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「プラントショップ『まきえ』」〜走れ!駆け落ち樹木!!〜
●オープニング●
今日も今日とて平和なようで平和じゃない草間興信所。
…今まさに、そこに騒動が発生しようとしていた。
バンッ!!
「ウイッス!元気してるか草間!!」
ドアを叩きあける音とともに、やけに明るい男の声が響く。
「……またお前か…」
「あ、こんにちはー」
呆れたように頭を抱える草間と、呑気に挨拶を交わす零。
二人の視線の先には、一人の青年が立っていた。
耳を覆うショートカットの黒髪。右が黒、左が青の変わった色をした切れ長の瞳。
すらっとした体躯は細く、筋肉がついているようにはとても見えない。少年と青年の間、と言った感じの男。
服は黒を基調としていて、黒い袖なしタートルネックに、肘より少し上辺りまでの長さをベルトで留めている皮手袋。
細身のジーンズに、黒い皮のブーツ。
タートルネックは腰より上までの丈しかなく、ヘソ出しの状態なのだが、何故か腹部には包帯が巻いてある。
一応コートを羽織ってはいるが、前は全開なので結局は見事に季節感を無視した服装だ。
だが、本人はそれほど寒くないらしく、平然としている。
「あー、なんだよ草間その態度ー。
希望傷ついちゃうー」
しなを作りながら嘆くその姿に、草間はげんなりと肩を落とし、零はくすくすと笑う。
深々と溜息を吐いてから、草間はゆっくりと口を開いた。
「…で。今度は何があったんだ?緋睡」
そう。彼の名前は緋睡・希望。自他共に認める『トラブルディスカバー』であり、また、『ひたすらに傍観するだけの人』でもあるのだ。
希望は草間の言葉にくすくすと忍び笑いを漏らすと、すっと外を指差す。
「また面白そうなことになってるぜ、外」
「……外?」
言われるままに外を見た草間は、見事に硬直する羽目になる。
なんでって…そりゃあ、ねぇ?(何)
「…もみの木と門松、ですね…」
硬直した草間の肩越しにひょい、と外を覗いた零が、きょとんとしたように呟いた。
―――そう。
窓の外―要するに商店街―で、もみの木と門松が寄り添うようにして道を爆走しているではないか。
木の根っ子に相当する部分が足の代わりをしているようで、一見すると動きの機敏な茶色(緑色)いタコやイカの路上爆走ショー。
あまりにもありえない事態に、草間も口をあんぐりと開けて固まるしかなかった。
「零ちゃん正解v
なんか知んないけど、ついさっき、例の植物専門店からアレが飛び出してきたんだよねー」
くつくつと喉の奥で笑いを押し殺しながら、希望は実に楽しそう、且つ呑気に話す。
今のところこの事態に気付かなかった人が後ろから跳ねられているくらいで、それほど大きな被害を受けた者は出てない…筈。
たった今、派手に二、三メートル吹っ飛んだ気の弱そうなスーツを着た眼鏡の男が無事ならば、の話だが。
草間は、例の植物専門店、と言う単語を聞いてびくりと肩を跳ねさせ、ぎぎぎ…とぎこちなく振り返る。
「そ、そこって…まさか…」
「多分草間の予想通りv」
にっこりと希望が言い放った瞬間、バァンッ!と希望が来訪した時よりも大きな音を立てて扉が開かれた。
「く、くくくく草間さぁ―――んっ!!!!」
今にも泣きそうな顔をした薄幸の文学青年風な美男子は、例の植物専門店…もとい「プラントショップ『まきえ』」の一人息子、山川・聡。
勢いよく草間の足元にスライディングしつつ土下座するというある意味高等な技を披露した彼は、ばっと顔をあげると実に情けない声で言葉を続けた。
「ど、どどどどうしましょ〜〜〜〜っ!」
「お、おい…落ち着け…せめて事情を話せ」
戸惑い気味ながらもきっちりと対応できる辺り、草間も大分こういうパターンに耐性が出来てきてる。
草間の言葉にはっとした聡は、ただでさえ情けない顔を一層歪ませて、大声で叫んだ。
「…母さんが作ったもみの木と門松が恋に落ちて、一緒に駆け落ちしちゃったんですぅ――――ッ!!!」
「「…………は?」」
これには草間も、勿論零も思わず一緒に間抜けな声をあげてしまった。
「…だはははははっ!!!
