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<東京怪談・PCゲームノベル>


音楽都市、ユーフォニア ─クシレフの陰謀─

【xxx】

 11月13日午後3時。
 東京都、JR山手線の車内に、ちょっとした騒ぎが持ち上がった。
 否、別に警察沙汰や職員が顔を出すような事件では無い。ただ、異様に目立つ一団が国鉄の1車両をほぼ占領し、隣接した車両や駅のホームの乗客の奇異の視線を集めていた、と云うだけで。
 彼等は全て15、6歳の少年少女だ。それぞれ同じデザインの白いシャツかブラウスに黒のボトムを制服のように整然と着用し、吊り革に掴まりもせずに姿勢を正して立っている。一糸乱れない統率の取れた動きは、どこか共産国家の軍隊を思わせた。
 平日の昼間と云うことでさほど混雑はしていなかったが、一通り座席を占めていた他の乗客は一言の私語も交わさず無気味なほどの無表情を見せている彼等に気を取られていた所為で、その中の一隅でぶつぶつと独り言を呟き続ける私服の少年──里井・薫の存在には気付かなかっただろう。ついでに云うならば、これは制服と同じ髪型の効用で──複数の人間を似通って見せるその効果で、逆に、彼等の顔立ちが全て同じ事にも気付かなかった筈だ。

「……畜生……、あいつ、好き勝手云いやがって……、何様の積もりなんだよ、……シェトランの子供だって云うだけで……、今に見てろ……、畜生、いつか必ず殺してやる」

 巣鴨駅に着いた。里井は独白を止め、一斉に足並みを揃えて車両を降りた彼等に慌てて続いた。

【0G】

「何は置いても東京コンセルヴァトワールの実体調査が先ですね。結城氏が彼等を養子に引き取った経緯、IO2が動くに至った理由、全てはそれではっきりするでしょう。……結城氏の内包していると思しい『彼』の事も。同時に巣鴨ユーフォニアホールの組織的な繋がりについて」
 セレスティ・カーニンガム(せれすてぃ・かーにんがむ)は頭の中に組み上がった論理を一つずつ整理するように淀み無くそう言葉を紡いだ。 
 現在、車中に居るのは後部座席の彼を除けば、あとは運転席に秘書の陵・修一(みささぎ・しゅういち)が居るだけである。幾らか偏ってはいるが基本的には有能な部下である彼、セレスティがそうするだけで即座に調査の手配を行う筈だった──普段ならば。だが、修一は黙っていた。……それどころか……。
 不意に、彼等の車は路肩に乗り上げて停車した。
「もうやめて下さい」
 修一が、前方を見据えたまま低い声で云った。
「──陵君」
「危険過ぎます、それに、そんな大掛かりな組織に目を付けられる事になったら、リンスター財閥はどうなります?」
「一刻を争う時なのですよ、陵君、分かっていますか? 人間一人の命が関わっているのです。それに、安心なさい、その程度の事で君の職が無くなるような事はありませんよ」
「僕は、ただ総帥の事が、」
 とうとう彼はセレスティを振り返った。
「……あなたが、……あなたさえ無事ならそれで良いんです」
 その時、車中電話が着信を告げた。先刻の今で、田沼からだ、と二人は同時に理解した。だが、修一がセレスティよりも早く受話器を持ち上げると、そのままフックを下ろして回線を切ってしまった。
「何の積もりです?」
 修一は、真直ぐセレスティを見ていた。強い瞳だ。
「何と思われても結構です、ただ、僕はどうしてもあなたには危険な目に遭って欲しく無い、それだけです」
「心配性ですね」
 再び着信音が鳴った。受話器を押さえ込んだ修一は意地でも車を動かす気配が無い。──仕方ない。セレスティは後部ドアを開けた。
「総帥!」
「運転手がこれでは埒が明きません、タクシーでも拾いましょう」
 咄嗟に差し伸べられた修一の腕はシートに遮られてセレスティの腕を掠めるに留まった。
「……残酷な人だ、あなたは」
 その腕でそのまま顔を覆った修一の低い呟きが洩れた。
「……近しい人間を失う絶望を、二度も味わわせるなんて、」
「酷いのはどちらです?」
 再び、車中に顔を見せたセレスティを驚きの視線を以て修一が振り返った。
「私は未だ死にませんよ」
「……然し……、」
「この件には、水谷和馬が関わっているのですよ。……良いのですか? 彼の手に拠る悲劇を再び繰り替えしても」
「……、」
 修一は、未だ着信音を鳴らす受話器を取り上げた。
「……陵です。先程は失礼致しました。……はい、……いえ、東京コンセルヴァトワールと巣鴨ユーフォニアホールに関する情報はこちらで収集します。あなた方は一刻も早くホールへ向かって下さい。……ああ、そうですか。では、IO2の情報はお任せします」
 莞爾と微笑み、再び後部座席に着いたセレスティの顔をなるべく見ないようにして修一は再び車を発進させた。そうしながら、一旦「失礼致します」と置いた車中電話を取り上げて今度は別の回線に繋いでいる。
「……そう云う訳で、至急東京コンセルヴァトワールと巣鴨ユーフォニアホールに関する情報を。こちらは車内、総帥も一緒です。……よろしくお願い致します」

