コミュニティトップへ
高峰心霊学研究所トップへ 最新レポート クリエーター別で見る 商品別一覧 ゲームノベル・ゲームコミックを見る 前のページへ

<東京怪談ウェブゲーム 神聖都学園>


音楽室の怪2:不思議なパイプオルガン

OP:またも音楽室で事件です。
響カスミは教員室で困った顔をしていた。
現在、改装工事が終了した第9音楽室にいきなり大きなパイプオルガンが姿を現したというのだ。
撤去しようにも大きすぎて業者もさじを投げている。
第9音楽室は、オーケストラ、コーラスが出来るほどのホールだ。
そろそろ年の瀬で、管弦楽器音楽部とコーラス部がベートーベン交響曲第9番を練習するところだ。
怪奇現象と思うと、寒気が走るカスミ。
「こわいわね〜ブルブル」
誰も、オルガンを弾くことは出来ず、見えない障壁が出来ているようだ。何かを待っているのだろうか?
「こういう事は、興味ある子に頼むしかないのかしら」
カスミは、オルガンは何か誰かのプレゼントと思いこんでおき、不思議事件を追い続ける瀬名雫と他の信頼出来る人を自分の音楽準備室に呼んだのであった。


1.それぞれの参加
海原みあおに一通のメールが届いた。雫からである。
「やっぱりあの噂〜パイプオルガンのこと〜は本当だったんだ!」
部外者でも、常に神聖都学園の怪奇、不思議な噂を調べているみあお。真実が濃いとなれば、勢いよく神聖都に向かうため、小鳥の姿に変身して警備員の上空を飛んでいった。大抵学校という所は関係者以外立ち入りを禁じている。それを考えてのことだろう。移動力の問題もある。急いでいきたい事も含め、学校が終わり次第すっ飛んできたのだ。あとはあまり人目の着かない所で元の姿に戻ればいい。既に彼女は不思議探検装備標準でびっしり固めている。
問題は制服だった。彼女が通っているところはかなり裕福な学校なのだ。流石にその格好で此処をうろつくことは問題があると判断したのだろう。購買部に向かっていった。
購買部と食堂は一緒になっているし、様々な科目、部活があるため、今でも人混みでいっぱいだ。ショッピングモールというのだろうか?何とか制服売り場までたどり着く。
そして誰かに代理購入して貰おうと呼び止めた人物が、
「あ、茜!」
「みあおちゃん!」
長谷茜偶然すぎる遭遇(?)だった。
茜に小学部の制服を買って貰う、みあおだった。

鹿沼デルフェスは雫の怪奇探検クラブに曰く付きの骨董品を搬入し帰りしなである。音楽準備室を通る途中で、滴とカスミの話を聞いた。
「あのパイプオルガンっておかしいのよね」
「そうですよね、センセ」
「弾こうと思っても見えない壁があるし…困ったわ。管弦学部やコーラス部も困っているし」
ため息を吐くカスミ。
「あたしたちが調べます!」
と、雫が胸を叩いて自信たっぷりに言った。
「わたくしもお手伝い致します」
にっこりいつもの鮮やかな振り袖姿の榊船亜真知が言う。
「そう言うと思って、既に許可は取っているから、音楽関係に詳しい人など宜しくね」
「は〜い」
そういう会話だった。
デルフェスが、ノックをして礼儀正しく挨拶をする。
「デルフェスさん」
「出来ればわたくしもお手伝いしたいのですが」
と申し出た。
「わたくしは、鑑識眼がお役に立てればと思いまして」
「ああ、大歓迎です」
雫より先に反応したのはカスミだった。
「実を言うと私、あのパイプオルガンが弾きたくて…」
力強く、デルファスの手を握るカスミ。流石音楽教諭、不思議現象より「オルガンを弾きたい欲」が勝ったようだ。

所変わって、第9音楽室。
既に事情を知り、まず下見をしているのは硝月倉菜だった。
「大掛かりで滅多に観ることが出来ないパイプオルガンがあるなんて!ああ、この学園に入って良かったわ♪」
パイプオルガンの優雅さに魅了されうっとりしており、今にも弾きたいオーラを醸し出している。小躍りしているにも見える。流石楽器職人であり演奏家故の性だろう。
しかし、弾きたくても見えない障壁がオルガンを阻んでいる。
「弾くのはもう少し後かしら、まず皆と合流してからにしよう♪」
と、おそらく最終的に皆が集まるであろう、カスミがいる音楽準備室に向かっていった。

