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<東京怪談ウェブゲーム アンティークショップ・レン>


中途半端な呪いのアイテム

「弱ったねぇ……」

 どこにあるとも知れない一件の店の中、乱雑に見えながらもキチンと整理された雑貨に囲まれた中で、
店主であるレンはキセルから口を離すと、ふいっと紫煙を吐き出した。
 カウンターの上には一枚の白い便箋と、その上に置かれた一つのペンダントヘッド。
 レンはそれらを見やりながら、小さく苦笑いを口許に浮かべた。

§
前略
貴アンティークショップを見こみ、一つこのアクセサリーを預けることにします。

これは先日旅行した先で偶然目にとめ、購入したものでした。
「これは呪われている。これは自分の主を自分で決めるから、主と認めてもらえなかったときには
お前の身に呪いが降りかかるだろう」
これを売ってくれた露天の男は暗い表情でそう言ったのですが、初めての海外旅行ということもあって
浮かれていた私は、深く考えることなくこれを安価で買ったのです。
帰国して早々義兄が事故に遭い、続いて実父が盲腸で入院するという事がありました。
その他にも細々とした不幸が次々と起こり、私はようやくこれを売ってくれた男の言葉が真実だったと気付いたのです。
「呪いとはいっても、死を招いたりだとか莫大な富を招いたりするというわけではない。
小さな不幸やささいな幸福が、これを手にした者の身に振りかかるのさ。持ち主を気に入りさえすれば、
そいつの願いをかなえてくれるって事だな」
……男は確かにそう言ったのです。

気味が悪いので、これをそちらに預けることにします。
申し訳ありませんがよろしくお願いいたします。
§

 白い便箋にはそう記されていて、丁寧に折りたたまれたそれを封じこめていた封筒の中からは
小さなシルバーのペンダントヘッドが姿を現した。

 深くスリットの入ったチャイナ服の裾をすらりと動かし、キセルを口に運びながらゆっくりとカウンターに近寄る。
白く細い指先に取って眺めるそのアクセサリーは、シンプルな円い形をしていて、真ん中に鳥の彫刻が刻まれている。
「――南国の鳥のようだねぇ」
 呟く声はまるで冷たい湖の水面を思わせるような静かさをたたえ、それでいてどこか楽しげな響きをも含んでいるようにも聞こえる。
 輝きを失ったシルバーのそれをしげしげと見入り、もう一度煙を吐き出して切れ長の目をやんわりと細めた。
「持ち主だった人間が不明だなんてのも、――まぁ、めずらしい事でもないがね」
 ゆるりと口の端を持ち上げて笑みを作る。

 ――……そう、ここはいわくのある品物ばかりを取り揃えたアンティークショップ。
所狭しと並べられた雑貨を求める人間。逆にそれを手放しにくる人間。
それは実に様々ではあるが、一つ一つに大小それぞれのいわくを持つ代物ばかり。
 そこの主たるレンにとっては、今回舞いこんできたペンダントヘッドのような存在もめずらしいものではなかった。
しかしそれを商品として陳列する限りは、それなりに『いわく』の真相を知っておく必要があるのも事実。

 重厚な空気の漂う店の中、立ち昇る紫煙の行く末を眺めている彼女の耳に、客の到来を知らせる鈴の音が
軽快な音を立てて響き渡った。

 レンは煙を見やっていた視線をゆるゆると降ろし、やってきた客人に向けて笑みを浮かべた。
「待ってたよ。……悪いけど、ちょっとコレを調べてやっちゃくれないかな。もしこれがあんた達のどっちかを気に入ったら
そのまま自分の物にしちまっても構わないからさ」

