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<東京怪談・PCゲームノベル>


ケーナズとかわうそ?のゴージャスな休息

ケーナズ・ルクセンブルク。製薬会社研究員。しかし、貴族の末裔故、どこかずれている男。

自宅、彼は朝起きると、香ばしいにおいがするのに気が付いた。
「ケーナズ、朝飯できた」
彼を呼ぶのは、小麦色のニホンカワウソ。
「あ、済まない」
何故カワウソが、彼に朝食?と思うだろうが、このカワウソはカワウソでなくかわうそ?なのだ。
姿形は天然記念物。しかし実態は謎の生き物。二足歩行も出来るし、喋るし、料理もできる。よく、誰かはナマモノとかかわうそ?と呼ぶ。
ケーナズがこのナマモノの飼い主になってから少しだけ心のゆとりが出来たようだ。

実は草間興信所の依頼でかわうそ?と運命の出会い(?)にショックのあまり暫くかわうそ?を見ると半狂乱していた時期もあった。しかし、かわうそ?の懐き方、愛くるしさに負け、やはりペットとして一緒に暮らしている。とは言っても、ケーナズ自身色々仕事が忙しい事で外出するし、かわうそ?はありとあらゆる所にバイトか何かに出ている。こうして朝を迎えるなんて滅多にないのだ。
万能エスパーと謎の生物の休息である。

「トーストに、オムレツにサラダ」
「旨そうだな。いや、お前が作るモノはいつも美味い」
「あい、お褒めにあずかり恐悦至極」
ケーナズは頭を撫でてやり、かわうそ?は猫のように喜ぶ。猫のゴロゴロという喉音がする。
朝食を食べた後、ケーナズはかわうそ?と抱き寄せ撫でてあげる。朝の特撮やアニメを観たいというナマモノの言う通り一緒に見て、CMや終わった後に色々その話しに盛り上がる。
「なかなか楽しかったな。しかしあの主人公、考えが甘いな」
「やっぱ、主人公、夢も持つ人がいい」
と、まるでペットというより、子供と対話している感じだ。
「さて、昼食まで時間があるから、未だ解いていないRPGをするか」
「ぉぅぃぇ〜」
と、かわうそ?は公式攻略本をどこからともなく取り出し、ケーナズはゲーム機を起動させる。
かわうそ?が、謎めいた話し方をしてヒントをだし、ケーナズが其れの答えを考え、ゲームを攻略していく。前は、ストレートに言っていたが。
「やっぱり、攻略本なしでやってみるのがいいかと」
と、かわうそ?の提案。しかし、
「いや、日本のTVゲームとはなかなか難しいし時間が長い…流石に攻略本がないと」
ケーナズが答えるのだ。
ドイツ人にはあまりTVゲームというのは向かないこともある。どちらかというと、パーティーゲーム、ボードゲームが主流だろう。お国柄の違いだ。ケーナズはかなり日本のサブカルチャーに適応しているようだ。
なので、今ではかわうそ?が難しい戦闘の時の助言、実用性のある装備の選出ぐらいに留めている。隠しアイテムは(ゲームバランスを著しく壊すモノなど特に)教えなかった。
それでも、かわうそ?はゲームのムービーを見たいので、しっかりナビゲートするのである。
1時間半か2時間で、一度止める。朝からずっとゲームというのは健康上よろしくない。
ゲームを片付けた後、ケーナズとかわうそ?は
「さて、ドライブに行くか?」
「あい、ケーナズゥ〜」
飼い主の胸に飛び込んでゴロゴロ懐いてくる不思議生物を抱っこし、そのまま昼はドライブ、途中で軽い昼食〜高級レストランという、一般的に言えば…恋人達のデートコースだったりする。
ケーナズがかわうそ?と共に過ごす場合はそう言うルートが一般的なのだ。かわうそ?はケーナズが大好きだから問題ない。元々謎の生物ゆえ、流石に万能エスパーのケーナズでもこのナマモノの奥底にある心理は理解できないだろう。
でも、懐いてくれることが嬉しい。とてもこの生物を愛している。


ケーナズとかわうそ?は青いポルシェ911カレラ4カブリオレに乗って、都内を走り、郊外に向かう。途中でファーストフードをドライブスルーで買って、保温と保冷が出来る箱に入れている。オープンカーなので風を肌で感じる。
「いやぁああああ」
「大丈夫か?!しっかり捕まっているんだ」
かわうそ?が風で飛ばされそうになっている。しっかりシートベルトとかわうそ?用シート(ベビーシートを改良して、目立たないようにしたのだが)に乗せたのだが、どうもサイズが少し大きかったらしい。
「あう――――――――」
と、ナマモノはそのまま風に飛ばされてしまった。まるで帽子のように…。
「かわうそ?!」
すでにかわうそ?の姿は無い。空の彼方に星になったかのように。
車を止めて、飛ばされた方向を見る。あの生物と長い付き合いで、「これしきのトラブル」は回避できると信じているが、やっぱり心配だった。
「けーなずぅ〜」
情けない声がする。車の後ろではない。フロントからだ。彼は振り向くと。フロントガラスにへばりついた様に、ペットが涙を流していた。フロントガラスは何故か割れてもない。
「後ろに飛ばされたはずが…まさか世界一周してきたんじゃあるまい」
「そのまさか…光もビックリ。10週ほど」
「…済まん。安全運転する」
「そうしてほしい」
フロントガラスにへばりついてしまったペットを剥がし、今度は極力安全運転郊外の景色を満喫するかのように車を走らせるケーナズだった。
此処でかわうそ?の行動を突っこむところは突っこまないのは、ケーナズもこの生き物の「謎の奥深さ」を考えるのを止めたのだ(何故、光の速さになったのかとか、高速移動でガラスが割れていないかなど)。
ただ、かわうそ?の光旅行はどうだったのか訊きたかったのは言うまでもない。

