コミュニティトップへ
高峰心霊学研究所トップへ 最新レポート クリエーター別で見る 商品別一覧 ゲームノベル・ゲームコミックを見る 前のページへ

<東京怪談ウェブゲーム アトラス編集部>


インタビューという名を借りての診断

碇は医療関係の雑誌や資料をみていた。
そして、興味を持つ記事を発見する。
『癒しの女神か?加登脇美雪』
「へぇ〜、彼女はかなり凄腕なのね…」
写真を見るととても優しい笑顔が印象的な女性精神科医で、かなりの患者を治癒している。
また、ネットなど調べていくと彼女は超常現象等で被害に遭った人物、能力者を中心にみていることに碇は興味を覚えた。
「かなりネタになりそう…彼女と接触するのも悪くはないわ」
そして彼女は、通称〈癒しの手〉と言われる総合病院精神科にいる加登脇に会うため電話を入れる。

許可を取れた物の、嘘を書かれたくない加登脇美雪はこういう条件を出してきた。
「悩みを持つ人や能力者方も連れてきて欲しい、その方とお話しをしたいので」
と。
「まぁ興味深い条件ね…」
早速、碇は悩める三下とほか今悩む人をこっそり募集することにした。


1.榊船亜真知
丁度、榊船亜真知がアトラス遊びに来ており、碇の行動を興味深く眺めていた。
「どうかされましたか?」
と、碇に訊ねてみると、
「あ、丁度良かったわ。実はね」
と、加登脇美雪の取材について話を持ちかけた。
「怪奇現象の被害者、コントロール出来ない能力者のカウンセリングをしていらっしゃるのですかぁ」
亜真知は関心を持ち始める。
「わたくしも参加したいです」
「亜真知ちゃんは悩みあるの?」
「おしゃべりをしたいだけですわ」
と、にっこり微笑む亜真知であった。

参加するのは、三下忠と御影涼と榊船亜真知、言うことになった。
忠にしても、涼にしても、悩みのオーラがくっきりと見える。
「重度の相談者様がお二人も」
「三下君はいつものことだけど、まさか御影君がね…」
と、少し驚いてみる碇と相変わらずニコリと微笑んでいる亜真知だった。

2.効果の程は?
早速、〈癒しの手〉事、正式名井ヶ田総合病院に向かう。
「どうもこんにちは」
加登脇自身が出迎えてきて挨拶をする。とても笑顔が印象的な20代後半の女性だ。
「取材許可ありがとう。早速だけど3名相談に乗って欲しいという子を連れてきたわ」
「はい、分かりました。でもカウンセリングは1対1で行いますのでマイクロテープでお願いします」
「ええ」
三下忠と御影涼は、早く心の悩みを聞いて欲しいようでいっぱいのようだ。
「まずは、さんした君からね」
「みのしたですよ〜」
相変わらず、碇のいぢめにあっている三下から。
「今はこんななりだけど私の部下だから、一緒にいても良いかしら?」
「はい、分かりました」
加登脇は認証する。
その時一時も亜真知は挨拶以外喋ることはせず、加登脇をじっと見ていた。

診察室から、三下の泣き声と共に今までの鬱憤が言葉となって廊下まで聞こえる。
それはかれこれ10分は経つのだろう。
そのあと、暫く沈黙が続いた。
診察室のドアが開く。
今まで見たことのない爽やかな美少年と、少し疲れているが、感心した碇が出てきた。
「人の愚痴や悩み聞くのって辛いって本当に分かったわ。加登脇美雪さん、三下君の泣き言全て聞いて、彼を諭したのよ…?しかも、私は注意されたわ…」
と、苦笑する碇。滅多に見ることの出来ない彼女の姿。彼女曰く加登脇の前では、癒される感覚を覚えるのは確かなようだ。ただ、昔の平社員時代の苦労した時代を思い出したようだ。
「頑張って生きていきます!ありがとうございます先生!」
三下はハキハキとした声で加登脇に礼を述べていた。
待っていた、涼も亜真知も其れはビックリする。
「こ、今度は俺が!」
と涼が、入っていった。
大体15分会話をしていたようだ。
彼も又爽やかな笑顔で戻ってきた
「俺はまともなんだ!」
悩み事が嘘のように解決された心地よい笑顔だ。
暗示ではない。本当に悩みが解決出来ている。
「凄いですわね…」
亜真知は更に興味を持っていった。そして彼女の番となる。
「さ、どうぞ榊船亜真知さん」


