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<東京怪談・PCゲームノベル>


エクスプロイト 〜OMR 【1】

●エクスプロイト
 オペレーションムーンロード発動‥‥その作戦の意味は誰にも明らかにされていない。
 だが、電脳世界の何処かに有るという聖域‥‥ムーンロードの彼方に、目指す真の目的があるという。
 今、SAIPS(スーパーアーティフィカルインテリジェンスプログラムシステム)と呼ばれる電脳世界の仮想兵器達が、仮想現実であるバトルフィールドを駆け抜ける。
 勝利の果てにのみ開かれる、ムーンロードへと至る為に‥‥

●ゲーム開始
 青空を舞う鋼鉄の鷲‥‥その翼から左右3枚ずつの羽が抜け落ち、地上めがけて飛んでいく。そして僅かに遅れ、両足の爪がミサイルとなって撃ち出される。
 その攻撃は、緑の平原に展開していた機械兵器の一団を爆炎の中に呑み込んでいく。そうして、全てが炎の中に呑み込まれたかと思ったその時‥‥炎の中から、一発の火炎弾が放たれた。
 その炎は天を舞う鷲を射抜き、その体を揺らがせる。
 直後、炎の中から無骨な機械の竜が姿を現した。
 その口に生まれる火炎弾‥‥それは再び空に放たれ、鷲を炎に包んだ。
 空に爆炎の華が咲いた‥‥

「‥‥負け〜」
 ここは戦場ではない。市内の大型ゲームセンターだ。
 人気ゲーム『エクスプロイト 〜OMR』をやっていたSHIZUKUは、少し肩を落としながら排出されたエントリーカードを取ると、コックピットを模したゲーム筐体から下りた。
「やっぱり、ワルキューレにしとけば良かった。使える機体を増やそうと思ったけど、フレスヴェルグは合わないや」
 フレスヴェルグ‥‥今、SHIZUKUの使っていた、鷲の姿をした機体。ワルキューレは、少女型の機体で、普段のSHIZUKUはこっちを使っていた。
 ちなみに、SHIZUKUのフレスヴェルグを撃破したのは、ドラゴン型機体のファーヴニル。それが今、参加者の中でただ一機勝ち残り、ゲームの勝利者となっていた。
「どーりで強い訳だ‥‥っと」
 言いながらSHIZUKUは、財布の中身を確認した。
 もう一回くらいなら、行ける‥‥
 小銭の数を数えてそう判断したその時、次のエントリーを促すアナウンスが、店内に響き渡った。
「次のエントリー‥‥バトルフィールドは『草原』。平坦な草原の各所に、森や丘、村落が点在する戦場です。参加希望の方は、筐体前に集合してください」

「よぉーっし、再チャレンジ! 今度は、せめてタイムアップまで生き残ろう」
 少々情けない目標ではあるが、SHIZUKUは自分に言い聞かせるように呟くと、エントリーをする為に筐体の所へと戻っていった。
 他にエントリー志望者で筐体が埋まっていたら、連続エントリーは避けるのだが‥‥幸いにも、筐体はまだ開いている。
 店内の大画面モニターの前の人垣の方が多い‥‥と言う事は、今回はギャラリーに回った者の方が多かったのだろう。
 このゲームは、ショー的要素も大きいので、自分では参加せずにギャラリーとなる者も多い。
 何せ、ギャラリーは無料なのだから。
 ともあれ、その部分を考慮に入れて、勝つ事よりも、見せる事を目的にゲームをする者もいる。もちろんこういうプレイヤーの方が、勝利のみを追い続けるプレイヤーより人気を得やすい。
 とは言え、見せキャラ一辺倒だと罵倒されるだけなので、見せる戦いをしつつ勝利を狙うという茨の道となるわけだ。
 で‥‥ギャラリーが多いって事は、そう言う意味でのスタープレイヤーでも来たのだろう。
「ラッキ〜☆」
 すかさず箱形の大型筐体の中に身を滑り込ませ、SHIZUKUは何枚かのコインをコイン投入口に呑み込ませる。
 続けて、スリットにエントリーカードを挿入。
 直後、タイトルロゴを映していたモニターは、エントリー待ち画面へと変わった。
『エントリーが開始されました』
 表示される文字の横に、エントリー待ち時間のカウントダウンと、現在エントリーしている人数が表示される。
 同時に、戦場の環境が表示されていた。
 場所は平原。時間は昼。天候は晴れ。特に気に止めなければならない事もない、戦いやすい戦場だ。
 しかしその分、機体性能と戦術の組み合わせ‥‥あと、プレイヤーの腕の優劣がはっきりと出てくる。
 戦場は、エントリーする者を待っていた。

●エントリー
「やっぱ参加することにしたよ‥‥援護ヨロシクな」
「シングルエントリーのつもりだったんですけど」
 梅田・メイカは、エントリー間際になって声をかけてきた夜城・将清に淡々と言葉を返しながら、特に拒否することもなく筐体の中にその体を入れた。
 同じように夜城も筐体の中へとその身を隠し‥‥エントリーを行う。
 その時、二人が選んだのはチームエントリー。
 と、そこで梅田は手を止めた。
「私が隊長機ですか‥‥」
『あ、そゆ事で、一つ頼んます』
 夜城は、既に僚機としてエントリーをしてしまっている。梅田に選択の余地はない。
 筐体の片隅につけられた通信機の向こうから届いた声に、梅田は黙って隊長機としてのエントリーを選択した。

「‥‥‥‥」
 別のゲームが目的でここに来ていた葛生・摩耶は、大型モニターの前の人だかりと、店内のそれなりに広いスペースを占拠した専用筐体の群を見て、足を止めた。
「たまには、毛色の違うゲームもやってみるかな」
 呟くと、葛生は筐体から少し離れたところにある、エントリーカードの販売機へと向かった。
 ここで少々高めの投資。その後、適当にエントリーネームなどの設定を終えると、機体の選択画面へと移る。
「‥‥登録機体無し? ああ、オリジナル機体も作れるのね? でも、今回は関係なし‥‥」
 基本機体8機の他に有る選択肢。
 登録機体無しのカードは、別売りソフトで作ったオリジナル機体の保存用‥‥初体験で、もちろんソフトなんか持っていない葛生には全く関係ない。
「初めてだから、癖のない機体にしておくのが良いわよね」
 葛生は基本機体8機の中から、最も平均的な機体である『エインヘルヤル』を選択した。
 これで、エントリーカードの作成は終わり‥‥やや時間をおいて、販売機からエインヘルヤルの絵がプリントされたエントリーカードが吐き出される。
 それを手に取り、葛生は筐体へと歩いていった。そして、開いた筐体に入り込む‥‥

「‥‥ああ、繋がったか」
 ササキビ・クミノは、自分の店に置かれた筐体からエントリーをしていた。
 最初の選択肢で他店へのエントリーを選択。店ごとのアドレスを入力する。
 すると、エントリー待ちの状態になり、次に始まるゲームに参加できる。
 折り悪くアドレスを入力した先の店がゲーム中の場合は、エントリー不可となり、待ち時間のカウントダウンとそこで行われているゲームの様子を見ながら過ごす事になるのだが‥‥ササキビは運が良かったらしい。
 そして同じく、遠く鎌倉の店からエントリーした隠岐・智恵美も運が良かったようだ。
「今の世の中にはこのような物があるのですね‥‥たまにはこうやって遊ぶのもいいかもしれませんね‥‥」
 筐体の中で、のほほんと言う隠岐‥‥だが、齢46のシスターがするには、ちと激しいゲームのような気もする。
 が‥‥たまにとか言っているが、隠岐が実は足繁くこのゲームをやりにゲームセンターへ通っているのは、知る人は全員知っている秘密という奴だった。
 そんな隠岐はもう、エントリーはすませている‥‥後は、ゲームの始まりを待つだけだった。

『エントリーが終了しました』
 カウントダウンの終了を待って、筐体の中にアナウンスが響く。
 店内でのエントリーは12名。外部接続が2名。計、14名でのバトル。
 残りの筐体では、大方、他店へのエントリーが行われているのだろう。
 筐体の中の者達は、各々が二本のコントロールスティックを握りしめる。
『SAIPSをバトルフィールドに転送します』
 更なるアナウンス‥‥そして、表示される各々のエントリー機体。
 エントリー機体がドットに解けて消えていく映像が、白い光の中に溶けていく。
 そして、白い光が薄れ、そこに緑の平原を映しだしたその時、全てのSAIPSは戦場に転送されていた。

●最初は一人の戦場
「敵は‥‥近くには居ないわね」
 葛生は、モニターの片隅に表示されるレーダーを見て、近くに敵が居ないことを確認した。
 葛生が居るのは北東端。
 転送された機体は、広大な戦闘フィールドの中にランダムにばらまかれる。
 チームエントリーした機体は必ず隊長機の周りに現れるが、それ以外は完全にランダムだ。
 時には、敵が全く居ない場所に現れる場合もある。
 もっとも、長距離攻撃を受ける可能性も有るので、あまり安心しても居られないのだが‥‥とにかく、開始早々に敵に追い回される事がなかったのは幸いだった。
「じゃ、まず‥‥」
 葛生はレバーを倒し、エインヘルヤルを歩かせる。次は、ダッシュボタンでダッシュ‥‥そしてジャンプを試し、レーザーを撃ち、ブレードを振る。
 葛生はまず、キャラクターの動きを確認するところから初めてみていた。

 あくまでも普通の服の組み合わせではあるが、イメージキャラのパイロットスーツ姿に似た服装をして筐体に座る月見里・千里。
 彼女の駆る、鎌を持った女性型機体、MoonstoneSHINEは戦場西端に単機で立っていた。
「あれ、敵は‥‥」
 レーダーを見る。北と東に敵は居ない。一番近いのは、南にいる3機。
「‥‥しょうがない」
 月見里は、機体の進路を南に向けた。
 もちろん、戦いに混ぜてもらうために。

