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<東京怪談ウェブゲーム 草間興信所>


雪が降る前に

【0】
 唐突に訪れる師走の寒さ。すっかり季節は秋から冬に変わり、空はどんよりとした雲が覆う。
 草間武彦は、事務所の中でガンガンに暖房を効かせながら、外の寒さとは無縁の温もりを満喫していた。
「お兄さん、こんなに暖房を使っては電気代が」
 彼の妹、零の苦言にも草間は気にする様子はない。
「いいんだよ。久々の報酬が入ったんだから、今はこの幸せを味あわせてくれ」
 依頼を解決しての報酬。
 ささやかな幸せに満喫する彼だが、そう言うときに限って災いは降ってわいてくるもの。長年怪奇探偵と呼ばれ、そういうものを熟知していた筈の彼も、今はその事をすっかり失念していた。
 ふと。
 それまで暖かかった室内の気温が急に下がったかのようだ。まるで暖房が切れたかのように。
「おい、零。なにも暖房切らなくても」
「え? 私、別に切ってませんよ?」
「おいおい」
 そんな嘘付くな、と言いかけて武彦は口を閉ざした。確かに零の言うとおり、暖房は切れていない。
 だが、室内はまるで外にいるかのようにどんどん空気が冷えてくる。

 ――まさか?

 その予感は的中し、ドアが唐突に開かれる。
「草間さん、いる?」
 飛び込んできたのは、十歳前後の幼い少年。随分と久し振りに見るその顔に、草間は見覚えがあった。
「次郎か?」
 成る程。急に寒くなるワケだ。
 なにせ目の前の子供は、人間と雪女と間に産まれた子供。この寒空の下で、半袖半ズボンであろうと平気で歩き回れるのだ。
「…で、なんの用だ?」
「あのさ、ちょっと頼みがあるんだけど」
 ちょっとはにかんだ笑みに草間はどこかホッとなる。以前の彼は、その幼い容貌に似合わず大人びた諦めにも似た顔しかしなかったから。
 おそらく長年求めていた兄と出会った事で、心の仕えが多少なりとも取れたのだろう。それがあるからこそ、草間もこの少年からの依頼はなんとなく断りづらいものがあった。
「俺、ちょっとここを離れなきゃなんなくってさ。その間、兄ちゃんの事護って欲しいんだ」
「護る?」
「うん。最近俺の周りが騒がしくってさ。よく狙われるんだ。で、俺を狙ってる分にはいいんだけど、どうも最近兄ちゃんにも目を付けたらしくて……」
 不意に顔色が沈む。
 が、すぐに気を取り直し。
「それで、その辺を調べにちょっと俺がいなくなる間、兄ちゃんの事護って欲しいんだ。……出来れば俺の事は内緒でさ」
 浮かべる苦笑。それは淋しさが同居する印象。
 草間はしょうがない、とばかりに優しく次郎の頭を撫でた。
「わかった。俺の知り合いに頼んでやるよ」
「ありがと」
 その言葉だけを残し、少年は入ってきた時と同じように慌ただしく飛び出していった。
 やがて室内が暖かさを取り戻してきたところで、草間は受話器を手に取った。
「――ああ、俺だ。ちょっと頼まれてくれないか。……そう、護衛だ。それと、もう一件。ある子供の周辺で起きてるコトに関しての調査も――」


