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<東京怪談ウェブゲーム 界鏡現象〜異界〜>


『第一話 スノーホワイト ― 人間に恋をした雪娘の物語 ― 』
 しんしんと雪が降る世界の中で彼女は公園のブランコに座って一面の銀世界を見つめていました。
 身も凍るような寒さの中でだけど彼女がとても小さく見えるようなのは決して寒さのせいではないのは彼女の心に咲く花を見る事ができるその人にはわかっていました。
 その人の名は白。人の心に咲く花を見る事ができる樹木の医者。
「こんにちは」
 突然、声をかけてきた白に彼女は怯えたような表情をしました。その怯えは突然に見知らぬ者に声をかけられた怯えではなく、何か人に言えぬ失敗などをしてしまった子どもがそれが知られてしまうのが怖くって隠れていたのだけど、しかし親に見つかってしまったかのようなそんな感じ。
 そんな彼女に白は周りの世界を染める色と同じような銀色の髪の下にある顔にやさしい表情を浮かべました。
 やわらかに細められた青い色の瞳に彼女は何かを感じたようで、その怯えを少しだけ和らげたのです。だけど白がした事といえば・・・
「これは?」
 彼女は白から渡された花を見つめながら抑揚のない声を出しました。白はやさしく微笑んで言葉を紡ぎます。
「その花はスノードロップと言うのですよ。花言葉は【希望】。冷たい雪に優しくした花。故に雪の世界でも咲ける花。世界で一番強い想いは優しさなのだと想います。だからどうか希望を捨てないで。そう、世界の扉は開くから」
 彼女は白に渡されたスノードロップを見つめながら呟きました。
「希望…やさしさ……だけど、私は………」
 辛そうに口をつぐんだ彼女。そして彼女が手の中のスノードロップから顔をあげると、だけどもうそこには白はいませんでした。
 もう一度彼女は「スノードロップ」と呟き、
 ――――そして世界に舞う雪がいよいよ激しくなり、異界の東京はより深い雪に沈んでいきます。


 この銀世界でスノードロップと言えども咲く事はできるのだろうか?


 この物語は12月24日の東京が始まりなのです。
 しんしんと白い雪が降る夜に東京に一人の雪の精が舞い降りました。
「ああ、なんて今夜は世界が愛に溢れているのでしょう」
 雪の精は東京の夜に溢れる愛にうっとりと眼を細めて楽しそうにワルツを踊りながら歌うと、戯れに雪人形を創りました。
 純粋な雪の結晶を集めた雪人形を。
 そうして雪の精は朝日が昇る頃、ひとつの雪人形を東京の街に残して、雪の世界に帰って行きました。
 だけど雪の精は知らなかったのです。戯れに造ったその人形に命が宿っていたのを。
 雪人形は朝日が昇ると同時に瞼を開きました。銀色の髪に、剃刀色の瞳。雪のように白い肌。白のワンピースドレスに白のロングコートに白のブーツ。
 初めて見る世界に彼女は喜び、母親が自分を創ったように小さな雪だるまや雪うさぎを作りました。
 そんな彼女の前で新聞配達をしていた男が雪に滑って転び、そしてその光景にきょとんとした彼女はくすくすと笑い、その出会いは当然のように恋へと変わりました。
「名前は?」
「………小雪。小雪です」
「小雪か」
 雪のように白い君にぴったりの名前だね、と彼は優しく微笑みました。
 男は新聞配達の青年で、御堂秋人と言う名前でした。
 だけど季節は無常にも過ぎていきます。東京の街は冬から春に………。
「大丈夫? 最近、顔色がすごく悪い」
「あ、うん。平気だから」
 平気な訳はありません。彼女は雪人形なのですから。

 別れたくない。彼と別れたくない……

 小雪は心の奥底からそう想い、だから東京を永遠の雪の世界にしてしまいました。永遠に彼と一緒にいられるように。


 そう、ここはとある作家が書いたその物語に縛られた世界なのです。
 この物語に縛られた東京に住む人々は苦しんでいます。
 そして本当は彼女も…。
 私、白亜は泣きながら東京に雪を降らせる彼女を救いたいと想います。
 ああ、だけど深い雪に閉ざされて彼女も彼も不幸にしかならないこの物語に縛られた世界で私も、そして物語を書き換える力を持つカウナーツさんもどうする事もできません。

「だからお願いします。この物語のラストをあなたのイマジネーションと能力で書き換えてください。あなたがイマジネーションした物語をカウナーツさんが書きます。それとあなたの能力が加わればこの物語は変わるのです。どうか、この物語をハッピーエンドにしてください」

 ******
「くすくす。バカな娘。自分とカウナーツがこの【悪夢のように暗鬱なる世界】でどうしてあえて一欠けらの真実を渡されているのかまだわからないのだね。くすくす。さあ、おいで。そのために私は扉を用意したのだから。だけどね、これだけはお聞き。物語を書き換えようとするのならば、自分が書き換えられる事を拒む物語の修正能力に襲われる覚悟をするのだよ。覚悟ができたのなら、扉を開けてやっておいで。私の知らぬ私の物語の新たなる登場人物たち。くすくすくす」