食堂では、マンゴーネクター、メッコール、ルートビア等外国飲料を飲んで苦しんでいる奉丈遮那と織田義昭、そして御影蓮也だった。
「どうして、こういうつまらないことを…」
遮那が苦しそうに義昭に訊いた。
「好奇心というモノをはかってみたんだよ」
主犯は義昭のようだ。否、彼しかいない。
「おまえって…やっぱり変だ」
「うるさい、神聖都学園で販売されている飲料を調べるレポートって言うものがあるっていうから先に片付けようとしただけだ!!」
蓮也の言葉に文句を言う義昭。
―誰が出したんだ、誰が…?
「協力感謝。さて、この事は横に置いておき」
「おくんかよ!」
真剣な顔になる(メッコールを平気で飲んでいる)義昭に尽かさず突っ込みを入れる蓮也。
「まぁまぁ…。よっしーが暇人なのは分かりましたから。話とはパイプオルガンのことだよね?」
呆れている遮那が義昭に訊く。義昭はコクリと頷いた。
「暇人じゃないよ。俺も茜も呼ばれるし…なんか引っかかることというか、イヤーな予感もするからなぁ」
遠くの方を見る義昭。
「確か搬入するには…かなり大掛かりになるはず。もしかしたら空間を彷徨って…って考え過ぎかな?」
と遮那が口直しで水を飲みながら言った。
「まずは皆と合流しようぜ」
と、蓮也がいった。
「残った飲み物どうするんだ?」
義昭が訊く。確かに未開封の飲料がかなりの数がある。
「そんなもの、知るか!」
ごもっともな答えを出す蓮也だった。


2.捜査開始
準備室で皆が揃った。
パイプオルガンがいきなり現れることが不思議なのは確かであり、移動させるときは解体させるものだ。否、そもそも「その場所に固定」することが正しい。
位置的に、コーラスが立つ場所とオーケストラの位置の中央に建てられている。その場所は大きな壁があるため、見た目に問題はないし逆に相応しい。
業者の話を聞いてみれば、朝の作業開始時に既に建てられていたと言うことだ。本来なら別のモノが送られて来るというのだが。現れた瞬間を見た者は居ない。
「となると、空間を彷徨って此処にたどり着いたと言うのが濃いのかも」
と、遮那が言う。
「空間を彷徨うパイプオルガンですね。素敵ですわぁ」
「不思議だけどロマンあるわ」
亜真知は倉菜と一緒にうっとりとしている。
「でもおかしいよ?これ」
みあおは、工事前の設計図を調べて言った。確かに前の音楽室ではパイプオルガンが置く場所はない。偶然には出来すぎている。
「確かにそうだな」
蓮也は同意した。
「わたくしは一度、そのパイプオルガンを見たいのですが」
とデルフェスが言う。
「そだね、行こう行こう!」
雫がデルフェスの手を引っ張って、そして倉菜もわくわくしながら後に付いていく。珍しいのはカスミがニコニコとしていることだ。
「何か嫌な予感がするなぁ」
義昭はぽつりと言った。

