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<東京怪談ウェブゲーム 草間興信所>


TheLordOfTheSpirits〜第二部:TheTwoSpirits〜

■Opening:TheTwoSpirits

草間興信所。朝。
けたたましいブザー音が鳴り響いて、草間は飲んでいたコーヒーを取り落としそうになる。
いいかげん慣れたはずでも朝の落ち着いた空気の中では少々不意打ちであった。
「おはようございます」
現れたのは、神城由紀(23)。
草間興信所に昨日、”いなくなった霊を探して欲しい”と、依頼に来た女性である。
彼女の探しているのは”十二支式霊”と呼ばれる式。
なんとか草間の集めた精鋭達の活躍で昨日のうちに十二体中九体は見つけて、
彼女の用意した”封札”という札に封印する事ができた。
今日は残り三体の捜索に出向く予定である。
由紀にとって昨日は色々な出来事があり精神的にまいっているかと思いきや、
元気そうな雰囲気で、どこか眠そうな草間と違いはつらつとしていた。
そして、8時に全員集合をかけていた草間は由紀が来た事で集合時刻が近いことに気付く。
時計を見ると7時55分。
「もうそんな時間か…?」
今日の仕事はどうやら自分が出かける事になりそうだ…と、
草間がコーヒーカップを置き、立ち上がる。
そして由紀にも今回は同行してもらおうと話し掛けようとした…その時。
カチャ…と音が響き。
ゆっくりと草間興信所のドアが開いた。



草間興信所の前で、草間はそれぞれ出向いていった面々を見送り、
なんとか今日も自分は事務所で待機する事になりそうだ…と息をつく。
決して自分が動く事が嫌なわけでも億劫なわけでもなく、
ただそ依頼に関して一番最適だと思える人材を派遣する事こそが興信所の主として必要だと思っている。
それゆえに、もし自分の力が一番必要だと思う依頼だったならば、
それがどんな依頼であっても…出かけていく事を惜しむつもりは無い。
とは言え、こう寒い時期になってくると…待機というのは正直少しありがたかった。
「さて…まだやることがあるからな…」
草間がそう言って興信所に戻ろうとした時…
「草間」
位置ではなく、地位的に上の方から自分を呼ぶ声に、
眉間に皺を寄せて草間はそちらを見た。
そこには、二人…いや、二体の人に在らざる者が立っていた。
「お前達か…」
「仕事のようだな」
「あ、いや…」
「受けてやる」
そのうち、紫のボディをした者…機械人形のF・カイスが丁寧な口調で語りかける。
それに反して白いボディのD・ギルバはぶっきらぼうに告げた。
「しかし今回の依頼はお前達に向いているとは思えないが…」
「言ってみろよ」
「依頼主の元から逃げた式霊を探す仕事だよ…ただの人探しさ。
まあもっとも、今日は戦闘になるかもしれないが…」
思わず言ってしまった言葉に、草間ははっとなった。
カイスは良いのだが、ギルバはひどく好戦的で、戦う事しか考えていない。
それゆえに、彼らのような者にはそういった依頼の時に声をかけているのだが…
今回は戦闘と言えども勝手が違う。
「戦闘ならば尚更受けてやる…どうせ暇だ…」
ギルバはそう言うと、詳しい話も聞かずに走り出した。
「ま、待て…最後まで話を…!」
「では後程」
「おい!!」
カイスもギルバに置いて行かれぬようにとその後を追う。
尋常ではない速さで走り去って行く二人を見つめながら、草間は溜め息をついた。
「お兄さん…大丈夫なんですか?」
不意に、零がいつの間にか草間の元にやってきていて声をかける。
見送りに行ったきり、なかなか帰ってこない草間を心配して身に来たらしい。
「まあ…どうせ詳しい話も聞かずに行ったんだ…すぐにそれに気付いて戻ってくると思うが…」
「そうですよね…封札もありませんし…特徴も知らないんですから」
精鋭が総掛かりでもまだ全てを見つけていないのだから、
その方面で特殊な能力があるわけでもない彼等には無理だろう…零もそう思っていた。
しかし、一応心配ではある。とりあえず他のグループに連絡を入れようとした時…
「あの…」
躊躇いがちに、草間の背中側から聞き覚えの有る声がして草間は振り返る。
見ると…昨日の捜索に参加していた、倉前・沙樹(くらまえ・さき)が立っていた。
「今日、学校だっただろ…?どうしたんだ?」
「あ、はい…学校だったんですけど…どうしても気になってしまって…
でも皆さん、もう出て行ってしまいましたよね……」
倉前は苦笑いをしながらそう呟いた。
彼女の性格上、学校をサボるという行為にはかなりの抵抗があったはずだろう。
しかし、それでもここに来たのだ。
「依頼の性質上、手が足りて困るという事は無いもんでね…協力してくれるのならば…頼みたい」
そう言った草間の言葉に、倉前はぱっと顔を明るくする。
「私に出来る事があるなら…お願いします」
倉前は頭を下げる。
「それじゃあまあとりあえずやって欲しい事があるんだが…」
頭を掻きながら草間は倉前に、ある事を頼んだ。
そう…先に飛び出して行った二人への伝言である。
彼女の霊視能力があれば、人に在らざるあの二人の気配を感じて見つけることが出来るだろうと踏んだのだ。
直接今回の事件と関係があるわけではないだけに、
断られるかとも思ったのだが、倉前は嫌がる様子も無く頷いた。
「それじゃあとりあえずタクシーか電車代」
「タクシー…ですか?」
「足じゃ追いつけないから交通機関を使ってくれ」
苦笑いをしながら、草間は倉前にいくらかを手渡した。


