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<東京怪談・PCゲームノベル>


|Д゚)ノ UFOキャッチャーとナマモノ

 とある街角のゲームセンター。
 だいたい一階が景品ゲームやプリクラ、音楽ゲームで、店の奥か上下階に格闘ゲーム等おなじみの筐体、メダルゲームがあるのが普通だ。ここも、レイアウトや構成じたい他のゲームセンターともなんら変わりはない普通の所だ。
 ただし、UFOキャッチャーの中の景品を除いては……。
 一台だけ、小麦色のふさふさしたぬいぐるみにしている。知る人ぞ知る、謎生物「かわうそ?」のぬいぐるみなのである。見た目は単にイタチ科の一種のぬいぐるみなのだが、堂々と筐体に〈かわうそ?キャッチャー〉と銘打っている以上、その中身のぬいぐるみはまさに“かわうそ?”なのである。アレの行動は噂が広まり、徐々に女の子やある好奇心旺盛な科学者の目に広まったとしか考えられない。そこに、もぞもぞ動く物体がいた。そう「ご本人」も景品になっているようだ。単に、寝ているところぬいぐるみに間違われたのか、ワザと中に入っているかのどちらからだろう。
 |Д゚)……
 本人の表情は全く謎だった。
 前に、よく知っている女子高生と兄貴分の男と目があって、2人は逃げた。
 |Д゚)……
 それからというものかわうそ?は、固まったままじっとしているのだ。其れはまるで……かわうそ?の死体の山に一匹だけ立っている生き残りのように。


「あーっ!」
 |Д゚)!
 ある女の子の声を聞いて、ビックリするナマモノ。
 女の子は良く見知った女の子銀野らせんだった。
 彼女は極普通の可愛い物好きの女の子だが、正義の味方ドリルガールである。今更説明することもないだろうが、念のために。
「あ、らせん。ちゃ〜」
 呑気に挨拶するナマモノ。
「こんにちは……ってじゃない! どうしたの? こんなところに? 」
「しらない……」
「今助けてあげるから! 待っててね!」
「?」
 状況がいまいちつかめないかわうそ? しかし、らせんは可愛い財布から千円札数枚を沢山の100円玉に替えてこのナマモノキャッチャーに陣取った。
 |Д゚)ぷ? にゅー?
「いくわよ〜。じっとしててね」
 と、らせんはコイン投入し、突っ立って動かないかわうそ?にアームを動かす。
「一発ゲットだわ!」
 かわうそ?にむかってアームが動く。しかし、
「いたたたたたたたたたたたたた!」
 なんと、かわうそ?を押し潰す様にさがっていく。かわうそ?は涙目で叫んでいる。
「がまんして〜」
「いやー」
 叫んでいるのに動かないかわうそ?
 其れは追い打ちとばかりに、こめかみにアームが刺さったからだ。
「ぎゃ〜!」
 刺さったには語弊があるかもしれないが、かわうそ?には刺すような痛みを感じたのであながち間違いではない。
 持ち上げようとしても、アームはするりと抜けて失敗に終わった。
「ああ、残念」
 |ДT)……
「もういっかいいくよ〜!」
 Σ(゜Д゜;≡;゜д゜)
 止めてくれと言う意志通達を顔でするも、もうらせんは聞いてないし見てもいない。
 そう、UFOキャッチャーで起こる症状、熱中浪費状態になったのだ。
 パチンコ等のギャンブルでも、“今度こそ!”という妙な気合いを入れてしまって、大損すると同じ症状なのだ。
 |Д゚;)……
 ナマモノは恐怖している。動けない。
 しかし、彼特有の奇蹟は自動的に発動している。

 
 “謎の回避”である。かれが危機と感じ取った場合、この回避能力は意図もしないでも発動する。最も、いつも謎なので常に発動していると言ってもおかしくはないが、“謎”という神秘自体不条理能力なので突っ込みは受け付けないしクレームも受け付けない。


 らせんが、素晴らしいアーム捌きをみせるも、ゲットしたものがぬいぐるみになっていたり、カワウソ?は軟体化して、アームから滑り落ちたり、僅か1ミリ動いたりと、アームから逃げているのだ。
 らせんは何も考えもせず、
「あーもう! もう一回!」 
 どんどん熱中している。
 既に、3000円は使い果たしたようだ。

 幾ら玩具メーカー令嬢と言えども、そんなに沢山お金を持っているわけではない。多分財布の中身は7000円かもしれないだろう。
 しかし、彼女は諦めなかった。
 彼女の隣にには、山と積まれた、ぬいぐるみ他にプラモデル、レアものフィギュアと、どうしてかわうそ?キャッチャーと銘打っているだけ、有りもしない物を手に入れている。しかしらせんは生きている「かわうそ?」しか目がいっていない。
 
「もういいなり、らせん」
「いいえ! この1枚に賭ける!」
 ああ、もうお財布の中がからと宣言した言いッぷりだ。
「はうう」
 もう、この熱意に負けたのか、かわうそ?は素直に“謎の回避”能力を解く。そして別の謎能力を発動した。
 アームが彼を抱っこするように掴んで、筐体から“救出”された。その様は、ボールのようになったかわうそ?で、受け取り口のと頃でころころ転がっている。
「やった!」
 歓喜に打ち震え、かわうそ?を抱きしめ、踊るらせん。
 面食いなナマモノなので、彼女の胸の気持ちよさにぼけーっとしている。
 |Д゚*)……
 全方向から拍手が聞こえる。
 らせんは、かわうそ?を手に入れる時にギャラリーに囲まれていることに驚いて、赤面する。
「きゃぁ!」
 彼女は鞄と、ナマモノを抱いて、ダッシュで逃げていった。

 ――他の景品を残して。



 帰り道で、らせんは気がついた。
「何故、謎能力であの中から出なかったの?」
 ろ、聞いてみる。
「わかんない」
 いや其れは答えになってないでしょと、突っこみたいらせんだが、この子の考えていることは不明なので良いかとおもった。
 しかし、
「ドリルガールの空間歪曲能力つかえば、すんなり……」
 と、かわうそ?が言った。
 ……沈黙
「一寸待って? 沢山お金つぎ込んでも店員に事情を話したら……」
「んーむりっぽい」
 考えるらせんとナマモノ。
 いや、あのキャッチャーでの行動自体何もかも無駄ということだ。
 ナマモノを放っていても、いつの間にか頭の上に乗っているとか、家で魔法のドリルと漫才しているとか、屋台の鮨屋をやっているかもしれないからだ。
 もう考えるのも馬鹿らしいし、お小遣い使い果たしたらせん。
 かわうそ?が大好きなので
「ま、いいか!お金つぎ込んでゲットしたんだから、私の物ね!」
 |Д゜)!
「まって! まって! かわうそ?には飼い主いる!」
「そんなの関係ないもん♪ あたしが3万円使って手に入れたんだもん!」
「きゃー!」
 と、暫くお持ち帰り状態となったかわうそ?だった。
 でもかわうそ?は、彼女の胸に抱かれたまま考える。

 |Д゚)……此は此でおいしいかもかも

 と。

 暫く、彼は銀野らせんのおうちで厄介になろうと決めたのだった。
 らせんは彼の考えていることは全く気にしていないようなので、更に好都合なのかもしれない。


 End

 
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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【2066 銀野・らせん 16 女 高校生(/ドリルガール)】


【NPC かわうそ? 年齢性別不明 かわうそ?】

※ライター通信の代わりにかわうそ?がお届けします。
|Д゚) しばらく宜しく。ごはんはトロでおねがい。
|Д゚) くすっ