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<東京怪談ウェブゲーム ゴーストネットOFF>


■そうだ、廃墟、行こう。

――それでも、あなたは、廃墟に行きたいですか?

投稿者:GOMI
題名:廃墟ツアーのお知らせ


このツアーは廃墟を巡る企画です。今回の舞台は東京にある病院の
廃墟です。
ところで、廃墟内で、霊体験というのはよくある話です。しかし
どのくらいが「ホンモノ」なのでしょうか?
今回のツアーでは、それを検証してみたいと思います。
夜な夜なすすり泣く女の声、気分が悪くなる、恐ろしい化け物の噂
などなど。これらはここで確認されている事象の一部です。
他にも、様々な事象が報告されているようです。
あなたがそれを見つけて、個別に調査しても構いません。
さあ、一緒に検証しましょう。ホンモノがいかに少ないかという
ことを。
参加希望の方は、この板に【検証したい事】を書いて、レスを
つけてください。

〜注意事項〜

*破壊行為は厳禁です*
*廃墟内は危険箇所が多数あります*
*廃墟内の物品は持ち帰らないこと*
*香水や黒い服は避けましょう*

――それでも、あなたは、廃墟に行きたいですか?


■1−D それぞれの思惑

HN:God Child

title:ボクも参加してみようかな……

面白そうだね。ボク、参加させてもらうよ。

 ぱちぱちぱち。暗闇の中、キーボードを叩く音だけが響く。パソコンから漏れるモニ
ターの光。唯一の光源だ。それが、ぼうっとある人物を浮かび上がらせている。
 瀬川・蓮。輝く金髪、鋭い瞳。襟の立った白いシャツを中に着、赤のスカーフ、黒のダ
ブルコートといういでたち。その衣装は、小柄な少年をどこか子悪魔的に印象づけていた。
そんな怪しい魅力が人々をひきつける要因となっているのか。蓮はパトロンを多く抱えて
いた。蓮が、パパやママと呼ぶ類の人々。今いるこの場所も、そんなパパママ達の家のひ
とつに過ぎなかった。
 蓮はネットサーフィン中に、偶然この書き込みを見つけた。そしてその内容は、蓮の興
味をひくものだった。
(……それに、看護婦が殺されてるって話もあるし、あんがいホンモノもいるかもね)
 蓮は、ネットで例の病院について検索をかけていた。そしてこの情報を手に入れたのだ
った。
(ベタにでてきてくれると、すごく嬉しいんだけどな♪)
 蓮はいつになくわくわくしていた。
「ぱぱぁ、ままぁ、ボクちょっとでかけてくるね?」

 目的地へ行く途中、蓮はバスを待っていた。バス停の後ろには、派出所があった。バス
がなかなか来ないので、暇つぶしにと、蓮は派出所の掲示板を眺めていた。そこには、防
災のお知らせや、行方不明者の捜索願、指名手配犯の写真などが貼り出されていた。
「殺人犯……か。え、脱走? ふーん」
 それは、あごに大きなほくろのある男だった。殺人を犯したが、精神異常者で、精神鑑
定のため身柄を拘束されていた。しかし、隙を突いて逃げ出し、今も行方がわからないと
いう。
 となりには、看護婦の行方を捜している、という捜索願も出ていた。
 その時、バスが来た。