「あれ、エンカウントは無しか‥‥」
 名無しのオリジナル機体でエントリーしていた倉塚・将之は、周りに敵が居ない事をレーダーで確認した。
 レーダーを見るに、現在位置は東端。北と南に敵が居るらしい。なお、北は1機、南は2機だ。
「ま、敵は多いに越したことは無いよな」
 軽く考え、倉塚は機体を南に走らせる。だが、彼が敵機を確認する前に‥‥レーダーからは一つの光点が消えていた。

●最初の被撃墜者
 南東端では、一方的な戦いが始まっていた。
 地上を走る、ワルキューレベースの改造機『ヴァナディース』。
 とは言え、同じく女性型はしているが大きさはずっと小柄。性能も全く違うようで、飛行はおろかジャンプもしない。そして、撃つのは無数の誘導弾。
「な‥‥何発あるのよ!」
 開始早々、ヴァナディースとの戦闘に入ったSHIZUKUのワルキューレは、宙を逃げまどいながら地上から打ち上げられる誘導弾を撃ち落とすのに必死になっていた。
 どうも、ヴァナディースは全ての武器を中距離ミサイルに割り振ったらしく‥‥となると、総数16発の誘導弾がワルキューレを追うことになる。
 これほどの数の誘導弾、如何に高機動機のワルキューレでも回避するのは難しい。
「だあああっ! これでどう!」
 正面から飛来する誘導弾を、ウォッシュバブルの弾幕が受け止める。爆炎の後、攻撃が途切れた。
「‥‥反撃!」
 すかさず、ワルキューレは自律攻撃兵器ハートエイクを放つ。
 ピンクのハートが二つ、ワルキューレから飛び立ち、地上を走るヴァナディースを追った。
 しかし、ヴァナディースは回避したり、自律攻撃兵器を迎撃したりする様子を見せない。
 その理由は、ハートエイクが攻撃に移った時にわかった。
「嘘!? 全部弾かれる!?」
 ピンクのハートから撃ち出される針のようなレーザーは、その全てがヴァナディースの装甲に弾かれる。
「あの外見でファーヴニル並の装甲って事? 何て、インチキ!」
『外見で戦力を判断する事の危険さを知るべきだな』
 初めてヴァナディースから敵プレイヤー‥‥ササキビからの言葉が届く。同時に、改めて撃たれた誘導弾が8発、ワルキューレを目指して飛んでくる。
「また‥‥」
 SHIZUKUは、とっさに回避を試み、空中でダッシュをかける‥‥が、まだ、4発が追尾を続けている。
 ワルキューレは再びウォッシュバブルで弾幕を張り、誘導弾を打ち落とした。
「どう!?」
『周りをよく見るのだな』
 通信機から、ササキビの声が聞こえる。同時に、横合いから飛来した誘導弾がワルキューレを襲った。
「ああ!?」
 ヴァナディースは最初の誘導弾をばらまいた後に移動し、横からさらに誘導弾を撃ったのだ。
 そして、ワルキューレが正面の誘導弾の迎撃と回避に躍起になっている所へ、横から第2陣の誘導弾が襲いかかった‥‥
 次々に撃ち放たれる誘導弾が、時間差でワルキューレを襲う。
「ああ、ああ、ああ〜‥‥うわ、瞬殺コース」
 ほぼ、全周囲からと言って良いほどの誘導弾攻撃の前に、装甲の薄いワルキューレはあっという間にHPを削られ、何もしない内に炎に包まれた。
「負け〜‥‥」
 SHIZUKUの前のモニターに、炎の中で崩れ落ちるワルキューレの姿と『GAME OVER』の文字が光る。
 残念ながらSHIZUKUは、このゲーム最初の脱落者となった。

●正々堂々戦いなさい
「‥‥今日はお手柔らかにお願いいたしますね?」
 無線を開いての挨拶。狭い筐体の中に、美麗なドレスを着たファルナ・新宮は座っていた。
 場所は戦場南端‥‥近隣に敵機は2機。ファルナはその一機と戦っていた。
 ファルナには似つかわしくないと思える程に無骨なフォルムの超重量級機体アインランツェ。角を振り立てて直立した甲虫の様なその機体は、重々しい歩みでその向きを変えながら、敵機の接近を待つ。
 敵は、地上を疾走する黒豹型の機体Leopardと、それを駆る綾和泉・匡乃。
 走りながら口腔から放つメーザーが、アインランツェの装甲で弾かれる。
 直後、報復に撃たれたアインランツェの腹部荷電粒子砲が、Leopardの鼻先をかすめた。
 そして、足を止めた所に、アインランツェは両肩からパルスビームバルカンを浴びせかけてくる。
 とっさのダッシュでその射線上から逃れるも、Leopardは数発を被弾していた。
「先読みしている。やり慣れてますね‥‥」
 綾和泉はアインランツェの手強さに気付き、どうしたものかと考えながら攻撃の回避に努める。
「正面からやり合う気は無いですが」
 正面から戦わないと、アインランツェに損傷は与えられない。それは、Leopardのハウリングメーザーが弾かれた時点ではっきりした。
 ならば、格闘戦に持ち込むべきか‥‥と、思考していた綾和泉のその目が、レーダーに映る、戦闘開始よりずっと動かない光点に止まった。
「けしかけてみますか‥‥」
 方針決定。直後、Leopardの口からミサイルに似せた砲弾が撃ち出される。それは、アインランツェにではなく、その動かない光点に向けて。
 それはそれなりに長い距離を放物線を描きながら飛んで光点を目指し‥‥地上障害物の民家に隠れていた機体を真上から襲う。
 自身の頭上で炸裂し、炎を振らせる砲弾に揺らぐジークフリート。
 そのジークフリートを操るケーナズ・ルクセンブルクは、もう少し隠れていたかったのだが‥‥と、内心で思った。
 民家の集合した場所‥‥村に隠れ、周囲のプレイヤーが潰しあった後で戦いに参加する。そんな事を考えていたわけだが、そう上手くもいかなかったらしい。
 レーダーを見ると、高速で動く機体が、鈍重な機体を後につれてこちらに向かってきている。
 こっちに敵を連れてきて、ケーナズに敵と戦わせ、自分は高みの見物‥‥
 ケーナズはそんなところだろうと分析した。おそらく、敵は村の前で方向転換するか、村を高速で突き抜けるか‥‥何にせよ、後を追ってくる機体は、この村に入ってくるだろう。そして、自分と戦う事になる。
「なら‥‥」
 どうする? 逃げても良い‥‥だが、接近戦用機体のジークフリートで逃げ回るような戦いをしても、じりじりとHPを削られるだけだ。
「打って出ますか」
 決めるや、ケーナズのジークフリートはダッシュで村から飛び出した。まっすぐ、こちらに迫り来るLeopardを目指して。
「ジークフリート!?」
 綾和泉は、村から飛び出してきたジークフリートを目にし、急いでLeopardの向きを変えた。
 しかし一瞬遅く、ジークフリートの振るったストライクソードから放たれた三日月状のエネルギー刃が、Leopardの横腹を切り裂く。
 そして、更にジークフリートはLeopardとの距離をダッシュで詰めて、一気に斬りかかった。
 大降りの一撃で、確実な死を‥‥だが、ジークフリートが剣を振り上げたその時、Leopardは跳ね起きるやその爪を光らせて跳んだ。
「行け!」
 綾和泉の言葉に応えるかの様に、Leopardの両前足のレーザークロウが、立て続けにジークフリートを切り裂く。そのダメージは大きい。
 僅かに下がるジークフリート。Leopardはその隙を捉えて、その脇を駆け抜けようと走る。ついでに、もう一太刀とばかりに、尻尾の先にレーザーの刃を生んだ。それは、すれ違いざまにジークフリートを切り裂く。
 だが、重厚な装甲を持つジークフリートはまだ倒れてはいなかった。
「まだ!」
 振り返りながらジークフリートが素早く振るったストライクソード‥‥それは、Leopardをとらえて二条の傷を刻む。
 Leopardはその攻撃に弾かれたように距離を取り、ジークフリートと対峙する。
「ダメージを受けすぎましたか‥‥」
 綾和泉は呟く。
 ジークフリートは、今の一連の攻防で大きなダメージを受けていた。無論、それはLeopardも同じ事‥‥現状は綾和泉の望む所ではない。
 それはケーナズにしてもそうで、ここで潰しあいに巻き込まれる気はなかった。最初から積極的に戦う気になかった二人が、こうやって戦うハメになったのだから皮肉なものだ。
「ここまでにしましょう」
 綾和泉は、Leopardを村の中へと入り込ませる。そのまま村を駆け抜けて、敵の居ない場所へと逃げ込むために。そしてLeopardは北に進路を取る‥‥
 ケーナズはその動きを見るや、自身は東へとジークフリートを走らせる。最後まで生き残るのが至上目的‥‥その最初の方針に忠実に。
「二人とも、正々堂々戦ってください!」
 西からゆっくりと追って来ていたファルナは、通信機に向かって叫んでみた。
 もちろん、それに答えが返るはずもない。
 長距離兵器を持っていないので、高速で逃げ行く彼らに攻撃も出来ないのが少々痛かった。