【1】集う能力者達
 カタン、と机の上にコーヒーが置かれる。淹れたてらしく湯気が立つのを、草間武彦はぼんやりと眺めていた。
「もう、武彦さん。どうしてあの子を引き止めておかなかったの?」
 人数分のコーヒーを机に置きながら、シュライン・エマが少し眼差しをきつくする。
 それに対して、草間は苦笑とも困惑ともつかない笑みを浮かべるだけだ。肩を竦める仕種までして、ゼスチャーでアピールする。
「仕方ないだろ。あの坊や、文字通り風のように飛び出して行っちまったんだから」
「でも」
 なおも言い募ろうとする彼女。
 だが、それを草間は手を広げて目の前に出す事で押し止める。それ以上は言っても仕方がない、とでも言うように。
 もっともシュライン自身、その事を解っていただけに、それ以上言葉にするのをやめた。
 出されたコーヒーに一口つけ、橘姫貫太(きつき・かんた)が少し感慨深げに呟く。
「雪女絡みの依頼か……もうあれから一年か」
 以前、自分が関わった事件を思い出す。あの後の幾つかの経過を草間やシュラインから訊き、彼はなんとも言えないやるせなさを覚えた。
 繰り返される悲劇は、なんとしてでも食い止めなければいけない。
「そう、だな。以前の事を考えると、俺がそのお兄さんの方の護衛が適職だろうな」
 下法術師としての生業上、影に徹することは慣れている。
 兄という人物が、いくら生まれ変わりだろうと普通の人間として生活してる以上、無闇にこちらの世界に関わらせないほうがいいだろう。それがあの子――次郎の望みでもあるのなら。
「そうね。次郎くんも、自分のことは内緒にしたいみたいだし」
 軽く溜息をつきながら、シュラインも同意する。
「あの…一つ確認してもいいですか?」
 それまで黙って聞いていた綾和泉汐耶(あやいずみ・せきや)が、会話の中に割り入った。
「その、狙われているというのは人になんでしょうか? それとも同じ妖に?」
 それによって対処が違ってくる、と彼女は意見する。
 だが、それはシュラインの言葉であっさりと否定された。
「そうね。人である可能性もない、とは言えないけど…十中八九、同じ妖でしょうね」
「それはどういう」
「元々、次郎くんが狙われてたのよね。で、その連中があの子の弱点とも言えるお兄さんに目をつけた」
「確かあいつ、狂気に囚われた雪女の始末をするのが役目って言ってたよな」
 シュラインの言葉を引き継いだ草間の科白に、彼女は「ええ」と頷いた。
「それなら、始末されたくない雪女が相手と考えていいんじゃないかしら?」
 そこまで口にして、シュラインは別の考えが頭に浮かんだ。
 まさか、と思って否定しようと首を振るのを、汐耶がいかぶしげに訊ねた。
「シュラインさん?」
「え?」
「どうかしたんですか?」
「ううん、なんでも――」
 言い掛けたところを、長年の付き合いからか草間が言葉を促す。
「なんでもないって顔じゃあないな。何か思いついたのか?」
 その場全員の視線が彼女に集中する。その攻勢に耐え難かったのか、観念したようにさっき浮かんだ事を話し出した。
「もしかして次郎くん、その役目を放棄した為に同族から狙われてる、なんて思ったのよ」
 『約束の呪い』
 それはあまりにも残酷で無慈悲な能力。
 一度でも『約束』をかわしてしまえば、本人の意思とは無関係にかかってしまう呪い。ひとたび違えれば、いやがおうもなく発動する秘密の絶対厳守。
――いっそ雪女の長に掛け合って、その呪い自体をなくせればな……。
 以前、そんな事件に関わったシュラインと貫太、そしてその話を聞いた汐耶は、皆押し黙ってしまった。
 重苦しい沈黙が場を支配する。
 それを破ったのは、草間のあっけらかんとした声だった。
「ま、なんにしろあの坊やの兄貴を守るのが先決だな。なにが狙ってるにしろ、な」
「そ、そうね。じゃあ私はあの子のお兄さんの周辺を聞き込んでみるわ」
 次郎が警戒しているほどだ、きっと何かある筈だから。
 そうシュラインが告げた後、汐耶も静かに立ち上がった。
「私も手伝います。呪いに関しても、古い書物から何か分かるかもしれませんし」
「それなら一緒に行きましょうか」
 二人が席を立ってから、貫太は残っていたコーヒーを一息で飲み干した。
「俺は最初言ったとおり、護衛に回るな」
 そうして三人は、すぐに事務所を後にした。

