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遺品
□オープニング
その記事が目をひいたのは、綺麗なグラスの写真が添付されていたからだった。
「青くて綺麗だなあ、小さいのがグラス二つにお皿も」
何故こんな写真が貼られたのだろう、そう思い瀬名は記事を読み始めた。
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タイトル:おばあちゃんの遺品なんです 投稿者:瑞穂 MAIL
大好きなおばあちゃんが亡くなりました。
大事にしていたグラスとお皿を形見にもらったんですけど、
それ以来不思議な事が起きます。
夜中若い男の人の幽霊が何かを一生懸命探してるんです。
何か言ってるんだけど声は聞こえないし
探してる事しか判らないんです。
最初は驚いたけど、何とかしてあげたくて
どうすれば良いかなって悩んでいます。
怖くはないです。
だっておばあちゃんが大事にしていた桐の小箱に入っていた
おじいちゃんの写真そっくりなんです。
今はその桐箱もどこにいったか判らないんだけど、
おばあちゃんはいつもそれを大事にしていたので見たのは
一度だけだけど、きっとあれはおじいちゃんです。
若い頃に死んじゃったおじいちゃんが何を探しているのか
どうすれば見つけてあげられるのか判りません。
方法を思いついたら教えてください。
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瀬名は少し幼いでも一生懸命な口調のその記事を何度か読み返してから、方法を探す人を募集する旨を書き込み始めた。
■それぞれの始まり〜禄上と紫宮の場合
控えめなノックの音が紫宮桐流(しみや・とおる)のいる部屋に響いた。文机に向かっていた青年は手にした本を閉じないまま、声をかけた。
「桐流、一緒にいてもいい?」
襖を開けたのは紫の瞳が印象的な女性――名を渕上藤湖(ふちかみ・とうこ)という。振り返った紫宮が優しく頷くのを待ってそのまま部屋に入ると、ノートパソコンを片手に紫宮の持つ本を覗き込んだ。
「難しそうな本ねぇ」
「貴方なら読むのに苦労はしないのではありませんか?」
「それはそうだけど」
見上げる恋人にいささかも躊躇わず渕上は答える。そのまま彼のすぐ近くに座り込むとノートパソコンを開いた。読書を邪魔しない為の気遣いでもあるし、単に側にいるから暇になったら構ってというデモンストレーションでもある。元々、襖にノックというちょっと不思議な行為も、読書に熱中していた場合の気遣いでもあった。
彼の時間を邪魔せずに側にいる方法というのを少女は少女なりに心得ているのだ。その様子に紫宮もまた本に目を落とした。静かな時間が再び流れ始める。
それが破られたのは渕上の方からだった。袖をそっとひいて彼の注意をひく。
「どうしたんですか? 藤湖」
「ねえ、これどう思う?」
恋人が指し示す指先にあるのは瑞穂という少女が書いた記事。紫宮はふむと一つ頷いた。
「お祖父さんの声が聞けないのが瑞穂さんの霊力如何なのかは……難しい所でしょうね」
「やっぱりそう思う?」
「ええ。霊力が微弱であれば声にはならない事もありますからね」
「それって、さ」
何かを期待するような視線で禄上は年長の――そう見えるだけで実際には違う――恋人を見上げた。
「喋る意思があるなら発声器官さえあればいいんだよね?」
「……何をする気ですか貴方は」
苦笑した恋人に向かってうふっと渕上は笑ってみせた。
「想像ついてるでしょ?」
「ええ、まあ。関わる気ですか?」
「だって親しみわいちゃったんですもの」
「何故?」
面白そうに問い掛けた紫宮にほらと精霊は笑う。
「だって桐の箱、でしょう? わたしは藤の壷だったしね」
「成程」
短い応えに禄上は悪戯っぽく見上げた。
「しかし、桐……ふふ、今度箱に閉じ込めてみちゃおうかな?」
笑いながら物騒な事を言う恋人におやおやと紫宮は苦笑した。
「幾ら名前が共通でも、私は閉じ込められるのは嫌ですよ、藤湖。ならば私も再び貴女を……」
封じ込めるとまで言わずに悟った精霊は途端に目を潤ませた。本気ではなく少し拗ねた表情で。
