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トレビアンの泉
【バラエテ異界在住GTV局長、鈴木恵(16)からのトレビアン】
三下忠雄の名字は、
、
ミノシタと読む。
鈴木恵、20ほぅ。
神楽庄二、0ほぅ。
他のパネラー―――「って誰も来てへんやないかいっ!?なんやこの寒々しい光景はっ」「ね、ねーたん、ちょっと」
そう司会席の隣で、眼鏡の人役をやるのは、つい最近労働基準法を無視してGTVに入社したショタっ子、神楽庄二、「今はリハやから居なくてもしゃあないし」
……あ、そやったー。
「ちゅう訳で確認のVTRです」
「ぐだぐだー」
実際に聞いてみた。
極めて希な異界外に緊張する取材班、とりあえず雷門をバックに記念写真。(恵「何やっとるんやあいつ等っ!?」庄「うわー、やっぱ東京のおねーちゃんってキレ」ドカッ)
相当に観光を堪能した後で、我々が向かったのはあやかし荘である。
その巨大さとアパートという名前は少しも比例しない。トイレや調理場、そして風呂も共同であるが、この風呂だけは温泉でビバノノンと、(恵「せやからお前等職権乱用しす」)間欠泉で火傷する。(恵「……修理はせんのかこれ」)
友の死を無駄にしない為、我々はペンペン草の間に居る、渦中の《三下》氏に接触した。事態が飲み込めずカメラの前に硬直している。
―――ペンペン草の間に住み込み中のアトラス編集部員三下忠雄氏
『本当にミノシタ?』
「え、は、はい、そうですけどぉ……」
念のため、他の人にも聞いてみた。
まずは管理人さん、「はい、本当はそうみたいですよ」
着物姿の女の子、「何を言うのじゃ?あやつは三下以外の何者でもない」
着物姿の女性、「にんげんごじゅうねんー♪」
混乱してきたので、別の方法で調べてみた。
GTVの情報室、一つの高性能コンピューターを駆って、プロテクトを次々と破り、とある場所に登録されている彼のデーターを抜き出すっ!結果、
ミノシタタダオ。
――彼の名前はミノシタですが、これからもサンシタとして愛でてください。
「ってなんで自分はボタン押してへんねぇん!」「そ、そんなんゆうても、僕この人知らんもん」
それを聞くと鈴木恵、庄二をさとすように、
「これからこの局でやっていくんやったらあの男の存在は忘れたらあかん、いやうちらも最近知ったにゃけど、あの哀れっぷりはチャップリンに及ぶかもやで」
「はぁ」
「さてと、リハやから補足トレビアンは除くとして、コンピューターを使って他人の情報を盗むんは、絶対やったらあきまへんッ!」
「実際やってるやんねーたん」
◇◆◇
此処は何処か遺跡だろうか、蒼の暗さが手伝って、神秘的な雰囲気が増してる。その中、そこに分け入るには場違いな、白衣姿の細身で長身が進入。普通に歩く彼の顔、……口元や輪郭等ある程度の構成物は見えたが、何よりも中心となる瞳は、牛乳瓶の底のように分厚い眼鏡で伺いしれなかった。
だけどその奥できっと、困ったように視線を泳がせながら、「えー、トレビアンって言葉みんな知ってるやろかぁ」と。
すると、プロジェクターで投影したか知らないが、フランス語の綴りでトレビアンの文字が中に浮かぶ。
「トレビアン、それは美味を食した時思わずつぶやいてしまう言葉。人はなんで美味しい食事に引かれるんやろ?」
聞くもの全てをナマケモノにさせるような、スロォな関西弁である。
「かの有名なフランス人が、」誰やねん。「ル・フィレ・ダニョ・ロティジュ・ド・キュイソン・ア・ライュを一口食った時言ったそうや〜。子羊のローストニンニク風味は、トレビアーンと言わせる、唯一の料理やって」
舌を噛みそうなフランス語をなんとかこなしてほっとした後、
「今日はどんなトレビアンが、私らをほぅと言わせるんやろぉ」
そう言い終えた瞬間、白衣の彼の足元が割れて、「え、何これ水?って避難するん!?」
カンペを見た彼は慌てて足元から離脱、つまり、カメラからフレームアウトする。彼が立っていた範囲に刹那で水が満たされて、そして、フランスの料理を抱えあげる三つの像がせりあがったッ!
