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『心地よい戸惑い』
打ち合わせた三つのグラスが奏でたガラスの澄んだメロディー。
そのメロディーにあわせて歌うようにその夜は朝まで三人で他愛も無い事を話し合った。
香ばしい料理の香りに、芳醇なワインの香り。それに友人というスパイスを加えれば、何時間だって笑い合える。
セレスティ・カーニンガム。
彼はその銀の髪の下にある鉱物の結晶を削って作った精緻な彫刻かのような美しい顔にやわらなか微笑を浮かべていた。
そう、三人でラスベガスに行って、そこで不正を行い、旅行者をカモっていた三流のマフィアを潰し、夜通し笑いあったその時間は確かなとても大切な思い出となった。
・・・。
しかし、時にはその楽しい時間もそれよりも大切なモノを想う気持ちの前では、重い重石になる時もある。
・・・。
「はぁーーー」
黒塗りのリムジンを運転する運転手は、セレスティが吐いた重いため息に表情を凍りつかせた。
「あ、あの、総帥。わ、私は何かをしましたでしょうか?」
狼狽しまくった声は、しかし思考の海で溺れるセレスティには届かなかった。
いよいよ運転手の顔が蒼白を通り越して、白くなる。
「あ、あの、総帥・・・」
恐る恐る胸を満たす不安と恐怖を音声化させた運転手。
だがしかし、その吐き出された運転手の声すらもセレスティには届かない。ただ、丁度タイミングよく、というか、タイミング悪くと言うか・・・
「すみませんが、」
と、セレスティが口にした瞬間に、
「うわぁ!!!!!」
運転手はまるで丑三つ時に墓場に独り立たされている所に、背後から氷のように冷たい手で首筋を触れられた時かのように悲鳴をあげて、咄嗟にブレーキを蹴るように踏みつけた。
リムジンは悲鳴のような甲高いブレーキ音をあげて、急停止する。幸いな事にリムジンだけあって、後続車との間隔は充分すぎるぐらいにあったので、事故には発展しなかった。
「ど、どうしたのですか?」
普段のセレスティならば、ここまでは動揺もしなかったし、座席からずれ落ちるなどという事もなかっただろう。しかし、彼は・・・
・・・はっ。
セレスティは突然、最前まで深い苦悩かのような表情が浮かんでいた美貌になんとも言えないただただ純粋な苦笑というものを浮かべた。
自分はどうしたのだろう?
何かが狂ってしまったのだろうか?
どこかが欠けてしまったのだろうか?
『どうして、あなたは誰も人を愛そうとしないのですか?』
……縛られるのが嫌だったから。
『あなたは人を必要としないのですね・・・』
……他人になど頼らない。他人の力など、存在など必要とせずとも自分で何でもできてしまうから。他人になど依存する必要はない。
『あなたはとても優秀な人だわ。でもその優秀さがどうしようもなくあなたを独りにしているのですね…』
……独りというのが自分の優秀さを表すというのなら、独りなど大いに結構。かまわない。
『あなたに愛していると言わせてやりたかったわ』
……絶対に誰にも言いませんよ。
脳裏に蘇る過去、幾度となく出会っては袖にしてきた女性たちの顔が浮かぶ。
別に人恋しいなどとは想ったことはなかった。
女性…もしくは、男性と肌を重ね合わせるのは、別に愛を育むための行為ではない。かと言って快楽を求めていた訳でもない。ただ、それがビジネスの一環だっただけだ。
これまで星の数ほどの女性や男性と唇を重ね、肌を重ねてきたが・・・心を重ね合わせたことはなかった。
そう、彼は・・・
望まない。
触れさせない。
私の心は私だけのもの。
私は私が誰かの物になるのを好まない。
望まない。
誰かに名前を呼んでもらう事に幸せなんて感じない・・・。
「そう、それが私の絶対の価値観だったのですよね。それが・・・」
セレスティは顔にかかる乱れたプラチナかのような髪を無造作にだけどそれでも洗練されたような美しい仕草で掻きあげると、その美貌にとてもとても優しい表情を浮かべた。
人が人に優しくなれる時は、
人が変わる時は、
どんな時?
「あ、あの、総帥、すみません」
運転手は運転席を飛び出すと、アスファルトの上に額をこすりつけて、土下座した。
昔のセレスティならば果たして、彼にどんな態度を取っただろう?