【1gi】

──セレスティさん、
「……、」
 突如、意識の中に割り込んで来た声の正体を瞬時に理解したセレスティは、──また余分な心配を修一に掛けさせないように──声に出さず精神レベルでの応答を返した。
──おや、……あなたは。
──覚えていて下さって、ウィン・ルクセンブルクですわ。
──勿論ですよ。あなたのように美しい女性の声を忘れるなど。

「陵君」
 数分後、セレスティは修一に都内のとあるオーケストラの練習場へ向かうよう命じた。

──私の叔母が、近く共演するオーケストラなんです。叔母に、今度のユーフォニアホールでソロを歌う歌手やグルックのオペラについて訊ねようと思ってたんですけれど、偶然にもそのオーケストラの助演に東京コンセルヴァトワールの非常勤講師が居るそうなんです。直接話を伺いたいのですけれど、今はレイの救出が先ですわ。私は先に巣鴨に行きます、お手数で無ければ、寄って頂けません? 

【1G】

「お会いになるそうです」
 先に、その東京コンセルヴァトワール非常勤講師だと云う助演団員への面会を取次ぎに行かせた修一が戻って来た。セレスティは修一がトランクから出した車椅子に乗って、練習場へ入った。

 車椅子の麗人の突然の来訪に、それまで各パート毎に別れて打ち合わせをしていた奏者達が一斉に注目を浴びせた。特に、弦楽器セクションに多い女性陣の反応が顕著である。
 どなたかしら? あら、何でも然る財団のお偉方とかで、ルクセンブルク女史の知り合いだとか──。……そんな会話が幽かに聞こえる。ウィンと彼女の叔母が上手く話を回しておいてくれたらしい。
「カーニンガム様で居らっしゃいますか」
 連絡係らしい男に修一が頷くと、彼は管楽器セクションの方を振り返って声を張り上げた。
「冨樫さん!」
「──……、」
 その呼び掛けに反応したのは、トロンボーンを担いで他の団員のスコアに指示を付けていた男だ。30代前半だろう、トップにしては未だ若い。背が高く、長髪をオールバックにして後ろで纏めている。目立つ容貌だが、表情は穏やかで人好きしそうだ。
「はい?」
 金管奏者の声は、良く通る。「お客様です、」と云う一言だけで団員に軽く詫び、歩いて来た所を見ると既に話は通っていたのだろう。
「こちらが、セレスティ・カーニンガム様です。……じゃ、後は」
 そうしてセレスティをその奏者に引き遭わせると、連絡係は引き下がった。
「初めまして、冨樫と云います。何でもルクセンブルク女史の御友人だとか。お目に掛れて光栄です」
 屈託の無さそうな笑顔のその奏者は冨樫・一比(とがし・かずひさ)と云い、握手を求めて来た。極儀礼的な物だったのだろうが、セレスティの後に仕方無さそうに手を差し出した修一の反抗的な態度には総帥も苦笑のみで注意するしか無かった。

 ──。
「東コン──、あ、失礼、東京コンセルヴァトワールに興味をお持ちだとか」
「ええ。失礼ながらつい最近存じ上げる事になった機関で。フランスのコンセルヴァトワールとも提携するなど、中々積極的な活動を為さっているようですね。非常に興味があります。ささやかながら、文化に有用な活動には資金援助しております。東京コンセルヴァトワールへも、何か出来ればと思いまして」
 ああ、どうでしょうねえ、と冨樫は軽く楽器を担ぎ直した。
「僕も一介の非常勤講師ですし、あんまり詳しい事は聞かせて貰えないんですけどね。カーニンガムさんの御心遣いは素晴らしいと思いますが、東コンは堅いですし、どうでしょう」
「堅い?」
「堅い、って云うと違うかな。何て云うかな、スノッブなんですよ。一般教室の方は授業料も高いですしね、私立音大みたいなもんですよ。パリ国立音楽院の名前は強いですしね。……つまり、何て云うか」
「部外者の干渉は無用と?」
 あくまで穏やかな笑みを崩さないセレスティに、冨樫は参ったな、と云った苦笑を浮かべた。
「まあ、そういう事ですかね」
「なんて不遜な」
 修一が呟いた。「陵君、」と窘めたセレスティに、冨樫は明るい笑顔で手を振った。
「良いんですよ、雇われ講師自体がそう思ってるんですし。あ、オフレコでお願いします。あんまり云うとクビになるんで」
「……分かりました。一度、実際に伺おうかと思いますがあなたの御名前は出しません、御安心下さい」
「──いやぁ……、……あんまり、関わらない方が良いんじゃ無いですかね」
 冨樫は相変わらず気さくな口調だが、僅かなニュアンスの変化をセレスティは見逃さなかった。
「そうですか? そう云われると余計に興味が湧きます。困ったものですね、いい歳をして好奇心が強くて」
「何仰ってるんですか、僕よりお若いでしょう?」
「……そうですね」
「……、」
「……、」
 お互い、こうなれば口上の駆け引きである。更には心配性の秘書が冨樫を睨んでいる事も加わって、その場の空気は見た目に反して非常に冷たく張り詰めていた。
「……それはそうと、ピアニストの結城忍氏ともお知り合いだそうですね」
 徐ら、セレスティは態とらしいのを承知で話題を切り替えた。
「忍さん、御存じですか? ああ、同じ音大で」
「音大だけですか? ……東京音楽才能開発研究所は」
「……、」
 冨樫の眉が僅かに動いた。
「……さあ、何でしたっけ」
「御存じの筈でしょう? あなたと結城氏は過去にそこで音楽教育を受けられたと聞きまずが」
「……ああ、……TMLミュージックスクールの事ですか。……そう云えば、そんなややこしい名前の機関の付属だったかな。確かに僕はボントロ始めて直ぐそこに通ってました。忍さんもピアノ科に行ってたかな。……でも、ただの習い事レベルですしね。もう、今は無いですし」
「存じております。6年前に突如閉鎖されたそうですね。それに伴って、音楽教室も閉鎖……、」
 その時だ。パート練習をする弦楽器の音等に混じって、やや異質な電子音による「ボレロ」が姦しく鳴り響いた。携帯電話だ。
「すみません、失礼します」
 冨樫のものらしい。そう云って詫びた彼に、セレスティは「どうぞお構いなく」と微笑んだ。──どうせ、そう簡単に洩す気はないだろう。

