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<東京怪談ウェブゲーム アトラス編集部>


熱血ボウリング大会

●序
 既に潰れてしまったボウリング場から、夜な夜な聞こえる音がある。ゴロゴロ……カコーン!「……やはり一本」

「……は?」
 レポートを見るなり、碇は首を傾げた。
「だ、だからですね。閉鎖された筈のボウリング場から夜な夜な……」
「それは書いてあるから分かるわよ」
「は、はあ」
 ぴしゃりと言われ、三下はもぞもぞと口を動かす。
「これの元は何処なの?」
「と、投稿です。ほら、この手紙です。……ええと、玉原・美智子(たまはら みちこ)ちゃんっていう……玉原さんという、20歳の女性です」
 年齢の言い方を改めながら三下は言った。碇が目を通すと、それは美智子の通っている大学で肝試しをした時に起こった事なのだという。既に閉鎖されたラッキーボウリングというボウリング場から、音と声がするのだという。それも、大勢の声。
「成る程。夜な夜な行われる無人ボウリング場ね……面白いかもしれないわね」
 碇はそう言って三下を見る。三下は一瞬びくりと体を震わせたが、すぐに手にしている資料の山を見て顔をほころばせる。
「ぼ、僕は無理です!劇的に無理です!編集長が明日までにって!」
「ああ、言ったわね。……残念だけど、言ってしまったわね」
 碇は小さく舌打ちをしてから溜息をついた。
「じゃあ、誰か行ってくれないかしら?」

●集合
「ボウリングかぁ。暫くやってなかったわ」
 黒の髪を耳にかけながら、シュライン・エマ(しゅらいん えま)は苦笑した。青の切れ長の目がじっと配られたレポートを見ている。
「俺もだ。ただ、不得手という訳でもないが」
 金の髪を揺らし、黒の目を和らげながら真名神・慶悟(まながみ けいご)は言った。心なしか嬉しそうだ。
「懐かしいですな。一時期酷くはやりましたなぁ」
 こくこくと頷きながら、護堂・霜月(ごどう そうげつ)は言った。銀の目は遠くを見つめ、流行った頃を見据えている。
「俺、まともにやるとピンを倒すというか壊すというか……」
 困ったような口調で、しかし全く困ってないような黒の目をさせ、影崎・雅(かげさき みやび)は言った。黒の髪が、笑う拍子にゆらりと揺れる。
「怪力だからな」
 ぼそり、と雅に慶悟が突っ込みを入れた。
「俺、まだ初心者だけど大丈夫かなぁ?先月やったばっかりなんだよね。楽しかったけど」
 翠の目を心配そうにさせながら藤井・葛(ふじい かずら)が言った。レポートを見る拍子にさらりと黒の髪が揺れる。
「大丈夫よ。教えてあげるから」
 にっこりと笑いながらシュラインが言う。葛が嬉しそうに頷く。
「私も教えますぞ。なに、日本に入った頃からやりこんだから、大丈夫ですとも」
 霜月も頷く。皆の頭の中に『日本に入った頃?』という疑問が浮かぶが、それはあえて口に出さないようにした。
「……そういうものじゃないと思うのは、私の気のせいか?」
 ぼそり、と影崎・實勒(かげさき みろく)が口を開く。銀の髪の奥にある青の目が、不愉快そうに歪む。「というより、何故私はここにいるのだろうか」
「そりゃ、俺が連れてきたからだ」
 事も無げに雅が言う。實勒の眉間に皺が寄る。
「何故連れてくる」
「何となく」
 今すぐにでも何かが始まりそうな影崎兄弟の間に、三下が入る。
「み、皆さん!ちゃんと趣旨分かってるんですよね?ボウリングをしにいくんじゃないんですよね?」
「え?」
 皆が声をそろえる。實勒を除いて。三下が慌てたように口を開く。
「だ、だから!無人ボウリング場の調査に行くんですよ?」
「で、ついでにボウリングをする……と言う事ですな」
 こっくりと頷きながら霜月が言う。
「そうそう。そして、謎を解明する為にもボウリングをする、と」
 シュラインがにっこり笑って言う。
「娯楽を兼ねた依頼だろう?気楽にやれていいな」
 慶悟がボウリングの球を転がすかのようなジェスチャーをしながら言う。
「ボウリングって楽しいもんな」
 葛がうきうきとしながら言う。
「大丈夫だってば。なるべく壊さないようにやるから」
 雅がぽんと胸を叩きながら言う。
「……まあ、霊現象何ていうのは単なる思い過ごしが多いだろうから」
 一人観点の違う所を言いながら、實勒は煙草を口にくわえる。それを見て触発されたのか、慶悟も煙草をくわえた。三下は暫く口をぱくぱくさせ、それから真顔になって皆に向かった。
「ちゃんと調査してくださいね?」
 皆が頷く。一応、表向きだけは。

