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<東京怪談ウェブゲーム アンティークショップ・レン>


青い剣を失った少女

●プロローグ

「教えてください! こちらに青い刃をした剣は持ち込まれませんでしたか」

 アンティークショップ・レンに飛び込んできたのは小柄な少女だった。
「倉庫でも漁ればあったとは思うけど、最近は見ないねえ」
「いえ、最近のものです。お願いします!」
 気だるそうに応じる店主の碧摩 蓮(へきま・れん)に対して彼女、鶴来理沙(つるぎ・りさ)は必死で懇願する。

 理沙の話によると、彼女の所持していた女神の宿る剣――『蒼色水晶の剣』が何者かに奪われてしまったというのだ。
 奇妙な見たこともない魔術――あれが魔術なのかも定かでないが――を使う怪しい一団に、不覚にも剣を略奪されてしまったという。
 剣の腕には自信があると自負してみせる理沙だが、一人では取り戻すどころか、男たちの素性もわからず見つけ出すことすら困難であり、藁をもすがる気持ちでこの店まで探しに来たのだ。
「このままでは悔しくて――私、死んでも死にきれません!」


●青い剣を失った少女

 ――アンティークショップ・レン。
 ――どこにあるとも知れない不思議なお店。

 奪われた蒼色水晶の剣を探しているという 鶴来 理沙(つるぎ・りさ) の協力者がここに集まっていた。
「ご助力、かたじけないです!」
 理沙がぺこりと頭をさげる。
「ご、ご助力?」
「かたじけない?」
 白いワンピースの小柄な少女にしては違和感のある言葉使いに 牧 鞘子(まき・さやこ) と 乃木 みさや(のぎ・−) は思わず顔を見合わせた。
「あ、いえ――ご協力ありがとうございます!」
「いや、そんなに拳握りしめて言い直さなくってもいいよ。あはは、あなた面白いねー」
 笑いながらみさやは理沙の背中をばんばん叩く。
「いたた、やめ」
 鞘子が首を傾げながら理沙に訊ねた。
「‥‥奪われた剣‥‥ですか‥‥その物の特徴などを詳しく教えてもらえませんか?」
 この間の人形がらみの依頼が終わったという報告にきただけの鞘子だったが、困っている子は放っておけない。
 鞘子の質問に、理沙は何かを思い出したようにプルプルと怒りを堪えて震えた。
「はい、蒼色水晶の剣‥‥誇り高き青‥‥澄んだ水のように深い青の刃をした、戦いの女神を宿らせし神聖にして不可侵の剣、です‥‥それを‥‥うぅっ」
「そうそう、女神の宿った剣! そりゃ是非とも手に入れた……じゃなくて! それは大変だわ」
「今、手に入れたいとか言いそうになりましたね! ね!!」
 涙目の理沙が俄然みさやに突っかかる。
 相当大切な剣みたいだ、と思わされてしまう勢いだ。
「からかわれては可哀想ですわ。理沙様にとっては心から大切なかけがえのない剣であることは、わたくしがよく存じておりますもの」
 にっこりとカウンターの奥から現われたのは、アンティークショップ・レンの店員である 鹿沼 デルフェス(かぬま・−) だった。
 ただいま、店主である 碧摩 蓮(へきま・れん) から店の留守を任されている彼女だが、理沙がアンティークショップ・レンに駆け込んできたときにデルフィスもその場に居合わせていたのだ。
「店員のわたくしは美術品の鑑定をしていた最中でしたから、懇願を全て聞いてしまいましたの。今でも必死そうにお願いされていた理沙様のお姿が忘れられなくて――」
「‥‥あ、あの時の姿は、忘れてください‥‥」
 理沙は真っ赤になって顔を振る。
「そりゃ、死んでも死にきれないわね――大丈夫! あたしが何とかしてみせる」
 理沙の手をがっしり力強くみさやは握りしめた。
「そして無事に戻った暁には、是非とも拝見させてね(にっこり)」
「‥‥うー。考えさせてください」
 デルフィスはあたたかい眼差しで理沙を見つめる。
「‥‥ここで会ったのも何かの縁、わたくしも蒼色水晶の剣を取り戻す協力をしますわ」
「はい、このご恩、末代まで決して忘れませぬ!」
「ご恩――」「末代」
「忘れませぬ‥‥?」
 今度は、戦闘用ゴーレムである W・1106(だぶりゅー・いちいちぜろろく) と W・1107 (だぶりゅー・いちいちぜろなな)がお互いに顔を見合わせ、お茶を飲んでいた大学生の 柚品 弧月(ゆしな・こげつ) もいぶかしむ。
 17才だという理沙にまたもや不釣合いな言葉‥‥。
「ああ、またっ」
「そう頭を抱えなくていいもいいでしょう。これでも飲んで落ち着いてください」
 弧月に差しだされたお茶を理沙は照れ隠しに受けとる。
 W・1106こと通称『バルガー』とW・1107こと通称『サーチ』は頼もしげに頷いた。
「俺たちは戦闘用ユニット‥‥その剣を奪った敵との遭遇戦には力を貸そう」
「戦闘準備、開始する」
「機械――ロボットというのですか? そういえば剣を奪った人たちも‥‥」
 弧月はサーチとバルカーを見てもらした理沙のつぶやきを聞き逃さない。
「知っていることがあるなら全て話した方がいいでしょう。調査に情報は必要ですから――思い当たったのは妖しい一団あたりについてですか」
「そうですね、印象だけでしか話せないけど‥‥。私も超常能力者のことは知っています。ですが、襲われた時に彼らと使い魔の使っていた魔術――術と呼べるのかさえ分からないあの技は、まさに異形の業でした」
 ‥‥魔術のような、機械のような‥‥。
「理沙さん、すまないがあなたの体験をサイコメトリーで読み取らせてもらえないですか。具体的なイメージとして状況を知りたいので――」
 頷いた理沙の肩にそっと触れる弧月。
 瞬間、閃光のようにイメージが瞬く。

