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Friends〜フ・レ・ン・ズ〜
ふたりの少女が、中学校の屋上に座り向かい合っていた。
お昼休みの他愛ない話。お弁当を膝の上に置いて…午後の授業までの束の間の休息。
他にも何人かの生徒達が同じようにして学校生活における短い至福の時を過ごしていた。
「私たち、死んでも友達かなあ…」
「はあ？なに言ってんの？」
不意に呟いた少女、楓子（ふうこ）の言葉に、
訝しげに、そして茶化すようにして問い返した亜佐美（あさみ）。
「ん、私達おばあちゃんになっても友達なのかなーって思って」
「さあねえ？アンタが裏切らない限りはそうかもね？」
互いに笑いながらそんな会話を交わして。
楓子は天然の栗色の髪の毛を三つ編みにして両肩に垂らすという…
典型的な大人しい風貌と言うか、十人中十人が”成績優秀なお嬢様”だと言うであろう少女で、
それに反して亜佐美は髪を金髪にして無造作に整えたヘアスタイルの、
校則では禁止されている化粧も施した、まあ十人中十人が”不良”と言いそうな少女だった。
一見すれば、接点なんて無さそうに思える外見の二人なのであるが、
幼稚園の頃からずっと友達で、無二の親友と胸を張って言える…そう自負しているくらいだった。
「ねえ亜佐美ちゃん、もし何かあったとしても私、必ず助けるからね」
「なによ急に？なんもありゃしないわよ？それとも何かあるって言うの？」
何か悩みでもあるのだろうか、と心配そうに亜佐美は楓子の顔を覗き込む。
しかし楓子は曖昧な笑みを浮かべたままでそれ以上は何も言わなかった。
それは、学校が終わった帰り道。
学校の外にあるコンビニの前で、亜佐美は楓子が生徒会を終えるのを待っていた。
ガラの悪い連中と付き合いはあっても酒も煙草もやらない亜佐美は、
ただコンビニ前の駐車場にぼーっと座ったままで楓子が来るのを待っていた。
「お、来た来た…」
学校側の道路から、楓子が歩いてくるのが見える。
亜佐美はゆっくりと立ち上がると、鞄を肩にかけなおして…楓子へと手をあげた。
そして楓子も同じように亜佐美に顔を向けた。
それが、ふたりが互いの顔を見た最後だった。
※
草間興信所のブザーを鳴らし、やってきたのは一人の女性だった。
黒くて長い髪の毛を無造作に散らして…薄化粧をしていて、
武彦は一瞬、あの世の存在かとすら思えた。しかし、確かにその女性は人間だった。
「お願いします…妹を助けてください…」
「はあ…？」
「妹は呪われているんです…いえ、憑り依かれているといった方が正しいでしょうか…
お願いします…このままじゃああの子は殺されてしまうわっ…！！」
またしてもどうやら怪奇系の依頼のようだ、と武彦は少し溜め息をつく。
しかし相手の真剣な雰囲気に、顔をキリっと引き締めて。
「もう少し詳しくお聞かせください？妹さんに憑依しているというのは確かなんですか？」
「確かよ！あの一ヶ月前の事故以来ずっと！真っ暗な部屋に篭もったっきり！！
誰が声をかけても開けてくれないし！たまに顔を出したと思っても食事もろくに食べないし！
いつもいつも”ごめんね、ごめんね”ってうわ言のように呟くだけ…！
それに、誰もいないところに向かって何か話し掛けてるのよ！？どうにかしてよ！！」
一ヶ月前の事故と言えば…と、武彦は記憶の糸を辿って行く。
仕事柄、事件や事故関連のニュースは細かいものまで全て記憶するように心がけている。
そしてすぐに思い当たったのは、暴走したトラックが中学校前の道路を蛇行運転し、
歩道を歩いていた下校途中の生徒７名を巻き込み、３名が死亡するという事故だった。
もしそれならば、この女性の妹というのはその時巻き込まれて助かった生徒のうちの１人になる。
しかし武彦はその女性の様子を見ていると、妹を助けて欲しいというよりは…
ただ鬱陶しいのでどうにかしてくれと言っているようにすら思え…。
「落ち着いてください。わかりました。さらに詳しいお話もうかがわせて戴きます…
その前に、貴女のお名前と妹さんのお名前をお聞かせ願えますか？」
「ええ、私の名前は朝子（あさこ）…妹の名前は…」
※
「そんじゃあさ、”朝子”なのになんで”朝美”じゃなくて”亜佐美”になったんだ？」