●準備
 シュラインは一人、日中のボウリング場に足を踏み入れた。どうやら閉鎖したのはついこの間のことのようで、電気さえ通えば機械がスコアを記録してくれるシステム自体は残っているようだ。
「良かったわ。私一人でみんなのスコアを書くのって大変だものね」
 シュラインはすっかりボウリングを楽しむ気満々である。恐らくは、皆も。
「ええと……レーンは特に変な所は無いみたいだけど」
 つるりと滑ってしまいそうなレーンを注意深く歩き、シュラインはピンの置いてある所まで近寄る。ピンも至って普通、ちょいと手を加えればどれも簡単に倒れる。それは全てのレーン共通のものであった。
「レーンの癖もないようだし……どうして一本残っちゃうのかしらね?」
 シュラインはうーんと呟き、ちらりと自分の持ってきた荷物を見る。シューズだけでもと、自分のものを持って来たのだ。
「ああ、楽しみだわ」
 取材、という文字はシュラインの頭から少しずつ抜けていくようであった。

 夜。再び六人は集結した。現場である、ラッキーボウリングに。
「まだ、誰も来ていないようじゃな」
 霜月がボウリング場を見て言う。
「みたいだね。良かった、もっとおどろおどろしいのかと思ってた」
 葛が言うと、シュラインがこっくりと頷く。
「昼間にちょっと来てみたんだけど、どうやら閉鎖したのが最近みたいなの」
「じゃあ、電気さえ通えば機械が生きているという事か」
 慶悟が言うと、シュラインは頷く。
「じゃあ、折角だから電気をつなげてしまおうぜ」
 雅が言うと、皆は一瞬呆気にとられた。至極普通に言う、雅に。
「それ、いいのかな?勝手にやっても」
 葛が言うが、霜月がこっくりと頷き、雅に同意する。
「確かに、電気を繋げた方がやりやすいですな」
「繋ぐか」
 慶悟が式神を呼び出し、電気を引っ張ってくるように指示する。
「後で請求が来なければいいんだが」
 式神が電気を引いてくる様子を見て、實勒がぽつりと漏らした。
「まあ、請求が来たら三下君に任せればいいわよ」
 シュラインが言うと、皆がそれに同意した。困った事があれば、とりあえず三下にまわしておけばいい。皆の心は一つだった。
「……哀れな気がするのは気のせいか」
 ぽつりと實勒が漏らしたが、あえて皆はそれを聞かないふりをした。恐らく、三下にとってはいつもの事なのだから。
「……そうか」
 帰ってきた式神に報告を聞き、慶悟が皆に向き直った。
「既に電気は引いてあるそうだ。スイッチを押すだけで動く状態になっているらしい」
 皆の動きが止まる。
「それはつまり……」
 葛が言うと、雅が後を続ける。
「幽霊さん達も電気をひいて、頑張ってた……?」
 皆が黙り込む。
「まあいいではないですか。電気を引く手間が省けたと思えば」
 一人霜月だけが妙に嬉しそうに言い、早々とボウリング場に入っていくのだった。

