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<東京怪談ウェブゲーム 草間興信所>


食器棚の中

 0、オープニング

『ゴメン! 早く終わらせるつもりだったけど、全然終わらね〜! 約束、来週じゃ駄目か?』

『仕事じゃしょうがないよ。来週ね?』

『マジ、ゴメンな? 旨いメシ屋連れてってやるから。あー、タバコも切れた。携帯の充電器も忘れてきたし、今日はついてね〜(TT)』 

  *    *    *

 ――仕事じゃしょうがないよ。来週ね?
「それが、彼女からの最後のメールになった……。俺が家に戻ったのは二十二時。留守電で彼女の死を知ったんだ。アイツ――」
 青年は伏せた目で、手の中の携帯を見つめた。後悔に染まった悲しげな瞳が揺れる。
「俺を恨んでるのかもしれない」
 草間は煙草を唇に挟みながら、残り僅かなそれを青年にも勧めた。青年は首を振り、大きなため息をつく。阿部竹温(あべたけはる)、二十二才。営業の合間をぬってやってきた彼の服装はスーツだった。
 くたびれた事務所の時計が、十五時を告げる。
 二人はテーブルを挟んで座っていた。十日前の新聞がそこに置かれている。開いた面は三十八面。草間はその記事を覚えていた。
 日常の一コマである。歩行者がトラックに跳ねられたと、数十行の文章だ。誰もが心に留め置かず、流し見て終わる内容であった。だが、目の前の青年にとってそれは、激しい心痛を生んだ。
 最後のやりとりから一時間後。彼女は自宅近い道路で事故に遭い、帰らぬ人となっていた。彼が知ったのは帰宅後、友達の残した何軒もの留守電メッセージからだ。生憎と携帯は、彼女が病院に運ばれた午後二時に切れていた。
 仕事が終わっていれば。連絡が早く貰えていれば。
 彼女は死なずに済んだかもしれない。
 息絶える前に、逢えたかもしれない。
 握りしめた彼の拳は震えていた。
「いつも仕事で、約束破ってばっかだった。良いよ、良いよって言ってたけど、きっと嫌だって事、隠してたんだ」
「構ってもらえなかったから――君が逆の立場だったら、それぐらいの事で恨んで出るのか?」
「出ないよ。けど……俺が送ったメールに、アイツ、返事よこさなかった」
 今度は草間が首を振る番だった。
 彼女の葬式が済んでから、彼女の気を部屋の中で感じるようになった、と彼は言った。
 仕事から戻った時や、出かける時。ふと、彼女が側にいるような気がするそうだ。
 果たして、それが恨み辛みをはらす為の行為なのだろうか。
 探偵には、そうは思えなかった。
「もっと、違う心残りがあるんだろう。それを君に伝えたいんじゃないか?」
「恨んでるじゃなかったら、どんな? 事故の日にアイツが俺の部屋に来たのを、大家が見たって言ってた。仕事が終わらないって電話した後で、アイツ部屋に来たんだよ。いったい何の為に? 合い鍵だって持ってる。中に入れるのに、玄関の前でウロウロして帰ったんだ。俺に文句とかそう言う話しがあって、待つつもりじゃなかったのか? それで、やっぱり止めて帰る途中で……」
 事故に遭った。
「──俺が悪いんだ」
 俯いた阿倍の口から、悔やみ切れない思いが漏れる。
 それまで銜えていただけの煙草に、草間は火をつけた。目を細め見つめた先は、阿倍の手にある携帯だ。
「……なるほどな。何となくだが見えた。彼女は部屋そのものに気がかりがある。君の家を訪れた事に、恐らく関係しているだろう。それを調べよう。彼女の心残りを取り除いてやらないとな」
 阿部は小さく頷いた。