 残された草間は、すっかり冷めたコーヒーを眺め、小さく息を吐いた。
 そして、ぽつりと一言。
「気をつけろよ」
 嫌な予感が、彼の脳裏に警鐘を鳴らす。


【2】日常風景に紛れる非日常
 閑静な住宅街。
 それが次郎の兄、氷室太一が住む場所の第一印象だった。
 サラリーマンの父、スーパーのパートで働く母、年老いた祖母。平均的な一般家庭であり、特別な何かがあるわけでもない。
「まあ、普通はそうよねぇ」
 手元の資料を見ながら、シュラインはそう呟く。
 いくら魂が雪女の子供であったとはいえ、彼自身、肉体的には普通の人間なのだ。
「確かに呪いについては、古い書物に書かれてありましたね。もっとも目新しいことではありませんでしたが」
 当てが外れ、汐耶は少々落胆していた。書物の付喪神に訊いてもみたのだが、彼ら兄弟の悲しい物語を教えられただけだった。
 ただ、一つだけ収穫があるとするならば。
「生死不明?」
「ええ」
 シュラインの問いに、汐耶は小さく頷く。
「彼らの物語――『雪女』ですが、そこに出てくる兄弟の母親である雪女は、まだ生きているかもしれません」
「どういうこと?」
「正確には、付喪神はこう言ったんです。『――死んだという話は聞かなかったのぉ』って」
 それはいったいどういう事だろう。
 付喪神とはいえ、仮にも神だ。無意味な事を言うとは思えない。
 あるいは、今回の出来事と何か関係があるのだろうか。
「『約束の呪い』の元凶になった雪女、ね……」
 唇に手を当てて、シュラインはしばし考え込む。
 パズルのピースは幾つかあれど、まだまだ全体を見るには足りない気がする。はたして、次郎は誰に狙われているというのだろうか。
「シュラインさん、あの子」
 汐耶が指差した先。ゆっくりと歩いてくる少年が目に入る。
 次郎とそっくりな面差し。
 見間違える筈もない、彼の兄・氷室太一だ。
 なるべく怪しまれないように――そうは言っても難しいが――少年に近付くと、ますはシュラインの方から声をかけた。
「あの、すいません。ちょっといいですか?」
 え、と顔を振り向かせ、太一少年はシュラインを見た。
 最初は怪訝な顔をしていたが、彼女がにっこりと笑いかけてやれば、少し頬を赤くする。仮にも美人二人が相手だ。少年とはいえ男である彼からすれば、ドキマギものだろう。
 傍に控える汐耶も、少年のそんな反応に思わず苦笑する。
「な、なんですか?」
「実は最近、この周辺で色々と事件が起きてること、ご存知よね」
「あ、はい。結構変な事件のことですよね。窓ガラスが急に割れたり、電柱が倒されたり」
 少年が口にしたのは、事前に収集していた情報どおりのもの。
「私達、それらの事件について調査しているんだけど、よかったら少し話聞かせてもらえるかな?」
 出来るだけ柔らかな口調で話しかける。警戒心を起こさせては元も子もない。
 だが、シュラインの言葉に少年は一瞬顔を強張らせる。ほんの僅かな間だったが、二人はそれを見逃さなかった。
――まずかったかしら?
 目に見えての動揺はなかったが、明らかに目がキョロキョロし始める。
「お、俺…何も知りませんから。話す事なんてなにもありません」
 早口でそう捲し立てると、彼は挨拶もそこそこにその場から立ち去っていった。
 その様子に声を挟むタイミングを失い、茫然と少年を見送るシュラインと汐耶。先に口を開いたのは、汐耶の方だ。
「何か……知っているのかしら?」
「そうね。周辺で起きる出来事について、何か感づいているのかもしれないわ」
 浮かんだ疑問。
 彼は何かを隠している。
 最近、周囲で起きる出来事について何かを知っている――そんな反応だった。
「とにかく、これ以上は接近出来ないわね」
「ええ。後は彼に任せて、私達は別方面から調べてみましょう」
 そう告げた汐耶の視線は、ある一点を見つめている。
 何の変哲もない、ただの電柱の影。別に何がいるわけでもない。
 だが、確かにそこに誰かがいるのを、気配に聡い彼女は敏感に察していた。軽く一瞥だけ向けて、そのまま少年とは反対方向へと歩き出す。
 仕方ない、とでも言いたげな溜息を吐き、シュラインは足早に汐耶の後を追った。