●開始
 中は広く、そして電気があるせいで酷く明るかった。
「こんなに明るくても幽霊さん達くるのかな?」
 雅が辺りをきょろきょろしながら見て言うと、慶悟が「ふむ」と口元に手を当てながら呟く。
「しかし、電気が引いてあったという事は……本人達も暗いと思っていたという事で」
「幽霊に暗いとかあるのかな?」
 葛の極々普通の質問に、皆が首を捻る。そんな中、實勒だけが「ふん」と言って一人はぐれる。
「私は少し辺りを回ってくる。誰かが隠れているのかもしれないしな」
「気をつけてね」
 シュラインが声をかけると、實勒はくるりと皆に向き直る。
「うちの愚弟が激しく迷惑をかけると思うが……私とこいつは無関係なので苦情は受け付けん。宜しく理解の方を頼む」
「愚弟だって。失礼だな、兄ちゃん」
 雅が口を挟むと、實勒は雅をぎろりと睨んでから去って行く。
「じゃあ、五人で始めるとするかのう」
 霜月はそう言いながら鞄を開ける。中から出てきたのは、マイボールとマイシューズ。
「そうね、始めちゃいましょう」
 シュラインもそう言って鞄からマイシューズを取り出す。
「凄いな……」
「いいなぁ」
「持ってこないといけなかった?」
 慶悟、雅、葛の三人が呆気に取られる。
「あ、あそこに靴の貸し出し跡みたいなのがあるけど……もう使えないかな?」
 葛がふと気付いて指差す。近付くと、ちょっと埃を被った靴が、ちょこちょこと投げ捨てられている。
「こっちのなら綺麗ですよ」
 困った三人にすっと靴が差し出された。三人がその靴を受け取ると、差し出した相手は嬉しそうに微笑む。女性の幽霊だった。足はちゃんとあるが、向こう側が透けて見える。
「……幽霊さん?」
 呆気にとられる雅に、女性はにっこりと笑う。
「正しくは、元店員の幽霊……かしら?」
「自分が幽霊だと自覚があるのか」
 慶悟が尋ねると、女性はにっこり笑って頷く。
「そうなのよ。尤も働いていたのは別のボウリング場だったんだけど、最近ここで毎晩ボウリング大会が行われていてね。それの手伝いをしていたらいつの間にか前と同じように店員やっているのよ」
 事も無げに女性は言う。葛は靴を見てから、頭を下げた。
「どうも有難う」
「いえいえ」
 その言葉に慶悟と雅もはっとして礼を言う。
「……シュラインさん、護堂さん。集まってきたみたい」
 レーンの前に座っていたシュラインと霜月に、葛が言う。シュラインと霜月もこっくりと頷く。
「うん、見てたもの」
「いいのではないか?賑やかで」
「そう言う問題なのか?」
 慶悟の問いは、霜月の大きな頷きで答えられた。
「じゃあ、やろうぜ。グループ二つに別れてさ」
 雅が言い、ゲームがスタートした。ふと気付けば、他のレーンにも着々と幽霊たちが集まり始めているのであった。