【actT 扉】
 からーん。
 喫茶【響】の扉につけられた鐘が軽やかな音色を奏でた。
 客が帰った後のテーブルの片付けをしていた火月はそちらを向いて、笑顔を浮かべると、元気のいい声を出した。
「いらっしゃいませー」
 そして火月はグラスとカップ、皿などを持ってカウンターをくぐって厨房に入ると、洗い場に汚れたそれらを置いて素早く手を洗い、また再びホールに戻ると、カウンターの隅に置かれたグラスの山の頂上からグラスを一つとって、それに水滴が浮かんだポットから冷たい氷水を注ぎ、ボックスから同じく冷やされたお絞りを取り出して、それらをトレーに乗せると、接客に向う。
「いらっしゃいませ」
 火月はにこりと微笑む。
 席についているのは火月よりも少し上ぐらいの女子高生だ。彼女は頬にかかる黒髪をどこか洗練された動きで耳の後ろに流しながらメニューは見ずに注文した。
「アイスブラックコーヒーにミックスサンドを」
「アイスブラックコーヒーとミックスサンドですね。かしこまりました。それでしたらサンドイッチセットにした方がお得になりますのでそちらにしておきますね。少々お待ちください」
 火月はカウンターの隅に置かれている伝票に商品名と値段を書き込んで、そして厨房に入ると、手を洗った。
「さてと・・・」
 火月は作業場の上に作られている棚から食パンが入ったビニール袋を背伸びして引っ張って取る。そしてその透明のビニール袋に入っているパンを見て、げんなりとため息を吐いた。
「っとに。ラッシュになった時に困るからあらかじめ数セット分は切っておいた方がいいのに」
 何もパン屋から喫茶店に納品される食パンはサンドイッチ用ならサンドイッチ用の厚さに、トースト用ならトースト用の厚さに合わせてパンがあらかじめ切られているわけではなく、ちゃんとその店で切るわけで。だからあらかじめ数本の食パンをその使い道に合わせてそれぞれの厚さに切っておかないと、いざラッシュに見舞われたときには大変な想いをすることになる。
 火月はため息を吐くと、食パンをビニールから取り出して、サンドイッチ用のまな板の上に乗せて、取りあえずはサンドイッチ用の厚さで六枚切った。
 そして彼は火を点けたコンロにフライパンを乗せて次にボールに卵を二つ割って、それにこしょうと塩を振りかけて、かき混ぜ、よく熱して業務用のバターを敷いたフライパンに溶いた卵を流した。卵とバターのいい香りが火月の鼻腔をくすぐる。片側をよく焼いたら手首のスナップを利かせつつ腕を引いて空中に卵焼きを舞わせて焼く面をひっくり返す。
「よし」
 火月は上手く卵焼きをひっくり返せた事に喜びの声をあげた。やはりこういうのは何回成功しても嬉しいものだ。
 そして彼は卵焼きを焼きながら素早く食パンにマヨネーズを塗って、まずは一枚目の上にレタス、スライスしたきゅうり、トマト、アスパラを乗せてそれにまた食パンを。もう一枚には同じくスライスしたきゅうりにハム、シーチキン。そして残り一枚にはやはりスライスしたきゅうりと卵焼きを乗せて三組のサンドイッチを作ると、それらを重ね合わせてそのパンの塔に左手を乗せて固定しながら右手に持った包丁で耳を落とし、次いで3分の1の部分を縦に切って、残りは真ん中で斜めに切って三角形にしてやる。そしてそれを紙ナフキンを敷いたサンドイッチ用の木製のトレーに乗せて、冷蔵庫から取り出したアイスブラックコーヒー(アイスコーヒーはその日の朝と夕方少し前に煎れて、それを冷蔵庫で冷やしておくのだ)をグラスに注ぐ。
「もうアイスコーヒーも煎れなきゃならないな」
 ったく。兄が帰ってきたら文句を言ってやろう。今日は商店街の寄り合いとかで店が一時期自分ひとりになる事がわかっていただろうに、この準備の足りなさ。もしもこの時間帯にラッシュになっていたらどうしてくれていたのだ?
「まったく。今日のバイト代、少し高くもらっておこうかな」
 火月は小さく呟いてくすりと微笑んだ。
 そして厨房を出て、わずか3分で作り上げたサンドイッチセットをその女子高生の前にあるテーブルに並べる。
「お待たせしました。ごゆっくりとどうぞ」
 厨房に戻った火月はコンロに水を満タンに注いだポット二つをかけると、アイスコーヒー用のバケツにアイスコーヒーを煎れる準備をする。秤のカップにコーヒー豆を注いで重さを見て……
 ―――その時にそれは起こった。
 いや、しかしそれはなんと説明すればいいのだろう? なんとか無理やりに説明するとしたら店内の空気がぶんと揺れた感じ……。
「なんだよ、この感覚?」
 火月は真夏だと言うのに…しかも火を使っている厨房にいるというのに鳥肌が浮かんだ腕を摩った。本能が何かこの感じはやばいと警鐘を鳴らしている。
 ―――そう言えばあの客は?
「お客さん、大丈夫ですか?」
 ―――何が大丈夫なのかはわからないがなぜかそう口にしながらホールに飛び出した火月はそこで不思議な光景を目撃して、呆然となった。
「なんだよ、これ?」
 ホールの真ん中に天井にまで届きそうな高さのある扉が出現しているのだ。しかもあの女子高生は、その扉の前にいるだぼだぼの服を着た門番(なぜだかそう認識できた)と2,3会話をすると、いきなり開いた扉の向こう側にと行ってしまう。
 それまでその光景を呆然と見ていたのだが、火月はそれを目にすると、
「冗談じゃない。食い逃げか?」
 などと、口にしながらよく考えずに閉まりゆく扉の隙間に飛び込んだ。
 そして扉は閉まり……
「あれ、ここどこ?」
 火月はうず高く積まれた本の塔がいくつもある薄暗い部屋にいた。
 

