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<東京怪談ウェブゲーム ゴーストネットOFF>


Battlefield

【OP:戦いの予兆】
「厭な雨だな…」
織田義昭は、鞄を傘代わりにして、走っていた。
あの時を思い起こされる雨。
そう、神格暴走者と戦った時のような…。
ネットカフェで同じく雨宿りしている茜と雫にあった。
「よう」
「こんちわ〜織田さん」
今は三角関係という緊張に慣れたのか、それとも少しずつ大人になったのか分からないが、仲良し3人組みたいに仲が良い。
「いきなりメールで呼び出すから…」
「ビックリしちゃ行けないよ…よしちゃん」
「どうした茜?」
「ちがうの…これ…」
と、雫はパソコンの画面を指さす。
「Wishサイトと同じレイアウト……あいつ…再開させたのか?」
義昭は過去の事件を思い起こす。
名前は知らないが…目が深紅の不気味な男。
一般人から見れば只のオカルト研究オープンサイトなのだが…能力者から見ればサブリミナルで挑戦状をネットで公開しているのだ。
「前にも似た書き込みはあったけど…ただ其れは「能力者は自分一人だけでない」っていうシグナルだったよ?」
「でも…これは…バトルロイヤル…」

サイトの真の意味は茜と雫により解読済みだった。
「せんせーが忙しいときになんて事をしやがるんだ…あいつは!」
―これを視たもの戦うが良い。この言葉読めるもの、其れは選ばれし者。我は待つ。我と戦える権利を得て嵐の中の寂れた神社にて待つ―


【TI社長室の貴城竜太郎】
テクニカルインターフェイス・ジャパンの社長室に貴城竜太郎が、TIの株が上がり機嫌がよくなっていた。
「流石上の上ですね、我が社は。これは不動のものとなるでしょう」
そんなときに、特殊班から連絡が入る。
なにか興味深い事を発見したのだろうか?
備え付け内線ボタンを押し、TV電話で受ける社長。
「何事ですか?」
[はい、ある神社の廃墟にて能力者のバトルロイヤルが行われるそうです]
「能力者?ああ、魔法や超能力などを科学では未だ完全に説明出来ない存在を操る人間のことですね」
[そうです]
通信でサイトのことを詳しく説明する特殊班の言葉に逐一頷き、少し考える竜太郎。
「其れはとても興味深いですね。では、その戦いのデータ採取と、前々から開発している能力抑制装置の実験テストを行って下さい。私は此処で指揮を執ります」
[了解しました]
この戦いは、彼の野望の糧となるのだろうか?
「あと、もう一つ問題が」
「なんですか?」
「一部の我が社にいた「能力者」がサイトを見てしまい発狂し飛び出しています。如何致しましょう?」
その言葉で竜太郎の口調は穏やかではあるが、中には威圧を感じさせるものと変わった。
「そうですか。1人残さず「消して」下さい。後始末の方法は分かっていますよね?そして、彼らには道具になって貰いましょう」
と行って、作戦を開始する。
自分が世界を握るためにあらゆる事を利用するのだ。


