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<東京怪談ウェブゲーム あやかし荘>


『奴をぎゃふんと言わせるのぢゃ』
 あやかし荘管理人室では今日も因幡恵美と嬉璃がこたつに入りながらテレビとみかんを楽しんでいた。
 と、そこでなんだか気の重そうなドアをノックする音が響いた。
「ん? 誰だろう?」
 恵美がこたつから出て、ドアを開ける。そこに立ってたのは真っ青な顔をした三下忠雄であった。
「あら、三下さん、どうしたんですか?」
「え、あ、いや、あの実はちょっと相談がありまして・・・」
「相談?」
 恵美はちょこんと小首を傾げる。
「ええ、あの・・・」
 三下はこたつに入りながらお気に入りのテレビショッピングを見ている嬉璃を気にしながら言う。
「えっとですね。実は僕の大学時代の友人がテレビ局に勤めてるんですけど、今度お正月明けの特番で超常現象を取り扱った番組をやる事になって。それでW大学の心霊否定派小槻教授対あやかし荘っていうコーナーをやりたい・・・って・・・・・・・・・・・ダメですよね?」
 恵美はものすごく嫌そうな顔をした。嫌そうな顔をしたのだけど・・・
「ふん、面白いではないか。小槻教授とはあの火の玉はブラズマとかって言ってる奴ぢゃろ。あやつはわしらの存在を信じようとはせんからな。前々からぎゃふんと言わせてやりたかったんぢゃ」
 いっひっひっひと笑う嬉璃に恵美は思いっきり眉間に皺を寄せた顔を片手で覆い隠しながらため息を吐き、三下は何かとても怖い物を見たような顔をしたまま固まった。
 こうしてあやかし荘では嬉璃の指揮の下に冥府へと続く数とされる四にちなんだ四つの部屋で心霊否定派の小槻教授をおもてなしする事になった。
 さてさて、どうなることやら。

【お誘い】
 外国人に未だに日本人はちょんまげで着物を着ている、などと勘違いされているように、東京も地方の人間にとってはビルジャングルで、緑などという物はいっさい無いかのように思われていることもあるそうだ。
 そんな人間にとってみればそこはおそらくはカルチャーショックを起こさせる場所なのだろう。
 咲き乱れる美しい季節の花々は大地を色とりどりの色で飾っている。心理学や色彩学、また高度な数学などで計算しつくされたその庭園は見る者の心の琴線に触れる。
 嬉璃に渡された手紙を手に持って、リンスター財閥が所有するその庭園にやってきた因幡恵美は、無味乾燥な灰色の世界に現れたその神秘的で幻想的な計算し尽くされた花園に心を奪われて、まるであどけない純粋無垢な子どものようにそこに立っていた。
 そんな少女に礼儀正しい声が絶妙のタイミングでかけられる。
「ああ、ついに私の庭園にも天使が降臨してくれたかと想ったら、恵美さんでしたか」
 えっ? と、耳まで真っ赤にしながら恵美が振り返ると、園芸用のハサミを持った美青年が立っていた。その美はつい数秒前まで見ていた花園に勝るとも劣らない。美しき庭園に天使が降臨したというのなら、おそらくは彼の方が天使なのではないのかと、恵美は心の奥底から想った。
 優雅な足取りで彼は恵美の前まで歩いてきて、そして涼やかな佇まいで、彼女の前に立った彼は微笑む。
「ん?」
「え、あ、えっと」
 年齢=彼氏無し期間の彼女はこのシチュエーションに戸惑ってしまう。真っ赤な顔を恥ずかしそうに俯かせてしまった。
 何か言わなくっちゃ! 嬉璃に渡された手紙を渡せば、そこから会話も生まれようものなのに、小さな胸を初恋にも似た淡い憧れと夢にも似た予感と期待に熱くさせる彼女はもはや手紙の存在などは綺麗さっぱりに忘れてしまっている。
 彼、モーリス・ラジアルはそんな恵美の初々しい純真無垢な乙女ぶりにくすりと小さく微笑むと、彼女の横を通って、庭園の花から数本の花を見繕った。
「さあ、どうぞ。プリンセス」
 恋愛に積極的なモーリスは咲いたばかりの花で恵美の頭を飾り、つぼみが開きかけている花で作ったプチブーケを彼女の手に持たせた。代わりにくしゃくしゃに握り締められた手紙を受け取る。
「これは私へのラブレターかな?」
「え、あい、いえ、あ、あの、すみません」
 きっとこの花束は明日の朝に朝日の光を浴びながら咲くに違いないと、うっとりとしていた恵美は、モーリスのその悪戯っぽい心をくすぐるような声に心臓に軽やかなワルツを躍らせながら、彼を見上げて、恥ずかしそうに唇を動かせた。
「えっと、それは嬉璃さんからで。実は・・・」
 恵美から事のあらましを聞いたモーリスは悪戯っ子の笑みを浮かべた。
「なるほど。それは面白そうですね」