■Mission:KAISU&GIRUBA&KURAMAE

「ギルバ」
「なんだ」
「受けたはいいが宛てはあるのか?」
「そんなものは無い…」
草間興信所から飛び出したカイスとギルバだったが、
数キロ離れた地点ですでに立ち往生していた。
草間から聞いたのは、”式霊”を探しているという事だけ。
それ以外は何も聞かずに飛び出してきたのだ。
「どうするんだ…」
「そんなもの…手当たり次第に聞けばいい」
ギルバはそう言うと、問答無用で走り出した。大きく息をつくと、カイスはその後を追う。
猪突猛進を絵に描いたようなギルバだった。
しかしやはり行き当たりばったりで見つかるわけもなく。
カイスに窘められて一度興信所まで戻ることにした。
二人が興信所の近くに来ると…一人の少女が自分達を見ていることに気付く。
不審に思いながら…その少女の脇を通り過ぎようとし…。
「あ、あの…カイスさんとギルバさん…ですよね?」
「?」
「なんだてめぇ?!」
恐る恐る声をかけて来た少女に、カイスとは静かに応えギルバは怒鳴りつける。
二人の外見も手伝いビクッとした少女だったが…。
「私、倉前・沙樹(くらまえさき)と申します。草間さんから言付かって参りました」
「草間の…」
「なら居所を教えろ!」
「あ、でも…」
居所と言われても、そもそも居所がわからないから捜索しているのだ。
倉前は困った顔をしてどうしよう…と、戸惑う。
しかしとりあえずそれよりも草間に伝えてくれと言われた事を伝えなければならない。
「あの…」
「何だ?」
「草間さんからの伝言です。式霊を発見したら…」
倉前が話そうとしたその時、どこからか別の霊の気配がして…
それはギルバの元に行き、彼に何かを伝えたようだった。
「おい!それらしい奴は郊外の潰れた遊園地にいるらしいぜ!」
「え?まさか…」
倉前は驚く。皆が必死で探している式霊がそう簡単に見つかるなんて…と。
しかしその情報はギルバがそこら辺を彷徨っているこの世生らざる者を手当たり次第に捕まえ、
脅しをかけるように思い当たる事を吐かせて、わかる事があれば伝えるように言った結果だった。
信憑性は薄かったが…とりあえず行ってみれば納得するだろうとカイスはギルバに付き合うことにした。
「俺たちは先に行く。用があるなら後で会おう」
「あ、いえ!だから!!」
倉前が言うよりも先に、ギルバは空へ舞い上がる。
カイスもその後を追って走り出した。
草間の言う通り、人間の足で追いかける事など到底出来そうも無い速さである。
「どうしよう…」
倉前はきちんと伝えられなかった事に戸惑う。
しかし、行き先はわかっている。それに二人の気配を追うことは可能だ。
思うより先に体が動き…最寄りの駅へと足を早めた。



