コミュニティトップへ
高峰心霊学研究所トップへ 最新レポート クリエーター別で見る 商品別一覧 ゲームノベル・ゲームコミックを見る 前のページへ

<東京怪談ウェブゲーム 草間興信所>


東京怪盗大捜査線 - The Dharma fell over -


[ ACT:0 ] 始まりはいつも……

 怪盗ドゥ・ルマ。
 オペラ座に棲むという怪人と、名探偵明智某の永遠のライバルとされる変装名人の一般的なイメージと、セーラー服っぽい戦闘服を着たヒロインを助けに颯爽と現れるタキシードにシルクハットで仮面をつけた謎のヒーローを足して2で割って5をかけたような微妙な出で立ちで現れては、目的のものを盗んで逃げるという最近話題の怪盗である。
 彼が目をつけて盗むものはただ1つ。
 純白のウェディングドレス。
 どう見ても男である怪盗ドゥ・ルマがなぜそんなものを狙うのか目的は分からない。ただ眺めて楽しみたいのか、誰かに着せるためなのか、はたまた自分が着たいのか。とにかく彼が狙うのは多くの女性の憧れの象徴である純白の花嫁衣裳のみなのである。
 しかもタチの悪い事に、彼は気に入った衣装を見つけるとそれがどんな状態であっても―――たとえ中身が入っていてもそのまま盗んでしまうのである。
 中身、つまり花嫁ごと。
 そして(考えてみればちょっと微妙に失礼な話かもしれないのだが)後から中身―――花嫁本人―――だけは家に帰してくれるのである。無傷なうえに即日返却である。
 更に自宅までの交通費はもちろん、菓子折りとバカ丁寧なお詫びの手紙まで持たせてくれるという。彼は本当に衣装だけが欲しいらしい。

* * *

「…………で?」
 そこまで黙って話に耳を傾けていた草間武彦はどうにもいまいち緊張感に欠けるその内容に、目の前の人間に胡乱げな視線を向けて短く問い返した。
「だから怪盗と対決して捕まえて欲しいのですよ」
 あくまでも真剣な顔つきのまま本日の依頼人―――警視庁の刑事だと言って身分証明書を見せた体格の良い男は身を乗り出して草間に顔を近づけた。
 男が近付いた分だけ身を引いて、草間はとりあえず口元だけで愛想笑いを浮かべつつ、
「捕まえて欲しいと言われても、窃盗事件ならあなたがた警察の領分じゃ……?」
「もちろん我々も警察の名にかけてあらゆる手段で逮捕に全力を尽くしたのですがね。どうにもこうにも全く効果がなくて。だから最後の頼みと思い、同僚から噂の草間探偵を紹介してもらったんですよ」
 どんな噂か知らないがどうやら厄介事を押し付けられたらしいことに気が付き、草間は渋い顔で突きつけられた紹介状を手に取った。
「いや、まあ、引き受けないとは言ってませんがね?一応、その怪盗とやらのことをもう少し詳しく聞かせて欲しいんだが」
「分かりました」
 男はそう言うと、スーツの内ポケットから小さなメモ帳を取り出し中身を読み始めた。
「怪盗ドゥ・ルマ、本名・達川磨言(たつかわ・まこと)。某有名国立大学を卒業後、フランスに留学。数年前に帰国し、元華族だったという先祖代々からの遺産を引き継ぎ現在東京郊外の屋敷で悠々自適に無職生活。現在30歳独身、趣味は……」
「ちょっと待った」
「はい?」
「そこまで分かっているのに、なぜ捕まえないんだ?」
 履歴書でも読み上げているかのような男の言葉を遮って、草間は当り前だと思われる質問をした。
 名前も素性も居場所まではっきり分かっているのに、なぜわざわざ野放しにしておくのだろう?
「そこなんですよ、草間さん。我々が困っているのは」
 良くぞ聞いてくれたとばかりに大げさなリアクションを取る男に無言で先を促すと、男は急にきょろきょろと辺りを見回し声を潜めた。
「実はですね、彼には特殊能力があるのです」
「特殊能力?」
 つられてひそひそと草間も問い返す。
「ええ。彼がある言葉を言うと追いかけている我々はどうにも動けなくなるのです」
「動けなくなる?」
「そうなんですよ、こうピタッと動きを止められてしまうんです。その間に奴は逃げるというパターンで毎回取り逃がしているのです」
「はぁ……」
「奴が口にするのはたった10文字なんです。たった10文字の言葉を口にして振り返って我々を睨みつける。ただそれだけでまるで金縛りにあったが如く時間を止められてしまうのです。ああ、恐ろしい……」
「…………」
 その時の事を思い出したのか、丸太のような太い両腕で自分の体を抱き締めるようにしている男を見て草間は思わず目を逸らした。大きな体をくねらせて怯えている男の姿など見ていて楽しくない、というかはっきりいって気色が悪い。
「あー……で?その言葉ってのはどんな……?」
「それはですね…………」

* * *

 腰を90度近く曲げて深々と礼をして帰った男を見送った後、冷めたコーヒーを入れ直している零に向かって草間はポツリと呟いた。
「この依頼、どう思う……?」
「怪盗に探偵なんて、とても王道っぽくていいと思います」
「そうか?」
「はい。それに何だか楽しそうです」
 屈託のない笑顔でそう返されて、草間は力なく笑った。
「まあ……こんなのでも一応依頼料は出るし、誰か暇な奴に押し付けるか……」


[ ACT:1 ] 春うらら

「だるまさんがころんだ!」
「…………」
 見慣れた興信所の扉を開けた途端、そう叫ばれて思わずシュラインはドアノブに手をかけたその姿勢のまま足を止めた。
「……やっぱり止まるよな」
「……何の話?」
 何やらしたり顔で煙草を手にしようとする草間に、眉を寄せて尋ねる。
「喜んでくれ。久々に怪奇以外の依頼だぞ」
 怪奇以外、という部分をことさら強調して、草間は咥えた煙草を噛み締める。
「……それと今の『だるまさんがころんだ』がどう関係あるのよ」
「だから、『だるまさんがころんだ』をやるんだ」
「…………」
「…………」
「…………は?」
 たっぷり10秒ほど沈黙して、シュラインは思い切り訝しげな声を上げた。
 もう外は暖かい。すっかり空気は春に覆われ、心軽くなる季節である。ここに来るまでにも、通りの木々についているつぼみが膨らみ今にも咲き零れそうなのを見て、思わず笑みが零したところだ。
 春の陽気に釣られて、武彦さんたら、心どころか頭まで軽くなってしまったのかしら。
 依頼と言いつつなぜか子供の遊びを口にした草間に対し、遠慮なく失礼なことを考えながらシュラインはもう一度尋ねた。
「それ、子守かなんかの依頼?」
「いや、警察直々に依頼されたれっきとした犯罪阻止依頼だ」
「『だるまさんがころんだ』のどこが犯罪防止なのよ」
「実はな……」

* * *

「そういうことなら初めからそう言ってちょうだい」
 依頼の概要を聞き、シュラインは呆れて溜息を吐いた。
「悪かった。ちょっと言ってみたかったんだ」
 やっぱり脳内に春の気配が訪れているのではないだろうか。そう疑いながらまあいいわ、と肩を竦める。
「依頼は依頼、よね」
「依頼は依頼、だな」
 こんな妙な依頼でも興信所の懐が潤うためなら仕方がない。シュラインはそう思うと1つ溜息を吐いた。