 ぞんざいな口調と共に、吐き出された煙が店の中に立ちこめる。
 煙に顔をしかめた客人の表情を確かめるように見やり、レンはニンマリと口の端をゆるめた。


――1――

 レンから預かったペンダントヘッドを目の前にかざして眺め、草壁 小鳥(くさかべ・ことり)は赤く輝く瞳を細めて口を開いた。
「コイツさあ、元々はどういう奴に使われてたのかなあ」
そう言いながら指先でそれを弾き、斜め後ろを歩いている矢塚 朱羽(やつか・しゅう)の手に渡す。
 暮れかけた陽光を受けてかすかにひらめき、ペンダントヘッドはゆっくりとしたスピードで少年の掌に落下していった。
 朱羽はその金色に光る目で少しばかり小鳥を睨みつけるように見据え、首を大きく横に振ってみせた。
「アンタさ、その辺を”視る”ことが出来るんだろ? その力でそいつの事とか調べられないわけ?」
 小鳥が放った言葉にムっとした表情を浮かべ、朱羽は眉を寄せた。
「小鳥に言われるまでもなく調べてみるさ。レンさんはそのために俺を呼んだんだろうから。……どうでもいいけど、おまえも
これについて調べる事が出来るはずじゃないのか? なんだっけ、妖精とかいう奴に聞けばいいだろ」
 朱羽の言葉に小鳥は小さく首をかしげ、自分の右肩にちょこんと座っている一人の女性に目を向ける。
小鳥の視線に気付くとその女性は柔らかく微笑みを浮かべて小さく頷き、のんびりとした口調で「お手伝いしますよ」と告げた。
 朱羽の目には映らない存在ではあるが、自身の能力のせいもあってその存在を感じる事は出来る。
 小鳥は自称『天使』を名乗ってはばからないその女性の笑顔から目をそらすと、朱羽の言葉に返事を返した。
「対象の真実の姿を知る力のあるアンタと、妖精さんに憑かれているあたし。――レンさんも考えた人選をしたもんだよね」
『妖精じゃありませんってば。天使なんですってばぁ』
小鳥の言葉を必死で否定する存在を感じながら、朱羽はふいっと視線を足元に落として目を細める。
「それは確かにそう思うよ。……俺と小鳥の力や環境を思えば、コレについている呪いとやらの正体を暴くことが出来るだろうし」
 めずらしく小鳥の言い分を肯定した朱羽に驚き、わずかに足を止めて振り向いた小鳥に一瞥(いちべつ)をくわえ、
ニコリともせずに朱羽は言葉を続けた。
「俺、今日飯を作ってやらなくちゃいけないんだよ。さっさと終わらせて解散することにしよう」
「夕飯? へぇ、アンタがねぇ」
 関心なさげにそう口にして小さくアクビをすると、大きく伸びをして首をコキコキと鳴らす。
「じゃあ、リクエスト通りさっさと調査するとしよう。――アンタ、それを覗いてみなよ」
 沈んでいく太陽の色と同じ目で朱羽を見据える小鳥の顔には表情一つ浮かんでいない。
 名残を見せる陽光を照らしてきらめく金の双眸(そうぼう)を揺らし、朱羽は小さく嘆息を一つついた。
「OK、やってみるよ」

 店を出たところに広がる路地は決して広いとは言えず、暮れていく空の色を反映してどんどん闇を色濃く漂わせていく。
 その闇に影を揺らしつつ、二人は古いビルの壁に寄りかかるように立って口を閉ざした。静寂が辺りを包み込む。

 ゆったりと目を瞑り(つむり)、ペンダントヘッドに手をかざして静かに佇んでいる朱羽の姿を眺め、小鳥は
壁に寄りかかったまま地面に腰を下ろした。
右肩に座っている妖精が二人の姿を順番に眺め、ふっと小さく息をもらす。
「……妖精さん、なんか言いたげだね。……どうした?」
 朱羽の気をそらさないようにと、それなりに気遣って小声で話しかけた小鳥の目を見据えて妖精さんは穏やかな口調で小さく告げた。
『私に過去を知る能力はありませんが、その……あの中にある意識が、近い未来に長い時間という呪縛から解放されると』
「神様のお告げってヤツ?」
 小鳥の声が聞こえたのか、朱羽の肩がかすかに揺れた。
 肩をすくめて少しの間口を閉ざし、それからまた小さく溜め息をついてみせると小鳥は再び妖精さんに視線をあてた。
「――長い時間という呪縛?」