 1、運

『マジ、ゴメンな? 旨いメシ屋連れてってやるから。あー、タバコも切れた。携帯の充電器も忘れてきたし、今日はついてね〜』
 どんな表情で話しているのか──それは声を聞けばわかる。特別な力でも何でも無い。一緒にいれば、自然とわかるようになる事である。
 しかめた顔を、天井に向ける。ゲームで負けた時。出先で忘れ物に気づいた時。がくりとする感情を表すのに、彼は良くそうした。
 どこか子供さの抜けきれていないそれを、彼女は憎む事が出来なかった。
「あら、出かけるの?」
「うん、ちょっと──コンビニとか……」
 玄関先で靴を突っかけながら、母の声に返す。持ち物は携帯、財布にキーホルダー、それにボールペンが一本。行って戻るまでに必要な物は持った。
 ガラリと扉を開けた。留まっていた微かな憂いを吹き飛ばす、澄んだ青の広がりに、彼女は目を細める。
「夕飯はー?」
「いるー。直ぐ帰るから」
 徒歩にしようか、自転車にしようか、彼女はしばし思案に暮れる。目的地までは歩いて往復四十分。コンビニを経由する事を考えると、後者の方が良さそうだ。
 午後一時の陽に背を押されながら、彼女はペダルを踏んだ。
「ついてない、かぁ……」
 溜息を一つ付くと、そこに苦笑が生まれた。
 約束は流れ、他にする事も無い。ついていないのはお互い様だ、と彼女は思う。ただ──
 ──ただ彼の方が自分より、少しだけ運が悪い。
 高山千春の、それは最後の優しさになった。