「冗談ですよ、そんな顔をしないで」
流石に恋人に泣かれるのは嫌なのか紫宮は優しく彼女にそう言うとそっと髪を撫でる。――機嫌を直した少女の笑みはとても愛らしかった。
□集合
五十嵐瑞穂(いがらし・みずほ)は最寄りの駅に集まった6人を見て、うわあと目を丸くした。自分の拙い書き込みに沢山の人が来ただけではなく大人が沢山いたのに更に驚いたのだ。
「えっとえっと、来てくださってありがとうございます。五十嵐瑞穂です」
「瑞穂ちゃんね、禄上藤湖(ふちかみ・とうこ)です。藤湖お姉ちゃんって呼んでね。それからこちらが紫宮桐流(しみや・とおる)さん。一緒におじいちゃんの霊のお話を聞こうね」
「出来るだけの事はしますから安心してくださいね」
まるで会話が出来る事が前提みたいだなと此葉(このは)は思った。そして瑞穂に視線を合わせるように少し目線を下げて挨拶する。
「僕は此葉。よろしくね、瑞穂ちゃん」
「シュライン・エマよ。メールありがとうね」
エマが同じように視線を下げてにっこりと笑んだ。九尾桐伯(きゅうび・とうはく)は会釈をし、真迫奏子(まさこ・そうこ)は手を振った。
「九尾桐伯です。おじいさんの探し物が見つかるといいですね」
「真迫奏子よ、よろしく」
瑞穂は改めて深々と頭を下げる。小学6年生だという瑞穂の案内で、彼らは駅から十分ほど離れた瑞穂の自宅へと向かった。新興住宅街の中の建売住宅といった感じの家だ。禄上が首を傾げる。
「おばあちゃんは一緒に住んでたの?」
「おばあちゃんは秋田にいたので住んでないです」
「では形見分けでグラスと皿は貰ったんですね」
「あ、そのグラスってグラスの方はペアなんだよね、お皿の方は?」
紫宮の確認に真迫が口を挟む。九尾がどうでしょうと口を挟んだ。
「二人だけの祝い事だった場合、皿の方は一つでもいいかもしれませんよ」
「そういえば、結婚式の引き出物のワインセットってグラスが二つにお皿が一つね」
「そうなんですか? なんだかお皿が足りないような気がしますね」
エマの頷きに此葉が不思議そうに首を傾げた。九尾が笑いながら付け足す。
「ワインにはチーズがつきものですからね。チーズを乗せる為だけと思えばそんなに小さくありませんよ」
「飲んでる時ってあまり食べないしねえ」
大きく頷く真迫にああ、と納得したように禄上が頷く。
「お塩だけでもOKって言うものねえ」
「それは日本酒ですよ、藤湖。まあ確かにお酒を嗜むのなら、肴はそんなにいらないというのは同意なんですがね」
さて、入りますかという促しに頷く面々だった。
□五十嵐宅にて
ちょうど休日に当たったのでと夫妻が揃って出迎えてくれた。出されたお茶を飲みながらまず口火を切ったのは真迫だった。
「えっと、それで桐の箱ってどんな大きさだったんです?」
これくらいのと夫人が手で大まかな形を作る。ワインボトルが入っていてもおかしくないような気がするサイズだった。真迫は大きく頷いた。
「中身何が入ってたかご存知ですか?」
「ワインボトルが一つと祖父の写真とこんな感じの冊子です」
示したサイズに九尾がもしかしてと口を開く。
「ワインのラベルが張ってありませんでしたか?」
「…ワイン好きの従兄がもらったので良くは見ていませんけど、そうかもしれません」
「ワインラベルって……もしかして飲んだラベルを貼っていくってアレのこと?」
エマが親友の顔を見る。九尾は頷いた。
「もしかすると記念日ごとに飲んでいたのかもしれませんね」
「それを大事にしていたかもしれない訳ね……そうするとそのワインもいつか二人で飲もうって思っていたのかも知れないわね」
「でも、ワイン好きな人なんですよね? となると飲まれてしまってるかもしれないですよね?」
「そうよねぇ、好きならとっとと飲んじゃうか、それともとっておきの為にとっておくかね」
此葉が躊躇いがちに二人の会話に口を挟んだ。真迫も同意見らしい。
「あながちワインだけ見つければいいかどうか判りませんよ」
「え? どうしてですか?」
紫宮の言葉に驚いて此葉が振り返る。紫宮が答える前に禄上が夫妻に尋ねた。
「……おばあさんってここに住んでなかったんですよね? 一緒にどなたか住んでたんですか?」