■2 メンバーと

「みあお頑張るよ!今日はね、みあおの病院克服ツアーなの!」
 大きなかばんを肩に掛け、さらにヘルメット、防塵眼鏡、安全靴と完全装備の海原みあ
おは、車椅子に座っているセレスティ・カーニンガムに一生懸命話していた。セレスティ
は、にっこりと微笑み、ただただ、うなづく。彼は今回黒いタキシードに身を包んでいた。
「セレスティは何調査するの?」
 みあおは車椅子の持ち手をつかみながら、尋ねる。
「私……ですか? 昼間に現象が起こるのか非常に興味がありますね……」
 そういって、ふふふふふ、とひそかに微笑む。ぬけるような白い肌に、流れる銀髪。美
しいだけあって、その笑みはどこか恐ろしい。
 と。ふわり。きつい香水のかおりが鼻をくすぐる。
「……なーんだ。みんな知り合いじゃん」
 言ったのは、瀬川・蓮。手を頭の後ろで組み、木の上で様子を観察していたのだった。
蓮は、木の枝から軽々と飛び降りると、にっと笑う。
「や。自己紹介するまでもないけど。とりあえずよろしくね」
 輝く金髪に、黒のダブルコートを着た少年。風が吹くたびに、きつい花の香りがあたり
に充満する。この原因はどうも蓮のようだ。自分でも気づいたのか、こんなことを話し出
す。
「あ、これ? ママがかけてくれたんだよ。おせっかいだよね、ボクはいいっていったん
だけどさ」
「……なるほどな」
 その言葉に、御影・凉は苦笑する。
「注意事項、全然守ってないわね」
 いつのまにか立っていた三つ編みの女性がやれやれ、といった感じで頭を振る。朝比
奈・舞。伊達眼鏡の奥の瞳は、その髪の色とあいまって美しい茶色に彩られている。しか
しその姿は仮の姿で、本当の名はイヴ・ソマリアという。
 そんな舞の態度が気に食わなかったのか、蓮が反論する。
「僕のこの服は、元々なの。そういったら、セレスティはどうなのさ」
 ぷう、と頬を膨らませセレスティを指さす。確かにセレスティも黒い服を着ている。
しかもこの日のために着てきたという。確信犯だ。舞と蓮が騒いでいる中、セレスティは、
ふふふふふ、と怪しげに笑いながら、一言こうつぶやいた。
「ちょっとした、悪戯心ですよ」
 その言葉に、二人は沈黙せざるを得なかった。
 しばらくして、蓮は、ちらり、と凉のほうを見やり、突然隣にいた緋磨・翔を指さして、
ぶしつけに尋ねた。
「ところでさぁ、この人だーれ? ボク全然、知らないんだけど」
「あ、紹介が遅れたな。彼女は俺の同行人の緋磨・翔。皆とは初めましてになるのか
な?」
 凉がフォローをする。翔は、「ま、そういうわけだ」と相変わらずクールな態度を崩さ
ない。
「さてと」
 凉がぐるりと皆の顔を見、尋ねる。
「……これで全員か?」
「……GOMIさんが来てないわ」
 舞(イヴ)が眉をひそめる。
「え?」
 その言葉に凉は驚いた。
「……主催者が来ていないとは、どういうことでしょう」
 セレスティも何かを思案するように、口元に手を当てつぶやく。
 ふと、凉は空を見上げる。急にあたりが暗くなったのだ。いつのまにか、黒い雲が空一
面に充満し、太陽を隠してしまっていた。
生ぬるい風が、ふわり、と凉の頬をなでる。
 と、その時、突然わおぉぉぉおおおん……という狼のような獣の叫び声が聞こえた。
「いやぁああああ〜〜〜!」
 みあおは頭を抱え、その場に座り込む。そんなみあおに、セレスティが優しく声をかけ
る。
 何かが、おかしい。皆の心の中には、そんな思いが充満していた。
 そこで凉は、自分が疑問に思っていたことを、皆に話し始めた。
 あの書き込みの内容が、ひどく本物の霊の存在を否定しているということ。
 そして、それは、実は霊の存在を認めたくない、そういうことなのだとしたら。
「……でも、誰がなんのために? なんで不特定多数の人々に、ツアーとか言って、わざ
わざ検証を依頼するの?」
 舞(イヴ)が尋ねる。
「それは……」
 凉が言葉に詰まる。と、翔が助け舟を出した。
「とりあえず、やってみるしかないさ。そうだろ?」
 そういって、翔は改めて病院を見上げた。鉄筋コンクリート製の白い建物。地上五階建
てのそれは、怪しいオーラを放っていた。
「そういえばさ」
 一人平気な顔をした蓮が、にっと不敵な笑みをうかべる。
「ここで、看護婦が一人殺されてるって噂、知ってる?」
「……なんだって?」
 蓮は頭の後ろで手を組む。
「まあ、それが関係あるのかどうかはわかんないけど。じゃ、それぞれぱっぱと始めちゃ
おうよ!」
 そして蓮はそのまま、病院の入り口へ駆けていった。