 朱羽の意識は少しづつ掌の内にあるペンダントヘッドの意識と重なっていく。
ヒンヤリとした風を頬に感じているような感覚。それが段々と――確実に色を成していくのがわかる。
 わずかに水音が聞こえたような気がして、朱羽はゆっくり目を開く。

 目の前に広がっていたのは、果てなく続く水平線。足元には真白な砂があり、音もなく寄せて返す波ばかりが世界を象っているように見えた。
 水面の遥か遠くに、溶けこんでいくように消えていく赤い太陽が見える。
――――もうすぐ夜がくるよ――――
 背後で幼い女の子供の声がした。

『今、朱羽さんの意識があの中の魂と触れ合いだしています。小鳥さんは朱羽さんがもうすぐ表に連れ出すその魂の昇華をお手伝いしてあげてください』
 肩に座っている妖精さんがそう告げる。
 小鳥はチラリと妖精さんの顔を確かめて、首を縦に振ってみせる代わりに小さな呻き声に似た返事をしてみせた。


――2―― 
 
 振り向いた朱羽の目に入ってきたのは、鮮やかな色使いの民族衣装に身を包んだ一人の少女だった。
まだ10をも満たしていないようなその少女は、日に焼けた健康そうな肌に短めの黒い髪を風になびかせ、大きなクリっとした目で朱羽を見上げている。
「――夜が来る?」
 少女の言葉を繰り返して眉をひそめ、目だけを動かして辺りの景色を確かめる。
真白な砂浜にヤシの木が立っている。少し離れた場所には小さな林があって、周辺を覆う太陽はすでに水平線の向こうに落ちている。
少女が身にまとっている衣装から察するに、どこか南の島――例えばタヒチのような――であるようだ。
 周りの景色を確かめて、そこに人の気配がないことを知る。朱羽は小さく溜め息を一つつくと少女を見下ろすように姿勢を正した。

 この少女がペンタンドヘッドに入りこんでいた”呪い”の正体だ。

―――― これまでの経験が朱羽にそうささやいた。

 少女は小さく笑うと小さな掌を開いてみせ、その中に隠れていた小さな銀の固まりを朱羽に見せた。
『これね、私の宝物なの』
 誇らしげにそう言うとクルリと背を向けて走りだし、林の中へと消えて行く。
「おい、待てよ。話を――……」
 知らず、少女のあとを追って走り出していた。林は小さなものではあったが、太陽が消えた空はそこに影を落とすばかり。
どこか背筋を寒くするような空気を漂わせているその中に消えた少女の足跡を追い、朱羽はひたすらに走り続けた。


 壁に寄りかかったままの姿勢で動かなくなった朱羽を時折見やりながら、小鳥は右肩に座ったままの妖精さんの言葉に耳を傾ける。
妖精さんはのんびりとした眼差しで小鳥に微笑みかけると、朱羽に視線を移して嘆息まじりに告げた。
『――それに憑いている魂は、事故で亡くなった子供のようなんです』
「……子供?」
ほんの少しだけ眉を寄せて表情を曇らせた小鳥の言葉に、妖精さんは小さく頷いた。
『多分、遠い昔、どこかで神子とかやってたのではないかと……でも”呪う”力は多分その子の意思とは関係のないもののはずですよ』
「…………」
 それきり口を閉ざした小鳥の横顔を見やり、妖精さんも口を閉ざした。
 とにかく。朱羽が連れてくるというその子供を眠らせてやること。
――――小鳥はそっと瞼を閉じた。


 思ったよりも足の速い子供を追いかけ、朱羽は気がつくと林の中に立っていた。
 視覚的には南国そのものという景色に見合わず、肌に触れる風の感触はヒヤリと冷たい。
 明らかに風景に似つかわしくない学生服姿の朱羽はメガネの位置を正し、背筋を伸ばした。
 
 気付くと子供の姿はどこにも見えなくなっていた。
 ただ、南国特有の木が乱立している林の中を通り過ぎて行く風の音が、なぜか子供の泣き声のように響き渡っているばかり。
「泣いてるのか?」
 周囲に目を配りながら、独り言のようにそう呟く。泣き声のような風の音が、強さを増して吹きぬけていった。

