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草間興信所最大の敵
Opening：五月ちゃんからＳＯＳ
草間興信所の座敷童子、五月です（がしゃーん）
いま、零おねえちゃんは、（ばきゃ）黒い（ボコバキメショ）
（どっがらがっしゃーん）と死闘をくり（ぼかーん）ます（ドガガガガガガガ）
…（かなり騒音が酷いようだ）
（早口）このままだと建物が壊れるので誰か助けてー!!（かなり泣きべそ）
と、五月が電話をするのは珍しいのだが、零が尋常ではない事を察する貴方。
大体何が起こったのか検討着くと思うだろうが、行かなかったら五月の言う通りになるし、かといって黒い（ボコバキメショ）の正体ってアレだろうから…と複雑だったりする訳なのだった。
よりによって、草間武彦が行方不明の時に…と言うものである。
因みに、応接室は黒い絨毯になっているもようだ。
１．黒き悪魔
この騒ぎを別の意味で聞きつけた既にドリルガール状態の銀野らせん。いっしょにかわうそ？と空を飛んでいた時だった。
「草間興信所にＴＩ社の怪人が！」
「え？」
「急ぐわよ、かわうそ？くん」
「…あい」
そして、現場にたどり着くわけだが玄関からではない、目の前には窓だ。
このまま突き破って行った方が格好いいのだが…。
「よっこいしょ」
とご丁寧に、窓を開けて入ってくる辺り、焦っているのか分からない。
「みんな下がって！この部屋のどこかにＴＩ社の怪人がいるわ！」
と、言っても自分が一番乗りだったようだ。
零の黒い「アレ」を撃退するための怨霊武器が唸る音と、
「らせんおね〜ちゃ〜ん」
と、大泣き状態の五月が駆け寄ろうとするのだが…先に群がるのは黒いアレの軍隊だった
「きゃ―――――――！あっちいってぇ〜」
ドリルで黒い悪魔を追っ払う。
「私をこんな奴につかうなぁ！」
と、ドリルは激怒している。
「さきに、零のようすおかしい！」
「あ、そうだ」
かわうそ？とドリルに言われ、我に返ったらせんは。怨霊発散している零に向かっていった。
その丁度に
「あら、あらら」
隠岐智恵美の声。
「智恵美のおばちゃん…こわいよ〜」
「怖かったよね」
子供と焔を避難させる彼女。
しかし、智恵美は後ろで恐ろしい氷のような殺気を覚えた。
「あれ…」
振り向くと…本気状態で水を操っている海原みなもが…、近くの地下水まで手を出して、黒いアレを水流で殲滅しようとしていたのだ。
「おちついて…みなもさん」
だめだ…完全に「壊れている」
らせんが零をドリルの効果で気絶させたのと同時に、草間興信所全体が水浸しになって、窓ガラスを破り、水と切り刻まれた黒い絨毯とナマモノが流れていくのであった。
「イヤー」
びしょ濡れになったのはらせんと零だけである。智恵美さんはなんとかその「範囲」から離れていたらしい。しかし、みなもが地下水を使ったことで、地面が陥没してしまい、他の建物が崩れたり道路が陥没したりしたのは事実である。
其れを遠くで見たのは、サイコドクターの卵、楷巽と急いで駆けつけようとしたが部下に止められ時間を食った宮小路綾霞だった。
流されて道路で、水の刃で切り裂かれ、窒息死されたにも体の一部が蠢いたり、体液をドロドロ流したりする黒い悪魔を見た楷と綾霞。一歩退く。
しかし、綾霞には興信所からかろうじて逃げてきた悪魔が張り付いたことで、楷はその量でキレた。
「――――――――――！」
「――――――――！…」
あってはならない存在として楷は近くにあったかわうそ？で叩きつぶし（え？）綾霞は術を乱発したのであった。
地盤が不安定なこの状況で綾霞の術が炸裂したので…又陥没をおこし、２人と１匹は黒き悪魔の死体とともに落ちていった。
「「「ぎゃ―！」」」
みなもは冷たい表情で
「まだいます…アレは必ずいます。隅々まで流し斬り裂き押し潰し流しましたが、しぶといです。人間の歴史より古いですから…確実に殲滅しないと！」
みなもの声は神の怒りにも似た恐ろしいものだった。
２．作戦会議
綾霞と楷はかわうそ？に助けられて、復帰（どうやって脱出したかは「謎」）。急いで興信所に駆けつける。
水浸しになった応接間。使い物にならなくなったパソコン。ずぶ濡れのドリルガールと零、そして…静かな殺気を放ちながら水を操り、一匹アレを見つけては水の刃で切り裂くみなもと、お菓子とお茶を用意している智恵美がいた。
「派手に…」
言葉が出ない。綾霞も我に返ると道ばたで暴走していたからだ。
「まだ…あ…！襲ってくる…」
楷は、被害妄想が酷くまたかわうそ？をぶんまわし始める。
「いやー」
「おちついて〜」
今度はらせんは、楷に精神攻撃をし、無理矢理落ち着かせた。
「あら、あらら」
智恵美は苦笑しているだけで
「皆さん落ち着いて、お茶をしながらどうするか考えましょう」
と、促す。
「そうですよ…みなさん…」
水を操るみなも。
かわうそ？はかなりグロッキーだった。
｜Дﾟ；)…
とおくで、また何かが崩れ落ちる音がする…。
紅葉饅頭と、智恵美が作ったお菓子をお茶請けにしてどうするか話し合いが始まる。
零は暫く気絶している。
「また暴れては困りますから」
とドリルガールが言う。
「そうよね…」
辺り一面が完全に破壊されているが…不思議に草間の部屋だけ無事だった。念のために部屋を見たのだが、アレの存在は全くと言っていいほど無い。
「どうしてこうなったんでしょうかねぇ」
智恵美はお茶を飲みながら紅葉饅頭を食べている。
「こ、こわい…」
楷はまだ震えていた。
「皆の方が怖い」
かわうそ？がブルブル震えながら言う。