も、もみの木と門松が駆け落ち…ヤベ、超受ける…!!!!!」
希望は実に楽しそうな事態に遭遇したとばかりに爆笑していたが、こっちは例外。
「そ、そのですね。一週間くらい前に遡るんですけど…。
母さんが、クリスマスとお正月が近いから特殊なもみの木と門松を作ろうって張り切ってて…。
で、出来たのがあの二本なんですけど、その…温室で一緒に過ごしてるうちに恋に落ちちゃったらしくて…!
あ、で、でも僕達は反対なんてしてないんですよ!?むしろおめでとうって祝福してどんな子供が生まれるんだろうとか…!!」
後半から段々可笑しくなってきた気がする。異種族結婚ならぬ異種木結婚。
人じゃないんだから子供という表現すら正しいのかどうか…。
「それで、今まで大人しくしてたのに、今朝僕が鍵を開けたらいきなり飛び出してっちゃったんです…っ!!」
うっうっと泣き崩れる聡に、どうリアクションしていいやら困っている草間。
まだぷくく…と受けてる希望は対象外。
唯一復活した零が、聡に話し掛ける。
「えっと…温室で過ごしてる時に何か変なこととかはなかったんですか?」
その問いかけに聡ははっとして顔を上げた。
「そ、それが…門松の方が、蜜柑の木に言い寄られて…」
「結局もみの木と駆け落ちしてるんだから痴情のもつれの線はねぇだろ?」
希望の笑いながらの発言に、聡がはっとして顔を赤くする。
ぶっくくく…!!と更に笑いを深くした希望の頭を叩いて黙らせ、草間は呆れ気味に話し掛けた。
「…他には?」
「えっと…何か、『此処じゃ駄目だ』って言ってたって…ボブから聞きましたけど…」
―――ちょっとだけ間。
「……ボブって誰だ」
「え?えっと、おばけカボチャです。
ジャック・オ・ランタンみたいな姿してて、空も飛べるし、頭もいいんですよ?
喋れないけど字が書けるんですから!!」
母さんの自信作ですよ!と拳を握りながら言う聡に、草間は深々と溜息を吐いた。
「別にカボチャの話はどうでもいい。
…しかし…何が『駄目』だったんだか…気になるな…」
「はい…。多分、それが原因だと思うんですけど…」
でも、何が駄目なんだかはさっぱり…。
「他に手がかりは?」
「…ないです…」
しょぼんと肩を落とす聡に、役立たずだなコイツ…とひっそり思いつつ、草間は机に戻って電話に手を伸ばす。
「…もしもし?あぁ、俺だ。
そうだ…あぁ。そう言うわけだから、手伝ってくれ」
どうやら手伝いを要請するために知り合いに片っ端から電話をかけているようだ。
ぱぁっと顔を輝かせる聡と対照的に、希望は何だか面白くなってきたなぁ、と一人ほくそ笑む。
草間が数人に連絡をとり電話を切ったのを確認してから、希望は楽しそうに片手を上げてこう言った。
「俺、今回は傍観者に徹させてもらうから、頑張ってなvv」
「お前はいつもこれっぽっちも手伝わないだろうが」
草間からの睨みのオマケ付きの素早い切り替えしに、希望は実に楽しそうに笑みを深める。
「あ、そ、そうだ!