「ええ、兄が……それがどうか?」
夫人の言葉に頷いて渕上が続ける。
「お兄さんがおじいさん……えぇっとお父さんですね、その幽霊を見た事は?」
「いえ、そんな事は全然聞いた事がありません」
「となるとこの家に来てから現れ始めたんですよね?」
「あ、確かにそういう事になるわね。おばあさんがなくなって形見分けでグラスがここに来た訳だし」
エマが納得したように頷く。祖父の霊はここに来てから現れ始めたとなれば形見分けや祖母の死がきっかけになっているのかもしれない。
「まだ出会えていないから捜しているのかもしれませんし、或いは頼まれて探し物をしているのかもしれません」
「まあどうして欲しいかはおじいさん当人に聞くしかないわけだけどね。ただ、桐の箱は多分必要になるんじゃないかなって思うの」
紫宮の言葉を渕上が引き取って続ける。話せる事を前提とした口調に此葉がえっとと首を傾げた。
「じゃあおじいちゃんと話す事はできるって事ですか?」
「うん。それは私に任せてくれてOKよ」
とんと胸を叩く渕上に紫宮がやれやれと笑う。
「では私は藤湖のフォローを。桐の箱の所在は……従兄さんの家は判るんですよね?」
夫人が頷いて、立ち上がる。住所録を取ってくるつもりらしい。九尾がその姿を見送ってから口を開く。
「じゃあ、私は従兄の方をあたる事にしますか」
「私はちょっとおじいさんと話してみたいの。……あとお願いした事は」
エマの言葉に瑞穂が封筒を差し出す。
「ビデオとかはなかったんで写真とテープだけなんです」
「そう、じゃあ、おじいさんの写真が見つかったら一緒に入れてあげましょうね」
うん、と瑞穂が頷く。その様子を微笑ましそうに見てから此葉が手を上げた。
「えっと、じゃあ僕も九尾さんについていっていいですか?」
たいした役には立てませんけど、そう付け加えた此葉と対照的に明るく真迫が言う。
「空瓶でもいいから最悪回収しないとね。同じもの捜せなくもないし。という訳で私も一刻も早く現物をみる為に同行させてもらうわね」
■囁く人形
仏間というのはやはりある程度の大きさがある家でないと作れない物らしい。和室の飾り棚にそれは飾られていた。
「あ……」
入った途端に渕上が小さな声をあげる。紫宮も頷く。
「これは微弱な霊気ですね。聞えないのも無理はない。むしろ見えた分だけ感覚が優れていますね」
「うん。そうね。これは力もあげないと駄目かしら?」
「そうかもしれませんね」
「……って事は他の人には見えなくてもおかしくないって事?」
一人それを捕らえられないエマがきょろきょろと左右を見渡す。
人形を抱いた渕上が日当たりのいい窓辺にそれを置き、正座してそれを見つめた。
それは一瞬の事。
目を合わせて髪を撫で吐息をかける。それだけで全てが終った。
女の子の人形はいつの間にか若い男の人形になっていた。
「……これが?」
しばしの逡巡の後、エマはそう一言だけ問う。渕上が頷いた。
「おじいさん専用に作ったの。喋る霊力があるかどうかが問題なのですケドね」
「ではそれは貴女の散した力で与えましょうか」
そう言うと紫宮は短く韻を踏んだ呪を唱える。するとどうだろう。人形がかすかに動き出したではないか。
「……こだ、どこに……る……?」
「和正さん、ですか?」
「……こだ、……にいる……?」
「反応しないね」
紫宮の声に反応を見せない人形に禄上がため息を付く。エマが耳に当てていたイヤホンを外して、そっと呼びかけた。
「和正さん……和正さん聞えますか?」
その唇からこぼれるのはエマの声ではない。エマが用意してもらったテープで聞き覚えた声――つまり和正の妻の声だった。
「美代子? そこにいるのか?」
「何を捜しているんですか?」
「美代子じゃない……?」
戸惑う男にエマが頷く。
「ええ。貴女の探し物を手伝いにきました……何を捜しているんですか?」
「僕は……美代子を……美代子と飲もうって約束したワインを捜してるんだ。……金婚式にはきっと飲もうって約束したのに……」
「成程。大まかな筋は予想した通りでしたか」
「向こうの人達おばあさんも一緒につれて帰ってきてくれるかしらね?」
