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<東京怪談ウェブゲーム ゴーストネットOFF>


お嫁さん修行は楽じゃない??


●オープニング
狐族の幽霊の銀狐。
彼の名は「狐族の銀(きつねぞくのぎん)」。
彼ら狐族は、悪霊退治・依頼をする存在である。
なん度かゴーストネットで出会い、実際に会っている者たちもいる。
『おいなりさん』には相変わらず目がない。


「うーーーん・・・」
皴一つない刷りたての依頼書に目を通している銀は困惑した様子で頭を抱える。
銀が目を通していたのは以下の内容の依頼書である。



『題目:主婦業について。』

「来月結婚を控えている、谷坂・杏子(たにざき・あんず)といいます。
実は主婦業における家事全般が苦手なんです。
やる気はとてもあるんですけど・・・


【掃除】をすれば障子を破るし、壁に掃除機があたり凹んだり・・・。
雑巾がけをすれば、びちょびちょで逆効果。
叩きで綺麗にしようとすれば埃が飛び散るだけ。

【料理】をすれば卵は焦がしちゃうし、上手に巻けないし、
家庭的な肉じゃがを作ろうと思えば焦げて真っ黒で・・。

【洗濯】をすれば洗濯物は皴が寄っているし、干すのも下手で・・
よく将来のお姑さんに怒られます。
怒られるのが苦痛なわけじゃありません。
私の事をそれだけ思ってくれている証拠なのだと感謝しているくらいです。


ただ、問題なのは義母(おかあ)様は1年前に亡くなられて。
霊感がほとんどない私ですが、義母様の霊だけは見えるんです。
私の事を心配して成仏できない様です。
だから、お払いをするわけにもいかず、私が立派に家事をこなせば義母様も安らかに眠りにつけると思い相談します」



銀自身、家事全般はあまり得意ではない為、一人では解決できないと思い頭を抱えている。
「そうだ!教えてくれる人を探せばいいんだよね。お姑さんが安心して成仏できる様に協力しないとね」



●ファーストコンタクト。
「・・・何方でございますか??」
一見、普通の一軒家に見える家の玄関を潜ると着物を着た御婆さんが厳しい顔で言葉を発する。
「愛華達、杏子さんのお手伝いに来たんだ」
人形のような可愛らしい顔立ちをした桜木・愛華(さくらぎ・あいか)が圧倒されることなく明るい声と優しい笑顔で御婆さんに声をかける。
「「杏子さんのお知り合い?」」
眉毛を少し動かし、お凸に皴を寄せながら答えを返す。
突然、廊下を走る音が聞こえたかと思うと若い女性が息を切らしながら玄関へとやって来た。
「義母様!!私のお客様です。・・・申し訳ございません」
どうやら女性の姑らしい。深々と姑にお辞儀をすると、此方の方へと体の向きを変え、再び深々とお辞儀をする。
慌てて玄関に走ってきたようで少しばかり汗をかいている。
その女性は実年齢よりも若々しい姿を見せる。
どちらかというと幼い印象が強く残る。
「貴方が杏子さんね。そんなに慌てなくて大丈夫よ」
硝月・倉菜(しょうつき・くらな)が杏子を落ち着かせながらハンカチを差し出す。
「「杏子さん、お客様なら早くお通ししなさい。玄関に立たせておくなんて無礼ですよ」」
厳しく言葉を発するものの、姑は客を拒否する事無く、おしとやかな物腰で早々と自室へと戻る。
姑の姿を見る事が出来る杏子だが言葉の会話までは出来なく、許可が下りた事を周りから教えてもらい初めて知った。
会話が出来ない事が今まで成仏の道へと解決しなかった原因の一つであろう。