●勝負
 ゲームを始めようとすると、向こうから實勒が帰ってきた。上下をボウリングユニフォームに包んだ、中年男性と一緒だ。勿論、彼も幽霊。
「皆さん、どうも。わしはゲンと申す者ですが」
「本当。名札ついてる」
 葛はそう言ってゲンのユニフォームについている名札を見る。ゲンは頷いてから言葉を続ける。
「どうかね?わしと1勝負」
「商品は?」
 すかさず慶悟が聞くと、ゲンはにやりと笑ってポケットから何かを取り出す。金色のピンだ。
「……何、それ?」
 シュラインが苦笑しながら聞くと、霜月が「おお」と感嘆する。
「伝説のピンではないか!」
「知っているのか?」
「当たり前じゃ!……ボウリング全盛期にごく限られた人しか与えられなかった、ボウリング名人の証ではないか!」
 皆の頭に、そんなものがあったのか……という思いが浮かぶ。
「これを知っているとは……通だね?」
 ゲンがにやりと笑う。
「まだまだじゃよ」
 霜月も負けずに笑う。
「とりあえず、勝負をするんだよな。いっその事、全部のレーンを使ってやっちゃう?」
 雅が提案すると、いつの間にやら集まっていた幽霊たちが拍手で同意する。
「……いつの間に」
 慶悟がぼそりと呟く。實勒は大きく溜息をつく。
「やはり、その勝負とやらのメンバーに私が入っているんだろうな」
 ゲンはにっこり笑って頷く。かくして、七つのレーンに一斉に並ぶ事となった。
「行くわよ」
 シュラインが綺麗なフォームで投げる。カコーン、という清々しい音と共にストライクが決まる。
「我が技を見よ!でえい、螺旋衝球!」
 霜月の掛け声と共に、ボウリングのボールはもの凄い勢いでピンに向かって行く。そしてボールはピンのほぼ直前で接地し、猛烈なスピン掛かった。ボールはピンを弾き飛ばし、反射により全てのピンが倒れてしまう。
「よっしゃ、俺も負けない……ぞっ!」
 雅は勢いをつけてボールを投げる。一番重い玉なのに、それを軽々と持ち上げてもの凄い勢いで投げつけた。その拍子に袈裟が靡く。そして力技でピンを倒す。
「……動きにくくない?二人とも」
 袈裟姿の霜月と雅に、シュラインが尋ねる。二人は顔を見合わせ、首を横に振った。
「特に不自由はないがのう」
「ほら、俺ってば怪力だからさ。多少動きにくい方が壊さないかと思って」
 三人が談笑していると、隣からカコーンという良い音が響いた。
「まだ腕は鈍っていないようだな……」
 慶悟はそう言い、煙草を吸いかけてやめる。最初はゆっくりと、後半で追い上げるように投げていかねばならない。すると、呼息法を用いて呼吸を整え、集中して疲労を削ぐ必要がある。そんな中、慶悟のボールを式神が必死で磨いていた。どうやら、慶悟は本格的にゲームに集中する気でいるらしい。
「あー……俺、大丈夫かな」
 一応教えられたように葛はボールを投げる。穴に指を入れず、そのままの状態で。ガゴン!というものすごい音と共にボールがポケットに入っていく。なんとストライク。葛はにこにこと笑って元の位置に戻る。嬉しそうな葛に、周りの幽霊達も喜ぶ。
「……下らん」
 實勒は小さく呟き、無造作に投げる。玉は無造作に投げられたにも関わらず、綺麗に真っ直ぐ進んでいく。
「やはり、中々やるな」
 ゲンはにやりと笑い、自らもボールを放った。綺麗なフォームに、綺麗なボールの軌道だ。当然の如く取ったストライクに、周りの幽霊たちが喜ぶ。
 それからは接戦が続いた。やはり初心者である葛が上手く行かず、同じくあまりボウリングをやっていない實勒があまりいいスコアがはじき出されない。慶悟は前半、うまく感覚が戻らなかったらしく、後半に入って追い上げる事となった。上位はシュライン・霜月・雅・ゲンの四人が突っ走っていた。勝負は、ストライクを取れなくなった時点でつくのだといわんばかりに。
「あ!」
 一番に脱落したのは雅だった。動きにくい格好と、力任せのボールがピンを一部壊してしまった事にあった。何度も投げつけられたピンが、耐久度が減ってしまっていたらしい。
「あら」
 次に脱落したのはシュラインだった。地道に綺麗に決めてきたシュラインだったが、一瞬の気の迷いが一本だけ残してしまう事となってしまったのだ。
『一本……』
「え?」
 ふと声が聞こえた気がしてシュラインは振り向くが、声を発したような幽霊は見つからなかった。聞き間違いか、と思い勝負の行方を追った。
「……なかなかやるのう」
 霜月がにやりと笑う。
「……なあに、お前さんもな」
 ゲンがにやりと笑う。互いに互いを見つめ、健闘を称えあっているのだ。そして、最後の一投。
「でえい!」
 霜月は早々にストライクを決める。そしてゲンは……。
「ぬっ!」
 一本だけ、残った。ゲンはその場に崩れ、大きく溜息をついた。
「やはり、一本……」
 その途端、集まっていた幽霊たちが口々に「一本」と言い始めた。シュラインはぽん、と手を叩く。
「これ、ね」
「みたいだな。ずっとストライクを決めていても、何故か最後は一本残してしまうようだな」
 慶悟が自分のゲームを終わらせてから話に加わる。
「……別に一本残ろうがいいと思うんだが」
 實勒はつまらなそうに言い放つ。
「うーん、俺に比べれば全然いいと思うんだけど」
 自分のスコアを見て、葛が苦笑する。
「否、私には分かりますぞ!その無念、その悔しさ!」
 霜月はゲンの肩を叩き、うんうんと頷く。
「まあ、そういうのはこれからちょっとずつやればいいじゃん。それよか、お腹減らない?」
 雅はそう言って鞄から何かを取り出す。中から出てきたのは、草大福。皆が一つずつ取り、一つをゲンに渡す。他の幽霊達はただただその光景を見守っている。ゲンは恐る恐るそれを口にし、笑う。
「確かに……ちょっとずつやれば、いい事かもしれないなぁ」
 ゲンはそう言うと、金色のピンを霜月に渡す。
「次はそれを返して貰おう!」
「望む所じゃ!」
 皆が顔を見合わせて笑った。
「ここまで気を張ったのも久しぶりだ……。純粋に楽しんだし……自己ベストだ」
 スコアを見て、慶悟が笑う。心底嬉しそうだ。
「俺、もっと上手くなりたいな。今度はちゃんと指を穴に入れて」
 葛が言うと、幽霊たちがこぞって「教える教える」と立候補する。どうやらボウリング好きが集まっているようだ。
「次こそフィフス狙うわよ」
 シュラインはそう言って草大福を握り締めた。新たな目標が出来てしまったようだ。
「結局、上に行きたい人とかいる?何なら送るけど?」
 手についた餡子を舐めながら雅が集まっている幽霊達を見回す。皆首を横に振った。とりあえず、ボウリングに飽きるまではここにいるらしい。
「……あれは、見間違いだな」
 實勒は自分が最初に壊してしまったピンを見つめていた。明らかに壊れているが、恐らくは見間違いであると……思い違いであると信じながら。
「うむ、次は挑戦者として挑むが良い!」
 霜月はそう言って金のピンを掲げた。それに光が反射する。周りに集まっていた幽霊達もだんだん姿を消していく。
 いつの間にか、朝になってしまっていた。