第9音楽室を見た一部の者は息を飲む。
「これは凄い大きさだ」
あまり立ち入る事のない、遮那、蓮也、そしてみあおとデルファスはそう感嘆の声を上げる。
本当に此処で年の瀬コンサートを催すぐらいの広さなのだ。今でも管弦学部、コーラス部を呼び練習出来ないことはない。が、やはりパイプオルガンのことが気になり、別室での練習をしている。
「まず…何年製なのかを調べてみたいですわね」
デルファスはゆったりとした足取りで、舞台に向かった。
全長10メートル前後、幅6メートル、奥行き6メートル。円柱上に障壁があるため全部を触ることは出来ない。
「かなり古い事は分かります。おそらく15世紀それ以前のものかと。しかしこんな立派なパイプオルガンは見た事はないですわ」
とデルフェスもうっとりしている。
倉菜は、先ほど下見をしたときにこっそりミニチュアを作っていたのだが、
「これは…神器なのかな?コピーが完全成功していない…」
まるでオモチャのピアノのような(オルガンと異なるのだが)妙な音にしかならない。
ただ、彼方此方故障部分がある事は確かだった。それだけでも十分な情報である。
遮那と亜真知は、意思疎通をパイプオルガンに試みるが、何の返答も来なかった。意志はある様だが全く無視しているといった感じだ。
カスミと茜、蓮也は障壁をコンコン叩いている。
「誰かを待っているのかな?」
蓮也は言う。
皆もそう思っているようだ。
倉菜と、亜真知は同時に…
「音楽魔神(様)の所に行きませんか?」
と、言った。
すると、今までイスで見学していた義昭が青白いオーラを放って居る。
「アイツの仕業か!」
神格覚醒するほど、あの魔神の事が嫌いらしい。
「音楽魔神?」
知らないデルファスとカスミが訊いた。
「えっと…それ音楽が好きなのですが、とても音痴な人です」
と、遮那が魔神の事を「奇特な人物」と言う事で説明する。
もし、悪魔とか正直に話せば、あの悪夢がよみがえる。
「みあおは、此処で待っているね。あの人の歌声は聞きたくないから…」
と、苦笑するみあおだった。


3.魔神の地下聖堂?
倉菜と亜真知、雫、蓮也とカスミが嫌々ながら義昭という探査機を連れて音楽魔神の居場所を突き止めた。
場所は、学園の近くにある外国人墓地。カスミはリッチゲート(墓場の門)から5メートル離れたところで立ち止まる。
蓮也と探査機の後ろに隠れており震えているのだ。
「何故ココまで来るんですか?」
困った顔をする探査機。
「ほ、保護者同伴は、あ、当たり前です!」
そして更に彼女の言葉は続く。
「どうして、墓場なの?もしかして!?吸血鬼なの?」
もう口が震えてカスミが泣きながら訊いた。
この場所には遮那は居ない。理由は訊かない方が良い。
「義昭君と彼が会うと、喧嘩になりそうだから、亜真知さん達と行きますね」
「そうですね、悪い人じゃないですし」
「先生は来ない方が…いいよな、じゃ義昭そこで待っててくれよ」
と、倉菜と亜真知、蓮也が奥に入っていった。中央にある、石造りの小屋に向かって。
小屋の中は埃がいっぱいであり、蜘蛛の巣もびっしりという廃墟となっていた。
地下道に通じる階段がある。
「先生を連れてこなくて正解だったわ」
倉菜がホッとする。ここで蜘蛛の一匹でもあの人の肩に乗っかれば大騒ぎ間違いない。
階段を慎重に降りていくと、亜真知と倉菜が見た事のある棺桶を見つけた。
「アンデッドバンドの棺桶よ」
「そうですね」
流石にゾンビを起こすのは気が引けるので通過する。亜真知サマはティーセットを持っているからだ。
突き当たりに、立派なドアがあり、其処には
「魔神の地下聖堂:ノックされたし」
と看板が貼られている。
蓮也が慎重にノックすると、ドアが勝手に開いた。
其処には、作詞を熱心に考えているナイトキャップにパジャマ姿の魔神が居た。
一気に力抜けする一同。
しかし、パジャマ姿で魔神は何かを喋り始めた。
「おお!麗しき乙女達!
はるばる遙かなる地から
余に会いに来たこの喜び!
嬉しさのためにこの詩を捧げようぞ!」
何かの詩のようだ。作詩の質はどうか微妙だが、前に聞いた音痴加減よりかなりマシだった。
「お久しぶりです、魔神様」
と、にっこり微笑む亜真知。
「うんうん、よく来てくれた、2人とも。で、ところで其処のしみったれた小僧は誰だ?」
と、魔神は蓮也を見て訊いた。
「誰がしみったれた小僧だ!御影蓮也という立派な名前がある!」
怒る蓮也。
「友達ですわ」
倉菜が蓮也を宥め、亜真知が紹介する。
「あの、神格保持者よりマシか…あやつは余を見るといきなり斬りつけようとする。困った野蛮人だ」
魔神は指を鳴らすと、人数分の骨製イスと何で出来ているか分からない丸いテーブルが現れた。イスの足は人の足の骨であり、勝手に歩いている。
「余に何かようかね?」
と、未だにパジャマ姿の魔神が訊いてきた。
「えっとですね、第9音楽室に謎のパイプオルガンの事を聞きに来たのですけど」
と倉菜が我慢してイスに座って、事の顛末を話した。亜真知はティーセットの用意をしている。蓮也はイスと格闘していた。どうもイスは彼が座るのを拒んでいるようだ。
「余は其処まで暇な事はしないがのう…」
とあっさり否定する魔神。
「これはレプリカですが…見覚えは?」
と倉菜が、コピーしたパイプオルガンミニチュアを見せた。
「おお、世にも珍しい伝説の彷徨うオルガンではないか」
と、魔神が亜真知作スコーンを1つ食べ終わってから、答えた。
「知っているのですか?」
亜真知が訊いた。
「余は音楽魔神なるぞ?呪いの品や神器、さて又異世界の楽器、歌などは知っておる。…確かにアレに障壁があっても仕方なかろう」
「どういう事です?」
「過去は障壁がないと聞いた。しかしこのパイプオルガンは人を魅了して、人生を成功させるか破滅させるという厄介なものなのだ。しかも、一度奏でたとたん、又どこかに彷徨うと言う迷惑なものでな。其れを憂いた別の音楽を司る神が、アレが空間を彷徨っているときキーコード〜つまりアレを本番に弾くための楽譜だな〜を持たない者には一切触らせないと言う改造を施したのだ」
「壊れているのは?」
と訊く倉菜。
「アレは元々そう言うもので、多少の微調整は出来るだろうが修理は神格保持者も、もちろん余にも不可能だ。しかしキーコードさえあれば其れを気にする事はない。見た目だけと思えばよい」
「そうなのですか」
亜真知と倉菜は彼の話を聞いて納得した。
「一寸持ってくれ…余が一度旅に出たとき偶然手に入れたモノが…」
と、棺桶の中を漁る魔神。
「おお、これだ、これだ。これが、あのオルガンを動かせるキーコード、ベートーベン交響曲第9の楽譜ぞ。持って行くが良い」
「ありがとうございます」
2人は一礼して、振り返ると、未だに足蹴を喰らっている蓮也を見て苦笑していた。
「このイスの分際で!いで!いていて!やめろー」
どうも、この魔神、女性には優しいが男にはとことん愛想が悪いらしい。


