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<東京怪談ウェブゲーム あやかし荘>


信じられない!三下がくじを当てた!

【Opening:世界の終わり?】
あやかし荘ではパニックになっていた。
特に嬉璃が恐ろしがっている。
「せ、世界の破滅が近づいている!」
「あー、信じられへん…あんたもう運つかいはたしたわ」
「今までの運が爆発したのかも…もう更に人生終わりっぽいね」
柚葉が哀悼の意を述べた(早すぎだ)。
歌姫は「我は終わりの歌〜」と泣きながら歌う。
なぜ、此処まであやかし荘の連中が驚き騒いでいるか
商店街で三下が何となく福引きで特賞の温泉旅行を当てたからだ。
しかも、豪華な旅館での二泊三日。混浴露天風呂。
とうの三下忠も驚いている。
「誰か一緒に行きませんか」
と誘うものの、嬉璃達は遠慮している。それどころか逃げる。彼の不幸反動が怖いからだ。
因みに幸運量保存の法則(誰が作った)で考えると三下の不幸はこの分だと計り知れないものになる。
三下は若くして死んでしまうかもしれない。皆を巻き込むかもしれない。
ただ1人あやかし荘で参加をするのは管理人の因幡恵美だった。
「三下さんが折角誘って下さったのですから行きます」
「ありがとうございます、管理人さん」
「ヤメロ!恵美!命がいくつあっても足りないぞ!」
嬉璃達はもう三下から五メートルは離れて恵美を止めるが…効くわけはなかった。
後数人、参加出来るようなので、うきうきしている三下は、誰を呼ぶか考えた。
恵美も温泉好きな友人を呼ぼうと考える。

さて、この温泉どうなる事やら…。

【1:それでも集まる温泉好き】
三下の当てた温泉旅行と聞いて眉を潜める参加者は多いが、流石に無料で行ける温泉三昧の旅という誘惑には負けていた。天薙撫子、大曽根千春がそうである。
「大丈夫ですわね…ええ」
「でもぉ、あたしぃ…かわうそ?さんが酷い目に遭う夢を見たんですけどぉ」
と、いつもの着物姿の撫子、千春は予知無のことを、かわうそ?にそのことを話す。
「いやー。いやー」
と、かわうそ?らしいナマモノは泣いて逃げたがるが、既に何者かによって首輪を付けられており強制行動の様子である。
既にブルーの入っている、人造六面王羅火という、多頭赤龍(人間形態である)が恵美達の安全を守るために参加している。既に背中に暗雲が立ちこめていることで、どれだけ嫌かを肌で感じさせるほどだ。
「一体全体…なぜにわしじゃ?」
と、ブツブツ言っている。
「おぬしの不死の身体で恵美達を守ってやってくれ、頼むぞ」
と、嬉璃からの依頼のようだ。
羅火はため息を又一つ吐く。そのため息はかなり暖かく、地面を急激に暖めてしまい、冬眠中の蛇が春と勘違いしたのか顔を出してビックリしていた。
白兎みつきは、どうも先日あやかし荘に遊びに来てから風邪を引いているらしい。皆が無理に参加しなくても良いというのだが、
「お風呂に入れば治るよ、きっと」
と、言って辞退しなかった。
しかし内心は、
―これが三下さんの不幸かなぁ。
と怖がっている。
三下が半径1.5メートルに来ただけで、彼女はクシャミをした。
すると、少し19〜20程の女性(みつきからすればお姉さん)に変身してしまう。
「あうー」
「だ、だいじょうぶですか?」
三下は心配している。
「でもついていくよ〜」
と、意地でもお風呂に入りたい様だ。
最後に、一番お気楽なのは鈴代ゆゆ。
―鈴蘭の精で、お花は下のおうちにあるし、これも本当の体じゃないから大丈夫♪
と、思っており、
「みんな、早く行こう!」
彼女は大はしゃぎだった。
「行きましょうよ、皆さん」
三下もうきうきとして皆を呼ぶ」
しかし、彼女にも何らかのトラブルに巻き込まれるのは彼女自身知らなかった。