額を擦り付けた運転手がセレスティに謝ってから数秒…彼にとってみればその永遠とも想われる時…、リムジンのドアが開けられた。
そして、アスファルトの上にこつんと杖がつかれ、
シートに座っていたセレスティが出てくる。
そして彼は、アスファルトに片膝をつけると、運転手の肩をぽんと叩いた。
やさしく子どもを宥めるように、問い掛けるように、彼は声を紡ぎ出す。
「急停止の事は構いませんよ。事故がなくて何よりです。さあ、運転席に行って、車を出してください。すみませんが、ヴィヴィが通う大学に向かってくれませんか」
「え、あ、はい」
リムジンは走り出す。
セレスティは、車の窓から後ろに流れていく窓ガラスの向こうの風景を眺めている。
だけどどうしようもなく優しい彼の青の瞳はそこを見ていてしかし、そこを見てはいなかった。彼が見ているのは脳裏に焼きついたかわいらしく優しい笑み。
プラチナかのような銀色の髪、
情熱と言う言葉を持つルビーかのような赤い瞳、
透き通るような白い肌、
かわいらしくあどけない美貌、
「ヴィヴィ、か」
ヴィヴィ。
ヴィヴィアン・マラッカ。
それが、
そう、
セレスティの想い人。
彼は恋をした。ヴィヴィアン・マラッカに。
その出会いは偶然と言う名の必然だと、彼は想う。
自分は彼女を待っていたのだ、と大げさでも冗談でもなく、そう想う。
純粋でかわいらしい人だ。
日本では泣き女と呼ばれるバンシー。だけど彼女は落ちこぼれ。笑い上戸の泣き女。必須アイテムは玉ねぎ。
それを聞いてつい、声に出して笑ってしまったら、彼女はかわいらしく頬を膨らませた。赤い瞳を、大きく見開いて。
そして自分はきっと、銀色の前髪の奥にある青い瞳をやわらかに細めて、膨らんだ彼女の頬にそっと手を触れて、困ったように、だけどどうしようもなく彼女が愛おしくってかわいくってたまらないという表情で彼女に謝って。
そんなのはポーズではやった事はあったけど、本心からは彼女にしただけ。
絶対的だった優秀なる自分にプライドを持つ自分の価値観。だけどその価値観が笑い上戸の泣き女に本当にどうしようもなく簡単に変えられてしまった。
それは苦痛だった?
いいや、苦痛ではなかった。
彼は他人とは距離を置いていた。
他人に自分の心には触れさせなかった。
それはひょっとしたらどこかで、
自分の何か・・・そう、彼が彼であるための絶対的に大切な何かが誰かによって変えられてしまうのが怖かったからかもしれない。
だけどヴィヴィアンによって、かつては絶対零度の永久氷壁だったような心はゆっくりと溶けて、やわらかくなっていた。
変わっていく価値観。
変わっていく自分。
孤独でありたいと望んでいた自分が、今はどうしようもなく隣にヴィヴィアンがいつまでもいてくれていることを望んでいる。
そう、あの自分がだ。
愛を知って、変わってしまったのは、喪失感を怖いと想うようになったこと。そう、セレスティは、ヴィヴィアンが自分の下から離れていく事を何よりも恐怖した。
だから、彼は言おうと想う。昨夜、自分が女性をエスコートした事を。自分は本当にヴィヴィアンを愛するから。彼女にいつまでも隣にいて欲しいと望むから。だから・・・
「それにしても気が重い。どうやって、彼女に言いましょうか?」
そう、運転手はずっと自分が朝から様子がおかしかったセレスティに何か決定的な失敗をしてしまったと恐れていたようだが、彼は、ずっと昨夜の女性をエスコートしてラスベガスに行ってしまった事をどのようにヴィヴィアンに謝罪するかを考えていたのだ。
しかし、これまでのツケとも言おうか、彼女にどう説明し、謝ればいいのかが思いつかない。
そしてリムジンは、ヴィヴィアンが通う大学の前に停まった。
ヴィヴィアンにどう謝ればいいのかわからぬままにセレスティはリムジンから降りた。