案内されたリビングでお茶をご馳走になり少しばかり遠出からの休息を楽しむ。
本題の話を切り出したのは秋月・霞波(あきづき・かなみ)だった。
「えっと・・それでは早速お掃除から初めますか?」
「はいっ!!」
霞波の発言に気合をいれ、杏子は力みながら返事を返す。
それと同時に自然と力みのようなものが生まれる。
「でも・・上手に出来るかしら・・。すぐ、ドジを踏んでしまうし・・」
今朝は掃除の練習をしていたらしく、杏子の目線の先を追うと、綺麗に貼られた障子の一部分が折れて穴が開いている。
「なんだが、お話聞いて人事ではないような気がひしひしと・・・」
苦笑しながら海原・みなも(うなばら・みなも)は障子から杏子の方へ目線を戻す。
「私くらいですよね・・こんなドジを踏むのは・・」
「そんな事ないですよ。うちもそうですし・・。お母さん、そういうのに縁のない人だから・・」
母親との出来事が走馬灯の様に頭に流れてきたのか、少しばかり涙目で話をする。
「それに杏子さんが言ってる家事って、うちのお母さんをスケールダウンしたまんまだし。あたしでよろしければお手伝いしたいです」
苦笑しながらみなもは返事を返す。“教える”という言葉はみなもにとって、奥がましいと感じ“お手伝い”という言葉を自然と選んでいた。
「よろしくお願いします!!」



●上手に掃除をする為に。

―――回想―――

「久しぶり銀くん。えっと・・今回は家事?」
「倉菜お姉さん、お久しぶりだね♪」
いつもの万遍の笑みを倉菜に返しながら答える。
「いわゆる花嫁修業ってやつ?ってゆうか微妙な嫁姑問題?」
「そうね、確かにある意味、嫁姑問題を含んでいるかも知れませんね・・」
愛華と霞波はお互いに苦笑いしながら話を進めていく。
「けど、あたし達がお手伝いして、少しでも役に立てれば自然とこの問題は解決しますよね」
みなもの言う通り、恐らく杏子の事が心配で成仏できない為、緩和すれば杏子の姑を無理に成仏したりすることなく、自然と成仏出来るはずなのである。

「私は2年前に日本に来て祖父と二人暮らしで家事をやっているけど、日本に来る以前から家にいる事が多かったから母の手伝いをよくしていたの・・」
受け取った依頼書を片手に話す倉菜。
母の手伝いをしていた倉菜には家事全般は決して不得意ではなかった。
「だからある程度は慣れているけど・・。それでもこちらに来て慣れるまでは大変だったわ」
「杏子さん、簡単には身につかないのかな・・」
しょんぼりと耳を萎らせ、先ほどの表情とは一変して心配そうな顔をし、浮き沈みを見せる銀に銀の頭を軽く撫で話を続ける。
「それはね、幸いにも近所に助けてくれる叔母がいるし祖父も助けてくれたのよ。杏子さんも慣れるまでは大変だろうけど要は慣れだと思うの」
「その通りよ、銀君。突然、出来るようになるのは難しい事よ。けど、少しずつこなせるようになるかもしれないわ・・」
「そうだよね!お姉さん達のように優しい人達が助けて・・・お手伝いしてくれたら、きっと杏子さんも簡単には行かないだろうけど、少しずつ家事が上手になるよね!!」
人の優しさや温もりが大好きな銀にとって、倉菜や霞波の言葉は依頼を受けた上で大きな自信となった。つまりは短時間で依頼をこなせるかどうかが実の所、不安な部分があった。
そんな事を思っていた銀と倉菜は目が合うと倉菜は優しい顔を見せる。


「まずはその家に行きましょう銀くん。」


―――現在―――
「さて、掃除はあたしが教えるわね・・」
「みなもさん、よろしくお願いします」
腕まくりをしてやる気満々に2つ掃除機を持ち、みなもの元へと嬉しそうに駆け寄って来る。
黙っていても幼い顔つきの杏子が笑顔を見せると更に幼い雰囲気をかもし出す。
「え義母っと・・スイッチはここですね。掃除は上から下が基本。後は・・四角とかを片づけをしてからの基本的なことくらいでしょうか・・」
「はいっ、分かりました」
早速、掃除機のスイッチを入れ、みなもが先にお手本を見せるように掃除機をかけだす。
杏子もみなもの真似をする様に近くで掃除機をかけ始めた。
最初のうちは普通に掃除機をかけていたのだが、掃除機ののずるを付け替え、細かい埃を取ろうとしゃがんだ瞬間・・・
『「びりっ!!」』

