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<東京怪談ウェブゲーム 神聖都学園>


学食紛争:伝説のカレーパンをゲットせよ

Opening:風雲告げる神聖都
ある日の神聖都学園の朝。

いつになく織田義昭と瀬名雫は燃えている。
ため息をつく長谷茜に訊いてみると…、
「何でも神聖都で大人気だという伝説のカレーパンを今度こそ手に入れるとかって」
何でも、人気メニューであるカツサンドや焼きそばパンを遙かに凌ぐ人気で「伝説」など付けられている。
過去に、あまりの人気で恐ろしい流血沙汰もあり発売停止にもなったそうだ(ぉぃぉぃ。
其れを端から見ていれば、ばかばかしいことこの上ない。
しかしだ…美味しい食べ物ならそうなるものだろう。

現実学食の総菜パンを巡る戦いは熾烈を極めるものだ。下手すれば安物メロンパンという寂しいことになる。

「織田さん!絶対2人で伝説の味を堪能しなくては!」
「そうだね、雫ちゃん!」

ため息をつく茜に…無表情の茂枝萌がいた。

―いきなりですが、茂枝萌さんに質問。
「なに?」
―ところで、君は学食?お弁当?
「お弁当作る時間ないからから、学食だけど、普通に定食を頼むから関係ないよ」
―模範的回答ありがとうございましたm(__)m


1.カレーパン杯・神聖都学園クイズ
神聖都学園内や購買部に沢山のポスターが貼られていた。
「なんだ?これ?」
伝説のカレーパンを買いたい生徒と教師、そして噂を駆けつけた部外者も其れに目を通す。

『カレーパン杯・神聖都学園クイズ
伝説のカレーパンの購入に辺り、購入券を手に入れなければなりません。そのためには昼休みに特別購買所でクイズの出題が行われます。其れを全問正解した先着20名のみが伝説のカレーパンの購入権利を得ます。購入希望者は特別購買所を設けておきますのでそちらに向かって下さい。
                              購買部』

いきなりの事なので、ブーイングが飛ぶ。しかし、決定事項でもあるし、下手にこじれると自分が買えないと言う事もあるから渋々受けることにする。
「へぇー」
と感心しているのは、織田義昭と榊船亜真知、白衣の門屋将太郎ぐらいだ。
「全校生徒規模のテストだろ?テスト内容の予想はつくさ」
と将太郎はにやりと笑っている。
「この勝負(?)俺のいただきだな♪」
と口笛を吹きながら、自分の仕事場に戻っていった。
「ま、俺も問題ないや」
義昭も榊船亜真知余裕な態度であるが、隣にいる瀬名雫は青ざめていた…。
「あ、あたしダメかも」
「どうして?」
「あたし、テスト苦手…」
「テストじゃないさ、クイズだよ?」
「おなじよー」
「大丈夫ですよ〜。でもわたくしも頑張らなきゃいけません」
榊船亜真知もこのクイズに対しては只単なる傷害物にしかならない。
本体は宇宙船なのだから其れぐらいの回答などあっという間に解けるだろう。

教員室では、各出題の内容のチェックしている綾和泉匡乃がいる。
「こんなものでしょう」
出題内容は、知恵を働かせれば誰にだって解ける問題だ。たとえば、バスの出入り口でどの方向に向かうか問題やマッチ棒を1〜2本動かすだけで指定の形にする問題である。下手に微分積分や相対性理論という難解なものだと購買部に迷惑がかかる。そして分数計算問題を入れて難易度を少し高くする(意外に分数計算は四則計算のオンパレードで難しいのだ)。
20個限定ではあるが、これでふるいをかければ、昔にあった流血事件にはならないと思われるだろう。