【挨拶】
「こんにちは。初めまして。あやかし荘を代表して今日、小槻教授をご案内させていただくモーリス・ラジアルでございます」
 腰まで伸ばした金糸かのような髪に縁取られた白磁の美貌に清楚な笑みを浮かべて彼女は頭を下げた。そう、彼女は、だ。
 そしてその美貌も、藍色の着物の上からでもわかる豊かな胸に蜂のようにくびれた腰、優雅なラインを描く腰下…それはもろ、小槻教授の好みであったらしく、彼は耳まで真っ赤にして突っ立ってしまった。
 そして思いっきり棒読みで、
「こ、これはこれは、こんなお美しい女性にエスコートしてもらえるとは光栄です」
 モーリスはそんな彼ににこりと微笑んで、
「こちらこそ、今日は小槻教授がどのようにトリックを見破り、また人々が心霊現象であると騒ぎ立てる現象がどう科学的に証明できるのかをばっちりと勉強させていただくつもりで来ましたのでよろしくお願いします」
 愛らしい彼女の微笑に、小槻教授は少年のように鼻の穴を広げて胸をばんと勢いよく叩いた。
「任せておいてください、モーリスさん」

【快楽の間】
「古来より四という数字は冥府に通じる数とされています。ですから今回、このあやかし荘で起こる心霊現象を調べに来た小槻教授には四つの部屋を見ていただきます。四つの部屋。四。四つ目の部屋は死界に続くかもしれませんね」
 玄関をくぐって、モーリスは着物の裾を洗練された動きでおって、床に膝をつくと、小槻教授のために来客用のスリッパを出した。
 小槻教授はモーリスの計算し尽くされたような優雅で美しい動きの一つ一つに胸をときめかしながら、それに答える。
「それは陰陽道の考えですな。しかしですね、陰陽道とはさもおどろおどろしい物のように言われていますが、私たち科学者に言わせればあれも立派な科学ですよ。心理学に、暦学って。統計の理論もありますな」
 すらすらと述べる彼にモーリスは大仰に胸の前ですらりとした両手をあわせて、声をあげる。
「まあ、頼もしい。それでは、さっそくその調子で、解いてくださいましね」
 モーリスは小股で足音を立てずにささっと前に歩いていく。
 その後ろをどこか怪しい感じで小槻教授がついていく。
「最初の部屋はこっちですわ」
 と、モーリスが藤咲愛の担当する第一の部屋を紹介しようとした瞬間、
「ん? この歌は・・・」
 どこかからかとても綺麗な歌声が聴こえてきた。しかしそれはその透き通るような美しい声とは裏腹にとても哀しくなる歌詞で・・・。
「レクイエムですわね、これは」
 モーリスは泣きそうな声で、言った。その声になぜか小槻教授が泣きそうになる。
 どうやら歌声は愛の部屋の2つ隣の部屋から聴こえてきている。
「この部屋からか?」
 小槻教授は部屋のドアに耳をあてながら、言った。
 と、その彼の声がドア越しに中に聞こえたのであろうその瞬間に、部屋の中から聞こえてきていた歌声が途切れた。
 がちゃりと部屋のドアが開く。
 中から出てきたのは同じく濃紺色の着物を着た妖艶な女であった。そして彼女を見た小槻教授はとても驚いた表情を浮かべる。
「き、君は藤咲君」
「どうも小槻教授。お久しぶりです」
 小槻教授はそのブルドックによく似たいかつい顔に懐かしそうな笑みを浮かべた。
「中から歌が聴こえてきていたようですけど・・・」
 愛はにっこりとしかし、その赤い髪に縁取られた妖艶な美貌に陰のある表情を浮かべながら髪を耳の後ろに流した。
「まあ、ちょっとあったのよ」
 と、言って、そして彼女は訝しげに眉根を寄せる小槻教授ににこりと微笑む。
「小槻教授。実は第一の部屋はあたしが担当する部屋なんですのよ」
「ほぉー、君がかね? この私のゼミでAAAの成績を前期・後期考査で続けて取得した君がいったいどんな物を見せてくれるのか実に楽しみだよ」
 モーリスが小槻教授に見えないように逸らした顔にとても楽しそうな笑みを浮かべたのはそう言われた愛がにんまりと今まで浮かべていた知的な表情から、女王の表情を浮かべたからだ。これが漫画なら彼女の赤い両目はきらりーんと光っているに違いない。
 そして彼女は何かを押さえているような声で囁きながら、
「あたしの部屋は見る、じゃなくって、体感する、って感じかしら〜、小槻教授ちゃん♪」
 にこりと笑うと、愛は着物の帯を外し始めた。
「な、なな」
 それに驚くのは小槻教授。彼はあらわになっていく愛の白い肌やたわわな胸に興奮しだしたようだ。ごくりと生唾を飲み込む。
