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−雨の中の子犬−
●プロローグ
――――雨の中。
あなたは偶然、深く傷ついた子犬に出会った。
全身中をひどく傷つけられていて全てに怯え、誰にもなつかない子犬。
「痛ッ」
差しだされたあなたの手に対しても子犬は手負いにも関わらず必死で噛みついてきて、だからだったのかもしれない。
「春華さん、あの電柱の影――」
雨の降る中を海原 みなも(うなばら・みなも)に話しかけられた伍宮 春華(いつみや・はるか)は、促されて視線をあげる。
みなもの言う通り、誰かが道端でしゃがみこんでいた。鎌鼬の鈴森 鎮(すずもり・しず)だ。
鎮の前には、小さな子犬がいた。
傷だらけな身体で敵意の瞳を鎮に対して向けている。
「おめー、大丈夫か? その手、こいつに噛まれたみたいだけれど」
「俺よりも今はこのわんこを! 噛み付かれたのは痛いけど、こんなに怖がってるやつを見放せるもんか!」
みなもと春華はお互いに向きあい頷きあう。
「ここからだと草間興信所が近いですから、そこで手当をしちゃいませんか?」
●子犬が興信所にやってきた
みなもが興信所の扉を開けると、そこには草間興信所事務員のシュライン・エマ(−・−)の姿があった。
もはや興信所ではお馴染みの光景。
「いらっしゃい、みなもちゃん」
「あ、シュラインさん。こんにちは」
今日の興信所はシュライン以外に数名の来客があり事務所がいつもよりも手狭に感じられる。
シュラインは苦笑しつつ、鎮と春華の腕の中でおもいっきり暴れ回る子犬をペンで指さす。
「‥‥で、その後ろで騒がしくしているのはなに?」
「えっと、雨の中を傷だらけで、倒れてたんだけど――」
「だからってな、どうしてウチに連れて来るんだ?」
呆れたように怪奇探偵――と呼ぶと怒られてしまうらしいが――草間 武彦(くさま・たけひこ)は煙草をもみ消しながらデスクの資料に目を戻した。
彼なりに目をつぶるというOKサインのようだ。
「あー! 子犬だ!」
騒ぎに気づいて楠木 茉莉奈(くすのき・まりな)がまっさきに駆けよってくると、瞳をキラキラさせて春華をみあげる。
「ねえ、この子なでなでしていい?」
「気をつけろよ、噛まれるぞ。あ、そんな騒ぐなって! ますますこいつ暴れるじゃないか」
慌てる春華の言葉など気にせずに、茉莉奈はじーっと観察する。
「ひどく怯えてるんだね。‥‥ラッキー、ここは怖くないから暴れなくていいんだよ」
「待て、ラッキーってこいつ!?」
ラッキーもとい傷ついた子犬に引っかかれながら訊き返す春華に、みなもがうれしそうに手を打ってみせる。
「まあ、それはかわいい名前ですね」「ねー」
「あ、あのさ! 名前はいいからッ、今はこのわんこッ、大人しくできないかな!?」
爪で引っかかれて、鎮が傷だらけになりながら懇願してくる。未だに子犬が暴れているために抑えるだけで必死なのだ。
シュラインが濡れた身体を拭くためのタオルをもってきた。
「でもこのコ、本当の名前は何て言うのかしら‥‥」
タオルを渡しながら、シュラインがそっと毛並みのいい子犬の頭を撫でようとした瞬間――がぷっ。噛まれたシュラインの肌から赤い血が流れ落ちる。
‥‥。
「シュラインさん、血が、血が出ちゃっています!」
みなもの顔から血の気が引くが、大騒ぎしている外野をよそに当人は落ち着いたものだ。噛まれたままシュラインは優しく子犬を見つめている。
「ほら、怖くないから‥‥」
騒がしい光景を事務所にあるソファーから眺めていた少女がいた。彼女は鎮と春華に抱かれた子犬へと視線を向ける。
スーツをきれいに着こなした小柄な少女――柚木 シリル(ゆずき・−)は、一瞬だけ目を細め、彼女にしか分からない『とある匂い』を感じ取っていた。それは、
