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<東京怪談ウェブゲーム 神聖都学園>


学園七不思議を探せ?!

神聖都学園レクリエーション愛好会が掲示板に一枚の張り紙を出したのがすべての始まりだった。
『求む!学園七不思議に挑む者!!』
夏でもないのに七不思議?と誰もが通り過ぎる。
その張り紙にはこう書かれていた。
『好奇心旺盛なあなた!我が学園にははっきりとした七不思議がありません!』
『そこで、あなたの手で七不思議を見つけてみませんか?!』
『発見した七不思議は新聞部と共同編集で学園新聞に掲載します!』
わざわざ探さなくても…と、ツッコミを入れつつ通り過ぎる生徒達。
しかし中には足を止める者もいるようで…。



「いっやー!!ありがとう!集まってくれて!」
 レクリエーション愛好会の会長、新堂・愛輔が満面の笑みを浮かべて大声をあげた。
深夜に忍び込んでいると言うのに大声をあげる彼。同行していた愛好会員の女子生徒が驚いて周囲を見渡していた。
慌てて、愛輔に向けて「静かに!」と制したのは、龍神・吠音(たつがみ・はいね)。
2年程前から会長の新堂宅のお隣さんである。
彼は今回、高校中退した事もあり、このチャンスにちょっと学園に忍び込んでみたかったらしい。
愛輔に誘われた事もあって、今回参加したのだった。
「龍(たっ)君がいてくれると何かあっても安心だから!ね!」
「おい新堂…龍君って言うなつってるだろ。一応、年齢的には俺は先輩」
「いいじゃないか龍君!なんで今更照れるのさ。僕と龍君の仲じゃん!」
 どんな仲だよ!と、吠音は内心ツッコミながらも、まあ親しみを寄せてくれている事は悪くはないし、
年齢も一つしか違わないわけで。何より、普段から愛輔にはそう呼ばれている事は確かなわけで。
「それからね、今回…僕がチャットで知り合ったこちらの…」
「如月・縁樹(きさらぎ・えんじゅ)です。宜しく」
 黒一色のパンツスタイルに見を包んで、微笑みながら頭を下げる。
一見すれば特別変わったところもない普通の女の子に見える彼女なのだが…
『チャットで知り合って夜の学校に忍び込みか?暗い連中だぜ』
「こら!静かにしてろって言ったでしょ、ノイ」
 足元にくっついている、五十センチくらいの…人形・ノイに、全員は視線を集中させていた。
腹話術にも見えない事もないが、それにしてはそんな雰囲気も見えないし、会話も自然に交わしている。
それに…操っている仕種は一切ないのだが、勝手に動いて喋っているのだ。
「あ、気にしないで下さい…話を続けて下さい、アイスさん」
 縁樹は愛輔にそう声をかけた。どうやら、普段チャットで愛輔はアイスとHNを名乗っているらしい。
「えっと…それじゃあ、次は…」
「倉前・沙樹です…新堂さんとは共通の友人がいて…」
「そうそう!それで今回は剣道の練習試合にうちに来て、たまたま掲示板見て参加してくれたんだ」
 嬉しそうに説明する愛輔。
どうやら、掲示板を見て参加を希望してきたのはこの倉前・沙樹1人だったらしい。
それゆえにかなり嬉しがっているようだった。
「私はそんなに詳しいわけじゃありませんけれど…面白そうだな、って思ったので…」
「宜しく、倉前さん。俺の事は吠音でいいですから」
「大丈夫!僕もそんなに詳しいわけじゃないですから…縁樹って呼んで下さい」
「こちらこそ宜しくお願いします。あの、私も沙樹で構いませんので」
 三人は互いに挨拶を交わし、それぞれの顔や名前をしっかりと覚えると、愛輔に顔を向けた。
今回のリーダーは彼である。仕切りも全て、彼にかかっている。愛輔はコホン!と、咳払いを一回。
「それじゃあ開始します!今回は、話をしてもらいながら…その”場所”に移動します!
話し終わった頃にその怪談が起こるという”場所”に到着している…そんな趣向です!」
 それでは皆さん、足元に気をつけて出発しましょう〜!と、愛輔は意気揚々と歩き始めたのだった。


■第一談:

 まず最初は、愛輔の同好会会員の女子生徒の話からだった。
「皆さん、月並みですけれど…校庭を走る銅像の怪談ってご存知ですよね?
小学校なら、二宮金次郎がメジャーですけど…中には創設者の銅像だったり、
展示している美術品の銅像だったり…様々です。そしてこの学園でも…」
 校庭に向かい、視線を誰もいない広い空間に向けながら女子生徒が話を続ける。
「深夜零時をまわると、校庭にひたひたと足音が聞こえ始めて、やがてその足音の主が姿を見せると言うものです。
その足音の主と言うのが…昔、この学園の美術部に所属していた生徒が作っていたというヴィーナスの石膏像です」
 話を聞きながら視線を校庭に向けていると、本当に足音が聞こえてくるように思えるから不思議である。
時刻も、いつの間にか零時を過ぎていて…条件的には申し分なかった…が。
「美術部のその生徒って言うのが、その石膏像を完成させる前に事故で無くなったそうなんですよ…足を切断されて」
「うわ…」
「だから…自分の作っていた石膏像に憑り依いて、走っているんじゃないか…って言う噂です」
 静かに言う口調と、僅かな街灯の灯りに照らされていることも手伝い、
女子生徒の表情が白く闇に浮かび上がって、まるで少女自体が恐ろしいもののように見えた。
「まあでも、噂ですし。何も起こりませんね、残念」
 肩を竦めて言う女子生徒。全員はほっとした気分半分、
ちょっと物足りない気持ち半分で次の場所に移動する事になった。

■第二談:

 次に向かったのは、園芸部が使っているの花壇。
「園芸部の花壇には園芸好きなおじいちゃんの地縛霊がいるらしいんです…」
 倉前・沙樹はそう言いながら、先頭に立ち全員を案内した。学園には何度も足を運んでいて場所には詳しい。
「ですが、害意も悪意もない霊で…でも、たまに姿を現しては花壇の世話をしてしまう…そんな霊です」
「へえ…なんだかほのぼのとした話ですね」
 沙樹は微笑んで頷いた。そして、花壇の前に到着する。
そこには…かなり季節はずれだが、麦藁帽子に白いタンクトップで、
作業ズボンをはいた老人がスコップ片手に土をいじっていた。老人は、沙樹の存在に気付き顔を上げ。
『やあ!お嬢ちゃん!また来たのかい?』
「こんばんわ。お爺さん」
「――えっ!?いるの!?沙樹ちゃん、そこ…いるの?!」
「いますよ。元気なおじいちゃんが…」
 沙樹は出来るだけ詳しく、今の状況を口で説明した。霊感の強い彼女故に、普通に見えてしまうのだ。
愛輔をはじめ、全員は沙樹の説明を聞いて、その聞いた通りに…老人がいる方を見て。
「えっと、こんばんわ」
『おう兄ちゃん!いいガタイしてるねえ!なんだい?何かやってるのかい?』
 沙樹は通訳として、吠音に老人の言葉を伝える。
「ええ…ボクシングをちょっと…」
『いいねえ!わしも若い頃は誰にも負けねえくらいの豪腕だったんじゃが…』
「…と言っています」
「あははは…勝負してみたら負けるかもしれないですね」
『おう!やるかい兄ちゃん?!畑仕事で鍛えた腕をなめちゃあいけねえなあ!』
 沙樹は通訳をしながら、老人との会話をしばらく続ける。
見える者にとっては、まるで生きているかのようにすら思えるほどの陽気なおじいちゃんなのだが…
彼はもうこの世の存在ではない。出来る事なら、きちんと成仏して欲しいと思っているのではあるが。
それは、今のところどうする術も無く無理な様子だった。

■第三談:

「いやー…なかなか貴重な体験だったな」
「そうですよね〜沙樹さん、将来は幽霊と人間との通訳のお仕事したらどうですか?」
「ねえ、縁樹さん。それってイタコって言わない?」
「あ、そっか…そうですね」
 ほのぼのとした空気で、談笑を交えながら次の目的地に向かう。
こっそりと校舎に入り、ロビーを抜けて二階へと続く階段へとやって来た。
「皆さん、鏡はご存知ですか?」
 縁樹が階段を上がる直前に立ち止まり、口を開いた。自然、全員もその場に足を止める。
「踊り場じゃなくてもトイレでも手鏡でも窓硝子でも…それこそプールの水面でも映すものならなんでも」
「合わせ鏡のお話ですか?」
「はい。皆さん…合わせ鏡を作る時ってもう一枚鏡を持ってきてあわせますよね?」
 話しながら、縁樹が階段を一段のぼる。全員もそれに続く。
「間違いなんです、それ。合わせ鏡じゃなくても、丑三つ時に鏡を覗き込む事だけはしてはいけないんです」
 こうやって…、と、縁樹は足を止めた。階段の踊り場にある大きな鏡に、全員の姿が映っている。
今のところ、まだ時間は丑三つ時とまではいかない時間ゆえに…特に何があるというわけではない。
「あの?これのなにが…」
「皆さん、知らないうちに合わせ鏡を今、作っているんですよ…ほら、見てください…
この大きな鏡…見れば見る程合わせ鏡になっているでしょう…?自分の瞳が一番身近な鏡なんですから…」
 わざとなのか、恐がらせようとしてのことなのか、稲川淳二並みの喋り方な縁樹。
その言葉を聞いて一瞬、全員の背筋がぞわっとする。
大鏡を直視するのが躊躇われて、自然に視線を彷徨わせた。
「今はまだ早いですけど…丑三つ時には鏡を覗き込まないようにしましょう…きっとよくない事が起こりますから…」
 呟いた縁樹の瞳には、本気の光が宿っていたのだった。

■第四談:

♪あっめあめふれふれ母さんが〜蛇の目でお迎え嬉しいな…あっれあっれあの子はずぶ濡れだ〜柳の真下で泣いている…
「雨降りって…こんな歌詞があるって噂があるんですよ」
 愛輔は、階段を上がりながらなにげにそんな話をし始めた。それを聞いた吠音は、不意に愛輔の頭を小突く。
「何するんだよ龍君!?」
「怖い事を言うな。今から俺が話そうとしてる話と微妙に関連しちまうんだよ…」
「え?そうなの?うわ、偶然だね…ごめんよ」
 愛輔は両手をパン!と合わせて頭を下げる。吠音は頭をくしゃっと掻きながら溜め息をついた。
「俺が聞いたのは…ここの二階のトイレあるだろ?そこの奥から二番目に…出るらしいんだよ…
赤い傘を差した男子生徒の幽霊が。何でトイレで傘なんだ?と思ったからすげー印象に残ってるんだよな…」
 このチャンスに是非とも探りに行ってみたいんだが…と、吠音が続ける。
ただ、トイレが女子だったか男子だったかがあやふやらしい。
「ねえ龍君、これを口実に女子トイレにも潜入してみようとか思ってない?」
「ば、馬鹿言うなよ新堂!」
 まさに図星。吠音は僅かに狼狽しながら否定する。女性三人の視線が微妙に痛かった。
そうしているうちに、その例の二階トイレに到着する。当然というかなんというか…
女性二人が女子トイレを、男性二人が男子トイレを調べる事になり、二手に別れて調べてみることになったのだった。
しかしまあ、何も出てはこない。ノックをしてみても、読んでみても…何も反応は無い。
「空振りか…」
「そう簡単には何も起こってくれないみたいだね…」
 愛輔は残念そうに呟いて、そして全員を次の場所へと誘導したのだった。

■第五談:

「学園内で噂の夜中に、食堂に現れる怪物の話、知ってる?」
 愛輔が問う。愛好会会員の女子生徒は頷いたのだが、他の3名は知らない。
最近、広まり出した噂であるし、学園の生徒でない者はわからないかもしれない…。
「なんかね、夜中になると…食堂の厨房側に…黒い獣の怪物が現れるそうなんだ」
「それはまた…」
「その怪物を見た人は魂を喰われるとか言う噂もあるくらいだから…怖いよね
「なんで見た奴が魂食われるのに話が伝わってるんだか」
「吠音さん…それを言っちゃ…」
 沙樹が苦笑いを浮かべる。吠音は肩を竦めて返した。
愛輔は学園の食堂に全員を案内する。しかし、まあ特に変わった様子はなく、静かなものだった。
「でも、問題は厨房側なんだよね」
 厨房は、一旦外に出ないといけない場所にある。
ぞろぞろと列をなして、全員で外へと向かった。
外から厨房へまわると、まず見えてくるのは残飯や、使わなかった材料をためておく場所がある。
他愛もない話題で談笑しながらそちらへ向かった愛輔たちだったのだが…。
「――アイスさん…あれ、なんですか?」
 縁樹が、不意に立ち止まって前方を指差す。その言葉を聞いて視線を全員が前方に向けた。
その先にあったのは、巨大な大きな黒い影。
それは暗闇と同化しているようでいて、しかし僅かな灯りにその身体が微妙に反射をして見える。
もぞもぞと、蠢くその姿はまさに…
「――黒い獣の…怪物だ―――!!」
 愛輔が思わず叫んだと同時に、その”怪物”がこちらに顔を向ける。
ぐわっ!と、それがなんであれ飲み込んでしまいそうな程の大きな口が開いたのが見えて…
―――全員は本能的に方向転換して駆け出したのだった。