 雨。雨の中で襲われている少女。
 理沙だ。黒衣の魔術師たち。奇妙な機械を身につけている。
 理沙を襲う青白い閃光。
 三つ首の獣。
 理沙は、今と雰囲気が違う? 不敵で荘厳な表情。
 なんだこれは。緑の瞳。青い剣で一刀両断される魔獣。子犬を庇って、巨大な狼に青い剣を奪われる。 緑の瞳が こちらを見つめる。 緑の瞳が。  瞳が  瞳が 瞳が 瞳が瞳が瞳が瞳が瞳が瞳が瞳が瞳が瞳が瞳が瞳が瞳が瞳が――――

 突然、弧月は理沙に突き飛ばされた。
「すみません、これくらいで――」
 理沙は疲れたように肩で息をしていた。
 弧月も得体の知れないプレッシャーで大量の汗をかいている。
「どうした‥‥異常か」
「いや、なんでも、ない‥‥」
 分かりましたと言いながら、弧月は今、自分の見た情景を思い出すと、断片的な印象を一つ一つ、敵の様子についてだけ的を絞り話していった。
 ――理沙さんについては、伏せておきましょう――。
 分からないことを話すのは避けるべきだと‥‥。
 紅茶を飲みながら鞘子が訊ねる。
「敵、つまり魔術師たちは初めから『剣』を狙っていたらしい、ということかしら。理沙ちゃん」
「ち、ちゃん?」
「どうかしましたか」
 照れながら理沙はしどろもどろだ。
「あ、いえ‥‥あまりちゃんなんて、呼ばれなれないから……ええと、それが自然だと思います。不覚にも、待ち伏せされていましたから――」
「あの、その蒼色水晶の剣についてもう少しだけお聞きしてもよろしいですか? 立ち入ったことかもしれませんが‥‥剣について分かれば、その一団の目的も分かるかもしれませんもの」
 おだやかに訊ねつつデルフィスは紅茶を淹れた。
「あ、それってあたしも聞きたい」
「そうですね。剣と女神について触りは知っておいてもらえると助かりますし」

 ――――蒼色水晶の剣に宿りし女神。
 異邦の地からやってきたという剣と戦いを司る女神だという。
 長年に渡り神性を帯びた蒼色水晶の剣の化身であり、以前は武器として人間に使われることで間接的に力を貸してきた女神だが、2年前から突然人間へと化身して活動するようになったという。
 私はその剣の守り手なのです、と理沙は言った。