[ ACT:2 ] 結成!草間探偵団

「いやぁ、悪いね諸君。忙しいだろうに」
 少しも悪いと思っていなさそうな嘘臭い笑顔でにこやかに調査員を見回す草間にやや冷たい視線を浴びせつつ、
「そんなみえみえの社交辞令じゃ逆に腹立つわよ、武彦さん」
 シュライン・エマが軽く溜息をつく。言わずもがなの興信所最古参、頼れるシュライン姉さんの言葉にくすりと笑いつつ、綾和泉・汐耶(あやいずみ・せきや)が追って言葉を継いだ。
「まあ、居合わせたのも何かの縁ですからね。お手伝いします」
 長身でスレンダー、パンツルックの良く似合う汐耶は図書館司書である。そういう職に就くだけあって無類の本好きでもあり、今日もここへ来る前に立ち寄ったのか、ハードカバーが何冊か入っているような書店の紙袋を脇に抱えている。
「探偵、怪盗ときたら次はやっぱりアイドルよね! 面白そうだからわたしも参加するわ」
 老若男女知らないものはいないかもしれない国民的アイドル、イヴ・ソマリアが綺麗な青い髪をふわりと揺らしてにっこりと微笑んだ。このさい探偵と怪盗の次に何故アイドルが来るのか何てことは彼女のキュートな笑顔の前にはもうどうでもいい。
「田中裕介18歳、この命に代えても必ずや怪盗ドゥ・ルマに正しい服装マニア道を叩き込んで見せますのでご心配なく!!」
 大きく胸を張り無駄に熱い使命感をたぎらせているのは田中・裕介(たなか・ゆうすけ)、通称メイド魔人。彼の持ち歩いているスーツケースの中には素材やデザインで厳選された最強のメイド服が眠っているとの噂である。1歩間違えなくても十分不審人物な気もするが、見た目穏やかな好青年なのが功を奏してか未だ職務質問等には引っ掛かっていないようだ。
「皆さんのご協力、感謝します」
 そう言って直立不動の姿勢で草間たちに敬礼をしたのは葉月・政人(はづき・まさと)。今回の「怪盗ドゥ・ルマによるウェディングドレス窃盗事件」の担当を任された熱意溢れる若き警部である。特殊強化服FZ―01に身を包み日夜市民のために悪と戦っている正義のヒーローだということは公然の秘密である。
「あ、あんたアレでしょ。変身ヒーローのお兄さん!」
 ソファに背を預けて足を組んでいた葛生・摩耶(くずう・まや)が思い出したというように身を乗り出した。
「お客さんでそーいうの好きな人がいてね、なんか事細かぁーに話されたわよ、この前。今日は変身しないの?」
「ええ、さすがに生身の犯人相手に強化服は使えませんよ。それに、使おうにも修理中ですし。……お客さんと言うと、ええと、接客業かなんかで?」
「そうよぉ。裸と裸のお付き合いー」
「は、裸?!」
「平気よ。警察に厄介になるようなことはしてないから」
 うふふ、と意味ありげに摩耶が笑った。紅い唇が無意識に色気を醸し出しているのは、彼女が泡姫、つまりソープ嬢という仕事に就いて毎夜男達に艶やかな夢を見せているからなのだろうか。本人は至ってさばさばした性格でどちらかというと男っぽい気はするのだが。
 その仕草に少しだけ顔を赤くしながら、政人は話を続けた。
「……大体の概要は聞いておられると思いますが、何か質問があれば」
「はーい! 『だるまさんがころんだ』ってなんですかぁ?」
 一堂を見回した政人に向かって元気よく手を挙げたのはイヴだった。ふわふわの青い髪が仕草にあわせて柔らかく揺れる。ルックスだけではない確かな歌唱力と演技力でマルチに活躍中の実力派美少女アイドルの彼女は実は異世界からやってきた人間である。日本人ならまずしっているであろうこの遊びを知らないのも、まあ無理は無い。
「あら、知らなかったのね」
「わたし海外育ちだもの」
 少し意外そうな声を上げたシュラインに「そういうことにしておいて」とウィンクをしながらイヴが答える。そこへ、
「じゃあ説明しましょうか?」
 声をかけたのは汐耶だ。
「『だるまさんがころんだ』というのは日本の遊びの1つでね、鬼が木や塀に顔を伏せて『だるまさんがころんだ』って言ってから振り向くの。鬼が振り向くまでに他の子達は鬼に近づけるだけ近付いて、振り向いたらその場でストップ。それの繰り返しで鬼にタッチしたらみんなで逃げる、と」
 分かったかしら?とにっこり微笑む汐耶にイヴは人差し指を顎に当て宙を見上げた。
「んー……何となく」
「実際やってみれば?」
「え、ここで?」
 汐耶の説明の間にポケットから出したセーラムピアニッシモを咥えた摩耶が提案する。
「そうね。実際やったほうが分かりやすいし、ドゥ・ルマの弱点とか検証しやすいかも」
 摩耶の提案にシュラインがもっともらしい理由をつけて賛成すると、他の一同も異議無しという表情を見せた。
 かくして、第一回草間興信所杯争奪『だるまさんがころんだ』大会が地味に開催される事になった。

* * *

 がたがたと応接セットを部屋の隅に押しやり、ついでに床に散らばったゴミなんかもざっと片付けてスペースを作ると、シュラインが興信所の入り口近くにモップを一本横たえた。
「ここがスタートね。で、鬼は奥の窓の方を向く感じで」
 丁度入り口の正面奥にある、草間の机の向こうの窓をシュラインが指差す。
「じゃあ、鬼決めじゃんけん。最初はグー!」
「じゃんけんぽん!」
 摩耶の号令に他の5人に草間と零も加わって一斉に手を出す。
 全員がパーを出す中、1人グーを出した草間が鬼となる。
「じゃあみんな、モップの向こう側に立ってー」
 部屋の奥に草間を残し、6人が移動する。
「行くわよー。はじめのいーっぽ!」
 シュラインの声にあわせて全員がモップから1歩大きく足を踏み出した。
「だーるーまーさーんーがこーろーんーだ!」
 節をつけて『だるまさんがころんだ』を唱え後ろを振り向く草間武彦の目に、各々歩きかけた体勢で止まっている一同が目に入る。振り向いた瞬間のポーズで止まらなければいけないルールだからもちろん、片足を上げたままだったりバランスの悪い無理な格好だったりする。それでも鬼がこちらを見ている間は動けないのが『だるまさんがころんだ』の恐ろしいところだ。
「……ね、ねぇ、まだ動いちゃだめなの?」
「武彦さんが向こうを向くまではダメよ」
 前につんのめりそうな格好で止まっているイヴが隣のシュラインに声をかける。なぜか腕を組んで仁王立ち状態のシュラインが視線だけ向けて笑った。
「動いたら捕まってしまいますからね。このルール、怪盗逮捕のときにも適用されるのかしら?」
 まるでウォーキングの練習ビデオの如く綺麗なフォームで両手両足を振り上げたストップモーションで汐耶が問う。
「どうなんでしょうか。今までは全員止まってしまったままで捕まった捜査員はいないそうですから」
「……ていうか、これ怪盗の特殊能力というよりみんなの条件反射なだけじゃないの? 子供の頃の刷り込みっていうか」
 クラウチングスタートのポーズで止まっている政人に、両膝を軽くまげて両手をついた姿勢で摩耶が聞き返す。
「どちらにしても、正面にしか効果が無いのなら挟み撃ちで行けそうな気が……」
 トランクをサーフボードのようにして上半身を預けた体勢でガガガ、と滑っていた裕介が呟く。
「あ、裕介、お前動いた。こっちこい」
「……しまった!」
 草間に指を指されて裕介が体を起こし、草間に近付くと手を繋ぐ。
「捕まったら手を繋がなきゃいけないのね」
「そうですよ。捕まった人を助けるには、鬼に近付いて繋がれている手のところを『切った!』と言って手で切ってあげないといけないんです」
 バレリーナのように両手と片足を前後に綺麗に伸ばした零がイヴの問いに答えた。
「そんなことより……」
「早く向こう向いてー!!」
「ちょっと辛くなってきたわ……」
「この体勢、腰が……」
 その後、数十分に渡り「だるまさんがころんだ」の声が草間興信所内に響いていたという。

