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<東京怪談ウェブゲーム ゴーストネットOFF>


三角関係と秋のグルメ

0.デートの誘い
織田義昭は瀬名雫に呼ばれカフェにいる。
「何してるんだい?」
と義昭が雫の行動を訊いた。
オカルトサイト以外を調べているから珍しいなと思ったからだ。
「食べ物サイト探しているの」
「そっか」
「良くオフ会でピクニック行ったりしてたから今度は美味しいB級グルメを調べているの」
「で、それは皆で行くの?」
何気なく訊いてみたが。
「あたしは織田さんと行くの♪」
「はい?!」
―まさかデートですか?(義昭の心の声1)
「ね?良いでしょ?」
「まぁ…グルメの店を探すというのなら皆で」
「分かってないよ〜!」
雫が膨れた。
―分かってますよ(義昭の心の声2)
こまったなーといった顔で義昭は承諾する。

同時刻…かわうそ?が其れを目撃しており…急いで茜とエルハンドに連絡。
「雫ちゃん…抜け駆けは…」
嫉妬の炎で燃える茜。
「落ち着け…あ…熱い!」
エルハンドが宥めようとして茜の肩を触ったら彼の手が燃えた。火傷した手にふーふー息を吹きかける神。
「…ギャグ?」
かわうそ?が首を傾げる。
「邪魔ではなく…調査!調査!」
茜はハリセンを持ってすっ飛んでいった。

ため息をつく神とナマモノ…。
「…B級グルメ探し兼茜の暴走を止める助っ人を募るか…」
「おだちん…」
「はいはい…」
神はナマモノにお駄賃を渡して、助っ人を募ることにしたのだった。


0.5.本題から離れまして…
「カツカレーと五目焼きそばでウマー」
と、邪なことを考えていた黒乃楓であるが…大体、雫はデートに護衛依頼など必要としていない。それに茜は黒乃を萌え者と認識し敵である。そんなことをつゆ知らずの黒乃ン…。
 まず、雫に交渉に持ち出すが頑固拒否。
「二人っきりの時間の邪魔をしないで!」
「そんなぁ〜」
 失意の黒乃ン。
 あきらめずに茜側に向かうのだが、
「何か用?萌え者」
殺気充満、半径5メートルの敵は燃え尽きるほどの嫉妬の炎。
「五目焼きそばで、護衛を…」
「うるさい!萌え者は消えていなくなれ〜!」
と、楓は茜のハリセン天昇閃でお星様になった。

 其れを一部始終見ていたかわうそ?曰く、
「二兎追う者は一兎も得ず…。依頼したのは、エルりんとかわうそ? だから…」
と、ため息をつくのであった。


1.雫側から
 雫と義昭は私服でB級グルメデートを楽しんでいるとエルハンドから聞いて、さらに「あの3人を見てくれないか」という頼みを了承し、雫側にのほほんと付いて行こうと考える白里焔寿。当然お友達の猫、チャームとアルシュがいるが…ハロウィンを意識してか、コスチュームはどんどんパワーアップ(?)している。チャームはおとなしめに紫とオレンジのリボンなのだが、アルシュだけはカボチャマント…。
アルシュが「コレが欲しい」と駄々をこねたのかどうかは分からないが。兎に角…、アルシュが目立つ!
 彼は行動的なので、雫と義昭を見つけるやダッシュで2人に接近した。
「あ、アルシュ♪」
雫は猫に気づいて、抱っこする。
「やっほー雫ちゃんと、二股剣士のよっしー」
何かとハイテンションのアルシュ。
―…一言多いし…(義昭の心の声その3)
「ということは、焔寿ちゃんが…」
義昭はアルシュがやってきた方向を見ると、にこやかに焔寿がいた。
「こんにちは?2人で何処に行かれます?」
「あのね、B級グルメを織田さんと一緒に回るの♪」
「あらら♪仲が良いですね」
その言葉に、義昭の胸に言葉の槍がグサリと刺さった。逆に雫は照れている。
 平たく言えば、焔寿からすると
「はっきりしない織田君が悪い」
という事を言われたのだ。
 義昭は此処で考える…。すでにある方の気配を読んでいるので…焔寿に目で…
「一緒にどうですか?」
という合図を送っていたりする。
 口にすると…ある方の視線が痛いどころか何かが飛んでくる。それだけは避けたいのだ。
「折角の秋ですし♪ご一緒できませんでしょうか?」
と、焔寿はにこやかに誘う。
 流石に、雫も焔寿の提案を拒否出来ることは出来なかった。前の事件『I wish to〜』の事もあるので立場的に悪い。
「うん、いいよ」
「では行きましょう」
 心の中で雫は
「折角のデートなのにぃ」と…嘆いていたとか。