【TI社vs宮小路家】
神社で待っている皇騎は、何か居ると感じる。これは霊能力者では無かろうか?
既に囲まれているのは承知だが、おそらく、例のサイトをみて自我を失った者だろう。
その程度の能力者なら、切り札を使うことはない。
陰陽の術と科学技術の融合した式神パペット五行童子の展開で、倒せるだろう。相手は人間だから貴zつされるだけで良い。しかし相手は殺しにかかるだろう。気を引き締めていないとダメだ。と皇騎は考えた。
そして、バトルロイヤルが始まった。
しかし、周りには、TIの調査班率いるデータ収集偽装車と実験車が各地に配置され、その戦いを監視していた。
「あの青年は、ほほう、なかなかやりますね」
集団の攻撃を容易くかわして1人ずつ確実に気絶させる皇騎を社長室から眺める竜太郎。
「まずは、彼が全て片づけるをの見届けましょう。もし此方のことがバレてしまったならば、能力中は粒子拡散をするのですよ」
と指示を出す。
「こんなに能力者が居るのか?何処で?」
皇騎は、全ての襲ってきた相手を仕留めた。そして霊視でどこから来たのか「視た」。
「テクニカルインターフェース?!あの大企業?あのサイトの黒幕はあそこなのか?」
と驚く。
しかし、態と能力者を襲いかからせるというのもおかしい。しかも裏では軍事産業でもあるTIが「虚無」と組むという利益はないはずだ…。
ということは、皇騎は偶々、TIは「このバトルロイヤル」を知り、超常現象能力を扱う者のデータを集めていると考えた。
「ならばどこかにデータ収集車がある」
彼は、ポケットに手を突っこみすぐに手を出し、周りの気配を再度読みとった。
特殊携帯電話からの中継ダイブで、周りをGPSで偽装車を確認した。
此処か!
そのことは、TIにも判明。
「なんと、ダイブ能力もあるのですか!これは面白い!中和粒子は出さなくて構いません。ブラックアイス「ベリアル」展開。あの男の精神を電子空間にとらえなさい」
竜太郎は珍しく興奮した。そう、自分が得たい物は沢山ある。
電脳世界での、皇騎と竜太郎の科学技術対決となった。
しかし、企業の大きさと行動の早さは互角だった。
皇騎が実家と分家の総勢力でネット攻撃し、其れを迎え撃つTI
被害は、皇騎の携帯と実家にあるサーバーが一台破損。TIも特殊班のサーバーと其れと中継していたデータ収集マシンが大破した。同じく数カ所のGPS中継器も壊れたようでお互いの位置は把握出来なくなったようだ。

「かなり楽しませて貰いました…宮小路家…上の上ですね…」
本来なら、サイトの主と能力者が戦う様を収集したかった竜太郎だが、甚大なダメージを特殊班に与えられたことで、検討する項目が増えたのだった。
「相手のGPSが回復する迄に部隊の70%は撤収しなさい、そして宮小路に悟られぬようデータ改築を急ぐように。副回線収集器でデータ収集続行です」
と、彼は指示を与え、ソファに深く座った。
自分の計画ミスがあると自己嫌悪するかのように、唇をかみしめた。

皇騎は端末から離れ、息を切らす。精神にかなりのダメージを与えられた。このままでは「サイト」の主が来たときに困る。
「織田君…早く」
式神パペットで結界を維持しながら彼はそこで気絶した。


【Battlefield】
廃墟に着いたとき皆は驚いた。
気絶している皇騎を見つけたのだ。
急いで茜と義昭が治癒にはいる。
「先に戦いがあったようだ」
と涼が辺りを見渡して言った。
「確かにそうだ。死の臭いがプンプンする」
紅麗も、感知力を数倍にして確認する。
気が付いた皇騎は、
「間に合いましたか良かった」
「どうしたんです?」
義昭が訊ねた。
「他にも能力者が居て、彼らと戦っていたのですよ何とか撃退したのですが、かなり手強かったです」
(TIのことは触れない方が良いですね、戦って気絶させた者が居ない…始末されたか)
「しかし皇騎さん強いですね、30人は倒しているんでは」
「心身とも疲れているか弱い者はかなりコントロールされるようですね、虚無と組んでいます。あのサイトの主は」
「そうですか、たてますか?皇騎さん」
義昭が央軌に尋ねる。
「え、時間治癒と君の疑似魔法で元気を取り戻しました」
すっと立ち上がり、皆を式神パペットの結界内に招いた。
「おそらく、義昭君や死神の少年が来たことで現れるでしょう…あの主が」
と、皇騎が呟いた。
それぞれが、得意の武器を持ち、辺りを見渡す。
藪の中にはTIのデータ収集機と電磁能力抑制器を持った特殊班が待機していた。