 が、すぐに彼は自分が誰と一緒にいたのかを思い出す。慌てて真っ赤にした顔を俯かせて恥らうモーリスをちらりと見て、彼は壊れた玩具のように両手を振った。
「い、いかんぞ、藤咲君。き、君は私の教え子だ。聖職たる教師という身分についている以上、元とはいえ教え子とそんな関係になどなるつもりはない」
 くるりと半ターンして、そう彼は毅然と言い切った。
 そしてモーリスに弁解する。
「ち、違いますぞ、モーリスさん。私は清廉潔白な聖職者。いかがわしい不埒な真似などはしません」
 小槻教授は言い切った。そして彼女の中で上がったであろう自分の漢度を想って、にんまりと笑う。
 だけど同時に部屋に響いたぱしんと、鞭がしなる音にすぐにその表情を呆然とさせた。
 鞭がしなる音?
 小槻教授は不思議そうに振り返った。そして大きく顎を落とす。
「な、ななな、なんじゃその格好は?」
 肩にかかる赤い髪を後ろに払いながら、べろりと舌で唇を舐めながら愛は挑発的に逸らした美貌に営業用の女王様スマイルを浮かべる。
「お仕事の格好ですわ」
「お、お仕事ぉ?」
「そう、お仕事。あたし、藤咲愛は誰が呼んだか今では歌舞伎町にあるSMクラブ『DRAGO』のナンバー1女王様、ひと呼んで夜の赤い蝶。さあ、小槻教授。あんたの理論、正しいかどうか、この女王様がためしてやるから、こっちにおいで」
 完全に表情も口調も営業用に変えて、愛は今まで触れた事の無い世界にびびりまくる小槻教授の手を引っ張って、自分の部屋に連れ込んだ。
 ひとり廊下に残されたモーリスは頭を掻きながらくっくっくと笑う。
「な、なななななぁぁぁ」
 部屋の中から聞こえてきた彼の声にさらにモーリスはけたけたと笑った。
「参ったね、これは。面白すぎだよ」
 そして最高の嫌がらせをしてやるために部屋に入っていく。
 時折、バラエティー番組などで見るSMの道具が所狭しと置かれた部屋。そこで木馬に乗せられた教授は愛に背中をばしばし叩かれていた。その顔のなんと幸せそうな事か。
「まあ、小槻教授」
 モーリスは最高の演技をした。純粋培養な生娘のごとく真っ赤な顔を両手で隠してみせる。
「あぁああぁぁああああ、モ、モーリスさ・・・ん、私は・・・・・・」
 女がベッドの上であげる嬌声にも似た声を木馬の上であげながら、小槻教授は快感に打ち震える表情と、悲しそうな表情とを代わる代わる浮かべて・・・。
 いつの間に履いたのか、愛にヒールの高い靴で尻を蹴られた小槻教授。
 指の隙間から楽しそうに細めた目でそれを見物しながらモーリスは両手で隠した顔に心底楽しげな表情を浮かべる。
「女王様とお呼びぃぃーーーー」
 愛はサディスティックに笑いながら、鞭で叩き続ける。
 そしてすっかりと新たな快感に目覚めた小槻教授は、ロープで縛られ、正座した腿の上に重石を乗せられ、最後には自分からかつらを取って、剥げ頭に蝋燭を置いてもらった。
 すっかりと愛のSぶりにMに目覚めた小槻教授はメロメロだ。
 剥げ頭の頂点に蝋燭の蝋を垂らしながら、愛は囁く。
「小槻教授。このあたしの能力。わかってもらえたかしら?」
「あ、あああ。わかった。わかったから、今度は背中を鞭で叩きながら、ブタと罵って」
「女王様、お願いします。を忘れてるわ」
「じょ、女王様、お願いします」
 すっかりと下僕に成り下がった小槻教授に愛は満足そうに微笑みながらご自慢の鞭を振るった。
 そしてとてもイイ充実した笑みを浮かべながら愛はモーリスを振り返り、鞭を差し出す。
「どう、あんたもやる?」
「え、え、でも私・・・」
 もちろん、内心ではやるに決まってます、と呟きながら、躊躇う仕草を見せるモーリス。
 小槻教授は木馬の上でうっとりとした目で、モーリスを見つめながら、
「モ、モーリスさん。こんな事をあなたに言ったら、嫌われてしまいそうで怖いのですが、ど、どうか、鞭で叩きながらブタと罵ってください」
 懇願する小槻教授に真っ赤な顔をしたモーリスは純粋培養の生娘がごとく両目を涙で潤ませながら頷いた。
「さあ、モーリス。このブタをいい声で詠わせてあげて♪」
「はい」
 モーリスは顔だけは泣きそうな顔をしながら、心の中では楽しそうに哄笑を上げながら、
「モーリス様ぁとお呼びぃ、この薄汚いブタぁ♪」
 喘ぐ小槻教授の背中を鞭でリズミカルに叩いたのだった。

