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<東京怪談・PCゲームノベル>


|Д゚)ノ メイド喫茶の千春

のんびりと散歩しているかわうそ?
「?」
何か気がついたようだ。
「新しい喫茶店…」
彼が目にした物は、あやかし荘近くに新しい喫茶店を見つけたのだ。何でも看板には〈メイド喫茶『OSU』〉と書かれている。
「メイド…あやかし荘…メイド服いっぱい」
と、昔のことを思い出すナマモノ。
「…動物大丈夫なのかな?」
彼は一応動物の姿だから気になっていた。
カランカランとドアをあけるとベルがなった。
「いらっしゃいませぇ〜」
聞き覚えのある声がする。
「千春!」
「かわうそ?さん!」
いつものメイド姿の大曽根千春が目の前にいたのだ。
「どしてここに?」
ナマモノは尋ねる。
「じつはですねぇ…。あやかし荘に住んでからバイトをしようと考えたんですよう。丁度、ここでメイド喫茶をすると聞いたので面接受けたのでした♪」
大曽根千春はいつもの笑顔で答えた。
「千春のメイド姿良い」
かわうそ?ははしゃぐ。そして、その店の中で一望できる隅に座る。しかしその姿、何かのぬいぐるみと間違える。
千春はクスっと笑って、仕事を始める。
さて、この一日大曽根千春のバイト風景を覗いてみよう。

9:00 開店
かわうそ?はこの喫茶店に溶け込んでいた。
まず、このメイド喫茶『OSU』は如何にもメイドが働いても違和感がない装飾になっている。洋館の食堂、応接室を意識してデザインされている。しかし、各部分にメイド趣味のオタクが好むような同人情報のコルクボード、チラシ置き場、この喫茶店で行われるイベント情報が張られている。少し違和感があると言えばあるだろう。
ちらほらと、近所の人やモーニングセットを頼む客が来る。
「いらっしゃいませ〜」
「なににいたしましょうか?」
「ご注文おきまりになられましたら、および下さい」
と千春や他のメイド姿の、落ち着いてとしてお客を大事にするメイドウェイトレスの声がする
「お待たせ致しましたぁ」
千春はコーヒーをお客に渡している所だった。
流石、例の騒動からかメイド仕草が板に付いている。ナマモノは感心した。
静かな午前、メイド喫茶と言うからにはそろそろ忙しくなる時期が迫っている。

11:00〜 昼
ナマモノは未だ姿を隠していた。
他には単にランチセットを頼むお客より多くの、メイド目当てのお客達がやってきた。
|Д゚)…
どこかでこのナマモノも観察している。
「きょ、今日のメイドさんは、ち、千春さんなんだな」
「やはり、ここの人気メイド殿でござる」
やたらと太ったキャラTシャツを着た男、と眼鏡をかけたいまにもやせこけた男がまるで千春を拝まんとするためにわらわらやってきた。
「いらっしゃいませぇ〜」
千春は、マイペースでもしっかり客対応している。
「おお、萌えでござる!」
「ぼ、ボクに微笑んでく、くれたんだな!」
「其れは拙者に微笑んでくれたのでござるよ」
と、バカな会話している千春目当てのオタク達。
当然、神聖都学園から抜け出し、彼女目当てでランチを頼みに来ているファンクラブ会員もいて…
携帯やデジカメを出して
「済みませんが写真取らせてくれませんか?」
とか。
千春はにっこりと
「済みません〜。いまは撮影イベントではないのでお控え願えますかぁ」
と、丁寧に断る。
そこで萌えて悶えている連中がいる。
ナマモノは苦笑していた。しかし、千春のためと隠し撮りをする不埒な輩のカメラに自分を撮していたりする。
千春はマイペースで天然だがしっかりと仕事をこなしていた。
「ランチB-4はいりますぅ」
「お飲物は何に致しますか?」
「お待たせ致しましたぁ」
ほかのメイド従業員に負けず、頑張ってお仕事している千春。彼女をみているかわうそ?はえらいと思っていた。
しかし、やっぱりへまはする。
水入りグラスを落としてしまって、お客に水をかけてしまったのだ。幸い膝辺りにこぼれており大事に至ってない。
「あ、も、申し訳ありません!」
ひたすら謝り、お客の濡れた服を拭いている千春。
「困るなぁ。(千春さんと急接近!)今度から…気を付けて」
この客も、千春目当てのようだった。
「は、はい。大変申し訳ありません」
仲間は
「この幸せ者!」
「くそー俺も〜」
とか変な反応している。
「あ、あの客、う、羨ましいんだな。し、親密度アップな、何だな」
他の連中の1人は呟き、得した(?)客に嫉妬を込めて睨んでいた。
かわうそ?は始終、|Д゚)…だった。

15:00 かき入れ時
「かわうそ?さ〜ん」
と、休憩中の千春がナマモノを呼ぶ。
「ふ?」
ナマモノはどこからともなく現れた。
「はい、ケーキセットです♪」
何と、千春は本日限定のケーキセットをナマモノに上げていた。店長の方に許可を受けたそうだ。
「千春、ありがとう♪」
かわうそ?は喜んで、ケーキを食べている
「旨い。あと調理法覚えた」
「内緒ですよ、レシピは極秘みたいですから」
「うぃ」
と、和やかな会話で休憩は終わる。
これから、かき入れ時なのだ。
「さて、頑張ります♪」
と、彼女はおしとやかな微笑みで仕事場に向かった。

満員である。もうナマモノを構っている暇など無い。殆どがメイド目当てのメイド萌え連中。メイドは走ることは許されず、ゆっくりと歩き、一歩下がった姿勢で対応するというのがルールらしい。長時間待っていても苦にはならなく、客はオタク話で花を咲かせていた。時折、何かヤバい関係の者も出入りする。それらの対応にも何とか断っていく千春達の姿を見るかわうそ?
「えらい…皆」
感心している。
そして、今日は無事に閉店したのであった。


20:00 帰り道
「疲れましたぁ」
かわうそ?と一緒に帰る千春。
「その格好で帰るのは問題と思われ」
そう、彼女はメイド服であやかし荘に帰るのだ。
「大丈夫ですよ」
にっこり微笑む千春。
「今日はどうでした?」
「忙しそうだった。でも輝いている」
「ありがとう、かわうそ?さん」
目の前にはあやかし荘の明かり、いまもいつものメンツが騒いでいるようだ。何か事件でもあったのだろう。
「じゃ、千春」
ナマモノはどこかに去っていった。
「また来て下さいね〜」
「うぃ〜」
忙しかったがメイド喫茶のバイト。また、明日も入っている。
「さて、お掃除して…」
千春は相変わらずのマイペース。しかし今後の計画はしっかり立てていた。


余談だが、メイド喫茶にやってきたかなり不埒な輩はかわうそ?の悪戯で写真は撮れず、夜道に謎の恐怖を味わっていたという。
彼のおかげかどうかは知らないが、OSUは礼儀正しいオタク達と普通の客の憩いの場所となっていった。

End


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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【0170 大曽根・千春 17 女 高校生】

【NPC かわうそ? 年齢性別不明 かわうそ?】

※かわうそ?通信。
|Д゚)ノ千春、がんば。ケーキ美味しかった。又行くから、宜しく。