会話をするエマと人形の間にいる二人はそっと言葉を交わして頷きあった。
□出来なかった祝い事
お膳の上に乗っているのは様々な料理だ。
から揚げ、お煮しめ、お刺身にサラダ。暖かいスープとキンピラ。チーズにおにぎり。思いついた物を並べただけの気ままなご馳走だ。
そしてお膳の主役は小さなワイングラス。各自ジュースや日本酒など好きな物を持ち込んでいるが、ワイングラスだけは欠かせない。
そして座の主役は二つの人形。若かりし日の二人をかたどって渕上が作り出したものだ。彼らの力を安定させる為の場は紫宮が作り上げた。
「まだ年数は早いけどいいわよね」
「ええ、こういうものは祝う気持ちではないかと思いますよ」
頷きあったのはエマと九尾。此葉が瑞穂と一緒に色々と運んでいる最中にそれを聞きつけ笑った。
「十年したらまたお祝いしてあげればいいじゃないですか」
「そうね、でも今日は今日で思いっきりお祝いしてあげましょう」
襖を開けて入ってきた真迫が笑って言う。布で包んだ三味線を開くとそっとかき鳴らし玄の調子を整えていく。
「うわあ、綺麗な音ね」
「ええ、しっかり鍛錬されている方の音ですね」
渕上と紫宮の感嘆に真迫がにっこり笑って頷く。
「普段はただでは聞かせませんよ。特別な席ですからね」
そう、今人形に宿る夫婦が願っていたのはいつか金婚式には結婚した年のワインを飲もうというささやかでそして気の長い希望だった。二人はその日を迎える事なく死を迎えたが、夫はグラスに宿って待ちつづけていた。妻がワインと夫の写真の入った桐の箱に依り憑いた為、二人は離れ離れになり、そして互いを呼び合っていたのだ。
瑞穂がグラスを差し出すと、桐の箱を受け継いだ満がそれにワインを注いだ。瑞穂が祖父と祖母の前にそれを置く。二人の人形の前にはグラスとお皿、そして桐の箱に入っていたワインとラベルのアルバムが置かれていた。
写真は若かりし日の夫だけだったが、エマがそっと妻の写真を横に置いた。
「準備も整った事ですし、そろそろ始めましょうか」
九尾の言葉にエマが頷く。
「そうね。じゃあ、瑞穂ちゃん、お祝いの言葉を言ってあげて」
「え? 私ですか?」
出来ませんと真っ赤になった瑞穂に此葉が笑いかける。
「大丈夫。おめでとうって言えば良いんだよ」
「そうよ。気持ちが篭っているのが一番大事なんだからね」
渕上の後押しにうん、と頷くと瑞穂は大きな声で言った。
「おじいちゃん、おばあちゃん、結婚記念日おめでとうございます。私もいつかおじいちゃんとおばあちゃんみたいな素敵な夫婦になれるように頑張ります」
拍手が起こり、そして二人の人形が小さな会釈をした。二人とも霊力がそう強くもないからと紫宮が力を与えているが、あまり喋ったりは出来ないらしい。
「では乾杯の前にお祝いを一曲」
綺麗にお辞儀をすると真迫が三味線をかき鳴らす。二人を祝う曲に自然と居合わせた人間の顔も綻んだ。
曲が終った後の一礼の後、促されて満が音頭を取る。
「えー、では……」
言葉を探すように逡巡した後漸く言葉を見つけたらしく咳払いをする。
「おめでとう。それから、あー、とにかく祝えてよかった。乾杯!」
一斉にグラスが上がった。そして和やかな宴会が始まる。
「あ、赤なのにすっきりしてるのね。それにそこまで渋くないし」
「ええ、飲み口がすっきりとしてますね。これは美味しい。今度取り寄せるとしますか。取り寄せたら連絡をいれますよ」
「じゃあ、その時は飲みに行くわね」
「草間さんと来店されるのをお待ちしていますよ」
ワインの味についての会話を交わしているのは九尾とエマだ。
「んー、私がこの間飲んだのはもっとまったりって言うのかもったりって言うのか、とにかくそんな感じだったのよ。とにかくまずくて、でも実はワインって美味しいのね」
「それは種類にも寄ると思いますよ。今度知り合いにでもいいワインを聞いておきましょうか」
「いいの? じゃあお願い」
「ええ。では今度は家でワインを飲みましょうか。たまには目新しくていいかもしれません」
紫宮の提案に禄上が頷いた。仲睦まじい恋人同士の会話の詳細に耳を傾ける物はいないが明るい雰囲気は隣にいても伝わってくる。
□そしてそれもいずれ笑い話に?
