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激走！ 開運招福初夢レース！？
〜 スターティンググリッド 〜
気がつくと、真っ白な部屋にいた。
床も、壁も、天井も白一色で、ドアはおろか、窓すらもない。
（ここはどこで、なぜ私はこのようなところにいるのでしょう？）
納得のいく答えを求めて、懸命に記憶をたどる。
その結果、導き出された答えは一つだった。
（ひょっとすると、これは夢なのでしょうか？）
自分の記憶は、ちょうど眠りについたところで途切れている。
だとすれば、これはきっと夢に違いない。
眠っている間に何者かにここへ運び込まれた、ということもありえなくはないが、それよりは、これが夢である可能性の方が高いだろう。
それにしても、なんとつまらない夢だろう。
何もない、だだっ広い真っ白な部屋に、自分ひとりぼっち。
しかも、ただの夢ならともかく、これが2004年の初夢だとは。
（目が覚めるまで、待つしかなさそうですね）
そう考えはじめた時、突然、どこからともなく声が響いてきた。
「お待たせいたしました！ ただいまより、新春恒例・開運招福初夢レースを開催いたします！！」
（『新春恒例・初夢レース』……？）
新春恒例と言われても、そんなレースは聞いたこともない。
不思議に思っている間にも、声はさらにこう続けた。
「ルールは簡単。誰よりも早く富士山の山頂にたどり着くことができれば優勝です。
そこに到達するまでのルート、手段等は全て自由。ライバルへの妨害もＯＫとします」
（なるほど。なかなか面白そうですね）
聞いているうちに、次第とそんな気持ちが強くなってくる。
なんでもありの夢の中で、なんでもありのレース大会。
考えようによっては、こんなに面白いことはない。
それに、どうせ全ては夢の中の出来事なのだ。
負けたところで、失うものがあるわけでもない。
もちろん、勝ったところで何が手に入るわけでもないのかもしれないが、楽しい夢が見られれば、それだけでもよしとすべきだろう。
「それでは、いよいよスタートとなります。
今から十秒後に周囲の壁が消滅いたしますので、参加者の皆様はそれを合図にスタートして下さい」
その言葉を最後に、声は沈黙し……それからぴったり十秒後、予告通りに、周囲の壁が突然消え去った。
かわりに、視界に飛び込んできたのは、ローラースケートやスポーツカー、モーターボートに小型飛行機などの様々な乗り物（？）と、馬、カバ、ラクダや巨大カタツムリなどの動物、そして乱雑に置かれた妨害用と思しき様々な物体。
想像を絶する事態に、なかば呆然としつつ遠くを見つめると……明らかにヤバそうなジャングルやら、七色に輝く湖やら、さかさまに浮かんでいる浮遊城などの不思議ゾーンの向こう側に、銭湯の壁にでも描かれているような、ド派手な「富士山」がそびえ立っていたのであった……。
……が。
「おぉ！ きっとこれが例の初夢なのですね！！」
ウォレス・グランブラッドにとっては、全てが明々白々であった。
日本の初夢に関する言い伝えはもちろんのこと、日本古来の書物等にも通じているウォレスには、ちゃんと思い当たることがあったのである。
「そうと決まれば、さっそく準備をしなければなりませんね」
そう言いながら、まずは妨害用の品々が置かれたコーナーへと向かい、一本の柳刃包丁を手に取る。
そして、続けてローラースケートなどが置かれている所へと向かい、そこからやや古い型の、インラインスケートではないローラースケートを選び出す。
「柳刃にローラースケート。これで完璧です！」
ウォレスは満足そうに頷くと、素早くローラースケートを履いて先を急いだ。
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〜 春はバケモノ？ 〜
葛城雪姫（かつらぎ・ゆき）は、鎧武者の乗ったサーフボードの後ろに正座したまま、見るともなしに周囲の景色を眺めていた。
相変わらず、サーフボードは地面の上をなんの問題もなく滑っている。
それどころか、鎧武者は相当サーフィンがうまいようで、凹凸のある地面や、木の根などの障害物があるところでも、悠々とすり抜けていっていた。