●格闘戦用機の闘技場
 戦場南西端。
 ここは、ある種、最も熱い戦いが繰り広げられていた。何という偶然か‥‥ここに集ったのが格闘戦用機ばかりだったのだ。
 まず戦いを始めたのは、ボクサータイプのオリジナル機を用意した柚品・弧月と、恐竜型機体ジェノサイド・レックスで戦う銀野・翼。
 互いに、相手の懐に踏み込む隙を探して地を駆け回る‥‥格闘戦用機の常として、こういった戦いは一瞬で優劣が決まる。と‥‥先に仕掛けたのは銀野だった。
『悪いけどこれって戦争なのよね』
 銀野が生まれる遙か以前にやったアニメのような台詞を言いながら、牽制にジェノサイド・レックスの口からレーザーを撃ち出す。
「射撃戦型?」
 警戒し、とっさにそれをかわす柚品。しかし、その動きによって、柚品はジェノサイド・レックスの突進を許してしまった。
 脚部から炎を吐き散らし、超高速で柚品の機体に迫るジェノサイド・レックス。その顎が大きく開かれ、柚品の機体を狙う。
「いえ、格闘戦型ですか」
 柚品はつっこんでくるジェノサイド・レックスに正面から対峙すると、近射程格闘攻撃を放つ。何の変哲もない、白い玉の様な物が柚品の機体から飛び出し、ジェノサイド・レックスに向かった。
『当たらなければどうという事はない!!』
 銀野はとっさにダッシュをキャンセルし、機体を横に歩かせてその攻撃をかわす。
 しかし‥‥その時、柚品の機体が目の前に迫っていた。近射程格闘攻撃の直後、発射された物を追う様に柚品は機体を前に進めていたのだ。
 今度は、柚品の機体がジェノサイド・レックスに迫る。だが、その瞬間、ジェノサイド・レックスも動いていた。
 両の拳でジェノサイド・レックスを打つ柚品の機体。しかし、その攻撃はジェノサイド・レックスにガードされる。
 直後、ジェノサイド・レックスの顎が柚品の機体を襲った。
 開かれた顎が柚品の機体をとらえ、その牙で噛み砕く。
『機体に名前も付けない、愛のない奴に僕のジェノサイド・レックスは負けない!』
「う‥‥痛いところを」
 柚品は銀野から届いた通信に苦笑を禁じ得なかった。
 柚品の機体は、名前も付けていないし、外装も攻撃エフェクトも基本フレームの中から選択しただけで、特にいじってはいない。
 それなりの技術やセンスを要する外装や攻撃エフェクトの変更はともかく、機体の名前くらいはつけておかないと、機体に対する愛がないと言われるのも仕方のない事かも知れなかった。
 しかし、名前の有無が戦力に影響する筈もない。
 ジェノサイド・レックスの牙から解放された柚品の機体‥‥そこに、爪を振り立ててジェノサイド・レックスがさらなる攻撃を仕掛ける。
 だが、柚品の機体は、それをガードで受け止めた。そして、間髪入れずに素早く拳を繰り出す。その一撃は、ジェノサイド・レックスに見事に叩き込まれる。そこから更にもう一撃を加え‥‥ジェノサイド・レックスを大地に倒した。
『えーと‥‥やらせはせん! やらせはせんぞぉ!』
 ジェノサイド・レックスは、転倒状態からジャンプして素早く立ち上がる。そして、この至近距離からレーザーを浴びせかけながら、再び噛みつき‥‥キラーバイトを仕掛けた。
 レーザーはその全てが命中。しかし、キラーバイトの方は、後退して間合いをあけた柚品の機体にかわされる。両者の戦いは互いに傷を与えた状態で振り出しに戻り‥‥再び、隙の探り合いが始まる。
 と‥‥その時、上空から落ちてきたレーザーとレールガンの弾体が、ジェノサイド・レックスを貫いた。直後、何事かと上空を見上げた柚品の機体を、月見里のMoonstoneSHINEが飛び降り際に大鎌で袈裟切りに両断する。
 地面に降り立ち、展開された羽上のバックパックを畳むMoonstoneSHINEの傍ら、ジェノサイド・レックスと柚品の機体は、ほぼ同時に爆発炎上した。
 銀野と柚品、両者のモニターに光る『GAME OVER』の文字。
「‥‥一対一の戦いに水を差すなんて〜」
 銀野はあまりの展開に不満げな声を上げる‥‥が、このゲームはバトルロイヤル形式。予期しない敵に脇腹を突かれるなど、当たり前に存在する展開だ。
 一方、柚品はもう少しあっさりした反応を見せていた。
「まあ、こんなもんさ」
 軽く言い流して筐体を出る‥‥が、正直な所では、今回の敗北に「次回こそは」と燃えている。
 とりあえずはまあ‥‥名前くらいつけられる機体を作ろう。名無しの機体では、どんな強い機体を作っても、誰もが「こいつ手を抜いたな」と思うだけなのだから。

「あらあら、激しい戦いですこと」
 ジェノサイド・レックスと柚品の機体‥‥そしてMoonstoneSHINEによる死闘の場から少し離れた所、ジークフリートの隠岐・智恵美は高みの見物をするような状態にあった。
 攻撃を受けなければ、攻撃はしない‥‥その方針を臆病さと取るか、狡猾さと取るか、彼女がシスターであるが故の行動と取るか、微妙な所ではあったが、ともかくも敢えて自分から踏み込んでは行かない。
 しかし、今度はそうも言っていられないようだった。二機を奇襲で屠ったMoonstoneSHINEは、最寄りの機体である隠岐の機体を目指して走ってくる。
 隠岐は、つけっぱなしの通信機に向かい、MoonstoneSHINEを使う月見里へ通信を送る。
『‥‥一手、よろしくお願いしますね』
「え? あ‥‥こちらこそ!」
 通信に答え、月見里は遠慮なくジークフリートに攻撃を仕掛けた。
 間合いを詰めるために歩いて接近。その最中に、牽制のためにレーザーやレールガンを撃つ。
 その攻撃にジークフリートは反撃を一切行わず、避けながらも前に出て間合いを詰めてきた。
 格闘戦用機として実にスタンダードな展開‥‥この展開が激変を見せるのは、間合いが互いの格闘距離に入った後のことである。
 先に動いたのは、ジークフリートの方だった。
 回避運動に見せかけたジャンプを、滞空中にダッシュで進行方向を曲げ、一気にMoonstoneSHINEの懐に飛び込む。
 繰り出したストライクソードの一撃には必殺の気合いが込められていた。
 月見里はその攻撃に反応し、ガードを固める。
 大鎌とストライクソードがぶつかり合い、MoonstoneSHINEはその勢いに押されて下がる。
 が、直後にMoonstoneSHINEは反撃の大鎌を振るっていた。素早く繰り出される、縦斬りの一閃。と‥‥ジークフリートは、バックステップでその攻撃をかわす。
「凄い‥‥やり慣れている?」
 月見里はジークフリートの動きに感嘆の声を漏らしながらも、更に踏み込んで攻撃を重ねていった。

●メイド少女‥‥散る
「中距離に敵が2機? チーム・エルファーダ‥‥って、チームエントリーじゃないか」
 戦場の北端‥‥トランク持った美少女メイド型機体「樟葉」を操る田中・裕介は、レーダーを見て思わず苦笑いを浮かべた。
 早々に、拙い状況になった‥‥と。
 高空に浮かぶ鋭角的なフォルムの戦闘機、高速翔空機エルファーダアークシーカー。そして、地上に立つ鎧武者のような機体、暗黒剣士ショーグンミフネ。
 隊長機はエルファーダアークシーカー。
 相手はチーム‥‥なら、隊長機を落とせば片が付く。とはいえ、周囲に樟葉以外の機体はない。単機で、複数機を相手にする戦闘は、どう考えても不利である。
 田中は、レーダーに目を走らせ、近くにいる他の機体を探した。東に光点‥‥田中は素早くレバーを動かし、トリガーを引く。
 田中の操作に答え、樟葉が手に持ったトランクを腰だめに構える動作をした。直後、そのトランクから4発のミサイルが飛び出し、敵へと飛ぶ。
 回避‥‥撃墜するために動く2機。それを見届けることもなく、樟葉は敵に背を向けて走り出す。
「敵の動きが遅ければ何とか‥‥」
 だが、レーダーを見るに、真っ直ぐに樟葉を追ってくる2機の速度は、樟葉と同じ‥‥つまり、最高速度。
 しかも、飛んでるエルファーダアークシーカーはもちろん、暗黒剣士ショーグンミフネも飛行型のようで、僅かに高度を取りながら真っ直ぐに樟葉を追ってくる。
「‥‥ジャンプ無しだと、移動経路が限定されるな」
 樟葉を走らせながら、田中は呟く。
 平原とは言え、僅かな段差や木々、点在する民家など、小さな障害は幾つもある。ジャンプ能力がないと、それらを全て避けて歩かなければならない。
 同じ速度の敵から逃げている状況で、その差は致命的だった。しかも‥‥
「長距離高速誘導ミサイルで止めます。その内に‥‥」
『ん、わかった』
 樟葉を追うエルファーダアークシーカーを操りながら、梅田は僚機の夜城に通信を送った。
 短く答える、地上の暗黒剣士ショーグンミフネの夜城。
 梅田はその答を聞くや、樟葉に照準をあわせてトリガーを引いた。直後、先程の樟葉からの先制ミサイル攻撃への報復とでも言うかのように、両翼から1本ずつのミサイルが飛び出していく。
 それは、樟葉の背を真っ直ぐに追っていく‥‥
「て‥‥」
 田中は、すんでの所でミサイルに気付いた。
 しかし、今更、回避する時間はない‥‥となれば、手は一つしかない。
 田中は樟葉を止め、迫るミサイルに向けて対峙させた。直後、トランクの側面から撃ち出された無数の銃弾が、空中に線を描いてミサイルを絡め取る。
 宙に爆炎の華が二つ咲いた。
 だが、その爆炎の下を抜けて、暗黒剣士ショーグンミフネが樟葉に迫る。
 僅かに足を止めただけではあったのだが、ジリジリと距離を詰められていたことが響き、既に追いつかれてしまっていたのだ。
「そっちにもか」
 樟葉が、目標を暗黒剣士ショーグンミフネに変える。
「‥‥‥‥ち‥‥当たる」
 暗黒剣士ショーグンミフネを縦横に動かして弾丸をかわそうとするしかし、トランクバルカンの弾丸の何発かが、暗黒剣士ショーグンミフネの装甲の上で爆ぜた。
 軽装甲の機体では、その数発でもそれなりのHPが削られる。
 だが‥‥代償に暗黒剣士ショーグンミフネは、樟葉を自らの太刀の間合いに捉えることに成功していた。
 夜城がトリガーを引く。直後、抜き放たれるエネルギーを纏わせた太刀の一閃。それは、樟葉を完全に切り裂く‥‥
 と、攻撃を受けた途端、樟葉のメイド服に似た装甲が弾ける様にして散った。その下からは、滑らかな肌と下着らしき物が覗く。まるで、服を引き裂かれた少女の様に。
「‥‥何だこいつ。普通、ここまでやるか?」
 まるで女の子を苛める怪しいゲームをやっている様で、気まずい思いを味わった夜城は思わず攻撃の手を止めた。
 遠く、モニターの前でギャラリーは沸き返っているが、筐体の中にまでその声は届かない。
 だが、田中は筐体の中で小さく快哉を叫んでいた。
「やった。後輩に無理言って作らせた甲斐があった」
 本来許された機体のデータ容量を、グラフィックの部分に大幅に裂いた結果がこれ‥‥ちなみに、このせいで機体としての能力はかなり落ちている。
 不思議な改造ではあるが、ギャラリー受けと自分の趣味の追求という意味ではそれも正しいのかもしれない。
 そしてその改造は、思わぬ夜城の戸惑いも呼んだ。
 田中はすかさずトリガーを引く。
 樟葉のカチューシャからレーザーが撃ち放たれ、暗黒剣士ショーグンミフネに突き刺さった。
 更に田中は続けざまにレバーを操作する。
 トランクを構え、ミサイル発射の準備をする樟葉。この至近距離からの自爆覚悟の0距離ミサイル攻撃で暗黒剣士ショーグンミフネにトドメを刺す。
 だが、次の瞬間に爆炎に包まれたのは樟葉の方だった。
 直上から急降下をかけてきたエルファーダアークシーカーの放った単発射撃武器インパルスVキャノンの直撃‥‥超軽装甲の所に暗黒剣士ショーグンミフネの必殺の一撃を受けていた樟葉では、既にそれに耐えることは出来なかった。
 田中の前のモニターに、『GAME OVER』の文字、田中は深く息をつく。
 結果は、一機も倒せずに敗北。それでも‥‥
「まあ‥‥機体のお披露目は終わったから良いか。なかなか良い出来だったし」
 満足した様子で田中は、こっそりと筐体の扉を開ける。
 この機体、樟葉の事を極力回りに隠しておくため‥‥田中は密やかにゲームセンターを去るのであった。