カレーパンの話でため息をつく可愛い高校生が1人。
「あのカレーパンまた出るのか?おいおい…あの時もパンを巡って大変な事になったのに…(苦笑)今回は何もなければいいのだが…」
と、内心ブルーである。
過去に、カレーパン流血事件の当事者でもある不城鋼である。顔に似合わずかなりの強者な為、有りとあらゆる伝説を持つ男の子だ。いまでは引退し、普通の高校生で居るのだが、伝説が一人歩きしている。
流血事件でも、単に暴れ出した輩を一喝し当て身を喰らわせただけなのだが、其れが
「総番が、武装派不良集団666名を壊滅させた」
「カレーパン強盗を軒並み始末した。その数1327名」
などと、変な誇張で伝説とされている。
その功績(?)で購買部から警備の依頼が来るのであった。
「しかたない…クイズもあるだろうけど、あくまで権利だからな…何が起こるか分からない」
と、彼は空を眺めて又ため息をついた。
雲が流れる空、雲と雲の隙間に茶色い毛並みの生き物が見え隠れしていたのは疲れている所為だろうか?


2.休憩時間
中庭で、長谷茜と茂枝萌、瀬名雫がひなたぼっこをしていた。
しかし、会話は全くない。無表情の茂枝萌と、ため息をついている瀬名茜、そして意志消沈している雫が居る。そして、雫に品物を届けるためにやってきた鹿沼デルフェスがやってきた。
「どうかなされました?」
雫に訊ねるデルフェス。
「デルフェスさん…それはね…」
と、ため息混じりに雫が言う。
「そうですか、其れは困りましたね。1人1個というのは普通ですし」
と困った顔をするデルフェス。
「テストと思わない方が良いのではないでしょうか?」
「それ織田さんにいわれたよう」
と半泣きの雫。
いい加減諦めたらと言う顔の茜であるが、少しだけ同情しているようだ。
「頑張って全問正解するしかないよ、雫ちゃん」
「うん…頑張る」
未だ悄気る雫だった。
「織田様は?」
と、デルフェスが聞くが、
「よしちゃんは…多分屋上で寝てます」
と、茜が言った。
「一日の大半は寝て居るの、よしちゃん。でも、成績は良いのよね…何故かしら」
と、遠くの方を見る茜だった。

一方、亜真知は過去にカレーパンを購入した人を探していた。しかし誰も知らないと言う。
「どうしてなのでしょう?」
と、首を傾げる亜真知。考え込んでいると、角で高校生と当たりかける。
「あ、ごめんなさい」
「おっと、此方こそ」
と、お互い上手く避けたので何も大事に至らなかった。
「何か考え事?」
と高校生は聞いた。しかし学生服が高校と分かるだけで身長は亜真知と同じかそれ以下だ。
「ひょっとして、噂の不城さまですか?」
「え?あ、そうだけど?」
既に有名人なので鋼はそう言うことには嫌でも慣れてしまった。
「あの〜。伝説のカレーパンについて分かっていることありませんか?流血事件の関係者ですから何かご存じかと」
「ああ、其れはなぁ」
と苦笑する鋼。
すると、
「きゃ―っ!鋼様よ!」
「うわ!ヤバい!此処から離れよう!」
鋼は自分の非公式ファンクラブに見付かり、焦る。
「何!女の子が話している!あたし、話しかけられたこと無いのにぃ!」
遠くの方で、亜真知に聞こえるぐらい大声でいやみったらしく叫んでいる。
「場所を変えないと!」
「どうしてです?」
慌てている鋼に、呑気にしている亜真知。
「いや、なんていうか…」
と、しどろもどろになっている鋼。
くすっと笑う亜真知は指を一振りして、2人とも一気に姿を消した。
その場を見ていたファンクラブの女の子は唖然とした。