「確かこの郊外で、絶景が見えるポイントがある。そこは〜」
「あ、其処は行ったことはない。かわうそ?みたい」
ケーナズが向かうところを説明している。
にこやかに笑う可愛いペット。何処でもいきなり現れるナマモノだが、行っていないところもあるようだ。
其れはとてもケーナズにとって嬉しい事だ。
かわうそ?は殆ど嘘を付かない。悪戯で嘘とつくより、まず行動で悪戯か謎行動するしその技は神速・測定不能だ。彼の言うことは真実が多いのだ。
そして目的地に着く。
「わ、わ、すごい!きれい!」
ケーナズが抱えてくれるかわうそ?はとてもはしゃいで喜んでいる。本当に都心を一望できる所なのだ。昼間でもスポーツ的デートスポットの一つである。
「どうだ?凄いだろ?」
「うんうん」
ケーナズは、彼をおろす。かわうそ?はまるで自然動物のようにこの景色、自然を感動し、彼方此方はしっている。当然、飼い主のケーナズが見える範囲にいる。幸い今日は他の人はいないので、珍しがられることもなく、ケーナズ達はこの絶景ポイントを眺め、写真も撮り、前に買っておいた昼食を食べて、あとはかわうそ?の好きなように遊ばせてあげた。あやかし荘も自然は多いが、やはり都会の中。不思議生物でも、やはり人の手が余り施されていない自然を好むのだろう。
―確かアトラス編集部で、バス運転手のバイトもやっていたんだったな。
と、ケーナズは前にかわうそ?から聞いた話を思い出した。
でも、今居るかわうそ?は彼のペットであり大切な家族。無邪気に遊ぶかわうそ?の姿に彼は日々の忙しさを忘れ、ゆっくりしていた。


もう、15時ぐらいだろうか?今から都心に戻ると考えると出発する方が良いだろうし、夕食の予約も取っている。そう思ったケーナズはかわうそ?を呼び戻し、優しく抱っこして車を走らせた。
「よくみつけた、ケーナズ。ペット同伴可能の高級レストラン」
「ああ、探すのに一苦労した」
「ありがとうケーナズ」
と、ペットは夕食が楽しみでならないようだ。
高級レストランだと、流石にペットの持ち込みは禁止がまだ多い。しかし、今回訪れるレストランは、合法的に手続きし飼育可能にした珍しい動物を飼っているオーナーの意図で考案されたレストランらしい。動物も大丈夫な高級レストランなど、もう存在してもおかしくはない時代だとケーナズは思っていた。必死に探して見つけ、かわうそ?に喜んでもらえるのが嬉しいケーナズだった。
そして、予約時間に間に合う時間に彼らはレストランに着く。状況を分かってくれるのもかわうそ?の良いところであり、騒ぎもせず。静かにケーナズと一緒に中に入る。かわうそ?は「いつの間にか綺麗な姿」になっている。山で歩いた泥汚れなど一切無かった。念のためにケーナズが彼をブラッシングしたり足を拭いてあげていたりする。
そして、お互い、上品に食事を楽しんだのだ。


既に帰宅。明日は仕事で早い。すでにかわうそ?は寝床についてすやすや眠っている。
しかし、昔では其処まで考えられなかった。
「コイツと居ると楽しいな」
恋人も居て、楽しい仲間がいて、このペット。遠い未来を思う。
いつもかわうそ?は素直に、彼に接する。
おどけたり、ヤキモチ妬いたり、また皆を和ませたり、驚かせたり。
自分も、このペットに何度心を癒されたか。
「おやすみ、かわうそ?」
「うぅ〜ん、けーなずぅ」
ケーナズの挨拶に反応するかのよう、かわうそ?は寝言を言った。
自分と楽しい日々を過ごしている夢を見ていると確信し、笑うケーナズ。
そして、彼も明日のために床についた。

End

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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【1481 ケーナズ・ルクセンブルク 25 男 製薬会社研究員(諜報員)】

【NPC かわうそ? 年齢性別不明 かわうそ(のような生物・通称ナマモノ)】
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■         ライター通信          ■
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滝照直樹です。
シチュエーションノベル型ゲームノベルではじめのお客様であるケーナズ様、まことにありがとうございます。

考えてみれば、かわうそ?との出会いは本当に運命の出会いでしたね。今ではこの通り、楽しい関係です。
又の機会ありましたら宜しくお願いします。
かわうそ?「|Д゚)ノ又宜しく、ケーナズゥ(はぁと)」

滝照直樹拝