【xxx】

「はい?」
──『インスペクター』、巣鴨の里井より要請在り、コーラスを各20名ずつ派遣しました。もう直ぐ、レイクイエムが奏されるでしょう。予め了承願います。
「……ああ、そうですか。……僕、ラッパ吹きに行った方が良いですかね?」
──その必要は在りません。恐らくは『キリエ』のみかと。『トゥーバ・ミルム』は演りません。
「なら良いです。……にしても、その曲にしては少人数ですね」
──計算の内です。あくまで、合唱団の貸し出しを許可したのは実験としてですから。総編成は必要在りません。インスペクターには、ただクシレフとシェトランの様子を見て頂くだけで結構です。
「了解しました。それじゃ」

【2J】

 すみません、野暮用でした、と冨樫は笑顔でセレスティ達に詫びた。
「お構いなく。何か急用ではありませんか?」
「いや、お呼びじゃ無いそうです。……どこまで話しましたっけ?」
「いえ、もうその話は結構です。それと、もう一つ伺いたい事が在るのですが」
「何なりと」
 里井君と云う歌手の事について、と促したセレスティに冨樫は「ああ」と頷いた。
「ハイ・カウンターと聴きましたが?」
「そうですね。子供の頃に、ボーイソプラノで出て来て騒がれたんです。大人しい子だけど、本当にきれいなんですよ。天使の歌声、なんて云われてましたね」
「天使……、」
 セレスティは苦笑した。
「そのまま、上手い具合にソプラノ声域のまま成長したらしいですね。最近、聞きませんけど」
 ──上手い具合に? ……白々しい。
「おや、そうですか。今度、グルックのオペラでオルフェオを演じると聞きましたが」
「……あ、そうなんですか? いやあ、初耳だな。驚いた」
「最近の風潮では珍しい演目だと思いませんか?」
「そうでも無いでしょう。古典派が今どき流行らないだけで。或いは2時間のオペラなんてかったるいですし、中の一曲だけ──ほら、『妖精の踊り』だけが取り沙汰されたりしてるじゃ無いですか」
「……そうですね。……里井君ですが、オルフェオには相応しいと思われます? あなた個人の意見で結構です」
「大丈夫じゃ無いですかね、声域も原典版のままで歌えるでしょうし」
「ソプラノ、と云うことですね?」
「……いや、ハイ・カウンターですから……、」

 話の途中、冨樫の携帯電話が再び電子音を響かせたが「メールです、後で見ますから」と彼はそのまま続けた。

 暫く、埒の明かない問答を続けた後にセレスティは修一を促した。
「この辺りでお暇致します。練習のお邪魔を致しまして、大変申し訳ありませんでした」
「いや、構いませんよ。それより全く役に立たないで」
「ルクセンブルク女史に宜しくお伝え下さい。……本番は、是非伺います」
「……それはどうも……、……僕はただの助演ですけどね」
「勿論、あなたがインスペクターを務めておられる東京ムジカオーケストラの公演もお待ちして居ります」
 冨樫は片方の眉だけを持ち上げて笑った。
「……何でも御存じなんですね」

【xxx2】

『メールを受信しました』

────────────
from sydney_xx@XX.mu
sique.fr

インスペクター? 磔也が
何かやらかすみたいね。詳
細希望! 返信待つ!
 Sydney.