また一匹出現。しかしみなもの水で殺され、一定の位置に置く。その数…数えたくない。
「草間さんに綺麗にしなさいと言いたいけど…本人がいなかったよね…」
ため息をつく綾霞。
「何かの前触れでしょうか？普通のアレだったなんて」
「調子が悪かった。誤作動起こしてしまった」
らせんとドリルが言っている。
だれも、智恵美の手作りお菓子だけは手を付けなかった。
其れは…
―智恵美が知らない間に、お菓子を食べたアレが苦しみながら死んでいたからだ。
あれだけは食ってはならない。勧められても食ってはならないと智恵美以外の者は（冷静に壊れているみなもさえ）確信した。
「まず大掃除して噴霧式室内殺虫剤などで何とかしましょう」
「其れの案は無理よ」
「あ…」
そう、窓ガラスが割れて使えない。
「大掃除は良い案ですね」
みなもが静かに言う。
「卵や巣を発見できるから」
殺気を込めて言っている。
―怖い（みなも以外の皆さんの心の声）
しかし、これ以上の恐怖はまだまだあるのだ。
３．神の怒り
まず、手当たり次第ではダメだと言うことで、らせんとかわうそ？は殺虫剤などをしこたま買いに出かける。零を起こした綾霞は、現状を伝え、今皆が手伝っているから落ち着こうと諭しているところだ。
零も我に返った様なので、ひとまず残っている人達でてきぱきと水浸しになった興信所を綺麗にしていった。案の定、部屋の死角に卵やら、あれらの巣があったので、みなもが其れを綺麗に処分。割れたガラスなど不燃物、可燃物をしっかり分ける。みなもだけに黒い悪魔の退治を任せることで、スムーズに事が運んだ。
らせんが帰ってきた後、トラップ系殺虫剤や最期のトドメとばかりに黒い悪魔に殺虫剤をかけて一段落する。もう日が暮れかかっていた。
そして、みなもは…
「もういないはずです」
と、いつもの可愛い笑顔を取り戻した。
段ボールで窓を塞いでいる物の寒い。
お茶菓子とお茶、何とか使える暖房器具で暖をとる皆。
「壊れないで済んだ〜」
五月はほっとして、綾霞の買ってきた贔屓の洋菓子をたべる。
「よかったです」
みなももにっこりと笑う。彼女の頭には焔がほっと一息ついている。
智恵美のお菓子には誰も手を付けていない。
「みなさん此如何ですか？」
と、皆に勧めるのだが…言葉をうしなっている。
「あ、もう大丈夫です」
と、言った矢先だった。
みなもの鋭敏な感覚に逃れていた一匹が智恵美の和菓子に止まっていたのだ。そして…ポトリとおちる。其れを人間的に言えば、泡を吹いて死んでいると分かるだろう。
ある人物だけ除いて見ていれば幸運だったが…今回は運が悪かった。
その瞬間をある人物、すなわち智恵美が見ていたのだ。
「どういうことですかぁ！この悪魔の使い！」
彼女は大声で叫び、己の真の力を発揮し闘気を爆発させた。その光は皆を巻き込んでいく。
草間の部屋だけ何故か無事な状態で、天井も機材などボロボロになっていたのだ。
「あ――――」
なにも言えない皆さん。
綾霞が結界を張ることで人間達のダメージは微々たるものだが、皆頭がアフロに。冷蔵庫も大破しており、冷凍庫にあったエビフライがこんがり美味しく出来上がっているほどの熱量だったようだ。
かわうそ？はいつのまにかいなかった。綾霞のお土産だけ持って早急に避難していたようだ。
そしてまた、どこかで何かが崩れる音がしていた。
Ending
青空事務所となった興信所だが、急ピッチで再建され元に戻った。零が今までの事件のことを記憶しているので、書類は復旧し、智恵美と綾霞が家電や家具を調達し、三日ほどで元通りになった。
「皆さんありがとうございます」
「いえ、何だかんだ言って…五月ちゃんの希望通りにはならなかったので…ごめんなさいね」
零の礼に謝罪で謝る綾霞と智恵美。
楷は隅の方で、
「…あれもこわい…。女の人も怖い…」
と、ガクガク震えている。
「人生谷有り谷有り」
難を逃れていたかわうそ？が彼を慰めて（？）いた。
らせんと、みなもは草間の部屋をみて首を傾げる。
「どうしてこの部屋だけ無事なんでしょう？」
草間興信所の謎が１つ出来たのであった。
End…？
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■ 登場人物（この物語に登場した人物の一覧） ■
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【1252 海原・みなも 13 女 中学生】
【2066 銀野・らせん 16 女 高校生（／ドリルガール）】
【2335 宮小路・綾霞 43 女 財閥副総帥（陰陽師一族宗家当主）／主婦】
【2390 隠岐・智恵美 46 女 教会のシスター】
【2793 楷・巽 27 男 サイコドクターの卵】
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■ ライター通信 ■
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滝照です。
『草間興信所最大の敵』に参加して下さりありがとうございます。
どう、壊れないで退治できるかが問題になりましたが…結局壊れちゃいました。草間武彦の部屋だけ除いて…。
しばらく、この近辺の地盤は脆いので、歩くときは気を付けましょう。
楷様初参加ありがとうございます。
では、又機会が有ればお会いしましょう。
滝照直樹拝
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