【2:不幸は続くよ】
電車に揺られ、バスにも揺られ、他愛のない会話で皆が三下の不幸など忘れていた頃である。
一寸良い感じの温泉旅館に無事たどり着き、男と女と部屋の分担を終了し、一息ついているときであった。
女性の部屋では、少し身軽になった千春と撫子、恵美。また途中で数回クシャミをして今では14歳ぐらいになったみつきがお茶を飲んでいた。ゆゆは、何時も持っているお気に入りのジュースを飲んでいた。
「一応無事につきましたねぇ」
千春が、外の綺麗な景色を見て言う。
「大丈夫じゃないよう」
みつきが反論。もう鼻をかむことで鼻が真っ赤になっている。
「だから無茶しちゃダメなのに」
と恵美が、みつきに上着を掛けてあげた。
撫子が不意に何かゆゆの気がおかしい事に気付く。
「ゆゆ様?大丈夫ですか?」
「え?あ…きゃー!」
ゆゆは間違えて、ジュースではなくエルハンドから貰った人間になるクスリを飲んでいたのだ。
幻術がとけ、素っ裸の美少女になる。
そこで最悪にも
「おい、大丈夫か!?」
羅火がノックし忘れ戸を開けた瞬間
「見ないで!」
と、ゆゆの投げたお盆が羅火の眉間にクリーンヒットして彼は豪快に倒れた。
「これが三下の不幸?!」
と泣いてしまうゆゆだった。
何とか浴衣でごまかした物の、どうも効果時間が終了していない模様。
「このままずっとこの身体なの?」
動き慣れない人間の身体を触って不安に感じるゆゆであった。


【3:トラブル続きの三下との旅行】
ゆゆは、馴れない人間の身体でフラフラ歩いていた。
「うう、これが三下さんの不幸反動?…」
彼女は三下が幸運になると他の人が不幸になることを鵜呑みにして怖がっていた。彼女はブツブツ言いながら、ジュース販売機まで向かうのだが、誰かとぶつかって見事に倒れた。
その相手は、三下だったのだ。
「あ、ゆゆちゃん!大丈夫」
ぶつかった勢いで、倒れるゆゆにそっと手を伸ばし手伝う三下。
ビクビクしているゆゆは、おずおずと手をとる。
「あ、ありがとう」
ゆゆは、礼を言ってから先に進もうとしたが、何でもないところで転んで、顔面を思いっきりぶつける。
「あう〜」
三下に又手伝って起こして貰い、何とか自動販売機までたどり着いてジュースを買おうとしたのだが、ジュースは全部売り切れていた。
「え、そんなぁ」
と、がっくり肩を落とすゆゆであった。

みつきの風邪は酷くなる一方で、旅行中でも三下に近づくたび身長がかなり伸び縮みすることから、必要以上の大きさの浴衣を着る。
「三下さんにあっても、大丈夫だよね…これで」
しかし、大きさが大きさなので良く転ぶ良く転ぶ。
その様は、可愛いのか可哀想なのかどっちつかず。しまいには何とか逃げてきた、かわうそ?がやってきてみつきを手助けしての移動になった。

羅火にとって、かなり災難が続いているようだ。
旅行の支度をしっかりしたはずなのに、何か大事な物を忘れていたりとまぁ良くあるパターンなのだが、何故か、何もないところで転けたり、酔っぱらい客に絡まれて喧嘩になる前に相手の力のない拳でノックアウトされたりと、龍族としては不名誉な事が続いていた。
彼の考えでは、おそらく三下が彼の幸運を吸い取っているに違いないと思っている。
確証はないが。
「とんでも無い温泉旅行じゃ…まったく…これがあと2日続くのは勘弁だ…」


