

フェンリルさん、如何ですか?
あなたも不思議な力を持つ神の戦士ではないのでしょうか?

●投稿者 フェンリル タイトル:神の戦士…ですか?

神の戦士…ですか?
そうではないと、思うのですが…。

前世の戦いというのは、どういうものだったのですか?
いつ、どこであって、敵や味方はどうなったのか、覚えていらっしゃいますか?

それから、どうして、ネットで仲間を探されるのか、伺ってもいいでしょうか?
不特定多数の人に見られる可能性のある場所では、敵に見つかる可能性も…ありますよ。

●投稿者 竟 タイトル:あなたは誰ですか?

アテナさん。
今ここで生きているあなたは誰ですか?
何の役割も代名詞もつかないあなたの望む事は何ですか?

●投稿者 アテナ タイトル:?

私がネットで皆さんに呼びかけているのは、私の言葉が一番広く伝わる方法だと思ったからです。
敵の攻撃など、私は恐れていません。
神の加護が、あるはずですから…。

前世の記憶は…まだおぼろげで、思い出せないことも多いんです。
戦いの記憶もまだ、よくは…

>竟…さん。
どういう意味ですか?
私は、現世に転生した、神の戦士です。今に私が蘇ったことに意味があるんです。
私は世界を救わなければならないんです!

●投稿者 イブ タイトル:そうです!

アテナ様は、世界を救い、私たちを導いて下さる指導者です。
私たちはその方にお仕えしたいと心から思っているんですよ>竟

●投稿者 竟 タイトル:覚悟はあるんですか?

前世がどうであれ、あなたは「今」違う名前で生きているのでしょう?
どうして、「そうしなければならない。」と思うのですか?誰が、そうしろと言うのですか?
誰かに選ばれ、その命令に従って生きることで、あなたは自分の責任から逃げていませんか?

もし、仲間が見つかって、あなたが本当に戦わなくてはいけなくなったとき、あなたは、自分と仲間の命に責任を持てますか?
その覚悟が、あなたにはありますか?
アテナさんに仕えたいという皆さん、あなた方は、どうですか…?

●投稿者 アテナ タイトル:もちろん!

覚悟はもちろん、あります!
私は、命をかけて仲間を守るでしょう。

前世の記憶を蘇らせる前の私など…今の私に比べたら比べ物にならないくらい卑小だと思うのです。

竟さん
あなたも力あるものだと思います。闇の手先だとも思えません。
私たちの思いを解ってくださいませんか?

『ふ〜〜ん、覚悟があるんだ♪ なら、試してみようか… GO!』
【ギシャアアア!!!! その時、全員のパソコンにおどけた子供の声と鉄さえも切り裂くような金切り声が響き、画面が爆ぜた!】

●投稿者 アテナ タイトル:あ、悪魔が!!

だ、誰か!助けてください。
画面から、あ、悪魔が出てきて、私に、私に…!!!

●投稿者 イブ  タイトル:悪魔?

ホントですか?敵の攻撃?
私の…方にも来るんでしょうか?あの声?
ごめんなさい、私、落ちます!!

●投稿者 フェアリー  タイトル:

アテナ様なら、大丈夫ですよね。
御武運を!

●投稿者 フェンリル タイトル:闇の匂いがします。

今、何かが確かにアテナさんの所に行ったんですね。
それを、感じました…。(影が…揺れている。)
あたしには、 何も出来ないのですが…、竟さん。あなたには、できませんか?

●投稿者 竟 タイトル:やってみますか…。

電話線や、ネットで繋がっていれば結界も何も関係なくなると、聞いた事がありますね。
できるかどうか、解りませんが…やってみましょうか?
【彼が持つ、退魔の力。普段は封印されているが、彼はその力を今、使おうとした。
アテナのIPと投稿 その言葉をイメージし、力を…放つ!!】

【ギャアアア!! 悲鳴と共に影のイメージは消えうせる…】

●投稿者 フェンリル タイトル:消えましたね…

影の気配が消えましたね。
竟さんの力が通じたのでしょうか?

●投稿者 竟 タイトル:おや?

…随分、あっけないですね。
僕の力は通ったようですが…、ずいぶんあっさり?

●投稿者 アテナ タイトル:悪魔は…消えました。

竟さん。フェンリルさん。
残って下さったのはあなた方だけだったんですね。
そして、竟さん。
あなたのお力を感じました。そのおかげで悪魔が消えたんだと思います。
ありがとうございました。

●投稿者 R タイトル:小さなアリスへ

無闇に足を踏み入れたら、そこは不条理の国Wonderland。
女王様のご機嫌を損ねれば、金切り声が宣言する、「Behead!」
だからアリス、無事なうちにお家にお帰り。そして全ては夢の中へ…
Your frend Cheshire−Cat」

●投稿者 フェンリル タイトル:これは…

さっきの攻撃の相手から…でしょうか?

…そうですね。アテナさん。
ネットは言葉だけの世界。でも、どんなものが潜んでいるかは解りません。
いくらでも、嘘がつけますし、関係ない人を巻き込むこともありえます。
仲間を集めたいのなら、やり方を変えた方がいいかもしれませんね。

●投稿者 アテナ タイトル:私には…

私は、覚悟ができているつもりだったのですが、本当は覚悟なんかできていなかったと、解りました。
心の中に、記憶があるのは確かですが、あの時、何もできなかったし、神も助けては下さらなかった。
記憶に、私は振り回されていたのでしょうか…。

●投稿者 竟 タイトル:選ばれるより、選びなさい。

今の生が、前世の延長なんて今生きる意味が無いですし、神の介入があったとて、その時点でその神はただの力ある他者に過ぎないと思いますよ。
そんな義務しょっている人生なんて楽しくないじゃないですか。
あなたは、今、生きているんです。
自分にもう一度問い掛けて、選ばれた人生ではなく、選んだ人生を生きてみてはいかがですか?