一つ、番組の前説をやった白衣の男、一つは小麦色の肌をした青年、一つは羽根を生やした女子中学生、池の中心でメリーゴラウンドよろしくくるくる回った後三つの像は口を開け耳を開け鼻を開けそして―――
突然、像がぶっこわれた。「な、なんやてぇ!?」その事に対してか関西弁が響くが、これは白衣の彼のでなく、恵局長の。
「ちょ、あかんがなッ!?これから三人のあらゆる穴から水がドバーって出るてはずやのにぃ!」そんな地団駄を踏む彼女を遠目で見るのは白衣の牛乳瓶眼鏡と、そして、
「言われた通りやりましたけど、これで良かったんですか?」
己が生み出すマッハ5の速度、その世界に絶えうる身体を使った、小麦色の肌の男と、
「いいのッ!しかし恵もひどい事考えるなー」
天真爛漫女子中学生、である。まぁそりゃいくら番組の演出だからって、自分の変な穴から液体が漏れる映像は流して欲しくないもんだが、
「みあおは姉さんと違って人魚じゃないもん」
ていう理由はどうかと思う冬の空。
◇◆◇
「トレビアンな知識が明日の貴方を変える、トレビアンの泉にようこ、……ってねーたんねーたん」スタジオ変わって品評会の席。早速前口上を始めたショタっこ庄二であったが、「何をくだ巻いてるねんな」
少年が冷や汗を浮かべる理由、恵は司会席の机の下で三角座り。もちカメラには写らない。司会席に一番近い、俗に言う会長席におさまった、恵の(筋肉)繋がりである、幸せの青い鳥な女子中学生海原みあおが「恵、もう本番始まってるよー」と声をかけたが、
「えー、だってオープニング失敗しとるやーん、撮りなおそーやー」
思いっきり拗ねておった。最早燃えないゴミ並に扱いの困る代物と化した彼女を、庄二は捨て置く事にして、「ほな、番組の説明させてもらいます。皆様が持ち寄った世の中にある美味な知識……『トレビアン』にどれだけ感銘を受けたか、番組独自の『ほぉ』という単位で品評します」
「パクリやねぇ」
「パクリだねー」
「パクリですね」
「辛口コメント三連続でサンキューッ!ちゅう訳で本日のパネラーは、」
BENZOUさん並の厚底眼鏡、知性を表すその白衣、榊和夜!
生まれは遥かな東南アジア、サイボーグ戦士マッハ5を越える、アイン・ダーウン!
そして品評会会長は、天使よろしく時たま羽根を生やす、海原みあおです!
「ちゅう訳で、《ほぉ》ボタンの方を早速、アインはんに叩いてもらいましょー」
「え!?お、俺がですか?」
「うん、にーたんお願い」
いきなり振られた青年は硬直、だがやがてゆっくりとボタンの上に手を乗せて、
『ほぉ』「もっともっとー」『ほぉほぉ』「さらに力強くー」『ほぉほぉほぉほぉ』「はいそこでストップ、って……にーたん?」
庄二は言葉では制止させたのだが、どうやら彼は聞いちゃいずに、『ほぉほぉほぉほぉほぉほぉ!』
「れ、連打しすぎ」
会長席から会長が会長の務めとしてそう声をかけたが小刻みに響き続けるほぉの音、やがて彼は十円玉を取り出し、「コスリ連射!?」
流石マッハ5を超える男、高橋名人の速度すら凌駕しようとしていて、慌てて番組スタッフが機材保護の為に取り押さえに入ったが、
「離してください、この時を逃せば二度とあのボタンを押す機会はっ!!」
後で充分叩けますからという声も届かずに、必死にボタンに喰らいつくアイン。それを見て、白衣のにーちゃんの一言、
「アインさん、ほんまボタン好きなんやねぇ」
それで済ますなよ。
◇◆◇
【フリーター兼ねてボランティア、アイン・ダーウン(18)からのトレビアン】
黄昏の語源が誰彼と言うのは、暗くなり人の見分けが付きにくくなり、
、
狙い打ちしやすくなるからである。
恵、4ほぉ。庄二、3ほぉ。みあお、9ほぉ。和夜、4ほぉ、アイン、
「お、押させてくださいっ!これは20です!いや、これは20を超えるほぉですッ!」
「押したいだけやろ自分」
ようやく復活した恵局長の指示で、現在彼は簀巻きである。んでもって隣の白衣のにーちゃんに指示を出した、とりあえず7ほぉくらい押しておけと、「ああ私のほぉが!ほぉがぁっ!」
18歳がボタンの前で悲鳴をあげる姿は、シュール。