ワインを舐めるようにしながら味を確かめてみると案外美味しい気がして、それでも恐る恐る此葉はグラスに半分ほどを漸く飲み終わった所だった。
「うーん、酔いにくい飲み方とか聞いておけばよかった」
「じゃあ、教えてあげましょうか?」
独り言に突然答えられて此葉は驚いた。すぐ隣の真迫がどういう訳か座った目でこっちを見ていた。
「……え?」
「まず空けなさい。ほら、飲むのよ、ほら!」
なんだか妙に勢いがあって逆らいきれずにごくりと飲み干した。なんだかそれだけで体が熱くなってくる気がする。
「よし!」
何故か満足げな真迫は此葉のグラスに更にウイスキーを注ぐ。
「真迫さん!?」
「飲め」
「あのぅ、いくらなんでもウイスキーのストレートはきつくない?」
とりなす禄上の言葉には何の効力もなかった。
「私の入れたお酒が飲めないって言うの!?」
「え? えええ!?」
「……成程。酒乱ですか」
納得して深く頷く紫宮。
「酒乱ってあのどうすれば」
「どうにもなりませんよ。酔っ払いなんですから」
全然救いにならない事を言ったのは九尾だ。エマはウーロン茶を新しいコップに入れて手渡す。
「何ですか?」
「お酒じゃないから安心しなさい。……でも花柳界って聞いてたのに酒乱なんてねえ」
「ちょっと、私の注いだお酒を飲まずにそっちに手を出すってどういう事!?」
真迫は此葉の手の上からグラスをしっかりと握り、此葉の口元に持っていこうとした。
こぼれる、こぼれたらこの訳のわからない勢いで怒られる。咄嗟に此葉はウイスキーのグラスに口をつけてしまった。
――此葉が盛大にむせたのは言うまでもない。
Fin.
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■ 登場人物(この物語に登場した人物の一覧) ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】
1144/紫宮・桐流(しみや・とおる)/男性/32/陰陽師
0086/シュライン・エマ/女性/26/翻訳家&幽霊作家+時々草間興信所でバイト
0332/九尾・桐伯(きゅうび・とうはく)/男性/27/バーテンダー
1557/(蘭空)・此葉(らんす・このは)/男性/16/万屋『N』のリーダー
1650/真迫・奏子(まさこ・そうこ)/女性/20/芸者
1752/禄上・藤湖(ふちかみ・とうこ)/女性/999/大学生
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■ ライター通信 ■
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依頼に応えていただいて、ありがとうございました。
小夜曲と申します。
今回のお話はいかがでしたでしょうか?
もしご不満な点などございましたら、どんどんご指導くださいませ。
遺品は、いかがでしたでしょうか?
結婚記念日というのは本来欧米の祝い事の習慣が流れてきた物ですが、日本では特に金婚式、銀婚式が有名ですよね。
洒落た祝い事とまではいかなくてもちょっとしたご馳走やお祝いなんかをするのは素敵だなと思います。さ迷った二人のようにすれ違いやどうしようもない事で守ろうとして約束を果たせなくなりそうになるのは悲しいですケドね(笑)
お楽しみいただけましたら、幸いでございます。
紫宮さま、二度目のご参加ありがとうございます。
今回は恋人さんと参加という事で何やらいつもとちょっと違う雰囲気になってしまったかもしれません。……いかがでいたでしょうか? 何気に二人のプレイング部分での会話にドキドキしてしまいました(笑)
まだ出会えていないというのは半分辺りで半分はずれだったりします。ずっと側にいて見守っていたのですが力が弱かった為にああなってしまいました。
今回のお話では各キャラで個別のパートもございます(■が個別パートです)。
興味がございましたら目を通していただけると光栄です。
では、今後の紫宮さまの活躍を期待しております。
いずれまたどこかの依頼で再会できると幸いでございます。
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