転移の行き先は、義昭が昼寝をする場所だった。
「おはよう、亜真知ちゃん、総番とデート?」
のんびり欠伸をして転移してきた亜真知と鋼を迎える義昭。
「総番は止めたんだけど…」
と、ぽつりと突っこむ鋼。
「何か苦労して居るみたいだね。初めまして、俺、織田義昭」
義昭はベンチから降りて、握手を求める。其れに応じる鋼。
「あ、そうでしたわ。伝説のカレーパンについて教えて頂かないと」
と、亜真知は手を打って思い出したように言う。
「伝説のカレーパンについては購入者が全然分からないんだ」
と鋼は言った。
「どうしてですか?」
「もし購入して浮かれてはしゃぐとどうなるか想像出来るだろ?」
鋼の答えはそうだった。
「ああ、妬まれてしまうって事かパン強盗に遭うんだな。食い物の恨みは恐ろしいと言うからね」
「そうですかぁ、一寸残念です」
購入者も分からない。味も分からない。きっと美味いのだろうと誰もが狙う。単なるカレーパンではないのは確かだが、かなりの噂が付いてしまった可能性も考えられない訳ではない。鋼もそういった経験をしている。
「クイズに合格してからだな」
と、のんびり構えている義昭だった。
「ですね」
情報が手に入らなければ自分で勝ち取るしかないと覚悟した亜真知。
「2人とも狙っているのか?」
「そうです」
「君ら2人なら問題ないないよな…」
即答され、ため息をつく鋼だった。


3.クイズ開始
昼休みが始まった。
地鳴りのごとくカレーパンを求める生徒や部外者が、特設購買室に向かう。其処は、プレハブの大きな建物で、入り口と中に購買室へ繋がる入り口と失格者用出口、購買室とその出口という形になっているカレーパンだけではなく一応のその他の人気総菜パンやジュースも売っている。
参加人数その数一杯。数える気にもならない。この中から約20名がカレーパンを手に入れる事が出来るというわけだ。クイズの答案はマークシート。これも時間を考えてのことだ。
「やっぱり簡単じゃねーか」
と、この群れの先頭で、ラフな格好に白衣姿の門屋将太郎は得意げにクイズの答案を埋めていった。鋼と茜は、特別購買入り口の前で待機している。腕に「警備員」の腕輪が付いている。
雫はもうカレーパンのことより目の前のクイズが訳分からなく目を回している。カンニングなど一切認可出来ないため自力で解くしかない。もっとも脱落者が出てくれば嬉しいと思っている物が多いので誰も教えてくれはしないだろう。頼みの綱の義昭と亜真知、そしてデルフェスも周りにいなかったのだ。
解いた者は、教壇にいる匡乃の前に設置しているマークシートをチェックする機械に差し込むのだ。
列が出来ないように、数台おいている。お手伝いで、茜が居たりする。
「皆、必死だなぁ」
「しかし、これで流血沙汰や問題が起こらなければ良いですよ」
回答を埋めた生徒がマークシートに答案を差し込む。しかし、不正解の「ブー」と言う音が聞こえ
「はい、失格〜出口はあちら〜」
と、茜に追い払われる。
文句を言おうにも、神様御用達ハリセンを持っている茜と鋼が見えたので、渋々帰っていく失格者。
その数と同じように正解者もいて、購買券を手に入れている。
その中で様々な喜怒哀楽を見せる生徒や部外者達の顔が茜にしては楽しかった。
義昭、亜真知、デルフェス、門屋は問題なくクリアし購買券を見事手に入れた。
「チョロいもんだ(能力使わなくて良かったぜ)」
「皆さんよかったですねぇ」
「でも雫ちゃんが…」
と義昭が指を指す方向に雫が居た。
当の雫は、
「ブー」(機械の音)
「え〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ?!」
やはり自信が無かったためか不正解により失格…。トボトボと出口に向かっていった。

そして最後の独りが決まったので
「終了です〜♪これでカレーパン杯・神聖都学園クイズを締め切りま〜す☆」
と、茜が声高らかに宣言した。
それでもブーイングが飛ぶ購買希望者。
「そんなのアリかよ!もう少し増やしてくれよ!」
「こっちは4時限目さぼってまで此処で待ってたんだぞ!」
と屁理屈や言い訳にもならないブーイングが飛ぶ。
「「うるさい、黙れ!」」
鋼と茜のステレオ一喝が飛んだ。
少しプレハブが揺らいだのは気のせいだろうか?
流石に気合いの入った猛者2名に叶わないので(元・総番と、ハリセンで恐れられている女の子、オプションに凄腕天然剣客付き)渋々帰る失格者達だった。