【風の間】
 充実した笑みを浮かべながら手を振る愛を部屋に残して、部屋から出たモーリスと小槻教授は、ラブホテルから出てくる隣家の旦那と隣家の人妻かのようだった。
「あ、あの、小槻教授。この部屋での事は絶対に誰にも言いませんから、こ、小槻教授も私とやった事は黙っておいてください」
「あ、はい、モーリスさん。あなたとの事は思い出として胸の宝箱にしまっておきます」
 そんな二人を出迎えたのは廊下で二人を待っていた次の部屋を担当する風祭真だ。
 明るい美貌によく似合う橙色の着物を着た彼女は青い瞳を悪戯好きそうに細めながら小首を傾げる。
「あら、二人とも、なんか様子が変ね。なにかあったの?」
「え、あ、いえ、何もありませんわ」
「そうだ。何もないぞ。さあ、早く次の部屋を」
 真は顎に人差し指の先をあてながら小首を傾げた。
「まあ、いいわ。ささ、私の部屋に行くわよ、小槻教授」
 真はにこりと笑いながら、そう言うがしかし、その青い色の瞳に宿る光はどこかものすごく挑戦的な光だった。
「ふ、ふむ。わかっておる」
 ぞんざいな声でそう答えた小槻教授はふんと鼻を鳴らして、足を前に動かそうとする。が、しかしどうしたことだろうか? 前を歩く真に続いて歩くモーリスが後ろを振り返ると、自分についてきているはずの小槻教授がまったく前に動いていない。
「どうしたのかしら、小槻教授。ささ、早く行きましょうよ」
 振り返る真。
 小槻教授は「わかっとる」と叫ぶ。
 しかしモーリスが見るに明らかに彼は狼狽しまくっていた。
(どうなってる?)
 モーリスは首を傾げる。
 一生懸命足を前に動かしているのにしかし、彼の身体は前には動かない。これではまるで・・・
「ルームランナーで走ってるようだな」
 モーリスはよく会員になっているスポーツジムにあるルームランナーで走ってるのだが、一生懸命足を前に動かしているのにしかしまったく全然前に進まないあの様子はまるでそれのようだと彼は想った。そして実はそれは正解なのだ。
 風祭真。彼女は風を操る。古神である彼女のおもてなしは実はもう始まってるのだ。教授の足下と廊下間にごくわずかな隙間を風で作り出し、ルームランナーのごとく歩いても歩いても前に進まない廊下を作り出しているのだ。
 それをこっそりと耳打ちで教えてもらったモーリスはぱちんと手を叩いて、喜んだ。しかしそれを面に出さずに表情だけはとても心配そうに、
「小槻教授、いかがいたしました?」
 部屋の扉の前にまで行っていたモーリスはわざわざ小槻教授の前まで戻ってきて、小首を傾げる。その時はもう腰を曲げてはあはあ肩を揺らして荒い息をついていた小槻教授は、しかし頬をモーリスの髪に、耳をモーリスの吐息にくすぐられた瞬間に、体をぴっしと伸ばして、去勢をはった。
「いや、どうもしておりませんよ、モーリスさん。ただ、足の運動をしておっただけです」
 そう言いながら彼は足を前に恐る恐る動かした。足を大きく前に踏み立たせて、そしてつま先を恐る恐る床につける。今度は前に進めた。
「ささ、小槻教授。第二の部屋はここですよー」
「さあ、小槻教授。こちらに」
 モーリスに手を引かれて、第二の部屋の前に立った小槻教授。
「【風の間】か」
 小槻教授はにこにこと笑いながらなぜか扉から一歩横にどいた真と、彼女に手を引かれたモーリスになんの訝しみも持つ事無く、無造作に扉を開けた。転瞬、
「おわぁーーー」
 まるでストローでグラスの中身を吸い込むかのように彼の身体はものすごい勢いで部屋の中に吸い込まれんとする。
「な、なんじゃこれはぁーーーーー」
 小槻教授は本能で部屋の扉にしがみついた。もちろん、部屋の扉は閉まろうとするから、彼は短い足を懸命に伸ばして部屋の出入り口に足を引っ掛けなければならない。そうなると彼の体勢という奴は弓なりになる。ぐきぐきと彼の腰が鳴るが、しかし手を離せば、彼の身体は部屋の中心でぐるぐると回っている机や椅子、タンスにテレビといった物たちと同じ運命をたどることになるのだから、だから彼は体裁など気にせずに懸命に堪えた。
 そんな彼の様子を見ながら、モーリスと真は形のいい口に軽く握り締めた拳をあててふむと頷く。
「あら、結構頑張るのねー。でもそろそろ扉にしがみつく手が疲れてきたんじゃないかしら? 足も腰も限界でしょうに」
「ほんとにほんとに」
 意地悪く笑いながら真は右手を、表情だけは戸惑うようにしかし心のうちでは笑いこけながらモーリスは左手を担当して扉にしがみつく彼の指を一本一本剥がしていく。
「お、おわぁ、こら、やめろ。やめなさい。モーリスさん、やめてぇ」
 小槻教授が悲鳴をあげるも、モーリスも真も聞く耳を持たない。ああ、哀れなり。小槻教授の手の指すべてが扉から離れた。
 彼の身体は部屋の中に吸い込まれる。
「ぎゃふん」
 モーリスと真が部屋を覗くと、踏まれた雄豚そっくりの声をあげた小槻教授は畳の上に転がっていた。
 モーリスと真、二人はくすくすと笑いながら部屋に入ってくる。
 プライド高く、また彼の心をがっちりと鷲掴みしているモーリスの前だからと小槻教授はいつまでもそんなみっともない姿を見せられるものかと何とか立ち上がろうとするが、しかし・・・
「どうしたんですか?」
 立ち上がれない小槻教授に笑いを噛み殺しながら真がちょこんと小首を傾げる。
 そんな彼女の様子にモーリスはにんまり。この彼女、もう既にまた新たな悪戯を仕掛けているようだ。
 小槻教授は、
「なんでもない」
 彼の顔には渋面が浮かんでいた。
 彼は自分の身に起こっていることがわからない。いったいどんな事が彼に起こっているのかと言うと、実は・・・
「ふふん。動く訳が無いわよね。だって、私の調合した痺れ薬をたっぷりとそのお鼻から吸い込んでもらったんだから」
 くすくすと意地悪く笑う真は仕上げに、ぱちんと指を鳴らした。
 転瞬、彼が、
「ぎゃぁーーーー」
 と、悲鳴をあげて、その大きく開いた口から迸らせる自分の声がうるっさいわけでもないのだろうが、耳を押さえて、畳の上をごろごろと転がり出す。
「なになに、どうしたんですか、小槻教授?」
 こっそりと彼の身に何が起こったのかを教えてもらったモーリスは内心では笑いこけながらしかし、ポーズだけは苦しみもがく小槻教授を心配してみせた。