* * *

「というわけで、怪盗ドゥ・ルマの『だるまさんがころんだ』対策は挟み撃ちで追い詰めるのが良さそうね」
 うーんと背伸びをしながらシュラインが先程の『だるまさんがころんだ』大会中に話し合ったことをまとめる。
「後は根本的なところで声を出せないようにするとかかしらね」
「逆に聞こえないように耳栓という手もありますけど。この場合、何らかの合図を決めておかないとこちらも身動き取れませんけどね」
 腕を組み、片手の手の平を頬に当てて汐耶が続けた。
「私は挟み撃ちに1票かな」
 ソファに座り肩を回していた摩耶が言う。
「俺もそう思う。逃走経路を1つに絞れば簡単じゃないかと思うんだが」
「そうねぇ……。とりあえず追い詰める方法は後でまたみんなで話し合うとして、もう少し詳しく相手の事を聞いておきたいわね」
 摩耶に同意した裕介の言葉を聞き、先程から入念に柔軟を繰り返している政人のほうにシュラインが振り向いた。
 その視線に気付いてパッと体を起こすと、政人はそうですね、と頷き自分の鞄を取り上げると、中から和紙の表紙に金箔で『極秘』と箔押しされたまるで見合い写真でも収まっていそうなファイルを取り出して開いた。
「前に聞いているかと思いますが」
 そう断りを入れ、政人は怪盗ドゥ・ルマこと達川磨言のおおまかな経歴を読み上げた。
「達川磨言、30歳。某有名国立大学を卒業後、フランスに留学。3年前に帰国し、元華族の名門達川家の跡継ぎとして遺産を引き継ぎ現在東京郊外の屋敷で執事と2人暮らし。趣味は映画鑑賞に社交ダンス、カラオケ。特技は中国雑技団にもスカウトされかけたアクロバット体操。理想の女性は、好きになったらその人が理想です、だそうですが」
 ちなみに写真はこれです、と政人はファイルを開いたまま中を一同の方に向けてみせる。調書の挟まっているのとは反対側のページに満面の笑みを浮かべた燕尾服の青年のウェストアップの写真が楕円形の枠に収まっている。10人に聞けば6人くらい「まあまあいいんじゃない」と答えてくれそうな爽やか系の容姿である。
「趣味とかそう言うのはどうでもいいんだけど、フランス留学って何しに行ったのかしら?」
「単なる語学留学だとか、社交界に顔を売るためだとか、パティシエの修行だとか、ソムリエを目指していたとか、恋人を追って行ったとか……」
「要は分からないんですね?」
「はい、すみません……」
 いくつかの不確定な情報を並べた政人の言葉を汐耶が分かりやすい一言でまとめると、政人は申し訳なさそうに頭をかいた。
「……やっぱり気になるんだけど、どうしてそこまで分かっていて逮捕できないの? 家も正体もバレバレなんだからさ、逃げられた後に踏み込めばいいのに」
「証拠がないんです。盗まれたはずのドレスが1枚も達川の家からは見つかっていないので」
 至極最もな摩耶の質問に、これもまた至極最もな回答を政人が返す。
 怪盗ドゥ・ルマを逮捕できない理由は、何も『だるまさんがころんだ』で足止めされるせいだけではなかったようだ。
「んー……、本人に話を聞くことって出来るのかしら? その、ウェディングドレスを盗むのをやめるように説得……は出来ないかもしれないけど、盗んだウェディングドレスの在り処とかヒントになりそうな話が聞けるかも知れませんし」
 汐耶の問いに今度はしっかりと頷き、政人が答える。
「それは問題ありません。所在は分かっていますし、捜査令状も取ってありますので達川の家に出向く事は可能です
「ドレス、どこかに隠してあるんでしょうか。それとも見つからないように持ち歩いていたりとか?」
 そう呟いた裕介の足元を他の一同が一斉に見やった。裕介のトランク。中には開けられたらあまり言い訳できないような物が入っているだろう彼の命とも言うべき四角い鞄(キャスター付き)。
 その視線に気付いて裕介は慌ててトランクを庇うように1歩前に出た。
「これは違いますよ。俺は関係ない。この中にはウェディングドレスよりも素晴らしいメイド服が入っているだけですから!」
 必要以上に熱く力説する裕介。メイド服に対するその行き過ぎた情熱はそれはそれでどうなのか。
 裕介以外の誰もが思ったことだが、とりあえず今は本題の話とは関係ないので何も言わないでおく。」
「えー……、田中君の疑惑はともかく、ドゥ・ルマをおびき寄せる方法を考えましょう」
 ひとまず盗まれたドレスの行方は後で考えるとして、政人が怪盗逮捕の具体案についての意見を一同に求めた。
 それに最初に答えたのはシュラインだった。
「まあベタなところでファッションショーよね。有名デザイナーによる新作ドレスが目白押し! とか銘打って、ファッションショープラス擬似結婚式。あとは、ドレスのデザインも考えないといけないわよね」
「ああ、それなら俺が何とかします。知り合いにデザイナーがいますから、今まで盗まれたドレスデザインを元にオーダーで作ってもらいます」
「本人に話が聞けるならどんなのが好きか聞いてみれば?」
 その趣味のおかげで服飾関係に知り合いの多い裕介が任せてくれと言う風に胸を張ると、横から摩耶が続いた。
「そういや、元華族って言ってたわよね? だったらきっと業界に彼の事知ってる人っていると思うから、そっち方面からも彼の好みとか調べてみてもいいかな」
 そう告げた後、イヴはもうひとつ、と人差し指を顔の前に立て、
「わたし、囮の花嫁に立候補するわ。それで、オーダーしたドレスってわたしの舞台衣装用に着まわせるように作ってもらいたいの」
 そう付け足してにっこりと笑った。この調査の話を聞いた時点で実は密かに思っていた事だったらしい。
「なんかすっごく楽しくなってきたわー」
 徐々に白熱し始める怪盗ドゥ・ルマ捕獲作戦に摩耶が心底楽しそうに、んっふっふ、と笑いを浮かべて呟いた。マニアの犯行という単純な事件だろうが、その裏に何か重大な事実があろうが、摩耶にとっては「楽しく」「やる気に」なれれば良いのである。
「じゃ、早速準備にかかりましょうか」
 パン、と両の手の平を胸の前で合わせシュラインが決意に満ちた顔でみんなの顔を見回した。
 どの顔もなぜか異様にやる気になっている。よく考えればかなり馬鹿馬鹿しい感じのする依頼なのだが、それでも大勢で議論するうちに真剣味が増すものらしい。一種の集団催眠だろうか。
「僕から最後に一言いいですか?」
 必要以上に協力的な一同の態度に、こちらも正義感を燃え上がらせつつ政人が言った。
「調査がスムーズに出来るように皆さんのご協力についての手続きは済ませてありますが、あまり無茶はしないで下さい。協力していただくと言ってもみなさんは一般市民ですから」
「……よーしっ! そうと決まれば早速調査開始ね!頑張りましょうっ!」
「おー!!」
 かくして、魔都・東京を舞台にした怪盗ドゥ・ルマと草間興信所きっての精鋭調査員たちとの戦いの幕は切って落とされたのだった――――多分。