だが、よく考えてみると、鎧武者の生きていた時代にはサーフィンなど当然なかったわけで、どうして彼がここまでサーフィンに長けているのかは謎である。
しかし、そのテクニックのみならず、ポーズも妙に様になっている辺り、どこで経験を積んだかはさておき、相当の経験者であること自体は疑いようがない。
（本当に、一体どこで覚えたのでしょうか……）
雪姫がそんなことをぼんやりと考えていると、突然横合いの茂みを飛び越えて、赤い髑髏の面鎧をつけた別の鎧武者が現れ……突然、雪姫たちに向かって斬りつけてきた。
「危ないっ！」
そう叫んで、雪姫は思わず目をつぶった。
雪姫たちに、というより、サーフボード上の鎧武者に向かって斬りつけたのは、傀儡・天鏖丸（かいらい・てんおうまる）だった。
ここまでに巨大ドングリやらシャモジの妖怪やらを斬り捨ててきた彼女の目に、「サーフボードに乗った鎧武者」がそれらと同じ「障害物」に見えたのも無理はない。
むしろ、彼女にとっては、必殺のはずの今の一撃が防がれたことの方が大きな驚きだった。
「この妖刀・滅狂の一撃を受け止めるとは……」
『我が太刀は千人斬りの太刀・破軍。いかな妖刀にも負けはせぬ』
その鎧武者の一言が、彼女の驚きを怒りに変える。
「なら、その太刀ごと叩き斬ってやる！」
サーフボードの後ろに乗っている少女が何やらおろおろしているような気もするが、どうせ夢だし、気にするほどのことでもないだろう。
そう考えて、天鏖丸は走りながらその鎧武者と激しい立ち回りを繰り広げた。
鎧武者と天鏖丸が熾烈なるデッドヒート兼一騎討ちを行っているところに、幸か不幸かたまたま通りかかった人物がいた。
ウォレスである。
（なんと！ サムライ同士の戦いですか！）
生で見る鎧武者同士の大熱戦に、ウォレスは感嘆の息をついた。
だが、感心してばかりもいられない。
ウォレスの解釈では、このレースはおそらく「めでたいフジヤマ、鷹、茄子を賭けて戦うレース」であり、そのさなかにここまで激しい一騎討ちが繰り広げられているとなれば、その理由は「この二人もフジヤマ、鷹、茄子を狙っている」こと以外に考えられない。
（ということは、この二人もライバルということですね！）
そう結論づけると、ウォレスは早速この二人の戦いに割って入った。
「いざ、尋常に勝負です！」
鎧武者同士の戦いに、柳刃包丁を手にした外人紳士が乱入してくるのを目の当たりにして、雪姫は少し気が遠くなった。
これが夢なのかなんなのかはよくわからないが、彼女の頭脳はすでに周囲で起こっていることを理解することを拒否しはじめている。
けれども、それに負けて気絶などすれば、転げ落ちてもっと大変なことになりかねない。
（気をしっかりもたなきゃ……）
そう自分に言い聞かせながら、もう一度目の前を見つめる。
自分の守護霊はもちろん、新手の鎧武者も、周囲の状況等を考えず、単独で見れば、さして異様と言うほどでもない。
それよりも異様なのは、最後に割って入ってきた紳士――ウォレスであった。
「あ、あの……どうして、柳刃包丁を……？」
前の殺気だった二人が仕掛けるより早く、何とかそれだけ言葉を絞り出す。
ところが、帰ってきた答えは、なんともとんちんかんなものだった。
「これが平安時代の伝統ではないのですか？」
『は？』
そのあまりと言えばあまりな返答に、雪姫のみならず、前の鎧武者二人までが気の抜けたような声を出す。
すると、ウォレスは自信たっぷりにこう続けた。
「平安のベッピンさんのセイショーナゴンさんも言っておられるでしょう。
【春はバケモノ。やうやう白く輝く柳刃（包丁）。少し尖りて。八つ裂き抱きたる苦悶の、細くコマ轢きたる】と……」
それを聞いて、雪姫はますます気が遠くなり、うかつな質問をしてしまったことを後悔した。
そこに、さらにダメ押しの一言がくる。
「ちなみに、このローラースケートも、平安の伝統に間違いありません。
ムラサキシキブさんのゲンジ物語の主人公も履いていたみたいですからね」
（それ、全然違う……）
もはや、雪姫にも、鎧武者二人にも、そうツッコむ気力など残ってはいなかった。
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〜 水上の不思議たち 〜