「悪い、助けられちまったな」
 結構、不味いところまでHPを削られた暗黒剣士ショーグンミフネ。夜城は再び高度を上げていくエルファーダアークシーカーをモニターの中に見ながら通信を送る。
『チームですから』
 通信に答えて返る梅田の声。
 とは言え、隊長機を守るのが僚機の役割‥‥なのに、逆に助けられていたのではどうにもならない。だが、梅田はそのことに言及することはなかった。
『‥‥それより、次が来ます』
 夜城がレーダーを見ると、東にいた1機が、こちらに向かってきているのがわかる。
 それは、葛生のエインヘルヤル。ある程度の練習をした葛生は、実戦を体験するために移動してきたのだ。

●砲火の踊り子
「一機撃破。次‥‥」
 ササキビは、ワルキューレを破壊した後すぐにレーダーに目をやった。
 敵は‥‥北方向から接近してくる機体が一つ。西方向には、戦闘を繰り広げているだろう幾つかの機体。
 このまま西へ行って、背後から襲われたのでは面白くない。迷いもせず、ササキビは北からの機体の元へと走り出す。
 やがて、ササキビのモニターに、名前もない、グラフィックも素体そのままのオリジナル機体が現れた。
 それを駆るのは倉塚。彼は、ササキビをモニター内に捉えるや、走りながら単射武器を放った。
「牽制‥‥そして、格闘で仕留める」
 倉塚は機体作成中に練った戦闘プランを呟いて確認しながら、単射武器を更に撃ち、弾幕を張ろうとする。
 ササキビはその動きを見‥‥無造作に誘導弾を放った。
 ヴァナディースから撃ち出された8発の誘導弾が、倉塚の期待めがけて殺到する。
「うわ‥‥」
 単射兵器を撃ってミサイルを撃墜しようとする倉塚の機体。だが所詮、単射兵器では弾幕と言えるほどの射撃は出来はしない。
 誘導弾は容易く倉塚の防御弾幕を突破して、機体に迫った。
 とっさにダッシュをかけ、誘導弾から逃れる倉塚の機体。だが回避したそこに、ヴァナディースの2射目の4発が迫る。
「や‥‥」
 慌てて、単射兵器を撃ち、誘導弾を迎撃する。しかし、単射兵器は3回の射撃で黙り込んだ。
 その攻撃で撃ち漏らした誘導弾が、倉塚の機体に吸い込まれるように接近する。
「まだ、やられない‥‥」
 それを、倉塚の機体は格闘武器ブレードタイプ外見未改造を振って衝撃波を撃ち出す。それで誘導弾は撃ち落とされた。
 一瞬の安堵‥‥
 だがその直後、いつの間にか倉塚の機体の横に回り込んでいたヴァナディースから、3射目の誘導弾4発が送り込まれた。
 それに寸前まで気付くこともなかった倉塚の機体は、誘導弾4発の着弾を次々に受け止める。
「うあ‥‥」
 その爆発の中からダッシュで逃れようとする倉塚の機体‥‥だが、そこへ背後からヴァナディース4射目の誘導弾8発が襲いかかった。
 場所を変えながらの誘導弾による波状攻撃で立体的に攻める‥‥ヴァナディースの戦法の中に落ち込んだ倉塚の機体は、もはや逃れる術を持たなかった。
 ほとんど何もしない内に、倉塚の機体は爆炎に包まれる。『GAME OVER』の文字が光った。
『惜しかったな‥‥』
 最後に、ヴァナディースからの通信が送られてきたのを聞き、倉塚は肩を落とした。が‥‥すぐに顔を上げて、席を立つ。
「まあ、負けることもあるよね。戦術の練りが足りなかったし、機体もあまり出来が良くなかったし‥‥相手が強かったし」
 倉塚は楽天的に言う。
 まあ、弁護するならば、組み合わせが悪かったと言えるだろう。倉塚の機体も、格闘戦用機が相手だったなら良いところまで戦ったはずなのだ。だが、機体性能上、ヴァナディースのような高速射撃戦機には不利だった。
 倉塚は筐体のドアを開けて外に出‥‥モニターの方へと歩き出す。
「じゃあ、後は見学見学‥‥と」

「‥‥次は」
 倉塚の機体を倒し、ササキビはレーダーを見た。すると‥‥ササキビの居る方向へと、西から一機接近してくる光点がある。
 が、それはある程度まで来たところでその足を止めた。
「?」
 疑問に思いながらも放置は出来ず、ササキビはその光点の元へと歩み寄る。
 そこにあったのは村落‥‥単純に言えば、障害物の集合した場所だった。
 光点はその中にある。多分、中に隠れているのだろう。
「‥‥まいったな」
 誘導弾では障害物の中に隠れた敵を、外から撃つことは出来ない。
 放物線を描いて弾が飛ぶ砲撃系の兵器や、自律攻撃兵器なら可能なのだが‥‥まあ、ある物で勝負するしかないと言うのが、ゲームのみならずこの世の道理だ。
 とは言え、ジャンプできないヴァナディースでは、村に入ればかなり動きが制限される。そこを突かれるのは嫌だった。
「‥‥パスしておこう。それより‥‥」
 ササキビは、レーダーを見て機体を東に向ける。
 東から、ゆっくりとした速度で接近してくる敵‥‥ササキビは次の目標をそれに定めた。

「行きましたか‥‥」
 レーダーの中、走り去る光点を見てケーナズは安堵した。
 これで、ケーナズは近隣に敵の居ない状況に自らを置くことが出来たわけだ。
「後は、頃合いを見計らって‥‥」
 最後に自機が立っていれば良い‥‥もっとも、タイムアウトで判定という事になられると、戦闘をくぐり抜けた他の機体に勝ち目はないから、それは避けなければならない。
 どのタイミングで飛び出すか‥‥それが、ケーナズにとっての勝利の鍵と言えた。