周りの女子大生(この大学の女学生はレベルが高いので有名なだけあって、校門の前でセレスティを出迎えた女子大生は誰もがそこらのアイドルよりも美人であった)がセレスティに感嘆のため息を漏らすが、セレスティはアウト・オブ・眼中でキャンパスの中に入っていた。
時刻は夕方の4時05分。
今日は木曜日で、この曜日はヴィヴィアンは3講義目までしか取っていないはずだから、講堂内にあるカフェで学友とお茶をしているか、それとも図書館でレポートのための本を探しているはずだ。
とりあえずはカフェに向かってみようと、そちらに足を向けようとしたセレスティの視界に入ったのは校門からすぐの所にある、第2校舎。その下にある掲示板。
大学生にとっては朝と夕方の掲示板チェックは必須行為である。
だからこの時間に掲示板の前に学生がいるのは当たり前で、そしてその中にヴィヴィアンもいた。
だけど、セレスティの顔にまるで幼い子どもかのような拗ねた表情が浮かぶ。
その訳は普段のセレスティには考えられぬが、しかし恋愛初心者のセレスティにとってはらしかった。
そう、ヴィヴィアンが、男子学生と楽しそうに笑いながらしゃべっているのだ。
セレスティはものすごく面白くない。
眉根が無意識に寄る。
胸が苦しい。
痛い。
心がざわつく。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そして、嫌になるぐらいにそんな自分に抱く自己嫌悪。
「・・・」
彼はむっつりとしながら、頭を掻く。なんとなくタイミングを逃してしまったようで、彼はその場に立ちつくしてしまった。
ヴィヴィアンはとても楽しそうに笑っている。かわいらしい唇に軽く握った拳をあてて、くすくすと。
赤い瞳は相手の男の唇の動きに合わせて、大きくなったり、細まったり。
身長が高くっても、細身の体と銀色の髪に縁取られたそばかすの浮かんだかわいらしい顔がとても彼女を愛らしく見せて、そしてだから両手を壊れた玩具のように大きく振って、全身で会話の楽しさを表す彼女は・・・
・・・しかし、本当に見ていて、面白くなかった。だからセレスティはそんな自分に自己嫌悪を抱くし、そして・・・
「やはり、私はヴィヴィには相応しくはないのかもしれませんね」
彼は寂しげに笑って、身を翻した。
楽しそうに笑うヴィヴィアンに背を見せる。
そう、ずっと彼は他人を拒絶していた。
袖にしていた。
他人になんて興味が無かった。
だから、セレスティはどうしようもなく実はヴィヴィアンに自分がどう接すればいいのかわからなかった。
これが今まで、私に対して好意を抱いてくれた人たちに取ってきた仕打ちのしっぺ返しですか・・・
これはしょうがないのかもしれない。人間の言葉でいえば、自業自得。因果応報。結局、自分はヴィヴィアンをとても心の奥底から必要とするけど、しかしヴィヴィアンのような笑顔が似合う魅力的な女性ならば、彼女に好意を抱く男性は星の数ほどいるだろう。
そう自分にとって、ヴィヴィアンはとても大切な女性で、もう彼女じゃなければ自分は絶対に嫌で、幸せにはなれないと想うけど、彼女は自分ではなくとも・・・
「セレ様ぁーーーー♪」
それは春に吹くそよ風かのような心に心地よい声。
深い雪に閉ざされた世界に温かい日の光の香りを運んでくるようなそんな声。
セレスティの足が無意識に止まる。
そう、そのソプラノはそれだけの力を持っているのだ。
耳に届く軽やかでリズミカルな足音。
ふわぁっ、とセレスティの髪がほんのわずかに舞い上がったのは、ヴィヴィアンがものすごいスピードで、彼の横を通り過ぎたから。
「おっととと。行き過ぎた」
ヴィヴィアンはゴスロリファッションと呼ばれる黒のフリルのスカートの裾と、腰まである長い髪とを軽やかにワルツを踊るように翻らせて、苦笑いを浮かべるセレスティを振り返る。
「セレ様ぁ♪ どうして、ここに?」
嬉しそうな声。ふわりと包み込んでくれるような温かな微笑み。
泣き声とは、泣き顔とは、
対極なモノ。