「神として色々な奇跡と超常能力を操りはしますが、主に剣技による戦いを得意とした剣神なんです‥‥自分で言うと恥ずかしいですけど」
「なんで理沙さんが恥ずかしがるの?」
「あ! いいえ‥‥!」
 事件の全容が明らかになってきたが、W・1106にとっての問題は別にある。
「一つだけ言っておく‥‥もし略奪者が見つかったとしても、おまえは連れては行かない。足手まといは戦場に不要だ」
 仮にも理沙は剣を守ってきた剣術の腕があると主張する。
 だが、剣を失っては得意らしい剣術も意味がない。
「それは侮辱です――私だって戦えますから!」
 理沙は肩を震わせた。
 トントンと肩を叩かれ、振り返った理沙にみさやが得意げに胸をはっている。
「あたし、鍛冶師」
「な?」
「造ってあげるよ、剣」
「みさやさん‥‥うぅ、助かります‥‥!!」
「ま、そいつらが女神の力を狙ってなのか剣自体が目的なのかはどうかは、本人たちの口から直接聞くしかなさそうだけどねー」
「とりあえず、実物に関わるものはありませんか? 出来れば剣の銘とか写真とかあればいいのだけど‥‥狗法も使いやすくなりますし」
 たしかに、鞘子の狗法の一つ「透視」は情報が多いほど精度を増す。
 少しだけ考え、理沙は言った――。

「写真はないですが、剣の銘はリサイア――本来、蒼色水晶の剣自体には名がないので、剣に宿る女神その名前が、剣の銘にあたります」


●マシナーズ・ソーサリー 〜機械化されし魔術師たち

 目の前には郊外の廃屋。
 東京にもまだこんな場所があったのか、と思えるくらい周囲には人気がない。

「ここが剣のある場所ですか?」
「それは断言できませんが、でも強奪者たちがここにいることは間違いないです」
 鞘子の「透視」と弧月のサイコメトリー、そしてデルフィス、みさやの調査で絞り込まれた結果、ここに剣を奪った者たちの潜んでいる可能性が高い。
 鞘子の能力は、対象となるモノの特徴などを知ることでどの辺りにあるかを知ることができた。
 弧月も賊の残した物品からおおよその風景などの手掛かりを割り出す。
 これとデルフェスが蓮に頼んでチェックしてもらった一団の容姿や闇市に流れていた情報やみさやの刀や剣に詳しい知り合いの話を合わせて、割り出された場所がこの廃屋である。
「手がかりが少なすぎたんだけどねー。んー、でも剣って結構かさばるし、持ち歩いてたら目立つから。業界の一部で青い剣をくわえて走る狼っていう目撃例の噂があってね、それに関わる人たちがここに出入りしてるらしいの」
「蓮様からも情報も同じようなものです。しかし、不思議なことは青い剣自体が売り払われるといった話を聞かないことですわ。奪ったほうにも色々と事情がありそうですの‥‥」
 むー、と眉間にしわを寄せる理沙。
「うぅ、ヘンなのに目をつけられてたんですね‥‥」
「‥‥芸術品としての価値が高ければそれなりのルートに乗っている可能性もありえるのですが」
「それは我が剣に芸術性がないとの愚弄ですか!!」
 弧月のひとり言を理沙は聞き逃さない。
「いや、そういう訳ではなく――困りましたね、気に障ったなら謝罪しましょう」
 まあまあ、となだめながら鞘子が穏やかに言った。
「透視による探査でも、剣の反応はあいまいでいて不安定でした。場所もさまざまに移動していて。だから強奪者たちの居場所を中心に調べさせてもらったんです」
「静かにしろ素人ども、もう戦闘は始まっている」
 W・1106の言う通り、敵のアジトは目前にある。
 辺りは薄暗く陽も落ちかけている。
「そうですね。このまま突入しますか? それとも、もう少し待ちますか?」
「――待つ必要だけはなくなったようだ。来たぞ」
 W・1106の声に対してW・1107が即座に反応すると、即座に前方に攻撃照準を向けた。
「前方、敵性反応多数。強大な魔力を検知 ‥‥攻撃開始」
 爆炎の火柱と共に激しい土煙が上がった。
 デルフィスは迫り来るいくつもの影を確認した。黒衣のローブをまとい体のいくつもの箇所に金属光沢のプロテクターが覗き見える。
 彼らが理沙を襲った一団だ。
「あらあら、先手を取られてしまいましたわ。この場合はどういたしましょう?」
「反撃いたしてください!」
 戦いの場でもお姫様ドレスでおっとり微笑むデルフィスは理沙の怒鳴り声もなんのそのだ。
「話通り魔術師ですか――でしたら接近戦が正解でしょう!」
 『神聖銀手甲』を装着した弧月はこの混乱に乗じて距離を縮めようと一気にダッシュ。魔術師は5人――いける。
 間合いを詰めてまずは一人――と拳を打ち込もうとした弧月だが、対峙した魔術師の肩についたショルダー状の金属部が瞬時に変形し、可変アームとなり襲いかかる。とっさに銀手甲で弾いたが、一筋縄ではいきそうにない相手のようだ。
「ふふ、そうこなくては面白くないですね」
「油断なさらないで! 背後に何かいます!」
 鞘子は見た。
 爆炎が晴れ始めた煙の間、魔術師たちの後ろに立つ巨大な存在を――。