●初心者の挑戦と豹の誘い
「敵は2機。チームね。確か、隊長機を倒せば良いって‥‥」
 葛生は、レーダーに示される情報を確認し、隊長機を探す。チームエントリーの敵を倒すセオリーではあるが、それが容易くできるのかというと否と答えざるを得ない。
 しかし、こんな所で怯んでいても始まらない。
 まずは一発‥‥目視に遠く見えた空の敵に、レーザーライフルを撃ってみる。
 だがそれは、何に当たる事もなく空へと吸い込まれていった。
「サイトに入っていても、向こうは動いているからあたんないか‥‥もっと、近くに寄らないと」
 考えながら葛生は前に出る。しかし、向こうの動きの方がエインヘルヤルよりも早い‥‥戦闘は、葛生が思っていたよりも早くに始まった。
 斜め滑りするかのように空を走りながら、エルファーダアークシーカーがミサイルを一発‥‥そして、もう一発落とす。それは、葛生のエインヘルヤル目指して、空を真っ直ぐに飛んでくる。
「わっ、えと‥‥撃墜!」
 対応に気を取られ、操作を一瞬迷う‥‥が、葛生は何とかレーザーライフルを空に向け、迫り来るミサイルに向けてトリガーを引けた。
 慌てたために照準があわなかったか、一発目は何もない空を貫く。
 もう一発は、先に飛んできていたミサイルを撃墜。しかし、後発の一発を撃墜している時間はなかった。
 気付いた時、ミサイルは目の前‥‥真っ直ぐに突っ込んできたそのミサイルの一撃に、エインヘルヤルは爆炎に包まれた。
「ああああああっ! やられる!」
 急いでその炎から逃れようとダッシュする葛生‥‥その上を、エルファーダアークシーカーが、かすめるように通り過ぎる。
 通りすがりざま、単発射撃武器インパルスVキャノンをエインヘルヤルの背中に撃ち込んで。
「な‥‥えっと‥‥ええい!」
 葛生はその姿を追って、レーザーライフルを空に向けてトリガーを引く。しかしその攻撃は全て、エルファーダアークシーカーが通り過ぎた後の空間を貫くのみだった。
 やはり、超高速で動く機体相手では、予測射撃を行うか、確実に当てられる状況に持ち込まない限りなかなか当たらない。
 この辺りは、まだこのゲームに慣れていない葛生には難しいことだった。それに‥‥
『敵は一人じゃないぞ!』
 通信機から声が溢れる。直後、もう一機‥‥暗黒剣士ショーグンミフネが、背後からエインヘルヤルに一太刀を浴びせかけていた。
 これは、エルファーダアークシーカーに目を奪われた葛生のミス‥‥ではあるが、他のゲームでならした葛生は、ただの素人ではなかった。
「立って!」
 斬られて転倒した機体が再び立ち上がるのを待つ。その間に、暗黒剣士ショーグンミフネは間合いを離していた。
 その背に向けて、レーザーライフルを撃つ。確かにその一撃は暗黒剣士ショーグンミフネに当たった。
 だが、反撃はそこまで。
 直後に飛来したミサイルが二発。エインヘルヤルを吹っ飛ばす。無論それは、暗黒剣士ショーグンミフネの攻撃にあわせて戻ってきたエルファーダアークシーカーが空で放った物だった。
 爆炎に彩られたモニターの中に、『GAME OVER』の文字が煌めく。
「うぅぅ‥‥付け焼き刃じゃ、やっぱ敵わないかぁ」
 悔しげに唇を噛みながらモニターを睨み付け‥‥そして葛生は、知らぬ間に体に入っていた力を抜いて息をついた。
「もう少し、練習しないと駄目ね。思ったように全然動けないしタイミングもわからないし。色々研究もしてみないと‥‥」
 言いながら葛生は筐体を出る。そしてそのまま、葛生は店内片隅の喫煙コーナーに向かった。
「とりあえず明日辺りコンストラクション用のソフト買いに行こう。うん」
 愛用のタバコを引っぱり出し、葛生は言う。もちろん、オリジナル機体を作ってみるつもり‥‥その為にも今日は、もう少し練習してゲーム内容を掴んでいくつもりだった。

「我が剣の冴えを見たかね‥‥」
 葛生のエインヘルヤルを仕留め、笑いながら梅田に通信を送る夜城。
 その通信に梅田は地上を見下ろし‥‥そして、暗黒剣士ショーグンミフネに迫るそれを見つけた。
「避けて!」
『!?』
 夜城がその言葉に反応する間もなく‥‥遙か彼方から飛来した、ミサイルによく似た砲弾が暗黒剣士ショーグンミフネに直撃し、爆発した。
「大丈夫ですか?」
『まだまだ行ける‥‥が、これは?』
 夜城の黒剣士ショーグンミフネはまだ破壊されてはいない。今の砲撃の威力が、それほど大きくなかった事が幸いした。
「長距離砲撃です。敵は‥‥南」
 レーダーでは、南に光点がある。それ以外の敵はかなり遠くで、幾ら何でもそこから撃ってきたとは思えない。
 と、上空から警戒する梅田には、南から飛来する砲弾が見えた。
「二射目が来ます。撃墜できませんから回避して下さい!」
 誘導弾と違って、砲弾は撃墜できないし、その速度もかなり速い。
 その警告を受けた夜城が走り出したその後すぐ、砲弾は夜城の黒剣士ショーグンミフネがついさっきまで居た場所で炸裂した。
 だが、夜城は敢えてその砲撃が行われる方向へと足を向ける。
『行くぞ!』
 出来るだけ蛇行しながら、砲撃を警戒しつつ走る黒剣士ショーグンミフネ。
 その上空で、梅田は周辺監視を行いながら、その進撃をサポートしていた。

「‥‥来ましたか」
 自機の方に動き出したレーダー上の光点を見、綾和泉はハウリングミサイル‥‥と名付けた砲を撃っていた自機、Leopardの向きを南へと変えた。
「ついてきてくださいよ‥‥」
 呟きながら、綾和泉はLeopardを走らせる。
 その目的はただ一つ。彼らを思うように誘導して、他の敵とぶつけ合わせるため‥‥それで勝利を狙うのではなく、ただ何となく、そうすれば面白いだろうと考えたが故の行動であった。
 そんな綾和泉が目指すのは、戦場南西端。そこで戦う、まだ見ぬ機体達‥‥

●甲虫と少女
「接近中‥‥高速機」
 ファルナは、レーダーに映る高速移動機体の存在に気付いていた。
「もう一機は‥‥」
 追っていたもう一機は、再び動きを止めている。大方そこに隠れているのだろう。潔いとはとても言えないその戦い方は、ファルナにとって嫌悪を抱かせる。
 だが、今は目の前に迫る敵の排除が先決だった。
 敵機‥‥ヴァナディースは、走り寄りながら牽制に8発の誘導弾を放つ。が‥‥
「‥‥ふっ」
 ファルナはその攻撃に薄く笑う。
 直後、アインランツェの両肩から打ち出されるパルスビームバルカンが濃密な弾幕を形成し、発射されたばかりの誘導弾を全て瞬時に叩き落とした。
「その程度では、このアインランツェは落とせませんわ」
 そして、ファルナはトリガーを引く。放たれた荷電粒子砲が、誘導弾を撒きながら走っていたヴァナディースを捉える。
 ヴァナディースは揺れた。
「く‥‥できるな」
 ササキビは素直に感嘆の声を漏らし、気を入れ直す。
 連射武器で確実に誘導弾を落とし、予測射撃で的確に弾を放ってくる。だが、動きは鈍いので付け込みようはある筈‥‥
 今の一撃の威力は大きかったが、ヴァナディースの厚い装甲は、まだ十分に戦う力を機体に残させていた。
「なら、これならどうかな」
 ササキビは、再び誘導弾による攻撃に入る。今度は、綿密に計算をしながら、ばらまくように‥‥
「‥‥やりますわ」
 最初はファルナも余裕で誘導弾を落としていた。しかし、次々に放たれる誘導弾は遠近適度に間合いを変え、コースを歪め、次第に撃墜される位置がアインランツェに近づいてきている。
 そして、ファルナが気付いた時、アインランツェは16発の誘導弾に周囲を囲まれていた。
「‥‥時間差による、同時攻撃?」
 誘導弾の発射の方向や発射場所を調整し、ほぼ同時に目標に着弾する様に計らう。
「落とす‥‥」
 ファルナはパルスビームバルカンを撃ちながら機体を回転させ、全周囲に弾幕を張る。次々に爆発する誘導弾‥‥だが、4発がその弾幕を抜けた。
「!」
 ファルナはその内の一発を荷電粒子砲で落とす。その直後、誘導弾3発がアインランツェに突き刺さり、爆炎でアインランツェを押し包む。
「‥‥まだです」
 アインランツェの装甲は、誘導弾をそれだけ喰らってもなお、機体に戦う力を残させている。
 だが、ヴァナディースはもう既に新たな誘導弾を撒き始めていた。
「これは‥‥削りあいですか」
 ファルナは呟く。
 誘導弾の雨の中、隙を突いて荷電粒子砲を当てに行くアインランツェ。
 パルスビームバルカンの弾幕をかいくぐって誘導弾をアインランツェに到達させるべく、誘導弾を撒き続けるヴァナディース。
 この戦いは、互いにその身を削りあう、消耗戦へと展開して行くより他無かった。

●死する事に意味はない‥‥面白ければ
「速い‥‥」
 疾走し続けるLeopard。だが、その背後には既にエルファーダアークシーカーと暗黒剣士ショーグンミフネが迫りつつあった。
 巡航速度の差と、相手が飛行しているという事からして、この展開は避けられない事態だったと言える。
 だが、綾和泉がゴールと定めた戦場南西端は目前。駆け込んで、そこで戦っている機体との戦闘状態に持ち込ませれば、綾和泉にとっては十分なのだから。後少し‥‥
 しかし、綾和泉は南西端へと辿り着くことはなかった。
 突然、炎に巻き込まれたLeopardは、そこでその動きを止める。画面に『GAME OVER』の文字が光った。
「ミサイル‥‥ですか」
 綾和泉は突然の出来事に僅かに驚いた様子を見せたが、すぐに溜め息をついて操作レバーから手を放す。
 破壊される寸前、一発のミサイルがLeopardを捉えたのを見た。それがLeopardを破壊した物の正体だろう。
 綾和泉は筐体から下りる。そして、ギャラリー用のモニターを見た。
 南西端に達したエルファーダアークシーカーと暗黒剣士ショーグンミフネは、そこにいた二機‥‥ジークフリートとMoonstoneSHINEとの戦闘に入っている。
 最後の仕事が何とか上手く行った事を悟り、綾和泉は少しだけ満足げに口端に笑みを乗せた。