────────────

【5GJ】

「……、」
 ロビーのソファの上で脱力していた蓮は、ふと聴覚が捉えた音に顔を上げた。
 複数人の足音がする。
 そちらへ視線をやった蓮は、エントランスをホールへと横切って行く磔也と、野蛮な気配の男達、そして見覚えのある女性──シュライン・エマだ──の姿を遠目にも確認した。
「……?」
 ──全く、一体何事だ。そして、コツ、コツ……とステッキの音──。
「……おや、香坂君ではありませんか」
 驚いて背後を振り返った蓮は、そこにも知人の姿を見付けた。穏やかな微笑は相変わらず、白銀色の長髪を靡かせた麗人。──セレスティ・カーニンガム。傍らには、蓮には見覚えの無い神経質そうな青年──修一が付き添っていたが。
「……何故、ここに?」
「香坂君こそ」
「……俺は、このホールにアルバイトに来て、そうしたら知り合いが居てまたその知り合いである姉が攫われたとかここの人事担当者が怪しいから気を引けとか何とか……」
 ともかく、無茶苦茶で混乱するしか無かったのだ、と云う意味合いはこの全てを見通す青年に伝わったらしい。セレスティは悠然と頷いた。
「奇妙な巡り合わせですね。これも縁ですか……」
「因みに、あんたらはどこから?」
「仲間がここの見取り図を入手したので、裏口から。寄り道をしていて遅れてしまいました」
「……そうか……、……いや、本当の所あまり良くは分から無いが」
 
──……、

「あ……、」
 
 幽かな音に、蓮とセレスティは顔をホールへ向けた。……ピアノの音。
「結城……?」
「──始まったようですね」

【-】

 俺が未だ10代のガキの頃、母親は軽度の精神衰弱で自宅療養しながらセラピーを受けていた。その病院では、デイサービスの一環として当時日本では未だ珍しかった音楽療法を取り入れていた。親父も俺も、音楽による癒しなんかがプラスになるとは思えないまでもまさかマイナスになるとは思ってもいなかった。
 演奏に来ていたのはボランティアのアマチュアグループで、療法士は自身は音楽知識の無い人間だった。だから、演奏の善し悪しに無頓着だったんだ。
 俺も何度か見学に行った。拙いバッハの弦楽四重奏なんかを一生懸命に演奏しているボランティアは気の良い人達で、好感を持った。それがまさか、母親にとって凶器になるとは思えなかった。
 誰も、気付かなかったんだ。アマチュアの演奏する高音楽器が発する甲高い音が、特に精神を病んだ人間にとって余りに不愉快な刺激を与えていた事に。
 母親は、何故か日毎に悪くなって行くようだった。余程精神状態にガタが来てたんだろうと、医者も父親もセラピーの悪影響を疑いもしなかった。
 
 ある日、セラピーの最中に母親は狂ったように絶叫しながら病院の窓から飛び降りた。

 精神患者の専用病棟じゃ無かったから、セキュリティは甘かったんだ。
 後になって、音色の悪い高音楽器の倍音が母親に過度のストレスを与えていたんだと知った。

 その時のボランティアを、俺は恨んではいない。あの人達には善意しか無かった。
 だが、俺はそれ以来どうしても音楽だけは好きになれない。

 ──その音楽を、意図的に凶器として使おうとしている連中は絶対に許せ無い。

【8ADEFGHJ】

「──あなた……、」
 シュラインは、淡々とシェップの身柄を担いで出て行こうとした男を見て呆然と呟いた。──まさか。でも、だとしたら全然雰囲気が違う。
「あんたまでが直々のお出ましか。……若しかして、結構大問題になってるんじゃ無いのか?」
 翔は男を知っているようだった。事情を知っているような事を云う。
「エージェントがスタンドプレーに走って一般人を巻き込んだ、って事はな。他の堅い連中じゃ、お前達に対してまで子煩い事を云いそうだから、引き取りに来た訳だ」
 大分視界がはっきりしても、男の顔はサングラスと陰で良く分からない。声も、ホールの反響の中でやや異質に響いた。
「面倒見の良い事じゃ無いか」
 男は、翔に顔を向けた。含み笑いを浮かべている。
「……緋磨のかみさんが関わってるって事だしな。……伝えておいてくれ。貸しにしとくって」
「……、」
 ふん、と苦笑したまま溜息を軽く吐き、翔は自らの片手に視線を落とした。彼女が手にしている小刀は、ある方面では夫の身分を示す身分証明として通じる。
「コネが役に立った、って云う可きかな?」
「──誰なの、あなたは……、」
 ──男は、シュラインの方は振り向かずに視線を2階の亮一に向けた。
「……『ディテクター』……そうそう、『壁』の事だが。外の連中には効いたみたいだが、俺に云わせれば詰めが甘い」
「同業者には厳しいんですね?」
 ──勿体振って。亮一は穏やかに答えながら苦笑した。

「──落ち着いたようですね」
「……、何だったんだ、一体」
 『ディテクター』が、ホールの外の連中を引き連れて去って行くとほぼ入れ違いに、セレスティと蓮、修一が入って来た。
「……セレスティさん、どうでした」
 亮一が彼に情報収集の成果を訊ねた。返って来た麗人の微笑みの悠然とした事。
「まあ、色々と」
「……それじゃ、俺達も引き揚げますか。……まあ、ここの事後処理はホール側の人間でやってくれるでしょうし」
 そして亮一は、ピアノの上の忍を揺り起こした。
「大丈夫ですか? ……レイさんも無事です、退却しましよう」
「……あ、……ええ」
  未だぼんやりとしているらしい忍は素直に亮一に従った。──結局、『シェトラン』の存在は分からず終いだ。
 