倉前は二人の気配を追いながら、郊外にある廃園となった遊園地に向かう。
電車を降りてタクシーで向かう事にしたのだが…
女子高校生が平日に廃園となった遊園地に向かうとなると、
タクシーの運転士が不審がってなかなか車を出してくれなかった。
一生懸命理由を説明するが、運転士は非日常には慣れてないのか信じる様子も無かった。
しかしあまりにも必死の倉前の様子に…
とりあえず車を出し、その代わり様子を見させてもらうと運転士は条件をつけた。
昨今、若い子の間で自殺が増えている事を考え、
廃園の遊園地などという場所は、まさにそう言う事にうってつけの場所なのだろう。
運転士は運転士なりに心配しているのであろう事はありがたかった。
「待ってるから。いいか?必ず戻ってくるように…!」
「ありがとうございます」
「いいか!戻ってくるまで待ってるからな!」
廃園の遊園地に着くと、運転士はしぶりながら倉前を下ろす。
倉前は料金を払うとすぐに園内に向かって走り出した。
不意に…あの二人とは違う、別の多くの気配も感じる。
もちろん彷徨っている霊達も多いのだが、その中で一際強い力を感じる事ができた。
おそらくそれは式霊のように思えた。
倉前が気配を辿りながら、遊園地内を歩く。
ゲートを通り、広場に向かい…かつては遊具であふれていたであろう場所に向かい、
「これは…」
ほとんど燃え落ちている回転木馬を見つける。
あの二人がやったものなのか、それとも別の何かなのかはわからなかったが…。
まだ炎は残っているもののほとんど焼き尽くされていて、力の凄まじさが感じ取れた。
「どこにいるの…?」
倉前は目を閉じて気配を探る。
立地条件からか、死霊はもちろん、ここで思い出を作った多くの生霊の気配も感じる。
多くの霊の気配に探している対象の気配を隠し、惑わされそうになったが、
芝生広場のある方向で、大きな力の動く気配がする。
「これは…太郎さん…?」
その気配に覚えがあり、倉前はそちらに急いだ。



「シュラインさん!」
「…沙樹ちゃん!?」
倉前が芝生広場に着くと…シュラインの姿が見えた。
まさかこんな所で出会うとは思ってもいなかった倉前は、驚きながら走り寄る。
「どうしてここに?」
「は…い…。草間さんに、頼まれ…て…」
息を切らしていたのでそれを必死で整える。そして顔を上げて、驚きに目を見開いた。
昨日一緒に仕事をした二人、大神と石神と…自分が追いかけていた二人、カイスとギルバが対峙していたのだ。
「そんな…!どうして戦ってるの?!」
「沙樹ちゃん…何か知ってるの?あの二体の…」
「はい!草間さんに言われて、あの二人を追いかけていたんです!!」
「詳しく聞かせて」
「はい!」
倉前はあの二人の事と、草間に言付かった事をシュラインに話した。
難しい顔でシュラインはそれを聞き終わると、徐に携帯電話を取り出して…草間興信所へコールする。
『はい。こちら草間…』
「武彦さん?」
『進展があったのか?』
「今、沙樹ちゃんと合流したわ…それよりもお聞きしたいの。あの二体の事ですけど」
『そこにいるのか?!』
「戦ってるわ。これはどういうことなのかしら?」
シュラインの言葉に、草間が自分の口で説明する。
話を聞き終わり、シュラインはやれやれといった表情になり。
「沙樹ちゃんだけに任せず私達に連絡を入れなかった武彦さんにも責任はありますから」
『あの後、別の依頼が来てだな…それにまさか遭遇するとは…』
シュラインは最後まで聞かずに電話を切ると、ふうと息を吐いた。
そして倉前に顔を向けて、微笑む。
「ありがとう。とりあえず…理解したわ」
携帯を手に、シュラインはそう言って…対峙している二人と二体の近くに歩み寄る。
倉前が心配そうに見つめていると…シュラインは大きく息を吸い、
「そこまでだ!両者とも手を下ろせ!!」
草間の”声”でそう叫んだのだった。