【4:露天風呂で大騒ぎ】
かわうそ?はガクガク震えていた。
千春の予知無はかなりの確率で当たる。流石のこのナマモノをこれで終わりかと思っている様だ。呑気に三下は露天風呂に入ろうという支度をしていた。
「かわうそ?さんもどうですか?」
「いやー、いやー」
と、首を振るナマモノ
「折角来たんですから」
と、三下はナマモノと会話する。
「早々、ワシはえらい目に遭っているのだが…」
羅火が頬に手をあてて戻ってきた。
「ど、どうしたんですかぁ?!羅火さん」
三下は驚く。
「…いや、気にするな。今から風呂ならワシも入る」
ブツブツ羅火も風呂の支度をすることにした。

一方、女性陣もまた旅の疲れを癒すために露天風呂にはいるという。
「混浴だけど気を付けた方が良いですね」
と、恵美が言う。
「え!混浴なのですか!?」
千春がビックリして…数秒沈黙…そして顔が真っ赤になった。
「恵美様、教えてなかったのですか?」
「いえ、教えたはずなんですが…」
と、首を傾げる恵美と撫子だった。
ゆゆは、まだ身体になれてなく、フラフラして危なっかしい。

一足先に露天風呂に着いたのは、女性陣。
なかなか良い感じの露天風呂で、皆バスタオルで身体を隠して身体を流し、湯につかった。
「いい気もちいぃ。良いお湯!」
と、恵美は感嘆の声を上げた。
「気持ちいいですねぇ」
「ええ、気持ちいい良いお湯ですわ」
「風邪が治りそう♪」
「やっぱり来て良かった〜」
と、三下の不幸のことなどさっぱり忘れる女性の方々。
特に風呂にはいるまでは、色々あったゆゆにしてもみつきもすっぱり忘れている。
他の客は誰もいない。こうなると、女性は羽目を外す感じになるわけで…、やはりこの辺は、女性の憧れの身体のスタイル話で花が咲くと言うものだ。
「千春さんって良いスタイルしていますね〜」
と、恵美が言う。
「え〜そんなことないですよう」
赤面する千春。高校生の中でもかなり豊満な少女なのだ。
「羨ましいなぁ」
恵美は、千春にちょっかいを出す。
「あう〜やめてぇ」
「あらら、恵美様も良いスタイルしていますわよ」
撫子は、千春を庇う様に恵美に抱きつく。これは又意外で大胆な行動だ。
「きゃぁ、な、撫子さん」
と、3人は赤面や笑いながらじゃれ合っている。
他の2人、ゆゆは気持ちよすぎ、みつきはクシャミをしないがぼけーとしている。
「いいそらだねー」
「うんそうだねー」
「これは普通の温泉旅行なら良いのにねぇ」
「そうだねー」
と、気持ちよすぎて気の抜けた会話をしていた。

じゃれ合う3人のおふざけは更にエスカレートして、子供の遊びの様になっていった。
身体を纏っていたバスタオルは単に身体に張り付いているだけの状態で、湯船で立って遊んでいる。
そんなとき、
「しつれいしますぅ」
「今は行って大丈夫かのう?」
三下と羅火が露天風呂に入ってきた。
そのタイミング、千春と撫子、恵美3人のバスタオルが身体からはだけてしまい…。
其れをもろに見た男性2人。
「きゃ――――――――!!」
温泉全体に悲鳴が轟いた。
桶が飛び、石けんも飛び交う戦場と化す混浴露天風呂。
「ま、まて!落ちつけ!三下何かお主も…って何―!?」
羅火は三下にも援護を頼もうとするが、三下はある物を見たショックのあまり鼻血を出して失神していた。
「この事は忘れて下さい!」
撫子の声が羅火の耳に届く。
とても鈍い音…そして……。