雨は未だ降り続ける。
神社の廃屋から、音も立てずに何者かが来た。見たところ、黒いコートを羽織り、深々と帽子を被った男のようだ。中は闇で見えないが、目の奥からは紅く光る目が印象的である。
「待っていたよ、宮小路君、死神、退魔師、霊刀使い。そして神の子織田義昭」
「宮小路さんと義昭だけ名前呼びか」
紅麗が、文句を言った。
「お前は何者なんだ?」
涼が、霊刀2本を召還し構える。
「しがない魔法使いさ。現代魔術も使うけどね」
彼の声は、奈落から聞こえてくるほどおぞましかった。目は深紅のように紅く、気を抜けば恐怖で身体が動かなくなる。
「さて、貴公たちの戦いを今まで視てきて楽しかった。今度は私と戦うかな?」
「…人を…しかしお前から人の臭いがしない」
紅麗が言った。
「流石死神、よく分かっている。もう何度も名前を聞く定命者がいるから名乗るか…」
どこからともなく、杖をだした男は、
「我は三滝尚恭。魔術師にして忌屍者の大魔技、死を超越し今度は存在を超越する!偉大なる不死の王であり、「虚無者」だ!」
そう叫ぶと同時に、彼には何重もの結界が張られ、少し宙に浮いた。
TIの調査班は彼の姿とオーラにより恐怖でデータ収集出来る状態ではなくなった。
既に固まっている紅麗や裕介達にはこの恐怖のオーラは効いていない。
「忌屍者なら、破壊のみだ」
涼は今までおとなしい雰囲気の青年から、鬼神のような形相とかわる。そして三滝に向かっていった。
紅麗も、仮面を外し死神副隊長に完全覚醒し、『氷魔閻』を抜刀し涼の対角線上に走る。裕介も大鎌を取り出し、辺りを注意する。涼の剣捌きの範囲が大きいので、三滝と戦うのは2人がやっとだ。
茜は神格保持者の神格暴走が神社外に漏れない結界を展開し、その後皇騎の陰陽道のサポートに回る。
義昭だけは、水晶を召還したまま動かないで居た。
何か先が見えたのだろうか。
「仕掛けてきますね」
「ええ、そうですね裕介さん」
裕介が鎌を持ち上げる。
水晶を片手だけで持ち、腕を上げる義昭。
3人の周りから、今まで眠っていたかのような怨霊達が沸いて出来ていたのだ。全員が突っこむことは避けていた事が功を奏した。
しかし予想していた、裕介と義昭が一気に浄化する。残った怨霊は、茜や皇騎の術によって倒された。
三滝と戦っている2人は、この男の杖捌きで全て受け流されている。また、当たったとしても鉄が石に当たったような高い音を発している。なおかつ、周りはどんどん熱くなる。
「馬鹿な!神並の力を持っているのかこの男!」
紅麗が叫ぶ。
紅麗も今の涼も剣捌きも能力者の力も神域だ(紅麗は神格保持者扱いだが)。それを完全にガードしている障壁、そして軽く杖で紅麗を突いたとたん、紅麗は吹っ飛んだ。
「ぐはぁ」
神の力を得てしても三滝に叶わないというのだろうか?
死神の身体になっている紅麗の腹は、完全な闇となっている。其れが侵食してくる。まるで生気を吸い取るかのように。
「そんな…ばかな…」
紅麗はその場で気を失いかけるが、義昭が駆け寄ってきた。
「いきなり飛び出すからだ」
「お前には言われたくない台詞だな」
「死にかけの死神が何を言うか…完全に命吸われているぞ」
「そうみたい、だな…感覚が無くなっている…くそっ!」
「あの人を泣かしたらいけないだろ…」
義昭が悲しそうに言った。しかし怒気は篭もっている
「…そうだな…あの杖、あの杖だ。アレがあいつの力を増幅している」
「分かった。後はゆっくりしていろ。其れまで死ぬな」
義昭はそのまま彼を置いて、神格を最大限まで覚醒させた。

雨は其れに呼応するかのように激しくなる。

「おおおおお」
三滝は涼の剣を受け流しながらも、義昭の神格に感激していた。
「我が求めている力だ!ははは!現世の神の子の神格を得れば我は真の力を手に入れられる!」
「今戦っているのは俺だ!」
「黙れ!定命の者が!」
三滝は、涼に掌をむけ爆炎の魔法を発動させた。そのまま涼は吹き飛ばされる。
運良く、その先には裕介が飛び込み、涼を支えることが出来たがしかし火傷が酷い。そのまま裕介は、師エルハンドから貰っていた軟膏を彼に塗る。

「さぁ、貴公よ!私の糧になるがよい!」
「断る!三滝!離れて下さい、裕介さん!」
一気に「縮地」で間合いを詰める義昭。
そして、三滝の妖気と、義昭の神格がぶつかった。白と黒の対極する光はやがて灰色になって拡散する。
その間に、裕介は茜の元に戻り、時間治癒を頼んだ。皇騎は神剣『天蠅斫劔』と不動明王の『羂索』を喚びだし、光の拡散がおさまるのを待つ。
死に近づいている紅麗は渾身の力で立ち上がり、自分の愛刀を構えなおした。