彼等の行った先には、千年生きてるって言われてる桜の木がある草野原と、大きな森に行く道がそれぞれあります!!」
思い出したように叫んだ聡だったが、聞いていたのは…零だけだった。
もうすぐ、手伝いとして呼び出された人々が到着するだろう。
…本当に手伝いにくるつもりの者だけが来たかどうかは、別として。
●ほのぼの風景(ぇ)●
「…はぁ」
「溜息を吐くと幸せが逃げるって言うわよ?武彦さん」
電話を切った後、深々と溜息を吐きながら椅子にどかっと座り込む草間に、シュライン・エマが苦笑しながら茶を出す。
「……あの店に関わった時点で幸せなんて既に遠い彼方だ」
「…否定も肯定も出来ないわね…」
茶を飲みながらぐったりと頭を抱えて呟く草間に、エマは困ったように笑う。
そのまま自分も座り、茶を一口飲みながら不思議そうに呟いた。
「…今回の場合、『駆け落ち』じゃなくて『逃走』もしくは『デート』と言う言葉が相応しいんじゃない?」
「俺が知るか」
「…そう、なんでしょうか…?」
「聡さんが駆け落ちって言ってるんですし、そういう事にしておきましょう?」
きっぱり切り捨てる草間、困ったように言う聡、にこやかに答える零。
三者三様の答えにエマは複雑な笑みを浮かべながら、茶をもう一口含んだ。
「まあ、何をするにも、まず皆の到着を待つのが先かしらね」
「みなもはすぐ来ると言っていた。霞波は少し遅れるだろうな。店の準備途中だったようだし。
愛華はあの店に寄ってから来ると言っていたから、遅れるだろう」
茶を飲みながら呆れ気味に話す草間に、エマは首を傾げる。
「みなもちゃんと霞波ちゃんは解るけど…愛華ちゃんはどうして?」
「さあな。俺は知らん。
ただ、『ボブ、ボブ…』とうわ言のように小声で呟いてたぞ」
「「「……」」」
何か病人みたいで怖いぞ、それ。
草間の言葉に苦笑気味に笑った3人は、まぁいいかとのんびりとお茶を飲み始める。
「あ、このお茶美味しい…」
「あら本当?この前取り寄せたお茶でね…」
「このお煎餅も美味しいですよ?」
「あ、どうも…」
「…俺にも煎餅」
「はいはい」
…なんだか、此処だけやけにほのぼのとした空気が流れているような…。
―――外で次々と人が跳ねられる音と悲鳴をBGMに、全員が揃うまで、このお茶会は続いたのだった。
●推理、そして追跡●
桜木・愛華とボブがドアをぶっ壊して突入してきたせいで一時的に混乱に陥った興信所だったが、エマの努力により、大混乱は何とか収束。
落ち着いた後、一同は一旦腰を落ち着けて話し合うことにした。
『…と言うワケで、拙者も詳しくは聞いておらぬのでござるよ』
愛華の能力によって一時的に喋れるようになったボブは、そう話を閉めた。
話してる間中、愛華がうっとりしていたのはオフレコ。
ボブ曰く、見回りの最中に偶然「此処は駄目」だと呟いているのを聞いただけで詳しくは知らない、とのこと。
「…じゃあ、行き先を予想することは出来ないの?」
『むぅ…拙者1人ではちと難しいでござるよ』
秋月・霞波の言葉に、ボブは困ったように言葉を返す。
「んー…草野原の桜さんに仲人頼む為、とか?」
『あそこの桜殿は少々ボケ始めてるのでそれはないと思うでござる』
エマの質問にボブはそう答えた。…ボケた桜…何か嫌だ。
「えっと…じゃあ、言い寄る…木?が多いから、お子さんを作る為に敢えて何もない高速道路を…とか?」
海原・みなもの首を傾げながらの質問に、ボブは頭部を横に振る。
『言い寄っていたのは蜜柑殿のみでござるし、あちらもからかっていただけらしいのだ』
…蜜柑、性格悪い…。と一同はこっそり思った。
「…とすると、残るのは森だけですけど…何か心辺りは?」
「え?…えーっと…」
零が今までずっと存在を忘れられていた聡に声をかけた。
急に話し掛けられるとは思っていなかった聡は、困り気味に考え込む。
「……そう言えば…」
暫く考え込んでいた聡だったが、ふと顔を上げ、口を開く。
「…確か、あの2人を採取した場所…だった筈、です…」
採取って言い方が微妙に引っかかるが、その言葉に一同は顔を見合わせた。
すると、ボブも何かを思い出したかのように喋り出す。
『そういえば、確か御二方は既に受粉を終えている筈でござる』
―――お前等、もっと早く思い出せ!!
