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<PCシチュエーションノベル(ツイン)>


謎の敵との戦い そしてある紳士との出会い

バイトが終わり、自宅に帰る真柴尚道。
今のスケジュールではクリスマス商戦真っ直中で、多忙極める。当然裏家業も忙しい。
普通に生活するだけであれば、尚道は平凡な暮らしが出来る。しかし、其れはムリだった。
事故に遭ってから、異世界の破壊神として覚醒した。しかし、意志は自分なので破壊真の力を使い、人のために超常現象に対し戦っている。
能力者や超越者になってしまえば、安息はないものだ。何かが必ずつきまとう。

―今日も厭な感じがするぜ。

彼は思った。何かに跡を付けられている。
しかも人外の妖気をひしひしと感じた。
人気のない公園に向かった。とは言ってもこの公園は改築工事するために高い柵に囲まれている。軽く飛び越し、真ん中に立ち止まる。
「いい加減出てきたらどうだ?」
忙しく疲れているのに、得体の知れない類にストーカーされたら気分が悪い。
その声に反応するかのように、10人はいる謎の黒服や、魔術師のような人物が降り立った。中には怨霊で武器を具現化している物もいる。
「何のようだ?さっさっと済まして貰おうか?」
尚道は腕を組み、イライラしながらこの集団に訊いた。
「異世界の破壊神よ、お前の力気に入った。破壊神の司るモノは知っていよう?破壊。全てを破壊し、無に帰すこと」
リーダー格の魔術師が答えた
「馬鹿たれ、破壊は世界におけるサイクルの一つだ。一つだけ力が強くなってはいけねぇんだよ。全てを破壊した結果残るのは「無」だけだ」
徐々に尚道に破壊神の力が覚醒される。
「残念だ。器が合っていない状態で我らと戦うのか…洗脳は神には通じぬが…殺れ」
魔術師は指を鳴らす。
すると、怨霊がいきなり現れ、武器を持った黒服は服を脱ぎ捨て尚道に襲いかかる。
神の力を手に込めて、襲いかかる敵に少し触れる。それだけで敵は塵となった。
己の超回復能力とその接触で次々と敵を塵に変える。しかし数が多すぎ、徐々に疲弊する。
「愚かな…」
魔術師は、味方の塵を一握りもち、尚道から円を描くように逃げる。
尚道は息切れを起こしながら、確実に敵を滅ぼしていき残るは魔術師のみとなった。
「後がないぜ?」
「お前の方こそ後がない、良く見るがよい」
なんと、尚道は彼が何時の間に描いた魔法陣の中にいたのだ。
「味方までも利用するか…気にいらねぇ」
「捕縛し、力だけ頂こう…あの方が喜ぶはずだ」
魔術師は呪文を唱え始めた。これは怨霊力呪縛と異世界人捕縛呪の合成のようだ。
「其れはお前の方だ!」
神力全開で、魔法陣が描かれた地面に拳を振り下ろした。
魔法陣自体をいやこの公園自体を「破壊」したのだ。
「ぬお!」
呪文の中断は時によって、暴走を起こす。
怨霊の契約による違反は、術者にその力が返るのだ。
地面が裂ける音、其れにかき消されそうな魔術師の断末魔…。
「くそ…これぐらいの敵で…力思いっきり使うとは…」
地面が崩れていく中で、尚道は気を失った。


一方、しなびた紳士の漁火汀は異様な風の知らせを受ける。なんと能力者同士での戦いが近くであるというのだ。
「何なのでしょう?」
不安ではあるが風が教えてくれた事は前に感じた邪悪な妖気。
「まさか被害者が?」
急いで駆けていく。
目の前には、見るも無惨な公園跡地。クレーターができており、真ん中に気を失っている青年。そして、呪術に失敗し、発狂死した謎の男の死体。あとは塵だけだった。
風読みで、此処で何かがあったかを「サイコメトリー」してみる汀。
「なるほど…このままでは彼が疑いかけられますね…」
と、尚道を担ぎ、その場を急いで後にした。
それから10分後に、IO2らしき機関が駆けつけてきたのは風によって知らされる。
「危ないところでした」

尚道が起きたとき、見知らぬ天井だった。2DKのアパートを思わせる和風の作り。
「こ…ここは」
「気が付きましたか」
尚道が起きたことを知って、紅茶を持ってきた汀。
「あんたが此処まで?」
「ええ、あなたが戦いをしていると風が教えてくれまして」
「…そうか、ありがとう」
戦いの跡は何かと疲れるし、喉も渇く。紅茶を飲んで一息吐いた。
「名前言ってなかったな、俺は真柴尚道」
「私は漁火汀です」
「あんた知っているのか?あの集団は何だったのだ?フレッシュゴーレムのような物まであったが…」
尚道は助けてくれた男に訊く。
「そうですね、幾度か戦ったことがあります。かなり危険な組織です」
「なんだ?」
「虚無の境界。前世紀の破滅の予言が当たらなかったことで自らの手によって世界を滅ぼそうとするオカルトテロ集団です」
「なんだって?…あぁそれで…俺をスカウトしにきたのか…」
「そうでしょうね…」
汀は紅茶を飲み丁寧に虚無の境界の今まで行った行動を説明していく。
尚道は彼の言葉に頷き、拳を握りしめていた。
「まったく、厄介なヤツに見込まれたものだ…俺はあんな奴らと一緒に仕事はしたくないな」
「同感です。今は表だって行動は起こしてない様に見えますが、かなり派手にやっています。仲間として拒まれた以上、あなたを抹殺し力のみを抽出するでしょう。そう世界を滅ぼすために」
しばらくの沈黙。
先に口を開いたのは尚道だった。
「では決まりだ。あんたと共に虚無の境界と戦ってやろう。関係ない奴らや親父やお袋も巻き込みたくない」
「私も同感です」
ふたりは熱い握手を交わした。

強大な敵と戦うために。