とりあえず両者の誤解が解けて一段落して。
倉前は戦闘の際の危険を避けて離れていた場所から、全員が集まっている所に向かった。
そこでは探していた”巳の”式霊らしい大蛇(おろち)が、シュライン達と話していた。
『世話をかけてしまい申し訳ない』
大蛇(おろち)は、穏やかな優しげな男性の声でそう告げた。
『大蛇…わかってくれるのね?』
子々が嬉しそうに声をあげる。
『子々?子々がいるのか…?』
大蛇の言葉に、シュラインは”子の札”を取り出して大蛇に見せた。
実体化こそしないものの、子々は少しだけ霊体化させて立体映像のように札から姿を現す。
『あなたとは戦いたくは無かった…だから安心しました…。
翼と焔以外の者はもう既に由紀の元に帰りました…由紀とも話をして決めたわ…私達はもう逃げない…』
『由紀に…由紀にあの事を話したのか?!』
子々は静かに頷いた。大蛇はその事に驚愕したようだった。
『それでも由紀は我らを必要としているのか?憎くは無いのか?』
その言葉に、子々は微笑む事で答えた。言葉にしなくても、その想いは伝わっている。
微笑みに応えるように大蛇は頷き、シュラインに顔を向けた。
『申し訳ない…我を由紀の元へ…』
「…きっと待っているわ」
シュラインは微笑み、封札を大蛇の額に当てる。大蛇の身体は煙となり…封札に吸い込まれる。
そして、赤い『巳』の文字。
とりあえず式との戦闘にはならずに済んだ事にほっとしつつ…シュラインは石神にそれを手渡す。
完全回復とまではいかないが石神の回復能力で応急処置は出来るであろう。
なるべくなら傷ついていない状態で由紀の元に連れて行きたかった。
倉前は、由紀と式霊たちが”傷ついたとしても自分達の運命から逃げずに立ち向かう”事を知った。
昨日の捜索で、太郎に『自分が大好きな人の近くにいる事でその人を傷つけてしまうとしたらどうしますか?』
…と聞かれたことをずっと考えていた。
まだ自分の答えは出せていないけれど…由紀や太郎がどうするのかが気になっていたのだ。
由紀と式霊たちが一晩かかって出した答えは倉前にとって再び考える事柄を与えた。
自分はどうなのだろう…と。
「さて。それじゃあ次は”酉”か”申”ね。沙樹ちゃんはどうするのかしら?」
「あの…私、タクシーを待たせているので…先に失礼します」
倉前は、不意に待たせている運転士の事を思い出す。
そしてシュライン達に頭を下げると、心配をかけてはいけないと急ぎ足で戻る。
シュライン達との合流も考えたのだが…とりあえず運転士が気になっていた。
倉前がタクシーを下りた場所に戻ると、本当に運転士はそこで待っていた。
そして運転士は嬉しそうに、ほっとした表情で微笑んだ。
「ありがとうございます。待っていてくださったんですね」
「良かった…!遅いから探しに行こうかと思ってたんだよ」
「大丈夫です…」
倉前がそう言って、タクシーに乗り込もうとした時―――
「ここにいたか」
「!」
不意に、背後から声がして振り返る。するとカイスとギルバの二人がそこに立っていた。
運転士が二人を見て…驚きで硬直する。
「そう言えば俺たちに伝言があるとか言っていたな…何だ?」
「いえ…私が言いたかった事はシュラインさんから聞いたと思うので…」
「傷つけるな、連絡しろって事か?」
「はい」
二人に全く動じず会話をする倉前を、運転士は驚きの表情で見つめる。
一体自分の目の前で繰り広げられているのはどこの世界なのだろうと思っている風だった。
「俺たちは草間の所に戻るがおまえはどうする?」
「そうですね…私も一度戻ろうと思います」
「ならば共に行くか」
「え?」
カイスはそう言うと、倉前をひょいと担ぎ上げる。
断る間もなく、カイスはそのまま歩きだす。
「あの、大丈夫です…タクシーで…」
「俺たちの方が早い」
早さの問題ではなくて、と倉前は思ったのだが問答無用のその雰囲気にそれ以上は言えなかった。
固まったままの運転士に倉前は「ありがとうございました」と声をかけ…
そのまま、カイスの肩に座ったままで興信所まで戻る事になったのだった。
倉前は帰途につきながら、あのタクシー運転士の会社に…後日お礼に行こうと思うのだった。


■Ending:See you again again...?