■第六談:

 全力疾走して、全員は学園の門の外に出た。
息を整えてとりあえず顔を見合わせながら、無事かどうかを確かめる。
そして、一人足りないことに気付いた。
「あれ?新堂…?」
「――会長がいないわ!」
 リーダーで、全員の先頭に立たなければならないはずの愛輔の姿が見えないのだ。
もしかしてどこかで転びでもして置いてきたのか…あるいはさきほどの”怪物”にでも捕まえられてしまったのか…
「くそっ…俺としたことが…!」
「戻るんですか?」
「当たり前だ!あいつは俺のお隣さんだぜ?」
「でも…」
「大丈夫だ…もしさっきのが出てきても、俺にはこの拳があるし、いざとなったら…」
 吠音がそう言いながら、再び門の中に入ろうとした時―――
「おーい!みんなー!」
 愛輔がよろよろとしながら、走ってやってくる。
ほっとしたのも束の間、さきほどのあの怪物と一緒に走ってくるではないか。
「ば、馬鹿野郎!後ろ!後ろ!!」
「新堂さん!!はやく!」
「食べられちゃいますよアイスさん!」
「大丈夫〜!彼はそういうのじゃないから!!」
 愛輔は手を振りながら、怪物ともども…門の外へ、全員の元へやって来たのだった。
先ほどの”怪物”もしっかりと一緒に並んで。
「こちら、G・ザニーさん」
 愛輔に紹介されて、”怪物”は小さく挨拶をしたようだった。
「――すまなかった。ザニーは腹が減っていた…だからここの学園の残飯を食っていただけだ…」
 ザニーはそう言って巨大な口元を手で拭った。
この”東京”という世界では、こういった者達もたまに見かけるし、別段不思議ではないのだが。
流石に深夜で、しかも”七不思議”の話の中で遭遇すると…”怪物”以外の何者にも見えなかったわけで。
「あ、いや…とりあえず良かった…何事も無くて」
 全員がほっと一安心して、それぞれ苦笑いを交し合う。
さて、どうしようか…と相談しようとした彼らだったのだが―――
『誰かそこにいるのか?!』
「!!」
 警備員らしき数人の男性が、少し離れた場所からこちらをライトで照らしているのが見えた。
そういえば、あれだけ騒いで走って逃げたら…バレる上に、誰かに通報されていてもおかしくはない。
一応、学園長に”調査”の許可は得ているのではあるが…実は、愛輔は深夜とは言っていなかったのだ。
「最後にまだ一個残ってるけど、仕方ないね…解散します!」
「おい!待てよ新堂!!」
「もう…アイスさんってば…」
「あの、ここは素直に謝った方が…」
 沙樹がそう提案したのだが、時すでに遅し。男三人(ザニー含む)はそれぞれ一目散に退散していたのだった。
「ねえ、沙樹さん。暇だったらコンビニにでも寄って帰りません?」
「え。はい、いいですよ…」
 どうしようか迷っていた沙樹だったが、縁樹に誘われて…結局その場から立ち去ったのだった。
残ったのは、レクリエーション愛好会会員の女子生徒一人。
頼りないリーダーに愛想でもつかしたのか、苦笑いを浮かべながら肩を竦めて…警備員の方へと向かったのだった。
「誰も居ないじゃないか」
「気のせいか?」
 警備員たちは口々に言葉を交わし、首を傾げる。
その正面に、女子生徒が笑みを浮かべたままで立っていた。
『――あーあ…あとちょっとだったのに…』
 女子生徒は小さく呟くと、警備員の身体をすり抜けるようにして歩き始める。
しかし、その両足は空気に混ざっているかのように掻き消えていて…

■第七談:

 コンビニ前の駐車場で、沙樹と縁樹はホットコーヒーと肉まんを食べていた。
寒い夜はなかなかどうしてこういう時間は楽しいものである。
「あれ…二人共こんなところにいたんだ?」
「新堂さん!」
「アイスさん!」
 不意に吹いた風に寒そうに身体を震わせつつ駆け寄ってきて、愛輔は微笑んだ。
今までどこかに隠れていたのか、かなり冷え切っている様子だった。
「コーヒーでも買ってきましょうか?」
「いいよいいよ!それより、今日は楽しかった?」
 にこにこと、愛輔は二人に問い掛ける。
沙樹も縁樹も顔を見合わせて、微笑みながら頷いた。
「なんだかドキドキして楽しかったです…最後はちょっとどうかな、って思いましたけど…
あまりこういう体験って出来ないから…」
 沙樹は柔らかく笑みを浮かべて言った。
「僕もです。チャットでお誘い受けてから結構楽しみにしてんたですけど…
うん。楽しかった!特にほら、最後はほんとに食べられるんじゃないかと思ったくらいですよ」
 縁樹の脇にいる、ノイも満更ではない様子でなにやら呟いていた。
「そっか!それは良かった!」
 愛輔も満足そうに頷いて笑みを浮かべる。
「それじゃあ…僕は学校に帰るね」
「今からですか?警備員さんはいないんじゃ…あ、でも謝った方がいいですよね」
 愛輔は笑みを浮かべると、二人に手を振って走り出していく。
自分達もいった方が良かったんじゃないだろうかと二人は相談をしていたのだが―――
「うわ〜やっぱ外は寒い!」
『?!』
 不意に、聞き覚えのある声…というか、今しがたまで聞こえていた声が聞こえて、
驚いて二人はコンビニの出入り口に顔を向けた。向こうもこちらに気付き、笑みを浮かべて手を挙げる。
「やあ!二人共こんなところにいたんだ?」
「―――し、新堂さん…?」
「僕もピザまんとコーヒー買ったところだよ…いやあ、それにしても今日は…」
「ちょっ…ちょっとアイスさん!?今、学校に行ったんじゃ…」
「え?」
 愛輔はきょとんとした顔で、首を傾げる。
その様子に、沙樹と縁樹が揃って同時に互いの顔を見合わせた時、
『楽しかったよ…また学園に遊びに来てね…待ってるから』
 耳元で、男とも女ともつかない何者かが囁く声が聞こえ…
二人は思わず叫び声をあげてしまったのだった。

その夜。
別の場所でも…誰かの叫ぶ声が聞こえていたとか…いないとか。



<終>

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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【1431/如月・縁樹(きさらぎ・えんじゅ)/女性/19歳/旅人】
【1974/G・ザニ−(じー・ざにー)/男性/18歳/墓場をうろつくモノ・暴食神の化身】
【2182/倉前・沙樹(くらまえ・さき)/女性/17歳/高校生】
【2619/龍神・吠音(たつがみ・はいね)/男性/19歳/プロボクサー】
NPC
【***/新堂・愛輔(しんどう・あいすけ)男性/18歳/高校生・レクリエーション愛好会会長】

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■         ライター通信          ■
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このたびは、学園七不思議の調査にご参加いただきありがとうございました。
季節はずれの話題だったのですが、参加いただけて嬉しいです。(^^)
『ほんとうにあった怖い話』のような雰囲気で作りたかったのですが、
果たして雰囲気が伝わるかどうか不安な感じでございます。
最後の「声」は果たして何者だったのか…という雰囲気で終わらせていただきました。
今回、皆さんから七不思議のネタを提供していただくという形にしていただいて、
皆さんに書いていただいた内容を見て、こんな話もあるのか…と、大変興味深かったです。
今度は百物語でもチャレンジしてみようかな?とすら思ってしまったくらいです。(笑)

なお、プレイングの違いからG・ザニーさんは個別の内容になっております。
第五談で皆さんと遭遇するまでの経緯を書いておりますので、
そちらも合わせて楽しんでいただけたら幸いです。

また皆様にお会い出来るのを楽しみにしております。


:::::安曇あずみ:::::

>如月・縁樹様
こんにちわ。はじめまして。この度は参加ありがとうございます。
個人的にノイさんの存在に興味を引かれつつ執筆させていただきました。
合わせ鏡のエピソードは、拝見していて「へえ〜」と思うもので、
私も夜は鏡を見る時に気をつけねば…と思ってしまいました。(笑)
楽しんでいただけたら幸いです。またお会い出来るのを楽しみにしております。


※誤字脱字の無いよう細心の注意をしておりますが、もしありましたら申し訳ありません。
※ご意見・ご感想等お待ちしております。<(_ _)>