‥‥あの子犬、まさか‥‥。
ティーカップを受け皿に戻すと、落ち着いたトーンでシリルは声をかける。
「失礼ながら、その子犬――あなた達の腕の中で暴れている子犬ですが、かなりの手傷を負っているようだけれど?」
「あ、そうでした。このコの手当てをお願いしたくて」
みなもに頷いてみせるシリル。
「早くしたほうがいいですね。見た目以上にその子は衰弱しています」
彼女は外国の医療機関内で身につけた知識と優れた嗅覚から子犬のおおよその状態を把握できている。
その言葉に鎮は当初の目的を思い出した。まずは子犬を介抱しないと。
「そうなんだよ! こいつ、全身傷だらけで! はやく手当しなくちゃ!」
「うぅ‥‥ひどいよ、動物虐待なんて! ラッキーが可哀想だよ!」
茉莉奈の胸がしめつけられたように痛い。涙をいっぱいに浮かべて悲しそうに子犬を見つめるが、子犬はまだ唸り声を上げている。今、傷ついた子犬はたった独りで暗闇の世界にいるはず。
目に映る全てを敵として。
「だーかーらー、手当するにもまずはこいつを落ち着けてからだってさっきから言って――痛っ! な!?」
全くもって春華のいう通りだ。子犬をおとなしくさせさえすれば、鎮の鎌鼬としての薬なり、みなもの手当なり、あるいは茉莉奈の覚えたての白魔法なり――とやりようはいくらでもある。
問題は心の傷、他者に対する不信感。
やれやれといった態度でシュラインがため息をついた。
「まずは子犬の前にあなたたちが落ち着いたらどう。見たところ瀕死の状態というわけではなさそうだし。そうでしょう?」
「ええ。傷は普通に回復できる範囲内ですよ」
肯定するシリル。たしかに重傷だが命に別状はないはずだ。それよりも問題は――
(誰が一体こんな酷いことを‥‥?)
未知の悪漢に対して憤りを覚える。同時に、それ以上に気にかかることも。
(――そう、きっと間違いない。ですがこの件はまだ口にすべきではないでしょうが‥‥)
「痛いの?」
怪我の具合をみようとシリルはそっと手を差しだすが、子犬は触れさせようとはしてくれない。
「痛むんだ‥‥でもね、そんな唸り声ばかりを立てていては皆怯えてしまいます。嫌われるのは嫌でしょう?」
彼女が日本人と欧州系の人狼とのハーフだからだろうか、子犬はシリルからは何かを感じ取ったようだが、まだ警戒されている。
「もちっと大きかったら手っ取り早く決闘して、お前のボスは俺だーって認めさせるっつーのもありなんだけど」
春華の不用意な一言に鎮・シリル・茉莉奈、みなもにシュラインからもきつい視線が向けられる。
「おわっ、もちっと大きかったらって言ったろ! やらないから!」
「当然だよ! もう」
「はあ、とりあえずは餌付け‥‥かなあ。ま、しゃーないよな、一回失った信頼ってのはそー簡単に回復するもんじゃないし」
暴れはしなくなったがまだ唸り声で威嚇してくる子犬をなでなる春華の言葉に、茉莉奈はしゅんとする。
「‥‥私、本当は動物とお話しができるんだけど、この子は心を閉ざしてしまって私の声を聞いてくれない。この子がどんな目にあったのかって思うと、私‥‥」
「それじゃ、手伝ってくれない?」
振りかえると、シュラインが子守唄を口ずさみ始めていた。
「あ、そっか!」
まだ唸り声をあげる子犬を傷付けないように抱っこして、茉莉奈もそっと歌を歌ってあげる。
きれいな旋律に思わず誰もが聴き入ってしまった。
茉莉奈の黒猫・マールがとことこと子犬によって、傷口をペロペロ舐めはじめる。子犬は抵抗せずじっとしている。
「鎮さん。これなら手当てをはじめても大丈夫ではありませんか?」
「うん、わんこ、こんなに大人しくなっちゃって‥‥しみないようにするからそのままでいてよ」
鎌鼬の三番手は傷を治す薬を使う術に長けている。
