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<東京怪談ウェブゲーム 神聖都学園>


新入生ご案内:茂枝萌編

Opening:蔑ろの義昭と仲良しの茜と雫の会話
義昭「俺、織田…ぐあ!(何者かに蹴られて倒れる)
茜「はい、長谷茜と」
雫「瀬名雫でーす!」
義昭「俺の扱いずさんに…いえ、何でもないです…」

雫「噂は本当なの!転校生が来るんだって」
義昭「いあ、編入や転校なんてのはこの所多いから…ブハッ(ハリセン)」
茜「(ハリセンをしまって)中等部に来るそうよ。お約束の可愛い女の子だって」
雫「そーなの、茂枝萌ちゃんって言うんだって。同級生なの♪担任の先生からその子を案内して欲しいって事なの。そう言うわけで、一緒に案内して遊ぶ人募集でーす」

義昭「…(出番をとられたのか、あやかし荘に良くいる猫とナマモノと遊んでいる)」


1.どよめく校内と意外に冷静な義昭。
中等部の一部では、かなり可愛い女の子の登場で、生徒たちは騒いでいた(もちろん男子が)。
もちろん高等部でもある種の属性を持った男や女もチェックしているそうだ。
「ぶっちゃけ、護衛のような気がする」
屋上で都内の風景を眺める織田義昭が独り言。
この屋上からだと、かなりの範囲を一望出来る。
義昭は、茂枝萌がこの学校に編入する事を知っており数少ない、案内役の1人だ。
既にその話は高等部でも持ちきりで、下手に集団の中にいれば、あれやこれやと訊ねられるし妙な誤解を受けるので、エルハンドの使い魔(猫)を肩に乗せ、時間を待っているのだ。
冬なのにポカポカとした陽気で、眠たくなる。義昭は年がら年中眠たいので尚更だ。
「昼寝しようかな…呼び出されるまで」
と、欠伸をし、ふと校門を見ると…。
「あれ?あの女の子見たことが…」
黒シャツパンツに上着のショートカットの女の子を発見した。
他人のそら似?否、霊気の質が…。
「…噂を聞きつけたのか別件で来ているか。まぁいいか」
と、ベンチで寝そべる義昭だった。
「あ、あの人も来てる♪」
神聖都内全域、自分の霊視で、天薙撫子を発見していた。彼女は何か図書室で調べ物らしい。
猫は
「探知機扱いされても文句は言えないぞ」
といった顔をしている。
苦笑して猫の頭を撫でる義昭だった。


2.参加者
いつも怪奇探検クラブに品物を届けてくる鹿沼デルフェスと、来年度中等部に入る為に既に入寮手続きを済ましている結城二三矢が参加する。
各自、簡単な挨拶をすませた。二三矢とデルフェスの2人はそれほど神聖都を見回ってない為、実際わくわくしている。結局雫と茜が案内する事になるのだろう。
義昭が未だ来ないので、長谷茜はイライラしている。
「茜ちゃん、落ち着こう」
「遅刻厳禁なのに〜」
そして、1人の可愛い少女が制服で職員室から出てきた。
「茂枝萌です。皆さん宜しくお願いします」
と、礼儀正しく挨拶する。あまり表情はない。
彼女はデルフェスを見て、少し止まるが、何事もなかったように
「何処を案内して下さるのですか?」
と、茂枝萌は雫と茜に訊いた。
「はい、まずは中学校舎のエリアと大食堂・購買部、そして図書館や美術しつ、第14音楽室です」
「わかりました、案内お願いします」
となにか、愛想のない物静かな反応だった。

「おまたせしましたぁ〜」
と急いで走ってきた(?)のは、大曽根千春である。
「おそいよ〜千春ちゃん」
と、雫が苦笑している。
「万年春な中学生はしっかり時間守っているのに」
茜が二三矢をちらりと見ていう。
「だれが万年春って…俺のことですか?」
困った顔をする二三矢。
「ごめんなさぁい。あ、お久しぶりですぅ」
スローテンポであるが挨拶をする千春だが何かおかしい
「あの…」
萌が千春に声をかけた
「え?なんですか?」
「私は此処ですが壁に向かって何を?」
全く違う方向を向いて千春は誰かに挨拶していたのだ。
「すみません〜、丁度前の学園長の霊が通りかかりましてぇ。では改めて、初めまして高等部の大曽根千春です」
あたふたと(?)萌に謝る千春。
―大丈夫なのかなぁ
と、萌は思っていたが文句は言えない。何しろ此処はかなり巨大学校なため、自分でも訳が分からないからだ。

