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<東京怪談ウェブゲーム 草間興信所>


血の記憶:後編
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□――― 回想―遠い過去 ―――□
血の臭いが立ち込めていた。
路上には、もはや人とは呼べなくなった肉の塊が、哀れな屍を晒している。
つい先刻までの阿鼻叫喚ぶりが嘘のように、村は静まり返っていた。
「ただの人が、鬼を封じることなどできませぬ」
どこかで見た覚えのある老婆が、聞き取りにくい発音でそう言った。
「鬼を傷つけるには、あの刀でやつを斬るしかありませぬ。しかしあの刀は魂を喰らう。貴方の心もあの娘のように喰われてしまいます」
「だからと言って、あの娘を放っておくわけにもゆくまい」
低い男の声がして、チリと刀の鍔が鳴る。
「鬼の呪いを受ければ、親戚縁者にまで類が及びますぞ」
空気を振動させて、男が笑った。
「―――なに。私に身内はおらぬ」
言って男は立ち上がり、再びチリ、と刀が鳴った。
振り返り、血のように赤い夕日を浴びた男の顔が露わになる。
静かな光を湛えた黒い瞳。
誰かに似ている、と思った。

―――ああ、あれは……

今は目を閉じて動かない、青い目をした青年の眼差しだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「坂崎の血の記憶でも覘いたか。呆けた顔をしておる」
鬼の声に、我に返った。瞬きをする。目の前にあるのは、ごつごつした鬼の身体と、赤茶けて死に掛けている大地だけだ。
侍の姿はないし、侍に話しかけていた老婆もいない。今まで目にしていたと思った映像を突然奪われて、シュライン・エマは呆然とその場に立ち尽くした。
(今の侍は透くんの…………?)
ちょっとした面影が、似ていたのだ。朝から興信所で眠りこけている、渋谷・透(しぶや・とおる)に。外見だけを言えば、白人の血が入っている透が、純日本人の顔立ちをしていたさっきの侍に似ているわけがない。だが、シュラインが思わずはっとするほど、共通する個性を二人は持っていた。
咄嗟に辺りを見回して、あの侍の姿を探す。でこぼこと岩だらけの荒れた大地。存在するのは鬼と、自分たちだけだ。廣瀬・秋隆(ひろせ・あきたか)に海原・みその(うなばら・みその)が、狐につままれたような顔をしている。
「何だったのかしら?イヴちゃんも見た……みたいね」
怪訝そうに眉を寄せて視線を投げているイヴ・ソマリアに、シュラインは声をかけた。ケーナズ・ルクセンブルクの傍に立っていたイヴは、シュラインの言葉に考え深げに頷く。
どうやら、ここにいる全員が、シュラインが見たような映像を目の当たりにしたらしい。
(ここは透くんの意識の中だから……やはり、彼に関わることなのかしら)
しかも、侍と老婆が話していたのは、シュラインたちが対峙している鬼のことではないのか。だとすれば、あの侍こそ、鬼の言っている「坂崎」と言う剣士なのだろうが……。
不思議そうにしているものたちを見て、鬼が声を上げた。クク、と忍ぶような声が空気を振動させる。
からかうような、嘲るような、悪質な笑い声だ。驚いている彼らをおかしげに見つめた鬼は、頬まで裂いたような口を広げた。にぃっと、まるでスマイリーフェイスのように口の端が持ち上がり、赤い口内が露わになる。
「坂崎か……あれは強い剣豪だった。我の首を刎ねることが出来たのも、あの男の腕があってこそ。……そして、刀に魂を奪われてからも、強かった」
面白がるような、それでいて憎憎しげな声で、鬼は喋っている。
それは、数百年前に行われた、殺戮の記憶だ。村が恐怖に包まれ、身体よりも先に心が死んでしまった、あの不気味な沈黙と燃えるような夕日の景色。血のように赤かった夕日が山の裾野に沈む光景が、まざまざと脳裏に蘇った。
「今までに俺の刀を手にした誰よりも多く、坂崎は人を殺めた。この子どもに流れている血は、そういう血だ。鬼の俺が言うのだから間違いはない……この血は、鬼神の血よ。人の血を誰よりも多く浴び、国中のものたちに憎まれ、怨まれて殺された男の血族だからな」
「だからといって、透が貴様に怨まれる筋合いなどない」
ケーナズが、鬼の言葉を冷ややかに切り捨てた。青年の顔は、嫌悪と怒りに歪んでいる。人に対して冷静な姿勢を滅多に崩さない男だが、実際は感情の起伏が激しい人間なのだ。
真っ赤に燃えさかる目を向けて、鬼は透の意識を取り戻すべく、この世界へ足を踏み入れた人間どもを見やった。
「たかだか数十年生きただけの子どもにはわかるまい。怨みとはそういうものだ。血とともに受け継がれる」
「気持ちは……まー分からなくもないが、透に罪はねぇだろうに」
手で落ちかかる髪を掻き上げて、秋隆は苦い顔をした。
そもそもの発端が、二百年も昔の出来事ならば尚更だ。何を今更……と言われても不思議はないだろう。
「あんたらの寿命がどれだけ長いか知らないが、二百年だぜ。過去のことが洗い流されるには十分な時間だ」
肩を竦めて見せる秋隆は、話しながらも左手が拳を作っている。握っては、開き、また軽く握りなおす。まるで焦る心を抑えようとするかのようだ。
とりあえずは会話を引き伸ばして、少しでも透の身体に鬼が入るのを遅らせ、その間に何かの策を練るしかない。口に出しては言わないが、誰もがそのことを考えていた。
鬼の気を引くのは仲間たちに任せ、シュラインはきつく眉を寄せて頭を回転させる。
直接鬼と対峙できるような力を、彼女は持ち合わせていない。その分、冷静にならなくては……そう自分に言い聞かせる。
段々、鬼の言葉も上の空になりつつあった。その分、集中力が高まって、シュラインは自分の頭が活発に機能し始めるのを感じる。
厄介なのは、鬼の出す毒だ。鬼に危害が加われば、その毒は透の中へ放出される。
(一気に浄化することが出来れば、一番安全なんだろうけど……)
果たしてそこまでの力があるだろうか。何しろ、一瞬にして鬼を燃やし尽くすだけのエネルギーが必要になるのだ。
(空間を隔離する手もあるけど……透くんの一部を抉り取ってしまって大丈夫なのかしら)
鬼を倒すまでの間、空間を隔離することは可能だろう。この場に居合わせたみそのや、イヴやケーナズが、人並みならぬ力を備えていることを、シュラインは知っている。
だが、一度透の一部に毒が混ざってしまったら、その部分を元に戻すことは出来ないのだ。空間を解除した瞬間に、毒は透の身体に広がってしまう。
八方塞り……と、思わず浮かんだ言葉を無理に打ち消した。諦めていては、可能性を否定するようなものだ。考えろ……と自分に念じる。必ず、方法があるはずだ。
遠巻きに見守るしかない人間の様子をバカにするように眺め渡し、鬼は生臭い匂いのする息を吐いた。
「俺を憎いと思うのなら、かかってくるがいい。途端に鬼の毒はこの子どもの血に混じり、内側からじわじわと身体を蝕んで行くことになる」
手出しが出来ない面々を見渡しながら、鬼は少しずつ身体を大地へと沈め始めた。嘲るように口を左右に開いた鬼は、ふと、僅かに顔を揺らめかせてその動きを止めた。