「ええと、このトレビアンはアインにーたんからの持込みみたいやけど」「ほぉが、私のほぉが……」「あの、にーたん?」「ほぉがーっ!」
「それでは、確認のVTRだよッ」
「みあおそれうちのセリフ」
◇◆◇
黄昏とは、『誰そ彼は』と問わなければならない程の暗がりの刻を言うが、トレビアンによると、暗殺の意も含めてあるらしい。という訳で、
実際にやってみた。
河川敷の土手、茜の夕焼けも山間に消えて、まさに絶好の黄昏時である。そこに一つの足音、赤外線カメラで捕らえれば、地上最強に不幸そうな男だった。一見唯の帰宅風景だが、突然、
男の背後に謎の男が。仕込んでいたマイクで音を拾ってみた。
「すいません、誰彼?」
小太りの男は声をかけられて、飛び上がりながら振り向いたが、
そこにはもう誰もいなく―――
ドゴッ、鈍い音がしたのは、冴えない彼の後頭部からである。まさに一撃。
実際に、感想を聞いてみた。
「これ三下さんだから明るくてもできそうですねー、あはは」
―――三下忠雄は明撃ちでも倒せます
◇◆◇
「これこそまさに満ほぉです!さぁ、押させてください!」
などと叫びながら今まさに縄の呪縛をほどこうとするアインだったが、周りの者はボタンを押す様子は、「ほぉほぉほぉー」「冷静に押すな白衣のにーちゃん!」
和夜、12ほぉ。「え、なんでやの?私結構感心したけど」
「いやいやいやその前に突っ込む事があるがな、なぁみあお!」
「そうだねぇ、だって今の襲撃した人、アインさ」「ほぉほぉほぉほぉほぉほぉ!」「ああにーたん縄ほどいてる!?」「AD、縛れッ!」
「な、何をするんですか!私はボタンを押さなければならないんですッ!」
何処の人間が生れ落ちてそのような宿命を持つのだろうか。ボタンにゾッコンな彼を、やっとの事再び縛り上げて。
「いやだから今三下襲ってたん自分やろ?」
「何を言ってるんですか?インタビュー受けた人はモザイクかかってたじゃないですか」
「……肌の色が小麦色だったよ?」
「日焼けサロンに行ったのでは?」「いつの時代や」
「とりあえず、俺の方から補足トレビアンを説明しますと、」
このトレビアンは、大嘘ですっ!
「………」四人分。
烈火の如き怒り、一人分。呆れた、二人分。次のトレビアンなんやろか、一人分。
誰彼は、暗殺に向いている。45ほぉ。
◇◆◇
【某有名大の学生、匿名希望(永遠の17)のトレビアン】
榊和夜は猫アレルギーであるが、
、
超猫好き。
「えぇぇぇえぇっ!?」今までのんびりのほほんの彼であったが、自分の名前が入ったテロップには悲鳴をあげた。「なんで私ネタやのーっ!?ってみんな押してるぅぅ!?」
みなそれぞれ5か6ほぉくらいである。アインは12ほぉ。(その時点で縛られた
「ちょ、ちょっと待ってやぁこんなの」
「ほな確認のVTRです」
「さくさくいかんとってぇ!?」
◇◆◇
榊和夜、某有名大学に通う為、都内で一人暮らししている天然系お兄さん。細身で長身の容姿は床の間に飾っておきたくなるが、やぼったい瓶底眼鏡が玉に瑕。
とりあえず、猫好きである事を確かめてみた。榊和夜の自宅。(榊「ええ!?なんで私んち映ってるぅん!?」)
部屋の真ん中に猫グッズを揃えてみた。ふわふわでくにゃあな猫をプリントしたマグカップやプレート、猫の顔を模した座布団に、思わず抱きつきたくなるであろう身体が長い猫の枕などなどまさにニャンダフル。
そして、午後七時和夜帰宅。少し疲れた様子だったが、扉を開けて、自室にある猫グッズを視界内に。一旦硬直、だがしかし、
すぐに猫グッズの森にスカイダイビング。着地と同時、ぬいぐるみを抱えながらご満悦の様子。(み「わー幸せそうだね」榊「ううううう」)
まさに、猫の陣に捕獲された。続いて、猫アレルギーである事を確かめる為、
猫をけしかけてみた。希少価値の高い三毛猫である。
猫グッズに戯れる、和夜の背後に忍び寄って。半径1メートルに猫が踏み入れた刹那、くしゅん。くしゃみが一つ。
……嫌な予感を顔に浮かべて振り返った彼、そうすれば、眼鏡越しの瞳に猫の姿が―――くしゅんくしゅんくしゅんへーくしゅんッ!