 
[ ACT:3a ] 達川邸観光春ツアー

 厳しく冷たい冬が過ぎ、山には暖かな春を告げる色とりどりの花が咲き始めていた。
 さわやかな風が緑を揺らし、煌く陽光が大地を温め、全ての生命の誕生を優しくその手に受け止めようとしている。
 これ以上ないほどの春の気配を感じながら右に顔を向ければどこまでも続く緩やかな丘陵地帯と緑の山々が視界に広がり、首を巡らし左手を見れば広大な敷地のところどころにオアシスと見まごう安らぎスペースの点在する自然公園が見えた。
 そして頭上を飾る薔薇のアーチの奥には優雅な彫刻を湛えた噴水と、見るからに年代物の豪奢な洋館が両翼を広げ客人たちを出迎えてた。ちなみに今立っている場所からその洋館までは1Kmの距離があると、アーチの横に立っている『達川邸案内図』の看板に書いてある。
 草間興信所から西に車を走らせる事約2時間。ドレスデザインを検証すると言う裕介とイヴの2人と分かれ、聞き込み組に回ったシュライン、汐耶、摩耶の3人は政人の案内の元、東京郊外に広大な敷地を持つと言う達川磨言の屋敷前まで来ていた。
 正確には達川の所有する土地の端、敷地の入り口である。
「…………」
 趣旨の良く分からない場末の緑地公園にしか見えないこの、広さだけはさすがと言える名門達川家の邸宅及び敷地を前に女性3人は思わず言葉を失っていた。
「ここって東京……よね?」
「一応住所は東京になってますけどね」
 呆然と立ち尽くしたまま呟いたシュラインに、地図を見ながら汐耶が答えた。そしてその横では摩耶が、
「うわ、広っ!」
 と、素直に驚き、分かりやすい感想を述べた。
 折角所在も素性も分かっている事だし、と話を聞きに来たのはいいがいまいち不安である。金持ちの趣味は良く分からない。
「それでは、行きましょうかみなさん」
 驚いたり呆れたりしている3人に向かって政人は何ということはなく薔薇のアーチをくぐって歩き出す。
「……慣れてますね」
「僕は何度か来ましたので」
「ねぇ、もしかしてあそこまで歩くの?」
 うんざりした顔で奥に見える洋館を指差す摩耶に、腕時計で時間を確認しつつ政人が答える。
「いえ、あと3分で来ます」
「何が?」
「バスです。正面玄関行きの」
「……はぁ?」
 あまりにも門から玄関までが遠いため、達川家の敷地内には専用のバスが巡回しているらしい。乗車料金は無料、団体専用貸しきりバスもあるらしく、花見シーズンには予約が必要です。ご希望の方はお早めに。
「金持ちの考える事って分からないわ……」
 額を押さえて溜息をつくシュラインに汐耶が苦笑を浮かべて同意したところで、奥へと続く舗装された私道を小型のバスが走ってくるのが見えた。
「あれがそうなの? なんだもっと派手かと思ったのに」
 摩耶が街中を走っている路線バスと大差ないそれに大げさに落胆の色を見せていると、バスは緩やかに速度を落とし4人の前に停車した。
 ぷしゅー、という音とともに入り口の扉が開くと、運転席で紺色の制服と帽子に身を包んだドライバーがマイクを口元に当てアナウンスをし始める。
「達川邸正門前〜、達川邸正門前〜。次は正面玄関に止まりまーす。お乗りの方はいらっしゃいませんか〜?」
「あ、乗ります」
 律儀にも手を挙げて政人が入り口のステップに足をかけると、他の3人も続いてバスに乗り込んだ。

* * *

 がたごとと広い敷地を走るバスの車内で、4人は達川の見合い写真――もとい調書ファイルを改めて見ながら何をどう話そうかと相談を始めた。
「達川氏はあれかしら。自分が追われてるって事は承知してるのよね?」
「ええ、おそらく。それを送ってきたのは本人らしいですし」
「この……見合い写真みたいな物を?」
「はい。『捕まえられるものなら捕まえてみろ』という警察権力への挑戦か! と、上層部に戦慄が走ったとか」
 かなり真剣な顔で説明する政人に、呆れ顔でファイルを指差しながら女性3人が口々に、達川がそれを送った真意を推理という名でツッコミを入れる。
「少なくともこの内容は警察組織を脅そうとはしてないと思うけど。むしろ友好的?」
「挑戦というか、からかわれてるだけのような気もします」
「単なる目立ちたがりでしょ、これは。もしくはすっごい天然?」
「……ああ、そういう見方もありますね!」
 なるほど、と手を打って真面目に驚く政人に「あんたも天然ね……」と摩耶がボソッと呟いた。
 そんなやり取りの中、バスは順調に走り、いつの間にか先程見た洋館の正面、噴水の前に停車した。
「終点、達川邸正面玄関〜。お忘れ物のないようにお気をつけください」
 運転手がアナウンスを終えると、ふいに客席を振り返り、降りようとしていた4人に声をかけた。
「僕がそれを送った理由はね、実は送り先を間違えただけなのさ」
「え?」
 いきなりの台詞に思わず4人は歩き出した体制のまま運転手を凝視する。
 そんな4人の反応に満足そうに微笑みつつ、運転手は帽子を脱ぐとそれを胸に添えて、丁寧に腰を折った。
「ようこそ、達川邸へ」