ジャングルを抜けた先には、七色に輝く湖が待っていた。
湖は驚くほどに広く、迂回していてはかなりのタイムロスになること必至である。
（さて、どうしたものでしょうか）
柚品弧月（ゆしな・こげつ）が乗っているのは、現実世界でも愛車としているスティード４００ＶＣＬ。
当然、水上も水中も走行は不可能である。
ただし、それはあくまで現実世界での話であって、夢の中でまでそうとは限らない。
（まあ、どうせ夢ですし、やるだけやってみますか）
弧月はそう覚悟を決めると、一度湖から離れ、助走距離を取った。
（水の上でも、きっと走れるはずです）
自分に言い聞かせながら、全速力で湖に突っ込む。
すると、次の瞬間。
七色に輝く湖面を、彼のスティードは何の問題もなく走っていた。
あたかも、浅い水たまりの上でも走っているかのように。
（まさか、本当に走れるとは……さすがは常識の通じない世界ですね）
そんなことを考えた時、さらなる「常識はずれの出来事」が起こった。
なんと、サーフボードに乗った鎧武者と、ローラースケートを履いたウォレスが、後ろから追いついてきたのである。
サーフィンの方はもちろん、ローラースケートの方もしっかりと湖面を滑っている。
弧月が唖然としてその様子を眺めていると、ちょうどサーフボードの後ろにちょこんと正座していた雪姫と目が合った。
「あの、お先に失礼します」
ぺこりと頭を下げる彼女に、弧月も半ば反射的に会釈を返す。
すると、まるでそれを待っていたかのように、二人（三人？）は再びスピードを上げ、あっという間に弧月を抜き去っていった。
（いやはや、常識はずれと言うか、何と言うか……）
彼にできることは、黙ってその後ろ姿を見送ることだけだった。
（今、オートバイを追い抜きましたよね……水上で）
雪姫は、サーフボードの後ろでぼんやりとそんなことを考えていた。
今までの出来事に比べれば、水上を走るバイクくらい、もはや驚くには値しない。
隣を泳いでいるネッシーも、近くの岩陰で漫才をしているセイレーンも、あちこちに見えるクジラサイズのトビウオも、別に気にするほどのことでもなかった。
……が。
クジラサイズのトビウオが群れで飛び跳ねれば、当然、湖面には大きな波が立つ。
トビウオ自体はどうでもよくても、この波は大問題だった。
『姫！ しっかりお掴まり下され！』
鎧武者の言葉に、ぐっとボードの縁を握りしめる雪姫。
不規則に波立つ水面に、ボードが激しく揺れる。
鎧武者も懸命にバランスをとりながら前に進もうとしているが、さすがに四方八方から波が来る状況では勝手が違うらしく、ひっくり返らないようにしているのがやっとという感じでもある。
（オートバイで水上を走ることもできるのに、ここで落ちたら、やっぱり沈んでしまうんでしょうか？）
必死でボードにしがみつく雪姫の脳裏に、ふとそんな疑問が浮かんだ。
波に翻弄されているのは、ウォレスも同じだった。
全ての方向から押し寄せてくる波を、どうにかこうにかやりすごしていく。
しかし、ついに、避けようのない状態で、真正面に大きな波を迎えてしまった。
このままでは、確実に飲まれる。
（かくなる上は、一か八か、ですね）
半ば開き直りに近い心境で、ウォレスは波に向かって柳刃包丁を振るった。
ところが、その効果は、ウォレスの期待を遥かに上回っていた。
包丁の一振りは、正面の波を真っ二つにしたばかりか、その後ろの湖そのものを切り裂いていたのである。
湖水が左右に分かれ、その間には本来は湖底であったはずの平坦な地面がのぞいている。
（せっかく道を切り開いたのですし、ここを通っていくのもいいかも知れませんね）
ウォレスは一瞬そう考えたが、いつまでこの状態が続くかわからない上に、湖岸まではまだずいぶんと距離があることを考慮して、それを断念した。
その後、割けた湖水はすぐに元に戻り、ウォレスたちはさらに数分に渡ってこの波との戦いを余儀なくされたのであった。
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〜 鉄壁のゴール 〜
浮遊城を出ると、寡戒樹希（かかい・たつき）は全速力で富士山の頂上へと向かった。
例の虎がらみでさんざん時間をロスしてしまった以上、もはや一刻の猶予もならない。