『お兄ちゃん』

 風の声に混ざって聞こえてきたその声に、朱羽はチラリと視線を向けた。
林を抜けたところにある小高い崖の麓(ふもと)に、さっきの子供が立っている。
「あぶねえからこっちに来な」
ようやく見つかった子供に手を差し向けながらそう言うと、子供は首を大きく横に振る。
『私ね、この時間にしか出てこないっていう鳥を見てみたくて、こっそり来たの』
子供の顔は暗く影をさしていて、無邪気な子供の表情とはどこか少し違うような――そんな空気を放っている。
『こっそり来たから、皆に叱られたりしないかな』
大粒の涙が零れ落ちる。小さな掌の中にある銀の玉がかすかに光を放ち、煌いた。

 弱ったように頭を掻き、なんとなく周りを確かめてから朱羽はほんの少しばかり笑みを浮かべてみせる。
「兄ちゃんが叱られないようにしてやるから――……だから一緒においで」
穏やかな、聞く者を安心させる声音。
 子供は涙を溢れさせながら何度も頷き、可愛らしい笑顔を満面に浮かべて朱羽に手を差し伸べた。


『――小鳥さん』
妖精さんの声に目を開く。いつのまにか”戻って”きていた朱羽が、憮然とした顔で小鳥の顔を眺めている。
「ほら、よ」
ペンダントヘッドを指で弾こうとしてから、しかしすぐにそれを止めて掌に納めると、朱羽は小鳥の手にそれを手渡した。
 輝きを失っていたはずのそれには、気のせいかもしれないが、ほんの少しだけ輝きが戻っている。
夕陽にさらされたそれはかすかに煌き、静かに息づいているかのようだ。
「あとはお前の仕事だろ。――俺には願いとかもないし、それを眠らせたらあとは好きにしろよ」
 ぞんざいな口調でそう言い終えると、朱羽は別れの言葉もなく小鳥に背中を向けた。
「……お疲れ」
返す小鳥の言葉も、負けずに愛想のないものだ。
 後ろ向きのまま手をヒラヒラと動かしてみせて歩いていく朱羽に、妖精さんが丁寧に頭を下げる。
『ありがとうございました。あとはお任せください』
「……聞こえやしないって」
 妖精さんの動きを制するようにそう言うと、手渡されたそれに目を落とす。
「銀って確か磨けば綺麗になるんだよね……」
言いながらポケットを探り、柄のないハンカチを取り出してペンダントヘッドを磨き始める。

――――ほら、こうしたら可愛くなる。

 綺麗に磨かれたそれはわずかに輝きを取り戻し、礼を言うように煌きを放った。
『私がその子を向こうに送ってあげます』
妖精さんの言葉に小鳥は瞬きをして返し、ペンダントヘッドをそっと妖精さんの目の前に差し出した。


――エンディング――

 大通りに抜け、雑踏の賑わいの中を歩き進めながら何気なく空を見上げた朱羽の目に、一羽の鳥の姿が飛びこんだ。
コウモリやカラスではない、決して大きくはないその鳥の影を目で追いながら、朱羽はそっと目を細める。

 暮れていく空が落としはじめる影は、あの海辺にあったそれとはかなり違っているけれども。
 ふと足を止めて空を仰ぎ、鳥が飛び去っていった方向に視線を追わせてみる。
どこかから潮の香りがした。……ような気がした。

 妖精さんがそっと触れると、ペンダントヘッドはかすかな光を放って少し温かくなった。
フワリと羽のように宙に浮かび、柔らかな光に包まれてフワフワと舞うそれを見つめながら、小鳥は目を細めた。
「……これに宿ってるっていう子供。……これからどうなるのかな?」
『そうですね……』
妖精さんはそう言って首をかしげ、ふいに優しく微笑んで小鳥の目を覗きこむ。
『小鳥さんはどうしてあげたいと思いますか?』
 質問に質問で返され、小鳥は憮然とした表情で妖精さんを見据えた。妖精さんはただ穏やかに微笑むばかりで、
戻ってくるであろう小鳥の返事を待っている。
「あたしは……」
言いかけた言葉を飲みこむ。
 宙を舞うペンダントヘッドに目を向け直し、小鳥はそっと目を閉じた。