これぞまさにくしゃみ地獄、呼吸困難に陥った和夜だが、三毛猫の愛くるしさは苦しみを超えた。地獄の中の天国で、引きつりながらも極上の笑み。
そして榊和夜は、逝った。それはそれは幸せそうな最期であった。
―――皆様も猫を飼う時は充分ご注意ください
◇◆◇
「ちょ、ちょっとこれ犯罪やーん!てか誰がこんなネタ送ったん」
「補足トレビアン、アレルギーは非常に危険、蕎麦アレルギーの人は茹でた湯気だけで死んだ例もあるさかい、冗談でもこんな事はせーへんよう」
「まとめ入らんといてやーちょっとーっ。うう……泣きたいわ私」
「その二、なお、猫グッズはその侭和夜氏の家に。スタッフのコメントとしてそれで許してくださいと」
「許せへんてぇ!」
榊和夜は猫アレルギーだが超猫好き、64ほぉ。
「続いては、日常の疑問から新たなトレビアンを創作するこのコーナーっ!」
「私の味方おらへんの……」
少年にすら滞りなく無視された榊和夜、少しへこみ中。
◇◆◇
【トレビアンの種】
スタジオが変われば主旨も変わる。先ほどまではボタンを押す事が意義であったが、オープニングにも使われた、遺跡チックなスタジオで、照明を使って行う事は、
「ええ、このコーナーはゲストの様々な疑問から、新しいトレビアンを作るっちゅうコーナーや、という訳で本日のゲストは海原みあお」
「よろしくねー」
ぺこりと頭を下げるみあお嬢に、鈴木恵、「でも、自分の持ってきたネタって普通のネタだけやなかった?」
「なんかこっちのコーナーに回したいって」「はぁ、ほな早速」
そう聞かれたらば、みあお、ポケットから官製ハガキを取り出して、
「あのね、みあおはトレビアンな事は良くわからないけどお父さんがね、『東京怪談なのに"東京"が題に入っていることは少ない(未統計』だって。よく意味がわかんないけど、これってトレビアンにならないかな?」
「つまり、まとめるとこうなる訳やな。『東京怪談の作品で、題に東京が入ってるのは、んがんぐ!』」
って、
「ほんまわけわからん依頼やなぁ」冷や汗を掻く恵、「どう調べたらええかもわからへんし」
「という訳で、調べてきたよ!」「おのれがかいっ!?」
恵のつっこみも軽くいなして、みあおはVTRどうぞとばかりに手を下手で差し出した。
◇◆◇
一月十八日。朝。
東京怪談、東京とは東京以外の何物で無いとしても、怪談とはなんだろうか?そこから探り始めたスタッフは、仮定をたててみた。怪談とは物語だ、それに詳しい人に詳細を尋ねればいい。そこで、実際に聞いてみた。
―――高峰心霊学研究所、高峰沙耶
「いらっしゃい、そろそろ来る事だと思ったわ……」
「え、なんで?みあお達アポは取ってないけど」「言わなくても、解るの」
この後は薄闇だとか触れるだとか色々あったが、割愛する。そしてトレビアンについて聞いてみた。返答、
「そうね、レポートを見たければ案内するわ……数多にあるわ、人の願いだけ」
そう言って誘われた我々の先には、「うわぁー……」吐き気がする程の大量の記録、これを一つずつチェックすると同時に我々は、他の異界にも突撃して、東京が関与する出来事があったかも調査する事に。
今回のトレビアンは東京という文字が含まれているか、なので、(おそらく)写真関連の記録は捨て置いて、(高峰所長曰く)文章関連のだけを参照に。
そして、長い日曜日が始まったのである。(恵「何ぃ!?みあお含めてスタッフ全員黒服ッ!?」み「MIBみたいで楽しかったよ」恵「普通スミスやろ」)
◇◆◇
♪ チャーララチャーララチャーラン(税金を取り立てる女っぽい音楽
■ 現代魔術の魔女が居る異界 ■
「そ、そんな事知らないわよー。それよりもまたこたつが壊れたの!魔法でなんとかすればいい?アニメの魔法使いみたいに、呪文をピピペプ唱えるだけならいいんだけどね、うう、寒っ!ジョッシュー、まだ治らないの?」「アイリス様、少しは忍耐という言葉を……」
■ お菓子狂の枢機卿が居る異界 ■
「それは大変ですねぇ。正直、良くわかりませんけど。……ああこれからお菓子の時間なんですよ、クッキーでしたら。……い、いや、このモンブランは駄目ですよ?銀座に行った方からもらったお土産でとっておきの」
「ユリウス様!貴方という人は……少しは大人になれないのですか、ケーキの一つくらい子供にあげ、って逃げないでください!?」
■ お嬢様が居る異界 ■
「そういう事は、お嬢様に聞いても解らないかと。……あの、申し訳ないのですがお嬢様にみつかる前にお引取りを」
「なんじゃこの面妖な輩どもは?」「お嬢様ッ!?いやこれはその」「テレビ局じゃと?それは面白そうじゃな、マサヤ、わらわも出陣するぞ!」
「し、しかしお嬢様はこの後ご予定がッ!」「ええい行くったら行くのじゃ!」「お願いします、早くお引取りをぉ!」
■ ナマモノが居る異界 ■
|Д゚)
全異界から集めたデーターを含めて、本部である高峰心霊学研究所の外で集計。それぞれをカテゴリ別に分けていく。草間興信所から始まった出来事の記録、ゴーストネットOFFから始まった記録、のように。そのどれにも属さない物は、遊んだ(ゲーム)記録(ノベル)と呼ぶらしい。そして日曜日の朝から八時間かかった作業が、やっと終了した。(恵「ほんまアホな事しとるなー」み「サウナに行けなかったって愚痴ってる人居たよ」)
眼精疲労と引き換えに、集計結果が、出た―――
草間興信所の記録、総数3556.の内東京が題に含まれている数、12!