【actU 物語のイマジネーション】
 扉の向こうは小さな部屋だった。
 うず高く積まれた本の塔。その本の塔の向こうから鉛筆を書き殴るような音が絶え間なく聞こえてくる。
 空気は古い紙とインクの匂いでいっぱいでどこか歴史の長い古本屋にいるような感じがした。しかしコーヒーの香りに慣れた火月は突然に変わった環境に落ち着かない。
「まさか、着いてくるとはね」
 綾瀬まあやと名乗った彼女は軽く吐息を吐きながら肩をすくめた。
「だって、いきなり現れた扉からどっこかに行ってしまおうとするから慌てて」
 彼女はまたため息を吐いた。
 そして火月は自分がコンロに火をかけたままだった事を思い出した。
「あ、火つけっ放しだ」
 慌てて彼はその本がたくさんある部屋を見回すがしかし扉が何処にも無い。
 ・・・?
 ―――これはどうなっている?
 火月は頭がくらくらしてきた。
 そんな彼にまあやはにこりと笑って、この状況を説明した。
「つまりここは俺たちがいた世界とは別次元の東京の街で、それでこの物語を書き換えて解決しない限りは元いた世界に帰れない?」
「そう」
 うぐぅ、と火月が苦虫をまとめて食べたような顔をしたのはまあやが実に楽しげに微笑んだからだ。絶対に彼女は火月の反応を楽しんでいる。
 そして彼女は肩にかかる髪を掻きあげながら、この物語に縛られた世界でその真実を知る少女に視線を変えた。火月も視線を彼女へと…まるでかげろうかのような少女 白亜へと転じた。
 ―――ちなみに白亜はふわふわと宙に浮いていて半透明で、そして本の塔の向こうで何やら鉛筆で書き綴っているのがカウナーツ・イェーラという人物らしい。それからあの門番は冥府と。
「それで今回の物語はどんな物語なのかしら?」
 白亜が語ったのは雪の精の戯れの末に生まれた雪娘と青年の切ない恋物語。その悲劇。この異界の東京は永遠に雪に囲まれた街なのだそうだ。
 ―――哀しい物語だな……。


 小雪さんにとっては御堂さんとの出逢いは本当に自分の何もかも変えてしまうような…そんな大切な出逢いだったに違いない。そうじゃなきゃ、そこまで苦しまないはずだから。そう、俺にだってある。俺の中の価値観とか色んな物をすべて打ち壊して…新たに色んな物を再構築してしまうようなそんな出逢いが。
 そう、それは………


 火月はぎゅっと右手で左胸の辺りを鷲掴んだ。まるでそこに何か大切な物があるかのように…そこにある温かな灯火を消してしまわないように大切にその灯火を守ろうとするかのように。そんな彼の表情はとてもいとおしくって、儚くって、消え入りそうで、そしてだからこそ何よりも尊い…そんな表情。
 彼は閉じていた瞼を開いて、青い色の瞳で白亜を見た。
「あの、白亜さん。その物語のラストは俺にイマジネーションさせてください」
 それにまあやはわずかに片眉の端を跳ね上げて、そして白亜は驚いたような表情を浮かべた。
 そして半透明の少女は、火月の前にふわりと移動してきて、申し訳なさそうに言う。
「すみません。ありがとうございます。火月さん。どうか物語のラストをイマジネーションしてください。二人が幸せになれるラストを」
 ―――火月は言われた通りに二人のラストをイマジネーションする。
 すると彼の目の前に広がる空間にまるでホワイトボードに水性ペンで文字を書き綴るように火月がイマジネーションした物語のラストが綴られていく。 
 そして空間に書き綴られた文章は白亜の上に向けた両の手の平の上に集まり、そしてそれはそこで蝶となって、カウナーツがいる方へと飛んでいった。
「すごいな、本当に」
 その現象に呆然と呟いた火月がだけど再び見た白亜はそんな彼にとてもすまなさそうな顔をしていた。
「すみません。カウナーツさんが書き換えられるのは物語のラストだけ。そこへ到達するまでの文章は、その物語のラストをイマジネーションした火月さんの行動でのみ書き綴られます。だから火月さんは……」
 とても言いにくそうに口をそこで噤んでしまった彼女の頭を火月は手で撫でた。
「大丈夫。俺は負けないよ、物語の修正能力なんかに。それに今、小雪さんも御堂さんも泣いているんだろう? 俺はそれが嫌なんだ。そう、だから俺は皆が幸せになれる物語のラストをイマジネーションした。ほんの少しでいいんだ。まずは微笑むことから、皆に幸せな時が訪れるように。ね、白亜さん。だからあなたも微笑んで」
 そう優しく諭すように微笑んだ火月に白亜も小さく微笑んだ。
 火月はこのミッションでのパートナーとなるまあやと顔を見合わせあって、そして頷きあう。
「さあ、物語を書き綴ろう」