だからセレスティの胸を満たしていたモノはすべて一掃されてしまう。
彼は微笑んで、
騎士が姫に接するように、ヴィヴィアンに手を伸ばす。
「姫をお迎えに」
「まあ、嬉しい」
ヴィヴィアンはにこりと笑って、スカートをほんのわずかに持ち上げて、小さくお辞儀。そして、セレスティの手をかわいらしく頬を桃色に染めて、取る。
だけどセレスティは気づかなかった。気づいてあげられなかった。腰の後ろに回されたヴィヴィアンの手が辛そうに後ろでスカートを震えながら掴んでいたのを。
セレスティとヴィヴィアンを乗せたリムジンは有能な庭師に管理を任せているリンスター財閥の庭園の前で停まった。
有能な庭師に管理された庭園は、緻密な数学と心理学、色彩学に基づいたモノだ。
その庭園の真ん中で、ヴィヴィアンは佇んでいる。
夕暮れ時の時間。
世界は橙色の光りのカーテンに包み込まれる。
それはとても温かく優しい光。色。
ざざざぁー。ざざざぁー。
風が吹く。
ざざざぁー。ざざざぁー。
花が揺れる。
ざざざぁー。ざざざぁー。
季節の色とりどりの花びらが空間に舞う。ひらひら、と。ひらひら、と。
夕暮れ時。
誰ぞ、彼? 前方にいる人の顔さえ見えない、明度の低い光に覆われた時間…黄昏時。
夕方は一日で一番やさしく綺麗な時。
だけど、冬の夕方は意味もなく、とても・・・哀しくなる・・・・・・。
ヴィヴィアンの得意技はマシンガントーク。バンシーなのに? なんて笑わないで…。彼女は今、必死だったから。この綺麗だけど、とても物悲しくなる美しい夕暮れ時の庭園と言う空間を、唇から紡いだ言葉で埋めるのに。
だって、そうでもしないと・・・
セレ様が、あたしを置いて、この橙色の光に満たされた空間に溶け込んで消えてしまいそうだから・・・
「ヴィヴィ」
セレスティは優しい声で言う。
銀色の髪を、夕暮れ時の風は、花びらと一緒に遊ばせる。夕方の光を浴びて金色に輝く長い髪にくすぐられる首筋は、ほんとならとてもくすぐったいはずなのに、その小さな胸を締め付ける痛みの前では透明で・・・。
「それでね、セレ様。その大学の教授たっら・・・」
ヴィヴィアンはセレスティに何も言わせまいと、言葉を紡ぐ。
「ヴィヴィ。私の話を聞いてください」
「いやぁ」
そして、一陣の強い風が夕暮れ時の世界に吹いた時、ヴィヴィアンはヒステリックな声で悲鳴をあげるように叫んだ。セレスティはとても驚いた表情を浮かべる。
そしてヴィヴィアンは小さな手で両耳を押さえて、まるで幼い子どもがイヤイヤをするように顔を横に振った。
感情を押し殺した掠れた声で言った。
「いやよぉ。聞きたくない。別れ話なんて聞きたくない。あたしはぁ・・・あたしはぁ・・・」
「え、あ、ちょっと、待ってください、ヴィヴィ」
そしてセレスティはその哀しい響きに塗れた声に慌てふためく。本当に。
「私は、私は・・・誰が、別れ話なんて・・・・・・そう、誰が・・・」
言える訳がない。考えられる訳がない。この自分が、みっともないぐらいに焼きもちをやくほどにヴィヴィアンに恋焦がれているのに。
そして表情と言うのは、瞳と言うのは、口から紡ぎ出すどんな言葉よりも痛いほどにその心を伝える言葉。
「だって、セレ様。あたしを迎えにきてくれて・・・だって、あたしに背を見せて、あたしを無視して帰ろうとして、ずっとずっとずっとずっと黙って、何かを言いにくそうにしていて、だからあたしは・・・」
彼女は赤い瞳からぽろぽろと涙を零して、握り締めた拳で幼女のようにその頬を伝う涙をぬぐいながら、押し殺したしゃくり声を上げ始めた。
誰だって理解できる。それが本当の涙だって。そう、恋愛初心者のセレスティにも。
ああ、私は馬鹿だなー。
また、私は彼女に対して、罪を犯すところだった。
傷つけるところだった・・・
・・・いや、傷つけてしまった。
どうして自分はこんなにも彼女に想われているのに、その想いにもっと余裕を持てないのだろう?