嫌な音がする。
みなもが後ろに目線をやると障子が破れてしまっている。

「「「あっ!!!!!!!」」」

ついつい、お互いに大声をあげてしまった。
真剣になりすぎ、杏子は後ろに注意がいっていなかったようだ。
「ど・・どうしましょう・・」
「心配しなくても大丈夫ですよ」
「やっぱり・・才能ないのかしら・・」
落ち込む姿を見て、みなもは杏子が真剣に家事について悩んでいる事を改めて実感する。
「掃除機は機械物だからコツとかはないと思います。だけど、もしもコツがあるとするなら、それは慣れる事だと思います」
「慣れ・・ですか?」
「はいっ。才能とかではなく努力ですよ・・」
優しく微笑みながらみなもは立ち上がると、杏子の使っていた掃除機を手渡し再び掃除を開始する。


「こんな所ですね。さっ・・次は雑巾がけもしなくてはいけませんしね!」
「雑巾とってきますね」
杏子はいつもよりも掃除機を上手にかける事が出来、嬉しそうな表情で部屋から廊下へと出て洗面台へと向かう。
洗面所から声が聞こえ、ゆっくりと覗き込むと倉菜と銀の姿が見えた。
「倉菜さん?」
「あら、杏子さん。今、洗濯機をかけ終えたところよ。今、移し変えしているのよ」
「私がしなければいけない事なのにすみません!!」
深々とお辞儀をして申し訳なさそうな仕草を見せる杏子に倉菜は少し驚きを見せるとすぐに微笑しなから言葉を返す。
「気にしなくていいわ。私達はお手伝いに来たの。このくらいはさせていただくわ・・」
「あ・・ありがとうございますっ」
「頑張ってね。さっ、銀君、頑張って干しましょう・・」
「うん。・・・杏子お姉さん、頑張って!!」
嬉しそうに籠を持ちあげ、倉菜の後に続いて洗面所を後にしようとした銀が杏子に笑顔を向ける。

「そうよね・・皆さんが応援してくれてるんだから頑張らなきゃっ!!」
改めて杏子は頑張る事を心に誓った。



●美味しい料理のコツ。
「愛華お料理を教えるよ!まぁ・・お菓子作りが一番得意だけど、肉じゃがと玉子焼きくらいなら上手に出来るしvv」
「じゃー、まずは肉じゃがから作りましょうね」
「はいっ。あれ・・?なんだか配置が変わった気がします・・」
霞波はエプロンを杏子に手渡す。
みなもが別の作業をしている内に愛華と霞波で予め材料を並べていた。また、慣れる前に杏子が家事をしやすい環境に整える事が大事だと思った倉菜の提案で、3人は調理しやすい場所に調味料を動かしたりなどして、使いやすい環境を作っていた。
「今まで他の人が使っていた台所や間取りで杏子さんが戸惑うのは当り前よ。だから、一通り調理をして貰って、この際、杏子さんがやりにくい所を一つ一つ使いやすいように変えていったらどうかしらと思って。使いながら変えていきましょうね」
倉菜の機転を利かした行為のお陰で使い勝手のよい、台所へと変化を遂げていた。