【actV 物語の修正】
 おやおや。また冥府が誰かを連れてきて、そして物語が書き換えられたのだね。
 くすくすくす。
 一体今度はどんな物語なのだろうね?
 ほら、蝶が飛んできた。
 ―――蝶は彼女の前で虚空に綴られた物語と変わる。
 私の知らない私の物語の登場人物。天樹火月。おやおや、これはまた本当に綺麗で優しい物語のラストだね。
 私もこういう物語のラストは大好きさ。


 ――― 小雪は秋人に手紙を雪娘の秘宝を添えて渡しました。その手紙には自分が雪娘だという事が綴られています。

【秋人、私はね、雪人形……本当の人間の女の子じゃないの。ごめん。ごめんね。今まで秋人を騙していて。この雪も……私が原因なの。私が秋人といつまでも一緒にいたいから…だから………。ごめん。ごめんね】

 その彼女の悲しい懺悔の手紙に添えられた秘宝……しかしその秘宝に込められたのは小雪の願い。
 小雪が秘宝に込めたその願いに秋人が気づけた時、その時二人は……。 ―――


 これが火月。おまえがイマジネーションした物語なのだね。だけどね、ほら、おまえが物語を書き換えたから、物語の修正能力が働いたよ。
 おまえはその修正能力を撥ね退けて、見事おまえの行動でそのイマジネーションした物語のラストまでの物語を綴る事ができるかしらね。
 くすくすくす。


 ******
 渡された手紙に書かれていたのはとてもじゃないが信じられない内容だった。彼はだから彼女に訊いてみた。
「今日が4月1日だから?」
 そして彼女はとても哀しそうな顔をして、
「ごめんね、秋人」
 ―――その瞬間に雪が花霞かのように激しく舞って、それが緩やかになった時には小雪はいなかった。
 そして彼は彼女に渡された手紙を握り締め、その手紙に添えられていた雪の結晶を象ったペンダントを首から下げながら雪の街を走り回った。
 ばかな事を言ったと後悔していた。
 そう彼女は……小雪はいつも哀しそうな顔をしていた。何か大きな失敗をしてしまい……それを必死に隠して、それが知られてしまう事を恐れる幼い子どもかのような表情。
 いつも自分はそんな表情を浮かべる彼女に何があったのかを訊きたかった。だけど同時にそれを訊くのが怖くもあった。
 ―――だけど彼女は勇気を振り絞って………ものすごく怖かっただろうに自分の秘密を話してくれた…なのに秋人は……その事実から逃げてしまった。

 どれだけ後悔してもし足りない・・・

 吐く息は白い。
 削られていく体力。
 だけど彼は限界になりつつある足を叱咤して止まろうとしない。
 ―――その理由? そんなのは決まっている。
 だから彼は走るのだ。