□―――五里夢中
「お兄様!」
背後から突如聞こえた耳慣れない声に、シュラインは我に返る。荒れ果てた大地には、今まで存在しなかった人影が出現している。都内の高校の制服を纏った少女……久喜坂・咲(くきざか・さき)に、片手に刀を下げた青年……御影・涼(みかげ・りょう)。声を発したのは、金髪のはっきりした顔立ちの美女である。……ケーナズの妹、ウィン・ルクセンブルクだった。
「ウィン……おまえ、何故ここに」
鬼を睨みつけていたケーナズは、驚いた顔をして妹を見つめた。兄の方へ向かって真直ぐに歩いてゆくウィンの背後で、他の二人が立ち止まって口々に説明を求めている。
「透くんは大丈夫なの?」
「状況はどうなっているんですか」
雰囲気から、のっぴきならない状況だということは分かるのだが、状況は今ひとつつかめないようだ。さて、どう説明したものかと、シュラインは首を傾げた。
「んー……大丈夫といえば大丈夫だけど、かといってこのままでは危ないわね。透くんを人質に取られているような状況で、手を出しかねているのよ」
「あの鬼……透さんを狙ってたのね」
鬼に視線を投げた咲が、筆で描いたような眉を顰めて呟いた。
「知ってるの?」
「ええ。前に透さんと出かけた時、ヤツに襲われたのよ。……あの時は、もうちょっと大きかった気がするけど……」
と咲はしきりに首をかしげている。
その脇をすり抜けてケーナズの傍らに居る少女に近づいたウィンが、手にしていた楽譜をイヴに手渡した。その音の連なり自体に、霊の浄化作用がある楽譜である。魔力のこもったイヴの歌声に乗せれば、その効果は何倍にも膨れ上がるはずだった。
「頼まれものよ。確かに渡したわ」
すぐにそれを受け取って、イヴ・ソマリアは口元に小さく笑みを浮かべた。イヴはこっそりと、現実世界に残してきた分身に譜面を取りに行かせたのだ。
「ありがとう、ウィンお姉様。……これが助けになればいいんだけど」
「大丈夫よ。透のことは、私たちが必ず救い出すんだから」
静かに、だがはっきりと言い切った。逆境的なこの状況は、ウィンのことをむしろ強く見せているようである。胸を張った彼女は、決意に満ちた顔をして、兄を見上げた。
「お兄様」
白皙の美貌を持つ兄は、怖い顔をしている。
その視線にも怯まず、シャツに包まれた兄の腕に、ウィンは手を伸ばす。微かに空気が揺らいだ。
サイコメトリーの力で、彼女はケーナズたちに起こった出来事を正確に把握したらしい。その顔が、みるみる懸念に曇った。
「坂崎の血……。透の中に流れるご先祖様の血のせいで、こんなことになっているのね?」
確認するようにウィンが呟くのに、ケーナズは頷く。
「ああ。……だが、手が出せない」
「渋谷様の意識に、鬼は半ば溶け込んでいます」
「下手に手出しをすれば、かえって毒を広げることになる……か。厄介だな」
ケーナズとみそのの言葉に、眉を寄せて涼が考え込んだ。
「直接攻撃が出来ないとなると、私の能力も役には立たないからな」
ケーナズが得意なのは、超能力を駆使した物理攻撃なのだ。その他の面においては、扱いに慣れていない分、若干不安が残る。
「鬼の魂のみを排除すればいいのですが」
「その方法が……ね。わたしの歌で浄化するにしても、時間がかかるし」
みそのの言葉に難しい顔をして、イヴが譜面に視線を落とした。
歌そのものが持つ浄化の力に、イヴの力が加われば、かなりの威力にはなるだろう。だが、鬼の動きを封じ込めなくてはならないとなると、話は別だ。浄化しているうちに透の身体に毒が流れ込んでしまったら、話にならないのだ。
空間を操作して被害を最小限に捉えようにも、鬼の血は水に帯を引いて沈んでいくインクのようなものだ。鬼の血を全て隔絶しようと思えば、かなり広範囲を切り取らなくてはならない。
じりじりと、周囲の土も巻き込んで、鬼の身体は少しずつ地面に沈みつつある。土と鬼との間に見た地面は赤く、あれは渋谷透の血そのものなのだと、そんな比喩をした。じわりじわりと、鬼という名前の呪いは透の血に沁み込んでいく。
「妖刀を抜いちまったのがそもそもマズかったんだろ?もう一度封印してやりゃいいんじゃねえのか?」
鬼が沈んでいく。このままでは、指を咥えてみているうちに、鬼はまんまと透の身体を乗っ取ってしまいそうだった。さっき見た幻も言っていたではないか。鬼を斬れるのは、鬼が封じられていたという「落陽丸」しか有り得ないと。
だが、生憎秋隆自身には、鬼を封印する力はない。だが特殊な人間ばかりが集まる草間興信所の常連たちである。誰かしら、似たような力を持っているんじゃないかと、彼は期待を持って仲間を見渡した。
「封印、ね……うん、できないことはないんだけど。本物の落陽丸は、祭ってあった寺社から盗まれてしまったらしいのよ」
と、顎に指先を当てて返事をしたのは咲だ。陰陽師の一族として、彼女には魔を退ける力がある。秀麗な眉を顰めて難しい顔をしているのは、彼女なりに鬼の手ごわさを肌で感じているからだろうか。
「勿論、他の武器で代用は出来ると思うけど、結構強敵ね」
「俺の黄天は、鬼封じでも有名な霊刀だから、十分に落陽丸の代理は務まるだろうけど……」
手にした刀を持ち上げて言いながら、途中で涼は顔を曇らせた。
「……それにしても、鬼を弱らせないことには。時間をかけていたんじゃ、鬼が彼の身体に毒を撒いてしまうんじゃないかな」
互いに互いの中に解答を見つけようとして、居並んだ者たちは顔を見合わせた。
「……このままじゃ完全にヤツが潜っちまうぞ」
とうとう鬼は腰まで地面へと飲み込まれている。いつでもこの身体を侵食できるのだと、余裕をこめた笑みが鬼の顔じゅうに広がった。
「おい、何とかしねぇと」
「くそ……いっそ、燃やし尽くしてやるか」
ケーナズが言って足を踏み出しかけた時……ふと、シュラインは思いついたことがあって声を上げた。
「待って」
今まで、他の者たちが意見を交わす間も、じっと沈黙していた彼女の久しぶりの発言である。動きを止めて、皆がシュラインを振り返った。
指でしきりに顎のラインをなぞりながら、考え考え、シュラインは自分の意見を口にする。
「鬼が同化しようとしているのは、この地面の下にあると思われる透くんの『流れ』なのよね?」
「ああ……渋谷さんの血の中に、鬼が侵食しようとしてるっていってたけど」
この世界に向かう前に聞いたマリアの台詞を思い出して、涼が答える。それに何度か頷いて、じゃあ……とシュラインは首を傾げた。
「透くんの中の流れから、鬼の部分だけを選別できれば、勝ち目はあるってことよね」
「だからよ、流れを操るなんてこと、できねぇんじゃねえのか」
肩を竦めて見せて、秋隆が言う。
キィキィと、まるでネズミの鳴き声のような音がどこからともなく聞こえはじめていた。高くて耳障りなそれは、小鬼の出す音だ。今は姿が見えないが、先走った一匹の小さな小鬼が秋隆に飛び掛って、難なく振り払われる。
「……そこなんだけど」
自分の身体を抱くように腕を回しながら、シュラインは視線を目を閉じたままの少女に向けた。
「流れを操る事……あなたの力で、どうにかならないかしら?」
集まった者たちの視線が、みそのの小柄な身体に集中した。見つめられた方は、小首を傾げて考える仕草をする。
「流れを選別……は難しいですが、今鬼のいる部分を、隔離することはできると思います」
言ったのは、みそのだ。ここにたどり着くまで、地面に広がる「流れ」を辿ってきた彼女である。水そのものを操れるのではないかと考えたシュラインの目算は当たっていた。
「なら、勝機はあるわね。みそのちゃんの力で、鬼を隔離して、毒の拡散を防ぐ」
「隔離された空間なら、私の結界で毒を中和することもできるんじゃないかしら」
と、咲。
「敵が弱ったら、隙を突いて鬼を分離させることも出来るね。ケーナズ君、PKは使えそう」
「問題なく」
と、言葉少なに青年貴族は頷いた。
「で、鬼を刀に封じ直す、と」
秋隆は鬼の方を振り返った。まるで湧き出るように、鬼の周りの地面から、ボコボコと黒い影が盛り上がっては歪な人の形を取る。
「となると……俺の役目は、雑魚の始末かな」
超能力だの、憑き物落としだのという力がないのだから、鬼に対しては無力に等しいだろう。かわりに、サポートに回る仲間たちの護衛ならば引き受けられる。若い頃の無茶な経験のお陰で、体力と喧嘩には自信があるのだ。
パンと手のひらと拳を打ち合わせた秋隆に、美少女アイドルが進み出た。
「廣瀬さん、加勢するわ」
イヴが腕を持ち上げ、虚空に指先で方陣を描く。イヴが空気を指でなぞると、指の軌跡を辿るように光が輝き、それが一つの呪文を形成した。
ぱぁっとひときわ明るく文字が輝き、その方陣を潜るようにして、黒金色の毛並みと力強い体を持った動物が出現した。犬のようだが、頭が三つに分かれている。……神話にいる、ケルベロスそのものだ。ケン、とイヴが名前を呼ぶと、野性の色に光る瞳を向けて、ケルベロスは顔を上げる。三つ頭を交互に撫でながら、イヴは恋人に頷きかけた。
「わたしたちのことは気にせず、鬼に集中して。いつまでもわたしの護衛だけさせるわけにはいかないものね」
「お兄様、私も加勢するわ」
「では、行きますか。みそのちゃん、準備はいい?」
視線を投げると、みそのはしっかりと頷いた。
「いつでも結構です」
鬼に向き直る。待ち構えていたかのように、地面は沸騰した湯のようにぼこぼこと盛り上がって小鬼を生み出し、彼らに向けて襲い掛かってきた。