「肉じゃがは甘めとしょっぱめ、どちらがいいですか?」
霞波はリクエストを聞いて作ろうと調味料は予め必要な量を皿に移していなかった。
「えっと・・・」
どちらにしようか迷っている杏子に倉菜が助言する。
「霞波さんの言うとおり、玉子焼きと肉じゃがは各々個人の家の味ってあると思うわ。杏子さんが良ければだけれども、お姑さんに聞いてみるのはどうかしら?」
「ええ、そうですね」
洗濯物が少しばかり残っているので倉菜は一旦、台所を後にする。
良いアイディアに早速、自室にいる姑の元へと向かうとした瞬間、偶然通りかかったらしい姑が台所へと入ってきた。
「お姑さん♪♪」
「「なんですか!」」
愛華が元気よく声をかけると姑は突っ込みで返すかのように瞬間的に返事を返すと愛華は圧倒されることなく相変わらず明るい表情を見せる。
「お姑さんは肉じゃがを作る際には甘めに作る方ですか?それともしょっぱめに作る方ですか?」
「「肉じゃが?我が家では昔から代々甘めに柔らかく作るように仕込まれて来ました・・」」
愛華に代わって霞波が会話を続ける。
変わらない顔つきで淡々と話す姑の感情が今一、読み取れない。
「ありがとうございます。早速、作ろうね、杏子さん。代々って事は旦那さん好みの味付けってことだよね!」
愛華は折角なので、旦那さん好みの味付けを覚えるのがいいと思っていた。
甘めに作る事が決まった所で早速、作業へと入る。
「あたしが使っている本で宜しければこの『料理本』を使ってください」
みなもが用意してくれた料理本を参考にしながら作業をしていく事にしよう。
料理が苦手な杏子の為に一般的な材料を使う事に決めていた為、丁度良い。
まずは材料を切る。
じゃが芋、人参、玉ねぎ、牛肉。
材料を切るのは意外と上手ならしくスムーズに作業は進んでいく。
霞波は杏子といろいろなお話をしながら手を動す事で、杏子の焦りを取り除いていった。少しずつこではあるが杏子にも余裕が出てくる。
「えっと・・鍋にサラダ油を中火で熟し、じゃが芋と玉ねぎを炒めたら、だし汁を加える。杏子さん出来そう??」
「はいっ。火を中火で・・サラダ油を入れて・・・」
愛華が支持した通りに火を中火に合わせ、油をひいた後に皆で切ったじゃが芋と玉ねぎ、牛肉を順番に入れ、菜箸で軽くかき混ぜる。
「順調だね!後はだしを入れないとね」
愛華が入れ時を確かめ、必要な調味料を取り出し、机の上に並べる。
「砂糖大さじ1、みりん大さじ3、酒大さじ1、しょうゆ大さじ・・きゃっ!!!」
順調かと思われた瞬間、醤油を溢したことで、予定よりも多めに入ってしまった。
「どうしましょうっ!!私ったら・・!!!!」
「大丈夫だよ。入れすぎた時には砂糖とみりんを加えれば辛さも和らぐよ。肉じゃが焦げちゃうってのはやっぱり火加減かなぁ・・。だから火加減にも気をつけてね!」
明るい笑顔ながらも落ち着いた様子でパニックになっている杏子に砂糖とみりんを手渡す。
涙目になっている杏子だが、愛華は自分がするのではなく杏子に成し遂げてもらいと思った。愛華の明るい性格は杏子の緊張を和らげてくれる。

愛華のお陰もあって、落ち着きを取り戻した杏子は味付けをなんとか整える事が出来た。
「家事全般、きっと失敗せずにやろうと焦るから慌ててしまうんだと思うの。だから・・・こうして楽しくゆっくりとやりましょうね」
「はいっ。皆さんのお陰で学ぶ事が出来ました・・。焦らず作る事が大切なんですよね」
「そうですね、後は愛情を持って・・かな。愛する人のものだと考えると自然に丁寧になると思いますから・・・」
霞波やみなもに言われ、自分の欠点に気づく事が出来た杏子は一皮むけたような気分になっているようで、輝いている。