* * *

「いや、申し訳ない。少し驚かせてしまったようだ」
 天井の高い応接間に通された4人の前に見合い写真の笑顔そのままにやたら爽やかに手を振りつつ上品なスーツ姿で現れたのは、先程までバスの運転手の格好をしていた達川磨言その人である。
 アンティークのテーブルを挟んで置かれたソファにゆったりと腰をおろすと、達川は4人を見回し愛想良く喋りだした。
「たまに運転するんですよ、バス。折角免許持っているのに勿体無いですからね。いやしかし、こんなに美しいお嬢さん方が来てくださるとは、感激だなぁ。刑事さんは、前に一度いらっしゃいましたっけね? 今日はどんなご用件で?」
「そうですね。お久し振りです……ではなくて」
 あまりにもさらりと言うのでつられて挨拶をしそうになり政人が慌てて首を振った。
「ご用件も何も、僕たちはあなたを追っているんですよ!」
「ああ、そうでしたね。でも捕まえられないんでしょう?」
 達川が少し笑って、テーブルの上のティーカップに手をつける。
悪びれもせずに軽く言うので何も言えずに政人は口を噤んでしまった。確かに彼の言うとおりだからだ。犯人は彼だと分かりきっているし、捜査令状も出ているのに肝心の証拠がないので逮捕するにも出来ないのである。
「それで、こちらのお嬢さん方はやはり警察関係の方ですか?」
 そんな政人から視線を移すと女性3人に笑顔を向けて達川が聞いた。
「まあ似たようなものですね」
「うーん、綺麗なマドモワゼルに追いかけられるなんてなかなか嬉しい体験だな。何か聞きたいことがあればどうぞ? 質問にはお答えしますよ」
「…………」
 にこにこと嬉しそうに笑うばかりか質問があれば答えるとまで言う達川の顔を見て、4人は誰からともなく顔を見合わせた。
 この男は一体何を考えているんだろうか。真面目なのかふざけているのか余裕があるのか、さっぱり真意が見えない。
「あの……考え直すことはできません?」
 汐耶が少しだけ表情を引き締めて達川の方を向いた。
「いつか捕まることは明白でしょうし、いくら無傷で返すといっても女性には迷惑です」
「あなたの意見はもっともだ。が、僕には僕の理由がありましてね」
「理由? どんな」
「それは秘密です」
「秘密って……あんたねぇ、質問に答えるって言ったばかりじゃない」
 ティーカップから一口紅茶を飲み、軽く答える達川に摩耶が不服そうに口を尖らせた。
「少しは謎がないとつまらないでしょう?」
「あんな見合い写真送っといて秘密も謎も何もないと思うんだけど」
 少々呆れ気味にシュラインが呟く。だからあれは間違いで、と事も無げに笑う達川。
「どうあっても自首する気はないんだな?」
「ありませんよ。神出鬼没の怪盗は優秀な探偵に追い詰められるのが王道ってもんでしょう。是非頑張っていただきたい」
「敵に励まされてもね……」
 まるで他人事のような達川の態度に、4人は毒気を抜かれて一斉に溜息を吐いた。

* * *

 結局、本人と話しても大した情報は得られなかった。のらりくらりと話をはぐらかされて体よく追い返されたといってもいい。
 まああんなのでも一応捕まりたくはないと思っているようなので、協力的でないのは予想の範疇ではあったのだが。
 せめてもの収穫といえば、達川家が神道系の言霊使いの家系で、達川の言う『だるまさんがころんだ』は十言の神呪、『アマテラスオオミカミ』の代わりに達川一族の言霊使いが唱えるものだという話くらいだろう。
 達川の能力が少し詳しく分かったところで、『だるまさんがころんだ』をどうにかしないとどうにもならないことに変わりはないのだが。
 それにしても、だ
「随分とまあ、のんびりとしたお坊ちゃまね」
「金持ちの道楽で犯罪起こされるのも困りものですよね。しかも言霊なんて結構本格的な能力を持っているのに」
「あんなのを捕まえられない警察ってどーなの?」
「す、すみません……」
 日本がいかに平和かということを、達川の屋敷前からまた巡回バスに乗って正門前に戻るバスの中で噛み締める4人であった。

* * *

 一度本部に報告に行くという政人と別れ、シュラインと汐耶、摩耶の3人が草間興信所に戻ると、ドレスデザインのオーダーを終えたイヴと裕介が出迎えた。
「おかえりなさーい。どうでした?」
「どうもこうも……お金持ちの考えはいまいち分からないわ」
 何やら機嫌の良さそうなイヴに苦笑いながら汐耶が答える。
「そっちはどう?」
「もうバッチリ! 出来上がりが楽しみよ」
「かなり無理聞いてもらったので、きっと満足いくものになると思いますよ」
 自信たっぷりな言葉とともに裕介が胸を張る。
「それじゃ、後はおびき寄せるための会場作りね」
「絶対捕まえてやるから、あの道楽息子」
 どこがいいかしら、と都内ホテルのパンフレットをめくるシュラインの隣で、摩耶が密かに闘志を燃やす。
「そういえば葉月さんは?」
「一度本部に戻って経過報告してくるそうですよ」
「あとで連絡来るだろうし、こっちはこっちで準備始めちゃいましょう」
 そして彼らは俄かに忙しく動き始めたのだった。

* * *

 後日、達川邸に1通の封書が届いた。内容は――――

 『2004年・新春ブライダルショーご招待状
  日時:3月24日 午前10時より
  新作ドレスのファッションショー及び、デザイナーズドレスを身に着けた花嫁が式を挙げます。
  当日はこの招待状をご持参ください。』

 準備は上々。


[ ACT:4 ] ブライダル・スクランブル

 雲ひとつない青い空。ゆったり流れる白い雲。
 春らしい穏やかな日。怪盗ドゥ・ルマ捕獲大作戦当日は、これから起こる大捕り物(予定)の予感など微塵も感じさせないほど静かな朝で始まった。
 
* * *

 怪盗捕縛のための偽ブライダルショーは2部構成となっている。
 第1部は春の新作ドレス発表会と銘打ったファッションショー。
 第2部は有名デザイナーのオリジナルデザインによるウェディングドレスを着て、実際花嫁気分を味わおうという趣旨の擬似結婚式。
 もちろんどちらの参加者も警察関係者オンリーである。
 偽のブライダルショーにおびき出されるであろう怪盗ドゥ・ルマを除いては。

* * *
 
 草間探偵団の6人は会場となるホテルの大広間の横の控え室で最終的な段取りの確認をしていた。
 客席で待機する予定のシュラインと汐耶が先ほどからなにやら忙しなく腕を上げたり下げたりしている。メリハリのきいたその動きに首を傾げ、
「何してるんですか?」
 裕介が声をかけるが返事がない。近づいてみると2人とも耳栓をしている。
 トントン、と肩を叩くとやっと気付き2人が耳栓を外して見せた。
「声を聞かないように耳栓。で、合図はこれ」
 キビキビと腕を動かすシュライン。
「手旗信号です。昨夜徹夜で覚えました」
 同じようにパッパと手を曲げたり伸ばしたりしながら汐耶が答えた。
「あ、なるほど」
 裕介が納得して頷いたところで扉の開く音がし、本日の主役とも言える囮の花嫁役のイヴが入ってきた。
「さすがアイドルね。華やかさが違うわ」
 その姿を見てシュラインが感心したように言う。デザイン担当の裕介もそのドレスの出来に満足そうに微笑んでいる。
「うふふ、ありがとうございます」
 ちょこんと首を傾げ、両手でスカートの裾を持ち軽く膝を曲げてお辞儀したイヴはまさに『お姫様』といった感じだった。
「会場の準備はOKです。みなさん、大丈夫ですか」
 そう言いながら入ってきたのは白いタキシード姿の政人だ。担当刑事として一般市民にだけ危険なことをさせるのは、ということで警護兼で新郎に立候補したのだ。ちなみに着ているタキシードは、特殊強化服一般迷彩バージョン「BW01」だったりする。どんな機能があるのかは極秘事項な上、開発途中でもあるので明かすことは出来ない。
「葛生さん、そっちはどうですか?」
 政人がタキシードに組み込まれた無線で、外にいる摩耶に連絡を取る。
『バッチリよ。怪盗でも何でも来いっての!』
 接続音の短いノイズの後、頼もしげな摩耶の声がスピーカーから響いてきた。
 ドゥ・ルマが出てきたところを挟み撃ちで捕まえるため、摩耶は外で待機している。万一追いかけなければいけない場合のため愛車のT−MAXも持ってきている。
『こっちは任せて! 逃がさないわよ』
「僕も後から合流しますから」
 もう1人の外待機組、裕介が摩耶に声をかけると『OK』と一言言って無線が切れた。
「それでは行きますか。何度も言いますが、くれぐれも無理はしないでくださいね」
 政人が若干表情を引き締めて皆を見回すと、他の4人は力強く頷いた。