□―――
蝙蝠の大群のように、地面から湧き出した小鬼はこちらに向けて迫ってくる。とにかく標的に向かって、まっすぐに突っかかってくる小鬼たちは、こちらを恐れていない分厄介である。振り払われては起き上がり、どこでもいいから歯を立てようと、小さく鋭い牙を剥きだして噛み付こうとする。
「もう!こいつらには本能ってものが欠落してるのかしら」
地面に叩きつけられても怯まずに向かってくる鬼たちに、シュラインが舌打ちする。いくらその身体を掴んで振りほどいても、小鬼たちは髪の毛や服を引っ張るのをやめない。
「こうしゃにむに向かってこられると気色悪いぜ……!」
女性陣に飛びかからんと空中に跳んだ小鬼を二匹纏めて叩き落して、秋隆も思わずぼやいた。
招かれざる客を排除すべく、小鬼たちは誰彼構わず襲い掛かってくる。ビー玉のようにまん丸なその目は、喝と見開かれ、不快な声を上げるたびに皺のある肌が奇怪に歪む。
円陣の中心で目を閉じ、ひたすら流れを操作すべく意識を集中しているみそのに飛び掛った一匹を掴んで投げ捨て、秋隆がそれを蹴り飛ばした。
「イタタ……!女性の肌に傷を付けないで貰いたいわね」
「生存本能って言葉を知らないのか、こいつら」
生き物は、すべからく死を恐れるものだ。それは理性でどうなるものではなく、野生の時代からの本能である。だから、傷つくことも、倒れることも恐れずにただひたすらに向かってくる姿は空恐ろしい。
何匹かの小鬼がイヴをめがけて襲いかかっては、三頭の犬の餌食になる。その表情からは、小鬼を味わっているかどうかは窺えないが、噛み砕かれた小鬼たちは、まるでおもちゃのようにボトボトと手足や首を地面に落とした。あまり麗しい光景とは言いがたい。
仲間のそんな様子を見ても、小鬼たちはおびえた様子はない。ただ、まるで笑っているように口をカッと開いて、キィキィと襲い掛かってくるのである。
「ホラー映画が現実になったらこんな感じなのかね……ぞっとしないな」
こういうのに好かれる人間ってのは大変だなと、思わずため息を吐きながら、秋隆は子どもの大きさほどもある小鬼の腹に膝蹴りを叩き込んだ。汚い声を上げて、小鬼は転がっていく。
「ここは透くんの夢の中なんだから、私たちが頼んでみたら、彼がどうにかできないのかしら」
髪を掴んで引っぱる小鬼を引き剥がし、シュラインが呟いた。それを聞いて、数人が苦笑する。どれも目が覚めている時の透を知る面々だ。
何しろ相手は渋谷透である。「女の子は皆天使」だとのたまい、女性に対する評価たるや色眼鏡も甚だしい男である。本当に、呼びかけたら返事が返ってくるかもしれない。
「透!早く目を覚ましなさい!どれだけ私たちを心配させてると思ってるの!?」
肩に圧し掛かってきた小鬼を振り切って、ウィンが声を張り上げた。彼女の声は、しんしんと遠くまで吸い込まれていく。
……ずっと遠くまで響いていった声は、余韻を残してやがて遠くなっていく。荒廃した世界に、変化は見られない。
「ちょっと、透くん!レディが声を掛けてるのに答えないなんて、透くんらしくないわよ!」
流れた沈黙の中でイヴが声を張り上げた。歌手の声量である。声音は朗々と遠くまで響く。
「そうよ、女性がお願いしてるんだから頑張りなさい!」
シュラインも声を上げてみた。未だかつて、渋谷透がここまで女性にモテたことはあっただろうかと、ちらりとそんな考えが頭を掠めた。まあ、これをモテているというかどうかは、微妙なところだが。
「渋谷様。いつまでも眠っていてはいけません。鬼を追い出して、早く元の世界に帰ってきてください」
口をそろえたシュラインに、みそのまでが話しかけている。
この状況下において、女性にそう言わしめるとは一体渋谷透とはどんな男なのかと、数人は怪訝な顔をしている。だが、どこへともなく向かったイヴの言葉に、皆が何らかの変化を期待したことは確かだった。
声は遠くまで響いたが、しばらく待ってみても世界に変化はない。彼女らの声に戸惑ったのか、小鬼たちの攻撃が鈍った程度だった。
「女の子が話しかけたらすぐ目覚めると思ったんだけど……ホントに沈没してるのねぇ……」
呑気な声とは裏腹に、考え込むようにイヴが眉を寄せる。ククク、と空気を震わせて笑い声が流れた。
「愚かな事だ……この世界は血の記憶。ここにあって意識を持つものは、異質である俺とお前たちにおいておらぬ。たとえ宿主であっても、血に干渉することはできぬのだ」
低く空気を震わせて、鬼は嘲笑う。慎重に、みそのが鬼の「流れ」を探っていることには、まだ気がついていないようだ。
「何故、今更彼を狙うんだ?もう、何百年もの年月が経っているんだぞ」
鬼がみそのの行動に注意を向けないように、手出しが出来ない風を装って涼が言った。鬼は顔を歪める。赤い口が露わになる。
「幾星霜が過ぎようとも、恨みは晴れるものか。あの痛みを忘れ得ることができようか」
鬼の声が低く、怒りを帯びる。
「愚かな。先祖の恨みを子孫で晴らそうというのか。数百年の間に、どれだけ血が薄くなっていると思っているんだ」
鬼はケーナズの言葉に、歯を剥きだして笑っただけだった。
「知らぬから言えるのよ。お前らは何も知らぬのだ」
どういうことだと、問い返すより早く、鬼の表情が変わった。
変化は、仲間たちの間にも伝わった。それは、まるで風の流れが変わったような感覚だ。ざわりと空気が動いたのである。みそのがうまく鬼の気の流れを取り込んだのだと、シュラインはすぐに理解した。
「何だと……!?」
何が起こっているのかわからぬように、鬼は自分を取り囲む地面に視線を向けた。
「今、透さんの中から鬼の流れを隔離しました」
みそのが言った。先ほどから沈黙を保っている間に、彼女は鬼に気づかれぬよう、少しずつ鬼の流れを確保していったのだ。今や、みそのの流れを操る力のために、鬼はそれ以上、透の意識に身体を沈めることが出来なくなっている。
「おのれ……」
赤く光る瞳がギラギラとした光を湛え、声の主を見た。みそのの瞳は閉じられたままだったので、その瞳を射抜くことは出来なかったが。
すぐに、彼らは行動を開始した。
「透くんに危害が及ばないならこっちのものだわ!ケン、結界を張って鬼の力を弱めるから、その間、安全確保よろしくね」
グルル、と喉の奥でケルベロスが唸る。イヴはすでに眉を寄せて、詠唱に入っていた。
「イヴさん、あたしも手伝うわ」
と咲。
「わかったわ。わたしはもしもの時のために、二重に結界を張って、透くんの血に鬼の血が混ざるのを抑えるから」
二人の少女の声に合わせたように、ずしりと重い足でイヴと咲の前に立ち、ケルベロスが彼女らを守るように立つ。
流れを止められた主を守るべく、一斉に襲い掛かった小鬼たちは、ケルベロスの白い牙の餌食になった。