【3】闇より来たりて
 通り過ぎる二人をそのままやり過ごす。
 まさか気付かれるとは思っていなかったが、草間探偵所に集まる面々なればこそと思い、ひとまずは溜飲を下げる。
 貫太の使う呪符は、そこに書かれる文字――自らの血を媒介にした――により様々な効果を生む。それは貫太自身の呪力に他ならない。
 その力を使って、今は穏形の呪をその身に纏っている。
 そして、太一少年の後をつける形で護衛をしているのだが……。

 ――妙だな。
 最初に感じた違和感は、それ。
 彼の後を付けていて気付いたことなのだが、彼の通った道は、通常に比べて異様に雑魚霊が多いのだ。まるで何かに引き寄せられるかの如く。
 おかげで何体かの霊が騒ぎを起こすのを、貫太は潜んだ影から呪符の炎で灼き続けた。さすがに数が多い時は、自らの内に抱える式鬼――冥に一息で喰わせたりもした。
 ――氷室君自身に、何か秘密があるんだろうか?
 考えてはみるものの、材料が少なすぎる。
 せめて他の連中が集めた情報を持ち寄って考えるべきだ。
 それに。
 ――今の任務は、彼の護衛だ。
 何が彼を狙っていようと、自分はそれらを未然に防げばいいだけ。己の敵になる存在を容赦なく切り捨てればいいのだ。
 深く沈んだ陰の中、うっすらと口元が笑った事に貫太は気付かない。

 しばらくは何事もなく過ぎ。
 そして――それは、唐突に訪れた。

 ぞくり。
 悪寒が背中を走る。
 警鐘が早鐘のように脳裏に響く。
 貫太は、一度視線を氷室少年の方へ向けて、彼の位置を確認する。
 大丈夫、距離は遠い。これぐらいなら多少の物音は届かないだろう。後はどこまで隠密に行動が出来るかだけだ。
 そうして彼は、影から影へと走り抜けた。穏形の身で宙を跳ぶ。その視線の先に、異形なる闇を見つけた。
「……冥、ゆけ」
 ただ一言。
 告げた命令は、身内に巣くう式鬼に向けて。深淵なる闇色の翼が、貫太の目の前で大きく広がった。
 それは、ただ喰らう為だけに羽ばたき、飛行し――漂う闇を一飲みにした。
 あまりにもあっけない幕切れ。
 だが、貫太は警戒を緩めない。視界の端に少年の姿を留めながら、周囲を丹念に見回す。
 あれほどの気配が、いくら『冥』が相手とはいえ、そう簡単に終わる筈がない。眼に捕らえたのは、単なる目眩まし。おそらく本命は別の場所に違いない。
 呪符を両手に構え、張り詰めた大気を睨む。
 沈黙は、ほんの数秒。
 次の瞬間、貫太は大気の揺らぎを視界に捕らえた。
「そこか!」
 放たれた符は炎を巻いて宙を舞う。
「灼き尽くせ」
 闇が紅色に染まる。赤い舌に飲み込まれ、ジリジリと消失の運命を辿る。
 思わずホッと息をついた刹那、彼は気付く。
 それも囮であったことに。
「しまっ……!」
 背後に覆う闇。圧倒的な質量でもって、貫太を押し潰そうとしている。宿主の危機に式鬼が舞い戻ろうとする。
 だが、間に合わない。
 覚悟をした、次の瞬間。

 ――目の前に現れた巨大な黒い影。青い眼光が全てを見透かすようで、貫太は思わず唾を飲む。
 左右の手に、紋様の違う二つの大盾。翳されたそれに、迫る闇は一気に反発した。
 強烈なフラッシュ。
 反射的に腕で顔を覆った貫太の耳に、ただ一言だけが届いた。