■3−C 検証開始


 蓮は3Fにいた。そこは病室が並ぶ階だった。蓮は持っていたレコーダーをとりあえずO
Nにし、録音状態にする。
「……なんか、特に変わったところはないよね」
 きょろきょろと見回したあと、あーあ、と大きく伸びをし、更にあくびをする。
「なんか、もうあきちゃったなぁ」
 あれから、皆それぞれここで起こるとされる事象の検証をするため、グループに分かれ
て行動することになったのだ。だが蓮は一人で検証を開始していた。
 しかしいたる部屋を見て回ったが、部屋が荒れ果てているだけで、たいしたものもみつ
からなかった。
(殺された看護婦とかやっぱデマなの? そんなのつまんないよ)
 蓮はぷうと頬を膨らませる。
(黒い服も、香水もなんかあんま意味ないしさ。ちぇ)
 と。
 目の前にナースコールセンターが見えてきた。
「また、たいしたことないんだろうな」
 蓮は、特に期待もせず中に入る。室内は荒れ果ててはいたが、いくらか物が残っていた。
薬が入った棚、看護婦達が仕事をする机、そして大量のカルテ。一度放火されたのか、カ
ルテは黒く焼け焦げていた。
(ん?)
 そのカルテの山の中で、蓮は妙に一枚のカルテが気になった。拾ってみると、そのカル
テは放火から免れたようで、状態は良好だった。
 蓮は、そのカルテを読もうとした。その時。
 からからからからから……。
 不審な音。
 何か、車輪のついたものを押している、そんなときの音。
 蓮は、ゆっくりと後ろを振り向いた。
 すると。
「え!?」
 女。白いナース服を着た、女。しかし、その服はバラのような模様で彩られていた。
 蓮は、すぐにそれが何か気づいた。
(血だ)
 それは、血しぶきのあとだった。
 女は、センターの外で蓮をじっと見ていた。腰まで伸びた黒髪。前にざんばらにたらし
ているので、表情はわからない。しかし、視線はなぜか感じられたのだった。
 白い骨だけの手で、ストレッチャーを押しながら。
(ホンモノ!?)
 蓮は、センターを飛び出す。カルテをポケットに押し込み、長い廊下を走る。
 すると、それに気づいた女がものすごい勢いで追ってきた。
 からからからからからから。
 ストレッチャーにかけられた布が、ばたばたとはためく。その時、ちらりと足のような
ものが見えた。
(死体だ)
 蓮は思った。蓮は走った。しかし、恐怖は感じなかった。どこか楽しさのようなものま
で感じていた。蓮は走った。走って走って、トイレに駆け込んだ。そして、個室に入り、
カギをかける。
 にげられるとは思わない。ただ、何かわくわくしていた。トイレの外では、からからか
らという音がどんどん近づいてきていた。
 蓮は、荒い息をつきながら、身を潜める。からからから、という音は、もうすぐそこま
で迫っていた。
 蓮はふと、さっき拾ったカルテのことを思い出し、読み始める。
(院長の……カルテ?)
 こんこん。突然、ドアをノックする音。そして、ばんっと扉を大きく開ける音。あの看
護婦が、ひとつひとつの個室をチェックしているのだ。
 一瞬、びくっとするが、さらに蓮はカルテを読みすすめる。そこにはこんなことが書か
れていた。院長は精神異常で、自らも診察を受けていたという事実。だが、本人はそれを
認めていない、と書かれた文面。
 そして、最後に写真に目をやる。
(これは……)
 それは、どこかでみた顔だった。細面の顔に、短く刈り込まれた黒髪。そして……。
 あごにおおきなほくろ。
 それは、指名手配されているあの男だった。
(まさか……看護婦殺しって……)
 外にいるあの看護婦は、もしかしたら……。ある思いが蓮の心の中に広がる。
(あれ?)
 こんこん、というノックの音が消えたのだ。おかしいな……。蓮はそう思いつつも、少
しほっとする。しかし。
 視線。ねっとりとまとわりつくような、視線。それをふと感じ、蓮は上を見上げた。
(うわっ!!?)
 するとそこには、あの女が、前髪を振り乱しながら、個室の壁に張り付くようにして蓮
を覗いていた。
(……て……)
 女はなにかつぶやいた。
(?)
 蓮は、じっと女を見据える。
(たすけ……て……)
 女は、そういうと蓮にあることを伝えだした。