「紛らわしいからと母が…」
「へっえ〜！俺はさ…」
「………余談は後にしないか…」
目的地へ向かう道すがら、依頼人の朝子にフレンドリーに話しかけ続けている久住・良平（くずみ・りょうへい）に、
少し呆れた顔をしながら氷川・笑也（ひかわ・しょうや）が低い声で呟く。
別々に武彦から頼まれたはずなのだが、偶然なのか必然なのか…よく知った顔の二人が一緒になった。
依頼についての詳しい話は、道中、朝子から聞くようにと武彦に言われて興信所を出たのだが、
良平はというと、先ほどからずっとどうでもいいような話ばかりで朝子と談笑していたのだ。
「あ、そっか、でもさ氷川先輩！仕事だけの話って言うのも味気ないって言うか」
「……お前の場合、仕事の話もしていないだろう…」
さらに呆れた顔で笑也が呟くと、良平は朝子と顔を見合わせてニッと笑みを浮かべ。
「ちゃーんと聞いたぜ♪その辺、ぬかりは無い！」
「…いつ？」
「なんだよー！人の話聞いてなかったのかよー！氷川先輩！」
「……わかったからまとわりつくな…」
相変わらず静かな口調で、背後から肩に手をかけてくる良平に言う笑也。
いつもの事なのではあるが…朝子が居る事もあり、笑也はとにかく手で良平を後方へと押しやり。
「…もう一度、聞かせて下さいますか…？」
二人のやり取りを楽しげに見つめていた朝子へと問いを投げかけた。
興信所で顔を合わせた時はずいぶんとやつれていて、精神的にかなり参っている様子の依頼人だったのだが、
いつの間にか表情にも笑みが浮かび、精神的にも安定しているように思えた。
ここまで、良平と二人で他愛の無い話をしていた結果なのだろう。
おそらく本人はそんなつもりはまったく無いのだろうが、笑也には良平のそんな才能が羨ましく思えた。
笑也に言われた朝子は、歩数を早めてて彼の隣に並び話を始める。
それは、一ヶ月ほど前から始まった話だった。
一ヶ月ほど前の事。亜佐美は親友である”楓子”と一緒に帰宅する約束をしていた。
いつも待ち合わせは学校の前の通りにあるコンビニエンスストア。
そこで楓子が来るのを待っていた亜佐美だったが、道の向こう側で楓子の姿を見つけて立ち上がり、
楓子に手を振ったその瞬間だった。悲劇が起こったのは。
決して、楓子が車道に飛び出したわけではない。ただ歩道に立っていただけなのだ。
それなのに…居眠り運転をしていたトラックが暴走し、普通に歩道を歩いていただけの生徒を薙ぎ倒したのだ。
―――そう、亜佐美の目の前で…楓子の身体はトラックに大きく跳ね飛ばされたのだ。
何が起こったのか理解できない亜佐美の目に、楓子を撥ね、壁に激突して跳ね返ったトラックが映る。
そして今度は…亜佐美の身体を撥ね、トラックはコンビニへと突っ込んで行った。
「幸い、亜佐美は打ち身と捻挫だけの軽症で済みました…咄嗟に避けたのかもしれません…
けれど楓子ちゃんの方は…残念ながら、即死だったんです…」
「じゃあ目の前で友達が死ぬとこ見たんだな…」
朝子と良平のやり取りに、笑也は僅かに眉を動かしただけで黙ったままで耳を傾ける。
「それからなんです、亜佐美がおかしくなったのは。楓子ちゃんの葬儀に出席して帰宅してから…
あの子、突然部屋に閉じこもるようになっちゃって…それだけじゃないんです…
ご飯も食べないから…無理にでもって父が部屋に入ってみたら…誰も居ない、何もない空間を見て笑ってるんです…
それからも、ずっと部屋に篭って…でも時々、思い出したように部屋から出てくる時があるんですよ…
だけど何を話しかけても聞いていないし、病院に連れて行こうとしたらすごく抵抗するし…」
最初に出会った時のような疲れた表情で朝子は深く息を吐いた。
「もうどうしたらいいのかわからなくて…草間興信所さんはそういう事件に詳しいって聞いたのでお願いしたんです」
「なるほど…大丈夫！俺達が絶対になんとかするからさ！な！氷川先輩！」
「……簡単にものを言わないようにして欲しいな…」
決して、前向きな考えの良平を否定するわけではない。
ただ、笑也は知っているのだ。
目の前で、大切な者の最期を見てしまった者の、その後の人生を。何かが壊れてしまうという事を。
だからこそ、なんとかしたいとも思う。しかし…自分でもどうすればいいのかは、正直わからないのだが…。