狂ったように、小鬼たちが襲い掛かってくる。今まではまるでからかうようだった攻撃も、牙を剥いて爪を立て、明らかにこちらを害する意思を見せている。
咲とイヴによる結界は目に見えないはずなのに、鬼がその中で暴れるたびに薄く光を帯びて膜を張ったように目に映る。二重の結界を張られた上に、みそのの力で動きを封じられた鬼は、少しずつではあるが明らかに弱ってきているようだ。
高くもなく低くもない独特の旋律が、閉塞した世界に流れていく。イヴが、浄化の歌を歌っているのだ。
アカペラで紡ぎ出されるイヴの歌声は、荒れたこの地とそこに巣食う者たちには不釣合いな透明な音色だ。小鬼たちの喚き声で掻き消されそうな音量なのに、世界の隅々にまで響き渡り、人の心を和らげる。
ギィギィと、小鬼の声が余計に大きくなった。人間には心地よく感じる歌声も、小鬼には苦痛を与える不快な音である。小鬼の中でも小柄なものたちは、地面をのた打ち回り、まるで塩を掛けられたナメクジのように小さくしぼんで消えていく。
「流石アイドルの歌声……ってとこか?」
冗談交じりの声で、消えてゆく小鬼を眺めて秋隆が口笛を吹いた。子猫程度の大きさの小鬼は、最早人を襲う力もなくなって転げている。シュラインとみそのの周囲に落ちた小鬼を足で蹴り退けて、秋隆は周囲を見渡す。
歌声によって浄化されなかった小鬼たちも、明らかに弱っているようだ。つるりとした外見が、外から見てもわかるほどに震えている。それでも最期の力を振り絞って、イヴの歌声を止めようと襲い掛かっては、ケンの牙に引き裂かれた。
三つ頭の犬からはさりげない距離を取って、秋隆はかろうじて生き残って悶えている小鬼を足で蹴飛ばした。襲い掛かってくるものもあったが、先ほどまでのパワーは残されていないらしく、振り払えば簡単に弾き飛ばされていく。
先ほどから、身体がどこかへ引っ張られるような感覚が続いている。ぴりぴりと、肌の引きつれる感覚にシュラインは表情を曇らせた。
(タイムリミット……?)
間に合うのだろうか。
足元に落ちた鬼を蹴り飛ばして、秋隆は鬼の本体へと向かったケーナズたちの背中を探した。