（まあ、陸路の方も何事もないはずないし、きっとまだ誰もゴールしてないよね）
我ながら希望的な観測だと思いつつも、樹希はそうであることを信じてもいた。
山頂のゴールが彼女の視界に入ったのは、それからまもなくのことだった。
彼女の予想通り、まだそこには他の参加者の姿はない。
彼女の予想と違っていたのは、むしろゴールそのものの方だった。
そこには、確かにゴールがあった。
ゴールはゴールでも、サッカーのゴールを単純に数倍に引き延ばしたようなゴールが。
そして、ゴールの前には、当然の如くゴールキーパーが立ちふさがっていた。
某国代表ゴールキーパーのようなユニフォームを着た、巨大なゴリラである。
威風堂々、迫力満点。眼光鋭く、隙はまったく見当たらない。
これなら、ＰＫを止めることも、ニューヨークのビルによじのぼることもできるだろう。
とはいえ、樹希としても、今さら引き下がることなどできるはずもない。
（とりあえず、あのゴールキーパーをなんとかしないと）
彼女はそう考えると、一つの作戦を編み出した。
まずはゴール上空に移動し、キーパーの頭上を往復しながら茄子型手榴弾を次々と投下する。
これを繰り返せば、いかにあのゴリラが打たれ強くても、いつかはダウンするだろう。
（よし、完璧！）
樹希は一度大きく頷くと、早速作戦を実行に移した。
キーパーの頭上を飛びながら、立て続けにいくつかの茄子型手榴弾を投下する。
すると、キーパーはそれをお手玉の要領で器用に投げ返してきた。
（えっ！？）
予期せぬ事態に、樹希の反応が一瞬遅れる。
その一瞬の間に、茄子型手榴弾が目の前で次々と弾けた。
（……あ、紫色の人が飛んでいく……）
全身紫色に染まった樹希と鷹が飛んでいく……というより、飛ばされていくのを、雪姫はまるで他人事のように見つめていた。
きっと、紫色の人が飛んでいくことくらい、ここでは日常茶飯事なのだろう。
もはや、その程度のことでは全く驚かなくなっていた雪姫だったが、その直後に見えてきた「ゴール」と「ゴールキーパー」には、さすがにショックを受けた。
はたして、本当にあのゴールに入ることなどできるのだろうか。
もし、失敗して、あのゴリラにひっぱたかれでもしたら……？
『むぅ……申年だけに、最後は大猿の化け物か』
さしもの鎧武者も、若干及び腰になっているようにも思える。
その時だった。
「おお！ きっとあれがセイショーナゴンさんの言っていたバケモノなのですね！」
相変わらず勘違いしまくったことを言っているのはウォレスである。
「あれがそのバケモノなら、この柳刃で戦えば何とかなるはずです！」
そう一声叫ぶと、止める間もなくゴールに向かって突撃していくウォレス。
右へ、左へ、華麗にターンを決めて、キーパーを翻弄……しているつもりのようだが、キーパーは両手を広げたまま微動だにしようとはしない。
ウォレスはそれを横目で確認すると、そのままゴールの左下隅に……飛び込まずに、よりにもよってキーパーの方へ突撃した。
『なんと！？』
そのあまりに意外かつ無謀な行動に、鎧武者が驚きの声を上げる。
そのまま、ウォレスは柳刃包丁を振りかぶり……あっさり片手で払いのけられて、明後日の方へとふっ飛んでいってしまった。
続いて、キーパーは視線を雪姫たちの方に移し、再び両手を広げた構えに戻った。
『……姫。残念ながら、戦って勝てる相手とは思えませぬ』
不意に、鎧武者が弱気な言葉を口にする。
しかし、ここであきらめてくれるなら、雪姫はそれでもよかった。
むしろ、ウォレスに続こうなどと言い出された日には、本当に気を失っていたことだろう。
ところが、鎧武者にはゴールをあきらめる気はさらさらなかった。
『故に、我々は、あの大猿を避け、「ごおる」の右隅を狙いましょうぞ』
「や、やっぱり行くんですか？」
慌てて聞き返す雪姫に、鎧武者は振り返らずにこう答えた。
『ここまで来て、あきらめるわけには参りませぬ』
それと同時に、サーフボードが再び動き出す。
まずは、ウォレスと同じく、左右にターンを繰り返して相手の動揺を誘いつつ、ゴールとの間合いをつめる。
そして、ゴールまで後二十メートル位になった時。
鎧武者は、進路をゴールの右下隅にとって、一気にスピードを上げた。