* * *

 午前10時。きらびやかなショーは始まった。
 高級ホテルの一番広い大広間を貸し切り、中央に特設ステージを組んだ会場内は着飾った客達で一杯になり始める。とはいえ、全員警察関係者ではあるのだが。
 ここに来るであろう一般客はただ1人。招待状を送っておびき出した怪盗ドゥ・ルマこと達川磨言だけなのだ。
 明るい照明が一段落とされ、中央のステージにスポットが集まると、ウェディングドレスに身を包んだモデル達が優雅に歩き出してきた。
 偽とはいえなかなかに凝ったショーになっている。
(いるかしら?)
(それらしい人は見えませんが)
 耳栓をしたままのシュラインと汐耶が、目立たぬように小さく手旗信号で連絡を取り合っていた。2人とも参列者としてあとの結婚式にも出るため、モデル達に負けず劣らずのドレスアップをしている。
 中世的なクールビューティが2人、手旗信号で会話している光景は何やらとても……何とも言えない。
「やっぱり本命は花嫁のウェディングドレスか……」
 華やかなドレスを見ながらシュラインが呟いた。

* * *

 第1部が終わり、休憩を挟んで場所を2階大広間から1階にある屋内チャペルへと移し第2部が幕を開ける。
 ステンドグラスから伸びる陽光が真っ直ぐ伸びたヴァージンロードを照らしていた。
 扉が開き、花嫁の入場が始まると、参列者の間から感嘆の声が漏れた。
 純白のプリンセスラインに、パールビーズやスパンコールがふんだんに散りばめられたドレス。ウェストからふわりと広がったスカートが軽やかな印象を与え、華やかながらも清楚な花嫁を演出する。
 それに加え、現役アイドルの非の打ち所のない美貌がより一層場の雰囲気を華やかにさせる。ベールの内側から微笑を投げかけながら花嫁は新郎のもとへ歩いていく。
 ちなみにこのイヴのドレスは舞台衣装としても使えるようにスカートが切り替え式になっており、ロングトレーンとともに取り外せば純白のミニ丈のドレスになる。
 新婦役のイヴが新郎役の政人の横に並び、式次第どおりの結婚式が始まる。
 賛美歌の斉唱、牧師による聖書の朗読、そして2人の誓いの言葉まで進んだその時、


「その結婚、待ったぁ!」


 バーンと派手な音を立て、教会の扉が開け放たれた。
 新郎新婦参列者が一斉に振り返った先には、

「!!」

 ところで、『卒業』という映画をご存知だろうか。もう30年以上前に公開されたダスティン・ホフマン主演の青春映画である。たぶん映画の内容よりも、ラストシーンのほうが有名だろう。花嫁を奪ってゆく最後のシーンを説明すれば「ああ、あれね!」と分かってもらえるのではないだろうか。
 閑話休題。
 そんなわけで、『卒業』のラストよろしく怪盗ドゥ・ルマが真っ白なタキシード&シルクハットに真っ赤なマント、顔には羽飾りが鬱陶しそうな仮面をつけて立っていた。
「今日もそのウェディングドレス、僕が貰い受けるよ」
「出たな、ドゥ・ルマ! 今日こそは大人しくお縄についてもらうぞ!」
 時代がかった口調とともに政人が指差すと、ドゥ・ルマは口元に不敵な笑みを浮かべそのまま政人のほうへ向かって走り出した。
「な!?」
「きゃぁっ」
 予想外の行動に思わず固まってしまった政人の横を側転ですり抜けると、ドゥ・ルマはイヴの背後に回り軽々とその体を持ち上げた。
「これは可愛いマドモワゼルだ。少しの間、お付き合いください。すぐに家にお返しますから」
 いきなり抱えあげられてさすがに驚いて声の出ないイヴに爽やかに微笑みかけると、ドゥ・ルマはそのまま祭壇の真上に昇り、目の前のステンドグラスを見上げたまま口の中で呟き始めた。
「だ、る、ま、さ、ん、が」
「しま……っ!」
「こーろんだっ!」
 はっと我に返った政人が追おうとした時はすでに、言霊は唱えられてしまっていた。
 ラストワンフレーズ、やけに可愛らしく唱え終わると同時に花嫁を抱き上げた怪盗が振り返る。

 途端。

 時が止まった。

 ある者は席から立ち上がりかけ、ある者はドゥ・ルマ本人に駆け寄ろうとした体勢でそのまま止まっている。死んでいるわけではない。ただ言霊による呪縛に縛られているだけだ。
「アデュー、諸君! また会おう!」
 不自然な体勢でぷるぷると体を震わせながら止まってる警察関係者に目を向けたまま、後ろの窓から飛び出そうとドゥ・ルマが1歩下がったその時、
「待ちなさい!」
「私たちは動けるわよ」
 固まったままの人垣の間から、シュラインと汐耶が颯爽と走り出てきた。当初の作戦どおり耳栓のおかげで言霊の影響を受けなかった2人は、高速の手旗信号でお互いに合図を送りながら機を待っていたのだ。
「私たちに貴方の言葉は効かないわよ! 観念しなさい」
 ユニゾンで叫び、仁王立ちでビシッと指を突きつけるシュラインと汐耶。そのポーズが妙に様になっていてかっこいい。
「これはこれは先日の。やはり優秀なお嬢さん方ですね、僕の言霊を防ぐとは」
「……」
「……」
 会話が続かない。耳栓をしているのだから当り前なのだが。
「……。まあいいでしょう。ところで、僕を捕まえるのならさっさと追いかけてこないとこのまま逃げますよ?」
「……」
「……」
 やはり会話が続かない。当の2人は何やら腕を動かして話しているようだが、ドゥ・ルマと囚われのイヴには何をしているのかさっぱりである。
「…………。アデュー、マドモワゼル」
「シュラインさーん! 汐耶さーん! 早く来てー!!」
「……あ! ちょっと待ちなさいよ! 今どうしようか相談してたのに!」
「…………」
 動き出したドゥ・ルマと何やら手を振って叫ぶイヴに向かって文句を言うシュラインに、汐耶が手旗信号で答える。
(相談してる間に行っちゃいましたね)
「…………。追いましょうか」
(はい)
「……もう耳栓取ってもいいわよね」