ケーナズの全身を、ぼんやりと白い光が覆っていた。普段は見えることのない、彼自身が持つ超能力が視覚化しているのだ。傍目にも分かるほど、彼の身体を強い力が巡っている。
「無駄だと言っているのがわからぬのか」
鬼が嘲笑った。
「無駄かどうかは、試してみなければわからんだろう」
低く、ケーナズの声が響く。
彼の身体を取り巻いていた白い輝きが一層激しくなった。燃え上がる音すら聞こえたのではないかと思われるほど、盛大にケーナズの身体を白の炎が包み込む。力の放出だ。
息を呑んでイヴが見守る中、炎に包まれた恋人の後姿は、鬼に向かって突っ込んでいく。
「貴様……!」
鬼に体当たりをする直前、ニヤリと笑ってケーナズは何かを呟いた。
直後、世界は白い光に包まれた。
目が眩んで、右も左も、目を開けているのかさえ分からなくなる。
それでも無理に目を凝らすと、ようやく辺りの景色が見えてきた。世界はまだ白い。段々に遠くなっていく。現実の世界へと、引き戻されようとしているのだ。
「ケーナズ君は、無事なの!?よく見えない……」
鬼の居た場所に、ぽかりと穴が噴火口のように口を開けている。
傍には、三角錐状の、奇妙な塊が残されていた。鬼の角だ、と咄嗟に思う。本体は……跡形もない。まるで深くえぐられた傷跡のように、大地が盛り上がっているだけだ。
身体が引き戻される感覚が強くなった。
時間切れだ……。
足が大地から離れ、景色が遠のいていく。