 2、責め苦
 
「何をする訳じゃ無いんだろう? 怨まれて当然だと思うなら、諦めて共存しちゃどうだ。掃えと言うなら話はもっと簡単になるが」
 ハッとした顔で、依頼人は声の主を見上げた。金と言う瞳の色は、時に冷たい印象も与える。上総辰巳であった。
「はらう? 掃うってまさか……」
 辰巳は何の感情も乗らない、平坦な口調で付け加える。
「まとわりつかれて邪魔なら、駆除してやると言ったんだ」
「駆除なんて……」
 阿部は呆然と言葉を失う。
「ま、そんな事をして欲しい訳じゃないんだろうけどな」
 カチリと音をさせ、辰巳は銜え煙草に火を点けた。話を一通り聞いてはみたが、興味を注がれる話では無かったようだ。
「僕の知った事じゃない」
 と、壁にもたれて煙を吐いた。
 そんな辰巳を横目に、草間はクスリと笑う。
「あぁは言ってるが気にするな。そもそも、何とかしてやろうと思わなければ、ここに留まっている理由は無い。早々に出て行くはずだからな」
 阿部はその言葉にホッと胸を撫で下ろした。かなり不安だったのだろう。草間の一言で、辰巳を見る眼差しが変わった。
 だが、辰巳の方はチラリと視線を草間へ向け、余計な事を、とでも言いたげな顔をしている。
「何とかしてやると言っても、彼女を生き返らせるのは無理だがな。出来て心残りを解消させるぐらいだろう」
 憎まれ口のように聞こえるが、辰巳は事実しか述べていない。
「それで十分だと思うけど」
 シュライン・エマは、先ほど草間が浮かべた笑みと同じものを顔に貼り付けながら、重いダイアルを回していた。
 ジーコロコロ、ジーコロコロ……。
 それはマイペースで間延びした音を立てる。千春の家に繋がるまで、あと四つの数字が残っていた。
「8……2。ううん……武彦さん、いい加減この電話も引退させてあげたいわね」
「それを言ってくれるなよ。電話機を買う金も無いが、プッシュ回線にするのにまた金がかかる」
 数が大きくなればなる程、ダイアル音も長くなる。急いでいる時など、穴に指を入れて強引に戻した事が、何度あったかしれない。投げれば凶器になるほどの重量感。良く回す数字は掠れかけている。
「まだ、当分お世話になるそうよ」
 シュラインは、そろそろ天然記念物になりかけた黒電話を励ましながら、最後のナンバーに指をかけた。
「うむ。物を大事に扱うと言うのは良い事だ。電話も本望であろう」
 そう言って、浄業院是戒は笑った。是戒は新旧を問わず、機械が苦手であった。ボタン一つに色々な機能が盛り込まれている今の電話より、回すだけで繋がるダイアル式の方が、遙かにわかりやすい。
 もっとも、もっぱら意志の伝達には、足を使っているのだが。
 シュラインが千春の家とやりとりをしている間、話はまた依頼人へと戻った。
 是戒の目は、阿部の持つ携帯電話へ行く。
「人の心は誰とても、その深くを知るには至らぬ。顔を見、声を聞き、それでも通じぬ情は多かろう。『めーる』と言ったか……それが文字であれば尚の事。娘の気持ちがわからぬと悔やむのも致し方ない」
 阿部はこくりと頷いた。携帯を握る手に、心なしか力が加えられたのを是戒と辰巳は見逃さなかった。
「怨まれておるとは言うが、お主が見初めた娘ではないか。何か他に、思いつく事は無いか? お主の元に現れるようになったそ理由を、今一度、思い返す事はそう難しくあるまい」
 是戒の穏やかな諭しに、阿部は耳を傾ける。
 そして、言われた通り、それまでの事を振り返った。
 阿部は千春と過ごせて幸福だった。楽しかった。千春も同じ気持ちを抱いていたと信じて疑わなかった。
 別れがやってくるとしたら、それは自分の方からではない、と阿部は常々思っていた。
 カーディーラーに勤めていた阿部は、営業と言う職種上、残業も多く、顧客の都合に合わせて休みを返上する事が度々あった。
 その度に、千春は犠牲になった。約束を潰す事で、彼女の休日を台無しにしてきた。
 後悔が、阿部の思考を同じ所へ向かわせる。
 やはり、恨まれていたのではなかろうか。
 深いため息が、阿部の唇から漏れた。
 チン、と受話器を置く音が事務所に響く。
 窓の向こうが急に明るくなったような気がして、辰巳は顔を上げた。向かいのネオンに明かりが点っている。いつしか外は暗くなっていた。
「仕事で遅くなると告げたのよね?」
 シュラインは腕を組み、指に挟んだメモを顎に添えた。折り込み広告の裏側を利用して作った、事務所専用のお手製メモ用紙である。千春の連絡先が書いてあった。
『大安売』と印刷されたそれを、阿部は見上げて頷く。
「家に居ないと知っていたんだから、そこへ訪ねて行って、怒りを発散させようとするのはおかしくないかしら。そもそも何時に戻るかも知らされていないのよね?」
「終わる時間がハッキリしなかったので言ってません」
 シュラインは相づちを打ちながら、メモをテーブルの上に置いた。
「事故当時、千春さんは携帯を所持していたそうなの。例えば……もともとメールは阿部さんの部屋で打っていて、約束が無くなったから帰ろうとした所を、大家さんに見られた……等は、考えられないかしら」
「あ……」
 そう言ったきり、阿部は呆然と一点を見つめたまま動かなくなった。辰巳にも言われた勝手な思いこみが、阿部の視野を狭めていたようだ。
 辰巳は目を細めながら、立ち上る紫煙を眺めている。
「合い鍵を持っていたとなると、あり得無い話じゃないな。そうなると、怨みの線は消える」
「えぇ。そうじゃなければ、メールの返事になりそうな物を、届けに行ったのかも……」
 シュラインは言葉を切って阿部を見る。
「仕事から戻ったあなたが、ホッとするような仕掛けをして帰ったとか……」
 是戒のいかつい顔が縦に動いた。
「うむ。儂も似たような事を考えておった。お主に渡したかったものでもあるのではないか?」
「あぁ……」
 大変な思い違いをしていたのかもしれない。阿部は頭を抱えてテーブルに突っ伏した。髪を掴んだ指先が、微かに震えている。
「俺──」
「考えるは後にしろ。家捜しは僕の専門外だが。それで事が片づくなら、手を貸してやらんでもない」
 辰巳はそう言ってドアを開けた。せき立てられるようにして、阿部も立ち上がる。その顔は今にも泣きそうであった。