「考えてみれば案内する助っ人さんが千春さんで雫ちゃん、わたしとよしちゃんだね」
「うん。でも織田さん来ないなぁ」
「すまん、急いで降ってきた」
と、窓から身軽に織田義昭が校舎内に入ってくる。
「こら、降ってきたって…屋上で寝ていたな?」
と、茜が義昭を軽く小突いた。
デルフェスも萌もどこかで見た少年を見て驚いて、
「え…」
と、口に出すところ2人は慌てて止めた。
義昭はデルフェスと萌、二三矢のことは初対面なので、
「織田義昭といいます。宜しく」
―他人のそら似かもしくは
萌はうーんと唸っているようだ。


2.裏での話し
少し時間はさかのぼる。
義昭が遅れていたのは単に寝ていただけではない。
最初に屋上から眺めて見かけた、少女にやはり見覚えがあるから、付けていたのだ。
丁度、茂枝萌を遠くで見ている少女。そして、どこかで見たようだなとか言わんばかりの顔つきでうろうろしている。
「どっかでみたような、女の子やなー」
「そうなんだ?」
「顔はよう覚えられんが、しかし、あのけったいな服装は印象あるし…」
「今は神聖都の基本学生服だけどねぇ」
「うーん、確かめたくても、仮に織田さんが居ると…」
「いあ、俺は此処にいるんだけど」
「って、うわ!」
思いっきりずっこける少女。
「その声でわかった、つばさちゃんだ。やぁ」
と、義昭はコウモリのように、枝にぶら下がって少女の名前を呼んだ。
「織田さん!見ていたんかい!」
「屋上で発見してから気になったし。何か用事なの?」
身軽に木の上から降りてくる義昭。
「まあ、そう言うこっちゃ、本業の方は終わったけど、気になるのが…」
と、単に、茂枝萌が前の事件で知り合った人物に似ていると言うことを話した。IO2のことは触れず。
「そうか。正体を知りたいと」
頷く義昭。
「協力しようか?」
「ほんま?助かるわぁ。ってどうやって手伝ってくれるん?」
「君が望む通りにね。はっきりしたいのが性なんだろ?」
「それじゃ、本とか偶然落とすさかい、新入生にとらせる形でお願いできる?」
「分かった」
「他の連中にはバレない方が楽しそうだろうな」
と、又身軽に木を飛び跳ねて屋上に向かう義昭だった。
「あんたのその行動、派手すぎ」
と、つばさは呟いた。


3.遭遇の多い日です
中学校舎をみたあと、丁度昼前になった。
「これは願っても無いチャンスだ」
と義昭が腕を鳴らす。
「どういう事ですか?」
二三矢が訊く
「学食での総菜パンにはかなり人気があるメニューが多く決死のバトルが毎日繰り返されるんだ」
「へぇ〜そうなんですか」
「其処では先輩後輩、もちろん教師も無い。周りは皆敵で欲しいカツサンドと焼きそばパンを手に入れるんだ。今は閑散としているが嵐の前の静けさだよ。戦場になるのは後10分だ。死者も出る」
「え―っ!?」
「嘘だよ」
「もう驚かさないで下さい」
ほっとする二三矢。
「ちゃんと行列などは?」
今度は、萌が訊く。
「総菜パンの購入では順序よく待つ時間なんてないよ。昼休みに1分1秒を争うんだ」
と言って、義昭は先に購買から人気パンを購入し皆に渡す。
「今回は特別許可みたいなものだけどね」
そして軽く昼食を此処で済ます案が出たので、千春が
「此処が一番良いところですよ」
と日の当たるポカポカとした一角を案内した。
「放課後になると此処でお茶を飲んでゆっくりしているんですよぉ」
とにこやかに笑う千春。
彼女は此処でお茶のみ倶楽部を行っているので萌に是非来て欲しいとのことだった。
断る理由が思いつか無いので、頷く萌。
総菜パンは確かに美味しかった。なかなか普通の店では手に入らない味である。
あとは学食メニューや、その頼み方を教えて此処を出る。
「何故、急いでパン食にするのですか?」
と、帰国子女組でもある萌と二三矢は訊く。
「短い時間内を有意義に休むかも学生として重要なんだな。簡単な食事でも旨いものを食べて、そして昼に備えて寝るか遊ぶかだね」
「そうですか…大変なんですね」
と感心している2人。