□――― 回想―近い過去 ―――□
静かな湖のように深みを湛えた男の黒い瞳は、気がつくと窓の外を見ている。
たまに、何かを探すように男の手のひらが腰のあたりに触れるのも、彼女は知っている。
そこにあるのは、あの時の侍と同じ顔だ。ただ、今は着物のかわりに洋服を着ており、腰に刀は差していない。
「貴方は奇跡を信じていないけど、あたしはそういうのを信じるの」
さらさらと白金の髪を流して、彼女は謳うように言う。その面立ちは、やはり今は眠って目を覚まさない青年の特徴を宿している。
「こんな遠くまで来て、あたしは貴方に逢ったのよ。それはもう奇跡みたいな確率で」
今はまだ平べったい腹を撫でて、彼女は男を振り仰いだ。
「だからどんな不幸に見舞われても、そのせいで命を落としたとしても、あたしは貴方を愛したことを後悔しない」
透き通るような青い瞳で、そこだけ強い意志を抱えて、彼女は男を見つめる。
「この子に名前を考えてくれる?」
長い時間沈黙して、彼は「トオル」と呟いた。
「それは、男の子の名前?女の子の名前?」
日本人の名前に疎い彼女は、首を傾げて聞き返す。
「男の子の名だな」
「女の子が生まれたらどうするの?」
「生まれてくるのは、男の子だ」
確信を持った口調で言って、彼は手を伸ばして彼女の細い身体を抱き寄せた。男の表情はまだ少し曇っていたが、安心させるように彼女の肩に回された腕は温かい。
「幸せになるわよ。あなたとあたしの子だもん」
聞こえるか聞こえないかの彼女の声は届いたらしく、男の腕に力が篭った。