 孝が繋ぎっ放しにしていた空間の先へ、一旦先に忍を進ませて亮一は倉菜と蓮に声を掛けた。
「硝月さん、どうします? 俺達は一旦、俺の事務所に引き揚げてそこで情報を纏める積もりなんですが」
「お邪魔するわ。……これ、役に立つかも知れないし」
 倉菜がそうして亮一に掲げたものは、例のホールのミニチュアだ。
 舞台上のウィンを樹が揺り起こしている。磔也も気が付いたらしい。
「……、」
「香坂さんも、良ければ」
「……いや、先にやりたい事がある」
 蓮は首を振った。腕を組んだ彼は、やや眉を顰めて磔也を見ていた。
「……硝月、悪いが先刻のヴァイオリンをもう一度貸してくれないか」
「……良いけど?」

【9ABCEFGI】

 事務所へ戻ったシュラインは先ず目にした光景に「またやってる……」と溜息を吐いた。
 そう、彼女と、それに続いた亮一と倉菜を出迎えたのは淡い緑色の髪を靡かせた金色の
瞳の美少女だったのである。
「……御影君は居るし、……レイさんね、さては」
「いや、これには訳が」
 美少女、基いあまねちゃん、基い孝はシュラインの姿を前ににして慌てふためいて云い訳する。……が、シュラインは最早呆れしか感じ得ないようで、鷹揚にひらひらと手を振って「良いわよ、別に」と微笑んだ。
「……それにしても、好きねえ」
「誤解だって! シュラインさんてば!」

「……おかしいな」
 分離したレイを見下ろしながら、孝は髪を掻き回して首を傾いだ。
「どうだった?」
 未だ意識を失っているレイを抱き起こしてソファに寝かせながら、涼が訪ねる。
「……フツーだった」
「普通?」
「……ああ、本当に普通。……気を失わせたのが悪かったかなあ。けど、それにしても特に何も変わった事、無かったんだよな。……あれ、磔也が余っ程特殊なのかなあ」
「あり得るかも」
「……くそっ、そうなると余計に後が怖いな」
 慌て出した孝を、くすくすと笑って見上げながら涼は殊更優しくレイの頭を撫でた。
「あーあ、可哀想になあレイさん。あんなに厭がってたのに。……そろそろ起しても良い頃かな?」
「やめてくれ! つか、俺は今から逃げる、あと数分したら起して良いぞ」
「駄目だって。意識を失ってて、ある意味良かったね、あまねちゃん。命拾いだよ。……まあ、目が冷めた時は覚悟が必要だけど」
「ああもう土下座でも何でもするよ、」
 自棄半分に、孝は盛大な溜息を吐いた。
「……それにしても、怖かったね、レイさん。……もう大丈夫だから」
 整えてやろうと、レイの前髪を撫でていた涼はふとその指先を止めた。
「……、」
 前髪の隙間から覗いた、──ちゃんと見るのは始めてのレイの目許が露になった。

──磔也……?

『こちら巣鴨、どう、無事?』
 ウィンの声だ。

 ……そうか、若しかしたらレイさんが目許を隠していたのはこの所為かも知れないな──、涼は孝に見えないように、再びレイの目許を前髪で覆ってウィンのテレパスに答えた。

「無事です、レイさんにも、……結城さんにも異変はありません」
 結城、と云う時にシェトランの存在を意識して貰えるよう、やや強調して涼は答えた。

『所で、涼さんホールの音を聞きたいって云ってたでしょう、今、丁度香坂君がヴァイオリンを弾いてるの、……来たら?』

 ──あ、急いで意識を向けようとした時、折良く入口からセレスティが現れた。

「……こちらにも一騒動あったようですね」
「骨折り損でね」
 孝が憮然と答えた。
「……然し丁度都合が良い。御影君、レイ嬢をそのまま私に貸して頂けませんか? あなたはホールの音楽を聴いて来ると良い、先程の不快なコーラスとは違って、良いヴァイオリンですよ、中々。参考になるでしょう」
「じゃあ、」
 何をする気か、またこの麗人、何を企んでいるのかは気になるが、涼は一先ずレイをセレスティに預け、涼は今しがたセレスティの通って来た空間へ入った。

【10G】

「──リラックスして下さい、……そう、全身の力を抜いて。……良いですか? レイさんは今21歳です。……今から、その時間の流れをゆっくり遡って行きましょう。……さあ、レイさんは今19歳です。何が見えますか?」
 セレスティは、穏やかな口調で意識の無いレイに話し掛けた。
 レイについては不明な点が多い。東京を出られない事を当然と認識している理由、彼女もまた東京コンセルヴァトワール関係者であるとすればその役割は?
 これから、暗示、退行催眠を掛けてレイの無意識下の記憶を探ってみる積もりだ。
 