「ちぇっ！大丈夫だって！氷川先輩は心配性だからなあ…あ、朝子さん！心配しなくても大丈夫だからな♪」
「え？ええ…宜しくお願いします」
少し元気の無い笑みで言う朝子に、良平はニッと満面の笑みを浮かべてブイサインをして見せた。
徒歩で三人が向かった先は、都内の某マンションの七階だった。
高級マンションとまでは行かないものの、それなりの価格のするマンションで、設備も整っている。
朝子の案内で家に入った二人は、まずリビングへと通された。
両親は二人とも仕事で不在と言う事で、今この家には朝子と笑也、良平の三人と…亜佐美だけしかいない。
「とりあえず会ってみないことには話しになんねぇよな！亜佐美ちゃんの部屋はどこだ？」
「あ、こちらです…」
朝子はリビングに自分の荷物を置くと、木製のドアを開いて小さな廊下に出る。
そして廊下の奥にある部屋の前に二人を案内して、コンコン、と二回ドアをノックした。
しかし、返事は無い。
「返事はいつもありません、一応叩いてるだけですから…でも鍵は開いていますから」
「………わかりました」
朝子に言われて笑也がノブに手を伸ばそうと視線をそこへ向けると、
どうやら鍵が出来ないようにと細工したらしい跡が残っていた。ドアも完全には閉じないようになっている。
おそらくは父親あたりが、閉じこもったままの部屋で最悪の事態が起こるのを危惧したのであろう。
笑也はノブをゆっくりと回し、静かに亜佐美の部屋へと入った。
そのあとに、良平が続いて…最期に朝子が入る。
室内は昼間だというのに異常なほどに暗く、そしてなんともいえない空気が支配していた。
ドアの外の光に照らされて見える室内の様子はと言うと、
女子中学生の部屋の割にはシンプルであまり家具や雑貨を置いている様子も無く…壁にも一切の飾りは無かった。
ただ、勉強用らしき机の上には、鏡や化粧品、アクセサリーが所狭しと並べられていた。
その部屋の、ドアから右手側に…亜佐美はいた。
床の上にだらんと足を伸ばして座ったままで、天井に近い場所を見上げて微笑んでいる。
光の宿っていない目はあまりにも虚ろで、顔色も悪く病的な笑みだった。
「よっ！亜佐美ちゃんだよな！俺は久住・良平って言うんだ！宜しく！」
少し警戒する笑也に反して、良平はいたって普通の態度で亜佐美に声をかける。
床に座り込んでいる亜佐美の正面に回ると、そこに腰を下ろして良平はニッと笑いかけ。
「なあなあ、何が見えてるんだ？」
話しかけてみるものの、亜佐美はまったく相手にしない。いや、そもそも見えていないようだった。
笑也は…そんな亜佐美の視線の先に目を向けた。
はっきりと見えるわけではないが、そこになにかが”いる”事は感じる。
おそらくは…亜佐美がこうなっている原因がそこに”いる”何者かなのであろう。
「……少し席を外していただけますか？」
「え？あ、でも…」
「…お願いします…」
様子を窺っていた朝子に笑也が告げる。朝子は少し戸惑いながらも、しかし頷いて部屋を出ていく。
パタンと閉じられた室内は、先ほどよりもよりいっそう暗さを増した。
「あ、氷川先輩、アレやるんだ？」
「……静かにしていてくれ…」
「了解ッ！なあなあ、亜佐美ちゃん、今からいいもの見られるぜ！」
静かにしていろと言っているそばから話し始める良平に少々呆れながらも、笑也は部屋の広い場所に移動する。
そして、精神を統一し…ゆっくりとその手を動かす。
なだらかで、やわらかな曲線を描く笑也の腕の動きは…音楽こそ流れては居ないが、誰が見ても『能』の舞だとわかる動きをしていた。
彼はこうやって能を舞う事で…その場に居る”何か”の存在を具現化させることが出来る。
それは彼の家系に備わった特殊な能力のひとつであった。
良平が笑也の舞に目を奪われて見入っている間に、亜佐美の視線が僅かに揺れる。
そして…突然、良平の身体を突き飛ばして立ち上がった。
驚く良平だったのだが、改めて自分の視線を笑也から亜佐美の方へと戻した瞬間、その理由がはっきりとわかった。
亜佐美と自分との間に…一人の少女がすっと立ち…良平に背を向け、亜佐美に向かい合っていたのだ。
「も、もしかして…楓子ちゃん？」
遠慮がちにかけた良平の声に、その少女はゆっくりと振り返り…そして静かに頷いた。
「楓子…楓子…」
『亜佐美ちゃん』