●投稿者 アテナ タイトル:そうですね

お二人のおっしゃるとおりだと…思います。
言葉だけの世界、それだけで、全てが解った気がしては、いけないのですね。
本当の闇の世界の恐ろしさを私は、知らなかったんです。
今は、怖くて仕方ないのです。

もう一度、自分と向き合って、自分は何なのか、何ができるのか。何をしたいのか、考えてみようと思います。
それが解るまで、ここには来ないつもりです。

落ちます。
でも、最後にお礼を言わせてください。
竟さん、フェンリルさん。 ありがとうございました。
Rさん… どなたか解りません。ひょっとしたら、あの悪魔の主なのかもしれませんが、私は現実に帰ります。
… ありがとうございました。

●投稿者 フェンリル タイトル:これからどうなるのか…。

彼女は、これからどうするのでしょうね?
残された人たちも…。

●投稿者 竟 タイトル:なんとかするでしょう。

頭の悪い子では無い。
むしろ、しっかりした考えを持った子だと思いましたよ。
きっと、よく考えるでしょう。
ひょっとしたら、どこかでまた出会うことになるかもしれませんが、その時は、その時です。
大丈夫だと、思いますよ。

●投稿者 フェンリル タイトル:そうですね。

ええ、きっと何とかするでしょう。

…竟さん、彼女じゃありませんが、あたしもあなたとどこかで会うような気がします。
彼女が来ないなら、ここで私がお話することもないと思いますが、いつか、どこかで会ったらどうぞよろしく(^^)

では、落ちます。

●投稿者 竟 タイトル:いつか、どこかで…

偶然ですね。僕も、そんな気がしましたよ。<いつかどこかで
では、僕も落ちましょう…。

いつか、どこかで…。

★ログオフ

「ごくろうさん♪」
モニターに差し出した蓮の指に黒い光が集まって、実体化する。
『ギャッ!』
返事をした小さな悪魔を還して、蓮はモニターを軽く見やった。
「アリスは、夢から覚めたみたいだね。お礼を言われるとは思ってなかったけどさ。」
蓮が放ったのは霊力追跡用悪魔。霊力を探知し、攻撃をかけさせた。
もっとも、軽く脅す以上のことをするつもりは無かったが、他に強い「霊力」の持ち主が二人もいて追い払ってくれたことで手間が省けた。
軽く微笑んで、彼はログを流していく。
ふと、竟の言葉が、目に付いた…。
「覚悟はありますか…か?『いい』大人の意見だね。」
覚悟があっても無くても、ある時、突然ゲートは開く。
その「世界」に足を踏み入れずにいられないものもいる。
自分のように…。
(そうならなくてもすむのなら、そうしない方がいい。ネバーランドは、幸せの国じゃないんだ。)
自分がアリスと呼んだ少女が、再び黒い3月ウサギの後を追って、ワンダーランドに足を踏み入れないことを、彼は心の奥で、願っていた。

その後、ゴーストネット掲示板に噂になった少女「アテナ」は完全に姿を消した。
ログを見て、「アテナ」の信者達が彼女を呼び求めたが、彼女が姿を表すことは無く、「アテナ」の名はいつしかネットの幻となって消えていった。



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■   登場人物                  ■
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【1537 / 綾和泉・匡乃 / 男 / 27歳 / 予備校講師】
【1790 / 瀬川・蓮 / 男 / 13歳 /ストリートキッド(デビルサモナー) 】
【1847 / 雨柳・凪砂 / 女 / 24歳 /好事家)】

NPC 
アテナ 女 ?歳 ?
その他 イブ フェアリー ミラ

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■         ライター通信          ■
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夢村まどかです。
ご参加くださいましてありがとうございます。

今回は、趣向を変えて、メインは完全に掲示板の中だけで進ませました。
参加者はお互いの名前も顔も知りません。
でも、どなたが欠けても話はなりたちませんでした。
それぞれの活躍によって、目的を完全に達する事ができたのだと思います。
他の方の意図や、考えはそれぞれの方のノベルにのみ記載しました。

ご参加下さった皆さんが、本当に理想的なメンバーだったのでストーリーもスムーズに進みました。

瀬川さん
悪魔をけしかけるというプレイングのおかげで彼女に、一番手っ取り早く「覚悟の無さ」「闇の怖さ」を知ってもらえました。
幸い、退魔のお力のある方もいらしたので、その方に退治はお願いいたしました。
ほとんど出番が無く、申し訳ありませんが、スムーズにストーリーが進んだのは瀬川さんのおかげです。
最後に、キャッチフレーズの「ピーターパン」も少し取り入れさせて頂きました。

この話で謎なままになった少女「アテナ」については後日アトラスでB面展開し、心の面や何故彼女が前世うんぬんを言い出したかも含めて解決させる予定です。
興味がありましたら、ご参加、もしくはご覧下さい。

では、今回はありがとうございました。
ご意見などがありましたらテラコンまで。
またの機会にお会いできることを楽しみに…。