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<東京怪談・PCゲームノベル>


花見に行きましょう 2004

【前日】
お誘い:電話から・天薙家
 決まってしまえば善は急げ、早速恵美は電話を掛ける。
 第一号は撫子姉妹の天薙家。
[お花見の季節ですね、喜んで♪]
「はい、また一緒にお弁当を作りましょう♪」
[済みませんが……義明君おられますか?]
「はい?彼なら、蓮の間で居候状態ですけど?」
[少し変わって頂けませんか?]
 すこしおどおどしている感じの撫子の声。恵美は心の中で何か分かった。
「少々お待ち下さい」
 恵美は電話を置いて義明を呼びに行く。
「ハイ変わりました。お花見するそうですね?」
[あ、義明君?あ、あの好きな食べ物は何ですか?]
「好きな食べ物〜ん〜」
 天然剣客は必死に考える。心の中ではガッツポーズを取っている人。
「撫子さんの得意料理なら何でもOKですよ♪強いて言うなら……」
[は、はい]
「卵焼きかな」
[わかりました!]
 何か撫子の声が喜んでいる。よっしーも其れは気が付いていた。
 
 そのあと、嬉璃はその間に、亜真知と会話して。
[じゃ〜又遊ぼうね]
「おう、しかしあの神がおるがどうするのぢゃ?」
[お菓子など作って一緒に]
「うむ、わかった」

場所取り
 後に奉丈遮那も参加するという仕事先からの電話も入り、まずは見晴らしの良いところを取るべく調査隊と、目印を置くことに。
 裕介の方には、何かモガモガ動く物体があった。ゆゆと嬉璃と一緒に歩いていく。
「木の根は弱いから気を付けてね」
 とゆゆが促す。
「わかりますか?ゆゆさん」
「皆元気だよ♪特に元気なのはあの大きな『人』かな?」
 裕介の質問にゆゆは、見頃の大きな桜を指さした。
「一緒にたのしみたいみたいだよ♪」
「なら決まりぢゃな」
「ええ」
 裕介は、モガモガ動く物体を木に吊し、三人は去っていった。
「みなさんひどいですぅ〜」
 謎の物体から顔を出したのは三下忠。若返っても相変わらず扱いはぞんざいである。
 ……此は避けられぬ宿命と言うものだろう。
 ――まぁ楽しくやりましょう
 そんな桜の声が聞こえた気がする三下だった。
「楽しく……ですか……?」
 はぁと蓑虫状態の三下はため息をついた。


【午前9時】
 一番乗りは天薙姉妹だった。2人とも春を意識した桜の模様の着物である。
既に亜真知は和菓子の『桜餅』と『おはぎ』、洋菓子の『ドライフルーツのタルト』、『シフォンケーキ』を持ってきている。撫子は恵美と一緒に台所で一緒にお弁当を作る約束をしていた。2人揃って管理人室にて楽しくお料理している。
 一方、千春とりすは、自分の台所で一緒に花見弁当を作っている。これだけいれば何とかなるだろうと男性陣は、お酒やジュースを現場まで持って行く事にした。現場には吊られている三下にゆゆが待っていた。
 亜真知は嬉璃と一緒に饅頭うさぎと戯れている。


【午前10時】
 2番目には相澤蓮が、箱いっぱいのお菓子とつまみ、ジュースと酒を積んだ車で登場する。車の方は後々取りに帰る方向にしているようだ。もし飲酒運転で捕まったら、又会社を首になりかねない(とある事件の冤罪で首になっている事は本人自体忘れているが本能で其れは避けているのだ)。匂いを嗅ぎ付けたのか、蓮の間の猫達がじーっと蓮を見ている。その数5匹かそれ以上
「欲しいのか?」
 蓮が訊く
「にゃ〜」
 ステレオ否、サラウンドで答える猫。
「待ってろよ」
 と彼は、猫が食べるだろうと思われるつまみを上げた。猫は喜んで持って帰る。
「ありがとうの一言無しかよ!」
「にゃー」
「後に言われてもなぁ」
 ――ああ、猫ってそんな奴らばっかだなと頭をかく蓮だった。

 丁度4人のお弁当が出来たらしい。その合図が管理人室と千春の部屋で聞こえた。

【午前11時】
 男性陣が一通り揃ったところで、重い荷物などを桜並木公園まで運んでいる。お祭りになれている住民が多いし、かつ去年も花見をしているので楽なのだ。
 茣蓙をひいて、重しを地面に刺した。と言うか、どう見ても投げナイフそのものに見える。蓮の間から天然剣客が適当な物を見つけてきたのだろう。
「準備の最中ですか?」
 と、のんびりとした神父服の男と、少し春らしい洋服に身を包んだ美人がやってきた。
「先生、麗花さん」
 裕介が駆け寄る。
「本日は楽しみましょう。ね、麗花さん」
「は、はい……」
 どうも麗花の調子がおかしいようだが。このさい気にしない。
 わいわい和やかなムードの中、荷物を運び、蓑虫三下をおろして、真ん中に4人が作ったお弁当。そして、既に席が決まっているような感じに皆が座った。時計回りで、恵美、遮那、嬉璃、裕介と麗花に似非猊下、らせん、りす、蓮、撫子、義明、茜、亜真知にエルハンドだった(あれ?三下は?)。
 只遮那だけは本当に眠たそうである。
 らせんの膝にはかわうそ?が座っている。其れを羨ましそうに見ているりす。
 周りには、猫たちと草間興信所の赤猫・焔、饅頭うさぎが楽しく遊んでいる。
 蓮としては、このメンバーはかなり最高だなと思っていたりする。ただ、一部妙な雰囲気があるのは否めなかった。それは、眼鏡の和服美人と常備ハリセンを持っている女子高生が何か真ん中の高校生を挟み、火花を散らしているのだ。おそらく三角関係なのだろうか?と思ってみたりする。
 ――花見の最中にどう発展するか見物だろう。