4.封印の解かれたオルガン、演奏したいひとと一悶着
倉菜が持ってきた楽譜はオルガンの障壁とオルガンに共鳴している。倉菜が勇気を持って障壁を通り抜けようとする。何か小さく硝子が割れる様な音と共に古ぼけたパイプオルガンがまるで天からの贈り物様な神々しい気を発した。
「すごい…」
皆その言葉しか出ない。
暫くするとその気の発散もおさまり。誰でも鍵盤まで行く事が出来るようになった。
楽譜と言っても、しっかり微調整をしないととんでも無い目に遭うという魔神の言葉から、倉菜とカスミが必死に調整をする。楽器に対して疎い人は側で見ているだけだった。
デルフェスだけ、カスミと倉菜が危険な状態にならないよう護衛をしている。
探知機扱いの義昭はふて腐れており、茜や雫に宥められている。
蓮也と言ったら、骨イスに着られた箇所がいたいので、保健室で治療して貰っていた。
遮那とみあおは管弦学部とコーラス部を呼びに行っている。亜真知は、メッコールを飲んで微調整の完成を待っていた。
一通りの、準備が終わり、怖がりながら参加してきた部の人間も集まった。
しかし、
「さて、このパイプオルガンを演奏したい人って…どれだけいるのかしら?手をあげてくれませんか?」
と倉菜が言うと、管弦学部のピアノやオルガン担当の部員数名、カスミ、亜真知…そして倉菜が手をあげた。合計14人。
「また14?」
みあおが何故この事件に関わると14と言う数字が気になって仕方ない。
「気にしちゃダメだよ、みあおちゃん…」
義昭が首を振った。
デルフェスはカスミを支持するが、既に決まっている人の事も考えると、どうするか迷う。カスミであれば全て丸く収まる雰囲気ではない。
「ヒョッとして、オルガンに魅了されているのでしょうか?」
「そうですね…」
デルファスと義昭、遮那はヒシヒシと伝わるオルガンの魔力を確認していた。
「亜真知ちゃんは自分の意志のようですけどね」
義昭は付け加える。
「言い争いになる前に何か良い方法は無いでしょうか?」
困った顔をするデルフェス。遮那も義昭も雫も考えた。
治療を終えてやってきた蓮也も一緒に考える。
「まだあの飲み物残っているんだろ?アレの飲み比べでどうだろ?」
「あーいいねー」
義昭はにっこりと笑うが、遮那はいぶかしむ。
「楽しんで無いかい?」
「くじ引きと思えばいいんだよ。こう言うときは談三者の意見が有効さ♪」
義昭と蓮也は残った外国産ジュースで比較的飲みやすいルートビア13本と甘すぎるネクター1つを集めて、中が見えない様にしたコップを14個作った。
「皆さん、このジュースでくじを引きましょう。ネクターが当たりです」
と、念のためにビニールシートをひいた、場所での
「飲み物を粗末には」
カスミが注意するも、
「粗末じゃないですよ、多分俺と同じ学年は学食レポ未だじゃないかと思ったし」
其れを聞いて、一部の希望者は胸に矢がグサリと突き刺さったようだ。
―未だなのね☆(よっしーの心の声)
結果…皆の一言、
「な、何!この甘さは!?何かコーラではないけど…奇妙な…」
ただ、倉菜だけ何も言わずに飲んでいる。
「まさか、こんな頃でこんな濃いネクターを飲めるなんて…ね」
少し甘すぎだね、と言う顔をしながらにっこりしていた。
亜真知は、世にも珍しい飲み物に興味をうつってしまったようだ。
(かなり納得の行かない)くじ引きだったが、倉菜が試演奏する。
この世のモノとは思えない美しい音色だ。音楽家と楽器職人の両親を持つ彼女にとって、これほど至福な事はない。
試演奏が終わったとき、皆はその音色に魅了された顔をしていた。
「大丈夫のようです。でも本番までは気を付けて下さい。いきなり消えるそうですから」
「は?ハァ…」
倉菜の言葉にカスミは只頷くだけだった。
「年末演奏に向けて頑張ってね」
と優しくパイプオルガンに語りかけた。
みあおは、その一部始終を写真に収め続けていた。