 巨大な使い魔――機械で出来た魔導人形。
 大きさは軽く5メートルはある。

「行け――これは俺たちの相手だ」
 破壊の鎚を持ち、剥き出しの機械と金属肉体が合成された醜い怪物へと向かったのは、W・1106とW・1107だ。
 W・1106――バルカーは大型高エネルギーライフル「ヒドラ」を解き放つ。凝縮された高エネルギーと機械化ゴーレムの装甲がぶつかり激しい火花が散った。
 ノーダメージではないとはいえ、あの高エネルギーに耐えているのだ。
「これに耐えるとは、かなりの耐久性能だな――」
「こいつを硬さだけの化け物だと思うか?」
 魔術師の一人が嘲笑すると、機械のゴーレムは巨体からは想像できない速さの移動力を見せる。
「くくく、どうだ! これこそ新しい我らが力! 貴様たちこそ、機械技術と古代魔道の高度なる融合を目指す我らに歯向う愚か者だ――!」
「高度な融合だと‥‥笑わせる」
「待っていて、私もいきますから!」
 風を思わせるような身軽さで理沙も参戦した。
 その手にはみさやから受けとった、彼女特製の日本刀が握られている。
「理沙さん! 無茶はいけませ――」
 止めようと手を伸ばした鞘子だが、理沙の動きに息を呑む。流石、剣の守り手を自負していただけあり、その動きはなめらかにして優雅で、そして無駄がない。
 弧月と背中あわせに理沙は刀を構える。
「理沙さんの強さは分かりました。だが、ここは戦場‥‥無理をしないでほしい」
「私は平気。それよりご自身を心配なされて――あの『冷たい光』がきます」
 理沙の声とそれは同時に来た。
 弧月がさっきまでいた空間を青白い光線が薙いでいく。
「‥‥ち、運がいいな。だがいつまで逃げられるかな」
「これは――魔力光を圧縮した光線ですか」
 魔術師の可変アームの先から放たれた、いわば魔術版レーザー光線。
「魔術かぁ。そっちは専門外だなー。呪術に使う法具とかなら知ってるけど、こんな武器は珍しいね。ま、あたしはハッキリ言って戦力外だから」
 キン。
 サポートを決め込んでいたみさやの背後からのアームの一撃が。
 手にした刀で受け止めるみさや。
「不意打ちはあんまり感心しないよ。‥‥それに、近くで見るとこの機械の腕、ちゃちな造りじゃない。焼きが足りないって」
 どうにかアームを弾き飛ばす。だがもう一方の残ったアームの照準がみさやを捉え、先端に光が凝縮された。やば‥‥、と思った瞬間、光線を発射しかけた腕が弾けとぶ。
「――大丈夫でしたか、間に合いました?」
「グッドタイミング。サンキュー鞘子さん、愛してるよー」
 狗法『飛翔』で身軽になった鞘子が狙いを定めて腕を振ると、そこから発生した真空の刃――カマイタチが的確に放たれる。
 狗法の一つ『風刃』だ。
 ――「狗法」とは仙道の一つで人が天狗になる修行法――この修行により天狗の能力を得ることができる。鞘子は基本的に五つの狗法を使うことができた。
「ここは私たちで食い止めます。行ってください、理沙ちゃん!」
「はい、お願いします!」
 理沙がひるがえった瞬間、そこには一人の敵が、魔術師がいた。可変アームの照準を理沙の額に固定する。
「まずい――」
 無理な姿勢で光条をよけた理沙は態勢を崩してしまい‥‥そこに、狙い済ましたようにゴーレムの巨大ハンマーが振り下ろされた。
 ギイィィィン。
「戦いの場では常に油断をせず、周囲の確認を怠ってはいけませんわ」
「――――いえ、私はいいけど、‥‥その」
 自分の盾になった影におそるおそる訊ねかける。
「そっちこそ、大丈夫?」
 理沙の代わりにハンマーを受けたデルフィスは、少しだけ地面にめり込みながら、何事もなかったように振りかえり、にっこり笑った。
 デルフィスは強固な身体を持つミスリルゴーレムなのだ。