●一つの決着
「!」
 最後の誘導弾が、アインランツェの張る弾幕に触れて爆発する。直後、撃ち放たれた荷電粒子砲が、遙か遠方で誘導弾を撃とうとしていたヴァナディースを捉えた。
 その一撃がとどめとなり、ヴァナディースは炎の中にくずおれる。
 遠く、自らの店に置かれた筐体の中で、ササキビは燃え上がるヴァナディースを見ながら呟く。
「‥‥楽しませてもらった。次は、もっと強くなろう‥‥」

「‥‥強かった‥‥」
 かなり激しく機体を動かしたが故に、多少の披露を感じながらファルナは言った。
 アインランツェがヴァナディースに勝てたのは、荷電粒子砲の威力のお陰に他ならない。
 攻撃を当てた数はヴァナディースの方が僅かに多かったのだが、威力の差によってアインランツェが押し切ってしまったのだ。
 とはいえ、この壮絶な削り合いにより、アインランツェも相当のダメージを追っていた。
 しかし、倒すべき敵はまだ他にもいる。
「‥‥来る」
 ファルナは、ポツリと呟いた。
 先程まで動かなかったレーダー上の光点‥‥隠れていたケーナズのジークフリートが動き出したのだ。
 その方向を向き、そこで待つファルナ。やがて、そこにジークフリートが姿を現した。
「卑怯な戦い方は許さないですよ」
 さすがに無礼であるので、通信機を切ってからファルナは呟く。
 正々堂々と戦わず、逃げ回り、弱まった機体を叩いて廻るような真似は、ゲーム的に許されていたとしても、ファルナ個人として許す事が出来なかった。
 そして‥‥ファルナは十分にジークフリートが接近した所で、荷電粒子砲の一撃を放つ。
 電光が一直線にジークフリート目指して突き進んだ。
「‥‥ふん」
 ケーナズは、その攻撃をダッシュで避け、更にアインランツェとの距離を詰める。
 何をするにしても、敵に接近しなければジークフリートは戦えない。
 アインランツェが続いて放ってきたパルスビームバルカンを多少の被害覚悟でダッシュで突っ切り、ダメージを最小限に抑える。そしてジークフリートは、ついにアインランツェをその間合いに捉えた。
 アインランツェは射撃攻撃をあきらめたか、手にハルバードを構える。それから、ジークフリートが攻撃に踏み込むタイミングにあわせて、ハルバードを振り下ろす。
 しかし、その攻撃は空振りに終わった。
 ジークフリートは正面には立たず、アインランツェの背後に素早く回り込んでいる。
 と‥‥アインランツェの腕にダガーの様が生えた。アインランツェは振り返りながらそれを振ろうとする。かなり早い反応と攻撃‥‥それでも、ジークフリートの攻撃を阻むには僅かに遅かった。
 ストライクソードの重い一撃が、アインランツェの背に深々と突き立つ。
 さすがにその一撃はアインランツェの堅牢な機体をも揺るがせ、大地に倒す。
 終わりにしようと、追撃に踏み込むジークフリート。だがその時、アインランツェが一気に立ち上がった。
「な‥‥まさか、ここで出すか!?」
 起きあがり攻撃‥‥アインランツェの角がジークフリートを挟み込み、Leopardとの戦いで傷ついた機体にトドメの一撃を与えた。
 だが、ジークフリートが繰り出した一撃もまたアインランツェを捉えており、ジークフリートの爆発と同時にアインランツェも炎の中に封じられる。
 モニターには、ケーナズとファルナほぼ同時に『GAME OVER』の文字が現れた。
「ここまで‥‥ですか」
 ケーナズは、少しは残念に思いながらも、敗北は敗北として割り切って筐体を出る。
 やってみた感想は、良くできた玩具だという所か‥‥戦闘の臨場感はかなり再現されているし、レバー二本しかない割にはやれる事も多い。戦術面も、色々と工夫の使用がありそうだ。
 まあ、勝ち残る事が出来なかったのは残念だったが、一時の楽しみにはなったし、そもそもそれ以上のものは何も期待していない。
 所詮は遊び。それほど熱くなる必要もない。
 そう考える辺り、ゲームセンター通いが人生の大きな部分を占めるゲーマーとはかけ離れていた。
 一方で、ファルナは少し不機嫌そうに‥‥とはいえ、他人に見分けがつくほどではないが、ともかく不機嫌なままで筐体を下りる。
 ヴァナディースとの一騎打ち等、なかなか面白いゲームであったのだが、最後は逃げ隠れ卑怯な事がお得意の“チキン”にやられて終わりとは‥‥
 本当は、容赦なく叩きのめしてやりたかった。ああいう、ゲーマーの風上にも置けない奴らは、みんなやっつけてやりたい。
 ゲームが好きだからこその怒りではあるが、それはゲーム中で以外にはらす術も無く、そしてその機会は今回に関しては失われてしまっている。
「次は、絶対に‥‥」
 小さく呟きながら、決意に燃えるファルナ。
 次はもっと強くなって、もっと上手く戦ってみせると‥‥ファルナは、アインランツェのエントリーカードにかけて誓った。

●最後の遭遇戦
「敵‥‥」
 月見里のMoonstoneSHINEとの戦いが続く中、隠岐はレーダーに映る三つの光点に気付いた。
 ほぼ並んで移動する二つと、その少し前を移動する一つ。と‥‥その時、その前を行く光点が消えた。破壊されたのである。
 そして、残る二つの光点は、かなりの速度を維持したままで今、この場所へと来ようとしていた。
 気付けば、残る機体は隠岐のジークフリートと月見里のMoonstoneSHINE。そして、接近してきている梅田のエルファーダアークシーカーと夜城の暗黒剣士ショーグンミフネ。計4機。
 ここからが正念場‥‥と言いたい所だが、問題があった。
 4機の内2機はチーム。その内、隊長機は飛行型らしく高々度を移動してきている。
 対して、こちらに居る2機は、今も戦いを繰り広げている敵同士である上に、格闘戦型である為に対空攻撃力は低い。
「ジークフリートで対空戦‥‥難しいんですよね」
 その面倒さを想像して、隠岐は溜息をつく。
 ジャンプをして、最高高度でソニックスラッシュを撃つ。それ以外に高々度の敵を落とす手はない。反面、敵にしてみれば、地上を走り回る機体を空から追いつめ、倒すだけだ。
 遮蔽物のない状況下では、どうしても格闘戦用機よりも射撃戦用機が有利になる。
 惑いながらの戦闘‥‥だが、手を打つよりも敵が来る方が早かった。
「‥‥来ましたね」
 隠岐が呟いた直後、戦いを続けるジークフリートめがけてミサイルが飛んでくる。
 ダッシュでそれをかわしながらストライクソードを振り、ミサイルを切り払うジークフリート。
 そして、足を止めたジークフリートが見る先、高空から急降下してくるエルファーダアークシーカーと、地を滑るように移動してくる暗黒剣士ショーグンミフネの姿がモニター中に見えた。
 隠岐はそれを見て意を決める。
「あ、飛行機をお願いしますね。私は、下の敵を討ちますから」
 隠岐は通信機‥‥MoonstoneSHINEを駆る月見里に対して告げた。
「え?」
 戸惑いの声を返す月見里。彼女に通信機からの声は続ける。
『ジークフリートで航空機は落としにくいの。勝ちたいのでしょう? だったら、まずは協力してでも苦手な敵を落とさないといけません』
 きっぱりと言うだけ言って、ジークフリートは暗黒剣士ショーグンミフネの元へと駆けていく。
「そ、そんな‥‥」
 だが、どうすればいいのか‥‥残された月見里は迷う。
 高速で空を飛ぶ敵が苦手なのは、MoonstoneSHINEも同じだ。と言うか、格闘戦用機のほとんどは苦手の筈なのだ。
 それでも、中高度まで跳べ、射撃武器もついているMoonstoneSHINEの方がましだという意見はわからないでもない。
 このままジークフリートと戦っていても、このエルファーダアークシーカーに漁夫の利をさらわれるだけだから、この共闘は必要なものだというのはわかるのだが。
 残された月見里は少し惑った後、エルファーダアークシーカーの方へ向けて走り出した。
 そして、タイミングを合わせて空へと跳んだ。
 上空でバックパックを羽のように広げ、僅かな滞空時間を生かして攻撃に入る。武器は、とりあえず大鎌で。
 だが、次の瞬間、エルファーダアークシーカーは機首を上にあげ、MoonstoneSHINEの手の届かない高空へと逃れる。
「ああ、もうっ!」
 飛行型であれほどの速度‥‥装甲は薄いと判断できるから、大きな威力の攻撃を当てれば楽になると思ったのだが、そうもさせてくれないようだ。
 滞空時間が尽き、地に下りるMoonstoneSHINE‥‥下りた直後、月見里はその場から逃れて走った。
 直後、思った通り、上空で身を翻してきていたエルファーダアークシーカーの攻撃が、着地点に突き刺さる。また、空から下りてきたミサイルが、MoonstoneSHINEのダッシュの後を追ってきた。
 それを、振り返りながらのレールガンで撃墜し、月見里は空を見上げる。
「‥‥削るしかないのね」
 跳びながら、射撃武器で少しずつ削るしかない‥‥しかし、その戦い方は絶望的なまでに月見里に不利だった。
「‥‥‥‥」
 しかし、他に選択肢もない。地上を駆け回っていたって、いつかは上から潰されてしまう。
 意を決して月見里は、MoonstoneSHINEを再び跳躍させた。危険な大空へと。
「当たって!」
 跳び上がった先は、エルファーダアークシーカーのほぼ正面。
 MoonstoneSHINEが、レーザーとレールガンをまき散らす。その全てはエルファーダアークシーカーに次々に突き刺さった。
 だが、エルファーダアークシーカーはまだ落ちない‥‥反撃のミサイルが撃ち出された。射撃兵器の全てを撃った直後では、それを撃墜する術はない。
「ダメ! やられる!」
 月見里が思わず上げた悲鳴のような声の直後、ミサイルはMoonstoneSHINEに突き刺さり爆発した。
 炎に包まれながら落ちていくMoonstoneSHINE。月見里は、落胆に肩を落とした。
「あーあ、二機までは上手くやったんだけど‥‥」
 不意打ちで二機を急襲、一気に落としたまでは良かったが、その後が続かなかったのが痛い。
 というか、ジークフリートの人はかなりやり込んでいるようで、あそこで彼女と戦ってしまったのは失敗だったかもしれない‥‥
 幾つか反省をしながら、月見里は筐体に残ってモニターを見続ける事を選択した。
 どうせ、もうすぐゲームは終わるだろうし、それまでにジークフリートがどう戦うか見たかったのだ‥‥