 お酒やジュースが注がれ、裕介が簡単に話しをしてから、
「乾杯」
 と、音頭をとって花見が始まった。

【正午】
 女性陣が男性陣にお酌しており、裕介がダウン気味の遮那に変わって、色々手伝いをしている。ゆゆは、飲み物を貰ってから八分咲きで綺麗な桜並木を眺めて歩いている。


【午後B1】神親子のマッタリな午後
 実際は親子ではない。しかしある時を境に親子と言うことになった、亜真知サマとエルハンド。
 亜真知はエルハンドが好きな地酒を持ってお酌している
「ありがとう」
「父様いつもお疲れ様です」
 悪戯っ気もなく、にこやかに仲むつまじい一時である。
「父様、今年はどうされるのですか?」
「今のところ大きな仕事もない。また天空剣道場の仕事がメインだろうな」
「たまに見学しても良いでしょうか?」
「構わない」
 エルハンドは、亜真知の頭を撫でる。
 何故か2人とも其れが幸せに感じた。
 何千年も生きている者にとって、色々欠落する事がある。しかし、人と関わっていくとその事を思い出していく。多元宇宙の内1つの世界で生まれた神エルハンドと、超科学の粋で生まれた亜真知。ルーツは異なるが、2人の関係はとても良くなりつつある。亜真知は策士だが、心は子供と言っても良い。甘えられる対等の存在が欲しかったのだろうか。
 ――そんなことは些細なことだな。
 エルハンドは今の一時を大事にするため考えることをやめた。もし、亜真知が肩車をして欲しいなど言うならば断らずするだろう。
 亜真知は、初めてなのかエルハンドが落ち着いた表情をしているのに満足していた。

【お開き】
 皆で一緒に片付けて、後はあやかし荘で二次会をするという方向になった。しっかりゴミは分別し、綺麗にしている。
 蓮は何とか戻って来られたので、又二次会に参加するそうだ。
 裕介は、ピクリとも動かない似非猊下を担いで、麗花と共に帰るという。
「お疲れ様でした〜」
 と、皆があやかし荘で挨拶してから、各自の行動に移ったのだった。

【閉幕1】新たな三角関係?罪多き男・織田義明
 蓮の間。
 何か異様な気迫で、猫も寄りつかない。義明はこの雰囲気をどう回避するか悩んでいた。
「撫子さん、近頃おかしいですよ?何故よしちゃんに……」
「ええっとそれは……わたくし、義明君のこと……気になるんです」
「!!」
 茜は驚いた。効果音は落雷。
「そ、そんな!……あの時のこと本気に?」
 茜は顔面蒼白からたちまち嫉妬の焔を燃え上がらせる。
「まぁ、2人とも……落ち着いて……」
 宥めようとする義明だが、
「黙ってて!」
「はい……」
 気迫に負けたよっしー。
「何か楽しそうぢゃ」
「こう言うのも悪かねぇな」
|Д゚)ノ
「楽しみですね」
 と、覗き見している、嬉璃と蓮とナマモノと亜真知サマ。
 さて、此で正式に(?)四角関係になってしまったようだ。
 よっしーの運命は如何に?

 皆があやかし荘で色々やっている時、ゆゆは桜並木公園にいた。
 彼女は、桜たちに、
「又来年ね♪」
 と、言って自分の本体に戻っていった。

 ――来年もまたね。
 桜たちも彼女に答えて、また花を咲かし、散らせ、眠りにつく。

End

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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【0170 大曽根・千春 17 女 高校生】
【0328 天薙・撫子 18 女 大学生】
【0428 鈴代・ゆゆ 10 女 鈴蘭の精】
【0506 奉丈・遮那 17 男 高校生・占い師】
【1098 田中・祐介 18 男 高校生兼何でも屋】
【1593 榊船・亜真知 999 女 超高位次元知的生命体・・・神さま!?】
【1992 弓槻・蒲公英 7 女 小学生】
【2066 銀野・らせん 16 女 高校生(/ドリルガール)】
【2295 相澤・蓮 29 男 しがないサラリーマン】
【2821 縞・りす 15 女 高校生(神の使徒)】

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■         ライター通信          ■
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滝照です
『花見に行きましょう』に参加して頂きありがとうございます。
予定では、1ヶ月後になるはずだったのですが、筆のすすみが一瞬早くなったため、こうして、お花見シーズンにお届けできたことにホッとしております。
色々な方の花見風景が有りますので、是非そちらもご覧下さい。

弓槻蒲公英さま、相澤蓮さま初参加ありがとうございます。

又の機会が有ればお会いしましょう。

滝照直樹拝