「砲門解放、発射」

 破壊の鎚を振り下ろしきって動きの止まった機械の巨人をサーチの背面ミサイルユニット「リース」から放たれたいくつものミサイルが着弾した。
 爆炎の劫火に包まれるゴーレムへ向けて、バルガーによるトドメの一撃が直撃する。
 大型リニアレールガン「ビースト」
 轟音が空気を震わせながら鳴り響いた。
「――撃破確認」
「‥‥お前が戦場で戦うには、百年早かったな」
 炎に沈む巨人を呆然と見つめる魔術師に、弧月が背後から声をかける。
「さて、残るはあなただけだが‥‥まだ抵抗を試みますか」
 膝をついた魔術師は呆然と振りかえると――
 狂ったように笑い声を上げた。
「な、まさか!?」
 狂気の声を上げたまま、魔術師は頭から徐々に灰となって空気中に消えていく。倒れたはの魔術師や彼らの身につけていた機械、ゴーレムの残骸も同様だ。
「証拠隠滅、ですか‥‥ここまでやるなんて――」
 宙を舞う灰を見上げて、鞘子は言葉を失った。


●剣の女神 〜エピローグ
 廃屋の奥から肩を落として理沙が出てきた。
 蒼色水晶の剣どころか、施設の設備や資料など彼らがいた痕跡自体もあらかた消え去ってしまったというのだ。
 彼らの最後から容易に予想できたことではあるが。
「皆さん、こんな私に協力してくれてありがとうございました。剣は見つかったけれど、剣を奪った人たちは倒せたので満足です」
 ‥‥と、半分泣き顔でいわれても全然説得力がないのだが。
「そういえば肝心の剣の女神本人って、結局どこにいるんだろう?」
「あ、わ‥‥皆さん、夕食はまだですよね。今日はお礼を兼ねて手料理の作りますから、ご希望はありませんか」
「‥‥ねえ、あせっているみたいだけどさ、どうしたの?」
「あ、あせってなんていません! 全然!」

 こうして事件はささやかな夕食パーティーで幕を閉じた。
 料理を見てバンガーが一言。
「一つ聞くが、これは人間が食べられるように作られているのか?」
「うぅ‥‥精進します‥‥」
 とりあえず、料理の良し悪しは置いといて‥‥。




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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

【1582/柚品・弧月/男性/22歳/大学生/ゆしな・こげつ】
【2005/牧・鞘子/女性/19歳/人形師見習い兼拝み屋/まき・さやこ】
【2181/鹿沼・デルフェス/女性/463歳/アンティークショップ・レンの店員/かぬま・−】
【2411/乃木・みさや/女性/16歳/高校生・鍛冶師/のぎ・−】
【2407/W・1106/男性/446歳/戦闘用ゴーレム】
【2475/W・1107/男性/446歳/戦闘用ゴーレム】


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■         ライター通信          ■
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 こんにちは、初めまして。
 皆様を担当させていただきました雛川遊です。
 ライターとしての初執筆になりますが、楽しんでいただけたら嬉しいです。
 事件は伏線を残したまま解決となりましたが、とりあえず理沙から剣を奪った強奪者たちは無事退治できました。そのうち新しいシナリオで剣探し物を発表させて頂く予定ですので。
 今回の事件で明らかになった情報は、異界〜剣と翼の失われし詩篇〜のほうでも一部アップしていく予定です。興味をもたれた方はぜひ一度遊びに来てください。
 ‥‥にしても、剣の女神はどこにいるのでしょうか‥‥。

 それでは、あなたに剣と翼の導きがあらんことを祈りつつ。


>W・1106さん
 初めまして、ご参加ありがとうございました。
 戦争映画に出てくる兵士のようなイメージで執筆させて頂きましたが、いかがでしょうか?