『――深淵なる闇の皇を持つ者よ…主に感謝をする事ですね』

 やがて、周囲は一切を沈黙した。
 闇は消え、さっきの黒い影も姿を消している。
「……なんだったんだ、あれは」
 強張っていた体の緊張を解き、ゆっくりと息を吐く貫太。思わず地面に座り込んだ、その時、視界に誰かの足が入ってきた。
 ハッと顔を上げれば、驚愕した表情の氷室少年が、震えながらそこに立っていた。
 ――しまった!
「なに、あれ……ねえ、なんなんですか、あれ!」
 叫びながら、貫太の肩を強く掴む。
「なんなんですか、なんなんですか…あれが最近、俺の周りにいるものなんでしょう? あなた、何か知ってるんでしょう? ねぇ、教えて下さい。なんなんです、あれは!」
「ちょ、ちょっと待てって。おい落ち着け」
 徐々にパニックになる少年を、貫太はなんとか宥めようとするが一向に埒があかない。
 そうする間にも、彼の絶叫はますますエスカレートする。
「最近、なんか変だったんです。俺の周りばっかり変な事が起きるようになって……それで、なにか変な気配が後をついてきたりするし。こんなの、変ですよ! ねえ、あなたはアレがなんなのか、知ってるんでしょう? ねえ、教えて下さいよ、なんなんです…ぐっ!?」
 最終手段。
 貫太の拳が少年の腹にモロに入る。
 軽く呻き声を上げて、彼はそのまま気絶した。倒れかけた体を、貫太が下から支え上げた。ちょうど肩に担ぐような格好だ。
 ヤレヤレ、と大きな溜息が出た。
「さて、どうするかな」
 どうやら秘密裡に、という言葉は守れなかったようだ。


【4】凍える、時
「――それで連れて来ちまったって訳か」
「ああ。まさか、あのまま放っておくわけにもいかないだろ。少なくとも、彼はアレを見てしまったんだぜ」
 困惑気味の草間の言に、貫太は仕方ないだろ、といった顔をする。
 まあ、ある意味正論なのだが、依頼であった『秘密裡』が守れなかった事が、草間の中で引っ掛かっていたのだ。
「まあまあ、武彦さん。とりあえず、彼は守れたわけだし」
「そうですね。それに、彼自身…何か感づいていそうでしたから、遅かれ早かれ巻き込まれてたと思いますよ」
「まあ、そうだけどな〜」
 シュラインと汐耶、二人に言い立てられ、草間は少し肩身が狭い。
 慌てて話題を変えようと、何かを言いかけた所へ、不意に電話がなった。出鼻を挫かれたみたいだったが、とりあえず受話器を取る。
 そして――。

「? 武彦さん?」
「草間さん?」
「どうした、草間さん」
 受話器を手にしたまま、彼はその身を固まらせた。
 そのまま、文字通りに。
 ガタン、と受話器が手から滑り落ちた。無情な音を立てて。
「武彦さん!」
 シュラインが叫ぶ。慌てて駆け寄ってみたが、その体はまるで石のように固い。
 いったい何が起こったというのか。

 ――ただ、受話器からは風の音だけが聞こえていた。


【……続】


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■      登場人物(この物語に登場した人物の一覧)     ■
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【0086/シュライン・エマ/女/28/翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員】
【0720/橘姫・貫太  /男/19/『黒猫の寄り道』ウェイター兼外法術師】
【1449/綾和泉・汐耶/女/23/都立図書館司書】

【2319/F・カイス    /男/4/墓場をうろつくモノ・機械人形】

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■            ライター通信                  ■
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葉月十一です。
またしてもお待たせいたしました。申し訳ありませんでした。

今回、途中経過を二者に分ける形でお送りいたしました。如何だったでしょうか。
この話は後編へと続きます。
草間さんがどうなるのか。兄である太一を狙う正体とは。そして……な内容でお送りしたいと思います。
タイトルは『雪が降った後で』です。
もしお見かけしましたら、またご参加していただければ嬉しいです。

それでは、またの機会をお待ちしております^^)