次は玉子焼きに挑戦する。
「結構卵料理って難しいんだよね。まずはちゃんとしっかり油を引くことと、火をあまり強くしすぎないこと、一度にたくさん卵を流しすぎないことかな?・・で、慌てず焦らず手早く巻いていくと・・・ってそれが難しいんだよね」
苦笑する愛華に杏子もつられて苦笑する。
「でも最初に言った注意事項守れば結構いい線いくと思うんだけど・・」
「はいっ、頑張ってみます」
真剣に愛華の話を聴いた後は注意事項を守りながら作っていく。


「いい匂いね・・」
洗濯物も一段落を終え、一足遅れて倉菜と銀は台所へとやって来た。
「お料理を作ってるんだね。ふわふわの卵作るんだよね」
「銀くんも一緒にお勉強する?」
嬉しそうに覗き込む銀に愛華は菜箸を差し出す。
「いいの??してみたいな〜」
「じゃー、先に手本を見せるね。銀君にはその後教えるね・・」
菜箸を受け取ると、上手に玉子焼きを巻く愛華の動きを見よう見まねで真似するがそう簡単には旨く行かないようだ。
少しはらはらしながら、銀の慣れない手つきを愛華はぐっと堪えて見つめる。
悪戦苦闘の末、なんとか、それらしい物にはなったらしく満足そうな顔をみせる。
「銀君、上手に出来てるよ!」
初めての玉子焼き作りをした銀に愛華は拍手を送る。

「〜♪これでよしっ・・」
「楽しそうね。霞波さん。なんだか砂糖の量が少し大目ね・・」
「あっ、倉菜さん。銀君用のふんわりあまーい玉子焼きを作ってるの。銀君、甘党だから・・」
砂糖をいれると卵焼きが焦げやすいので、注意しながら上手に巻いていく。
倉菜も自分の玉子焼きを作ったところで隣の杏子の方を覗き込む。
みなもの指示を受けながらなんとか終えた所であった。
「上手に出来てるわね・・」
「ありがとうございます・・」
杏子の方も完成したらしく倉菜が声がかけると今までで一番のよい出来の玉子焼きに満足そうな表情を見せる。
「・・焦らないでゆっくりやって行く事、笑顔でいられる事・・・心の余裕がとても大事だと思うわ。だから今の杏子さんなら美味しく出来てると思うわ」
「そうだと嬉しいです・・」
嬉しそうに微笑む顔は今朝見た時とは違っていた。



●綺麗な花を咲かせる為に。
食事をする前に休憩を取り、全員が縁側に集まる。
「まぁ・・綺麗なお花が咲いているわね」
「本当だ〜。春はお花の季節だよね・・」
縁側に座り、お茶を飲みながら綺麗な花々に倉菜と愛華は癒される。
庭園の花の世話もオマケでしようと思い、霞波は如雨露を持って花壇へと向かう。
花屋である霞波の心遣いでもある。
「お花はね、銀君や谷坂さんが大好きって思ってくれればくれるほど綺麗な花をさかせてくれるのよ」
隣で綺麗に咲き始めている花やこれから先ごろの花達を見つめながら銀に微笑む。
「ボクもお花にお水をあげたいな」
「うん、いいわよ。この如雨露、必要分しか水がはいらないようにしてあるから、杏子さんや銀君でもあげ過ぎる事がないからきっと大丈夫v」
水の入った如雨露を両手で持ち、低めの花達に水を遣る。
天気がよく、太陽が照っている為、水で濡れた花達が輝いて見える。
「あっ・・そうだ。これだけのお水があれば・・」
霞波は水が多い所へしゃがみ込んで、なにやら作業をしたかと思うと、霞波の周りを何かが包み込む。