デルフェスの希望通りに美術室に向かうとき、
「あ、撫子さん!」
と仲良し3人組は天薙撫子を発見した。
「こんにちは」
撫子は曰く付きの竜笛『緋龍』の調べ物のためにここに来たと言う。既にその調べ物は終わったと言うことだ。
義昭が
「一緒に新入生達の学校案内をしているので一緒に行きませんか?」
と、滅多に見せないにこやかな顔で誘う。
「ええ、喜んで義昭くん」
後ろで雫と茜が嫉妬の焔を燃やしているのは気にしていない2人。
「では、次に美術館に行きます〜」
のほほんとした義昭が案内する。

「義昭さんってあの方がお好きなようですねぇ…ってごめんなさいぃ」
茜と雫の視線は千春に向けられて、彼女は小さくなってしまった。


4.美術室で惚気話やら何やら
神聖都の美術館はやはりでかい。レプリカでもかなり手の込んだ名作が飾られている。時には本物もあるそうだ。もちろん曰く付きの恐ろしい作品や、呪物はトップシークレットであるため、どこかに封印されている。
芸術興味がない義昭は、ロビーで待っているという。20分は此処で自由行動とした。
大きいだけであり、迷子にはなることはないだろう。造りも至ってシンプルだ。
デルフェスが、萌を連れて歩いている。その後を千春と茜、雫、二三矢がいる。
萌と、茜は誰かが付けている気になって仕方ないが、多分暇で仕方ない義昭が付いてきているのだろうと勝手に判断する茜。萌も殺気はないから今のとこは気にせず、デルフェスの美術の蘊蓄を聞いている。
千春が良く美術室にいる「何か」に悪戯されてコケかけるところを二三矢は優しく助けてあげていた。
「ありがとうございますぅ」
こういった仕草に、茜や雫は
「二三矢君って優しいんだよね〜。彼女も幸せ者だね〜」
と、言われ、頬を染める二三矢。
「いえ、そんな事…」
と言いながら、2人の持ち上げで色々恋人との馴れ初めから事件まで話し始める二三矢だった。

萌とデルフェスは、他の連中が見えなくなる角あたりで、
「萌様は、あのヴィルトカッツェ様ですよね…」
と、いきなり訊ねる。
「…ええ、でも秘密にして下さい」
萌は沈んだ顔をして答える。
「大丈夫です。そうした約束ですから」
「助かります」
「学校内では普通に女の子をしていると言いかもですよ」
「普通に言われても…」
ずっと戦いの中を駆け抜けて来た少女に普通という概念はないだろう。
困った顔をする萌。
「友達が増えるじゃないですか。時期に慣れますよ」
母親のような笑顔で言うデルフェスだった。
「しかし、あの織田義昭って人…影斬に似ている」
「そうですね…でも力やその質が異なりますわ…どういう事なのでしょう?」
「…未来と過去…異界…そう言うことなのね」
と、萌は1人で納得した。

ロビーでは義昭と撫子がゆっくりしていた。
「個人個人で楽しんでいるようですね」
「俺たちはのんびりしていましょう」
と、此処のロビーでお茶と和菓子で帰りを待つ2人だった。
当然、茜の嫉妬のハリセンを喰らう事は大体予想は付くだろう。


