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<東京怪談・PCゲームノベル>


迷子物語

白兎みつきはあやかし荘の炬燵にはいってTVを見ている。その隣ではぬくぬくと丸くなっている小麦色のナマモノが居る。平穏な日々と思われるが、この2人(?)にとっていつものようなドタバタが起こる予兆を感じざるを得ない。
みつきはいきなり、立ち上がって寝ぼけ眼の小麦色のナマモノを引きずって管理人室を出て行った。
昼食の準備をして台所にいた管理人は、手伝っていた大人姿の座敷童子と首を傾げるも、
「ま、いつものことですよね」
「そうぢゃ。気にする事も無かろう」
と、2人はまた昼食の準備に取りかかった。

みつきが動いた理由は、TV番組の再放送で何かに触発されたらしい。
「ねね、あやかし荘探検しよう」
「あう、眠い炬燵暖かい」
「もうかわうそ?ちゃん!」
「ねむい〜みつき、直ぐ迷う」
「むー!大丈夫だもん!」
と、あやかし荘内の探検を開始した。
お節介焼きなのか、謎の生物は欠伸をして
「付き合わないと、迷子確定」
ぼやく。
そして、四足歩行でカワウソらしく彼女を追っていくのだった。
まずは内部。一度開けた、開かずの間の中を覗いて、色々な骨董品、くだらないものを見て遊んでいるみつき。そして夢幻回廊を眺め見るみつき。
「どんなのかなー」
そして入っていく。
無限回廊とも言うべき不思議な場所で空間などがかなり歪んだ環境だ。あやかし荘の名物となっているし、実際誰も行きたがらない危険区域だ。
進んでも、進んでも、この回廊には変化はなかった。
「なんかつまんなーい!」
と、振り返ってみつきは元の場所に引き返す。しかし、付いた先は…
どこだか分からない庭になっていた。
「え?ええ?」
みつきは驚いて混乱している。
夢幻回廊は何でもあり見たいな怪奇スポットだ。みつきがつまらないと言ったので怒った回廊は普通に帰さないようにあやかし荘のどこかにみつきをテレポートさせたのだ。
「うわーん!」
見覚えのある建物に向かう事すらも忘れ、その場で立ちつくすみつき。迷子になってしまったと当然である。
「ここ、何処?かわうそ?ちゃ〜ん」
読んでも返事がない。周りは見知らぬ庭。見覚えのある建物も見つけたのだが、何か不安を感じ近づけない。
「怖いよう」
その場でうずくまってしまうみつき。
その五分後ぐらいだろうか。
「みつけた、みつき」
「か、かわうそ?ちゃ〜ん」
泣いて飛びつくみつきだった。しかし身体的にみつきが大きいので逆にナマモノが抱き寄せられる感じになっている。かわうそ?の身長はそれほど高くないのだ。
「あうーよしよし」
泣いているみつきを慰めるナマモノ。
しかしこれからが本番でもあると、ナマモノはおもった。


次にみつきが向かったのはデパートの地下で、試食するという。
しかし、
〈動物同伴お断り〉
と言う注意書きがあり、みつき1人で向かうことになった。
「はー」
ナマモノはため息をつく。多分予想通りのことが起こるんじゃないかという諦めのため息だ。
みつきは美味しそうな試食を食べて歩き回ってご機嫌。
「おいしぃ♪」
そして、どんどん奥に進んでいく。で、やっぱり気が付けば…
「出口わかんない〜」
と、途方に暮れるみつき。どうすればいいのか分からずその場で泣いている。
外でかわうそ?は空間に溶け込んで存在を消していたが。
「白兎みつき様のご友人様〜」
なんて、迷子放送があった。
「やっぱり」
と、仕方ないので存在とか姿だけを消し、迷子センターで泣いているみつきを見つけては、
「黙って付いてくる」
「かわうそ?ちゃん?」
「うい、時間もない」
「う、うん」
と迷子センターから抜け出していった。
デパートのスタッフはみつきがいきなり失踪したことで驚いているだろう…。


そして、あやかし荘の裏山まで探検隊の服装に着替えたみつきは、
「今度は迷子にならないよ!」
と意気込んでいる。
とはいっても、一緒にいる小麦色の生物は信用していない。
「なによ〜そのジト目は〜」
「なーんにもない」
「じゃ、一緒にレッツゴー!」
「うさぎの姿で行けばいいのに」
「いや!それはいや!」
と、裏山散策獣道を歩いていくみつきだった。
冬なのでコレといって動物は居ないし、小鳥が鳴いて居るぐらいだ。春であれば、沢山の動物を光子路が出来るだろう。幸い獣道を歩くこの2人は「動物」としてのにおいを持っているため、他の者に危険視されることはない。もっとも裏山にはこの獣道ぐらいしかないのだが。
みつきは、気が付けばかわうそ?を忘れてはしゃぎ走っていた訳で…当然迷子に…。
「かわうそ?ちゃぁぁぁん」
と、泣きベソかく訳であった。
でも、かわうそ?は彼女の見える範囲にいたりするので、
「またか」
と、ため息をつくわけであった。
ドジうさぎのお守りは此で何回目だろうかとか考えるかわうそ?だったりする。


あやかし荘への帰り道で、
「みつき無鉄砲過ぎ」
「えー」
もう迷子を何回しているのかということで注意するナマモノと文句を言うバケウサギ。
「変化した肉体年齢、15と言っても未だ子供、相応しい身体に変化するヨロシ。3歳とか」
と、かわうそ?
「むー子供じゃないもん!」
みつきは15歳の少女から耳を隠した20歳の女性に変化するのだが、
「いあ、それでも心の年齢がだめっぷり」
「かわうそ?ちゃんがいじめる〜」
みつきは泣く。
通りがかった小学生の一団が、
「あのお姉ちゃん泣いてる〜」
と、追い打ちに笑われた。
そこで又落ち込むみつき。
一団が去った後、彼女は9歳ほどの女の子に変化する
「こ、こ、此が妥協する変化だからね!」
「まー其れで迷子にならないのならいいけど」
かわうそ?はしれっと言う。
「むむむ…」
理解しかけているが、感情が認めない難しい顔をするみつき。どう変化しようと、迷子になることは今日で充分分かったのだ。
「何とか迷子にならないようにするよ」
悄気たみつきである。


と、この一日は比較的平和であったが、次の日。
もう、昨日のことをすっかり忘れ、又迷子になってかわうそ?に助け出されるみつきをよく見かけるというのだった。しかも例のナマモノはどこからでも彼女を助けに来るのだ。
「かわうそ?保護者。こまった」
そんなこと言いながらも、世話焼きしているナマモノ。

此が、みつきとナマモノの日常だったりする。
徐々にこれが奇妙な友人関係になるのだった。

End

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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【2099 白兎・みつき 5 女 バケウサギ…って職業じゃない】

【NPC かわうそ? 年齢性別不明 かわうそ(のような生物・通称ナマモノ)】

※ライター通信の代わりにかわうそ?がお届けします。
みつき、無茶しすぎ。其れ良くない。うん。
今度、迷子にならないように気を付ける。いい?

かわうそ?より(ペタと足跡が付いている。サインのようだ)