【故郷の間】
「だ、第三の部屋はこの部屋ですかね、モーリスさん」
「ええ、そうですわ、小槻教授。それにしても大丈夫ですか。随分とお疲れのようですけど」
 すっかりと落ち込んだ小槻教授にモーリスはにこにこと答える。
 そんな彼女に小槻教授も現金な者で、曲がっていた背筋をぴっしと伸ばして、
「どーんと任せてください。この部屋のトリックもこの私が解明してみせますよ」
 と、彼が嘯いた瞬間、突然、声が響いた。
「ふむ、これはこれは頼もしい」
 そこには桃色の着物を着たイヴ・ソマリアがいた。そして彼女はにこりと微笑む。
「それでは私の部屋を小槻教授に見てもらいましょう。でも、その前に、小槻教授。この世界には理解も説明もできない事ってあると想いませんか? 実は異世界からこの世界を調べに来ている者がいるとか?」
 小槻教授は鼻を鳴らした。
「ふん。何が異世界だね。そんな物はありはしないよ。君は確かアイドルのイヴ・ソマリアだね。ん、今度、映画か何かでそんな物でもするのかね、君は? そんな物はくだらん漫画や小説を書いている人間の頭の中だけに存在するものだよ。そんな低レベルな事を言っていたら、いい役者にはなれんぞ。ほれ、この私の書いた『どーんとこい、超常現象』を読みたまえ。他の人間がきゃーきゃーと騒いでいる超常現象のトリックについて書いてあるから。異世界なんぞありはしないよ」
 異世界など無いと言う小槻教授の発言はもちろん、イヴの逆鱗に触れた。
 モーリスはほくそ笑む。
(あー、イヴも修行が足りないね。キレちゃった)
 自分でさんざん家族の悪口を言っておいて、それに同調した聞いていた人間に目の前で自分の家族の悪口を言われた時かのようなにっこりとした笑みを浮かべて、イヴはドアノブを手で指し示した。
「これは【故郷の間】でございます。ささ、ここは小槻教がお開け下さいな」
 ちょっと小槻教授はむっとしたような表情を浮かべながら、ドアノブに手を触れて、
「あ、ちょっと待って下さい。バックドラフト現象があるやもしれませんので、慎重にお開け下さいね」
 にこりと笑ったイヴに小槻教授は小馬鹿にしたように鼻を鳴らして、ドアを勢いよく何の躊躇いも無しに開いた。
 せっかくの忠告に対する小槻教授のあまりもの態度の報いはやはり世の常で悲惨な物であった。
 その転瞬、
「おわぁぁあぁあああーーーーーー」
 ドアを開いた部屋の中に溜まっていた水が勢いよく滝のようにへ? と鳩が豆鉄砲でも食らったかのような顔で立っていた小槻教授を直撃したのだ。迸る水の中で左手で頭を押さえながら彼は悲鳴をあげながら、右手で苦労しながらすぐさまドアを閉めた。
 いったいどこから出したのか、開いた傘を身体の前に広げていたモーリスとイヴはにこりと笑う。
「ああ、大雨注意報でしたわね♪」
「びしょ濡れですわね、小槻教授」
 小槻教授は口の中に入った小魚を咳といっしょに吐き出しながら、目を白黒させた。
「な、なんなんだ、この部屋は水道管が壊れているのかぁ?」
 しかし、イヴはまったくもって相手にしない。
「あらあら、服がびしょ濡れ。乾かさないとね。今度こそ、バックドラフトにお気を付けてくださいましね♪」
 にこりと笑ったイヴは小槻教授が何かを言おうと口を開きかけた瞬間に部屋の扉を開けた。
 瞬間、扉を開けた部屋から飛び出したのは肌が焼けるような熱風だ。それだけで全身ずぶ濡れだった小槻教授の服は乾くが、
「おわぁーーー。火事ぃだーーーー」
 今度は部屋の中が火の海だった。小槻教授は焦りまくった声で叫びながらドアを閉めた。爆ぜる炎の火の粉はまるで生きているかのように閉まるドアの隙間から小槻教授の黒々とした豊かな頭の毛に舞い飛ぶ。
 イヴはわざとらしくにこりと笑いながら、
「あら、なんか焦げ臭くありません、小槻教授?」
「あら、ほんと。焦げ臭いですわね。まるで何かの化学繊維が燃えているみたい」
「焦げ臭い? それよりも私はなんだか頭が熱いよ」
 その場に腰が抜けたようにぐったりと座り込んでいた小槻教授は何気なしに頭に手をやった。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・やって、
「ぎゃぁーーーーー」
 悲鳴をあげた。なんと彼の頭が燃えているのだ。
「まあ、大変。小槻教授の髪が燃えているわ。これはまた部屋のドアを開けねば」
「そうですわ。イヴさん、早く」
 イヴはわざとらしく狼狽しまくった声をあげながら、部屋の扉を開けようとして、それを見た小槻教授は悲鳴をあげながら、手が焼けどするのもかまわずになんと燃える髪の毛を手で掴んだ。そう、彼はかつらだ。
「ま、待てぇ! 早まるな。もう頭は燃えておらん」
 燃えるかつらを放り投げて、小槻教授は叫んだが、イヴはにこりと笑って、
「水道管が破裂してるんですよね?」
「そうそう。小槻教授がそう言ってるんですから、きっと水がたくさん出るんですわ」
 と、ドアを開けた。
「ま、待てぇーーーー。水道管が破裂した部屋の後に部屋が燃えていただろぉぉぉーーーー」
 それはつまり部屋のドアを開けるたびに部屋の中が変わっていたことを認めたという説明で、そして、
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
 彼は大きく口を開けたまま固まった。
 迸る水は無かったが、しかし彼の体は濡れていく。べっとりと。
 空気が飽和しきれぬほどに満ちていく獣臭の中でモーリスは、着物の袖で鼻と口を隠しながら、べとべとになっていく小槻教授をやはりけたけたと笑った。
 
