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<東京怪談ウェブゲーム ゴーストネットOFF>


和泉先生の実験教室

オープニング


題名:助手募集
投稿者:和泉 楓
本文:今回書き込ませてもらったのは、助手募集のため
    一日でいいから誰か私の助手をしてくれないかしら?バイト代は五万円払うわ。
    ご飯もちゃんと出すし、休憩もあるわ。晩御飯は腕を振るってトラフグをご馳走しちゃう(無免許だけど…)
    じゃあ。ここに連絡先を書いておくから実験体…いえいえ、助手をしてくれる人は連絡してきてね♪


和泉 楓、28歳。
恋愛よりも科学を愛するマッドサイエンティスト。実験にされた人は数え切れないほどで、その中には
人間をやめさせられた人もいるらしい。
その科学者の元へと助手をしにいく勇気ある者ははたしているのだろうか?


視点⇒榊船・亜真知

「あら?」
 亜真知はいつものように日課と化しているBBS巡りをしていると奇妙な書き込みを見つける。一日助手をするだけで五万円というお金が入る仕事だ。
「…怪しいですわね」
 一日だけで五万円という大金が手に入るという事はそれなりに危険かもしれないと言う事。とりあえず亜真知はすぐに応募する事はせずに色々と調べてから応募する事になった。調べている間に応募を締め切っていたらそれはそれでよしとしよう。
 亜真知はネットでその『和泉 楓』という人物について調べる事にした。検索をかけてみると色々な情報がモニターに映る。

『あの女は人間じゃない!あの性格破綻者め!』
『和泉 楓!?やめてくれ、その名前を聞くだけで発作が出そうだ…』
『あの女に関わるとロクな事にはならないぞ!悪いことは言わないからやめておけ』
『あのケチ女の話はするな!』
これはあるチャットでの会話。ここまで言われると言う事はやはりただの人間ではないのかもしれない。しかもケチ、とまで呼ばれているその人が一日五万円というお金を出すはずもない。そこで亜真知は悟る事になった。
『美味しい話には裏がある』のだということを。
「…良かった、まだ募集してますわ」
 先程の書き込みまで戻り、応募をまだしているか確認すると幸いなのか幸いじゃないのか、まだ募集はしてある。
「楽しそうですから応募してみましょう」
 そう言って書き込みに書いてある連絡先に電話をかけてみる。

『もしもし、だれ〜?』
 電話に出たのは甲高い女性の声の持ち主だった。何をしているのか電話の向こうはなにやら騒がしい。
「書き込みを見て、助手希望の榊船・亜真知といいます。まだ募集はされてますか?」
『あ〜、助手ね!全然募集中よぉ。いつからこれる?明日?明日ね、じゃあ待ってるから』
 そういうと電話の相手は言いたい事だけ言って電話を切ってしまった。
「…とりあえず、楽しそうな方ですわね。退屈はしなさそうですわ」
 亜真知は明日を楽しみにして取って置きの巫女装束で行く事にした。
「明日が楽しみですわね」
 誰に言うまでもなく亜真知は一人呟いた。


 そして、次の日。
「大きなお屋敷ですわねぇ…」
 さすがマッドサイエンティストと呼ばれるだけあって屋敷もとてもシュミの『良い(この場合悪いと言うのかもしれませんが)』屋敷だ。人の目につくので待ち合わせには最適であろう。亜真知はすぅ、と深呼吸をしてからインターホンを鳴らす。
「はいは〜い、誰?助手に来てくれた子なら勝手に入って良いわよ、新聞、宗教の勧誘はお断りだからね!」
 それだけ言うとブツンと切れる。昨夜も思ったが、この和泉 楓という人物は落ち着きがないと見える。
「じゃあ、勝手にお邪魔します」
 門をギィと開けて中に入ると屋敷までの道のりが長い事に気づく。
「…歩くのに疲れそうですわね」
 苦笑しながら看板に沿って歩き始める。歩きながら助手は何をするのか考える。
「…まぁ、前例がある方らしいので油断はしないようにしませんといけませんね」
 暫く歩くと屋敷が見えてき始める。玄関には白衣を着た女性が立っている。
「あら、あなたが昨日電話してくれた亜真知さん?巫女さんだったのね」
 今時珍しい瓶底眼鏡をかけた点を除けばいたって普通の女性に見える。
「あ、今日はよろしくお願いします」
 亜真知はペコリと頭を下げる。
「早速で悪いんだけど」
「はい?」
「お茶入れてくれるかしら?」
 意外とマトモな事を言われて亜真知はキョトンとなる。だが、まともじゃないと言う事は数秒後に分かる事になる。
「は〜い…」
 首元に何かチクリとしたものを感じる。後ろを向くと和泉 楓が吹き矢のようなもので亜真知を狙っていた。
「ふふふ、悪いけど実験体になってもらうわよぉ」
 瓶底眼鏡が嫌にきらりと光ったように感じた。


「…危なかったですわ」
 実は亜真知はタンスの物陰に隠れていた。和泉 楓が連れて行ったのは亜真知が咄嗟に出した分身体であり、亜真知本人ではなかった。亜真知はすぐに自分が無事だと言う事は言わずに暫く様子を見ることにした。亜真知本人としても和泉 楓が何の実験をするのかが興味があったからだ。それにあまりにもヤバそうな時は止めに入れば良いし、と考えた。
「うふふ、とりあえずはこの新開発の薬を使ってみたかったのよぉ」
 白衣のポケットから怪しげな液体の入った小瓶を取り出し亜真知(分身体)に飲ませた。数分間見ていたが特に変わった変化はない。
「なによ、これ。失敗作じゃないの?!」
 自分で作って勝手に人に飲ませて何を言っているのだろう、と亜真知は思う。チャットでの言葉どおり『性格破綻者』である事が判明した。
「…こうなったら解剖でもしようかしら、じゃなきゃ五万円もったいないし」
 続いて『ケチ』という事実も…。その言葉に亜真知は慌てた。いくら分身体とはいえたった五万円で切り刻まれたら見ているこちらとしても気分のいいものではない。
「ちょ、ちょっとまってください!」
「あら?あら?」
 和泉 楓は亜真知と亜真知(分身体)を見比べる。そこで亜真知は事情を説明した。
「素敵じゃない!ねぇ、こっち譲ってくれない!?」
「…これはわたくしの本体です」
「いいじゃない、どっちでも似たようなものでしょう」
「…お断りします。もうバイトはいいので帰ります」
 この人に分身体を預けたらそれこそ何をされるかわかったものではない。
「仕方ないわねえ、じゃあ、これだけ飲んでって?」
 そう言って差し出したのは紅茶。しかも明らかに何かが混ざっているような色だ。
「……失礼します」
 亜真知はそう言うと逃げるようにさっさと屋敷を出た。



 亜真知が本日学んだこと:怪しい人は放っておくのが一番、関わりあいにならなのが最善のことだということだった。



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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号/PC名/性別/年齢/職業】

1593/榊船・亜真知 /女性/999歳/超高位次元知的生命体・・・神さま!?

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■         ライター通信          ■
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榊船・亜真知様>

いつもお世話になっております、瀬皇緋澄です^^
今回は『和泉先生の実験教室』に発注をかけてくださりありがとうございます!
『和泉先生の実験教室』はいかがだったでしょうか?
少しでも面白いと思っていただけたら幸いです^^
それでは、またお会いできる機会がありましたらよろしくお願いします^^

                   −瀬皇緋澄