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<東京怪談ウェブゲーム ゴーストネットOFF>


夢喰い

オープニング

投稿者:サラ
題名:友人を助けてください
本文:私はとある中学に通っている御堂サラと申します。
    今回この場所に書き込みをさせていただいたのは私の友人を助けて欲しいからです。
    私の友人は三日前に倒れて、一度も目を覚ましません。
    友人は前から自分の家のパソコンは変だと言っていました。
    自分の部屋に誰もいないのに、視線を感じてそのほうに目を向ければ
    パソコンがあるというのです。
    友人の気のせいかもしれませんが、私はもしかしたら…そのパソコンが原因なのでは、と
    思って書き込みをさせていただきました。
    どうか、私の友人を助けてください。

 これが、ゴーストネットに新しく書き込まれた記事だった。
 この書き込みがされる前からパソコンに巣くう魔物の話も出ている。
 この書き込みを見たあなたはどう調査する?


視点⇒五代・真


「パソコンに巣くう魔物ねぇ…」
 真はゴーストネットの書き込みを見ながら小さく呟く。夢を喰うと言われている《獏》がパソコンの中にも徘徊しているのかもしれない。
「どうも書き込みだけじゃ状況が分からないな…とりあえずメールを送って会ってみるしかねぇな」
 そう小さく呟くと真は書き込みと一緒に書かれていたメールアドレスにメールを送る事にした。

―五代・真というモンだが、書き込みを見てメールをした。とりあえず、状況を詳しく聞きたいんで、午後六時に会えるか?場所は近くのカフェで。


「…あと三十分しか時間ねぇけど大丈夫かな…」
 送った後にもう少し時間に余裕を持たせれば良かった、と後悔をしたが数分後に御堂サラから返信メールが届いた。

―ありがとうございます。ちょうど学校が終わったところなので今から向かいますね。

「お…待たずにすむかな」
 そう言いながら真は指定したカフェへと向かい始める。カフェは学生の帰宅時間とあって結構混んでいる。その中で一人だけ座っている少女を見つけ、真は声をかけてみる事にした。
「あんた、御堂サラ…?」
「えっ…?」
 突然声をかけられた事に驚いたのか、その少女は目を丸くして真を見る。
「あ、いきなり悪いな。あんたが御堂サラ?」
 真は先程と同じ質問をすると、その少女は首を縦に振った。
「はい、もしかして…メールをくださった五代真さんですか?」
「あ、そうだけど、とりあえず座っていいか?」
「あ、はい」
 サラの返事を聞くと真はサラと向かい合うような形で座る。そして通りかかったウェイトレスに「コーヒー」と短く告げる。
「それで、その意識不明の友人は今どうなってるんだ?」
「…優は…あ、優と言うのは友達の名前で…相変わらず意識は戻りません…」
 サラは少し表情を曇らせ、下を俯きながら呟く。
「その問題のパソコンはどこから手に入れたとか知ってるか?」
「あ、もともとは優のお父さんが使っていたものらしいんです。夕のお父さんが新しいのに買い換えるからって優が貰ったって言ってました」
(パソコンは最初から家にあったものか…。やっぱり聞いただけじゃ分からないな)
「そのパソコンを直接見れる事ってできるか?」
「…あ、オバサンに許可は貰ってますので大丈夫ですよ」
 その言葉を聞くと、真はウェイトレスがいつ持ってきたのかも分からないコーヒーを飲み干し、優という子の家に行く事にした。


「ここか…」
 十分ほど歩いて着いたのは普通の一軒家。だが、なにやら不穏な空気が家を取り巻いているのが真にも分かる。
「とりあえず…その問題のパソコンを見せてもらおうか」
 真がそう言うとサラが案内したのは二階の部屋。部屋の中は女の子らしい雰囲気にまとめられており、机の上にパソコンが置いてある。
「これが問題のパソコンか…」
 真はパソコンに近寄り、とりあえず電源を入れてみる。
 電源はちゃんと入るし、どこもおかしな箇所は見当たらない。中のデータも見てみたが、怪しいデータはなかった。
「…となると…パソコン本体か」
 とりあえず、ガンと殴ってみる。サラは慌てて「何するんですか!」と言ったが、人に命がかかっているのだからパソコン一台くらい惜しくもないだろう。
「あんた、友達を助けたいんだよな?」
「え?えぇ。そうですが…」
「だったら黙って見とくように」
 それだけ言うと、真は再びパソコンに向き直り、パソコンをばらし始めた。とりあえずいじってみれば何かしら起きるかもしれないという真の考えだ。もし、何も起きなかった時は起きなかった時で、そのときに考えればいい。
「…………誰だ!」
 パソコンを分解している途中で低い声が部屋に響いた。そして、パソコンの画面から現れたのは、気味の悪い姿をしたバケモノだった。
「現れたか」
「ご、五代さん!コレ何なんですか!?」
 サラはパニックになっているようできゃあきゃあと騒いでいる。こうなれば足手まといもいい所だ。
「黙ってろって…」
 言っただろ、という真の言葉は続かなかった。なぜならバケモノの体の中に薄く透けて見えるのは女の子だったからだ。
「優!!」
 突然サラが叫びだす。恐らくバケモノに魂を喰われて今消火作業中なのだろう。
「迂闊に攻撃もできないな…」
 チッと真は小さくしたうちをすると、Gジャンのポケットに入れておいたコンビニのレシートを三枚ほど取り出す。そして、そのレシートを宙に投げ、退魔宝刀「泰山」を取り出す。
「待って!優はどうなるの!」
 攻撃を仕掛けようとする真の服の袖を引っ張り、サラが泣きじゃくりながら言う。
「会ったばかりで信用も何もないだろうが、信じてくれよ。お友達は助けるから」
 真がそう言うとサラは服の袖を掴む力を少しずつ弱めていった。
「女の子を泣かせたら酷い目に合うって分からせてやるぜ!」
 そう叫びながら真は一気にパソコンに取り付いていた魔物をなぎ払う。魔物は耳をふさぎたくなるような悲鳴だけを残して消滅していった。
「優!」
 開放された女の子にサラが駆け寄ると、その女の子はスゥッと消えていった。
「…優…?」
「捕まっていたのは魂だけだから、今頃は本体に戻っているだろうさ。早く会いに行ってやりな」
「はい!」
 そう言って駆け出そうとするサラを「ちょっと待った!」といって引き止める。
「何ですか?」
「とりあえず、魔物胎児とはいえ部屋をぼろぼろにしたワケだから、その請求は便利屋本舗までよろしくな」


 それからパソコンの魔物と言う言葉をあまり聞かなくなる。
 その後、優が退院した頃に、サラと優は改めて真にお礼を言いに便利屋本舗までやってきた。



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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】


1335/五代・真/男性/20歳/便利屋


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■         ライター通信          ■
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五代・真様>

初めまして、今回「夢喰い」を執筆させていただきました瀬皇緋澄です^^
「夢喰い」はいかがだったでしょうか?
少しでも面白かったと思っていただけると幸いです。
それでは、またお会いできる機会がありましたらよろしくお願いします^^

              −瀬皇緋澄