 ******
 この時、懸命にひた走る秋人は知らなかったのだが、その彼を見つめる人物がいた。
 しかし秋人を見据えるその人物の目は冷たく、
 その声は憎悪と深い嫉妬に塗れていた。
「やりなさい、おまえたち」
 ―――本能的に秋人はその声に足を止めた。そしてその声がした方に視線を向けた。瞬間、大きく両目が見開かれる。
「うぁあ」
 後ずさった秋人は口から悲鳴を迸らせた。
 彼が見た先。そこから延々と白い雪を降らせる鉛色の空をバックに氷の彫像かのような氷狼が襲い掛かってくるではないか。
 秋人は恐怖のあまりに体が動かない。そしてその恐怖のあまりにかえって鋭敏になっている彼の耳にひゅんと何かが空気を切り裂く音が届く。それは?
「クナイ?」
 そう、クナイだった。それが氷狼をすべて砕いたのだ。
 秋人は何が何だかわからず、だけど取りあえずは自分の命が助かった事だけは理解できて、へなへなと腰が抜けてその場に座り込んでしまった。
 その彼の前に腰まである黒髪を軽やかに空間に舞わせて女子高生が滑り込んでくる。彼女はリュートを構えると、それを奏でた。そうすれば何も無かった空間にしかし、蒼銀色の髪の女が現れる。よく昔話で聞くような雪女かのような…いや、雪女なのだろう。
 彼女は長い髪に縁取られた美貌に凄まじい憎悪の表情を浮かべて吠えた。
「なぜ、邪魔をする? その男のせいで、その男のせいで、その男のせいで、その男のせいで小雪はぁぁぁぁぁああああああああーーーーーーーーーーー」
 身を前に乗り出させて感情も露にヒステリックに叫ぶ彼女に秋人は体を震わせた。ただしそれは恐怖とかではない。彼女が言った小雪、という言葉のせいでだ。
 その場に腰を抜かして座り込んでいた秋人はだけど、身を乗り出させる。
「どういう事? 小雪がどうした? 小雪がどうしたんだぁ?」
 叫んだ秋人に彼女は不快そうな表情をした。
「薄汚い人間の男が私の娘を気安く呼ぶなぁーーーー」
 そしてその彼女…雪の精から再び氷狼が放たれる。
「ちぃぃぃ」
 女子高生はリュートの旋律を。
 それは音波攻撃のようなものなのだろう。リュートの旋律の前に氷狼たちは砕け散る。しかしそれでもその中にはその攻撃を潜り抜けて、秋人に肉薄するモノがいた。だが女子高生は慌てない。彼女はただ己の仕事をし、そしてその氷狼という奴はやはりどこかから飛来したクナイによって砕け散る。
 秋人はぐぅっと悔しそうに下唇を噛み締めている雪の精にもう一度問うた。
「教えてくれ。小雪は、小雪はどうしたんだ?」
 ―――彼女にもしも何かがあったら・・・そしたら、俺は・・・・・・・
 秋人の今にも泣きそうな顔に雪の精は忌々しげに舌打ちをすると、
「小雪は貴様に傷つけられた心の痛みのせいで、自らの心も体も凍りつかせた…私には…私にはもう小雪だけだというのに……それなのに貴様がそれを奪ったんだぁァ――ッ」
 ―――そう、それが修正された物語。
 そして雪の精はどこか壊れた表情を浮かべた。
「もういい。もういい。こうなったらこの世界すべてを氷づけにしてやる」
 そして雪の精は激しく舞う雪の中に消え、世界を包み込む雪の激しさはいよいよ強く強く・・・・・・


【actW 奇跡】
 物語は最悪な結末に向うように修正されたようだ。だがそんな結末には向わせない。もう一つの用意された結末に向かい…そこまでの物語は自分の行動で紡ぐ。そう、そう信じて疑わなかった、火月は。その想いの言葉は希望。この世の中で一番の強き力。
「綾瀬さん。どうしますか? それでもこれでは動きようがない」
 小雪がこの街にかけた呪いは季節を止めるだけ。しかし憎悪に狂った雪の精がこの街にかけたのは滅亡の呪い。このままではこの異界の東京は深い雪に埋もれてすぐに滅びてしまう。
 焦燥にかられた火月の視線の先でしかしまあやはにこりと微笑んだ。彼女もまた希望を捨ててはいない。
 そして彼女はリュートの旋律を奏でる。それは春を待ち望む花の妖精の想いを音色にしたもの。
 その音色はこの世界に広がっていく。そしてそれは正位相の音楽を逆位相の音楽でノイズキャンセルするように、この街にかけられていた呪いを緩和させる。
「綾瀬さん?」
「これで少しはまともに動けるようになったでしょう」
 彼女はにこりと微笑んだ。しかしその顔色はものすごく悪い。おそらくはその旋律を奏でるのには相当な力を必要とするのだろう。
 戸惑う表情を浮かべる火月に彼女はこくりと頷く。
「さあ、あなたは早くあなたの物語を紡いで」
 火月はその彼女の言葉に頷いた。彼女は自分を信頼して後を任せてくれたのだ。それに報いるためにも、そして少しでも早く彼女の負担を……苦しむ愛いし合う二人を救うためにも動かなければならない。そう、クールに的確に。


 どくん、と心臓が脈打つ。火月は自分の感覚のすべてが鋭く研ぎ澄まされていくのを感じる。


 火月には暗い過去があった。
 それは祖父に大切な者を殺され、心を壊されながら暗殺者としての仕事をさせられていた時期。

 目の前で大切な人が無意味に祖父に殺されていく………
 ―――辛くないはずがなかった。
 心が狂い・・・
 心が引き裂かれ・・・
 心は癒えず・・・
 いつも心はじくじくと血を流していた・・・

 だけど涙は流さなかった・・・
 ―――どうして?
 ………………………だってその涙が自分のせいで殺されてしまった人たちのために流されたモノなのか、それとも……………………自分のために流しているモノなのかわからなかったから。もしもその涙が自分のために流されたモノなのなら……火月はそんな自分をどうすればいいのかわからなかったから。