■6 GOMI登場・そして

「どうも。私がGOMIです」
 白のシャツに黒のズボン、といった軽装の男はそう名乗るとにっこりとほほえんだ。
 あごに手をやり、ぽりぽりと掻く。大きなほくろが特徴的だった。
 皆は手術室に集まっていた。凉達から連絡を受けたのだ。GOMIとは1Fを調査している
ときに出会ったという。
「すみません、ちょっと遅れてしまって。でもみなさん調査してくださったようですね。
ありがたいことです」
 しかし、そんな言葉とはうらはらに、皆からの話を聞いたGOMIは、それをじつにさわや
かに笑い飛ばした。
「でしょう? ほとんどの霊現象なんて、そんなものですよ」
 凉の人影は、鏡の見間違い、みあお達の女性の叫び声は風の音、ということだった。
さらに、化け物については、
「黒い服に香水、だめだといったでしょう? ハチに襲われますから。黒い服は、彼らの
好む色、香水は彼らの闘争本能を刺激するものなんですからね」
「もう……おそわれました……」
 イヴがげんなりした表情で答える。
「まあ、私もハチが巣を作っているということを、知らせなかったのが悪かったですね」
 GOMIはぽりぽりと頭をかく。
「……さて、検証では霊現象らしきことはなかったと。そういうことですね」
 GOMIがにやり、と微笑む。
「まぁ、そうでしょうか……」
 凉がつぶやく。
 と、それに蓮が反論する。
「……ううん。ボク、会ったよ?」
「なんだと?」
 GOMIの表情が、変わる。
「ストレッチャーを押した、血まみれの看護婦の幽霊。でたんだよね」
 蓮はにっと不敵な笑みを浮かべる。
「それにさ、あんたが犯人だったんだね。看護婦殺し。ボク、聞いたんだよ、彼女から」
 さらにセレスティがつぶやく。
「……このナース服からも、読み取ることができましたよ」


■7 真実は


「看護婦を殺している?」
 翔がつぶやく。
「GOMIさん、あなたは……」
 凉はGOMIにたずねる。
「何者なんですか? なんで僕たちを集めてこんなことを!?」
「そいつは、精神異常者さ」
 蓮がつぶやく。
「そして、この病院の院長さん」
 蓮が一枚のカルテを取り出す。その写真は、まさしく目の前のGOMIそのものだった。
「あと、指名手配の殺人犯だっけ」
 蓮は、自分が来るときに見た指名手配書について語った。
 それは、あごに大きなほくろのある男。殺人を犯したが、精神鑑定のため身柄を拘束さ
れていた。しかし、隙を突いて逃げ出し、今も行方がわからないという。目の前のGOMIの
あごには、大きなほくろがあった。
「病院が廃墟になったのは、こいつの医療ミス。それがすべての始まりさ。
 自分の医療ミスで、こいつは患者を死なせてる。だけど、それをもみ消したんだ。見て
いた看護婦に口止めしたんだけどね、その看護婦は事実を公表すべきといった」
 セレスティが続く。
「看護婦さんは、あなたを愛していました。だからすべてを話すべきだとそういったんで
す。けれど、あなたは彼女に乱暴したばかりか、メスで胸を刺し殺してしまった」
 蓮がうなずく。
「で、あんたは院長である権力で、なんとか看護婦の死体を処理した。さらにその後、な
にくわぬ顔で、手術をし続けたんだ。そのときには、もう精神おかしくなってたんでし
ょ? 他の医者が、あんたをこっそり診察して書いてあったよ。このカルテに」
 ひらひらと蓮はカルテを振る。
「けど、おかしい上に、あんたのその腕じゃ、また同じことが起こる。そして医療ミスが
再び起こったのさ。
 隠していても、口コミってのは怖いよね。一気に噂が広がったんだ。あの病院は、やば
いって。それで、評判はがた落ちさ」
 セレスティが、つぶやいた。
「だから、あなたの病院は廃墟になったんです。あなたが捕まってから。それなのに」
「そう、それなのに。なんで、また病院に戻ってきた?」
 蓮がうなるようにたずねた。すると、GOMIは、ふっふっふ、と狂った笑い声をあげなが
ら叫んだ。
「何を言っているんだ? いいか、俺は院長だ。この病院の院長なんだよ! ここは俺の
病院だ。俺は、再建させるために戻ってきた。けどな、霊がでるとかそんな噂が飛び交っ
て、誰も近づこうとしない! 霊現象が起こるから、俺の病院がつぶれたんだ!」
「違うわ、病院がつぶれたのは、自分の腕のせいじゃないの。霊現象のせいなんかじゃな
い」
 イヴがぴしゃりと言い放つ。しかし、GOMIは聞いていない。
「うるさい! いいか、ホンモノなんていない、ああ、俺の病院に限っているはずがな
い! だからネットで検証を頼んだのさ。
第三者から見て、霊がいないって証明されれば、再び俺の病院には活気が戻るんだ!」
「……狂ってる」
 みあおは、がたがたと震えた。
「本物を認めたくない、ってのはそういうわけだったのか」
 凉がぎりっと下唇をかむ。
 GOMIは邪悪な笑みを浮かべる。
「そうさ。バカなやつらだ」
「……バカはお前だ」
 その時、GOMIが突然弧を描いて吹っ飛んだ。翔の拳が炸裂したのだ。
「ホンモノの恐怖を、教えてあげましょうか?」
 イヴの体が、光に包まれる。ごうっと背後に青い炎が立ち上ったかと思うと、後ろに巨
大な時空の穴があき、魔界が召喚された。
「ひ、ひぃいい!!」
 その瞬間、GOMIは白目をむき、泡を吹いてその場にくずおれた。
 そして。
 からからからからから。
 どこからか、聞こえる車輪の音。
 突然、手術室のドアが、開く。そこにはぼうっとたたずむ女性の姿。白いナース服は、
血にまみれ、ストレッチャーを押す手は白い骨。腰まである長い黒髪は、前にたらしてい
るので表情はわからない。
 そして、死の看護婦はGOMIをストレッチャーに乗せると、一言こうつぶやいた。
「入院の……準備が……できました」
 うぎゃあぁああああ、と悲痛な叫び声のみがあたりに響きわたり、すべては闇に包まれ
た。