気が付いたら、羅火と三下は布団の中だった。
「わしら何故寝ているのだろうな?」
「わ、わかりません」
大きなたんこぶを作っている羅火、いつもより青ざめている三下。
確か露天風呂に向かっていた記憶はあるのだが、その後がどうしても分からない。
思い出そうとしても、頭痛で思い出せない。
彼らの手当をしているかわうそ?は
「そろそろ、夕餉の時間、どうする?」
と、訊いてきた。
「そうかもうそんな時間のなのか…」
「いきますか…」
と、浴衣を着直して、食事をする場所まで移動する2人だった。


【5:ゆゆどんより】
気まずい状態の夕食と思ったが、2人にはあの時の記憶が無いようなので、女性陣は楽しく過ごしていた。
ただ、みつきとゆゆは極力三下を避けるようにして移動するため、転けしまったりクシャミで大きくなっての災難続き。
「はう〜」
人間の姿になったので、滅多に食べることの出来ない人間の食事を口にして行き場のない怒りを抑えているゆゆと、又飲んべえになっているみつき。しまいには、どんちゃん騒ぎとなっていた。
なんとか、無事に済んだ一日なのだろう。
しかし、ゆゆは元気がなかった。もうとっくに効果時間が切れているはずの変身のクスリがまだ残っているからだ。
―ひょっとして?丸一日分以上飲んじゃったの?
寒気が走る。親友が、前に渡してくれた人体変化の薬を無駄使いしたことが何よりもショックだった。
「どうしたんですかぁ?」
と、すっかり出来上がって上機嫌の三下を見たゆゆは、
「ばか―!」
と、怒鳴りつけ、部屋に走って戻るゆゆ。
しかし、途中で躓きころんだ。

最終日まで、布団の中で「エルハンドごめん〜」と泣いて過ごすゆゆであった。

【6:それ以降のこと】
やはり、幾度か三下の不幸反動に遭う一行。何もないところで躓く、着替えを野生生物に盗られてしまう、カラスが睨んで鳴く、タライが頭に落ちて気絶、着替えている最中に男性に見られる等という小さなトラブルが続いた。
しかし羅火は、みつきの風邪をうつされ高熱でうなされたあげく(半日で回復)、不埒な輩を退治したのにも関わらず、覗きという無実の罪を着せられ、非難を浴びせられたり(誤解は2時間ほどで解けたが)、露天風呂の岩が崩れに下敷きになったりと、他の者より酷い目にあっていた。
しかし、彼の側にはいつも三下か、かわうそ?が居たような記憶がある。
「ひょっとして…あのナマモノが受ける災難を背負っているのか?」
と、1人考え込む彼であった。

なんとか、あやかし荘に戻ってきた一行、みつきの風邪も治り、ゆゆはいつもの姿に戻った。
トラブルがあった物の、楽しい一時だと思われる。
「やっぱり、三下さんの不幸を受けたんだね…みつきちゃん」
「だねゆゆちゃん」
2人は肩を落として言った。

千春は、かわうそ?が全く災難に遭ってないのを聞いて。
「よかった、予知夢がはずれて…よかったね、かわうそ?さん」
「うぃ、よかった」
と、笑っていた。

三下は結構楽しかった様子で皆にありがとうと言っている。

あのあと、数日後のこと
三下が大声であやかし荘に帰ってくる。
「やったー!また福引きで今度は『ヨーロッパ5日間の旅』の旅行券をあてましたぁ!」
「え――ッ!?もう勘弁してぇ!」
三下の不幸反動で世界が滅びるのは近いかもしれない…。


End


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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【0170 大曽根・千春 17 女 高校生】
【0328 天薙・撫子 18 女 大学生】
【0428 鈴代・ゆゆ 10 女 鈴蘭の精】
【1538 人造六面王・羅火 428 何でも屋兼用心棒】
【2099 白兎・みつき 5 女 バケウサギ…って職業じゃない】

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■         ライター通信          ■
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滝照直樹です。
『信じられない!三下がくじを当てた!』に参加して下さりありがとうございます。
色々な災難の数々を書いて下さって、楽しく書かせて頂きました。

人造六面王羅火様初参加ありがとうございます。

では機会が有れば又お会いしましょう。

滝照直樹拝