●勝敗決す
 暗黒剣士ショーグンミフネは多少なりと損傷している。
 それを見た隠岐は、一計を案じる事にした。
『行くぞ!』
「はい、よろしくお願いしますね」
 夜城のかけ声に律儀に優しげな言葉を返し、隠岐はその言葉とは反対に苛烈な攻撃へと打って出た。
 ソニックスラッシュでの牽制などしない。
 ストライクソード一本、二種の太刀筋を使って、暗黒剣士ショーグンミフネに反撃を許さない程に強引に切り込んでいく。
 だが、夜城も腕に覚えのある男。その攻撃を苦労しながらも捌き、隙をうかがいながら小太刀などで応戦する。
 ジークフリートに刻まれていく僅かな傷‥‥そして、暗黒剣士ショーグンミフネをかすめるだけのストライクソード。
『勢いだけか?』
 通信機の向こうから聞こえる夜城の声に、隠岐はほくそ笑む。そして、そろそろ良いだろう。
 隠岐は間合いを計って、いきなり攻撃を止めて見せた。威力の大きい袈裟斬りを使わせないよう、細心の注意を払った間合いとタイミングでのその行動。
 反射的に繰り出された暗黒剣士ショーグンミフネの通常斬り‥‥
『‥‥まさか! 誘い!?』
 刀を繰り出してから、それが誘われた攻撃だった事に夜城は気付く。
 ジークフリートは、その攻撃に耐えきると、ストライクソードの重い一撃を放った。
 隠岐は笑顔で通信機に言う。
「肉を斬らせて骨を断つ‥‥何てどうでしょう」
 その一撃にほぼ両断され、燃え上がる暗黒剣士ショーグン。この勝利は、実は息子の仇討ちでもあったわけだが、そんな事には気付かない。
 隠岐は残る敵を探して空を見上げると同時にレーダーを見た。
 隠岐のその顔が曇る。敵は‥‥頭上にいた。
『仇は取らせてもらいますね』
 通信機から届く梅田の声。
 そして猛禽のごとく舞い降りてきたその機体から、2機のミサイルと一発の弾丸が放たれた。
 回避しようとダッシュする間もなく、それはジークフリートを瞬時に炎に変える。
 頽れていくジークフリート‥‥そして、『GAME OVER』。
「負けてしまいましたか‥‥」
 隠岐は少しだけ残念そうに言うと、体を楽にして椅子に座り直した。
 外部からエントリーした場合、自分の座席で成績発表を見る事になる。
 そして、その発表はすぐにも行われた‥‥

●ゲームセット
 画面に『WINNER』の文字が輝いたのを確認した後、梅田は筐体の外へと出た。
 今回の勝ちは、梅田の腕前もさることながら、格闘戦用機が多く居た為に、飛行していたエルファーダアークシーカーへの総合的な攻撃力が低かった事が大きいだろう。対空攻撃力の高い敵は、直接関係ない所で敗北していっている。
 また、唯一のチームエントリーであった事も、勝利に貢献したと思われる。仲間がいるという事は、意外に大きな意味を持つのだ。
「よう、先に死んでしまって悪いな」
 夜城が笑いながら言うのに、軽く手を上げて答え、二人は一緒にギャラリー用モニターの前へと移動する。成績はそこに発表されていた。

//////////////////////////////////////////
WINNER
 チーム:エルファーダ
☆One star is presented.

ACE
 エルファーダアークシーカー
☆One star is presented.

TECHNICAL
 ヴァナディース
☆One star is presented.

TOP
 エルファーダアークシーカー
☆☆Two stars are presented.

//////////////////////////////////////////

「惜しい‥‥パーフェクトまで、もう少しでしたのに」
 梅田は結果を見て呟く。
 WINNERはゲームの勝利者で、チームエントリーであればチーム全体の評価となる。ACEは撃墜最多者。TECHNICALは、ゲーム中の命中率や回避率、隠密性などの技術面での評価。
 TOPは総合評価であり、WINNERが取る事が多いが、成績が良い他の者に取られる事もある。
 星とは成績に応じて与えられる物で、成績発表後にエントリーカードを精算機に通すと、その星はエントリーカードに蓄積される。
 星を五つ取る事‥‥つまりパーフェクトは非常に難しく、信憑性のほとんど無い情報を除いて、星五つを取ったという話は聞かない。
 今回、梅田は星を4つ。夜城が1つ、ササキビが1つ手に入れた事となるわけだ。
「パーフェクトなんて出してどうするんだ? 何の役にも立たないだろ」
 夜城が、いそいそと精算機の方へ向かう梅田に聞く。
 星には何の意味もない‥‥集めても何も起きないのだ。だから、星はもらわない者もいる。
 だが、梅田は精算機にエントリーカードを通しながら答える。
「ムーンロード‥‥辿り着いてみたいですからね」
 パーフェクトこそがムーンロードを開く鍵であるとも、星を十分に集めた者が集まるとムーンロードを開けるとも言われる‥‥それらが実際に行われた事がまだない故に。
 例え、どんなに小さい可能性でも、ムーンロードへ至る道を探してやってみようと、梅田は心に決めていた。

 そして、ゲームは再び始まる。ムーンロードを探して‥‥

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■          登録機体           ■
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0158/ファルナ・新宮/16歳/女性/ゴーレムテイマー
機体名:超重量級機体アインランツェ
説明:全長の半分を占める巨大な2本の角が特徴のカブトムシ風人型機体。
【A】格闘戦能力
[a:超大威力/重]ホーンドバニッシュ 頭部の二本の巨大な角で敵を挟み破壊する。
[b:中威力/中]ヴォーテックハルバード 長大ながら軽々と操る事が可能なハルバード。
[c:低威力/速]隠し腕 腕部に内蔵された小型の高周波ダガーで攻撃。
【B】射撃戦能力
[a:中射程/超大威力/単発]大口径荷電粒子砲 腹部発射口から放たれる最終兵器。
[c:中射程/低威力/連射]パルスビームバルカンL 左の肩の発射口から無数のビーム弾を放つ。
[c:中射程/低威力/連射]パルスビームバルカンR 右の肩の発射口から無数のビーム弾を放つ。
【C】移動速度[a:低速歩行]
【D】ジャンプ[a:ジャンプ不能]
【E】装甲防御力[a:超重装甲/低威力攻撃無効]
(A4abcB5accC1D0E5)


0165/月見里・千里/16歳/女性/女子高校生
機体名:MoonstoneSHINE
説明:基本フォルムは華奢な女性体。ジャンプ/ダッシュ/滞空時はバックパックが羽根状に展開。展開時は冷徹な月の精霊のイメージ。近接武器に大鎌。
【A】格闘戦能力
[c:大威力/速]大鎌縦斬り
[a:超大威力/重]大鎌袈裟斬り
[d:中威力/短射程]大鎌横薙ぎ
【B】射撃戦能力
[a:中射程/低威力/単発]右腕固定型短射程チャージレーザーユニット
[a:短射程/低威力/単発]左腰部短射程小型レールガン
[a:短射程/低威力/単発]右腰部短射程小型レールガン
【C】移動速度[a:高速歩行/超高速ダッシュ]
【D】ジャンプ[b:中高度/滞空]
【E】装甲防御力[a:超軽装甲]
(A5cadB2aaaC4D3bE1)


1098/田中・裕介/18歳/男性/高校生兼何でも屋
機体名:放浪のお手伝いさん「樟葉」
説明:武器が内蔵された四角いトランクを持っている。トランクから別のメイド服を出して戦闘中着替える事が出来る。(メイド服脱着可能)その為メイド服は戦闘中破れたりする。追加動作で女の子らしく動く(表情あり)。
【A】格闘戦能力
[a:格闘戦能力無し]
【B】射撃戦能力
[e:長射程/大威力/誘導×4]トランクミサイル トランクを腰ダメに持った時に発射される。
[a:中射程/大威力/単発]メイドさんレーザー 頭のカチューシャから発射される。
[c:中射程/低威力/連射]トランクバルカン トランクを手に提げた状態で発射される。実弾。
【C】移動速度[a:超高速歩行]
【D】ジャンプ[a:ジャンプ不能]
【E】装甲防御力[a:超軽装甲]
【特殊】4ポイント
 ドレスアップ。ホリゴン数を増やしボディラインを滑らかに。
(A0B5eacC5D0E1/特殊4)


1582/柚品・弧月/22歳/男性/大学生
機体名:
説明:外見は人型でボクサースタイルに定着。
【A】格闘戦能力
[c:中威力/速]
[a:大威力/重]
[d:低威力/短射程]
【B】射撃戦能力
[a:射撃戦能力無し]
【C】移動速度[a:超高速歩行]
【D】ジャンプ[b:低高度/滞空]
【E】装甲防御力[a:重装甲]
(A4cadB0C5D2bE4)