 焔寿が寄った先は、浅草にある〈穂の香〉という郷土料理の店のようだ。義昭と雫は、大きな汗水を垂らしていた。
「焔寿ちゃん…」
雫がおどおどして訊いてくる。
「どうしたの?」
「ここって結構高い所じゃ?」
「確かにそうですけど、私のおごりです。私の両親の馴染みのお店なんです。ここの店主さんはお山を持っていて、他の所より松茸がやすく食べられるのですよ」
秋の味覚の王様である松茸。松茸づくし…。
雫と義昭は、庶民とブルジョアの金銭感覚の違いを痛感するのであった。
 其れはともかく(いいのかよ)、楽しく美味しい松茸料理を頂いた3人だった。
 暫くは腹ごなしで、浅草を散策する。
「次何処に行こうか?」
と、義昭が聞くと、焔寿は一考し…
「神田辺りまで移動はどうでしょうか?」
と、提案。
「確か美味しい喫茶店が有るよね」
と雫は、メモをみる。
 行動先は決まった様だ。
 焔寿はこっそり、後ろに隠れているかわうそ?にメールを送り、茜組と合流させる準備をしていた。


2.茜側から
 あやかし荘で、珍しく洋もので男性ジャケットとハンチング帽、パンツルックの天薙撫子と、いつもの格好の綾和泉撫子、B級グルメマップを片手にやってきた海原みあおが集まった。エルハンドはため息をつきながら、事の事情を話す。
「義昭君も大変ですよね」
と、クスリと笑う撫子。和装姿ばかり見ているので、珍しい格好であるが可愛い。他の皆もビックリである。
「ああ、そうだな…青春小僧と親父がちゃかすだろう」
エルハンドは苦笑する。
「織田君にはお礼をしなくちゃ行けなきゃ…」
と、汐耶はいう。前の事件のしっかりしたお礼が未だと言うことだ。
「みあおは、B級グルメって知らないけど、色々調べたいな♪」
みあおが言う。
「で、三人の関係には…どうするのかね?」
エルハンドは皆に訊ねる。
「其れはうやむやにするつもりです」
「そうですね、この場合…合流していって皆で楽しむ方が良いわ」
「恋路の邪魔をすると馬に蹴られちゃうんだよ。それにみあおが居れば、大丈夫だよ」
とても協力的な3人に感謝するエルハンド。
「ありがとう」
と、礼を述べる剣客。
 かわうそから電話が入る。エルハンドが状況を説明した。
「黒乃という萌え者が独断で両方にコンタクトを取ったが失敗、撃沈。今は雫と合流した白里焔寿が浅草から神田まで移動しているそうだ」
「では、こちらも焔寿ちゃんとコンタクトを取って、茜ちゃんと合流し神田に向かいましょう」
と撫子が言った。
「B級グルメ♪B級グルメ♪おねーちゃんたちはやくぅ」
と、みあおは軽やかな足取りで2人を呼び、目的地神田まで向かう。

 神田は古本街なので、汐耶にとってはお気に入りの場所、撫子も民俗学を専攻しているのでひょっとすると面白い本が見付かるかもしれない。しかし、みあおにとっては退屈な街かもしれない。漫画の古本屋でもあれば其れに越したことはないが、昔からの書生の資料通り、難しい古書ばかりだろう。
 途中、どこかで見たような神父が延々立ち読みしている所を見つけるが敢えて無視(その人物のゴタゴタに巻き込まれるのは勘弁)、一寸した茶店もあったので、意外にここでB級グルメを見つけるのは簡単かもしれない。
 焔寿とかわうそ?の連絡の取り合いで、ある美味しいコーヒーを淹れてくれる喫茶店があると分かった。
そこで「偶然」を装い、茜と雫を合流させる手はずを取るのである。
「みあお、おもったけど、どうやって合流するか詳しく話さなきゃ」
途中で美味しいたこ焼きを見つけたので食べているみあおが言う。
「まずは…物陰に隠れていても、すでにばれている茜ちゃんをどうにかしないといけませんわね」
茜の嫉妬の炎で、すでに義昭が彼女の存在を知っていることが分かる撫子が言った。
「エルハンドさんが火傷するぐらいらしいし…」
ため息をつく汐耶。
「じゃ、茜おねーさんをまず宥めることが良いかな?」
みあおは口元にソースを付けて答えた。撫子はウェットティッシュで彼女の口を拭ってあげた。