アトラス編集部の記録、総数1634の内東京が題に含まれている数、17!
ゴーストネットOFFの記録、総数1633の内東京が題に含まれている数、17!
あやかし荘の記録、総数35作品の内東京が題に含まれている数、0!
神聖都学園の記録、総数61の内東京が題に含まれている数、0!
アンティークショップの記録、総数47の内東京が題に含まれている数、0!
各界鏡線の記録、総数2255の内東京が題に含まれている数、0!
異界の記録、総数135の内東京が題に含まれている数、0!
遊んだ記録、総数947の内東京が題に含まれている数、5!
続いての集計は、個人、恋人達、トリオ漫才等の記録である。情景的な記録と名づけられる。
一人の記録、総数604の内東京が題に含まれている数、0!
台本的な一人の記録、総数258の内東京が題に含まれている数、0!
二人の記録、総数342の内東京が題に含まれている数、1!
三人の記録、総数46の内東京が題に含まれている数、0!
以上が、八時間に及ぶ作業が終了を示す結果。最期の作業、全データーの総計。東京怪談の記録に東京が入ってるのは幾つか?その答えは、
答えは、
、
………総数9871の内、52.
こうしてこの異界にまた新たなトレビアンが生まれた。東京怪談の記録でタイトルに東京が入ってるのは、
少ない。
◇◆◇
「補足トレビアン行くね。この記録は一月十八日のって事と、完璧な超人なんて存在しないんだって」「見逃しがあるんかいな」
みあお達の作業VTRをみつめ終わった恵も、ADから資料を手渡されて、「補足トレビアンそのニやな。東京を特別に取り上げた話も、勿論少なかったけど、東京駅の記録が一番多いみたいや」
二枚目の資料をみつめて、「永田町が二番目くらいで、後は有楽町とか秋葉原みたいやな。東京以外の土地やったら、京都が人気かぁ。大阪や北海道、それに鎌倉も記録としてあると」
「古い記憶だと結構東京っぽいんだけど、最近になってくると、あんまり関係無くなって来るみたい」
そこでみあおは満足そうに資料をおいた。「興味深い結果がでたねー、みあお、一つ賢くなっちゃった」
「とことんいらへん知識やと思うけど、まぁそれはおいといて質問」
「え?何恵?」
「……なんか異界の方行脚しとったみたいやけど、異界の記録にあらへんやん、東京の文字」
「………補足トレビアンその三、東京が異界名に含まれてる例は結構多いよ、アトラス編集部のライター兼IO2の男が居る異界とか」
「ごまかすな」
◇◆◇
【某有名大の学生、匿名希望(永久の17)のトレビアン】
榊和夜は、瓶底眼鏡をかけているが、
、
実は視力2.0超。
「ってまた私かいなぁ!?……ほぉ鳴らしなやぁ〜」泣きながらそう訴えても、恵は7ほぉアイン2ほぉ。「お、俺はまだ押し足らないです!」
「でも、和夜さんって今眼鏡かけてるよね?それ伊達じゃないみたいだし」というみあおは高めの11ほぉ、「ほな早速確認してみましょー」な庄二は5ほぉ。
「……もう好きにして」としくしく泣いている和夜は、勿論0ほぉである。
◇◆◇
実際にやってみた。
番組スタッフの一人が、UMEDAによく出没するアンケート調査員に変装、講義が終わった榊和夜と接触する。「それでは一つ目の質問、眼鏡をとってください」(恵「質問ですらないやんっ!?」)
聞き方が悪かったのか、拒否された。何故か調査員の変装から足早に去っていく、やばい、逃げられる。そこで番組スタッフは、路地裏に先回りしてトラップを仕込む。十分後、その場所へ向かう。
榊和夜、捨て猫の愛くるしさで逝っていた。(ア「しかし、よくひっかかりますね」和「せやかて〜、捨てた猫あれば拾う人ありやん私ぃ」み「よくわかんないなぁ」)
全身が弛緩した彼から、早速眼鏡をゲット。これがその顔である。なんと精錬で、なんと美しい顔か。使い捨てカメラであらゆる角度から激写しておく。(和「……やめて〜」)
再び十分後、榊和夜が蘇生して眼鏡が無い事にあたふたしてる所を狙ってアンケート調査員再び出動、そして再び接触する。質問してみた。