そして正解者20名は無事にカレーパンを手に入れたのだった。
鋼はカレーパン強盗の可能性を考え、義昭達以外の購入者を護衛する。
匡乃のこの手段がなければまた流血沙汰になっていたことだろう。
因みに、門屋を襲う強盗どもは、彼のスリッパで撃退され、カレーパンのことを一切忘れさせた。
だいたい臨時教諭でも襲ったら退学モノという事すら忘れさせるほどこのカレーパンは恐ろしいモノらしい。義昭や亜真知を襲う者ははっきり言っていない。気が付いたら中に放り出されていることが多いからだ。

今回は流血沙汰にもならず、鋼と匡乃、茜のおかげで無事に争奪戦は終わったようだ。


4.カレーパンのお味は?
「う、美味い!」
門屋将太郎は驚いた。
「今まで食ったことがないカレーパンだ!」
兎に角説明出来ないカレーパンの旨さであり、感激のあまり涙する。
まるで嫌なことすらも消え去りそうな旨さだ。
「今度も絶対手に入れてやるぜ!」

怪奇探検クラブ部室でも、同じ事が起こっている。
義昭と亜真知が感激に涙しているのだ。
「美味い!これが伝説のカレーパンなんだ」
「本当美味しいですわ」
しかし、雫は悄気ていた。
義昭は其れを見かねて、少しカレーパンを分けてあげた。
「え?いいの?」
「約束だから、一緒においしさを堪能するって」
「あ、ありがとう!」
雫の顔が明るくなった。
「仲がよろしいことで」
と、イヤミったらしく言う茜がいた。
「其れで十分なら私の作ったお昼ごはん入らないよね」
「ま、待ってくれ、俺を飢え死にさせるつもりか!」
「ふーんだ」
亜真知は、この3人のやりとりをクスクス笑って見守っていた。

鋼と匡乃は購買部のおばちゃんからお礼として、本来限定20個だったはずの伝説のカレーパンを貰っていた。驚く2人。
「あれ?数に限りがあるって」
「いえね、今回、発注数は少し多めに注文しているんです。いい人にはあげようかと、親しくなった常連さんにはこっそりと購入して貰うとかね。でも、これは内緒ですよ」
「では、ありがたくいただきます」
「あ、あのハリセンのお嬢さんにも伝えて下さいな」
「はい、分かりました。ありがとうおばさん」
と、意外な報酬を貰って少し嬉しい鋼だった。
―実は食ったこと無かったんだよね。
匡乃も今食べても何だから、アトラスにネタとして提供するのも良いだろうと考えていた。

1人で萌は学食の定食を食べていた。
「萌様、横よろしいでしょうか?」
「デルフェスさん?」
横にすわる、デルフェス。
少しぎこちなくなる萌。
「萌様、食べ盛りだからこれを」
と、紙袋を渡す。
「何でしょう?」
と、よく見たらカレーパンだった。
「これって?」
「良いから食べて下さい。」
にっこり微笑むデルフェス。
萌は袋からパンを取り出し、一口食べた。
「美味しい。ありがとうございます」
大げさな表情はしなかったが、美味しい笑みを浮かべる。
デルフェスはその笑顔がとても愛おしく感じたのだった。


End

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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【1522 門屋将太郎 28 男 臨床心理士】
【1537 綾和泉・匡乃 27 男 予備校講師】
【1593 榊船・亜真知 999 女 超高位次元知的生命体・・・神さま!?】
【2181 鹿沼・デルフェス 463 女 アンティークショップの店員】
【2239 不城・鋼 17 男 元・総番】

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■         ライター通信          ■
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滝照直樹です
『学食紛争:伝説のカレーパンをゲットせよ』に参加して頂きありがとうございます。
綾和泉様のクイズ形式の妨害がなければ、血の戦場となっていたかもしれません。
そして、参加者皆様は無事伝説のカレーパンをゲットできました。おめでとうございます。

綾和泉匡乃様、不城鋼様初参加ありがとうございます。

又機会が有れば、お会いしましょう。

滝照直樹拝