「「・・杏子さん・・」」

「へぇ?義母さんと同じ口調・・」
驚いた様子で目の前に現れた妖精の声に唖然とした様子で杏子は対応する。
声の主は姑からの伝言を伝える。
妖精なら姑も本音を語れるだろう。
「杏子さん、成仏してしまう前に確りとお話を聴かないといけないですよ」
放心状態の杏子の肩を叩き、みなもは確りと、姑の方へと杏子の体を向ける。
「「杏子さん、貴方なら大丈夫よ。少しばかりドジな所はあるけれど、今の貴方なら大丈夫。心配する事もないようね。・・・だから・・もう、私も眠りにつきます・・・」」
言葉は突然途切れ、霞波の呼びだした水の妖精は役目を果たし、元の形へと戻る。
ただ、怒ってなどいない事が分かり、杏子の心が一気に軽くなった気がした。
姑の姿が見えなくなり、少しばかり寂しくなったが平穏で穏やかな日々が終わりを告げようとしていた。
「さぁー、皆さんはそろそろ肌寒くなってきました。中に入りましょう?」
杏子は嬉しそうな口調で家の中へと駆け込んで行った。



●番外編〜ご飯を食べよう〜
みなも編。
「肉じゃが、とても美味しく出来てますね」
話し声が飛び交う中でみなもは杏子に声をかける。
一緒に掃除した綺麗な部屋と新鮮な空気の中、肉じゃがを口にする。
「私もこんなに美味しい肉じゃが、初めて作る事が出来ました」
「愛情を込めて作った料理は美味しいですからね」
優しい顔つきでみなもは話をする。
「玉子焼きはどうですか?」
「ええ、とても美味しいです。自分でも吃驚しました!!」
「愛情を込める事は大切な事ですからね・・」
「それに、みなもさんのお陰で家も綺麗になりました」
周りを見渡すと、今日、障子を破ってから、一度もどじを踏んでいなかった。
みなもの指導力のお陰だろう。
まだまだ不安定な所もあるだろうが、みなもの言うとおり、機械に慣れるまで頑張ろうと決めていた。
「次、みなもさんにあう時には素敵なお部屋にしたいです。もちろん、壁が凹んでいたり、障子が破れていたりという事がないように・・」
杏子は苦笑しながらも、みなもに最高の笑顔を見せる。
「ええ、期待していますよ。次に会う時がとても楽しみです」
気持ちを込めてみなもは微笑みながら答えた。




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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】
0696/秋月・霞波(あきづき・かなみ)/女/21/自営業
1252/海原・みなも(うなばら・みなも)/女/13/中学生
2194/硝月・倉菜(しょうつき・くらな)/17/女/
女子高生兼楽器職人(神聖都学園生徒)
2155/桜木・愛華 (さくらぎ・あいか)/17/女/
高校生・ウェイトレス


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■         ライター通信          ■
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お疲れ様でした。
今回、執筆させていただきました、葵桜です。
最近は寒くなったり暖かくなったりと微妙な
気候ですが、お体にはお気をつけください。
最近、一人暮らしを始めた私ですが、初めて作った料理は
肉じゃがでした。
実はちゃんとした料理をした事がなかった為、かなり苦労しました。
皆さんは料理が得意ですか??


【霞波様へ】
いつもありがとうございます。
水の妖精は私のイメージの中でとても綺麗なイメージがあります。
もしも、見る事が出来たらきっと素敵だと思います。
ちなみに我が家では卵には塩を加えます。
一度、砂糖を入れて食べてみたいです。

【みなも様へ】
いつもお世話になっています。
最近、掃除に少しばかり手抜きがある私です。
みなもさんのプレイングを読んでいて、もう少し
心を込めて掃除をしたいと思いました(苦笑)

【倉菜様へ】
いつもありがとうございます。
私も杏子タイプで、料理の時に焦りながら作っている
タイプです。
倉菜さんの様に心の余裕を大切にして料理をしたいと
思います。
最近、とても手抜き料理も目立つので・・(小声)


【愛華様へ】
初めまして。
初参加ありがとうございました。
可愛らしいウェイトレスさんですね。
私は玉子焼きあまり、上手に巻けないので今度、
綺麗に巻けるように挑戦してみたいと思います。