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<東京怪談ウェブゲーム アトラス編集部>


魔女狩り−2

オープニング

話は一人の少女の投稿葉書から始まった。
姉を誘拐された桃井美智という少女の依頼を受け、麗香は調査員を派遣し、見事に姉を連れ戻した。
だが、このままでは同じ事の繰り返しになるため、麗香は再び調査員を派遣するように三下に頼んだ。
それに…美智という少女の事も気になっていたのだ。
「…もし、この事件を起こしたのが本当に美智さんなのかしら」
麗香が見ているのは美智の両親の事件の記事。
「…。まぁ、いいわ。ロイドゼネクションもほうっておけないし…」
「編集長、調査を受けてくれる人が見つかりました」
そう言って、三下は麗香に調査員の書類を渡した。


視点⇒雪ノ下・正風


「俺に話が来たって事は魔女関係、ですか」ペンを置き、電話の向こうの三下に言う。
『はい、桃井美智さんという―」
 その名前に正風は聞き覚えはあった。いつも感想や応援の手紙を送ってくれる子だ。そういや、昨日担当から渡された手紙はチェックしてなかったなーと考えながら電話の受け答えをする。
「分かりました。こっちで調べてみますんで」
 そう言って電話を切る。
「さて」
 椅子から降りて、昨日渡された封筒を見始める。予想通り桃井美智という名前が書かれた封筒を見付けた。いかにも女の子が好みそうなピンクの封筒にハートのシールがはってある。

―雪ノ下 正風様
いつも小説を楽しくよんでいます。今回の魔女ッ子ノエルが今までで一番好きなお話です。私も魔女ッ子になりたくて小説の中の魔女講座をしてみたら、私も力が使えるようになりました。ありがとうございます。これからも頑張ってください。

「…お、俺のせい?」
どうやら正風は大変なことをしてしまったらしい。仕方がない、と担当に電話をして原稿の締め切りを一週間伸ばしてもらうことにした。
『一週間ですからね』
担当の念押しに苦笑しつつ電話を切る。
「さて、と」
 手紙に書いてある住所を便りに車を動かす。さほど離れていることはなく一時間ほどで着いた。
 インターホンを鳴らすと姉、詩織が出てきた。
「雪ノ下 正風と言いますが…美智さんはいらっしゃいますか?」
名前を名乗ると、詩織は慌てたような表情をした。
―俺も結構知れ渡っているんだな…。などと考えながら中に入る。
「本物の正風さんだ!」
 美智ははしゃいで正風の隣に座ってきた。
「いつもお手紙ありがとう」
 そう言って正風は今週末発売の新刊にサインを書いて美智に渡す。美智は嬉しそうにそれを手に取りペコリと頭を下げる。
「ちょっとお姉さんは外してくれますか?」「…分かりました」
 詩織はぺこりと頭を下げるとリビングから出ていった。
「…美智ちゃん。俺が来た理由、分かる?」
「?いつもお手紙送ってるから?」
正風は静かに首を横に振る。
「魔女の力、それは決して簡単なものではないんだよ。幼いキミが手にしていいものでもない」
言い終わると同時に頬に鋭い痛みが走った。触れてみると赤い血が手についた。
「私は、この力でお姉ちゃんを守るの!ほっといて」
「キミは自分が手にいれた力の恐ろしさを知らない」
「うるさい!」
つむじ風のようなものが一気に正風に襲いかかる。だが、自分の知った力のため対処法は頭の中に叩き込んである。正風は受け流すようにつむじ風を消す。
「俺の知った力では俺に勝つことはできない。俺はキミを普通の女の子に戻しにきたんだ。…魔女狩りだよ」
「…っ」
力に使い慣れていない美智が一気に使ったからか美智はゼェゼェと息苦しそうにしている。
「苦しいだろ?力を使うのは楽じゃないんだ。ましてやキミのような子供ならばなおさらだよ」
 頬を流れる血を服の袖で拭い、正風も戦闘体制に入る。美智は力を勢い任せで使い、部屋をめちゃくちゃにした。―が、その時…。
「…!危ない!」
 美智の後ろにあったタンスがバランスを崩し美智の方に倒れてきた。どすん、と音をたててタンスが倒れる。美智はそぉっと目を開くとそこには自分をかばう正風の姿が目にはいった。正風の足はタンスの下敷になっており動くことができない。
(今、攻撃くらったらやばい、かなぁ…)
頬を汗がかすめる。が、正風がみたものは予想していたものとは違った。
―ポタリ
「美、智ちゃん?」
「ご、めんなさい。ごめんなさい」
美智は泣きながらひたすら謝っている。
「キミは優しすぎるんだ。魔女なんて似合わない。普通の女の子に戻ろうね」
正風は緩やかに微笑み美智の額に手を当てた。
「鬼胤打破」
 そして、静かに気を放つ。
「キミの魔力の源は壊したよ。人の女の子として幸せになりなさい」
美智は泣きながらコクコクと頷く。
「魔女は…俺の母は幸せ掴むのに苦労したから」
ね?と静かな笑みを見せ、美智の頭を撫でる。
「さて、俺は帰るよ」帰り際に美智が一枚の絆創膏を差し出した。
「ごめんなさい…頬の傷…」
「大丈夫だから気にしなくていいよ」
 そう言って桃井家を後にする。


正風はその後、報告のためアトラス編集部に足を運んだ。
「あら、終わったの?」
碇麗華が電話で話しながら正風に話す。
「はい、そういえばロイド…なんとかって会社は?」
麗華はその言葉ににっこりと笑いながらテレビをつける。するとスクープとアナウンサーが言っている。何事かと思いテレビに近付くとロイドゼネクションが倒産したと言っている。
「裏でしていることを全部流してやったのよ」
麗華は自信ありげに言う。
「そっか。じゃあ俺は戻ります」
もう帰るの?と麗華が聞いてくる。
「えぇ。担当に無理を言って締め切り伸ばしてもらってますから」苦笑いをしながら正風はアトラス編集部を後にした。
―力を持つことが幸せなのか、持たないことが幸せなのか…。

「さて、原稿を早く仕上げなきゃな」
正風は欠伸をしながら自宅へと車を走らせた。



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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号/PC名/性別/年齢/職業】
0391/雪ノ下・正風/男性/22歳/オカルト作家

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■         ライター通信          ■
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雪ノ下・正風様、初めまして。瀬皇緋澄です(^−^
今回は魔女狩り−2に発注をかけてくださりありがとうございます。
雪ノ下様は他のPC様とはちがったプレイングでしたので個別にさせていただきました。
少しでも面白いと思っていただけたら幸いです♪
では、またお会いできる事を祈りつつ失礼します。

−瀬皇緋澄