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<東京怪談ウェブゲーム ゴーストネットOFF>


和泉先生の実験教室


オープニング

題名:助手募集
投稿者:和泉 楓
本文:今回書き込ませてもらったのは、助手募集のため
    一日でいいから誰か私の助手をしてくれないかしら?バイト代は五万円払うわ。
    ご飯もちゃんと出すし、休憩もあるわ。晩御飯は腕を振るってトラフグをご馳走しちゃう(無免許だけど…)
    じゃあ。ここに連絡先を書いておくから実験体…いえいえ、助手をしてくれる人は連絡してきてね♪


和泉 楓、28歳。
恋愛よりも科学を愛するマッドサイエンティスト。実験にされた人は数え切れないほどで、その中には
人間をやめさせられた人もいるらしい。
その科学者の元へと助手をしにいく勇気ある者ははたしているのだろうか?


視点⇒和田・京太郎


「このバイトって割り良くねぇ?」
 そう言って友人が見せてきたのは『助手募集』と書かれたメモだった。何でもネットでの募集をメモってきたと友人は笑いながら言った。
「…俺行ってみようかな」
 一日五万円、という言葉に京太郎は惹かれた。下宿先に冷蔵庫を買いたいと思っている彼にとって一日五万円という言葉はまるで魔法のように聞こえた。
「でも、この和泉楓って女、噂が…なぁ?」
 友人は別の友人に相槌を求めるように言う。
「どうかしたのか?」
 京太郎が聞くと、友人達は口を揃えて答えた。
「評判が良くないんだよ。変人とも言われてるし。危ないからやめとけって」
 ふぅん、と京太郎は曖昧な返事を返す。
(5万円もくれるし、こんな条件いいなら。向こうさえ良けりゃ、俺は2日でも3日でも行ってやるけどなあ)
 これが京太郎の本音だった。
「28歳の女の人だろ?やばくなったら逃げればいいじゃん」
「…お前、あの先生の怖さを知らないから言えるんだよ。噂じゃドリル持って追い掛け回されたって人もいるんだぞ」
 それは怖い、と京太郎は思う。だが、『危険』と言う事と『五万円』という言葉を天秤にかけた場合、京太郎の中での勝者はもちろん…『五万円』だった。
「俺、行ってみる。そのメモくれ」
 そう言って、京太郎は友人から和泉 楓の住所や電話番号が載っているメモを受け取る。
「サンキュ、さっそく今から行ってみる」
 好都合な事に今は放課後、しかも明日は学校は休み。今から行けば明日の夕方には帰られるだろう。こんなバイトだったら一日と言わずに何日でもしていたい気分なのだが…。


「ここかぁ…でかい家」
 あれから京太郎は学校からの帰り道にメモを片手に『和泉 楓』の屋敷に来ていた。
「…こんだけ金持ちだったら一日五万円も納得できるな」
 まぁ、俺はバイト代さえもらえればいいけど。と思いながらインターホンを鳴らす。
「は〜い、どちら様〜??助手してくれる人は勝手に入っちゃって。新聞、宗教の勧誘ならお断りで今すぐ帰って」
 それだけ言うとブツンと切られた。呆気に取られながらも京太郎は門を開けて中に入る。屋敷は結構遠く、歩くのに疲れそうだと思いながら足を進めた。
「…バイトって何すりゃいいんだ?雑用か?いや、意外とキツイ仕事させられそうだ…」
 一人でぶつぶつ言っているといつのまにか屋敷のほうに来ていたらしく、玄関に一人の女性が立っている。今時珍しく瓶底眼鏡の女性だ。
「あら、助手希望?あたしが和泉楓、よろしく」
「…そうだけど…いきなり来たけど大丈夫ですか?」
 そういうと和泉先生は『全然大丈夫よ』と手をヒラヒラさせばがら言う。
(とりあえずは雇ってもらえるのか)
 安心した京太郎は仕事の内容を聞いた。
「どんな事すればいいんですか?」
「ん〜?ただ飲んだり食べたりしてくれればいいのよ〜」
 え?それだけ?と怪しげに思いながらも『待遇が良い…』と満足する京太郎だった。
「じゃ、さっそくそこに座って紅茶でも飲んでてね」
 そう言って和泉先生はどこかへと言ってしまった。大きな部屋に残された京太郎は仕方がなくソファに座り、恐らくいれたばかりであろう紅茶を飲む。扉の向こうで怪しげな目つきで見ている和泉先生がいるとは気がつかずに…。


「…あれ?」
 いつのまにか眠ってしまっていたらしく、気がつき最初に目に入ったのは真っ白な天井だった。
「あr〜、お目覚めかしら?もうちょっと眠っててもらいたかったんだけどねぇ…」
「え?」
 起き上がろうとするとベッドに舞い戻らされる。唯一動く首を手や足の方に向けて見ると…。
「な、なんだよ!これは」
 京太郎は手足を拘束されていた。
「何って、バイトよ。さっきの紅茶に睡眠薬入れさせてもらったの。この薬の効果が知りたくて」
 そう言って取り出したのは小さな瓶に入った水色の液体。
「何だよ…それ…」
「開発どおりならこれ飲んだら透明人間になれる…はずなのよ」
 はず、というあたりがかなり怪しい。やはり止めておけば良かったと後悔するが時すでに遅し…。
「やっぱ帰る」
「あら、だめよ。逃がさないわよ」
―噂じゃドリル持って追い掛け回されたとか…。
 友人から話を聞いたときは『そんなことあるはずない』と思っていたが前言撤回だ。この人ならばやりかねない。
「……う、俺、トイレ行きたいんだけど」
「あら!それは大変、行ってらっしゃい」
 そう言って和泉先生は素直に自由にしてくれた。
「トイレは出てすぐ右の部屋だからね〜」
 このとき、京太郎は思った。
『天才と馬鹿は紙一重って本当なんだな…』と。
「今のうちに逃げりゃいいんじゃん」
 さっさと帰ろう、としたそのとき…。
「どこにいくのかしら?逃がさないって言ったわよね?」
 そう言ってにっこりと笑う和泉 楓、28歳(独身)だった。その和泉先生の笑顔を見て、思わず京太郎は物陰に隠れたくなった。
「いや、俺はもうそろそろおいとまを…」
「バイト、しにきたんでしょ?五万円欲しいんでしょ?」
 五万円という言葉に後ろ髪を引かれるが、命には変えられない。だが、あくまで和泉先生は帰す気はないようだ。京太郎は捕まる前にさっさと走り出す。全力で走れば振り切る事はできるだろう。
「あ、ちょっと!待ちなさい!」
 和泉先生の言葉に耳を向けず、京太郎は走る事だけに集中した。それから数分後、京太郎は屋敷を無事にでることができた。だが、屋敷内には京太郎を呼ぶ声が聞こえたとか聞こえないとか。


 京太郎が本日学んだ事。美味しい話には裏があるから引き受けることは極力避けたほうが良い、と言う事。



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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号/PC名/性別/年齢/職業】

1837/和田・京太郎/男性/15歳/高校生

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■         ライター通信          ■
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和田・京太郎様>

初めまして、瀬皇緋澄です^^
今回は『和泉先生の実験教室』に発注をかけてくださりありがとうございました!
『和泉先生の実験教室』はいかがだったでしょうか?
少しでも面白いと思っていただけたら幸いです^^:
それでは、またお会いできる機会がありましたらよろしくお願いします^^



          −瀬皇緋澄