【酒池肉林の間】
「さあ、小槻教授。死界に繋がるかもしれない最後の部屋はここですわ」
 風呂上りの小槻教授にモーリスはにこりと艶やかに微笑んだ。
「う、うむ」
 今までの部屋ですっかりとびびりまくっている小槻教授は固い表情で頷きながら鬼が出るか蛇が出るか、恐る恐るドアノブを回してドアを開けた。
 しかし・・・
「はぇ?」
 いったいどれほどの勇気を振り絞っただろう? しかしドアを開けた部屋から飛び出してきたのは甘い花の香りと、美味しそうな料理とお酒の芳醇な香りだった。
 思わず眼鏡の奥にある目を点とさせてしまう。
 哀しいかなそれでもどこかなにかあるのではないのかと疑心暗鬼に苛まれる彼はちょんちょんと右足のつま先で部屋の敷居を恐る恐る踏んでいたのだが、
「どうかいたしまして、小槻教授」
 小首を色っぽく傾げさせながらそう訊くモーリスに小槻教授はごほんと咳払いをすると、大学教授らしい傲慢そうな表情を浮かべて、しかし身体のうちにあるノミの心臓は早鐘のように鳴り響かせながら、彼は部屋へと入った。
 その部屋は畳張りの純和風の部屋であった。いぐさの良い香りが鼻腔をくすぐる。
「良い部屋だな」
 彼はしみじみと言った。
 アロマテラピーという言葉を知っているだろうか?
 当然、モーリスはその手の事についてもプロであった。そして彼によって計算され尽くした香りは小槻教授の疲れた心を癒した。
(そう。落ち着きなさい。心の奥底からゆったりと落ち着いて、今までの何もかも忘れてしまいなさい。人は絶望に麻痺した状態で不幸に見舞われても、心を満たす絶望と諦め、投げやりな想いがその不幸をなんとも思わせない。かえって不幸な自分に浸り、満足してしまう。そう、それではつまらない。だけど幸福の頂点にいる時に奈落の底に落とされるような悲劇に見舞われたら? その時は、人は本当に心底ダメージを受けて、立ち直れない。その表情を私に見せてください)
「ささ、小槻教授。お座りくださいな」
 モーリスは小槻教授に席を勧めた。
 そして彼を上座に座らせると、
「さあ、グラスを」
 小槻教授は勧められるままにグラスを持たされて、ビールを注がれた。
「おととと」
 グラスから溢れそうになるビールの泡を慌ててグラスにつけた口で啜る。
 そして彼は横目でちらりと自分の太ももに白くしなやかで小さい手を乗せるモーリスを見ながら、ビールをいっきにあおった。
「わぁー、すごい。すごい」
 モーリスは手をぱちぱちとさせて、声をあげた。そして「ささ、もっともっと飲んでくださいまし」
 と、彼のグラスにビールを注ぐ。小槻教授は調子に乗って、どんどんとビールを喉に流した。
「うん、美味いなこのビールは」
「はい。私の勤めている所の主が作らせている最高級のビールですのよ」
「ほぉー。こだわっているのですな」
 彼はごくごくとまた注がれたビールを飲んだ。
 そんな彼にモーリスは艶っぽい微笑を浮かべながら訊く。
「そうそう、小槻教授。実はそのうちの上司が最近、なぞなぞが大好きになりまして今、私、彼に宿題を二つ出されていますの」
「ほほう。なぞなぞですか」
 小槻教授はモーリスに豪快に胸を叩いて請け負って見せた。
「まあ、そのなぞなぞという奴を私に出してください。解いてみせますよ」
「まあ、嬉しい。それでは問題。車やゴルフにはあって、バイクや卓球には無い物はなんでしょう?」
「な、なな?」
 どうやらわからないようだ。
「モーリスさん。次の問題を」
「では、次は5−3=2 8−9=11 9+6=3 さて、では、8+6=? ?には何が入るでしょう?」
 にこりと笑うモーリスに小槻教授はしかめっ面。酸素不足の魚のように口をぱくぱくとさせている。
 そしてモーリスは人差し指一本立てて、にこりと笑って、
「これは私からの問題です。私は実は出会ったその瞬間から小槻教授に隠し事をしています。それは何でしょう?」