「第一の質問、あの1km先の看板になんて書いてあるか解りますか?」
「え、え?……読めへんけど、どんな字かは」
という訳で、クリップに書いてもらった。
《鏖》―――正解である。(み「これなんて読むの?」和「せやから、私もわか」ア「皆殺し」恵「そ、即答っ!?いやこれ普通読める漢字じゃ……ってなんか笑っとる!?クククって怪しげに、怖っ!?」)
確かに視力は良いようだ。そこで、二つ目の質問をしてみた。
「空を見て、何か見えますか?」
「空って、白い雲とまだらの紐がゆぅっくり闇に溶けてく様子しか……ってちゃう!?い、今のは冗談やから、私は別に大きな目玉が空を覆いつくしとるのなんか」
どうやら見てはいけない物も見えてるようだ。
―――くもりガラス越しに見た方が、良い事もあるらしい
◇◆◇
「もう、何時こんなん撮ってたんよぉう、カメラなんて何処にもあらへんかったやぁん……」
パネラー席でうつぶせになり泣きモードに入ってる彼を見てると、てか検証してる時点で気付けよと突っ込むのも憚れた。こういう時はさっさと進行に戻る。台本に書いてあった予定は、
「ええ、ほなここでスタジオの方でも検証してもらいましょう」「え?何言うて」「ボタン好きの兄ちゃん」
その一言を聞くのと、ロープが解かれたのと、和夜が恵に注意を奪われたの同時。途端、――和夜の瓶底眼鏡が消えた。
「え、えぇっ!?」
経緯で示した通り、奪ったのはアインである。「ちょ、ちょぉ」慌てた和夜が辺りを見回すと、
青い羽根の天使が、視界に舞い降りた。「………へ?」
「……どうしたの?」
和夜は頭の上にはてなを掲げてたが、それはこっちの動作だとばかり、みあおも疑問、司会席の二人も同様だ。だが、和夜の目はしっかりと捉えていた。
海原みあおの真の姿、「み、みあおちゃん、天使?」そう尋ねた途端、天使の姿にまた新たな薄い像が。これは、ハーピー?更には胸の辺りに青の小鳥も浮かんで。やばい、
やはり、見えすぎてしまうのだ。水晶眼は真実を見抜く、そして知られている通り、真実は余り優しくない。「あ、のぉ……眼鏡」みあおから視線を逸らして、心底困った瞳の、前に、
侵略する紅い炎と、極まった蒼い炎が相まって視えた。これは、イメージ。攻撃的な。何故そんな物が見えたのか、よりにもよって、このおとなしそうな青年から―――
「どうしました?」
至って落ち着いているアイン。炎のイメージは消えたが、……生身の肉体が透けて、明らかな人工物が内臓されてるのが確認出来た。これがマッハ5の力であろうか。となると、サイボーグ。そして………なんだか触れてはならなそうな装置が、
「俺が、何か?」
「え、あ、」その一言で我に返り、「ちゃんうよー、何もないんよー、あ、せや眼鏡返してなぁ、あははは」
冷や汗かきまくりで挙動不審の侭、アインから眼鏡をひったくる和夜。胸を撫で下ろしながら深く溜息。
(やっぱ、この方が落ち着くわぁ……)そう改めて噛み締めて―――
「ちゅうわけで80ほぉを超えましたさかい」
「なんで私以外満ほぉなんっ!?」
だってアインが野放しだったし。
◇◆◇
【フリーター兼ねてボランティア、アイン・ダーウン(18)からのトレビアン】
ディテクターは、バラエテ異界に放り込むと、
、
ボロを出す。
「ほぉほぉほぉほぉほぉ!これこそ最後を飾るのにふさわしいトレビアンですねっ!って、なんでみんな押してないんですか?」
アインのセリフ通り、現在は彼が押した20ほぉのみ。理由は、アインの背後に控えていた縛り役のスタッフも一瞬固まったこのトレビアンの内容である。その最もたる事は、
「にーたん、ディテクターって誰?」である。全員がその答えを求めて彼に視線を送る、八個の瞳を受けて、彼が口を開き出した言葉は、
「それでは確認のVTRです」「おのれが撮ってきたんかい!?」
◇◆◇
ディテクター。《東京》とバラエテ異界には存在しない人物であるが、他の幾つかの異界で行動してるのを報告されてる者。《東京》にいる草間武彦のパラレル的な存在という説があるが、過去は一切不明という情報もある等、異界によって性質が違ってくるようだ。唯一つ共通点が見受けられるのは、実際の草間武彦より固ゆで卵度が増している事である。そこで、