「……今、あなたは15歳です。何が見えますか?」
「……パパが、行ってしまったの、……フランスに。行かないでって、私云ったのに、磔也と二人にしないで、あいつは怖い、そう、頼んだのに」
「そうですか。それは寂しいですね。……何故、磔也君が怖いんです?」
「……分からない、」
「少し元に戻りましょう。……さあ、16歳です。何か分かりましたか?」
「東京を……出ちゃ駄目って云われたわ」
「誰に?」
「……施設の人。……もう、これからは東京を出ては不可ない、東京の中に居れば安全に生かしてあげるって……」
「あなたはそれで、東京を出ようと思った事はありますか?」
「……勿論、……でも、出ちゃ駄目だから。出られないの、私は東京を」
「分かりました。……さあ、17歳です。何か分かりましたか?」
「……殺されるわ、私、磔也に」
「何故?」
「本当に死ぬ気なんか無かったの、そうよ、パパの気を引きたかったの。自殺未遂でもすればパパが帰って来てくれると思って、……なのに、あいつ、『そんなに死にたいなら俺が殺してやる』って云ったの、怖かったわ」
「『ZERO』、……あなたは何故そう呼ばれているのですか? それは、一体何の役割、或いは能力を指す言葉なのですか?」
「……私は、失敗作。無用の存在だったの。ピアノも弾けない、何も出来ない、何も持たない『ZERO』」

【11】

「と、云う訳で総括だ」
 結城親子が引き揚げた後、事務所に集まった面々を前に、翔が音頭を取った。
「シェップに関しては、今回奴は完全にスタンドプレーだった。昔、母親が素人の演奏に拠る音楽療法でストレスを溜めて自殺した事で、音楽を憎んでいたらしい。……ちょっとした借りは出来たが、元はと云えば向こうが悪いんだから相殺だろう」
 そして翔はちらりとシュラインを見遣る。──彼女は彼女で、別の問題を思案していた。
「私が思うに、これは磔也君一人どうこうして済む問題では無いと思うわ。寧ろ、彼は利用されている気がする。彼の精神的な不安に付け込んで、破壊衝動を煽られていると云うか」
「俺としては、水谷和馬自身が過去には何も東京コンセルヴァトワールなどとの繋がりを持たない、本当の一般人だった事の方が気になりますね。彼が関わっている理由は、矢張り……、水谷の空の肉体を乗っ取った存在……『クシレフ』……か」
 シュラインと亮一の意見は一致しているようだ。根本的な悪意は東京コンセルヴァトワールという組織にあるらしい、と。
「……でも、音楽をやっている彼が聴覚を失いかけているなんて、本当に可哀想。……まあ、あそこまで荒んだ性格は元々あった傾向かも知れないけど」
 ウィンは心底気の毒そう、と云うように目を伏せた。私だって音楽は大好き。殊更、「音楽しか」無い人間がそれを失ったら、と思えば──。
「それ、遺伝的な物なのかな?」
「いや、外的要因だろうと私は思う。……そうだろう、沼」
「同感ですね」
「どうして?」
 翔と亮一は目配せを交わし、「仕方ないか」と云う風に翔は口を開いた。
「涼には云い難かったんだが、あの家庭、大分複雑なんだ。結城氏に結婚歴は無し。磔也とレイは養子だ。……が、姉弟自体は血が繋がっているらしい。それと、ルクセンブルクさん達が入手して来たデータの遺伝子情報をざっと照合したんだが、妙な事に戸籍上の親子である筈の結城氏と姉弟、……同じなんだ。結城氏と。遺伝的な物であるとすれば、染色体には男女差があるから姉には現れ無いとしても、同じ男性の結城氏はとっくに聴覚を失っている筈だ」
「? ……ちょっと、意味が良く分からないな。遺伝の問題はともかく、養子なのに遺伝があるとか、」
「そう云えば、涼は見て無いですよね。3階の人達」
 涼は頷いたが、代わりには倉菜が肩を竦めた。
「ああ、あの全員同じ顔のコーラス達?」
「何それ、」
「見る? 覗いても良いわよ」
 涼の『感応』能力を大体察知していた倉菜は、件のコーラスの少年少女達の視覚的な記憶をイメージしながら涼に顔を向けた。「ごめん、」と断り、涼は彼女の精神に意識を集中した。
 そして、涼も見る事になる。100人近い人数の、全く同じ制服の上に、全て顔立ちから体つきまでが同じ少年少女達の軍勢を。
「……これ、映画じゃ無いよね?」
 ──余りに薄ら寒い。涼はわざと冗談めかして訊ねたが、倉菜は「当たり前よ」と素っ気無い。
「実際に、居たんですよ。3階バルコニーに」
「……どうだ、クローン人間だとしか思えないだろう」
「クローン人間、そんな非人道なって法律が──」
「だからこそ、証拠隠滅の為に東京コンセルヴァトワールは姿を変えたんだ。前身である東京音楽才能開発教育研究所から。結城忍、磔也もレイも元々はそこの出身だ。私が思うに、結城忍がわざわざ姉弟を養子に引き取ったのは逆に、単に戸籍を得る為の手段だったんじゃ無いかと思う」
「クローン……、まさか、……レイさん達が? つまり、才能あるピアニストのコピーとして?」
 出来れば否定したい気分の涼の脳裏に、ある光景が甦った。──介抱中に、ちらりと見えたレイの素顔。彼女が執拗に隠していたその顔が、姉弟とは云えあまりに弟に似過ぎていたと感じた事を。
「どうも、そんな事ばっかりやってた機関らしいぞ、東京音楽才能開発教育研究所。表向き、一応まともな音楽教育機関らしく音楽教室なんかも併設していたらしいが」
「磔也君の聴覚障害の件にしても、元々人間の聴覚は加齢と共に衰えて行くものです。ですが余りにその進行が早い事の外的要因として、……幼児期に無理な音感訓練を行ったとか。それも、実験の一環として弊害も予想の上で」
「……酷い」
 珍しく憤りを抑えられない涼に、翔は一応「あくまで予測だからな」と釘を刺しておいた。
「……所で、その東京コンセルヴァトワールの人間に会われたそうですね、カーニンガムさん?」
 翔は、質問をセレスティに向けた。麗人は一度ウィンを見遣って微笑む。
「ええ、ルクセンブルク嬢の御紹介で。自分はあくまで非常勤講師だと仰っていましたが、彼も若い時分には東京音楽才能開発教育研究所付属の音楽教室で学んでいたと云うことで、大分関わりは深いと思われます。暗に、脅されましたしね。あまり関わるな、と云いたかったように思います」
「何か、分かりまして?」 
 ウィンの問いに、セレスティは軽く首を傾いだ。
「そうですね、簡単には洩さないだろうとは思っていましたが、それだけに、矢張り磔也君や巣鴨ユーフォニアハーモニーホールの上には東京コンセルヴァトワールがある、と云う証拠とも云えるかと」
「その、東京コンセルヴァトワールを探る方法は無いかしら」
「私もそう思いまして、ルクセンブルク女史の御名前や資金援助の話を出したのですが。『堅いし、気取った所だから』とやや閉鎖的だと云う感じですね。……そうそう、」
 セレスティはそう、と涼に声を掛けた。
「御影君、ホールにあった彫像を気にしていたそうですが」
「はい、……何か不気味だし、……あと、結城氏が『何故これがここに?』って感じていたように思ったんです」
「あの彫像、元はどこにあったものかお分かりですか?」
「どこに?」
「東京音楽才能教育開発研究所の施設内です。閉鎖後、東京コンセルヴァトワールの倉庫あたりに押し込んで隠していたようですが」