「ふ、ふむむ?」
 小槻教授は眉根を寄せながらモーリスを見るも、その目はモーリスの美貌と、豊かな胸を見るうちにまったく違うものになっていた。
 目で陵辱されているのにモーリスはにこにこと笑いながら鯛のお刺身を箸で摘まんで、気にせずにそれを小槻教授の口に運ぶ。
「まあ、時間はまだまだありますわ。美味しいお食事を食べながら考えてくださいまし。この料理は【丼亭・花音】の雇われ店長さんである風祭真さんと藤咲愛さんが拵えたんですのよ。さあ、どうぞ」
「うむ。美味い」
「まあ、見てください。教授。この海老、まだ生きてますわ」
 モーリスはぴちぴちと動く海老を手で取って、頭をもぐと、慣れた手で、皮を剥ぎ、足をもいだ。
「さあ、あーんしてくださいな、小槻教授」
 勧められる度に顔をだらしなく崩しながら、それを食す小槻教授。
 そしてデザート。
 モーリスは着物の懐からメスを取り出すと、それを華麗に指先でくるくると回しながら、ケーキを切った。
「あらあら、口の周りにクリームが」
 着物の袖を押さえながらモーリスはもはやどうしようもないほどにだらしなく崩れまくった小槻教授の口の周りをハンカチでふいた。
「ふむ。しかし、この企画はどうしようもなくくだらない企画だったが、この部屋は別格。別格。モーリスさんは美人だし、料理もお酒も美味い。花の香りも良いし。まるで天国かのようですね」
 帰り際、部屋の扉を開けた小槻教授は人差し指の先で眼鏡のブリッジを押し上げながら、にこりとご機嫌そうに笑った。
「それで、あの、モーリスさん。もしもよろしければこの後に今度は私が常連になっているホテルのバーに行きませんか?」
 その後に何を期待しているのか、小槻教授は鼻の穴を広げて、モーリスを誘った。
 これにモーリスは微笑んで、
「ええ、私が出したなぞなぞに答えられたらね。それで先ほどの3つはわかりました?」
「ふむ。わかりましたぞ」
 小槻教授は胸をどんと叩いて豪快な笑みを浮かべる。
「最初の答えがドライバー。運転手は車はドライバーで、バイクはライダーですからな。ゴルフもドライバーがあります。二問目は2です。二問目は時計だったんですな」
「なるほど。それで三問目は?」
 鬼の首を取ったかのように二問目の説明をしていた小槻教授。しかしモーリスにそう言われた瞬間にとても残念そうな表情を浮かべた。それはまるで飴を取られた子どもの表情だ。しかし、モーリスが意地悪く笑っているのはその表情がおかしいからではなく、
「ああ、OK。いいですよ、別に。答えはこういう事です」
 小槻教授の眉根が怪訝そうに寄せられたのは今までたおやかで清楚な微笑を崩さなかったモーリスがにんまりと微笑んだからだ。その笑みは彼にイヴに知恵の実を食べるように勧めたヘビは絶対にこんな笑みを浮かべていたに違いないと確信させるような笑みであった。
 彼はすっかりとその笑みにノミの心臓を再びばくばくさせながら、
「モーリスさん?」
 と、彼女を呼んだ。彼女? いや・・・
「はあ? えっと・・・」
 小槻教授は大きく口を開けた。なぜなら、彼が瞬きしたその一瞬に、
「最初に出したなぞなぞ二問の答えはわかっても、ずっと私があなたに仕掛けていた悪戯にはとうとう気づけなかったようですね♪」
 スーツを着込んだモーリスはどこからどうみても男であった。そう、リライト=彼は自身の姿を思うままに変化可能なのだ。
「罰ゲームです」
 ぱちんとモーリスが指を鳴らした瞬間に、アークが発動する(アーク=霊的・有機・無機に関わらず閉じこめる檻を創造。視界内なら可能)。
 実は小槻教授は先ほどまでの女であったモーリスに惚れていた。惚れていたからこそ、彼は絶望のどん底のまたそのどん底に陥れられた。
 檻の中の彼を見つめるモーリスはにこりと微笑んだ。悪魔が天使を装って人の前に現れるというのなら、それは今のモーリスにそっくりであろう。