5.またも遭遇(?)です。
このときに義昭と雫が過去、此処に面白い魔神が住んでいた事を話した。
今でも、たまに此処に居座っているそうだ。夜にだけだが。
角で、萌の目の前でが本が散らばっているのを見かける。
「あら…たいへん」
と、萌が本を拾い上げる。
皆も手伝おうとしたとき、萌はとっさに身を避けた。
「?」
「誰!」
少し転がって立ち上がり、何者かを睨み付ける。
「あちゃーしっぱいやぁー」
何か聞き覚えのある声。
「つばさちゃん?」
雫達が訊ねた。
「そやぁ」
「つばさ?つばささん?」
警戒を解いて、萌は驚いた。
「あなたは、神室川の」
「はいはいー皆さんすとーっぷ」
「皆さん落ち着いて」
と義昭と二三矢が間にはいる。
二三矢は萌の方に行き、デルフェスと共に怪我はないか確かめている。
義昭はつばさに申し訳ない顔をしてから、事情を説明した。
「他人のそら似でも、ま、つばさちゃんの性格上はっきりしたかったって事で」
「よしちゃん、結託してたのね…だから遅刻したんだ」
「人聞き悪いなぁ」
「バレていても良かったんだけど、つまらないからって」
「まぁそやけどな…前にあった人で良かったわ」
と、安心するつばさ
「良くないです!本当に他人だったらどうするつもりだったんですか!」
と、萌が怒鳴る。
「まあまあ、萌様、つばさ様も悪気がなかったんですから」
とデルフェスと撫子が間に入って宥めた。
「連絡ぐらいして欲しかったわぁ。仲間やったのに」
「うー」
と、何か有耶無耶だが、萌は色々知り合いが多いらしい。
「しかし織田さん、幾ら何でもこの本はないやろ。うちだって恥ずかしいわ」
と、実はつばさが態と落とした本は、同人誌のやおい本だった。
「俺や男が拾いにくいって言ったらそんなものだろう」
明後日の方向を向いて言う義昭。
「やおい本?」
首を傾げる萌。
「やおい本とはですねぇ〜」
「あ、知らない方が良いですよ…ええ、世の中では知っては行けない事もありますから」
二三矢は慌てて千春を止めて、萌にあたふたと何か言っていた。
それは中に恋人執筆の本もあったからだ。
彼は真剣だったので、萌はそれ以上のことは聞かず、手際よく本をまとめてつばさに渡した。
「連絡しなくてごねん」
「いや、ウチも悪戯が過ぎた。ゴメン」
と、仲直り。

この後も、案内は暫く続いて無事終了する。
デルフェスと撫子、つばさは萌とまだ話があるのだが、彼女の事情を知っているため今度にした。
「何かあったら宜しくお願いしますね」
「またなー。其処の織田さん悪い人じゃないからなぁ〜。天然やけど」
「誰が天然だ!」
「事実じゃない?」
茜の一言で落ち込む義昭。
「義昭くん、嘆かない」
と、義昭の頭を撫でる撫子。また茜の周りが熱くなる。
そのやりとりを見て、萌はクスリと笑った。
そして、各々が帰宅していった。


6.その後
普通に通学する茂枝萌。分からない事があればいつも雫と比較的暇している二三矢がフォローしてくれているのでそれなりに楽しい。しかし二三矢は義昭から聞いた嘘を鵜呑みにしており、萌と一緒に赤っ恥をかく(その後義昭は、大笑いしながら逃げる)。
又昼休みでは、義昭と茜の漫才をみて笑ったりと、何処でもいる少女になっていた。
只、萌が引っかかるのは、義昭のことだった。
「あれが、『彼』の過去の姿なのね…少し似ているけど違う…」
と、納得し一つ空を見上げる。
何時又、仕事をするための責任感が彼女を縛り付けていたのは確かだ。

学生寮。
二三矢は…かかって来た電話をとると…。
「二三矢の浮気者――――――――――!」
と、彼の恋人からの大声の電話で怒られていた。
「俺、浮気してないって!本当だって!」
と、あたふたする二三矢。
何とか説得できたが、しまいには特別な許可が下りなければ部外者は入ることが出来ない学生寮に押しかけてきそうな勢いの恋人だった。
大体何処でそんな話が為されているのか分からなかった。

End?

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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【0170 大曽根・千春 17 女 高校生】
【0328 天薙・撫子 18 女 大学生】
【1247 結城・二三矢 15 男 神聖都学園中等部学生】
【1466 大曽根・つばさ 13 女 中学生・退魔師】
【2181 鹿沼・デルフェス 463 女 アンティークショップの店員】

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■         ライター通信          ■
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滝照直樹です
『新入生のご案内:茂枝萌編』に参加して頂きありがとうございます。

楽しいプレイングありがとうございます。今回は如何でしたでしょうか?

結城二三矢さん。依頼調査での初参加ありがとうございます。

又機会が有れば、お会いしましょう。

滝照直樹拝