●結
 六人は外に出て、大きく伸びをした。朝日が妙に目に染みる。
「明日……というか、今日。筋肉痛にならないといいけど」
 シュラインが光に目を細めながら言う。
「しっかり風呂に入れば大丈夫だ。……恐らくは」
 慶悟がボキボキと体を鳴らしながら言う。
「俺、眠い……」
 ふあ、と欠伸をしながら葛が言った。
「結局、何故私がここに来てしまったのか分からないままだったな」
 眉間に皺を寄せ、不愉快そうに實勒が言った。
「まあまあ、いいじゃん。楽しかったんだし」
 雅が心底楽しそうに言う。それに實勒は再び眉間に皺を寄せたが。
「そうじゃよ。ほら、ピンもこんなに輝いておるし」
 霜月が懐から金色のピンを取り出して太陽にかざした。金色のピンは光を受け、さらに輝きを増した。先ほどまで過ごした時間が、それと同じく輝いていたものであったといわんばかりに。

<反射する光に目を細めながら・了>

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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【 0086 / シュライン・エマ / 女 / 26 / 翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員 】
【 0389 / 真名神・慶悟 / 男 / 20 / 陰陽師 】
【 0843 / 影崎・雅 / 男 / 27 / トラブル清掃業+時々住職 】
【 0965 / 影崎・實勒 / 男 / 33 / 監察医 】
【 1069 / 護堂・霜月 / 男 / 999 / 真言宗僧侶 】
【 1312 / 藤井・葛 / 女 / 22 / 学生 】

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■         ライター通信          ■
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 お待たせしました、コニチハ。霜月玲守です。このたびは「熱血ボウリング大会」に参加していただき、本当に有難うございました。如何だったでしょうか?
 いつもとは違い、特に何もする訳でもなくただただボウリングを楽しもう!というものでした。こういう何も無いという状態もたまにはいいかなぁと思ったりもしました。因みに私はボウリング下手です。驚きの下手さです。
 シュライン・エマさん、いつもご参加有難うございます。やっぱりシュラインさんはボウリングが上手いんですね。何だか上手そうだなぁと思いました。いや、でも流石にマイシューズがあるとは思ってませんでした。そしてスコアを書けるとは…流石です。
 今回、ちょこちょこしか個別の文はありません。すいません。ちょっとノリを意識してみました。それでもちょこっとですけど個別分にしてあります。宜しければ他の方のも見てくださると嬉しいです。
 ご意見・ご感想等心よりお待ちしております。それでは、またお会いできるその時迄。