ふんぞり返れないのだろう?
どうでもいいことには本当に世界中を敵に回してだって、確信を持てるのに?
セレスティは戸惑う。
だけどその戸惑いは嫌いではなかった。
むしろ、とても心地よい。
まるで母の腕の中で抱かれている時かのように。
「すみません、ヴィヴィ。そうじゃない。そうじゃないんです。聞いてください」
ヴィヴィアンは俯かせていた顔をあげる。
夕暮れ時の光を浴びながら微笑むセレスティの顔を見つめる。
黙って、彼女は、ただ、セレスティの言葉に耳を傾ける。
「その、実はすみません。謝ります。昨夜、親友の女性をエスコートしました。い、いや、決してその女性と二人きりだったわけではありませんよ。ちゃんと、その女性の恋人も同伴でした。ただ・・・」
「ただ?」
ヴィヴィアンはセレスティの言葉を繰り返す。
「ただ、それでも他の女性をエスコートしたと言う事実をヴィヴィ、あなたに隠しておくことに我慢できなかった。私はいつもあなたに素直にいたいと望むから。あなたを失うのが怖いから」
最後の言葉だけは口の中で呟いた。
そしてヴィヴィアンは、頬を伝う涙をセレスティの人差し指で拭われながら、ぷぅーっと頬を膨らませる。
「あたしに言う事はそれだけですか?」
どきっと心臓が跳ね上がった。本当はもうひとつ。
掲示板の前であなたと楽しそうにしゃべる男の友達に思いっきり嫉妬しました
だけど、セレスティはさすがにそれは恥ずかしすぎて言えなかった。
そしてヴィヴィアンはくすりと微笑む。
彼女は腕組みして、はぁー、と、大きくため息をする。
そしてとても意地悪そうにだけどどうしようもなく魅力的なまでにかわいらしく、そしてセレスティへの愛しさを感じさせる笑みを浮かべて、
「今回は素直に浮気を告白した事に免じて許してあげます」
う、浮気って、思わずそう口走りそうになって、
ヴィヴィアンに、ん? と、睨まれて、
そしてセレスティは、くすりと笑って、
「すみません。もうしません」
頭を下げる。
そんな彼にくすくすと笑うヴィヴィアン。
その笑みは心の奥底から、先ほどの彼女が掲示板の前で浮かべていた笑みよりもとても楽しそうで、幸せそうだと想う。
うん、そう確信できる。
だからセレスティは想うのだ。
自分はもっと、安心していいと。
図に乗っていいと。
彼女がその笑みを見せてくれるのは自分にだけだから。
「さあ、セレ様。浮気の罰として、今日はあたしに付き合って下さいね♪」
絡み付くヴィヴィアンの両腕。
「はい。わかりました、ヴィヴィ」
頷くセレスティ。
この恋はまだ始まったばかりで、
そして恋愛初心者ゆえに、
今まで抱いた事の無いような想いに、
戸惑うけど、
本当にそれは心地よい戸惑い。
セレスティは心の奥底からそう想う。
そして、それはヴィヴィアンも一緒。
二人の恋の物語はまだ始まったばかり。
**ライターより**
こんにちは、セレスティ様。いつもありがとうございます。
そして、プレイングでの感想、本当にとても嬉しかったです。
こんにちは、ヴィヴィアン様。はじめまして。
今回担当させていただいたライターの草摩一護です。
こちらの方にもコメントを寄せさせていただくことにしましたので、どうぞご付き合いしてくださいませ。
セレスティさん、恋をしたのですね。
あの、セレスティさんが・・・。
ですから、腕によりをかけて書かせていただきました。
恋愛初心者のセレスティさんの苦悩とか、
不器用さとか、
セレスティさんの心をゲットしたヴィヴィアンさんの愛らしさとか、を。
本当にセレスティさんでこんなお話を書かせていただけるなんて嬉しい限りです。名前も知らない男子学生に嫉妬するセレスティさんは書いていて、本当にとても楽しかったです。お気に入りです!
どうでしょうか? 今回の二人の恋物語、お気に召してくださっていたら嬉しい限りでございます。
それでは本当にありがとうございました。
失礼します。
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