実際に招待してみた。
♪ ショッピングしようとタウンまで ゴーアウトしたら
「なんやこの某国民的鳥の巣頭主婦のアニメの主題歌みたいなんはっ!?」
「あ、恵、モニター見たほうがいいよ」
バラエテ異界、DOU-TON-BORI。
「どうやら突然の事で辺りを見回してるようですね」
「ああでも煙草吸い始めた、やっぱ草間さん、やなかったディテクターやねぇ」
♪ マネーをフォーゲット ハッピーなミッシーズシェル
――10Day-EBISU
「あ、お祭りだ!みあおお祭り大好きっ」「10DAY-EBISU、商売の神様のお祭りや。って事はこれ一月十日に収録したようやな」
縁日の露天で挟まれた満員電車のような人ごみの中を、後ろから押されて移動するコートの男。一旦休憩しようと脇にそれた所はたこ焼き屋、とりあえず買ってみたようだ。生地はカリっと中はトロトロのようである。感想を聞いた所、『……悪くないが、その前に誰だ?』『俺ですか?アインと言って』「何しとるんや自分!?」「へぇ、二人で旅番組みたいな事してるんやなぁ」「和夜にーたん反応おかしいて」
♪ オールがラフィング ザ・サンもラフィング
――NEW-WORLD
三十分並んで入った串カツ屋。ぎゅうぎゅう詰めの店内で、二人並んで串カツを二度漬け禁止のソースで頂くディテクターとアイン。『揚げたては美味しいですね』『ああ……って、だからお前は誰なんだ?』聞く耳もたずゲソとナスを追加するアイン。ビールは未成年なので禁止である。
♪ ルールルルルッルー トディズいい天気―
――ONSEN-WORLD
『ここ、ガイドブックによると、世界の様々なSPAを模してるみたいですよ』
『ああ、大理石だとかは確かにギリシャっぽかったなぁ』
『サウナ出たらまだ行ってない風呂に行きましょうか』
『それはいいんだが、そろそろお前は誰なのか』
「コート脱いだら結構ええ身体しとるなぁ、……マッチョ、マッチョォッ!」
「ああ、ねーたんの筋肉萌えに火がついた!?」「私はムキムキの猫はちょっといややけどねぇ」
以上のように、ディテクターに密着取材するアインであったが、なかなかディテクターはボロを出さない。そんなこんなをしている内に、タイムリミットが来てしまった。ディテクターをバラエテ異界と《東京》を繋ぐ、KAN-JOU-SENまで見送るアイン。
『偶にはこういうのも悪くないですね。貴方と一緒で、日常が新鮮に感じる』
『だからお前は、……いやもういい』
諦めたのか頭を振るディテクター、すると、東京駅の電車にこっそり紛れ込むかもしれないKAN-JOU-SEN境界回りが到着した。乗り込むディテクター。
『今回はボロを出しませんでしたが』『は?』
ほとほと困惑しきった顔のディテクターに、アインは、別れの一言、
『貴方が、ディテクターがボロを出す瞬間、今度こそ捕まえますよ』
『ディテクター?』
………、
『俺の名前はは草間武彦だぞ?』
―――草間武彦とディテクターは、似すぎていると思う
「言い訳やないかい!?」
◇◆◇
「番組スタッフから預かった補足トレビアンなんですが、うっかり呼ぶ人を間違えたらしいです」
「壮大な勘違いだねぇ、でも、テレビなんだからディテクターで押し通せばよかったのに」
微妙に大人の世界の言葉を放つみあお。
「という訳でみなさん、ほぉボタンの方を連打してください!……ってあれなんで指一つ動かさないんですか」
「いやこれ、すでにトレビアンでもなんでもないし」
皆の気持ちを恵が代弁、なにせもともとの内容がディテクターについてなのに、草間武彦の事を知っても意味が無いではないか。という訳で、
「ボタンなんか押すはずが」「ほぉほぉほぉほぉ!」「って人のボタン勝手に押すなぁ!?」
ディテクターはバラエテ異界ではボロを出す、24ほぉ。
◇◆◇
「今日のトレビアンも、明日使えるものばかりやったねねーたんッ!」
「どこがや」
ショタっ子へ冷たい口調で言い放った後、鈴木恵、「まぁええわ、とりあえず今日の金の踝を獲得する、一番ほぉが高かったトレビアンは―――」