* * *
 
 そのやり取りの間、『だるまさんがころんだ』をまともに聞いてしまった政人は思い切り金縛りにあってしまって指一本動かせない状態だった。
(不覚……っ!)
 ドゥ・ルマがこちらを向いている限り、動く事は出来ない。分かっていたのに何も出来なかった自分に涙しているうちに、怪盗は外に出たらしくふいに体の自由が戻った。
「くそっ! 葛生さん、田中君! 悪い、逃がした。そちらで追ってくれ」
 すかさずタキシード型強化服(お試し版)に内蔵された無線で外に待機している摩耶と裕介に連絡を入れる。
『了解です』
『任せて!』
 2人の短い応答によろしく頼む、と返答すると政人は会場を走り出た。
 この場で捕まえられなかったとはいえ、行く先は分かっている。達川の家に先回りしてせめて証拠物件だけでも見つけて面目躍如しよう。
 どこか間抜けな熱血刑事は駐車場に止めてあるパトカーに向かってひたすら走ってゆくのであった。

* * *

「やられたって。私たちの出番よ!」
 ドゥ・ルマが逃走したという窓側の裏庭に待機していた摩耶と裕介が、前方を見る。今まさに花嫁を抱き上げた白タキシードの怪盗がこちらに向かってくるところだった。
「来た! 俺が気を引きますよ!」
 裕介が素早く正面から突っ込んでゆく。それに気付いたドゥ・ルマがふと急停止すると回れ右をする。『だるまさんがころんだ』を言うつもりらしい。
「言わせない!」
 そのままの勢いで首筋に手刀を打ち込み気絶させようとした瞬間、相手が半歩分だけ体を半分開きちらりと裕介を見て笑った。
 すんでのところで手が空を切り、思わずバランスを崩した裕介の頭上から容赦なく言霊が降ってくる。
「……がころんだ」
「わ、うわ!」
 前につんのめりかけたまま止まっている裕介に「アデュー」と別れを告げて右方向へと走るドゥ・ルマの背中に低く唸るエンジン音が被った。
「逃がさないわよー!」
 愛車のビッグスクーター、ヤマハTMAXに跨った摩耶が豪快に走ってくる。 
「ちょっと、摩耶さん! わたしがいるのよー! 危ない危ないって!」
 その遠慮のないアクセルの開け方に思わず叫ぶイヴだったが、はっきりいってバイクに乗ってる人間にはそんな声は聞こえないのである。
「優秀ではあるが過激なマドモワゼルが多いね、今回は」
 イヴを抱えたまま肩を竦めたドゥ・ルマはそのまま前に向いて走り出す。その目の先には、なぜか小型のバスがある。
「……バス?」
 思わずイヴが呟くと、ドゥ・ルマはなぜか誇らしげに笑う。
「自家用バスさ。正面玄関まで直通だよ」
 イヴは知らないだろうが、これは「達川家敷地内を走る巡回バス」である。ここまでこれに乗ってきたらしい。
「まーてー!!」
 唸るエンジン音とともに摩耶が迫る。素早く客席にイヴを下ろすと、ドゥ・ルマはエンジンをかけそのまま飛び出していった。
 派手にクラクションを鳴らして走り去るバスのテールランプに向かって摩耶は悔しそうに叫んだ。
「ちょっと! なんでそのバスがここにあるのよ!? 卑怯者ー!!」
「あ……逃げられちゃいました?」
 やっと解放された裕介が摩耶の横に来てやはり悔しそうに呟いた。そんな裕介を振り返りキッと睨むように見ると、
「後ろ乗って! 追うわよ! 行き先は分かってるけどね!」
 摩耶はそう言ってタンデムシートを指差した。

* * *

 バスは走るよ、どこまでも。
 達川家敷地内巡回バスに乗せられて、イヴは怪盗とともに逃走中である。
(さってと……どうしようかしら)
 本当は捕まった時点で逃げ出そうと思えば逃げ出せたのだが、何となく面白そうなのでそのままついて行ってみることにしたのだ。
 行く先はどうせ分かっている。他の皆もきっと後から合流するだろう。ならばもう少しこの状況を楽しむのもいいかな、とイヴは小さく笑った。攫われた花嫁、なぜか心ときめくシチュエーションだ。
(これ、どこで使えば良かったのかしら)
 イヴはドレスの中からそっと小さな袋を出した。ドレスを着る際シュラインから渡されたのその小さな袋には胡椒が入っている。ドゥ・ルマが『だるまさんがころんだ』といい始めたら投げつけて、くしゃみをさせて言霊を封じようという作戦だったのだが投げる機会を逸してしまった。
「君はもしかしなくてもイヴ・ソマリアさんだよね?」
「え? あ、はい。そうです」
 不意に話し掛けられて、慌てて胡椒袋を仕舞うとイヴはすかさずにこりと笑った。
「いやぁ、驚いたよ。テレビで見てる人気アイドルがいるんだもの。実物もやっぱり可愛いですね」
「有難うございます」
 バックミラー越しに話し掛けてくる怪盗は相変わらず仮面をつけたままだった。見にくくないのかしら、とどうでもいいようなことをふと思う。
「家についてドレスを着替えてもらったら、すぐにお返ししますから。あ、もし良かったらあとでサインいただけます?」
 自分が今どういう状況にいるのか、全く頓着していない様子でのんきに話す相手の様子に少し首を傾げて、
「サインは構わないけど、あなたはどうしてウェディングドレスなんか盗んでるの?」
 イヴは聞いてみた。本当はどうして『そんな格好で』と言いたかったのだが、そこはあまり突っ込まないように決めた。
「あ、着きました。え〜、ご乗車有難うございます〜」
 イヴの問いには答えず、ドゥ・ルマはマイクを手に取りアナウンスを流すと、
「さあ、どうぞ」
 そう言ってイヴの手を取り、バスを降りた。