□―――夢の終わり
今までぴくりとも動かなかった青年は、皆が見下ろす中、ようやく意識が浮上したらしくもぞもぞと動いた。
「……くぁ。あーよく寝た。腹減った……ん?」
まだ眠そうな顔で目を開けた渋谷透は、自分を取り囲んで見下ろす人々の顔に、むくりと半身を起こした。
「……ん?」
どうやら、無事らしい。無事は無事だが、一体どれだけ苦労をしたんだと説教してやりたくなるほどに平和な顔をしている。
透が目覚めるよりも一足早く透の世界から引き戻された面々は、その顔を見てそれぞれにほっとしたような顔をした。
透は気圧されたように自分を取り囲む人々を見渡し、辺りの暗さに怪訝そうな顔をし、それから結局、にこっと笑って見せた。
「おはよー」
「……殴り殺したくなるくらい平和だな」
ボソリと太巻が低く呟く。まあ、あれだけ苦労と心配をかけて彼を救った結果がこれでは、その気持ちも分からなくないと言うものである。
「透……!」
「透くんっ!」
いつもどおりの平和ボケした顔を見せた透に、右と左からウィンとイヴが抱きついた。左右からの衝撃に、うぇっと透がつぶれた声を上げる。
「無事で良かった、透くん。心配したのよ」
などと言って、イヴは目に涙すら浮かべている。本当に良かったと思っているのは確かだが、それにしてもその切実さといったらこのままアイドルを引退して、演技派女優に転向せんばかりの演技力である。
ワケがわからずにうろたえている透には悪いが、ちょっとした悪戯心だ。さて反応の程はどうかと見れば、恋人に(故意に)抱きつく相手を間違えられた美貌の貴族は、やや面食らった顔をしていた。その恩恵に預かった透はと言えば、まだ完全に目覚めていない脳みそでは事態が把握できず、きょとんとしている。
「……へ?えっ、何?……ごはん?…今、朝?」
皆が見守る中で、ぼーっと少しずつ意識を夢の世界から引きずり出したらしい透は、今更自分を見つめている顔ぶれを改めて眺め回した。
「やれやれ……心配したのよ。突然眠ったきり起きなくなっちゃったんだから」
と、腕を組みながらシュラインが呆れた顔をする。
底抜けに明るい(現状を理解していないとも言う)彼の仕草を見ていると、こちらまで力が抜けてしまうのだ。案の定、その声に一瞬きょとんとした透は、「あっ、エマさんだv」とハートマークまで飛ばして喜んだ。シュラインと草間の仲に感づいているのか、あまり懐いてこそこないが、シュラインに逢うと透は嬉しそうで幸せそうだ。どうやらこの調子で、結構色々な人間に可愛がられて生きているらしい。
「当分、ホラーは見なくてよさそうだよ、お陰さんで」
と、女性に目を奪われている透に、秋隆が苦笑した。なんだろうという顔で首を傾げられたので、彼の苦笑いはさらに深くなる。
「まあ……これもまた運命、ってな」
先祖のせいで呪われているとは不幸な話だが、まあ世の中は広いから、そんな宿命を背負った人間もいるのかもしれない。どうせそれがさだめなら、運命に不幸を感じているより、何も気づかずに幸せそうなほうがいい。単純な性格でよかったんだな、こいつはと、秋隆は妙な納得の仕方をした。
彼の脇では無事でよかったですよと涼が苦笑し、みそのも開かない瞳を透に向けて「ご無事で何よりでした、渋谷様」と頭を下げた。釣られて頭を下げようとした透は、イヴとウィンに抱き付かれているのを忘れていたので、自分で自分の首を絞めた。
「透くん、相変わらずねー。今回はさすがにちょっとびっくりしたわよ」
「あっ、咲ちゃんだ。元気?」
元気も何もない。平和な会話に、一同は肩を落とした。
「あまり心配をかけさせるんじゃない」
ケーナズに言われて、透は怪訝な顔をして考え込んだ。しばらくして、どうやら寝ているうちに自分が心配をかけた……ということは、いくら平和な頭にも理解できたらしい。
どんな表情でどんな台詞を言うか迷った挙句、結局彼はへらっと笑った。
「ごめんね。なんか最近、よく寝れてなかったからウッカリ熟睡しちゃったよー」
「いや……その、睡眠不足を心配したわけではなかったんですが」
なんとも言えない顔をして、涼が苦笑している。
あふっともう一度欠伸をかみ殺した顔を両手で挟んで自分の方を向かせ、ウィンが彼にそっと口付けた。
「……おはよう、眠り王子様」
「…………え?」
鳩が豆鉄砲を食らったような顔をして、透の顔は一気に赤くなる。左右からレベルの高い美女に抱きしめられ、キスまでされて動揺しないようでは、青少年失格であろう。
「あら」と眉を上げたシュラインの隣で、「若いっていいな…」としみじみと秋隆が呟いた。
「あっ!」
と声を揃えたのは、某紹介屋と怪奇探偵、モテない男二人組である。いい年をして…いや、年だからこそだろうか。妙なところで僻みっぽいのだ。
「邪魔者は早々に退散しようかしら」
意味ありげに笑ってみせると、あわあわと透が赤くなった顔を擦った。
精神が肉体から長い時間離れていたためか、身体は水を吸ったスポンジのように重い。他の者たちもその疲労は同様なのか、やれやれと言った顔で帰り支度を始めた。
「あ、そうだ、透くん」
「え?」
「神社にでも行って、今度しっかり清めてもらいましょうね」
「……?風呂?」
ここに至ってもまるで自覚のない男は、いたって平和に首を傾げていた。