 そう、そうなんだ。求めてはいけない。
 許しを・・・
 救いを・・・
 今、自分が幸せだと思えてはいけない・・・
 笑ってはいけない・・・
 いけない。いけない。いけない。いけない。いけない。いけない。いけない。いけない。


 そう、何もかも求めてはいけない。贖罪も懺悔も。あるのは重い十字架のみ。だけど・・・・・


『苦しかったね、火月。もう大丈夫だよ。火月はもう独りじゃない。私たちがいるよ。伸ばされた助けの手に触れる事を怖がらないで。それに罪悪感を抱かないで』
『そうだよ、火月。もう君は独りじゃないんだ。今日から俺たちが火月の兄姉。だから火月がこれまで背負ってきたものすべてを俺たちが一緒に背負うから。だからもう泣くのを我慢しなくってもいいんだよ。火月が何のために泣いているのか俺たちはちゃんとわかっているから』

 
 今まで明るい太陽の光が一条も届かぬ暗い地で独り泣いていた火月。見えるかい? 君を照らす温かな陽だまりが。感じるかい? 包み込んでくれるような温もりを。
 背負う十字架の重さに心揺らぐ時もあるだろうけど、忘れないで。
 君を照らしてくれる光を。
 君を包み込んでくれる温もりを。


 火月は閉じていた瞼を開いた。
 そして秋人を見る。
「御堂さん。小雪さんは雪娘。人じゃない。それでもあなたは彼女を愛せますか? 二人一緒にいつまでもいたいと想いますか?」
 火月の言葉に彼はこくりと力強く頷いた。
「当たり前だ」
「わかりました。俺があなたを守ります。だからあなたは小雪さんを助けてください。あなたの声なら必ず小雪さんに届くはずだから」


 そう、それは火月自身が体験しているから、彼はそう言いきれた。だからこそ彼は愛し合う二人のために秋人を守る事に命をかけられる。


「さあ、二人のハッピーエンドに続く物語を紡ぎましょう」

 ******
「だけど小雪はどこに・・・?」
「小雪さんの居場所? それは御堂さん。あなたが一番知っているんじゃないんですか?」
 火月に言われた秋人は目を大きく見開いた。だがそう言われても二人の思い出の地はすべて探した。だけど彼女はいなかった。
「焦らないで。焦らずに二人過ごした大切な時間を、交わした言葉を思い出してください」
 包み込まれるように火月の両手に握られた秋人の右手。そのやさしいぬくもりが秋人の焦っていた心を落ちつかせてくれる。
・・・そう言えば

『ねえ、秋人』
『ん?』
『ここはどこの写真なの?』
『ああ、ここはA区の***公園だよ。綺麗な桜だろう。俺の渾身の一枚。今度の春に一緒に見に行こう、小雪。約束』
 ―――ああ、知らなかった事とはいえ、自分はなんて惨い言葉を言ったのだろう。

 秋人の頬を流れた涙を見て火月はものすごく哀しそうな顔をした。そしてそっとその涙を右手の人差し指でぬぐった。そう、あの時に優しく温かな笑みを浮かべた姉がそうしてくれたように。そしてその時に彼女は・・・
「わかったようですね、御堂さん」
「ああ」
「OK。ならばそこに行きましょう。案内してください。あなたは俺が守ります」


 ******
 A区 ***公園。
 そこに到着した時の時刻は4月1日23時52分。
「ちぃぃぃ。もうこんな時間。間に合ってくれよ」
 腕時計を睨みながら火月は歯軋りした。彼がイマジネーションした物語のラストには限定条件がついた。その限定条件を満たせるまでの時間は残り8分。その間に事を片さねばならない。
 ―――間に合うのか? いや、間に合わせるんだ、俺が。誰かが泣いている顔はもう見たくない!!!
「小雪」
 火月の心を現実に引き戻したのは秋人のショックを受けたような声だ。
 秋人が一年前に写した…何も知らなかった秋人が小雪に今年の春に見せてあげると約束した桜の樹の下に、永久氷壁の棺かのように氷づけにされた小雪の姿があった。
 そして更には・・・
「このクソ人間ども。こんな所にまで来て」
 公園の上空に雪の精が現れる。
 そして彼女から氷狼が放たれる。
「やらせるか」
 秋人に襲いかかる氷狼に向って火月はクナイを放つ。しかし今度はそのクナイは氷狼を傷つけられない。
「氷の精の意志の力か」
 火月は舌打ち。
 ―――ならば・・・
 そして火月は能力を解放させる。瞳の色は青い色から朱色へ。
「本当は俺はあんたにだって笑ってもらいたいんだぞ」
 火月は呟いた。
 そして秋人に肉薄する氷狼を光を操れる能力によって具現化させた数千度の熱を持つ刃によって斬り裂いた。
「なぁ・・・」
 雪の精がそれに戦慄し、そして彼女は火月の光の剣とは違う属性にあたいする氷の剣を己が右手に具現化させると虚空を蹴って火月に肉薄する。
 火月は光の剣を構え、
 ―――だが、雪の精は酷薄に微笑んだ。彼女が振るうは氷の刃。故にその剣風は空中に漂う水因子を操作して、そして・・・
「ちぃぃ。氷の弾丸」
 高速のスピードで氷の弾丸が火月を襲う。だが彼は慌てない。クールに的確に。そう、彼にはそれだけの力がある。