「代価品はまずいが、代用品は美味しいだよっ!」
「ってみあおぅ!?」
会長席からの突然の乱入に、びっくら恵、「ってちょっと待てぃみあお!?そんなトレビアン何時あった」
「えっとなぁ」答えたのは和夜、「恵ちゃんが楽屋におらへん時、みあおちゃんが言ったんよぉ。そしたらその場にいた人たちみんな気にいってぇ」
「番組でやれやそれやったらッ!?」
「それでは本日のトレビアンをまとめてどうぞ」
「勝手に締めるなボタン好きぃ!?」
◇◆◇
♪ んーん んーんーんーんー んー(鼻歌
「事務所に来る奴から聞いていたが、予想以上の異界だったな……」
ディテクターはバラエテ異界ではボロを出す。24ほぉ。
♪ んー んーんーんーんー んー(鼻歌
「三下さんだったら、明るくても殺れますねあはは」
誰彼は、暗殺に向いている。45ほぉ。
♪ あー うんたらなん とれびあーん(鼻歌
ふえぇっくしゅ!「ああかわえ」くしゅっ!「あはは」くしゅぅっ!「ははははは」
榊和夜は猫アレルギーだが超猫好き。64ほぉ。
♪ あー らっはー(鼻歌
「紅い空がやってきてるなぁ、あの熊、あの羽根で飛べるんやろか」
瓶底眼鏡をかけてる榊和夜は、視力2..0超。80ほぉ。
そして、本日の金の踝は、
「だからね、醤油とプリンってウニって言うけど、そんなに美味しくないよね。けどししゃもの代用品のカペリンって、本物と比べたら大分落ちるけど、美味しいし」
代価品はまずいが、代用品は美味しい。253ほぉ。(14人分
◇◆ 登場人物(この物語に登場した人物の一覧) ◆◇
1415/海原・みあお/女/13/小学生
2084/榊・和夜/男/21/大学生
2525/アイン・ダーウン/男/18/フリーター
◇◆ ライター通信 ◆◇
戻らない日曜日(挨拶
はい、ちゅうわけでお馬鹿ノベルが終わりましたよー。便乗もええ所ですよー。てかみんなプレイングノリよすぎですよー。ライター冥利につきますよー。だがしかし、
まさかあんなプレイングが来るとは(実際調べる方がどうかと思う
……いや、《(推測)》ってあるし自分かて最初適当にすまそう思うたさ!けどこれトレビアンやんッ!やらなきゃあかん青春やんっ!ちゅう事で、
日曜日が潰れました(阿呆)……しかも調べ終わった後力尽きて、執筆作業をさぼりましたし。(こら)うう、旬のネタを送れずにすいまへん;
あと、約9900ってのは納品数やので依頼数ではありまへん。だいたい一つの依頼に参加者が五人程参加すると考えて、これからシチュノベのは省くとすると、実際の商品数は8879÷5=1774で、それにシチュノベを足して992よって2766。……まぁ役にたたへん薀蓄なんでっけどね(それすらでもない)ついでに言うと、東京を含んだ《依頼》の数は12でした。
まぁそんな訳でみおあはんのPL様に拍手をお送りください!このプレイング無かったら、話に厚みが出なかったかと!……そのわりに肝心のみあおがあんまり出てへんですが(をーい
榊和夜のPL様、横広の関西弁ってなんやろと悩みながら書きました。(をい)自分は滋賀県の生まれやさかい、京都よりなんは確かなんでっけど;
トレビアンという意味でいえば、一番しっかりしたプレイングだったと思います。猫好きなのに猫アレルギーというネタを見た時とりあえずモニターに向かってなんでやねんしときました。(え
そしてアインのPL様、……あの、えっと、ええんでしょうかうちの依頼が初デビューて;だってキャラプロフ見る限りかなりダークでかっけええ!サイボーグ戦士は平和な夢を見るかってもんで!
けれど、自分のがデビュー作品。(緊張)ええ、プレイングにあった通りどこか抜けてる部分はかきましたが、あんまり危険な香りは漂わせられなかったかもです;申し訳ない。アインの今後を祈って万歳三唱させていただきます。
ちゅう訳で皆様ご参加おおきにでした、次は逆転アフロでお会いしましょう。(懲りてないのか
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