聡とボブ(と愛華)以外の全員の心が、一瞬だけ1つになった。
「…と言う事は、『自分達の産まれた場所で子供を産みたいから逃げ出した』ってこと…?」
「……に、なりますね」
ぽつりと呟くエマの言葉に頷く霞波。
「…とりあえず、見守ることにしますか?」
零の言葉に一同は頷き、ゆっくりと腰を上げる。
「一応私達は追いかけるけど…武彦さんと零ちゃんはどうするの?
事務所で待機なら定期的に様子を伝えるけど」
「あ、私も行きます」
エマの問いかけに零は立ち上がるが、草間は動かない。
「…俺は遠慮する。報告もいらないからな。
……聞くだけで疲れそうだ」
「そう…」
大破したドアを眺めつつ既にぐったりしている草間の様子を見て、エマは思わず苦笑を漏らす。
「…そういえば」
草間を除く全員が大破したドアから出ようとした時、唐突に愛華が口を開いた。
「なに?どうかしたの?」
霞波が不思議そうに聞くと、愛華が聡とボブを見て、一言。
「――どっちがお嫁さんで、どっちがお婿さん?」
「「「「「…あ」」」」」
愛華・聡・ボブを除く全員が、その言葉に思わずボブと聡を見る。
『…もみの木殿が女子で、門松殿が男で御座るよ』
「判らなかったんですか?」
――――判るか!!
首を傾げる1人と1体の様子に、またもや全員の心の叫びが見事にハモるのだった。
●感動の…瞬間?●
例の2本の木は、草間興信所からそう離れていない所で水分不足で枯れかけていた。
まぁ、霞波の能力によって水分補給が行われて無事に済んだが。
そのまままた走り出す2本を必死に追いかけていた6人と1体は、木達が足(根)を止めたのと一緒に止まる。
追いかけるのに精一杯で気づかなかったが、改めて見るとこの森は冬にも関わらずやけに葉やら草花が茂っていた。
皆が立っている場所は開けていて、暗い森の中で唯一日が照らしている場所のようだ。
まるで森の広場のようだ、と全員が思った時、不意に頭上に大きな鳥のような影がかかった。
驚いて上を見上げると、空に漂う1つの影。
「…よっ。遅かったな?」
―――希望だ。
呑気なことを呟きながら、翠色の翼を羽ばたかせて宙を漂う希望に、みなもは思わず眉を顰めた。
「思ったより時間かかったって…どういう…」
ことですか、と言いかけた途中で、みなもがはっとして宙に浮かぶ希望を睨みつける。
「…希望さん…まさか、貴方最初から行き先を知って…?」
「もっちろん♪」
やや怒り気味のみなもに対して、希望は爽やかに微笑んで答えた。
「……」
「みなもちゃん、気持ちは解るけど抑えて!!」
無言で水の入った小瓶を取り出しかけたみなもを見、エマが慌てて止めに入る。
そんな様子をくつくつと喉の奥で笑いつつ空から見下ろしていた希望が、楽しそうに下方を指差す。
「俺を構うのも別にいいけど、そっち、放っておいていいのか?」
「「「「「え?」」」」」
全員が希望の指差した先を目で追うと、そこには蹲るもみの木とその近くで慌てている門松・聡・ボブの姿。
「ど、どどどどどうしよう…!!」
「え、ちょ、何がどうしたんですか!?」
派手に混乱状態に陥っている聡に、みなも・霞波・愛華・零の四人なんてうっかり雰囲気に飲まれて一緒に慌てている。
エマも危うく飲まれそうになったが、理性を総動員してボブに問いかける。
「ボブ、一体どうしたって言うの!?」
エマの問に、ボブは慌て気味に叫び返した。
『…も、もみの木殿が赤子を産まれるのでござるよっ!!』
―――間。
「「「「…ええぇぇえええっ!?!?」」」」
女性陣の叫びが見事にハモった。
「えーっと、こう言う時はあれです!ら、ら、ら…」
愛華があわあわと混乱気味に喋るがどうしても思い出せないらしく、一文字でどもる。
「…ラマーズ法?」
「そうそれ!ラバーズ法!!」
みなもの言葉に愛華がビシッとみなもを指差して叫ぶ。だが残念、一文字違い。
「ラマーズ法って、植物にも通じる訳…?」