 それはまるで空間を風に舞った花びらがたゆたうが如く


「な、なにぃ?」
 再度、雪の精は驚愕の声をあげた。
 火月はまるで美しき舞姫が舞いを披露するが如くにその氷の弾丸を優雅で軽やかな動きですべて紙一重にかわす。
 そして火月の朱色の瞳が哀しげに細められた瞬間に彼の手の中にある光の刃はその形を変えて光りの本流に。
「少し眠っていてね、雪の精。少し眠って目が覚めれば…すべては夢となって消えているから。そうしたらあなたも笑えるようになる。そう、ほんの少しでいいんだ。まずは微笑むことから、あなたに幸せな時が訪れますように」
 そして火月の手首が軽やかに捻られて・・・
「うぎゃぁーーーーー」
 雪の精は光りの本流の中に消えた。
 雪の園に着地した火月の瞼が開かれた時、その瞳は再び澄んだ青い色を取り戻していた。そして彼はその瞳を激しい吹雪の中、その中心にある氷の棺に向っていく秋人に向けた。
 現時刻は23時58分12秒。


 ******
 一目惚れだった、と言ったら君は笑うだろうか、小雪。
 あの初めて出逢った日に俺は転んだだろう?
 あの時はね、恥ずかしいんだけど、小さな雪うさぎを作っている君に目を奪われて…それで、さ。
 ちらちらと舞う粉雪の中でいつも軽やかにステップを踏んでいた君を俺はいつも抱きしめたいと想っていた。
 小雪と一緒ならいつもずっと外だった雪の中のデートも苦じゃなかった。
 やりたい事、見せたい物、伝えたい言葉はたくさんある。
 春、夏、秋…色んな季節や時を一緒に過ごしたいし、
 俺の田舎の風景だって見せたい…
 そして伝えたいんだ……この言葉を………
「小雪、俺は君が何だろうがかまわない。雪人形? それがなに? そんなのは関係無いよ、小雪」
 俺は氷の棺の中に閉じ込められているかのような小雪に抱きついた。どんどん体温を奪われていくし、剥き出しの肌が低温火傷をしていくけど、それだって構わない。そう、小雪はずっとひとりで苦しんできたんだから。
「小雪、もう君は独りぼっちじゃないよ。俺が側にいるから。だからもう泣かないで」

 
 ―― その花はスノードロップと言うのですよ。花言葉は【希望】。冷たい雪に優しくした花。故に雪の世界でも咲ける花。世界で一番強い想いは優しさなのだと想います。だからどうか希望を捨てないで。そう、世界の扉は開くから ――


 俺は氷の棺の中の小雪に厚い氷越しの口づけをした。


【ラスト】
 火月はもう腕時計を見ていない。
 まるでこの世のすべての優しさの結晶を寄せ集めて凝縮したかのようなその光景に火月は青い色の瞳をとても眩しそうに細めている。
 

 ――― そう、それが火月がイマジネーションした二人の物語のラスト。
 雪娘の秘宝であるペンダントを添えた手紙を秋人に手渡す小雪。
 その秘宝のペンダントを身につけた者がもしも、雪娘を心の奥底から愛しながら口づけをした時、その口づけをされた雪娘は人間に・・・・・・ ―――


 ひらひらと夜の空間に美しい薄桃色の花びらを舞わせる桜の樹の下で抱き合いながら涙を流す小雪と秋人。その涙の理由は小雪の冷たい雪の結晶で出来上がっていた体が優しい温もりを持っているから。
「これがあなたがイマジネーションした物語のラストなのね」
 いつの間にか火月の隣にまあやがいて、彼女は感動したように桜の花びらに優しく包み込まれながらキスをする二人をやわらかに目を細めながら見つめている。
「ああ。あの雪娘の秘宝を身につけた者が雪娘を心の奥底から想いながらキスをした時に、その雪娘は人間に生まれ変われる。ただしそのイマジネーションしたラストには限定条件がついてしまった。それは今日の24時00分までに御堂さんが小雪さんにキスをすること。もしも失敗してしまっていたなら・・・・小雪さんはこの世から消えていた」
「だけど秋人さんと小雪さんは誰にもそれを教えられなくってもその愛の魔法を成功させた。ねえ、だけどどうして魔法の鍵がキスなの?」
 不思議そうな表情を浮かべた顔をわずかに傾げたまあやに火月はにこりと微笑んだ。
「それは内緒」