 3、消える想い

 ロフト付きのワンルーム。クローゼットは一間ある。そのせいか収納家具は一つも見あたらなかった。二五インチのテレビとテーブル、足のないソファー。それに横置きのカラーボードが点々と置かれている。物はかなり少ない。
「可愛らしい食器棚ね」
 シュラインが目を止めたのは、カラーボードの上に載せられた、縦横四十センチ程度の棚であった。スライドするガラス戸がついており、中には間仕切りが一つがある。上下の段は几帳面に並べられた食器で埋まっていた。
 ご飯茶碗や汁碗など、それらは全て二客ずつあり、どれも女性の手で選ばれた事のわかるデザインだった。
「アイツが買ってくるから、しまっておく場所が必要で……」
 阿部は少し照れながら、咎められたとでも言うように言い訳した。
 フローリングに転がっているクッションも、彼女が選んだものに違いない。白とブルーのチェックが二つ。千春は普段から、ここで過ごす事が多かったようだ。
 至る所に、その痕跡が散らばっていた。
 辰巳はぐるりと部屋の中を見回した。ソファーの上に雑誌が投げ出されているが、開かれたテレビ欄の日付は一週間前で止まっている。
 すでに新しい号が出ているはずだが、どこにも見あたらなかった。
「気にかける余裕も無いか」
 呟いて雑誌をどける。空調のリモコンが、埋まったままになっていた。阿部は少なくとも一週間、まだ寒いこの時期に暖房の存在を思い出す事は無かったようだ。それほどまでに、ショックが大きかったのだろう。
「私には見えないのだけれど」
 辰巳は振り返り、シュラインの視線を辿った。玄関で是戒が扉と対峙している。
「あぁ、見えるほどじゃないが。『在る』事は確かだな」
「ある? 『いる』ではなくて?」
「いる、と言うほど強くは無いな」
 ドアに残った、薄く淡い思念。是戒はそこに語りかけていた。
 それが彼女だと気付いた阿部は、たいしたものだと辰巳は思う。
「……弱すぎるか」
 是戒は真言を飲み込んだ。阿部と会話させてやる事は出来そうにない。千春の念は、灯が消えたあとの僅かな残光のようにおぼろだった。
「すまぬ」
「いいえ。ありがとうございます」
 頭を下げる阿部の横で、シュラインの注意はドアへ向かった。千春は玄関前でうろついている所を目撃されている。部屋の中に入ったとは限らない。
「新聞もたまってはいないし、ポストは毎日確認しているのね?」
「いえ。新聞は読む時間もないし、ゴミになるから取ってません。ポストは……」
 そう言ったあと、阿部の顔色が変わった。慌てて玄関に駆け寄りボックスを開く。
 バサと落ちてくる公共料金の領収書やダイレクトメール。そして何故かそこにあるはずの無い物が顔を覗かせた。
 煙草がふた箱と、コンビニのレシートである。
 阿部はそれを拾い上げた。
「何か書いてあるようだが」
 辰巳に言われて、阿部はレシートを裏返した。
 五百四十円と打たれた小さな紙の裏に記されていたのは、少し崩れた文体のたった六文字であった。
『お帰りなさい』
 それだけである。
 見る間に、阿部の目から涙が溢れた。
 同時に、辰巳と是戒が反応した。
 それまで留まっていた思念が、ドアから失せたのだ。
「……気付いて欲しかったのだな」
「あぁ、そうらしいな」
 二人の会話を聞き、シュラインも事を把握した。
 阿部も気取ったようだ。
「待てよ! 行くな!」
 激しくドアを殴りつけた。頬を滑り顎を伝った雫が、玄関ダイルに水玉を作る。俯いた横顔は悲しみに歪んでいた。
「思い違いは誰にもある。己を呪っても時は戻らん。お主が荒れては、娘も悲しもう……」
 是戒の慰めを、阿部は怒り露わに突っぱねた。
「荒れるさ! アイツを殺したのは俺だった! 俺が──俺が『あんな事』を言わなければアイツは死なずに済んだ!」
 ドンッ──
 扉が軋んだ。右手から血が滲み出している。阿部はズルズルと泣き崩れ、もう一度、戸を叩いた。
「馬鹿だ──こんなもんの為に。馬鹿だ……」
 一つ二百七十円の白い箱。最後に交わした会話の中の、何気ない一言が千春を動かしたのだろう。
 怨みも、怒りも無い。残されたメッセージが全てを語っていた。
 辰巳は阿部の背を見下ろす。
「故意で言った言葉なのか? そうじゃないなら、自分を責めても始まらないだろう」
「彼女も自分の意志でそうしたのよ。あなたが悪いわけじゃないわ」
 傷ついた手の中で、握り潰されそうな二つの箱。
 シュラインの脳裏に、あの探偵の顔が浮かぶ。
 草間が風邪を引けば、風邪薬を持って行く。阿部と同じ事を言われたら、シュラインもやはり千春と同じ行動を取っただろう。事務所へ向かう道すがら、いそいそと煙草を買い求める自分の姿を、シュラインは容易に想像できた。
 頼まれもしなければ義務でも無い。ただ、自分がそうしたいから、そうするのだ。
 それは、誰かを想う優しさの証だった。
「お主に誤解されたままでは辛かったのだろう。娘は解放された。次はお主の番だ」
「無理だよ……忘れられない」
 是戒は深い慈愛に満ちた目で、阿部を見つめる。仲違いしたまま死別した友を、是戒は思い出していた。
「忘れよと、言うのではない。忘れる事など出来ぬのは、儂自身が良くわかっておる。それに、亡くしたからとて、無に還るわけではない。想いは生涯、胸に留まろう。そこに囚われず生きよ。お主の為だ」
「そうね。千春さんの為にもなるわ」
 優しさも、今は酷だとシュラインはわかっている。
 阿部は、潰れかけた煙草の箱を握りしめたまま、動こうとしなかった。それを手放したいのかもしれない、と辰巳は感じた。
「自棄に走るのは構わんが。また、後悔する事になっても知らんぞ」
 阿部の唇から、嗚咽が漏れた。
 