【ラスト】
 あやかし荘の前でスタンバっていたテレビ局の番組スタッフが小槻教授にどんなに話し掛けても、彼はそれに反応してくれなかった。すかっりと彼は魂を吸われてしまったかのようで。
 そんな彼に再びリライトで女性となったモーリスが艶っぽく唇を動かしながら、囁く。
「もう少し、あやかし荘にいた方が良いのではなくて、小槻教授」
 小槻教授は顔を蝋のように白くさせて、車の中に逃げ込んで、そして不思議そうなスタッフの視線の先で、モーリスは口元を手で隠しながらたおやかにくすくすと笑った。

 結局、あやかし荘対小槻教授はお蔵入りになったそうだ。



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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】
 
 2318 / モーリス・ラジアル / 男性 / 527歳 / ガードナー・医師・調和者

 0830 / 藤咲・愛 / 女性 / 26歳 / 歌舞伎町の女王   

 1891 / 風祭・真 / 女性 / 987歳 / 『丼亭・花音』店長・古神

 1548 / イヴ・ソマリア / 女性 / 502歳 / アイドル歌手兼異世界調査員

 
 
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■         ライター通信          ■
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 こんにちは、モーリス様。
 今回担当させていただいたライターの草摩一護です。
 今年もよろしくお願いいたします。

 さてさて、今回のあやかし荘は草摩作品初の集合型ノベルだったのですが、いかがでしょうか?
 もしも満足していただけていたら作者冥利に尽きるのですが。^^

 モーリスさんのリライト能力を有効活用させていただいて、小槻教授にはこれ以上ないぐらいのトラウマを抱いてもらいました。
 女の格好を装っていたモーリスさんにはべったりと女性らしさをアピールしながら小槻教授をもてなし尚且つ同時に彼をいたぶっていたわけですが、こんな感じでよろしかったですか?^^
 僕としては大変楽しんで書けました。こういうスケベ男の愚かしさと哀れさを書くのは本当に楽しいものです。^^
 男になったモーリスさんを見た瞬間の小槻教授はいったい、どんな顔をしていたのでしょうね?
 ぜひとも見てみたいものです。^^

 そして今回は集合型であるがゆえの楽しみもあるわけで、微妙に謎にされているエピソードや、能力、悪戯はそれぞれのキャラさんのノベルでわかるようになっていますので、そちらも合わせて楽しんでいただけたのなら、幸いです。
 
 それでは今回も本当にありがとうございます。
 またよろしければ、書かせてください。
 失礼します。