‥‥わんこ、頑張れっ‥‥。
犬も鼬もおんなじ動物なんだ。鎮は気をつけてそっと、丁寧に薬を塗っていく。
みなもが棚から持ってきた救急箱をもってきた。
薬を塗った上からガーゼや包帯を巻いていき、これで傷だらけになった自分の努力も報われるというものだ、と春歌も満足そうだ。
「鎌鼬の3番目の意地にかけて塗ったから、これでもう大丈夫だよ!」
「うふふ、よーし、それじゃ私の白魔法で仕上げ――」
「ダメだっての。覚えたてなんて危なっかしすぎ」「えーっ」
茉莉奈があまりに恨めしそうににらむので、春華は諦めてため息をついた。
「‥‥分かったよ、いいか、ちょっとだけだからな」
‥‥‥‥。
雨の降りしきる中を、紗侍摩 刹(さじま・せつ)はわずかに目を細める。
――――死の感覚だ。
これは、良く知っている。
破滅と無を内包した独特のにおい。
生まれてからずっと隣で感じ続けていた空気。
不吉、としか形容のしようのない気配が街の中を移動をしている。二つの気配は明らかに虚無の匂いを纏っている。
刹は雨の中を踏み出す。
白い着物。
手枷、足枷。
今でも外れず歩くたびに二つの鎖の擦れる音。
呼び寄せられるように刹は歩き続ける。
――――彼を呼ぶものの名は、死。
「‥‥‥‥‥‥来る」
後には、雨の音だけが残されていた‥‥。
●三つ首の魔獣 〜ケルベロス〜
「んー…大分落ち着いたみたい。それじゃ次は食べ物かしら」
シュラインは手にとった飲食物を子犬の目の前で少し食べて見せ、同じ入物で与えていると――武彦が手元にあった新しい書類を引きよせた。
「どうしたんですか?」
「ああ、この傷を見てな。まさかと思うが」
金属の爪で引き裂かれたような傷痕。
その報告書によれば、謎の気配が2つ草間興信所に向かってきているという。丁度子犬が連れ込まれた時刻に対応している。
「嫌な予感がしやがる。漠然とだけどな――悪いが、ちょっと出てこようと思う」
すぐ戻るから留守を頼む、と言って零を連れた武彦は興信所から姿を消した。
一瞬、雨の音がこだまする。
強く、強く‥‥。
「草間さんの言ってた、謎の気配って大丈夫なの?」
心配そうに見上げる茉莉奈に鎮も不安になってきた。
この重苦しい空気はなんだろう。
「私不安だけど、いざとなったら魔法少女マリンに変身してみるから!」
変身用のピンクのハンディカラオケマイクをにぎりしめた茉莉奈の後ろの壁面が、突然――
大爆発した。
「ふぎゃん!!」
グルグル目をまわす茉莉奈の背後には、ぽっかりとあいた穴から巨大な犬の――犬というには攻撃的で凶暴な――黒い影が。
獅子か虎かと思えるほどの大きさだ。
修繕費‥‥と内心青ざめながら頭の中の電卓をはじきつつもシュラインは全員にドアから外へ出るように指示を出す。
「ここでの戦いは得策ではないわ。事務所の裏手に開けた場所があるから――」
「了解だ!!」
さすが事件には慣れている能力者たち、事態への適応力は高い。
春華が子犬を抱えてドアを出たとき、シリルは戦慄を覚えた。今、背後の壁面の穴からのっそりと周囲をうかがう巨大な動物は――狼。それも強大な魔力を秘めた闇の眷属。自分と近しい存在。
だが、通りの向こうを見つめたシリルの瞳にもう一つ、不気味な影が映し出される。背後の狼が小さく思えるほどの邪悪な獣――。
「急いでください、もう一つの『何か』もこちらに近づいています!」
雨は小ぶりだが暗い空気がいやがおうにも不吉な予感を増していく。
裏手を少し進むと、シュラインの言った通り建設予定地として確保された開けた場所が見えてきた。ここなら存分に戦えそうだ。
「もう怒ったんだからぁ‥‥『マリリルマリリルリルリルラー』!!」
光のオーロラが幾重にも茉莉奈を包み込んで、アイドル風フリル付きミニスカワンピースの衣装に大変身!