3.協力の申請
「わたくしは実は悩みがないのですが」
と切り出す亜真知。
「あら?」
不思議がる加登脇だが、亜真知の持ってきたお茶と手作りのどら焼きをみて
「私のことを聞きたいのですね」
と訊いてきた。
「はい、何故怪奇現象の被害者、能力コントロール出来ない能力者のカウンセリング、するきっかけをお聞かせくれませんか」
亜真知はニコリと言った。
まだスキャンしている。
「高次元生命体…つまり正当神格保持者なのね、亜真知さん」
「気付いたのはいつ頃ですか?」
どら焼きを食べて、お茶を飲んだ後の加登脇の答え。亜真知の驚きもせず、訊いてみた。
「あなたが力を使ったときからよ。事前対応化で此方も実はスキャンしていたの」
「すごいですねぇ」
お互いが、心の壁(セキュリティ)を解いていたので正体が分かった。
「かなりの重度の患者さんの中でも攻撃的な方の時は、流石にPSYCHICDEFENSEで自分の脳を守りますけどね。私も能力者…テレパス専門エスパーですので」
「成る程」
お茶をすする亜真知
「さて、本題に入りましょうか」

加登脇自身が能力に覚醒したのはかなり昔のことらしい。同じ境遇、つまりは、怪奇現象の犠牲者の1人というのだ。只、いつの間にか持っている【不老能力】を得たことから、20代後半の姿のままになっている。おそらく自分は「何か」に導かれる形でこの能力を得たのだろうと答えた。人の心を落ち着かせる【ヒーリングヴォイス】も同時に会得したと語る。
「テレパスのコントロールをマスターするまでは苦労したわ」
まるで、かなり若い頃つまり、自分がこの年で老化が停止した事までを思い出すかのように亜真知に語る。

「先ほど正当神格保持者と?」
「前に、あなたと同じ気を持つ方とお会いしまして。少しだけ教えて貰ったんです。エルハンドという方でした」
「そうですか」
同時にお茶をすすりのんびりと会話していく。
「それ以降全然お会いになっていませんけどね…」
と、加登脇は答える。
神である亜真知でさえ、彼女の声は無条件で心を和ませてくれる。其れに能力の質には悪意はなかった。
彼女は純粋に、現実を受け止め活用ししっかり生きているのだと。
「もし、なにかお困りの時がありましたら、わたくしを呼んで下さい。お力になります」
亜真知は、加登脇に告げた。
「その時は、遠く離れても長距離テレパスでお呼びします。亜真知さん、ありがとう」
加登脇は笑顔で答えた。
「では他の方を待たせてはいけませんので…これにて失礼致しますわ」
と、亜真知はお辞儀をして診断室を後にした。


4.アトラス記事掲載
アトラスに加登脇美雪の記事が公開されていたが、募った相談相手の名前は全員イニシャル扱いだったが、三下だけしっかり記載されていた。
相談内容は言わずとしれたものだ。
『ボクはいつも不幸です…どうしたら幸運になれるのですか?』
加登脇は、それでもじっくり彼の悩みを聞いてあげて最後にこういったそうだ。
「あなたは、よく頑張っているわ。だから、休むことも大事。でも、若いうちは苦労を思いっきりしなさい。何時来るか分からない『幸せ』を求めるのではなく、今を、命の限り生きていきましょう」
と、優しく彼を諭したのだ。
もちろん、碇に過労の危険性があると指摘し、長期休職をさせるようにと言った。
オフレコであるが彼の若返りの怪現象は、今のところ原因不明だが調査を開始したそうだ。
暫く彼はどんなにいぢめられてもドジをしても、必死に生きている。


End


□■■■■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
□■■■■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
【1593 榊船・亜真知 999 女 超高位次元知的生命体・・・神さま!?】

□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
■         ライター通信          ■
□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
滝照直樹です。
『インタビューという名を借りての診断』に参加して下さりありがとうございます。
カウンセリングというモノはなかなか難しいもので、様々な方法があります。認知療法では一般的な方法かと思われます。加登脇は能力を使って(ほとんど自動発動している【声】と人柄に依るものです)治療を行ってます。
他の方のノベルはほとんど異なっています。どんな悩み事を加登脇にしているか読んでみるのも良いでしょう。実際の医療現場では守秘義務や信頼関係で成り立つので公開などあまり出来ないですけどね。

では、機会が有れば又お会いしましょう。

滝照直樹拝