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<東京怪談ウェブゲーム ゴーストネットOFF>


和泉先生の実験教室

オープニング

題名:助手募集
投稿者:和泉 楓
本文:今回書き込ませてもらったのは、助手募集のため
    一日でいいから誰か私の助手をしてくれないかしら?バイト代は五万円払うわ。
    ご飯もちゃんと出すし、休憩もあるわ。晩御飯は腕を振るってトラフグをご馳走しちゃう(無免許だけど…)
    じゃあ。ここに連絡先を書いておくから実験体…いえいえ、助手をしてくれる人は連絡してきてね♪


和泉 楓、28歳。
恋愛よりも科学を愛するマッドサイエンティスト。実験にされた人は数え切れないほどで、その中には
人間をやめさせられた人もいるらしい。
その科学者の元へと助手をしにいく勇気ある者ははたしているのだろうか?


視点⇒海原・みなも


「何か、怖いくらい割のいいバイトですね…」
みなもはパソコンの画面を見ながら呟いた。その画面にうつっているのは『和泉 楓』という博士の助手募集の書き込みだった。
「一日で五万円、しかも晩御飯はトラフグ(無免許)」
 フグって免許がないと調理してはいけないのでは?とみなもは思ったがどうやらこの『和泉 楓』という女性、常識が通じそうにない人間のようだ。
「でも、興味あるなぁ…」
 暫くみなもはこのバイトを引き受けようか迷った末に、とりあえず応募してみようと連絡先の電話番号にかけてみる。
『はい、和泉ですけどぉ?どちらさま〜?』
「えっと、海原・みなもという者ですが、助手の事でお電話させていただいたのですが…」
 みなもの『助手』という言葉に相手の態度が豹変する。
『あら、あら、助手希望なの?いつ来れるのかしら?実験器具を整備しておかないと…』
「え…よろしければ明日にでも…」
『明日!?それはいいわ。徹夜してでも器具の整備しておくから貴方は安心して実験材料……いやいや、バイトにきてね♪』
「は、はぁ…じゃあ明日伺います」
 みなもは電話を切った後で少しだけ後悔したくなった。想像以上の常識が通じない人間だ。
「まぁ、何とかなるでしょう…」
 そう言ってみなもはベッドにもぐりこむ。明日のバイトに疲れを残さないためにもいつもより早めに就寝した。


「…大きいお屋敷ですね…」
 みなもは和泉と書かれた表札の向こうにある屋敷を見た。屋敷は門からはるかに遠い場所にある。歩くだけで疲れそうだなぁ、と思いながらインターホンを鳴らす。
「はいはい、誰?バイトの子なら勝手に入っちゃって。勧誘とかはお断り、さっさと帰ってね」
 それだけ言うとガチャンときられた。
「…今日は疲れそうだなぁ…」
 苦笑しながらみなもは門を開けて中に入る。でも人間をやめさせるほどの博士と博士の能力に興味はあったので不思議と嫌な気分ではなかった。回りの友達からは『やめておきなよ』と何回も止められたが。友達の中には『もう会えないかもしれないね』と言って貸していたお金を返してきた友達もいた。その時は『大げさな』と思ったがあの博士の性格を知ってから『なるほど…友達が止めるわけですね…』と妙に納得してしまうあたりが悲しく思えた。
「まぁ、人間止めさせられても元に戻してさえくれたら問題ないんですけどね」
 自分は人魚だということを説明しておいた方がいいだろうか、などと考える。下手に薬を飲まされて人魚だったがために元に戻らなくなった、というのは洒落にならない。
「うん、ちゃんと説明しておいた方がいいよね…」
 でも人魚だという事で妙な実験をされたらどうしよう、という気持ちもみなもの中にあった。
「あなたが昨日電話をくれた海原さんね」
 考えている間に屋敷の方についてしまっていたらしい。中から出てきた女性は瓶底眼鏡をかけた女性だった。声から察するに昨日電話をしたときにでた女性と考えて間違いないだろう
「ふぅん、ま、いいわ。はいってちょうだい」
 みなもをじろじろと見ると、和泉博士は中に入るように促す。
「えっと、まずお先にお話したい事があるのですが…」
 屋敷の中を歩きながらみなもが話し出す。和泉博士は『あら、なぁに?』といってくる。
「あたし、人間じゃなく人魚なんです…だから―」
 みなもが最後まで言葉を言い終わらないうちに和泉博士が言葉をさえぎった。
「人魚!?人魚なの?」
「え?あ、はい…」
「そう、はじめてみたからびっくりしちゃった!」
 何かこの人は違う、みなもはそう思った。
「そう、人魚なの…だったらこの薬飲んでみて〜。人間を人魚にする薬開発してみたんだけど人魚が飲んだらどうなるのか知りたいのよ」
ね?いいでしょ?とじりじり近寄ってくる和泉博士にみなもは思わず後ずさる。この場合『嫌です』と答えても無意味のように思えた。
「いいから飲みなさいって〜」
 口に瓶を突っ込まれる。最初から飲ませる気でいたようで白衣のポケットに入れていたようだ。
「…げほっ」
 いきなり瓶を口に突っ込まれてみなもはむせる。
「…どう?何か変化はないの?」
 和泉博士は手にメモとペンを持ち、ワクワクとした表情でみなもに問いただす。
「…い、いぇ…特に何も…」
 みなもは、のど元を押さえながら咳をする。
「あら〜?おかしいわね…何かいけないかったのかしら?」
 う〜ん、と考える和泉博士を見ているときに異変は起きた。
「………あのぅ…これ何ですか?」
「ん?」
 和泉博士がクルリと振り向き、見たものは…。


「ぷっ…」


 頭が魚、首から下が人間の……別な意味での人魚だった。


「……明らかにこれはおかしくありませんか?」
 みなもがフルフルと肩を震わせながら呟く。和泉博士は笑いを堪えるのに必死のようだ。
「うん、人魚の意味がちがったわね」
「いや、そういう意味でなくてですね。」
「ありがとう、いいデータが取れたわ」
「いえいえ、どういたしまして…じゃなくて元に戻りたいんですけど…」
「さぁ?そのうち元に戻るんじゃない?」
「でも…今までの実験とかでは…」
 みなもは椅子に座りながら和泉博士の方を見る。
「うん、今までの実験ね、私、熱しやすく冷めやすい性格なのね。だから薬作る時は楽しいんだけど、解毒剤作る段階になると冷めちゃうの」
 あはは、と笑いながら和泉博士は手を振る。冗談だろうと思ったみなもは、それから和泉博士の今までの実験の事などを聞きながらトラフグをご馳走になった。


 …そして、フグにあたった事は言うまでもない。みなもの姿は一週間元に戻らず学校も無断欠席をすることになった。

 今回、みなもが学んだ事。美味しい話には裏があるので安易に引き受けるのは止めよう、という事。




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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号/PC名/性別/年齢/職業】

1252/海原・みなも/女性/13歳/中学生

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■         ライター通信          ■
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海原・みなも様>

いつもお世話になっております、瀬皇緋澄です^^
今回は『和泉先生の実験教室』に発注をかけてくださりありがとうございます!
『泉先生の実験教室』はいかがだったでしょうか?
少しでも面白いと思っていただけたら幸いです^−^
それでは、またお会いできる機会がありましたらよろしくおねがいします><!


           −瀬皇緋澄