……あたしは、これに宿ってるっていう子供を休ませてあげたい。

 言葉にはしないその願いを、妖精さんは穏やかな笑みを浮かべたままで聞いていた。


「それじゃあ、コレに宿ってたのはどこぞの南国に住んでいた子供だったって話だね」
 翌日。レンに事のあらましを報告するために立ち寄った二人を見やり、レンはふいっと煙を吐き出した。
 彼女が座っている椅子も勿論売り物ではあるのだが、そこにある『いわく』がどのようなものであるのか、二人は知らない。
 言葉なく頷くだけの二人に笑みを見せ、レンはゆっくり立ちあがってキセルを吹かした。
「――で、その子供っていうのは? 今どうなってるんだい?」
 小鳥が小さく手を上げて応える。
「あたしに憑いてる妖精さんが、眠りにつかせたみたいだよ」
そう言いながらペンダントヘッドをレンに差し出し、小鳥は再び口を閉ざした。
 レンはそれを指先で弄びながら小さく「そうかい」とだけ応え、朱羽に視線をぶつける。
「可愛い子だったかい?」
 低く笑いながらそう訊いてきたレンの言葉に、朱羽は言葉を返そうとはせずに眉根を寄せた。
朱羽の表情を満足げに確かめ、レンは弄んでいた指先を止めてペンダントヘッドを顔の前まで持ち上げて告げた。
「さてと。これがいわく憑きでなくなった以上、ウチに置くわけにはいかないね。――アンタ達のどっちがこれを持つか決めな」
そう言って手にしていたそれをカウンターに置き、レンは再び椅子に腰を下ろす。

「俺はいらない。アクセサリーなんて手元にあっても使い道もないしな」
「ほほう。プレゼントしたい相手はいないのかい?」
すかさず返ってきたレンの言葉に、朱羽は再び眉根を寄せた。
「……それじゃあ、あたしが」
小さく呟くような声でそう言ったのは小鳥だった。
「ちょうど、いい鎖も手に入ったところだったんだ。飾るものが欲しいから、――それ、あたしが貰っとく」
「――――そう。じゃあ、大事にしなよ」
 口の端をゆるりと持ち上げて笑んでみせると、レンは足を組みなおしてキセルを吹かす。
「あんたもたまに見せてもらうと良いよ」
切れ長の目だけを動かして朱羽を見やり、紫煙をふいっと吐き出す。
 
 朱羽はペンダントヘッドを手にした小鳥をチラリと確かめ、首を小さく縦に振った。
 ハンカチでそれを拭いながら、小鳥はそっと目を細くする。まるで小さな子供を宥めているかのような表情で。

 眠りについたペンダントヘッドは、そしてそれ以降二度とレンの店を訪ねてくる事はなくなった。
 そして今日もどこか人知れず、その店はゆったりとした構えで訪れる客を待っている。
――――たくさんの”憑き物”を抱えて。



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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【2058 / 矢塚・朱羽 (やつか・しゅう) / 男性 / 17歳 / 高校生 焔法師】
【2544 / 草壁・小鳥 (くさかべ・ことり) / 女性 / 19歳 / 大学生】



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■         ライター通信          ■
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はじめまして。今回は発注依頼をくださいまして、ありがとうございました。
今回「中途半端な呪いのアイテム」を書かせていただきました、高遠一馬と申します。
まずは少しばかり長めになってしまった事をお詫びいたします。
良いものを書こうと意気込んではみたものの、どんどん長くなっていく文章に、少しばかり冷や汗をかきつつ。

全体の空気。感動寄り〜切ない系との事でしたが、クリアできているか心配です。
お気に召していただければと思いながら、今回は失礼させていただきます。

良い出会いをありがとうございました。