「愛と正義の魔法少女マリン、ラッキーのために参上だよ☆」
決めッとポーズでウインクした茉莉奈こと魔法少女マリン、だけど、巨大な狼の背後からさらに異形の見上げなくてはいけないような小山ほどの、三つ首の獣が姿をあらわす。
「ふえー!?」
「あぶない!」
危機一髪、漆黒の翼を広げて春華が魔法少女を拾いあげた。
でも子犬と一緒で重そうだ。それでも空中ならひとまず安全だろうと思った矢先、巨狼が一息に跳躍する。
一瞬で春華の上に回りこみ鋭い牙を剥きだす狼。巨体からは想像できない身軽さと速さ。
「こっちにパスして!」
そこには自分の作り出した風に乗って鎮が手を差し出している。
頼む、と言って投げられた子犬を見事に空中でキャッチ。身軽になった春華は風を放ち、空気圧力のクッションによって紙一重で白い牙を回避した。
はっと気配を感じて前を向いた鎮は、いつの間にか移動した、建設中のビルの壁に張りついた三つ首の獣と目があう。
獣の口から青白い火花。それは雷撃の予兆。
「いけません! お願い、水の加護よ――」
みなもは両手を前に差しだして意識を集中する。
感じる水の流れ 流れはうねりに うねりは力に
流れ舞う水よ 彼の者の盾にならんことを‥‥
閃光が鎮の目の前をいっぱいに広がった。
水の障壁が鎮の前に立ちはだかって獣の放ったイナズマを散らしたのだ。
「雷撃まで備えているなんて、雨の中の戦いは不利だわ」
シュラインが呟くように雨は、水は、電気を伝導させる。
今の電撃の光は獣の姿をはっきりと捉えさせた。
それは身体のところどころから機械の部品の剥き出しになった禍々しい姿。首の一つでさえ金属の光沢を持っている――機械の頭部。
「なんてことを‥‥」
「はん、俺に任せな! この一発で終わらせてやるよ、なあ!」
茉莉奈を抱えた春華が巨大な竜巻を至近距離から獣にぶつけた。
真空をともない吹き荒れる風が三つ首の獣を覆う。
「な――!?」
暴風の壁を突き破って反撃の爪を放ってくる。信じられないことに獣へのダメージは致命傷からほど遠い。
「まさかあの金属ボディ、アンチ・エレメンタルが施されているの」
もしこの予測が当たっているとしたら相当に厄介だ。どのような技術や法術においても対抗系――相手の力に抵抗する能力・技術というものは存在する。ましてや戦闘用の機械生命にそれが施されていない可能性のほうが低いだろう。
事前に対抗の準備があるならばともかく、奇襲された側としてはこの現状はきつい材料だ。
「‥‥‥‥‥‥『断』」
全てを凍らせるような冷厳な一言。
みなもが振りかえると、白い着物を着た少年――刹がいた。
春華と茉莉奈に迫っていた獣の爪ごと前脚が弾ける。
いや、視界に捉えた瞬間に『断絶』させたのだ。
「おまえは死んでいるんだよ。だから、ここで止めてやる」
機械の獣は瞬時にして標的を変えた。三つの口から雷撃を刹に向けて放つ。しかし、白い殺人鬼は稲妻すら『断絶』させる。
獣は――機械仕掛けのケルベロスは、彼の視界にいることの危険性を学習した。
機械の獣が吼えた。
遠吠えに反応したように、鎮の腕の中で抱えられた子犬がピクンと上を向く。と、そのまま鎮の腕に噛みついた。
興信所での子犬としての抵抗とは明らかに質が違う、敵意ある攻撃として。
「あぐっ! わんこ、やめ! どうしたんだよ!?」
鎮は子犬の目が光を失っていることに気がついた。この目は見覚えがある――振り返った先には、巨狼がいる。
そう、あの大きな狼と同じ瞳。
痛みで地上におりた鎮の前に巨狼が立つ。
「その子は、子犬ではないんです‥‥狼の子供です」
背後から聞こえた声はシリルだ。
ああ、点が一本に繋がった気がした。
あの狼はこの子の親。そして、親狼を追ってあの機械の獣もこの場所にきたんだ。そしてこの瞳、あの機械の獣は狼の親子に何らかの影響を与えているのかもしれない。
「わ、何してるんだよ!?」
シリルが袖をめくり、自分の腕を噛ませる。
「私の血には対象の霊力を一時的に呼び起こす効果があるんです。必ず効果があるわけではなく相手の体質によって効いたり効かなかったりしますけれど、これでこの子の覚醒した力が勝ればあのケルベロスからの呪縛も解けるかもしれません」
「私が、この狼さんを食い止めますから!」
水流の渦でみなもが巨狼の前に立ちはだかった。一歩前に出て、狼が口を開く。