それとほぼ同時に、キーパーが横に飛び、その大きな手がこちらに向かってくる。
ゴールが近づく。
キーパーの手も近づく。
（間に合って！）
祈るような気持ちで、雪姫は目を閉じた。
ものすごい衝撃が来たのは、それとほぼ同時だった。
どういうわけか、不思議と痛みはなかった。
痛みはなかったが、次に雪姫が目を開けた時には、世界がぐるぐるとものすごい勢いで回転していた。
（……落ちたら、やっぱり痛いんですよね……）
気が遠くなっていく中で、雪姫はふとそんなことを考えた。
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〜 そして 〜
キーパーにふっ飛ばされたウォレスが降り立ったのは、川のど真ん中でひなたぼっこをしていたカバとワニの中間のような生き物の背中だった。
夢の中だからか、あれだけ派手にふっ飛ばされたにもかかわらず、特に身体にも異常はなく、着地も十点満点で成功したため、すぐにレースに復帰することができ、結局、参加者二十人中六位でゴールすることができた。
ゴールに入った時、どこからともなく最初の声が聞こえてきた。
「本日は、当レースに御参加下さいまして、誠にありがとうございました。
本年が皆様にとって良い年となりますように……」
そして……ウォレスは、夢から覚めた。
目を覚ました後で、変わったことが一つだけあった。
家にあった包丁が、なぜか一本増えていたのである。
まさかと思ってウォレスがよく調べてみると、案の定、増えているのはやたらと切れ味のよさそうな柳刃包丁だった。
（バケモノは斬れませんでしたが、それでもお刺身を切る分には十分でしょう）
ウォレスは一度大きく頷くと、柳刃包丁を包丁立てに戻した。
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■ 登場人物（この物語に登場した人物の一覧） ■
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【整理番号 ／ ＰＣ名 ／ 性別 ／ 年齢 ／ 職業】
1537 ／ 綾和泉・匡乃 ／ 男性 ／ ２７ ／ 予備校講師
1582 ／ 柚品・弧月 ／ 男性 ／ ２２ ／ 大学生
1992 ／ 弓槻・蒲公英 ／ 女性 ／ ７ ／ 小学生
0086 ／ シュライン・エマ ／ 女性 ／ ２６ ／ 翻訳家＆幽霊作家＋時々草間興信所でバイト
0664 ／ 葛城・雪姫 ／ 女性 ／ １７ ／ 高校生
0526 ／ ウォレス・グランブラッド ／ 男性 ／ １５０ ／ 自称・英会話学校講師
2481 ／ 傀儡・天鏖丸 ／ 女性 ／ １０ ／ 遣糸傀儡
1692 ／ 寡戒・樹希 ／ 女性 ／ １６ ／ 高校生
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■ ライター通信 ■
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撓場秀武です。
この度は私の依頼にご参加下さいまして誠にありがとうございました。
新年最初だったせいか、はたまた「なんでもあり」を公言してしまったせいか、今回はいろんな意味で私の想像を遥かに超えたプレイングが集まりました。
私の側でも、それを活かせるよう、また、それに答えられるよう、昨年度のどのノベルよりも気合いを入れて書いたつもりなのですが……いかがでしょうか？
・このノベルの構成について
このノベルは全部で五つのパートで構成されております。
今回はオープニングも含めた全てのパートに複数パターンがありますので、もしよろしければ他の方のノベルにも目を通してみていただけると幸いです。
・個別通信（ウォレス・グランブラッド様）
今回はご参加ありがとうございました。
ウォレスさんの今回のプレイングには、感心すると同時に爆笑してしまいました。
あとは、そのエッセンスを無駄にせぬように頑張ってみたのですが……いかがでしたでしょうか？
もし何かありましたら、ご遠慮なくお知らせいただけると幸いです。
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