一日を終え、草間興信所には仕事を終えた面々が集う。
結局、それぞれが『巳』と『酉』の式霊を見つけ、封札に封印する事はできたものの、
最後の『申』だけはどうしても見つからなかった。
誰もが予想はしていたが、やはり一筋縄では行かない。
夜を徹しての捜索も視野に入れていたのだが、由紀の願いで残りの捜索は明日に持ち越されることになった。
興信所のソファや零が用意した補助椅子に腰掛ける面々は、
昨日と違い今日はどちらも一筋縄ではいかなかった事もあり、疲れの色が濃く見えていた。
由紀はそんな面々を気遣ってお茶と自作の和菓子を用意していた。
皆が必死で探している時に呑気にお菓子作りをしていた事を気にしている様子だったが、
疲れている時には由紀の作った甘い和菓子がありがたかった。
「そう言えばカイスさんとギルバさんは?」
「あの二人はここに入れないからな…」
そう言って草間が窓の外を見る。
眼下の街灯に照らされた路上で、由紀からの和菓子を不思議そうに見つめる二人の姿があった。
彼等も少し誤解があったものの同じ依頼を受けて仕事をした仲間である。
もし強大な敵に立ち向かわなくてはならないような依頼があったら、
彼らほど頼りになる味方はいないだろうと思いながら草間は視線を室内に戻した。
それから、十分程して。
全員がお茶と和菓子でとりあえず落ち着いた頃。
草間が椅子から立ち上がり、一つ咳払いをする。
何を言おうとしているのか全員予想がついて…彼に注目した。
「昨日に続いての捜索…ご苦労だった…それで、だ…」
「わかっているぞ武彦。明日も捜索はあるけれど強制では無いって言いたいんだろう?」
石神がニッと笑みを浮かべながら言う。その言葉に、草間を始めとした全員が苦笑して。
「武彦さん…言わなくてもみんな承知しています」
シュラインが少し真面目な、それでいて優しげに微笑む。
「昨日も言いましたが、明日の予定は明日になってみないとわかりませんからね…」
冠城はそう呟いて今日も緑茶をゆっくりとすすった。
「あの、私はやっぱり学校も気になるのでどうなるかわからないんですが…」
倉前は自分でもどうしたいのかわからずに戸惑いながら言う。
「帰りに下の二人にもそれを伝えておけばいいんだな?」
御巫が窓から下のカイスとギルバを見つめながら言う。
その隣で由紀はこちらを見上げている二人に手を振っていた。
「では…先に失礼します」
大神が腰を上げる。それが合図になったように、全員が立ち上がった。
「明日は満月になりそうだよ…」
石神の言葉に全員が見上げた夜空には、
ほとんど満月の状態の蒼い月が疲れた彼らを癒すように優しい光を注ぎながら浮かんでいたのだった。



<END>

第三部〜TheReturnOfTheSpirits〜に続く

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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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チーム1:
【0086/シュライン・エマ/女性/26歳/翻訳家・幽霊作家+草間興信所事務員】
【2235/大神・森之介(おおがみ・しんのすけ)/男性/19歳/大学生・能役者】
【2269/石神・月弥(いしがみ・つきや)/男性/100歳/つくも神】
チーム2:
【1953/御巫・傀都(みかなぎ・かいと)/男性/17歳/傀儡師】
【2209/冠城・琉人(かぶらぎ・りゅうと)/男性/84歳(外見20代前半)/神父(悪魔狩り)】
チーム3:
【2182/倉前・沙樹(くらまえ・さき)/女性/17歳/高校生】
【2319/F・カイス(えふ・かいす)/男性/4歳/墓場をうろつくモノ・機械人形】
【2355/D・ギルバ(でぃー・ぎるば)/男性/4歳/墓場をうろつくモノ・破壊神の模造人形】

NPC
【***/神城由紀(かみしろゆき)/女性/23歳/心霊便利屋・巫女】
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■         ライター通信          ■
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こんにちわ。この度は依頼をお受け下さりありがとうございました。
今回は前回の続きという事だったのですが、前話に参加して下さった皆様が引き続き参加して下さり、
また加えて新しい二方も参加して下さりありがとうございました。
初の連載ものなので不安だったのですがたくさん参加していただけてありがとうございます。
さて。
今回の構成は本来なら二つに分ける予定だったのですが、
多くの方に参加していただけましたので三つに分けさせていただきました。
シュライン様、大神様、石神様のチームと、倉前様、カイス様とギルバ様のチームがリンクしています。
御巫様、冠城様のチームは個別になっております。
例の如く、他の方の様子も覗いてみるとより一層楽しめるかもしれませんし、
ややこしくなるかもしれません。(笑)
もう少し戦闘を描くつもりだったのですが、人数の事も考えまして少し抑えました。
期待しておられましたらすみません。<(_ _)>
今回は全体を通して長くなってしまったので読んでいただけて嬉しい半分、
申し訳ない気持ちです。読んで下さりありがとうございました。そしてお疲れ様でした。

次回で完結です。
最後に残った『申』を捜索に協力して下さると嬉しいです。
皆様にまたお会い出来るのを楽しみにしております。


:::::安曇あずみ:::::

>倉前・沙樹様
2話連続でのご参加どうもありがとうございました。<(_ _)>
最後に参加という事でしたので、他の皆さんとは別行動で書かせていただきました。
カイス様とギルバ様を追いかけるという役割で直接式捜索に関わっていなくて申し訳ありません。
今回は倉前様の中で太郎の言葉の答えが出るといいなと思い書かせていただきました。
またお会い出来るのを楽しみにしております。

※誤字脱字の無いよう細心の注意をしておりますが、もしありましたら申し訳ありません。