立ち上がり、動いてはいるものの虚ろな瞳は変わらず、亜佐美は『楓子』へと手を伸ばす。
優しく微笑みを浮かべて、『楓子』もその手を取ろうとする。
「ごめん…ごめんね楓子…！アタシ…アタシ…ちゃんとアンタの話聞いてあげてたら…」
『いいのよ亜佐美ちゃん。ねえ亜佐美ちゃん、私達、死んでも友達でしょう？』
「当たり前じゃない！友達よ！アタシの…アタシの大好きな楓子だもの…」
二人の伸ばした手が触れ合おうとした瞬間、間に割って入った良平にそれを遮られる。
そしてほぼ同時に、笑也も同じように二人の手を弾こうとしていたらしく、良平と向かい合う形になり動きを止めた。
「邪魔しないで！」
「亜佐美ちゃん、ちょっと待ってくれ！俺、なんかよくわかんねぇけど…手を取っちゃいけない気がする！」
「………俺も同じ意見だ」
「ふざけないで！アタシと楓子の邪魔をしないでッ！！」
『そうよ…私と亜佐美ちゃんの友情の邪魔をしないで…』
「なあ楓子ちゃん、あんたさ…亜佐美ちゃんを連れて行こうとしてるんじゃないか？」
『その通りよ…？だって私と亜佐美ちゃんは友情で結ばれてるの…だから一緒にいたいの…それが悪いの？』
「だってそれは…亜佐美ちゃんを殺すって事なんだぜ？！」
良平は『楓子』と向かい合って怒鳴るように言う。
抗議しようと良平の背中を殴りつけようとする亜佐美の両腕を、笑也は咄嗟に取って押さえ込んだ。
さすがに男女の体格さもあって、そう力を入れなくても亜佐美の動きを封じる事はできた。
『あなたは関係ないのにどうして私達の邪魔をするの？私、ずっと亜佐美ちゃんを待っていたのよ…
そして亜佐美ちゃんはやっとこっちに来てくれる決心がついたところなの…だから邪魔をしないで』
「そんなの…そんなの友情じゃねえぞ！！絶対に違う！！」
『あなたに何がわかるの！？』
「わかる！だって俺、俺が死んでも氷川先輩殺して連れて行こうなんて思わねえ！！だってそうだろ！？
本当に親友だって思って、その人のことが好きだったら…その人の大事な人生奪おうなんて思うわけねえんだ！」
「……良平…」
拳をぐっと握って叫ぶ良平の言葉に、思わず笑也は小さく彼の名を呼ぶ。
別に何かの感情が沸いたわけでも、嬉しかったり、感動したという感情があるわけでもない…ただ自然に言葉がもれた。
『私はそう思わない…ずっと一緒にいてこその友情だもの…だって私がいなくなったこの世で…
亜佐美ちゃんは生きてるのよ？そうしたら、私のことなんか忘れて友達を作るかもしれないじゃない…そんな事…』
「おまえ、友達の事信じてないのかよ！信じろよ！信じなきゃ友達なんかじゃねえぞ！！」
『信じてるわ！亜佐美ちゃんのこと、何よりも信じてるわ！！』
「だったらなんで殺して連れて行こうとするんだよ！」
『うるさ…』
大人しい外見の『楓子』の表情がさっと変わり、まるで『鬼』のように変わる。
思わず驚いて身を引く良平の肩を掴んで、笑也が入れ替わる。「何？」と思う間もなく…
笑也の手が弧を描くように動き、それと同時に『楓子』の身体が一瞬、地下から地上に出て太陽を見た瞬間の如く輝いた。
「楓子、楓子――！！」
取り乱す亜佐美を、今度は良平がしっかりと抱きすくめて押さえ込む。
まばゆい光は部屋の中をあっという間に多い尽くし、部屋を支配していた暗闇を一瞬で光の中へと誘った。
それは、笑也の『退魔の舞』が効力を発揮した瞬間だった。
「……もう大丈夫ですよ…」
笑也は小さく、”誰か”にそう声をかける。
良平が不思議に思い、笑也の肩越しに覗き込んだ先には…先ほどとはまったく雰囲気の違う『楓子』が立っていた。
彼女自身から光を放っているかのように見えるその姿は、まるで天使のように見え…。
『―――私…？今まで…』
「……魔が、憑り依いていました…あなたの魂に…」
『私の？』
不思議そうに首をかしげた『楓子』は、ふと、笑也の後ろに見える姿に目を向けた。
見知らぬ男性に抱え込まれるようにして…必死にもがいている、友達の姿に。
『亜佐美ちゃん…？亜佐美ちゃんなの？』
「楓子！」
「……良平…放してやれ…」
「いいのか？じゃあ氷川先輩がそう言うんなら…」
ぱっと亜佐美を捕らえていた腕を広げると、亜佐美は楓子の元へ急いで駆け寄る。
笑也はそれを見ると、良平の肩を軽く叩いて外へ出るようにと促した。