1979/葛生・摩耶/20歳/女性/泡姫
機体名:完全汎用戦機エインヘルヤル
説明:人型の完全汎用機。非常に平均的な機体で、他の機体に比べて欠点は少ない。
【A】格闘戦能力
[b:中威力/中]ビームブレード 日本刀に似たビーム剣で斬りつける。
[a:中威力/重]ビームブレード 日本刀に似たビーム剣で斬りつける。
[b:低威力/中]ビームブレード 日本刀に似たビーム剣で斬りつける。
【B】射撃戦能力
[a:中射程/中威力/単発]ビームライフル ビームを撃つ銃。
[a:中射程/低威力/単発]ビームライフル ビームを撃つ銃。
[a:中射程/低威力/単発]ビームライフル ビームを撃つ銃。
【C】移動速度[a:中速歩行/高速ダッシュ]
【D】ジャンプ[b:中高度/滞空]
【E】装甲防御力[a:中装甲]
(A3babB3aaaC3D3bE3)


1555/倉塚・将之/17歳/男性/高校生兼怪奇専門の何でも屋
機体名:
説明:
【A】格闘戦能力
[c:大威力/速]
[a:超大威力/重]
[d:中威力/短射程]
【B】射撃戦能力
[a:中射程/低威力/単発]
[a:短射程/低威力/単発]
[a:短射程/低威力/単発]
【C】移動速度[a:高速歩行/超高速ダッシュ]
【D】ジャンプ[b:低高度/滞空]
【E】装甲防御力[a:軽装甲]
(A5cadB2aC4D2bE2)


2373/銀野・翼/9歳/男性/小学生
機体名:ジェノサイド・レックス
説明:ティラノサウルス型の高速機体。機体色は銀。ダッシュ時には脚のバーニアでホバー状態になる。
【A】格闘戦能力
[b:超大威力/中]キラーバイト(噛付)
[c:中威力/速]バスタークロー(爪)
[d:中威力/短射程]ソニックテイル(尻尾)
【B】射撃戦能力
[a:中射程/低威力/単発]口内内臓ビーム砲
[a:短射程/低威力/単発]口内内臓ビーム砲
[a:短射程/低威力/単発]口内内臓ビーム砲
【C】移動速度[a:高速歩行/超高速ダッシュ]
【D】ジャンプ[a:中高度/放物線]
【E】装甲防御力[a:軽装甲]
(A5bcdB2aC4D2aE2)


1166/ササキビ・クミノ/13歳/女性/殺し屋じゃない、殺し屋では断じてない。
機体名:ヴァナディース
説明:余り面影無いけどワルキューレの改造型。外形はロングヘア・ロングコート型装甲装備の……ああ面倒くさいや、メカササキビクミノ。だから割とサイズ小さい。格闘装備・飛行ユニットの削除と大出力化によって空いたポテンシャルを全て誘導弾と装甲につぎ込んでなお超高速移動可能な機体。
【A】格闘戦能力
[a:格闘戦能力無し]
【B】射撃戦能力
[f:中射程/中威力/誘導×8]
[f:中射程/中威力/誘導×4]
[f:中射程/中威力/誘導×4]
【C】移動速度[a:超高速歩行]
【D】ジャンプ[a:ジャンプ不能]
【E】装甲防御力[a:超重装甲/低威力攻撃無効]
(A0B5fffC5D0E5)


2165/梅田・メイカ/15歳/女性/高校生
機体名:高速翔空機エルファーダアークシーカー
説明:外観と射撃・機動力最優先、綺麗な蒼色のメイカ専用機。人型でありながら鋭角的で斬新なフォルムなのは、航空機形態への可変機構を持つ為。
【A】格闘戦能力
[a:格闘戦能力無し]
【B】射撃戦能力
[e:長射程/大威力/誘導]長距離高速誘導ミサイル:アンスラー
[a:中射程/中威力/単発]実体弾を高速射出するキャノン:インパルスV
[d:中射程/中威力/誘導]準高速ミサイル。
【C】移動速度[a:超高速歩行]
【D】ジャンプ[a:高々度/飛行]
【E】装甲防御力[a:超軽装甲]
(A0B4eadC5D5E1)


1481/ケーナズ・ルクセンブルク/25歳/男性/製薬会社研究員(諜報員)
機体名:重装甲高速騎士ジークフリート
説明:人型の格闘戦仕様機。鎧を纏った騎士の様なデザインが特徴。格闘戦では無敵!
【A】格闘戦能力
[a:超超大威力/重]ストライクソード 西洋剣型の剣による攻撃。
[c:中威力/速]ストライクソード 西洋剣型の剣による攻撃。
[d:中威力/短射程]ソニックスラッシュ 剣から三日月形のエネルギー刃を飛ばす。
【B】射撃戦能力
[a:射撃戦能力無し]
【C】移動速度[a:高速歩行/超高速ダッシュ]
【D】ジャンプ[b:低高度/滞空]
【E】装甲防御力[a:重装甲]
(A5acdB0C4D2bE4)


1537/綾和泉・匡乃/27歳/男性/予備校講師
機体名:Leopard(レパド)
説明:ガルムベースの黒豹。歩行、ダッシュは変則的。
【A】格闘戦能力
[c:大威力/速]レーザークロー
[b:大威力/中]ブレイドテイル レーザーの刃をつけた尻尾での攻撃
[c:中威力/速]レーザークロー
【B】射撃戦能力
[b:長射程/低威力/砲撃]ハウリングミサイル
[a:中射程/低威力/単発]ハウリングメーザー
[a:中射程/低威力/単発]ハウリングメーザー
【C】移動速度[a:高速歩行/超高速ダッシュ]
【D】ジャンプ[a:低高度/放物線]
【E】装甲防御力[a:軽装甲]
(A5cbcB3baaC4aD1E2)


2331/夜城・将清/25歳/男性/国家公務員
機体名:暗黒剣士ショーグンミフネ
説明:高機動接近型、漆黒の日本風甲冑に身を包み太刀と小太刀の二刀流で剣から殺気(エネルギー)垂れ流す。
【A】格闘戦能力
[a:超超大威力/重]エネルギーブレイド太刀 居合い斬り
[b:大威力/中]エネルギーブレイド太刀 通常斬り
[c:中威力/速]エネルギーブレイド小太刀 通常斬り
【B】射撃戦能力
[a:射撃戦能力無し]
【C】移動速度[a:超高速歩行]
【D】ジャンプ[c:低高度/飛行]
【E】装甲防御力[a:軽装甲]
(A5abcB0C5D3cE2)


2390/隠岐・智恵美/46歳/女性/教会のシスター
機体名:重装甲高速騎士ジークフリート
説明:人型の格闘戦仕様機。鎧を纏った騎士の様なデザインが特徴。格闘戦では無敵!
【A】格闘戦能力
[a:超超大威力/重]ストライクソード 西洋剣型の剣による攻撃。
[c:中威力/速]ストライクソード 西洋剣型の剣による攻撃。
[d:中威力/短射程]ソニックスラッシュ 剣から三日月形のエネルギー刃を飛ばす。
【B】射撃戦能力
[a:射撃戦能力無し]
【C】移動速度[a:高速歩行/超高速ダッシュ]
【D】ジャンプ[b:低高度/滞空]
【E】装甲防御力[a:重装甲]
(A5acdB0C4D2bE4)


NPC/SHIZUKU/17歳/オカルトアイドル
機体名:高速飛行型戦闘お手伝い少女ワルキューレ
説明:メイド服型装甲を身につけた、プレロールド機体唯一の女性型機。敵を翻弄、メロメロにする。
【A】格闘戦能力
[b:低威力/中]ブルームランス 箒そっくりの槍。威力は低い。
[a:低威力/重]ブルームランス 箒そっくりの槍。威力は低い。
[a:低威力/重]ブルームランス 箒そっくりの槍。威力は低い。
【B】射撃戦能力
[d:長射程/低威力/自律攻撃兵器×2]ハートエイク ピンクのハートを飛ばして敵を攻撃する。
[a:中射程/中威力/単発]スローイングトレー 丸いお盆状の物を投げて攻撃。
[c:短射程/低威力/連射]ウォッシュバブル 無数のシャボン玉を撃ちだして弾幕を張る。
【C】移動速度[a:高速歩行/超高速ダッシュ]
【D】ジャンプ[b:中高度/飛行]
【E】装甲防御力[a:超軽装甲]
(A2bB4bacC4D4bE1)

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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 年齢 / 性別 / 職業】

0158/ファルナ・新宮/16歳/女性/ゴーレムテイマー
0165/月見里・千里/16歳/女性/女子高校生
1098/田中・裕介/18歳/男性/高校生兼何でも屋
1582/柚品・弧月/22歳/男性/大学生
1979/葛生・摩耶/20歳/女性/泡姫
1555/倉塚・将之/17歳/男性/高校生兼怪奇専門の何でも屋
2373/銀野・翼/9歳/男性/小学生
1166/ササキビ・クミノ/13歳/女性/殺し屋じゃない、殺し屋では断じてない。
2165/梅田・メイカ/15歳/女性/高校生
1481/ケーナズ・ルクセンブルク/25歳/男性/製薬会社研究員(諜報員)
1537/綾和泉・匡乃/27歳/男性/予備校講師
2331/夜城・将清/25歳/男性/国家公務員
2390/隠岐・智恵美/46歳/女性/教会のシスター

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■         ライター通信          ■
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『エクスプロイト 〜OMR』をお送りいたしました。楽しんで頂けたら幸いです。
 また、近い内に次のシナリオを公開します。ムーンロードを探して、ゲームセンターに通う貴方のキャラクターをお待ちしています。

 今回の感想‥‥勝利には、武器と戦法‥‥後は運が大事だなと。
 アインランツェとヴァナディースは、武器と戦法の組み合わせが良くて、かなり強い機体でした。エルファーダアークシーカーと並んで3強だったと言えましょう。
 これ以上強い機体に、次に出会える事を楽しみにしています。

 なお‥‥出来るなら、オリジナル機体には名前を付けてあげてください。格好いい名前を‥‥お願いします。