■8−E エピローグ

 蓮は、外にでてきていた。改めて病院を眺める。それは今でも不気味なオーラを放って
いた。
(あんなことがあったんじゃね……)
 と。かちり。機械が止まるような音がどこからか聞こえた。
「?」
 蓮は、ポケットに手を突っ込む。
 するとそこには、録音状態にしていたレコーダーがあった。一部始終はすべてこのレ
コーダに記録されているのだ。また、カルテも一緒に出てきた。
 マスコミに流せば、結構な額になるかもしれない。けれど、蓮はゆっくりと頭を振り、
そんな考えを打ち捨てた。
(面白かったし、ま、いっか)
 蓮は、カルテをびりびりと引き裂くと、夜空にばらまいた。紙ふぶきは、風に乗ってど
こまでも遠くに飛んでいった。
 
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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【1415/海原・みあお/女/13歳/小学生】
【1831/御影・凉/男/19歳/大学生兼探偵助手】
【1883/セレスティ・カーニンガム/男/785歳/財閥総帥・占い師・水霊使い】
【2124/緋磨・翔/女/24歳/探偵所所長】
【1790/瀬川・蓮/男/13歳/ストリートキッド(デビルサモナー)】
【1548/イヴ・ソマリア/女/502歳/アイドル兼異世界調査員】


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■         ライター通信          ■
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 どうもはじめまして。依頼のご参加どうもありがとうございます。雅 香月と申します。
以降おみしりおきを。

 各タイトルの後ろの数字は、時間の流れを、英字が同時間帯別場面を意味しております。
人によっては、この英字が違っている場合がありますが、それは個別文章だということで
す。また小文字が入っているものは、同じ展開で、ちょっとアレンジが加えてある場合を
指します。

 この文章は(オープニングを除き)全18場面で構成されています。大きくわけた展開
は三つ。@凉&翔様、Aみあお、セレスティ、イヴ様、B蓮様という感じです。もし機会
がありましたら、他の参加者の方の文章も目を通していただけるとより深く内容がわかる
かと思います。また今回の参加者一覧は、受注順に掲載いたしました。

 @初めての東京怪談。ということで、気合をいれすぎて、皆様を、大変お待たせさせる
結果になってしまいました。(汗)
 無駄に描写も多いので、かなり長くなっております。申し訳ありません。
 ただ、その分、面白いものを!!と努力したのですが、さてさて、うまくいっているで
しょうか? 
 雅のポリシーは、キャラクターメイン、プレイングを最大限に生かす、というものなの
で、皆様のOMCはできる限り拝見させていただいております。そこから、イメージをふく
らませて文章を書いています。けれども、雅アレンジで暴走させてしまうこともしばしば。
(セレスティ様が今回そうでした・(汗))をぃ、キャラ全然違うぢゃねえか、とお思いに
なったら、ばんばん言ってくださいませ。
 雅は、ギャグが大好きです!こんなノリでよければ、ぜひまたよろしくお願いします。
もし感想、ストーリーのツッコミ、雅への文句など、ありましたらテラコンのほうから、
お聞かせ願いたいと思います。(感想は……頂けると嬉しいですv)
 それでは、今回はどうもありがとうございました。また機会がありましたら、いつかど
こかでお会いしましょう。

蓮様>実は、今回一番重要なシーンを割り振らせていただきました。この話のキーは、蓮
様の行動にあります。黒い服や香水のプレイングをもっと生かそうとも思ったのですが、
看護婦との接触をメインにおかせていただきました。
ちょっと伏線を張りすぎて、意味がわからないということになっていなければよいのです
が……。(汗) 小悪魔的な魅力の蓮様は、本当に不思議な魅力をお持ちですね。私もうっ
かりパトロンになってしまいそうです。(笑) それでは今回はどうもありがとうございま
した。