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<東京怪談ウェブゲーム アトラス編集部>


マンドラゴラ収穫記

0・麗香
「最近ちょっと記事がマンネリ化してるわね」と碇麗香が呟いた。
「え?そ、そうでしょうか・・?」三下忠はビクッと肩を震わせた。
「そうよ。そこでちょっと面白いものを手に入れてきたの。それを体験レポートとして雑誌に載せてみようかと思って。」
麗香が机の下から取り出した紙袋をトンと机に載せた。
「・・なんですか?これ」
「マンドラゴラの栽培セット」麗香はニコリと笑った。
「そんなものを読者に栽培させるんですか!?」
三下がそういうと「何バカな事言ってるの」と麗香が眉間にしわを寄せた。

「あなたがやるに決まってるでしょう?」


1・匂いにつられて・・・
彼は力を欲している。
彼の力は物を喰う事で己の力へと変換する。
彼はその日、ある匂いをかいだ。
嫌な匂い・・・しかし、気になる匂い・・・。
彼の名はG・ザニー。墓場をうろつく者。
彼はその匂いに引かれてやってきた。
月刊アトラス編集部へと。
匂いの元はただの植物のようだ。
だが、土に埋まっている部分・・気になる。
そこから力を感じる。
・・・駄目だ。
この匂い・・・耐えられない・・・。
G・ザニーは編集部をあとにした。

それが、三下がヘルツァス・アイゼンベルグと門屋将太郎(かどやしょうたろう)、相生葵(そうじょうあおい)に収穫を依頼する一日前の夜の話である。


2・しかし・・・
墓場に戻って考える。
じっくりじっくり。
あの植物・・・喰うべきだったのだろうか?
いや、しかし、あの匂いには耐えられなかった。
あの匂い・・・そう、あの匂いが今も鼻について離れない。
それにあの植物はまずそうだった。
あんなもので力などつく訳がない。
そうだ。あんな物のほかにもっといいものがあるに違いない。
だが・・・。
彼の思考は続く。
丸一日かけ、彼はようやく結論に達した。
喰ってみればいい。
少なからず霊的な力がある以上何らかの力はあるはずなのだから。
匂いなど我慢することが出来る。
きっと人間が使う漢方薬とかそういった類なのかもしれない。
そうだ。力のために・・・。


3・真夜中
月刊アトラス編集部は既に闇の中に埋もれていた。
ヒタヒタと歩き、昨日きた場所へと再び立つ。
と、昨日とは違い、土の中に入っていたはずの植物は外に出ていた。
昨日よりも少ない2本だけ。
人間が収穫したのか・・。
彼は少し後悔した。
昨日喰っておけばよかったのだ。
だが、2本。あるだけでも喰っていこう。
そう思った彼は、ふともっと気になるものを見つけた。
気絶したまま放置された三下とその傍らに座る数体の小さな人形・・。
彼は手を伸ばした。
三下・・・ではなく、小さな人形へと。
人形はバッと動くと彼へと攻撃を仕掛けてきた。
おもしろい。昨日はこんな物はなかった。
それにこの力・・これは力になる。
より確実に大きな力を持っているものだ。
彼は次々に人形を捕まえようとした。
抵抗する人形は彼の体に傷をつけることは出来なかった。
もがく人形を相手に彼は面白いと思った。
このように小さな人形が何故動けるのか・・よくわからなかったが、とにかく何らかの力が影響していることは間違いないと思った。
彼は人形をついに捕まえた。
そして喰らった。
匂いがない分、あの植物よりもマシなのかもしれない。
だが、大して美味い物でもない。
彼はあらかた喰らったところで人形を手放した。
そうだ。あの植物を喰らわねば。
彼は植物を掴んだ。
が、ここで喰うのはなんとなく躊躇われた。
なぜなら、植物の匂いが充満しすぎていたからだった。
彼は、月刊アトラス編集部を後にした・・・。


4・食
彼は植物を墓場へと持ち帰った。
風のあるここならば匂いが充満することもない。
では喰らうか・・。
ガブッとひと口、口に含む。
なんともいえない味が口中に広がる。
何だこの不味さは。
こんなものを人間は喰っているというのか?
こんなものが本当に力になるというのか?
彼は植物を捨てた。
二度とこの植物を喰らわない事に決めた。
彼は知らなかった。
植物が『マンドラゴラ』という猛毒を持つ植物であることを・・・。

だが、いくら猛毒を持つマンドラゴラとはいえ彼がゾンビである以上、それ以上の死を彼に与えるわけはなかった。
そして、彼は今日も力を欲している。
力のつくものを喰らうべく、耳を澄まし、匂いを敏感に嗅ぎ分ける。

彼の名はG・ザニー。
墓場をうろつく者・・・。


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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】
 1887 / ヘルツァス・アイゼンベルグ / 男 / 901 / 錬金術師・兼・医師…或いはその逆。
 1522 / 門屋・将太郎 / 男 / 28 / 臨床心理士
 1974 / G・ザニ− / 男 / 18 / 墓場をうろつくモノ・ゾンビ
 1072 / 相生・葵 / 男 / 22 / ホスト

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■         ライター通信          ■
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G・ザニ−様
初めまして、とーいです。
この度は「マンドラゴラ収穫記」へのご参加ありがとうございます。
が、他の方々との絡みが全く出来ないプレイングのため、別シナリオとさせていただきました。
ヘルツァス様・相生様・角谷様は名前程度にしか出ておりませんが、ミッシングリンク的に作らせて戴きましたのでお暇がありましたら他の方のシナリオも読んでいただけたらと思います。
それでは、これからのご活躍をお祈りいたしております。