 ******
 扉は耳障りな蝶番の音を奏でて閉まった。
 火月は物語に縛られた異界の東京の街から喫茶【響】に帰ってきた。
 あれが現実だったのか、それともほんの一瞬という時に見た幻であったのか…
 ―――火月はそれを判断しかねた。
 しかし、彼の手の中には白亜やカウナーツ、それに冥府、小雪に秋人と確かに出会ったのだという証拠があった。それは…
「【雪娘の涙】か」
 火月の手の平の上には小さなガラスの瓶があって、そしてその瓶の中身は一滴の【雪娘の涙】だった。
 白亜自身も戸惑っていたのだが、それを火月に渡すのも彼女の役目らしい。だが一体これは?
 火月は顔を横に振った。そして厨房のコンロの火をつけたままだった事を思い出して慌てて厨房に入るも、ポットのお湯は沸騰すらしていない。
「・・・」
 ―――ただ火月は唖然とするばかりだ。
 そして、
 からーん。
 扉の鐘が音色を奏でた。
「ただいまー」
 姉の声。
 火月は厨房からホールに出て姉を出迎える。そして彼は彼女にお帰りと言い、彼女が両手に持つ買い物袋を受け取った。
「なあに、火月? 人の顔をじっと見て」

 ねえ、だけどどうして魔法の鍵がキスなの?

 それはこの姉が涙に濡れた自分の頬を優しく拭いてくれて、そしてその頬に優しくキスしてくれたから。

『もうひとりで泣かなくってもいいからね。これは火月が幸せになれるようにっていうおまじない』
 そのキスで自分は生まれ変われた・・・


「ん、いや、別に」
 火月はにこりと笑う。
 そしてまた扉の鐘は音色を奏でた。
「「いらっしゃいませー」」
 火月は荷物をカウンターに置くと、グラスとお絞りを持って、その客の所に行った。
 その客は銀色の髪と青い色の瞳を持つ人だった。
 その人はやさしく微笑んで、注文を取りに来た火月に右手を差し出した。その手の平の上には小さな花のつぼみがあった。その花の名前は火月にはわからなかった。
 花の名前を訊くとその人は静かに優しく微笑んだ。
「これは虚構の世界に咲く【硝子の華】。もしも火月さん。あなたがこの【硝子の華のつぼみ】を咲かせる事ができたのなら、そうしたらこの【硝子の華】の香りがあの物語に縛られた異世界の東京の街に住む人々を夢から覚まさせるのです。さあ、どうぞ」
 ―――火月は自然にそれを受け取っていた。
 手の平の上に置かれた【硝子の華のつぼみ】から視線をあげるとしかしもうそこにはその人はいなかった。
「・・・」
 火月は疑問符の海に溺れている。
 そして彼は自分でもよくわからないのだが、白亜からももらった【雪娘の涙】を【硝子の華のつぼみ】に無意識にかけていた。するとその【硝子の華のつぼみ】はほんの一瞬だけ頑なに閉じたつぼみを震わせた。

 火月はただしばらくの間、その【硝子の華のつぼみ】を見つめていた。



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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】


1600 / 天樹・火月 / 男性 / 15歳 / 高校生&喫茶店店員(祓い屋)


 NPC / 綾瀬・まあや

 NPC / 白・―

 NPC / 白亜・―



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■         ライター通信          ■
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こんにちは、天樹・火月さま。はじめまして。
このたび担当させていただいたライターの草摩一護です。


ご依頼ありがとうございました。
今回はおまかせでやらせていただけるとの事でしたので、めいっぱいに僕好みの感じにしてしまったのですがいかがでしたか?
喫茶【響】で働く火月さん。ちょうど前に僕が喫茶店でバイトしている時はあんな感じでホールと厨房をやっていたのですよ。^^
良きクリエーターを目指すなら取りあえずは何でもやっておけ、という言葉を聞いた事がありますが、まさかあのバイトの経験がここで生かせるとは。(笑い

そして素敵な物語もありがとうございました。
プレイングを拝見した時には本当に嬉しかったですね。
素敵で綺麗な物語、そしてそのための条件、失敗してしまった時の・・・。
とてもライター冥利に尽きるプレイングで、それをどう魅せれば良いかを考えるのがとても楽しかったです。

そして火月さんの裏設定。
今回、色々とこちら側であんな風にそれを描写させていただいたのですが、どうだったでしょうか?
PLさまのイメージしている火月さんとその兄姉さまとの感じに近ければいいのですが。^^
とても優しく大切で温かな感じがプレイングや喫茶【響】で感じられたので、それを頭に入れて書かせていただきました。

この物語、気に入っていただけてましたら作者冥利に尽きます。ありがとうございますね。^^

そしてこの異界の目的は取りあえずは今回、白さんに渡された【硝子の華のつぼみ】を咲かせる事だったりします。
もしもよろしければ咲かせてやってください。


それでは今日はこの辺で失礼させていただきますね。
本当にご依頼ありがとうございました。
またよろしければ書かせてやってください。
失礼します。