「そう云えば、水谷さんはあの後どうなったかしら?」
 ふと、ウィンは素朴な疑問を発した。樹が精霊サンドマンを召還して眠らせたままの水谷。
「そろそろ、起きてると思いますけど。……でも、完全に顔は覚えられただろうし、履歴書まで渡して来ちゃったしなあ……僕はもうホールへは行けないです」
「今後の動向調査に、アルバイトの身分は有効だったんだけど、仕方無いわね。相手がその『クシレフ』とやらじゃ、そうそう簡単に記憶操作なんかの精神戦には持ち込めないし」
 それまで、訳が分からないと云う風に取り敢えず黙って話を聞いていた蓮が口を開いた。
「俺は、多分大丈夫だろう。何せ水谷氏の事は今日始めて知った位だからな。今後も音響チェックのアルバイトに行く事になると思う。未だ不完全だと云うホールに何か仕掛けが追加されれば、直ぐ分かるだろう。何かあればまた情報は提供する」
「私も」
 倉菜も蓮に倣って名乗りを上げた。亮一は軽く頷く。
「じゃ、そちらの事はお二人にお願いしましょう」
「……それと、香坂さん、」
 ウィンが急いで云い足した。
「磔也君、香坂さんには割と親しそうだったわよね」
「そうなのか? あの態度」
 だとすれば迷惑も良い所だが、蓮にはその辺りの基準が良く分からない。
「……全然扱い良いですよ。……僕なんか……、」
 呟くような独白を吐く従弟を横目に、ウィンは蓮と会話を続ける。
「あの子、当分帰って来ない気がするの。気になるわ。もし、連絡なんかがあれば教えて欲しいの」
「……分かった」

【xxx】

 一週間、何事も無く過ぎた。──ただ、磔也の消息が知れない事意外。

「……もしもし、あの、2年D組結城磔也の姉ですが。……弟、学校には……、……ですよね、あ、いえ、あの、風邪なんです。そう、ずーっと、そうです、ただの風邪ですから。ただ、あの通りバカなもんで一度熱出すと下がらなくて。まだ当分休むかも知れませんけど、どうぞご心配無く。留年決定で結構ですから」
 