Ending
そして、練習は第9音楽室で行われ、年の瀬コンサートが無事に開かれる事となる。もちろん怪奇探検クラブとその協力者も特等席で聞く事になった。もしもの為である。
無事コンサートは終わり幕が閉じた。
急いで雫達はオルガンの方に向かう。
「大変よ!オルガンが!」
とカスミが慌てている。
舞台には有ったはずのパイプオルガンは、キーコードと共に姿を消したのだ。
「旅だったのね…」
と少し寂しく呟く倉菜。
「又どこかで会えるさ、その時のために又キーコードを探すのも良いだろうし」
オルガンが居座っていた所に、義昭が立った。
「あ、そうでもないようだ」
彼は地面に何かを見つけ、其れを倉菜に向かって何かを投げた。不思議な形をした紋章だった。あのパイプオルガンの紋。魔力からして「キーコード」の役割を持っているようだ。
其れを眺める亜真知と雫とみあお。
「じゃ、何か大きなコンサートが行われるなら…」
「又会えるんのね、彼に」
其れはいつ頃か分からない。しかし、きっと現れるのだろう。

―待っているからね。


□■■■■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
□■■■■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
【0506 奉丈・遮那 17 男 高校生・占い師】
【1415 海原・みあお 13 女 小学生】
【1593 榊船・亜真知 999 女 超高位次元知的生命体・・・神さま!?】
【2181 鹿沼・デルフェス 463 女 アンティークショップの店員】
【2194 硝月・倉菜 17 女 女子高生兼楽器職人】
【2276 御影・蓮也 18 男 高校生 概念操者】

□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
■         ライター通信          ■
□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
滝照直樹です
『音楽室の怪2:不思議なパイプオルガン』に参加していただきありがとうございます。今回は如何でしたでしょうか?パイプオルガンを使った第9が本当に有ればいいなぁと思っています。
実は音楽ネタで、此のパイプオルガンを使いたくて溜まらなかったものでした。何とか今年中にお届けする事が出来て良かったです。

又機会が有れば、お会いしましょう。

滝照直樹拝