[ ACT:5 ] 最終決戦in達川邸

「追いついたぁ!」
 イヴがドゥ・ルマに手を引かれバスのステップを降りたと同時に、正面玄関前の噴水にTMAXの排気音が響いた。
 見ればタンデムシートに裕介を乗せた摩耶が丁度追いついたところだった。
「うう……摩耶さん、飛ばしすぎですよ……」
 元気にシートから降り立つ摩耶とは対照的に、裕介が青い顔でふらふらと地面に足をつける。
 そのすぐ後にタクシーも到着した。中からまず汐耶が降りて来、そのあとにきっちり領収書を受け取ってからシュラインが降りる。こんな時にでも領収書を貰うことを忘れないのはさすがといったところだろうか。
「さ、もう逃げられないわよ!」
「そろそろ観念しませんか?」
 4人に詰め寄られ、ドゥ・ルマはイヴの手を引いて1歩後ずさる。
「なかなか優秀な捜査員ですね。素晴らしい」
 そう言いつつ、屋敷の中に入ろうというのか扉の取っ手に手をかける。と、その時、
「な、なんで見つからないんだ……」
 疲れきった顔で政人が屋敷の中から出てきた。どういう経路を辿ったのかは定かではないが、とりあえず先に着いた彼は達川逮捕のために決定的な物的証拠を見つけようと屋敷内を探していたらしい。が、結局見つからなかったようだ。
「あ、皆さん! ご無事でしたか」
 溜息を吐いて顔を上げると、他の人間にやっと気付いて政人が少し笑顔を見せた。
「どうする? 囲まれちゃってるわよね?」
「もう諦めたらどうだ? これからはウェディングドレスじゃなくてメイド服を俺と一緒に探求するのもいいかも知れないぞ?」
「下手したらあんたも捕まるわよ、それ」
 とりあえず、説得方向に話を進める一同をぐるりと見回して、怪盗ドゥ・ルマは腕を組んで悩み始める。
「うーん……、ここまでしつこく追い詰められたのは初めてだな。かといって引くのも僕のプライドが……」
 そんな怪盗を今は静かに見詰める6人。
 しかし、傍から見れば、怪盗とそれを追い詰めている捜査員とは思えない光景である。
 ウェディングドレスに身を包んだ人気アイドルに、仮面舞踏会帰りですかと問いたくなるようないでたちの怪盗。疲れきった顔の新郎に、ドレスアップした美女2人。そして、500ccのビッグスクーターに寄りかかるライダースーツのこれまた美女に、やや青い顔をした青年。
 誰が何をどうしたいのか良く分からない集団の中で、まず口を開いたのはドレスアップした美女のうちの一人、汐耶だ。
「改心する気があるのなら考え直しません? こんな不毛な争いしていても誰も嬉しくないと思うし」
「そうだ、達川。証拠物件は見つからなかったが、今なら窃盗の現行犯で逮捕する事も出来る。自首した方が罪は軽いぞ?」
 先程までがっくりと落胆していた新郎・政人がやや覇気を取り戻して汐耶に続く。
「賛成。やっぱりウェディングドレスよりメイド服のほうが……」
「いやだから、それは関係ないってーの!」
 バイク酔いから覚めて顔色の戻り始めた裕介のメイド思考に、摩耶が素早く突っ込みを入れる。
「あ! じゃあこうしない? だるまさんがころんだ!」
「え?」
 ドゥ・ルマの傍らで、イヴが人差し指を立ててにこりと笑う。散々苦しめられてきた(かどうかは各自の判断に任せるが)『だるまさんがころんだ』をどうしようというのか。
「……『だるまさんがころんだ』で始まったことだから『だるまさんがころんだ』で決着つける?」
 イヴの言葉を自分なりに解釈してシュラインが提案しなおす。
「……」
「……」
 暫しの間。
「……それはそれで」
「いいんじゃないかと」
 誰かがポツリと呟くと、一同の顔に力の抜けた笑いが浮かぶ。
「……決まりね」


 そして、達川邸の広い敷地を使い夕暮れまで時間無制限耐久『だるまさんがころんだ』大会が催されたことは伝説となった。


[ ACT:6 ] 兵どもが夢の後

 数日後の草間興信所。
 草間武彦は依頼人からの事件解決のお礼としてもらったクッキーの詰め合わせをお茶菓子としてコーヒーを啜っていた。
「捕まったんだなぁ、あの怪盗。いや、お疲れさん」
 そう呟くと読んでいた新聞記事から目を離し、応接スペースで脱力している調査員に笑いかけた。
「なんか、無駄に疲れた気がするわ……」
「でも、改心してくれて良かったじゃないですか」
 大きく溜息をつくシュラインの隣で、汐耶が笑う。
「疲れたけどまあ面白かったわ。たまにはああいう遊びもいいんじゃない?」
 クッキーに手を伸ばしながら摩耶が思い出してクスクスと笑った。
「でも、結局なんでウェディングドレスに拘ってたんでしょうか?」
 未だ明かされない動機に裕介が首を捻る。
「お前のメイド服へのこだわりと同じじゃないのか」
 適当な事を言う草間に裕介がむっとして反論する。
「あのですね、そうやって人を馬鹿にするのはやめてください。メイド服は素晴らしい服なんですよ? 機能的な中にも溢れる美……」
「はいはい、それはまた別の機会にじっくりと武彦さんに聞かせてあげて」
 パンパンと手を打ってシュラインが話を打ち切ると、興信所の扉が開き政人が顔を出した。
「皆さんお揃いですか。先日は有難うございました」
 深く腰を折って一同にお辞儀をすると、政人は1本のビデオテープを取り出した。
「達川の自供ビデオです。ご覧になりますか?」

――――――――――

『やあ、皆さん。ご機嫌麗しゅう。先日は楽しい時間を有難う。
 僕がウェディングドレスにこだわっていた理由ですか?
 達川家には代々言い伝えがありまして。
 "ウェディングドレスを100着集めて燃やし、その灰を崇め奉れば繁栄が続く"
 というものです。僕は先祖代々の言い伝えを守り、ドレスを集めていたわけです。
 証拠が見つからなかったのは燃やしちゃってたからですね。あはは、残念。
 ま、そんなわけで、今回は残念ながら100着集められなかったわけですが、諦めたわけではありませんので。
 またどこかで会えることを楽しみにしてますよ。
 アデュー!』

――――――――――

「……今回は……?」
 くだらないが、ご先祖を大切にしていることだけはなんとなく分かる達川の自供に脱力しつつ、最後の『今回は』が気になり誰からともなく呟く。
「実は……釈放されちゃいまして」
「えええ!!?」
 ばつが悪そうに頭を掻く政人に他の5人が凄い勢いで詰め寄る。
「どーいうことなの? あんなに苦労したのに!!」
「すみません。あの、莫大な保釈金が達川本家から出たらしく」
「ちょっと! それでいいわけ? 日本の警察は!!」
「と、言われても……」
「それじゃ解決した意味ないじゃないかー!!」


 その日、草間興信所には怒号と落胆と溜息が尽きることはなかったという。



[ 東京怪盗大捜査線 - The Dharma fell over - / 終 ]
 

□■■■■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
□■■■■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

0086/シュライン・エマ/女性/26歳/翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員

1548/イヴ・ソマリア/女性/502歳/アイドル歌手兼異世界調査員

1098/田中・裕介/男性/18歳/孤児院のお手伝い兼何でも屋

1449/綾和泉・汐耶/女性/23歳/都立図書館司書

1855/葉月・政人/男性/25歳/警視庁対超常現象特殊強化服装着員

1979/葛生・摩耶/女性/20歳/泡姫

※以上、受注順に表記いたしました。


―――――NPC

怪盗ドゥ・ルマ / ウェディングドレスのみを狙う怪盗。10文字の言霊で相手を縛るその正体は名門達川家の跡取、達川磨言(たつかわ・まこと)。神道系の言霊使い(らしい)

□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
■         ライター通信          ■
□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□

初めましての方もこんにちは。佐神でございます。
毎度ギリギリまでお待たせしてスミマセン。
しかも今回は皆様のプレイングを反映しきれない部分が多くて申し訳ないです。精進します……。
いつもどおりACT:1は個別、調査部分のACT:3は2班に分かれております。
本編の内容についてはもう何をどう言って良いのやら(と、頭を抱えてみる)
とにかく、お疲れ様でした(笑)

いつにもまして反省点の多い依頼でしたが、少しでも楽しんで頂ける部分があれば幸いです。
ご意見ご感想苦情等、お気軽にお寄せくださいませ。

また次の機会に会えることを祈りつつ……。

佐神 拝


>シュライン・エマ様
いつもお世話になっております。
今回はいつもと少し違う、微妙にずれたシュライン姐さんになってしまいましたが、いかがだったでしょうか(笑)
そしていつか白無垢姿のシュラインさんを見たいなー、と思ったり。
今回はご参加有難うございました。