3.お約束の角でばったり作戦?
 まず、メールなどで作戦をまとめる。茜のほうは撫子が付いて追跡役、汐耶、みあお組は、偶然を装い雫と義昭の方と出会うように焔寿が誘導する。丁度、目標の喫茶店は通りの角にあり、そこでばったり出くわす形にするのだ。
たぶん、みあおのおかげで、周りには悪意有る「魔物」は居ないようだが…、問題なのは黒乃楓である。考え方が電波だけに(というか謎が多い)、また雫や茜に接触する可能性を考慮する。

 義昭と雫を追跡している茜のすがたは…エルハンドの友人が持っている黒ずくめで黒サングラスというMIB的で逆に目立つ。しかしゴスロリファッションのアクセントは全くない事は読者には教えておこう。
「…茜さん」
撫子が、茜の背中から声をかけた。当然茜は撫子の姿にビックリする。
「撫子さん!ど…どうして…はっ!」
と、バレると思って物陰に隠れる。
―もうバレてますよ(撫子の心の声)
「あの…何故分かったのですか?」
茜は恥ずかしがって、撫子に訊ねた。
「その服装は目立ちますし…。義昭君が心配なのは分かりますよ。でも、隠れて尾行するのは一寸だめかなっておもったんですけど」
と、茜を宥める
「だから、みんなで一緒にB級グルメを回るという案が出たのです。エルハンド様から」
「むー、エルハンドのお節介…」
流石に、茜も撫子の雰囲気…頼れる姉のような感じ…に負ける。
 すこし、エルハンドに文句を呟いた後、
「でも、もう少しこの状態で追いたい…いいでしょ?」
茜の願いに撫子はニコリと笑って頷いた。

みあおと汐耶が、ばったり雫と義昭と出くわす(コレも焔寿からのサポートあってのこと)。方法は至って簡単だ。アルシュとチャームを先行させて、焔寿が追いかける。そして…そこで猫を抱いている汐耶とみあおと会うということなのだ。ベタではあるが、街角という効果は高い。
「こんにちは、織田君」
「はじめまして、織田さん」
「こんにちは、汐耶さん。はじめましてみあおちゃん。お姉さん達にはお世話になってるよ」
「えへへ♪」
義昭は、みあおに頭を撫でる。
焔寿と汐耶、みあおは、第一作戦成功の合図でニコリと笑う。しかし、雫はどんどん機嫌を損ねている。この際我慢して貰うしかない。
丁度、此処に目的の喫茶店があるので、皆ではいる。
義昭は、無意識に店の奥に座る。これは、戦いに身を置く者の習性で、飲食店の中で一番見晴らしが良い隅に座れば、反応しやすいからである。
そして、変装している(?)茜と撫子が、少し遠くの席に座って眺めるのだ。既にバレていると思っても良いのだが、茜は完璧に尾行していると思いこんでいる。それに苦笑するしかない、撫子と、遠くで珈琲を飲んで和気藹々と喋っている皆だった。

4.それぞれの本音
「エルハンドのおかげなのか複雑…」
珈琲を飲みながら茜は悄気る。
「茜さん、エルハンド様は心配なんですよ…それにあなたも分かっておりますでしょ?彼の宿命」
「うん…あまり1人にすると…魔物が…」
そうである。織田義昭の魂は、魔物には極上の魂だ。ついでに言えば…。
「黒乃楓が干渉してくるかもしれない…よしちゃん、結構なんでも影響されやすい子だもん…」
茜は、義昭のことを想うあまりの言葉だった。
このところ、その類の連中がうようよしており、難儀極まりない。エルハンドも全員封印するつもりで居るらしい。
「大丈夫ですよ…義昭君は強いですから」
撫子は、茜を慰めた。

一方、珈琲談義で花を咲かせている義昭のテーブルでは、雫が悄気ている。デートに誘ったのにどうしてこう人が増えるのかが不思議であり、不満なのだ。神の悪戯としか思えない。
―神の悪戯?エルハンドさん?
雫はいきなり立ち上がり、店を出る。
「雫ちゃん!」
義昭達が立ち上がった。
「みあおちゃん、織田君、彼女を追いかけて」
「はい!」
2人は急いで雫を追う。
異常に気づいた茜と撫子も、後を追う。