「え？でもいいのかよ？二人だけにして大丈夫なのかよ？」
「……お前は何を見ていたんだ…」
「何って…」
「…もう彼女は亜佐美さんの”親友”である彼女だ…」
「わ、わっけわかんねえ〜！！けど、要するにもう大丈夫ってことなんだよな？！良かった！
でもなんで出て行かなきゃなんねえんだよー！？」
「……本当の意味で…最後の別れだ…」
静かに呟きながら笑也は亜佐美の部屋を出て、廊下で待っていた朝子と顔を合わせる。
説明を聞きたがっている朝子に、リビングで話しましょうと促してその場から移動する。
部屋の中で何を見て、何があって、何をしたのかを、笑也は順序立てて依頼人の朝子に説明する。
朝子は真剣な表情で話を聞いて…
カチャリ、と部屋のドアが開いたのはそれから一時間程経った時の事だった。
視線を向けた笑也と良平の目に、すっかり着替えを済ませて化粧を施した亜佐美の姿が映る。
女子中学生にしては少し派手ではあるが少女らしい表情と服装をして、少し恥ずかしそうに笑みを浮かべていた。
ただ、ずいぶんと泣いたのであろう目は赤く腫れぼったくなっていたが。
そして、亜佐美は二人にぺこりと頭を下げて苦笑いを浮かべる。
驚きと嬉しさと入り混じったような表情で見つめる朝子に、亜佐美は振り返ると同時に告げる。
「お姉ちゃん、お腹空いたんだけど」
「―――俺もっ！」
良平が元気良く手をあげて、それに賛同した事は言うまでもない。
＜終＞
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■ 登場人物（この物語に登場した人物の一覧） ■
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＜亜佐美＞
【0086／シュライン・エマ／26歳／女性／翻訳家・幽霊作家＋草間興信所事務員】
【2268／氷川・笑也（ひかわ・しょうや）／17歳／男性／高校生・能楽師】
【2381／久住・良平（くずみ・りょうへい）／16歳／男性／高校生】
＜楓子＞
【2441／西王寺・莱眞（さいおうじ・らいま）／25歳／男性／財閥後継者・調理師】
【2585／城田・京一（しろた・きょういち）／44歳／男性／医師】
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■ ライター通信 ■
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こんにちわ。この度は「フレンズ」にご参加いただきましてありがとうございました。
ライターの安曇あずみです。今回は参加していただいた方皆様、別々の話となっております。
（プレイングのより氷川様と久住様は共通のお話とさせていただいております。）
ですので、全部で四種類の展開と結末という形のパラレル的なお話になりました。
集合型にしようかな、とも思ったのですが、皆様のプレイングを拝見していて、
これは個別でじっくり書きたい…と思いましたので個別で書かせていただきました。（＾＾；
ですので誰かと一緒に事件解決！という展開でなくなってしまっていますが申し訳ありません。
共通して、最後は余韻という雰囲気を残して終えさせていただきました。
楽しんでいただけていたら幸いです。また宜しければ依頼のお手伝いをお願いしたく思います。
この度はありがとうございました。<(_ _)>
＞氷川・笑也様
こんにちわ。初めましてのご参加どうもありがとうございました。
久住様の方にも書いておりますがこの度は初のご参加と言う事で、氷川様の性格や喋り方、また久住様とのやり取り等…
きちんと捉えて描写できずに申し訳ありません。ただ、CVはとても参考にさせていただきました。
個人的に好きな声優さんでしたので雰囲気が想像しやすく執筆も進みました。（＾＾）
楽しんでいただけていたら嬉しいです。またお会いできるのを楽しみにしております。
：：：：：安曇あずみ：：：：：
※誤字脱字の無いよう細心の注意をしておりますが、もしありましたら申し訳ありません。
※ご意見・ご感想等お待ちしております。<(_ _)>
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