「分かりませんけど、とにかく試してみましょう!!」
エマの問いに霞波がそう答え、もみの木の傍に座り込む。
それに習って他の面々ももみの木を囲むように座り込み、同時に息を吸って叫んだ。
「「「「「『ヒッヒッフー!ヒッヒッフー!!』」」」」」
数名の男女とデカカボチャと門松がもみの木を囲んでラマーズ法指導。
―――何て言うか、かなりシュールな光景だ。
上空から眺めている希望なんて思い切り爆笑してるし。
「「「「「『ヒッヒッフー!ヒッ…』」」」」」
既に何分過ぎただろうか。全員が必死に叫び続けていると、唐突にもみの木の動きが止まった。
どうしたのだろうと皆が見守る中、ぽこんっ、とコミカルな音が響いた。
「…産まれ…た…?」
落ち着いたように身体を上下させるもみの木を見ながら零が呆然と呟くと、はっとした聡が慌ててもみの木の下を覗き込む。
そしてぱっと顔を輝かせると、大声で叫んだ。
「うっ…産まれました!!元気な木です!!!」
木に元気もクソもあるものか。
―――って…『木』?
「ちょっと見せて!!」
エマを筆頭に女性陣が聡を押しのけてもみの木の下を覗き込む。
―――そして、固まった。
「…これ、本当に木…?」
みなもの意見もご尤も。
何せ、一同の目の前にいたのは、もみの木をベースにし、枝があるべき場所に竹が生えた…木?
なんだか既に生物の法則を無視している感がしてたまらない。…今更だけど。
困惑する女性陣を他所に、聡は「よかったですねー」と言いながらその子木を抱き上げて宙に掲げている。
わきゃわきゃと嬉しそうに枝…もとい竹を振り回す姿は、微笑ましい…気が…しなくも…ない、筈。
ふと横を見ると、何時の間にか地に降り立っていた希望が地に突っ伏して思い切り地面をバンバン叩いていた。相当ツボだったらしい。
―――こうして。逃げ出した2本の木の回収は、子木…もとい「もみ門松(命名・希望)」を出産すると言う形で収束した。
イマイチ納得出来ない者もいたようだが、まぁ、それはそれ。
そして数日後。
回収に参加した者達の元に、『結婚しました』と言う字に、ウェディングドレスを来たもみの木とタキシードを来た門松、可愛らしい子供用のミニドレスを来たもみ門松の写真が印刷された絵葉書がまきえ達から送られてきた。
ちなみに背後に十字架を下げたクリスマスツリーがあった所を見ると、どうやらそれが神父の役割をしたらしい。
…一応女だったんだ、もみ門松。とか、受け取った者達が思ったのは秘密だ。
――ちなみに。
その日、草間興信所で絵葉書片手にもどしそうなほど爆笑する希望と、絵葉書を見て嬉しそうに微笑む零、ついでに勘弁してくれと言いたげにぐったりと机に突っ伏した草間の姿が見られたそうだ。
終。
●●登場人物(この物語に登場した人物の一覧)●●
【0086/シュライン・エマ/女/26歳/翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員】
【0696/秋月・霞波/女/21歳/フラワーショップ(ノワ・ルーナ)店主】
【2155/桜木・愛華/女/17歳/高校生・ウェイトレス】
【1352/海原・みなも/女/13歳/中学生】
○○ライター通信○○
お待たせいたしました。異界第二弾、「走れ!駆け落ち樹木!!」をお届けします。
エマ様:前回に引き続き、こんな無茶苦茶な話に御参加頂いて有難う御座いました。
今回はNPC達との絡みを多めに入れてみましたが…如何でしょう?
まだまだ未熟ゆえ色々と至らないところもあると思いますが、楽しんでいただければ幸いです。
今回は全員ほぼ同じ文章となっています。でも、他の方にもそれぞれエピソードがあるので、見てみると面白いかもしれません。
それでは、またお会いできることを願って。
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