──……そう、このまま居なくなってくれればどんなに良いか。

 レイは受話器を置き、ダイニングの父に向かって声を上げた。
「パパ、取り敢えず御飯にしよ、コーヒー煎れるね、いつものインスタントだけど」
 ああ、と気の無い返事が返った。だが、彼はどれだけ気掛かりな事があっても表面上は決して面倒そうな態度は取らない。
──……反抗期か。余程疎まれているらしいな、私は。昔から、不意に何日も居なくなる子だった。……珍しい事じゃ無い、多分、友達の家にでも泊まっているんだろう。冨樫君と一緒に居るのを見たと云う話も聞くし、……大丈夫だろう。……そうであれば良いが。
 レイはインスタントコーヒーを煎れ、湯を湧かしながら笑みが溢れるのを禁じ得なかった。 
──何があったか知らないけど、もし、本当にこのまま磔也が戻らなければ。
 父の帰還で大分浮かれているレイは、単純に目先の希望だけで他に注意を払えなかった。

「……そうだ、パパ、今度のコンサートね、香坂さんに招待するって云ってるの。この間逢ったんだっけ? 音響チェックで、アルバイトでヴァイオリン弾いてたでしょう? 凄く良いヴァイオリニストだと思わない? 今度、クロイツェルあたり二人で弾いて欲しいなー。……うん、だから招待券が出たら貰って置いてね。……あ、シュラインさんとか、御影君に葛城君も呼ぶかなあ。そうだ、ウィンさんもだ。ねえねえ、気付いてた? 金髪の凄くキレイなドイツ人の女の人が居たでしょう、彼女、あの声楽のルクセンブルク女史の姪なのよ。吃驚? ……でしょう? いっそ20枚くらい、纏めて貰って来て。……うん、お願いね──」
 朝食の後片付けをしながら、レイは背後の父に向かっていつまでも話し掛け続けた。

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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【0086 / シュライン・エマ / 女 / 26 / 翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員】
【0931 / 田沼・亮一 / 男 / 24 / 探偵所所長】
【1532 / 香坂・蓮 / 男 / 24 / ヴァイオリニスト(兼、便利屋)】
【1588 / ウィン・ルクセンブルク / 女 / 25 / 万年大学生】
【1831 / 御影・涼 / 男 / 19 / 大学生兼探偵助手?】
【1883 / セレスティ・カーニンガム / 男 / 725 / 財閥総帥・占い師・水霊使い】
【1990 / 天音神・孝 / 男 / 367 / フリーの運び屋・フリーター・異世界監視員】
【1985 / 葛城・樹 / 男 / 18 / 音大予備校生】
【2124 / 緋磨・翔 / 女 / 24 / 探偵所所長】
【2194 / 硝月・倉菜 / 女 / 17 / 女子高生兼楽器職人】

NPC
【結城・レイ / 女 / 21 / 自称メッセンジャー】
【結城・磔也 / 男 / 17 / 不良学生】
【結城・忍 / 男 / 42 / ピアニスト・コンセルヴァトワール教師】
【水谷・和馬 / 男 / 27 / 巣鴨ユーフォニアホール人事担当者】
【冨樫・一比 / 男 / 34 / オーケストラ団員・トロンボーニスト】
【里井・薫 / 男 / 24 / 歌手】
【陵・修一 / 男 / 28 / 某財閥秘書兼居候】
【シェップ / 男 / 31 / IO2エージェント】
【ディテクター / 男 / 30 / IO2エージェント】

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■         ライター通信          ■
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皆様、今回も音楽都市への御参加を頂き、ありがとうございました。
前回は私としても反省点が多く、今回はそれを払拭しようとしたのですが、裏目に出て最後になって辻褄が合わなくなったり、また予定外の仕事が入ったりとして、このように大変お待たせする事となってしまいました。この場を借りてお詫び致します。

一部、戦闘メインのシナリオを期待された方も居らっしゃったと思いますが、全体的にプレイングを統合した結果、ほぼ無し、と云う流れになってしまいました。
本シリーズはあと2話、続きますがどうも戦闘レベルは今作程度に留まりそうです。

次回の受注は12月7日日曜日、午後8時からを予定しています。
危惧していた通り、どんどん話がマニアックな方へ流れていますが良ろしければ遊んで下さい。
また、次回シナリオではある点を多数決で決める形を取ります。里井に関しては、次回のプレイングで予想投票して頂く形になります。

最後に、改めて今回の御参加へのお礼とお詫び申し上げます。
最近、突発的な用事が入る事が多く、構想や実際の執筆に掛けられる時間が減ってきました。今後はシナリオノベル、シチュエーションノベル等全て納品期間に日数を追加、実際の納品もギリギリになる事が多くなると思います。いつもお世話になっている方々には申し訳ありませんが、どうぞ御了承の上、気が向かれた時にはお相手下さいませ。

■ セレスティ・カーニンガム様

総帥の着眼点は矢張り総べてが的を得ていました。
延々説明するのもどうか……と云うことで一部割愛しましたが、NPC陵修一に続いて今回の総帥の戦利品は、今後東京コンセルヴァトワール関連の情報(但しデータ化し得る事項に関して)を無尽蔵に引き出せる、と云うことで。
次回がありましたらどうぞお好きにお使い下さい。

x_c.