光がおさまったとき…義昭は血みどろの状態で三滝の後ろに数十メートル飛ばされて落ちる。
しかし、三滝の肉体は、究極奥義天魔断絶を受けた傷が2つあり、杖を持っていた腕がない。
その杖は宙に浮いていた。
「今だ!」
と紅麗と義昭が同時に叫んだ。
「ちっぃ!」
三滝は舌打ちする。皇騎と、裕介、そして紅麗の最強奥義が三滝に向けられた。
「ふははは……」
と、忌屍者は何故か不気味な笑いと共に灰になった。
その場所には、折れた杖があった。そこから紅麗の生気が漏れている。
「勝ったのか…?」
皆は疑心暗鬼だった。
「いや、魂を捕獲していない…逃げられた」
傷が癒えていく紅麗が言う。
火傷が完治したが、疲労が酷い涼は茜に肩を貸して貰い…
「未だ続くのか…あのふざけた行為が…」
と呟いた。
「虚無者…ヒョッとして虚無の境界の一員と言うオカルトテロ集団?」
皆が、そう言って、灰になる三滝を眺めていた。

雨は、戦いの後を洗い流すかのように未だ激しく降り続けている。


【三滝と貴城】
有る程度、能力者の情報を得たが大きな敵を作ってしまった竜太郎。巨大企業でも、流石に歴史ある財閥に太刀打ち出来るか分からない。如何せん、宮小路の勢力は何処まであるのか本社の情報からでも不明なのだ。
しかし、此方には更なる力、すなわち宮小路にはないモノがある、十分な兵器だ。ルシファーを始めあらゆる軍事兵器だ。手は未だある。
[そうと思わない…貴城竜太郎]
いきなり、デスクの通信が入った。
流石の竜太郎も驚く。此処のセキュリティに対し単独ハッキングは不可能のはずだ。
[そう焦る出ない人間]
「たしか、残ったデータ収集器でみた…あの三滝とかいう魔法使いですか、あなたは?」
[そのとおり、流石エリート社長]
「死んだと思っていましたが、いかようなご用件で?其れに人の家に土足で踏み込むのは宜しくありません」
[なに、既に死んでも生きている者だ、貴公も同じようなことをして居るではないか。お互い様だな。それはそうと、お互い共通の敵が出来た。どうだ?手を組まないか?]
不思議なものだ。人間の恐れる「死」を克服した忌屍者が人間に交渉を持ちかけてくるとは。
大きな収穫であるが、竜太郎は。
「もう少しあなたが紳士的になってから、詳しくお話しをしたいです。今回はなかったことで」
と返事した。
今、手を組んでも有益ではない。この存在の本当の狙いすら分からない。既にデータ検索で調査しても何にも分からないからだ。
[いいだろう、又今度にするよ…良い返事を期待している…堕天使の装甲使いよ]
といって三滝は通信を止めた。逆探知すらさせない手際の良さだった。

竜太郎は、この相手をどうするか久々に悩んだ。
もし、手を組んだ場合どう利用するべきか、と。また、敵になった場合どう始末しようかと。

End


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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【0461 宮小路・皇騎 20 男 大学生(財閥御曹司・陰陽師)】
【1098 田中・祐介 18 男 高校生兼何でも屋】
【1703 御柳・紅麗 16 男 不良高校生&死神【護魂十三隊一番隊副長】】
【1831 御影・涼 19 男 大学生兼探偵助手?】
【1865 貴城・竜太郎 34 男 テクニカルインターフェイス・ジャパン社長】

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■         ライター通信          ■
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滝照直樹です。

『Battlefield』に参加して頂きありがとうございます。
かなり激戦になりましたが、やっと敵の名前が分かりました。
既にクリエーターショップ異空間書斎〜東京怪談にリストアップされている、『三滝尚恭』です。
如何様臭い強さですが、彼は今後どう動くか謎です。
人として違う存在になった者の思考は、通常考えられないからです。

貴城竜太郎様、シチュエーションノベルではいつもお世話になっています。今回のベルの初参加ありがとうございます。

では、又の機会があればお会いしましょう。
滝照直樹拝