 4、食器棚の中

「やっぱり、棄ててしまうかしら……」
 呟くシュラインに、辰巳は肩をすくめた。
「さぁな。あとは本人次第だ。他人が強制して解決する問題じゃない」
「……うむ」
 是戒は笠の淵に手をかける。クイと持ち上げたそこに、月が輝いた。
「この光が、全ての闇を照らす道標となれば良いのだが」
 果たして、人の心まで届くだろうか。
 三人はそれぞれの帰途へとついた。

   ※     ※     ※

 一週間後──
 菓子折りと一封を手に、阿部が事務所へやってきた。
 まだ、元気とは言い切れないが、心の雲は幾分晴れたらしい。時折、笑顔を見せるまでになっていた。
「やるか?」
 なけなしの一本を勧める草間に、阿部は首を振り微笑った。
 煙草は止めた、と。
「草間さん。『あれ』は俺のお守りにする事にしたと、皆さんに伝えてください。いつか手放す時が来るまで、食器棚の中に置いたと、そう言ってくれれば分かります」
 その顔には前へ進もうとする者の、寂しさが滲んでいた。


                        終


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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 (年齢) > 性別 / 職業】

【0086 / シュライン・エマ (26)】
     女 / 翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員
     
 
【0838 / 浄業院・是戒 / じょうごういん・ぜかい(55)】
     男 / 真言宗・大阿闍梨位の密教僧 
         
【2681 / 上総・辰巳 / かずさ・たつみ(25)】
     男 / 学習塾教師

(別班)
【0381 / 村上・涼 / むらかみ・りょう(22)】
     女 / 学生  

【0389 / 真名神・慶悟(20)】
     男 / まながみ・けいご

【1582 / 柚品・弧月 / ゆしな・こげつ(22)】
     男 / 大学生
            
     
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■          あとがき           ■
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 卒倒──大変大変大変遅くなりまして、
 本当に本当に何とお詫びをして良いやら(滝汗)。
 歯痛と腰痛のダブルパンチで集中力が欠損しておりました。
 毎度の事ではありますが、自己管理能力不足です。
 申し訳ございませんでした!

 さて、タイトルですが、プレイングの誤誘導を避ける為、
 伏せさせて頂きましたものでお届け致します。
 少しでも楽しんでいただければ幸いです。

 尚、今回は、班を二つにわけさせていただきました。
 パラレルとなっておりますが、依頼人は諭されたり、
 怒られたりしながら、何とか前進する事に至ったようです。
 皆様のお力寄せに感謝致します。

 苦情や、もうちょっとこうして欲しいなどのご意見は、
 喜んで次回の参考にさせて頂きますので、
 どんな細かい事でもお寄せ頂ければと思います。

 今後の皆様のご活躍を心からお祈りしつつ、
 またお逢いできますよう……

 P.S.. シュライン様
  『郵便受け』と言う言葉が出てきた方は、シュライン様だけでした。
  さすがです。

 
                   紺野ふずき 拝