―エルハンドさんどうしてよ!
雫は泣きながら走る。
前は涙で見えない…
「危ない!雫ちゃん!」
みあおが叫んだ。
「え?」
丁度赤信号で目の前に車が迫ってくる!
義昭が人間離れした跳躍で、彼女を救おうとする。
その前に、雫が別の影に救われた。
義昭はそのまま、受け身を取って、状況を素早く把握する。車は何事もなく通りすぎていった。雫の身体は道路にない。みあおも呆然としていた。
信号機の上に人の影…

“運良く”エルハンドが雫を救っていたのだ。

「せんせー」
「無茶をするな義昭…いくら常人の50倍の運動能力を持っても、障壁無しでは耐久性はほとんど人と変わらない。車にはねられると只では済まないぞ…」
エルハンドはふわりと降りりながら愛弟子を注意した。
そのあと、皆が駆けつける。
「大丈夫ですか?」
「たいしたことはない…“運が良かった”。それだけだ」
剣客はみあおを撫でていう。

義昭はこのことで…雫がどれだけ自分を想っているのか分かった。
しかし、茜も大事だし、自分には常に戦いに身を置く者…そして…大事な目標がある。
「義昭、後は皆に従うか自分で決めろ…」
師は雫を弟子に託して、屋根伝いでその場を去った。
「ん?あれ?あたし?」
目を覚ます雫。しかし、車にはねられそうになったところの記憶は雫にはないようだ。
「織田さん、どうして?恥ずかしいよう」
雫は義昭に横抱きされていることで赤面する。

―今の俺がすべき事は。

「義昭君」
撫子は心配そうに「弟」をみる。
「皆さん、茜…ごめん。今日は…雫ちゃんだけで色々回るよ…」
「…」
その言葉に、茜は沈黙していたが…。
(責任感強いんだから…)
「ちゃんと雫ちゃんのご機嫌とってこないと皆でいぢめるからね!」
と、笑いながら幼なじみの頭を軽くチョップした。
「ああ、わりぃ茜…すみません、皆さん…」
「織田さん…」
「いこう、雫ちゃん」
雫をゆっくり立たせ、お辞儀して雫と去っていった。

「後味悪いわね…」
汐耶は呟く。
茜は、にこやかに笑っていが、皆には分かる、無理をしているのを。
「ねね!のこっている皆でグルメ探ししよう!」
と、言った。
そして、其れを断る者は居なかった。
彼女の目には涙が浮かんでいた。

―振られた訳じゃないんだし…。今回は雫ちゃんに負けただけ。今度は負けないから。


0.5-2 閑話休題
美食軒で楓とかわうそ?が鶏ガラスープラーメン(100円税別)をすすっている。
「どういうきだい?ラーメンおごってくれるなんて?」
「ここもB級グルメ+忠告」
「??」
「あんたの考え、正しいかしらないけど、押しつけるのは良くない」
「は〜ナマモノに説教されるなんてな〜」
「お褒めにあずかり恐悦至極」
「ほめてねー」
何となくだが哀愁漂う1人の萌え者と1匹のナマモノだった。


End

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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【0328 / 天薙・撫子  / 女 / 19 / 大学生】
【1305 / 白里・焔寿 / 女 / 17 / 天翼の神女】
【1415 / 海原・みあお / 女 / 13 / 小学生】
【1449 / 綾和泉・汐耶 /女 / 23 / 司書】
【1678 / 黒乃・楓 / 男 / 17 / 賞金稼ぎ】

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■         ライター通信          ■
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滝照直樹です。
『三角関係と秋のグルメ』に参加していただきありがとうございます。
いつもお越し頂いている天薙様、白里様、黒乃さま、2回目の綾和泉様と海原さまありがとうございます。
この三角関係、今回は雫の積極的行動に軍配があがりましたが、まだまだ続くようです。
結果はVSN『神の剣』で分かるでしょう。

黒乃様、今回は雫も茜も「依頼を希望」しておらず、エルハンドとかわうそ?が「調査依頼」をしています。かといって、「萌え者」を極端に嫌うエルハンドが「萌え者」であるあなたを雇う可能性は0です(道理にかなった説明でエルハンドを説得出来るか、かわうそ?からなら可能性はあります)。なので、項目0.5として本編に参加できない結果となりました。

また機会が有れば宜しくお願いします。

滝照直樹拝