→→A chance acquaintance is a divine ordinance.


→→→→move on...?



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■ 登場人物(この物語に登場した人物の一覧) ■
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【0086 / シュライン・エマ / 女 / 26 / 翻訳家&幽霊作家+時々草間興信所でバイト】
【1388 / 海原・みその / 女 / 13 / 深淵の巫女】
【1548 / イヴ・ソマリア / 女 / 502 / アイドル兼世界調査員】
【1588 / ウィン・ルクセンブルク / 女 / 25 / 万年大学生】
【1481 / ケーナズ・ルクセンブルク / 男 / 25 / 製薬会社研究員(諜報員)】
【2073 / 廣瀬・秋隆 / 男 / 33 / ホストクラブ経営者】
【0904 / 久喜坂・咲 / 女 / 18 / 女子高生陰陽師】
【1831 / 御影・涼 / 男 / 19 / 大学生兼探偵助手】

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NPC
渋谷・透(しぶや・とおる):大学生。父親は日本人、母親はヨーロッパ人のハーフ。実の父親の顔は知らず、母親とその再婚相手は事故で他界している。
太巻・大介(うずまき・だいすけ):紹介屋。厄介な事件は草間興信所に持ち込むことにしている。そして無責任。

鬼(落陽丸):妖刀「落陽丸」に憑き、多くの人間の命を奪った鬼。「坂崎惣介」と名乗る剣豪に首を刎ねられた。坂崎の血にかけた呪いのために、渋谷透を狙っていた。今回の事件で角の一つを失っている。

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あとがき
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ぐはぁ、お待たせしました……!すいません、週末を見事に逃したせいで、剃刀送られても文句が言えないほどの小分け納品になってしまいました(土下座)
シュラインさんのプレイングはバッチリでした。地獄までのカウントダウンが決定しかけていた頃にプレイングを頂いたのですが、お陰で渋谷は毒を身体に残すことなく、無事に生き延びることが出来ました。流石!と密かに感服しておりました。
渋谷の話……嫌な予感を感じている方もいらっしゃるかと思いますが、鬼ネタはもうちょっと続きます。どこかで、この話に出てきた名前を見かけることがあるかもしれません。そうしたら「あ。これのことかよ」とでも思って、眺めてやってください。
ではでは、私の遅筆にめげず、いつも暖かいお言葉をありがとうございます。いつも救われています。
これからも、またどこかで見かけたら声をかけてやってください。
ありがとうございました〜。


在原飛鳥