「――我がムスコ、フュリースを、タノム――」
その瞬間だけ、狼は瞳に正気を取り戻していたように見えた。だがすぐにまた狂気の目に戻り咆哮を上げる。狼の額からはじわじわと青い刃が生え始める。
それはまるで青い剣の角。
「――――あ!」
鎮とシリルの腕の中の子狼が暴れるのをやめ、正気を取り戻した瞬間と同時だった。
完全に青い刃を生やすと、首の一振りによる一刀で水流の壁を紙のように軽々と切り裂き、見下ろすように巨狼は殺意の視線を3人と1頭にむける。
瞬間、マリンと春華が足止めした機械獣のケルベロスを刹の能力が『断絶』した。
巨狼は動きを止めると、天高く咆哮を上げる。
身を翻して雨の街へと消えていく狼を誰も止めることはできなかった。
「‥‥助かった、の‥‥?」
霧のように雨はまだ降り続ける。
すやすやとシリルの血で正気を取り戻し、眠りについた子狼だけを残して。
●青空にかかる虹 〜エピローグ〜
「――で、何でまだこいつがここにいるんだ?」
草間武彦が零と一緒に戻ってきて、事情を聞いたあとに発した第一声がこれであった。
興信所の隅で子犬――いや、子狼・フュリースは気持ち良さそうに丸まっている。
すでに専用のカーペットとエサ箱までおかれ、自分のテリトリーをしっかりと確保して。
戦いの後、どこかへ消えてしまった刹以外の一同は、簡単に塞いだ大穴つきの興信所に戻ってきてお茶を飲みながらなごんでいる。
パソコンをカタカタ打ちながらみなもが言った。
「デジタルカメラでこの子を撮って飼い主探しのそういうサイトで書き込んでいるんですけれど、それまでこの子の居場所はないわけですから」
武彦は嫌な予感がする。
「――それまではしばらくここに置いてもらいますね?」
みなもを知る人はみな心の中で思った。
(‥‥あきらめなよ、武彦さん‥‥)
武彦が複雑な顔をしてエマに訊いた。
「――で、この穴の修繕費用はどうやって出すんだ」
「仕事を大目に入れるしかないでしょう? 好き嫌いなしで」
「はあ‥‥分かった。その件も前向きに善処する」
シュラインは開かれた窓を見る。
雨はもうきれいに上がっている。
青空には、大きな虹がかかっていた。
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■ 登場人物(この物語に登場した人物の一覧) ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】
【0086/シュライン・エマ/女性/26歳/翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員】
【1252/海原・みなも/女性/13歳/中学生/うなばら・みなも】
【1421/楠木・茉莉奈/女性/16歳/高校生(魔女っ子)/くすのき・まりな】
【1892/伍宮・春華/男性/75歳/中学生/いつみや・はるか】
【2156/紗侍摩・刹/男性/17歳/殺人鬼/さじま・せつ】
【2320/鈴森・鎮/男性/497歳/鎌鼬参番手/すずもり・しず】
【2409/柚木・シリル/女性/15歳/高校生/ゆずき・しりる】
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■ ライター通信 ■
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こんにちは、初めまして。
皆様を担当させていただきました雛川遊です。
ライターとしての初執筆になりますが、楽しんでいただけたら嬉しいです。
今回の事件で明らかになった情報は、異界〜剣と翼の失われし詩篇〜のほうでも一部アップしていく予定です。興味をもたれた方はぜひ一度遊びに来てください。
あ、小さなことですが(草間さんにとっては重要かも?)興信所の大穴はちゃんと修繕されていますのでー。これでまた赤字が(汗
それでは、あなたに剣と翼の導きがあらんことを祈りつつ。
>シュライン・エマさん
初めまして、ご参加ありがとうございました。
話の流れから今回は戦闘描写ではサポート的なポジションにしてみました。
それと壁に大穴をあけてしまいごめんなさい。ちょっと臨時の出費がいたいかも‥‥。
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